「○○ちゃん、オーディション通ったんですね！おめでとうございます！」
私がこうして友達を祝うのは何回目でしょうか。養成所の同期はみんなアイドルになるか、諦めて養成所を辞めてしまいました。
それでも…わたしは諦めません！
かわいい衣装に、ガラスの靴、まるで魔法に掛けられたお姫様みたいな、キラキラした世界。みんなに笑顔をとどけられるような、そんなアイドルになりたいから…
島村卯月、頑張ります！

「凛ちゃん、CDデビューおめでとうございます！」
養成所での努力がやっと報われて、私もオーディションに合格、346プロにアイドルとして所属できることになりました。
でも、まだまだ駆け出し、これからもっと頑張っていかないといけません。
346プロに所属してからも、おめでとうを言う日々は続きました。
同期で入った凛ちゃんが先にCDデビューを決めたから、今日は未央ちゃんと3人でお祝いです！私も、早くCDデビューできるようになりたいです。
レッスンも営業も、頑張ります！

「せーの」
「凛ちゃん（しぶりん）、シンデレラガールおめでとう！」
シンデレラガール総選挙、それは、346プロの所属アイドルの中で人気投票をして、真のシンデレラガールを決める総選挙。
その中で1位だったアイドルに贈られる称号、シンデレラガール。第1回は愛梨ちゃん、第2回は蘭子ちゃんが受賞しています。
そして今回は......
「いやー、シンデレラガールとは、しぶりんもなかなかやりますな～」
「も、もう、未央！恥ずかしいからやめてよ！」
凛ちゃんがシンデレラガールに選ばれたんです！
同期で346プロに入って、レッスンに営業に、ニュージェネの仲間として、友達として一緒に頑張ってきた凛ちゃんがシンデレラガールに選ばれて、私もすごく嬉しいです。
「にしても、凛ちゃんすごいです！シンデレラガールだなんて…ガラスの靴もすっごく似合ってましたよ！」
「もう、卯月まで…でも、こんなお祝いしてくれてありがと。それに、卯月も未央も、順位が上がったし、また一緒にCDの仕事ができるし、私はそっちのほうが嬉しいかな」
「凛ちゃん…」
「しぶりん…」
そうなんです！私も4位、未央ちゃんも5位にランクインしたので、9位までのみんなで歌うCDに入ることができるんです！
久しぶりに3人一緒にお仕事ができるので、今から楽しみです。
それにしても
「ガラスの靴…かぁ…」
私もいつかはガラスの靴を履けるようになるんでしょうか。

「6位、ですか…。」
プロデューサーさんから、第4回シンデレラガールズ総選挙の結果が発表されました。
前回よりも激戦で、それでも前回とほとんど同じ順位だったのは、悪くない結果なのかもしれません。でも…
「ガラスの靴、履きたかったな…」
やっぱり私だって、ガラスの靴に憧れはあります。前の凛ちゃんみたいに、キラキラした衣装を着て、ガラスの靴を履いて撮影とかもしてみたいです。
「私には、1位になることはできないんでしょうか…」
ちょっと、自身をなくしてしまいそうです。
「そんなことは絶対ないぞ、卯月。今回は運が悪かっただけさ。
卯月の笑顔は世界一だと俺は思うし、誰よりも努力しているのもみんな知ってる。
だから卯月が一番になれないなんてことは絶対にないんだ。だから一緒に次頑張ろうな？」
プロデューサーさんが慰めてくれました。プロデューサーさんにそう言ってもらえると、なんだか本当にできる気がします。
「はい！島村卯月、頑張ります！」

「お疲れ様、卯月。急で申し訳ないんだけど、確認したいことがあるから、事務所まで戻ってきてくれないか？」
お仕事のあとにプロデューサーさんからかかってきた電話。
事務所は好きですし、ここからそんなに遠くないから大丈夫なんですけど
「確認したいことって何ですか？」
「いや、電話で話すのはちょっとあれだから、その…とりあえず事務所まで来てくれ」
なんだか、プロデューサーさんらしくありません。いつもはもっとはっきり話すのに、どうしたんでしょう？
まさか私、何か大きな失敗をしたりしてませんよね…
不安に思いながら事務所のドアをあけると…
パンッ！
この音は、クラッカー？
「せーの」
『卯月（ちゃん）誕生日おめでとう！！』
えっと、誕生日おめでとうって...つまり...そういうことですよね？
「みんなぁ～！ありがとうございます！」
ちょっと泣きそうになっちゃいました。
「卯月、誕生日おめでとう。これからも、その笑顔をいかして、いろんなところでがんばっていこうな。」
「はい！それにしても、今朝あったときも言われませんでしたし、プロデューサーさんには忘れられたと思ってましたよ。」
「はは、ごめんごめん。みんなにサプライズにしたいって言われてたからな。申し訳なかったよ。」
でも、ちゃんとみんな覚えていてくれてて嬉しかったです。
「ほらほら、堅い話はもうなしにして、今はパーティを楽しもうよ！」
ふふ、未央ちゃんは相変わらずですね。

そうしてパーティをめいっぱい楽しんだあと、プロデューサーさんが声を掛けてくれました。
「どうだった？卯月」
「すっごく楽しかったです！でも…」
「養成所時代も、346プロに入ってからも、周りのみんなにおめでとうって言ってばっかりだったから、おめでとうって言われるのはちょっと不思議な感じです。」
「そうか。卯月は養成所時代が長かったもんな。でも、来月には、卯月もいろんな人におめでとうって言われるようになってるかもしれない…いや、絶対そうさせてやる。」
「プロデューサーさん、それって」
「ああ、そうだ、シンデレラガールズ総選挙だ」
そうです。今はシンデレラガールズ総選挙の真っ最中、こないだ中間発表があって…
「中間発表で1位だったんだ。このままの勢いで絶対にシンデレラガールをとろうな」

そうなんです。中間発表とはいえ、私が一番だったんです！夢にまで見たガラスの靴に、あとちょっと。だから…
「はい！一番の笑顔をめざして……島村卯月、頑張ります！」