【艦これ】未熟提督「円は直線を包む……」足柄「頑張ってるわねー」 (54)





足柄「こんな遅くまで、また海戦史の勉強?」

提督「あ、足柄さん!」クルッ

提督「おつかれさ……!?」


足柄「おつかれさま!」

提督「アワワ、なんでまだ入渠してないんですか!?」

足柄「んっ……あぁコレ?」ボロボロ






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足柄「ドックがさっきまで、私より被害の大きかった子で埋まってたの」

足柄「まだ中破だし、私は全然平気だったから……つい忘れてたわ!」ニコッ

提督「~~っ!」

足柄「それにしても、今日も海域攻略まで行けなかったわね……」

足柄「でも安心して!」

足柄「次こそは私たちの実力で、しっかり勝利をもぎとってやるんだから!」グッ

提督「……」カァー…

足柄「……提督?」








提督「そそそ、そのっ……あの!」オロオロ

提督「い、今すぐ、入渠してください!」

足柄「え?でも……」

提督「はやく!」

足柄「わ、分かったわよー」








足柄(せっかく、スラバヤ沖のお話でもしてあげようと思ったのに)フン

足柄「提督の方こそ、キリの良い所で寝なさいね?」

提督「わ、分かりましたからはやくっ!」

足柄「……フフッ、ハイハイそれじゃーね」


スタスタスタ…


提督「……はぁー」








提督「戦闘で破れた服にも気づかないなんて、あの人らしいなぁ」

提督(あれじゃ目のやり場にも困るよ……トホホ)


提督「……でも、今日の奇襲被害の責任は、間違いなく俺にあるんだ」

提督「敵に読まれやすい航路をとっちゃったからな……」

提督「……やっぱり、今まで兵学校で学んできたことだけじゃ深海棲艦には勝てない」

提督「少しでも早く、敵の裏をかく艦隊運用ができるようにならないと……」



足柄「……」ジーッ









提督「よーし、頑張ろう!」

提督「そして……足柄さんのために、今度こそ勝つぞー!」



足柄「……っ!」ドキッ









カポン…


足柄「ふぅ……」

足柄「なんか悪い気はしないなー」ニコッ

足柄「にしても、“俺の責任”かぁ」

足柄「あの子、けっこう気にしてたんだ……」


足柄「……今までこっちの撃沈被害はないし」

足柄「よその話を聞いてると、よくやってる方だと思うんだけどなぁ」

足柄「なにも、あそこまで気を落とす必要なんて……」








――重巡足柄よ!一緒に勝利を掴み取りましょう!――


足柄「……」


――出撃よ!戦場が、勝利が私を呼んでいるわ!――


足柄「……あれ」


――足柄さんのために、今度こそ勝つぞー!――


足柄「……ひょっとして」

足柄「私のせい……?」



……
…………
………………







……翌日


提督(今日も攻略できなかった……)ズーン…

足柄「うぅ……」ボロボロ



提督「足柄さん……すみません」

足柄「!」

足柄「な、なんで謝るのよ……」








足柄「いい?」

足柄「こういう時はむしろ、失態を演じた私たちに向かって喝を入れるくらいじゃないと……」

提督「……俺、もっと頑張りますからっ」ダッ


タタタタッ…


足柄「あ!ち、ちょっと!」

足柄「……行っちゃった」








提督「ヒトヒトサンナナ砲戦開始、互いに命中弾を得られず……」カリカリ

提督「ヒトフタヒトマル、距離3000で旗艦、随伴艦二隻被雷……」カリカリ

提督「しびれを切らして、肉薄のタイミングを早めてしまったか……」



足柄「……」ジーッ

足柄(今日も部屋に籠って、ずっと戦闘記録と格闘してるわね……)

足柄(勝利に貪欲な所は気に入ったわ、でも……)



提督「……」カリカリ

足柄(顔色が……すごく悪いのよね……)ジーッ








カポン…


足柄「はぁー……」

足柄「あの様子じゃ、昨日も寝てないみたい」

足柄(最近は無理しすぎだし……少し心配ね……)

足柄(撤退続きで焦ってるんだろうし、無理もないけど)

足柄(実際の原因を辿れば、現地での私たちの練度不足のせいなのに……)


足柄「そうよ、私たちが不甲斐ないからこんな結果に!」グッ

足柄「こうなったら、今夜は私も勝利のためのイメージトレーニングを……」








――俺、もっと頑張りますから――


足柄「……っ」


足柄「……今、分かったわ」

足柄「秘書艦の私がこんなんだから……」

足柄「あの子は……休もうとしないんだ」








足柄「……よぉし、決めたわ!」

足柄「仕方がないけど……これも必要なことよね」クスッ


足柄「この私が、率先してあの子に……」

足柄「“勝利を得るための休息”というものを教えてあげるわ!」

足柄「よーしっ、やるわよー!」



……
…………
………………







……さらに翌日



足柄「うぅ……」ズーン…


足柄(理想的な休息の方法を考えていたら、朝を迎えてしまったわ……)

足柄(海域を攻略できるコンディションでは当然なかったし)

足柄(あの子には逆に心配されるし……)

足柄(これじゃあ本末転倒よ……)ガクッ








足柄(こ、このままではダメだわ!)

足柄(あの子、ひいては艦隊の運命は今の私にかかってるの!)


足柄(……そうだわっ、生物の元気の源と言えば“食”!)

足柄(今日もカツカレーをたくさん作って、あの子の鋭気を養う!完璧!)

足柄「そうと決まれば、さっそくはじめるわよーっ!」ニコッ



……
…………
………………







提督「……なるほど……」ペラッ

提督「三川艦隊はサボ島の南水道で右回頭、即時戦闘は行わないで発見を……」

足柄「提督―っ!」

提督「はわっ!」ビクッ


足柄「毎度おなじみ、足柄特製カツカレーのできあがりよ!」

足柄「人間辛い時は、美味しいものを食べるのが一番!」

足柄「デザートもあるから、これを食べて今度こそ敵に勝つわよー!」ニコッ

提督「あ、ありがとうございます……」








提督「……」モグモグ

提督「ごちそうさまですっ」

足柄「えっ!も……もういいの!?」

提督「はい!」


提督「カツカレーとデザート、すごくうまかったです!」

足柄「そ、そう!それはよかったわ……」

提督「では、僕は作業に戻ります……」スッ


スタスタ…


足柄「あ……」








足柄「うぅ~ん……何がいけなかったのかしら……」

足柄「今日はとろみ、スパイス、カツの揚がり具合、どれをとっても完璧だったはず」

足柄「おかしいわ……」



テクテク…

雷「雷は将来理想的なお嫁さんになるために、男の人の心理を勉強中なのよ!」

電「それはとても気になるのですっ」


足柄「!」








雷「ふふん、鉄則はたくさんあるんだけど……男の人はとにかく、マンネリを嫌うんだって!」

電「まんねりって、どういうことなのです?」

雷「たとえば、“いつも同じご飯しか食べさせてもらえない”とか……」

足柄「!!」

電「へぇ~、雷ちゃんは物知りなのです!」

雷「えへへ……これからの艦娘は、強いだけじゃだめなんだからっ!」


スタスタスタ…


足柄「そういうことなのね……」シュン








足柄「今度からは、カツカレー以外の料理のレパートリーも増やしていかないと……」ブツブツ


足柄「……とはいえ、今は既に食後だから」

足柄「料理での取り返しはきかないわね」ハァ

足柄「なにか別の方法を考えなきゃっ」

足柄「うう~ん……でも、どうすれば……」



スタ…スタ…

望月「眠い……お布団が恋しい……」


足柄「!!」

足柄「これだわっ!」


……
…………
………………







ガチャン!


足柄「提督―ッ!」

提督「んえっ!?」

提督「あ、足柄さん……」

提督「布団なんか持って、どうしたんです?」

足柄「ちょっと失礼するわよ!」ドタドタ

提督「えっ!?えっ!?」オロオロ








サッ サッ

足柄「ふんふんふ~ん♪」 ←足柄本人のイメージ


ドスッ ドスッ

足柄「フンッ!フンッ!」 ←提督から見た足柄



提督(あ、足柄さんが、鬼気迫る表情で布団を敷いている……)ガタガタ

提督(一体……何が始まるんだ!?)ガタガタ








足柄「できたわ!」ハァ…ハァ…

足柄「さぁ!今からここで寝るのよ!」

提督「え、い、今から……ですか!?」

足柄「そうよ!」ニコッ

足柄「人間、辛い時は寝るのが一番!」

足柄「さぁ!」グイッ

提督「で、でも……っ」ガタガタ

足柄「さぁ!」クワッ








提督「……」ガタガタ

足柄「……」ワクワク



提督「……足柄さん」

足柄「ん、なーに?」

提督「……眠れません」

足柄「えっ」ガーン



……
…………
………………







足柄「お昼寝作戦も失敗……」

足柄「さっきから、どうも乗り気になってもらえてないみたい……」


足柄「やっぱり、今まで戦いのことばかり構ってきた……」

足柄「私なんか、じゃダメなのかな」グスッ



足柄「……っ!」ブンブン

足柄「いけない、まだ折れるわけにはいかないわ!」

足柄「まだあるはずよ、いい休息の取り方……!」オロオロ

足柄「……!」ピコーン

足柄「そうだわ!」


……
…………
………………








ガチャン!


足柄「提督提督―ッ!」

提督「んおっ!?」ビクッ

提督「あ、足柄さん!今度は一体……!」


足柄「これにサインをして!」ピラッ

提督「!?」

足柄「提督と私の外出許可書!」

足柄「今から一緒に、外に散歩に行くわよ!」

提督「さ、散歩……?」








足柄「そう、散歩よっ!」

足柄「辛い時は、いつもと違う景色を見て気分転換するのが一番!」

足柄「眺めのいいポイントを大淀から聞いたの!」

足柄「だから……ねっ、ねっ!?」

提督「は……はい!」ビクッ

足柄「よろしいっ!」ニコッ

足柄「それじゃあ早速行くわよ~!」








ザアアアァァァァァァ


足柄「……」

提督「あ、あはは……ついさっき降り出したみたいですね」

提督「仕方ないですよ……俺、今からまた作業に戻りますから……」

提督「散歩は、また晴れた日にいきまし……」

足柄「……」

提督「……足柄さん?」



足柄「……」ポロ…ポロ…

提督「!?」








足柄「うわぁ~ん!」グスッ

足柄「どうせ私なんて、ただの飢えた狼よ~っ!」ダッ

提督「あっ、足柄さん!」


タッタッタッ……!


提督「足柄さ~んっ!」



……
…………
………………








足柄「……」グスッ

提督「……」



足柄「……急に昂ぶっちゃって……ごめんなさい」

提督「いえいえ、足柄さんは何も悪くありません……」









提督「足柄さんは俺に、息抜きさせようとしてくれたんですよね?」

足柄「……」コク

提督「気が付けなくて……スミマセン」


提督「俺……足柄さんがなにか、とても必死だったから」

提督「それを思うと尚の事……早く海域を攻略して」

提督「足柄さんを……楽にしてあげなくちゃって、焦ってしまって……」

足柄「えっ……」








提督「だから、勉強のことで頭がいっぱいになってしまったんです」

提督「でも、それが足柄さんを蔑ろにする結果になってしまったんですよね……」

提督「本当にごめんなさい」

足柄「提督……」


足柄「もう、いいの」

足柄「空回りしていたのは……お互い様だったのね」クスッ

提督「!」

提督「……そう、みたいですね」クスッ








提督「えへへ、でも……だとしたら儲けものですね」

足柄「ど、どういうこと?」

提督「それは……足柄さんのかわいい泣き顔が見れたことです!」

足柄「…………」

足柄「~~っ!」カァー…


足柄「こんの~!」ガシッ

提督「うわぁー!」

足柄「忘れなさい!今すぐ忘れるのよ!さぁっ!」グリグリ

提督「いでででで!そんなこと言われてもム……アァッ」








提督「いででで……」グスッ

足柄「……!」ピコーン

足柄「そうだ!それともうひとつ聞かせてもらおうかしら?」

足柄「ねぇ……」

提督「な、なんです?」ビクビク



足柄「あなたが必死になってた理由……」

足柄「……どうして、“私のため”なの?」フフッ

提督「ッ!!」








提督「……黙秘権を行使します」フイッ

足柄「そう!じゃあ……」ニコッ


足柄「言いたくなるまで、あの手この手で!」ガバッ

提督「だ、だれか助けてー!」

足柄「うふふっ、問答無用よー!」

提督「ぎゃあ~っ」



じゃれ疲れた(?)足柄とまだ未熟な提督は、やがて戦史資料の散らかる執務室の中で眠りにつきました。

自然と寄り添い、寝息を立てる二人の寝顔。

それは、とても穏やかな顔だったそうな……。



―――――――――――fin――――――――――――――




毒ガス……?知らない子ですね……

ここまで読んでいただいた方、楽しく書かせていただきありがとうございました。

つまんね

>>38
申し訳ないです……精進します

勝利に飢えた狼可愛い足柄さんが不器用可愛い


>>40
つまんねニキはbotだから気にすんな

>>41
ありがとうございます
ですが、本当につまらないと思われた方も遠慮なく書きこんでいただけると幸いです

理由も添えて頂ければ、今後の参考にしますので……

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