奈緒「ぷいきゅあー!がんばえー!」 (44)


凛「がんばえー♪」


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・アイドルマスターシンデレラガールズ 渋谷凛と神谷奈緒のSS
・百合注意、キャラ崩壊注意
・ぷいきゅあです、プ○キュアではない


 凛の自室、PM9:40


凛「28話…… だいぶ、物語も進んできたね」

奈緒「7巻まで見終わったし、半分は超えてるよ」

凛「1年で完結なんだっけ?毎週……ってことはざっと50話くらいってこと?」

奈緒「まあ、そんなとこ。今度来た時に続きも持ってくるからなー」

凛「楽しみにしてるね」

奈緒「ん」


奈緒「しかし、あたしが熱心に勧めたとはいえ、凛がぷいきゅあシリーズにハマるなんてなー」

凛「ハマるって言っても、まだ1作目だよね?まあ、楽しんでるのはほんとだけどさ」

奈緒「てっきりさ、こういうの受け付けないんじゃないかって思ってたよ」

凛「そう?そんなことないよ」


奈緒「ちっちゃい頃に見てたってわけでもないんだろ?」

凛「うん…… 朝のそのぐらいの時間って、もう開店の準備とかでお父さんもお母さんも忙しくてさ。
  日曜日なんかは、近くのお祖母ちゃんちにひとりで行ってたから。TV、あんまり見てなかったんだ」

奈緒「なるほど」

凛「それに、周りの子とそういう話をしなかったからね。TVの話でも、ドラマとか、バラエティとかの話が中心だったし」

奈緒「確かに、そんなイメージあるしなあ」


凛「幼稚園でも小学校でもさ、大人っぽいねって周りからいつも言われてて。……多分、自分でも意識してたんだと思う」

奈緒「そっかぁ……」

凛「だからこそ、今になってその頃の分を取り返してるのかもね」

奈緒「なら、良かった、のか?」

凛「うん、ありがと」

奈緒「べ、別にそんな…… 勧めたのあたしだし…… ま、どういたしまして?」


凛「それに、さ」

奈緒「なんだよ」

凛「好きな人の好きな事を知りたいって、変かな?」


奈緒「……今の、ズルいだろ!?」

凛「ふふっ、でもほんとのことだし」

奈緒「あ、あたしだって」

凛「どうしたの?」

奈緒「ちょっとは、その、花の事とか調べたりしてるんだぞ……」

凛「ふぅん…… じゃあ、この花は?」

奈緒「あ、や、わ、分かんない」


凛「かすみ草だよ。花束の脇役によく使われるんだけど、単体でも結構好きなんだ」

奈緒「み、見たことはあったんだよ。名前とかは、まだ知らなかっただけで」

凛「花言葉は…… 教えてあげない。後で調べてみてね」

奈緒「むぅ……」


凛「奈緒」

奈緒「なんだよー」

凛「焦らなくったって、逃げたりしないから」

奈緒「でもさ、なんか、悔しいじゃん」


凛「そんなに考えなくたって、例えば、花屋になるってだけなら簡単なんだよ」

奈緒「簡単か?」

凛「ほら、花屋さんに嫁入りすればいいんだし」

奈緒「……」

凛「婿入りでも、いいんだよ?」

奈緒「だからぁ!ズルいってば、そういうの!」


奈緒「……ごほん。でも、実際そういうのって、やっぱりずるいっていうか、正面からじゃなくていいのかっていうか」

凛「そうかな?順番が前後するだけで、私は変わらないと思うけど」

奈緒「あたしはさ、やっぱりちょっと違うと思う」

凛「私だって奈緒だって、アイドルになる前は歌もダンスもしてこなかったでしょ?それと同じだよ」

奈緒「そう、なのか?うーん」

凛「もちろん、知りたいって思ってくれるのは嬉しいからね」

奈緒「だったら、あたしもがんばるからな」


ーーー

凛「そう言えば、なんで奈緒はぷいきゅあを私に勧めてくれたの」

奈緒「それは…… まあ、単純に好きな作品だからってのもあるけどさぁ」

凛「うん」


奈緒「あたしたちの最初の衣装、あったじゃん」

凛「あー、あれね」

奈緒「あたしと凛でちょっとだけ色違いのやつな。
   袖の部分とかはちがったけどさ、それでも、おそろいだったってあたしは思ってる」

凛「私が黒で、奈緒が濃い目の灰色だったよね」

奈緒「あの頃はさ、ユニット名こそなかったけど、よくあたしと凛で組んでただろ」

凛「そうだね。今では、NGがあって、TPがあって、……他にも色々あるけど。
  最初はいっつも奈緒といっしょだった」

奈緒「それを思い出すから、かなぁ」

凛「そっか」


奈緒「あーいや、今のユニットが嫌って訳じゃないんだけどな?」

凛「うん、それは私もおんなじかな」

奈緒「まあ、とにかくな。ぷいきゅあって、1作目はずーっと2人組なんだよ。2人で、戦っていくんだ」

凛「2作目から増えてくんだっけ?」

奈緒「ん。続編とか、後作とかはさ…… 3人とか、4人5人って仲間が増えてくんだ。
   それはそれで面白いんだけど、なんていうか、凛と観るならこれが良いかな、って」

凛「なんか、嬉しいな」


ーーー

奈緒「2人でいる時の凛って、なんだかいつもとちがうよなー」

凛「そうかな?」

奈緒「いつもより、子供っぽいっていうか」

凛「子供っぽい、か。そうだね、それは多分……」

奈緒「多分?」

凛「奈緒の前だからだよ。今は、ふたりっきりだから」

奈緒「……」


凛「奈緒、今のわかってて言ったんでしょ?」

奈緒「いや、あの、その」

凛「私、奈緒のそういうところが好きなんだと思う」

奈緒「もー!」

凛「ふふっ」


奈緒「でも、本当にそんな感じなんだよ」

凛「ちょっとは自覚ある、かな」

奈緒「あたしだけの凛、っていうかさ」

凛「その言い方、なんかくすぐったい」

奈緒「……ダメか?」

凛「ううん、嬉しいよ」


ーーー

凛「奈緒ってさ、大人じゃん」

奈緒「あたし、あんましそんなこと言われないけどな?」

凛「私より大人ってこと。年もだけど、振る舞いが私みたいに自分勝手じゃないところとか」

奈緒「そうか……?」


凛「私はさ、なんだかんだ言ってもまだ子供だから。意見が違ったら我を通そうとしちゃうし、だから喧嘩になったりもしてさ。
  そんな時に『まあまあふたりとも』って割って入って宥めてくれるのが奈緒で、」

奈緒「あたしは……ただ、皆仲良くがいいっていうか」

凛「それでも、私にはそれが出来ないんだし。
  守って貰えてる、って嬉しくもなるけど……私、子供だなぁって」


奈緒「子供、ねぇ……」

凛「大人っぽく振る舞ってるつもりだけど、まだまだ、ね」

奈緒「振る舞ってるっていうか、気を張ってるよなー。今は、少しましになったけどさ。
   最初は、危なっかしくてさ、怖かった」

凛「色々迷惑とかかけちゃってごめんね」

奈緒「んーん。別に、あたしがしたくてしてることだし」


奈緒「今の凛を誰かがみたら、驚くだろーな」

凛「いいじゃん、見せるつもりもないんだから」

奈緒「ほんとに、誰も知らないんだよなー」


凛「二人だけの秘密、だね」

奈緒「……」

凛「奈緒?」

奈緒「秘密って、こういうこととかか」


凛「んむっ」

奈緒「……ぷはっ」

凛「……奈緒、ちょっと」

奈緒「凛」

凛「っ」

奈緒「……もっと、したい」


凛「だめ、だよ」

奈緒「なあ」

凛「……お願い。もう少し、待って」

奈緒「やだよ、あたし」

凛「ねえ、奈緒。私、まだ子供だよ」

奈緒「……そう、だよな」


ーーー

奈緒「やっぱり、凛はまだ怖い?」

凛「怖いっていうか、心の準備ができてないんだ」

奈緒「したくない?」

凛「そうじゃ、ないけど。……いつかはしたいって思ってるよ。でも、まだ」

奈緒「あたしだって、いつまでも大人しく待てるとは限らないからな」

凛「でも、無理やりしたりなんかはしないでしょ?」

奈緒「まあ、それはそうだけどさ……」


凛「ごめんね」

奈緒「いや、あたしがわるい」

凛「ううん、待たせてるのは私なんだし」

奈緒「あー、あたしだけ生殺しかよ……」

凛「しょうがないでしょ。さっきのだって、いきなりで、どきどきしたんだから」


ーーー

奈緒「10時かー」

凛「そろそろ寝よっか」

奈緒「いつも思うけど、凛って早寝だよな」

凛「その分早起きだからね」

奈緒「あたしは、あと二時間ぐらいは起きてたいんだけどなー」

凛「明日お休みなんだし。いっぱい遊ぼうよ。だから、ね」

奈緒「うん……」


凛「それに、お父さんもお母さんも明日早いからさ、ゆっくり寝て欲しいし」

奈緒「そりゃー、仕方ないか」

凛「ハナコももう寝ちゃったみたいだし。明日、五時起きだからね」

奈緒「五時、起きられるかなぁ」

凛「大丈夫、ちゃんと起こしてあげるから」


奈緒「凛」

凛「なに、奈緒」

奈緒「いつもみたいに、抱きしめて寝てもいい?」

凛「じゃあ私は奈緒の手握って眠るね」

奈緒「うん、あ、暑かったら離れてくれていいからさ」

凛「背中、汗かいちゃったらごめんね」

奈緒「いいよ、べつに気にしない」


奈緒「あたしもだけどさ。凛って、こうやって寝るの好きだよな」

凛「確かに…… 後ろから抱きつかれるの、好き、かも。ほら、いつもと逆でさ」

奈緒「逆、かぁ」

凛「奈緒がぎゅーって抱きしめてくれて、私は安心して、子供みたいに、ちっちゃく丸まって眠るんだ」

奈緒「確かに、あたしと一緒に眠る時の凛は、まんまるでさ、なんだか守ってあげたくなるっていうか」


凛「起きてる時はさ。ほら、皆の前なんかでは、だいたい私がぎゅーってやって、奈緒がちぢこまってる」

奈緒「しょーがないだろ? ……あたし、ちびだし」

凛「それが可愛いのに。ちっちゃくて、ふわふわで」

奈緒「こんにゃろ、ドサクサに紛れて触ってやる」

凛「やめて」


奈緒「……嘘だよ。抱きしめてるだけでもいっぱい我慢してるのにそれ以上なんて、無理だ」

凛「もうちょっと、待ってね?」

奈緒「わかってる」

凛「それじゃ、おやすみなさい」

奈緒「ん、おやすみ」



〈fin〉


たまにはりんなおの、ブラックゴシックドレスの話を


過去作:

・肇「土を食べるとその質がわかるんです」みちる「なるほど!」モッシャモッシャ

etc.

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