幸子「少女マンガですか?」乃々「はい…」 (33)
幸子「面白いですか、それ?」
乃々「ま、まぁまぁ…?」
幸子「あれ? タイトル的に恋愛モノですよね? 確か、乃々さんはあまり好きじゃなかったのではないですか?」
乃々「荒木さんが貸してくれて…。借りたからには、読もうかと…。感想とか訊かれたら怖いですし…」
幸子「へぇ。あ、ボクにも少し読ませて下さい!」
乃々「べ、別に良いですけど…。それより…」
幸子「なんですか?」
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乃々「…なんで、もりくぼの机の下に入って来たんですか?」
幸子「え? プロデューサーさんの机ですよ、これ?」
乃々「あ、あの、そうじゃなくて…。幸子さんは机の下に入らないキャラですよね…?」
幸子「ボクとしては、この事務所に『机の下系アイドル』なんてカテゴリが存在していることが驚きなんですけどね」
幸子「まあ、その2つでアイドルを分けるなら、机の下に入らない方ですね」
乃々「じゃ、じゃあ、なんでもりくぼの机の下に…。こんなに狭いのに…」
幸子「暇だったので! それだけですね!」
乃々「あぅ…」
乃々「そ、そもそも、幸子さんはなんで事務所に…? お仕事は入ってなかったですよね…?」
幸子「ボクは真面目な上に努力家ですから! 自主レッスンでもしようかと思ったのですよ! 」
幸子「…まあ。レッスンルームが満員で、空いていなかったんですけどね…」
乃々「そ、そうだったんですか…」
幸子「事務所に来れば誰かいるかと思ったんですけど…」
乃々「輝子さんも小梅さんも、今はレッスン中です…。まゆさんはもう帰りましたし、美穂さんは夜までお仕事です…」
幸子「そうみたいですね。残念です」
乃々「で、ですから、事務所にいても楽しくなんて――」
幸子「仕方ないから帰ろうかと思ったら机の下に乃々さんがいるのに気づいたので、せっかくですから少しお話しでもしようかと思ったんです!」
乃々「そうですか…」
幸子「もしかしてお邪魔でしたか?」
乃々「いえ…。そんな事は…」
乃々「で、でも、机の下なんて少し埃っぽいですし…」
幸子「あれ? マンガの一巻目はどこですかね?」
乃々「もりくぼと一緒にいても楽しくなんてないでしょうし…」
幸子「あ。このピアス。まゆさんが失くしたと言っていたものじゃあないですかね? 届けてあげないと!」
乃々「か、肩とか腕とかぶつかりますし…。狭いですし…」
幸子「うーん、一番最初の巻が見付かりませんね…。でも、マンガって途中から読まない方が良いんですよね?」
乃々「あぅ…。いつもキノコさんや小梅さんと一緒にいるせいで忘れがちですけど、幸子さんもあまり話を聞いてくれないタイプの人でした…」
幸子「どうしたんですか、乃々さん? そんなうなだれて?」
乃々「あの…! つ、机の下は狭いので、その…」
幸子「あ、そうですよね。確かに二人で入るには狭いですよね!」
乃々「そ、そうです! で、ですから、あの…」
幸子「では、ソファーで読みましょうか!」
乃々「そ、そっちの方が良いと思いますけど…!」
幸子「じゃあ机の下から出ましょう、乃々さん!」
乃々「…えぇ?」
――――――
幸子「うーん…」
乃々「……」ペラッ
幸子「う、うーん…?」ペラッ
乃々「……」ペラッ
幸子「えーっと…?」
乃々「さ、幸子さん…?」
幸子「なんですか、乃々さん?」
乃々「さっきから、なんで唸っているんですか…?」
幸子「いえ。なんだか絵がいっぱいで、どう読めばいいのかイマイチわからないので…」
乃々「絵が多いのは、マンガですから…」
幸子「乃々さんは普通に読めるんですか?」
乃々「ま、まあ…」
幸子「そうですか。凄いですね!」
乃々「いえ、普通ですけど…」
幸子「あ、乃々さん見て下さい! 今出て来たこの男の人が恋愛相手ですかね?」
乃々「そ、そうですね…。あ、あの、幸子さん…? べ、別に隣に座らなくても――」
幸子「乃々さん! 主人公の女の子、もう惚れましたよ! いきなりですね!」
乃々「は、はい…。いきなりです…」
幸子「なんででしょう? この女の人、転んだ所を助けられただけですよ?」
乃々「もりくぼに訊かれても…」
乃々「そ、その…? 私も、続き読みたいので…」
幸子「あ。ごめんなさい! じゃあ、ボクも続きを ――乃々さん! これが噂に聞く『壁ドン』ですか!?」
乃々「うぅ…。もうもりくぼは放っておいて欲しいんですけど…」
幸子「話には聞いていましたけど、本物を見るのは初めてです! あ、主人公の女の子、顔を真っ赤にしましたよ!」
乃々「ちょろいですね…」
幸子「普通の女の子はこういうのに憧れるものなんですかね? ボクにはちょっとわからないですが…」
乃々「まあ、現実にはあり得ませんよね、こんなの…。非現実的です…」
幸子「しかし、ボクも気を付けないといけないかもしれませんね」
乃々「な、何にですか…?」
幸子「ボクのカワイさにやられてしまったファンの方がこういうことを無理矢理やってくるかもしれませんから!」
乃々「あ、はい…」
幸子「乃々さん的にはどうですか、こういうの? 憧れたりします?」
乃々「いえ…。知らない人からこんな事やられたら、もりくぼだったら絶対逃げますけど…」
幸子「…ちょっと試してみますか! 乃々さん、立って下さい!」
乃々「え…? えぇ!?」
幸子「ほら、早く立って下さい!」
乃々「む、むーりぃー…!」
――――――
乃々「うぅ…。もりくぼが幸子さんに勝てるはずがなかったんですけど…」
幸子「やられると案外良いものかもしれませんよ!」
乃々「もう好きにして下さい…」
幸子「じゃあ行きますよ! あ、もう少し壁際に寄って下さい!」
乃々「はい…」
幸子「では」
ドンッ
乃々「……」
幸子「……」
乃々「うぅ…。か、顔が近いんですけど…!」
幸子「…これのどこが良いんですかね?」
乃々「もりくぼに訊かないで欲しいんですけど…!?」
幸子「うーん。何がダメなんでしょう?」
乃々「…あ、あの? セリフ…」
幸子「セリフ、ですか?」
乃々「だ、だいたい、した後に何か言うものだと思うんですけど…?」
幸子「それです! それじゃあ、さっき読んだページのセリフを借りましょう!」
乃々「よ、余計な事を言ってしまったかもしれません…」
幸子「行きますよ!」
ドンッ
幸子『ボク、ずっと前から気になっていたんですよね。君のこと』
乃々「あ、はい…」
幸子「……」
乃々「……」
幸子「どうですか? ドキッとしたりしますか?」
乃々「…あの、身長的にちょっと無理が…」←149cm
幸子「うーん。確かに、男役の方が背が低いのはダメですね…」←142cm
乃々「じゃ、じゃあこれくらいにして、静かにソファーでマンガを…」
幸子「あ。じゃあ乃々さんがボクにやってみて下さいよ!」
乃々「…えぇ!?」
幸子「身長的にはOKですし! ボクもどんな感じなのか体験してみたいです!」
乃々「そ、そんなの絶対にむーりぃー…!!」
――――――
乃々「うぅ…。幸子さん強引…」
幸子「さあ! どんと来い、です!」
乃々「あ、あの…。本当にやらないと…?」
幸子「ボクもやったんですから!」
乃々「あぅ…」
幸子「それで、乃々さんはなんて言うんですか?」
乃々「セリフも有りなんですか…?」
幸子「マンガの中から何か選んで下さい!」
乃々「うぅ…。じゃ、じゃあ適当に選びますけど…」
幸子「では、早速 ――あ、ちょっと待って下さい!」
乃々「ど、どうしたんですか?」
幸子「せっかくですから、もう少し身長盛りましょう!」
乃々「そ、そうですか…」
乃々(なんか雑誌を重ね始めたんですけど…。30cmくらい…)
乃々(…一体、誰に壁ドンされる想定なんでしょうね…?)
幸子「では、気を取り直して、やってみましょう! バランスが悪いので気を付けて下さいね!」
乃々「は、はい…」
幸子「セリフは決まりましたか?」
乃々「あ、あの…。本当にやらないと…?」
幸子「さあ! こういうのは勢いですよ!!」
乃々「うぅ…。な、なんでこんな事に…?」
幸子「さあ!」
乃々「うう…っ! も、もうヤケクソなんですけど…!」
ドンッ
乃々『も、ももも、もりくぼの女になって欲しいんですけど!!』
ガチャ
美玲「えっ?」
輝子「えっ?」
小梅「えっ?」
乃々「」
幸子「」
乃々「これは、その…!」
幸子「ち、違います! 誤解なんです!!」
美玲「そ、そうか…」
輝子「そ、そうなんだな…」
小梅「そういう事、なんだね…」
乃々「そういう事じゃあないんですけど!?」
ガチャッ
美玲「大丈夫だ、ノノ…。何があってもウチらインディヴィジュアルズは不滅、だからな…」
乃々「み、美玲さん!? 待って欲しいんですけど…!」
小梅「さ、幸子ちゃん…? わ、私たち、ずっとずっと友達、だよ…?」
幸子「そう言って貰えるのは嬉しいですけど、なんでこのタイミングなんですか!? あと、一体どこに行くんですか小梅さん!?」
輝子「ヒャッハーッ!! 水臭いじゃねぇかトモダチどもォ!! そういう関係だったらもっと早く言ってくれれば――」
幸子「とりあえず静かにして、今すぐ二人を呼び戻してきて下さい!!」
輝子「あっ、はい…。ゴメンナサイ…」
乃々「うぅ…! もうむーりぃー…!!」
その後、幸子の必死の説明で、なんとか誤解は解けた。
幸子曰く、身長のせいか、少しだけドキッとしたらしい。
おわり。
練習がてら一本書いてみた。
誰かさちくぼ(幸子×森久保)を流行らせて下さい! 幸子がなんでもしまむら!
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