乃々「凛さん…」
凛「どうしたの?乃々。」
乃々「い、いえ…なんでもないです。忘れてください…」
乃々(どうしてこんなことに…)
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-少し前の机の下-
乃々(今日は奈緒さんにおすすめされた漫画を読みましょうか…)
ガチャ
乃々(誰か来ましたね…)
タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ
乃々(真っ直ぐ机に向かってくる!?え?え!?)
ヒョコ!ペタッ!
凛「おはよう。乃々、今何してるの?」
乃々「…」
乃々(?????)
--現在の机の下--
乃々「そして今に至りますけど…」
凛「どうしたの?乃々?いきなり遠くを見つめて。」
乃々「い、いえ。気にしないでください…と、ところで凛さんはどうして森久保と机の下に…」
凛「???」キョトン(なぜそんなことを聞くのかという顔)
乃々「えぇ…」
乃々「ではなくて、さすがに凛さんが机の下にいるのはなんというか…森久保のような駄目駄目なアイドルが机の下にいるのがいいと思いますけど…」
凛「そんなことないよ。駄目じゃない…乃々は、前を目指して進めるアイドルだよ」
乃々「森久保は…」
凛「最近はユニットで新しい曲も歌ったじゃん」
乃々「ワンステップスのステップ&スキップですか…裕美ちゃんとほたるちゃんにはご迷惑をおかけしました…」
凛「そうなの?でも、いい曲だったよ。三人が一歩ずつでも前へ進もうとする暖かい曲…乃々の気持ちも伝わってきたよ」
乃々「あうぅ・・・森久保は…ただ森久保でもなんとかできることをしただけですよ・・・・」
凛「そう?他には正月の和装とか」
乃々「あれは森久保なのかと思うくらいに素晴らしい一枚でした。カメラマンさんの腕の良さが身に沁みました…」
凛「フフッ、カメラマンもそうだけど乃々自身が表現できたからだよ」
乃々「そこまで言われると恥ずかしいですが…森久保が感じている世界を少しでも伝えられたのならうれしいです…」
凛「…それに…もりのくにから、だね」
乃々「ソロ曲は、とても大変でした…応援している人たちに無理に変わらなくてもいい。今のあなたの好きという気持ちを大事にしてほしい。そのことをできる限り伝えたくて、森久保なりにどうすればいいか模索して歌いました…言っておいてなんですが自分の想いを口にするのは何というか恥ずかしいですね…」
凛「そう、なの…」
乃々(…?)
凛「で、でもライブでのソロ曲の初披露もすごかったよ。ステージに立つのが怖かったのに…逃げずに…そう、乃々にしかできないパフォーマンスを披露した。」
乃々「ライブのあれは、その…プロデューサーさんや皆、もちろん凛さんも含めて。皆のおかげでして…」
凛「でも、歌ったのは乃々だよ。それは事実…だから。」
乃々(凛さん…?)
凛「負けてられないよ。私も…」
乃々(…)
凛「急にやってきて隣に座ってごめんね。自主トレでも「凛さん」
凛「乃々?」
乃々「凛さん…ほめてくださってありがとうございます。それと…最初に謝っておきます、すみませんでした。」
凛「どうしたの、いったい」「凛さん」
乃々「どうして…どうして森久保のように…おびえているんですか…?」
凛「…えっ?どうしたの乃々、私は別に」
乃々「凛さんの目、鏡を見てるようで…森久保のように自信のない目を…」
乃々「凛さん、何があったんですか…」
凛「…」
乃々「凛さん…森久保はまだまだ自分に自信が持てなくて、うまく踊れないし歌えないし駄目駄目です」
乃々「でも…それでも…凛さんはこんな森久保を信じてくれています…」
乃々「凛さんが信じている森久保には話してくれませんか…?」
凛「乃々…」
乃々「森久保では…私では凛さんを助けることはできませんか?」
凛「……私ね」
凛「わからなくなったの…どうして、今まで走り続けてこられたのか…」
凛「乃々だけじゃない、皆の成長、というよりは苦難を乗り越えた姿っていうのかな…その景色を見てきて」
凛「じゃあ自分はどう乗り越えてきたのかって…」
乃々「凛さんには卯月さん、未央さん、奈緒さん、加蓮さん、Pさん、皆がいます。一人でなくても皆が…」
乃々「…あっもしかして…一人で…?」
凛「そう、一人で」
凛「広い舞台に、一人で立つのが…怖くなったの…」
凛「皆が一人で立つ姿を見て…今まで、当たり前に立っていた舞台に一人でどう立っていたのか分からなくなったの…」
乃々「凛さん…」
乃々(どうすれば、今の凛さんに私は何を…)
凛「今まで自分は乃々や皆に偉そうなこと言ってさ。いざ自分の立場になればこの有様だよ…情けないしかっこ悪いよね、こんな弱い自分。」
乃々(えっ、弱い…?)
乃々(凛さんが、弱い…?)
乃々「…………」
乃々「…………ですか…」
凛「えっ?」
乃々「本当に、本当に凛さんは自分が弱いと…そう思っているのですか…!」
凛「の、乃々?」
乃々「凛さんはこんな何もできない私に…何度も、何度も駄目になりそうな私に声をかけてくれて、踊りや歌を教えてくれて…」
乃々「何度私がつまずいても、歌えなくても、諦めようとしても…凛さんは、凛さんは…!」
乃々「出来ると言って、信じてくれた…!」
乃々「凛さんみたいにすごい人が信じてくれる、私はそれがうれしくて…!」
乃々「だから、お願いです…弱いなんて言わないで!私を助けてくれた今までの凛さんを否定しないで…!」
凛「乃々…」
凛「で、でも、このままじゃ」
乃々(今、私が伝えられること、それは…)
乃々「…凛さん、無理に変わろうとしなくても、失敗しても大丈夫ですよ…」
凛「無理だよ…!」
乃々「私はいつでも舞台に立つのが怖いです…練習も本番も失敗ばかりです…でも」
乃々「でも、美鈴ちゃん、輝子ちゃん、裕美ちゃん、ほたるちゃん、Pさんが、皆が、そして…凛さんが信じてくれるから…私は舞台に立って一人で歌えます」
凛「それでも、私は…今の私には、怖い…」
乃々「もし、もしも凛さんが失敗しても…卯月さん、未央さん、奈緒さん、加蓮さん、Pさんが、皆が、助けに来てくれます」
乃々「それに…」
凛「それに…?」
乃々「怖いのは、今までの楽しいときがあったからだと思います。」
乃々「私も皆のおかげで少しはアイドルとしての自分を、ほんの少しですが好きになれて、そして…楽しいです。」
乃々「凛さんはどうですか…?楽しいですか?」
凛「…今までずっと走り続けてきた…辛くても、悔しくても」
乃々「楽しかったから、ですよね…?」
凛「いいの…?今の私がステージに立ったらかっこ悪くて、踊れなくて失敗するかもしれない。」
乃々「大丈夫ですよ、だって」
乃々「私は今まで走り続けてきた凛さんなら乗り越えられると信じています。こんな私を信じてくれる素敵で、優しいアイドルだから…」
凛「の…の…」
凛「のの…私、ぅぅ、私…」
乃々「凛さん、こんな華奢でちんちくりんな体ですが、好きに使ってもらって大丈夫です…受け止めてみせます…」
凛「あぁ…ありが、とう。」
乃々(それから、凛さんはしばらくの間今までの不安、つらい気持ち、皆への感謝の言葉を吐き出し続けながら、泣き続けた。私はそれを受け止めていた。)
乃々(今までの私には想像もできない姿をしていたと思う。)
乃々(助けを求めていても言えず、苦しんでいた凛さんを私は助けられたのかは…わかりません)
乃々(ただ、確かなことは)
乃々(私の想いを伝えられたこと)
乃々(それが凛さんの明るい未来につながってくれることを祈ります…)
後日
乃々(奈緒さんから借りた漫画は面白いですね…)
ガチャ
加蓮「あー今日のレッスンは疲れたね」
奈緒「凛が張り切ってたからだろ?」
凛「そうかな?」
奈緒「いや、相当気合入ってたぞ…」
未央「もしやしぶりん、私たちとレッスンできてうれしかったのかなー?」
凛「フフッ、どうだろうね」
卯月「でも、元気そうでよかったです。最近は思いつめたように見えていましたから…」
加蓮「そうそう、でも今日はすっきりしてて、いつもの凛だったね」
乃々(凛さん、元気そうでよかった)
乃々「皆さんお疲れ様です…森久保は漫画を読んでいただけですが」
奈緒「お、乃々、あたしが勧めた漫画はどうだ?面白いか?」
乃々「とても面白いです…なかなか衝撃的な展開が多くて…」
奈緒「だろー?今度続き持ってくるからさ」
乃々「ありがとうございます、楽しみにしています…」ペコリ
加蓮「あれー?いいの凛?奈緒に乃々取られちゃうよ?」
未央「おやおやー?これは面白いことになってきましたなぁ?」
乃々「えぇ…と…」アタフタ
奈緒「いや、何言ってるんだよ…」
凛「奈緒も乃々と仲いいんだね」
奈緒「ん?あー漫画の趣味があっててな」
加蓮「あれ?特に反応なし?」
凛「別に乃々は私だけのものじゃないよ。前に好きにしちゃったのは確かだけどさ」
加蓮・奈緒・卯月・未央「えっ?」
乃々「えっ」
輝子「えっ」(机の下)
加蓮「ちょ、ちょっと待って凛。そ、それ本当?」
卯月「凛ちゃん、そ、その…//」
未央「ま、まさか今日いい表情してたのって…」
乃々「凛さん、それは…というか輝子さん!?もしかして全部聞いて!?」
輝子「あぁ、いや、その…すまない、言い出せなくて…」
奈緒「凛!お前乃々に何をした!?」
凛「えっ、いや…何って…」
凛「……!?ち、違うの!好きにしたっていうのはそういう意味じゃなくて!」
卯月「じゃあどういう意味で…?」
凛「えぇと、その…」
未央「なんでそこで言いよどむの!しぶりん!?」
奈緒「と、とりあえず乃々、輝子!一緒に来い!詳しく聞かせてもらうぞ!」ガシッ
乃々「あ、いや奈緒さん、ちょっと」
輝子「あーれー…」
凛「ま、待って違うの!皆!」
加蓮「卯月、未央!凛を抑えてて!私はプロデューサーさんを探してくる!」
未央「がってん!」
卯月「凛ちゃん、ごめんなさい…でも!」
凛「本当に違うの、だから話を聞いてー!」
乃々(あぁ、奈緒さんに引っ張られ森久保は限界です…)
乃々(でも…凛さんが…)
乃々(いつもの凛さんに戻ってよかった…)
奈緒「乃々、なんで嬉しそうなんだ…?」
乃々「え?えぇと…その…なんでもないです、ただ…」
奈緒「?」
乃々「アイドルに…」
乃々「皆さんとアイドルをやれてよかったと思ったからです」
乃々(だから凛さん)
乃々(また一緒に、ステージに立ちましょうね…)
終わり
おまけ、誤解が解けた後の机の下
乃々「輝子さん」
輝子「いや、あの…あの場面で出るのはその…」
乃々「輝子さん」
輝子「すみませんでした…」
本当に終わり
以前pixivに投稿した内容を少しだけ手直ししてこちらにも投稿しました。
こんなりんののもあっていいのかな…と。
ありがとうございました
最後に乃々、誕生日おめでとう。
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