【グラブル】グラン「空の見る夢」 (109)

グラン「う~ん……」

ジータ「あれ? グラン?」ヒョコッ

グラン「ジータ。稽古終わり?」

ジータ「うん、さっき終わったとこ。こんなとこで何してるの?」

グラン「えっと……本を読んでる」

ジータ「わ、分厚い」

グラン「騎空挺の奥に小さな書庫があってさ。たまたま僕でも読めそうな本があったから持ってきたんだけど……」

ジータ「なんだか悩ましい表情をしてたね?」

グラン「うん……思ってたより難しいんだ」

ジータ「そっか~……でも、見る感じほんとに難しそうだからね~」

グラン「大辞書の名に間違いはなかったよ……ジータ、読んでみる?」

ジータ「えっ、いいの?」

グラン「もちろん」


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グラン「ここの記述なんだけど」バサッ

ジータ「うん。……うわ、なになに~……あはは、ちんぷんかんぷん……」

グラン「うん……僕もほとんど分からない。多分、書いてあるのは毒を操る魔法のこと。でも仕組みが理解できないんだ」

ジータ「そうなんだ。でもでも、この前氷魔法を使えるようになったじゃない?」

グラン「あー……うん、まだ不慣れだけどね」

ジータ「それだけでも凄いよ、ちょっと前まで炎をぼっと出すことしか出来なかったのに。グランは才能あるって」

グラン「やめてよ……ジータだって、カタリナさんの稽古に付いていけるようになったらしいじゃないか。カタリナさん褒めてたよ」

ジータ「えー? 私なんてまだまだだよ」

グラン「そんなことないって」

ガチャ

カタリナ「二人とも、まだいたのか。もう寝る時間だぞ」

グラン「あ、カタリナさん。すみません、ちょっと本を読んでて」

カタリナ「む……勤勉なのはいいが、体調には気をつけるんだぞ。ジータも、寝る前にマッサージをしっかりな」

ジータ「はーい。いこっか、グラン」

グラン「うん。カタリナさん、おやすみなさい」

ジータ「おやすみなさーい」

カタリナ「ああ、お休み」

スタスタ ガチャ

カタリナ「……」

スタスタ

ジータ「……カタリナさん、ちょっと怖かったね」

グラン「普段から厳しくしてほしいって言ったのは僕たちだよ」

ジータ「うん……でも本当はすっごく優しい人なんだよ?」

グラン「知ってるよ。ちゃんと僕たちのことを考えてくれてる」

ジータ「憧れちゃうなー。強いし、優しいし、かっこいいし」

グラン「……ジータだってなれるさ」

ジータ「グランだってなれるよ!」

グラン「そうかな……」

ジータ「そうだよ!」

グラン「……そっか。僕たち、もっと強くならなきゃな」

ジータ「うん!」

スタスタ

ラカム「……」

ジータ「じゃ、おやすみグラン。また明日」

グラン「おやすみ」

ガチャリ

ビィ「グラン! 待ちくたびれたぜ!」

グラン「ビィ? まだ寝てなかったの?」

ビィ「ほんとは眠いんだぜ? けどよぉ……まだ今日の分のリンゴ食べてないんだ……」

グラン「あー……」

ビィ「な、早く出してくれよっ! あれ食べないとぐっすり眠れないぜ!」

グラン「ごめんな、ビィ。今日は無いよ」

ビィ「んなっ!? そりゃどういうことだ!?」

グラン「丁度リンゴの備蓄を切らしちゃって……もうすぐ次の島に着くからさ」

ビィ「そんなぁ……」

グラン「そんな顔するなって。ほら、寝れば嫌なことも忘れるよ」

ビィ「んなわけあるかぁ!」ムキー

ガチャリ

ルリア「あ、ジータ! お帰りなさい!」

ジータ「ただいま~。ルリア、眠くない?」

ルリア「ちょっとだけ……でもジータが帰ってくるの、待ってました!」

ジータ「あらら、待たせちゃってごめんね? すぐ着替えるから、そしたら寝よっか」

ルリア「はい! お布団は温めておきました!」

ジータ「いやいや別のベッドでしょ……ルリアさっきまで寝てたの?」

ルリア「はう!? そ、そんなことないですよ!?」

ジータ「分かりやすいな~」

ルリア「じ、ジータほどじゃないです!」

ジータ「どういう意味かな~それ~」

……

ビィ「……」スヤスヤ

ルリア「……」スヤスヤ

グラン「…………」

ジータ「…………」

グラン(この頃)

ジータ(最近)

(夢を見る)

グラン(島にルリアたちがやってきた日)

ジータ(森の中で、帝国軍と出会った日)

(そして)

グラン(何も出来ずに、心臓を貫かれた時のこと)

ジータ(彼の胸を牙が貫くのを、何も出来ずに見ていた時のこと)

グラン(僕は…いやルリアは、僕と命を共有することになってしまった)

グラン(僕が弱かったから。ルリア、ジータ、ビィ……みんなに迷惑をかけた)

ジータ(あの時私が動けていれば。グランは死ななかった)

ジータ(私が弱かったから。みんな、余計な重荷を背負うことになってしまった)

グラン(……そんな、夢を)

ジータ(……見てる)

グラン「……つよく……」

ジータ「……なりたいなぁ……」

……

ラカム「……というわけで、第十回大人会議~」

オイゲン「おいおいおい……どういうわけなんだよ」

カタリナ「今回の議題は、グランとジータについてだ」

オイゲン「そりゃ前回もそうだったろお二人さんよ。と言うか前回いつやったか覚えてるか?」

カタリナ「一昨日だろう?」

オイゲン「そうだよ一昨日だよ。幾らなんでもスパンが短すぎねぇか……」

ラカム「おっさん、分かってねぇな。この会議は2,3日に一回行われるのが常なんだぜ?」

オイゲン「……そりゃあの二人が心配なのは分かる。分かるけどよぉ……」

オイゲン「まだ十五か、そこらだろ。俺らがそんなしょっちゅう口出して良い年じゃあ、無いと思うんだがな」

カタリナ「無論だ。彼らの成長の妨げになるようなことはしないさ。だが……」

カタリナ「例えば悩みや疑問があるのなら、それを率先して助けてやるのは大人の仕事ではないか?」

オイゲン「……二人が何か悩んでる、と?」

ラカム「あくまで推測だが。最近ちぃっと、気を張り過ぎなように見えてな」

オイゲン「ふむ……そうなのか?」

カタリナ「私もそう思う。二人とも真面目なのは元からだろうが……」

カタリナ「強くなろうと言う気持ちが、先行しすぎているような気がする」

オイゲン「強く、ねぇ? ジータちゃんはともかく、グランは男だし分かる気はするぜ?」

カタリナ「あの二人がどうして我々と共にいるか……話はしたよな?」

オイゲン「あぁ……そうだな……つまり、あれか。責任を感じちゃってるわけか?」

ラカム「そう気負いすんなっつってやりたいんだがなぁ。特にグランは、ルリアに助けてもらってんだろ? そのことをずっと気にしてるみたいだぜ」

カタリナ「ジータもあの時近くにいたんだ。グランが、ヒドラの牙に刺された時の顔は……今でも思い出せるよ」

オイゲン「なるほど、な。下手になにか言っても逆効果だな……となると……」

オイゲン「やっぱり見守るしかねぇんじゃねぇか」

カタリナ「オイゲン……それでは会議の意味が無いぞ」

オイゲン「そうかぁ? 俺はこれが正解だと思うがね。偉そうに講釈垂れるよりは、遠からず近からず距離をとって成長を見守ってやる……」

オイゲン「これも立派な大人の仕事じゃねぇか?」

カタリナ「ふむ……」

ラカム「……難しいんだよなぁ~。もし見てないところで無茶したらよ……」

オイゲン「ガハハ、完全に保護者のそれじゃねぇか」

ラカム「う、うるせーなっ。とにかく心配なんだよっ、あの二人は!」

オイゲン「まぁその気持も分かるさ……だからよ、俺達もしっかりしねぇとな」

オイゲン「もしあの子たちが無茶をしたら、それを受け止められるくらいの度量を持とうぜ」

カタリナ「……オイゲンの言う通りだな。我々が、二人の示しとなろう」

カタリナ「よしっ。そうと決まれば明日の稽古も気合を入れねばな!」

オイゲン「おいおい、気ィ入れすぎて怪我させんなよ?」

ラカム「明日はグランを飯に誘ってみるかねぇ……ふぁ、ねみぃ。これで解散にするか?」

カタリナ「そうしよう。二人ともありがとう。第十回大人会議、終了だ」

……甲板にて

グラン「……」テクテク

ペトラ「……」ジッ

グラン「……」

ペトラ「…………ふぅ。……あの、団長さん? いつからそこに?」

グラン「今来たところ。集中してるみたいだったから、終わるまで待ってようかなって」

ペトラ「す、すみません……私ったら」

グラン「謝らなくていいよ。天候を読んでたんだよね?」

ペトラ「はい。精霊は、明後日まで空に陰りなしと」

グラン「そっか、それなら問題なく島に着きそうだね」

ペトラ「はい、安心しました」

グラン「……ペトラ、ちょっと聞きたいんだけど」

ペトラ「なんでしょうか?」

グラン「ペトラは風祷士で、風の精霊の声を聞いて、戦いの時も風の魔法を使うよね」

ペトラ「はい、そうですね」

グラン「その……何かコツとかあるのかな。ペトラの魔法はいつも安定しているように見えるんだ」

ペトラ「コツ……ですか?」

グラン「うん、あればでいいんだけど」

ペトラ「えっと……そうですね……私は本物の魔法使いではないので、大それたことは言えませんが」

ペトラ「私はいつも、自然の声を聞くようにしています」

グラン「風の精霊のこと?」

ペトラ「それもありますが、自然そのものです。森や、山、海……自然は私達と同じように生きていて、魔力を持っています」

ペトラ「私は彼らの声を聞いて、その力の一部を借りているんです」

グラン(……なるほど。自然の声なんて気にしたこともなかった)

ペトラ「……あ、あの団長さん?」

グラン「凄いなペトラは」

ペトラ「え、ええっ!?」

グラン「僕はまだまだだなって。ありがとう、参考になったよ」

ペトラ「そ、そんな私なんて……団長さんの方が凄いと思います……」

グラン「そんなことないよ。ペトラの魔法にはいつも助けられてる」

ペトラ「うぅ、えっと……その……」

グラン「この前怪我した時だって――」

ペトラ「だ、団長さんっ!」

グラン「えっ、な、なに?」

ペトラ「昼食を食べに行きませんか!?」

グラン「え、昼食……あ、もうそんな時間か」

ペトラ「私、風読みでお腹すいちゃって……」

グラン「そうなの? ごめん、話し込んじゃって」

ペトラ「い、いえいいんです! さあ行きましょう!」スタスタ

グラン「あ、うん……引っ張らなくても行くって」テクテク

……稽古場にて

カタリナ「――これより模擬戦を行う。両者、前へ」

ジータ「……」

ファラ「……」

カタリナ「使うのは木刀と、一部の体術のみ。先に相手の尻をつかせた者を勝者とする。いいな?」

ジータ「はいっ!」

ファラ「はいっす! 負けないっすよ!」

ジータ「こっちだって!」

カタリナ「静かに!」

ジータファラ「…………」

カタリナ「よろしい。模擬戦とは言え、真剣に臨むように」

カタリナ「では……始め!」

ジータ「……行きます!」ダッシュ

ファラ「……!」カマエ

……

カタリナ「…………」

ジータ「はぁ……はぁ……」ギュッ

ファラ「……ふーっ……」グッ

ジータ(さすが、元帝国兵だな~……隙がまったく無い!)

ジータ(スピードでは勝ってるけど、パワーも体力も全然敵わない)

ジータ(このままやっててもスタミナ負けするのは目に見えてるよね)

ジータ(だったら……)ダッシュ

ファラ「!」

ジータ(どうにか隙を作るしか無い!)ブンッ

ファラ(馬鹿正直な剣戟っスね!)ガキンッ!

ジータ(ここで……軸を横にずらす!)スルッ

ファラ「ッ!」グイッ

ジータ(今! 相手の集中が向いてるこの一瞬!)

ジータ「足払いを――えっ?」ズルッ

ベタッ

カタリナ「勝負あり! 勝者、ファラ!」

ファラ「ふーっ! やったっスー!」ピョン

ジータ「……あ、あれ~?」

ジータ「ば……バレバレだった~!?」

ファラ「そりゃ読めるっすよ! ジータの搦手はどれも分かりやすすぎるっす!」

ジータ「そ、そうなの~……?」

カタリナ「ファラの言う通りだ。搦手にも種類があるが、単独ではほとんど効果を為さないものばかりだ」

カタリナ「裏の裏の裏を読む。数手先まで考えて、初めて成功するんだぞ」

ジータ「うーん……私、まだ弱いからどうしても隙を突いた戦い方になっちゃって……」

ファラ「でも、ジータの剣技の安定感は凄いっすよ? 攻めに回れなかったっす!」

ジータ「そ、そうなんだ? 自分じゃ分からないなぁ……」

カタリナ「稽古を始めて日が浅いんだ。これから自分の得意とする戦い方を見つけていけばいい」

カタリナ「ま、その初心者に防戦一方だったファラも、どうかと思うがな?」

ファラ「うっ……ち、違うっす、後の先の実践っす!」

カタリナ「意味分からないで使ってるだろ……」

カタリナ「さて、午前の稽古はここまでにしよう。二人とも、昼食にしないか?」

ファラ「おーっ! 賛成っす!」

ジータ「私もお腹ぺこぺこ……」

カタリナ「よし、では食堂に行こうか」

ファラ「はいっす! 今日のご飯は何かなーっ!」トタトタ

ジータ「げ、元気ですね~ファラちゃん……」

カタリナ「軍にいた頃から、体力は図抜けていたからな。ジータも負けてられないぞ」

ジータ「はいっ。……よしっ、たくさん食べて午後に備えないと!」トテテテ

カタリナ「……ふふっ」

カタリナ「……成長を見守る、か。オイゲンは正しかったな……」

テクテク

初期お世話になった組をメインにしつつ のんびり書いていきます
基本持っているキャラしか出さない予定なのであんまりSSRキャラは登場できない思います…さぷぅ…

……食堂

グラン「ジータ、お疲れ様」

ジータ「あっ、グラン~。お昼これから?」

グラン「うん。ペトラがお腹すいたって」

ペトラ「だ、団長さん!」

ジータ「あはは、そうなんだ~」

ファラ「今日のご飯! うまいっすよ! 何杯でも行けるっす!」モガモガ

カタリナ「食べながら喋るんじゃない」

スーテラ「団長殿! ペトラ殿! 昼食にしますか?」

グラン「スーテラ。今日の当番だったね」

スーテラ「はい! 今日のメニューは私の故郷でよく作っていたご飯ですよ!」

グラン「楽しみ。よろしくね」

スーテラ「お任せください! すぐに用意します!」ダッ

シュギョウノセイカオミセシマス! ハァァーッ!

グラン「……なんかドジりそうで怖いなぁ」

ペトラ「だ、大丈夫ですよ……」

ジータ「スーテラが当番の日は人気高いよね~」

グラン「そうだね。一人旅の成果だって言ってたな」

ファラ「この味の出し方とか! 私も見習うとこは多いっす!」

カタリナ「ふむ……私も当番制に組み込んでもらえれば、皆に料理を振る舞えるのだが」

ファラ「えっ」

カタリナ「なんだその反応は。そもそもどうして私は当番制に入っていないんだ?」

ファラ「え、え~……えっとっすね~……それは……」

ジータ「か、カタリナさんには稽古つけてもらってるから! 当番から外しておいたんだよ!」

カタリナ「そうなのか。当番表を作ったのはジータだったか?」

ジータ「う、うん、それが私の仕事だから。カタリナさんにはいつもお世話になってるから、料理の仕事は私たちに任せて。ね?」

カタリナ「ふむ……そう言われてしまっては、しょうがないな……」

ファラ(た、助かったっす~!)

ジータ(な、なんとか納得してもらえたみたいだね~)

グラン「仲良いね……あの三人」

ペトラ「ふふ……そうですね」

グラン「……」

グラン「そうだ、先にトイレ済ませてくるよ。座ってて」

ジータ「ペトラちゃん、こっちこっち~」

ペトラ「えっ? あ、はいっ!」

ファラ「ペトラは占いが出来るって聞いたっすけど」

ペトラ「占い……ですか、似たようなことは出来ますよ」

ファラ「すっごいっす! ぜひ占ってほしいっす!」

ペトラ「あんまり当てにしないでくださいね?」

ファラ「だいじょぶっす! こーゆーのは、見てもらうことが一番大事っすから!」

ペトラ「ふふっ、そうなんですか?」

ジータ「私も見てもらっていい~?」

ペトラ「ええ、もちろんですよ」

グラン「……ふぅ」

スーテラ「お待たせしましたっ! 故郷料理、二人前……あれ? 団長殿は?」

グラン「ごめんごめん、いるよ」テクテク

グラン「いただきます」

スーテラ「はい、召し上がれ!」

グラン「もぐ……ん、美味しいね」

スーテラ「ありがとうございますっ! 腕によりをかけて作りました!」

グラン「スーテラも休憩?」

スーテラ「はい、昼食は全員食べていただいたので。私もお昼にしようかと!」

グラン「お疲れ様。いつも助かってるよ」

スーテラ「とんでもないです! 私は、私の仕事をしてるだけで!」

スーテラ「それにしても、団長殿……」

グラン「ん?」

ジータ「」ワイワイ

ファラ「」ワイワイ

男子1 女子5

スーテラ「……隅に置けませんね!」

グラン「ごめん何の話?」

カタリナ「グラン、ちょっといいか」

グラン「カタリナさん? どうしました?」

カタリナ「午後のことなんだが、下層の空間の片付けをしようと思ってる」

グラン「まだ手付かずのところですね。分かりました、僕も行きます」

カタリナ「ありがとう」

ファラ「ってことは、午後の稽古は無しっすか?」ワクワク

カタリナ「何を言ってるんだ。お前も手伝うんだぞ」

ファラ「えーっ!」

ジータ「私もグランの手伝いするね」

グラン「ありがと。スーテラは、僕たちが片付けてる間に夕飯の準備をお願い」

スーテラ「お任せください! ……あ、そうだペトラ殿!」

ペトラ「はいっ?」

スーテラ「よろしければ……少し調理に協力していただけないでしょうか? ペトラ殿の料理を参考にしたくてですね……」

ペトラ「えっ、えー! 私なんかの料理を!?」

グラン「ペトラの料理はスーテラに負けてないよ」

ジータ「うんうん! この騎空団は料理が上手い人が多いからいいよね~」

ファラ「んふー」

カタリナ「そのだらしない顔はやめろ、ファラ」

スーテラ「皆様もそう言ってることですし……どうか一つ!」

ペトラ「わ、分かりました……私なんかでよければ、お手伝いさせていただきます……」

スーテラ「ありがとうございますっ! ペトラ殿!!」ピコピコ!

ペトラ「わっ、あっ、はい……」

カタリナ「それじゃあ準備しにいこうか。各自動きやすい服に着替えて下層広間に集合で」

ファラ「はいっす~」

カタリナ「ファラ、返事は元気に」

ファラ「っす!!」ビシッ

カタリナ「よし。スーテラ、ごちそうさま」

スーテラ「お粗末さまでした! お掃除頑張ってください!」ピコピコ!

ペトラ「お、美味しいご飯を作って待ってますので」

ジータ「それだけでやる気出ちゃうな~。いこっか、グラン」

グラン「うん……君は着替えてからだよね?」

ジータ「このままで平気だよ~」

グラン「駄目だって、稽古着でしょ。カタリナさんに怒られるよ」

ジータ「む~」

カタリナ「グランは……その格好で問題無さそうだな」

グラン「ええ、ちょっと上着を脱ぐくらいで」

カタリナ「それなら、私達が着替えてる間に手が空いてそうな人を呼んできてくれないか?」

グラン「あ、はい。……ラカムは操縦だろうから、他には……」

グラン「ちょっと船を見て回ってきます」

カタリナ「ありがとう、頼んだ」

ジータ「また後でね~」スタスタ

グラン「うん」

グラン「……んー、甲板に出ればいるかな?」テクテク

……甲板

グラン「……」キョロキョロ

ザザ「……」

グラン「やあ」テクテク

ザザ「……団長か。どうかしたか?」

グラン「船の下層の片付けをしたいんだ。悪いけど手伝ってくれないかな」

ザザ「承知した。私もゆこう」

グラン「ありがとう。……空の下を見てたの?」

ザザ「……ああ。今日は良い天気だ」

ザザ「空の底まで……見渡せるようだ」

グラン「……」

ザザ「……すまない」

グラン「えっ? 何が?」

ザザ「暗い話はしたくないだろう」

グラン「気にしてないよ」

ザザ「そうか……」

グラン「うん。行こうか?」

ザザ「分かった」

テクテク

ザザ「団長。一つ聞きたいことがある」

グラン「ん?」

ザザ「君はまだ若いだろう。どうして騎空士になる道を選んだのだ?」

グラン「んっと……父さんのことは話してなかったっけ」

ザザ「団長の父上か。聞いていないな……」

グラン「そっか。僕が騎空士になりたかったのは父さんの影響なんだ」

グラン「前人未到のイスタルシアに辿り着いた、僕が知る限り唯一の騎空士」

グラン「それに追いつきたい。ずっと思ってた」

ザザ「……成程」

グラン「……まあ、それとは別に、目標もある」

ザザ「……?」

グラン「僕は強くなりたい」

グラン「……僕はまだ弱いからさ。この旅で経験を積みたいんだ。ザザのように、みんなを護れるくらいに」

グラン「故郷で色々あって、今ここにいるけど……それでも間違ってなかったと思ってるよ」

ザザ「……」

グラン「……なんかずれちゃったな。ごめん」

ザザ「いや、いい。団長の想いは分かった。ありがとう」

ザザ「共に、高みを目指そう。……護るために」

グラン「うん。いつかザザを追い越すくらい、頑張るよ」

ザザ「……ふっ。愉しみだ」

……グランサイファー下層

オイゲン「よぉ~来たか!」

グラン「……大丈夫なの?」

オイゲン「おいおい何の心配だよ、腰か? 俺ァこれでも現役だぜ?」

グラン「そう言ってこの前は暫く寝たきりだったじゃない……」

オイゲン「ばっ、ありゃ想定外だっただけだ! あんな重いもん爺ィに持たせる奴があるか?」

グラン「言ってることが矛盾してるような……」

ザザ「……この三人、か?」

グラン「いや、もうすぐカタリナさんたちが……」

カタリナ「ああ、待たせたな」

グラン「丁度よかった」

ファラ「ザザー! 来てくれたんすね!」

ザザ「……当然だ」

ファラ「これで百人力っすよ! ぱっぱと終わらせちゃうっすよー!」

ジータ「ファラちゃん、着替えてる時から夕ご飯の話してたんだよ」

グラン「……想像できるよ」

カタリナ「さて……分担して事に当たろう。グラン、私が指揮をとっても……?」

グラン「勿論です」

カタリナ「ありがとう。では、グランとジータは倉庫の片付けを頼む。この広間を右に出た先だ。量は多いだろうが、あまり重いゴミは無いはずだ」

グラン「分かりました」

ジータ「はーい」

カタリナ「次にオイゲンとザザで左の区画を。船員室が幾つか並んでいるはずだ。掃除は後にして、まず中の物を外に運びだして欲しい」

ザザ「承知した」

オイゲン「了解っと」

カタリナ「そして私とファラが……それぞれの区画から出た物をここに運んでくる。バケツリレー方式でやっていこうと思う」

ファラ「はいっす! じゃんじゃん運ぶっすよ!」

カタリナ「今、午後二時だから……そうだな、四時頃を目安に頑張ろう。何か質問は?」

カタリナ「……よし、じゃあ始めようか!」

「おーっ!」

……

ジータ「こっちまで来るの初めてかも」

グラン「僕も、前回の片付けの時は書庫の方だけだったから。あ、倉庫ってアレかな?」

ジータ「みたいだね~。横にずらすタイプの扉だ。開くかな?」

グラン「出鼻を挫かれたくはないね」

ギィィ

グラン「大丈夫だ」

ジータ「よかった。おじゃましまーす」

グラン「……ごほっ、きつい」

ジータ「んんっ、古い木の匂い……うひゃあ、散らかってるねー」

グラン「これは時間かかりそうだな……一つ一つやってこう」

ジータ「うんっ」

グラン「これと、これ。軽いから纏めて持ってって」

ジータ「分かったー」トテトテ

ファラ「どもっす! 集荷に来ましたっすよー」

ジータ「ご苦労様~。はい、お願い」

ファラ「らじゃっす! ……ん? 本っすかねこれ?」

ジータ「ん~? そうなの? 表紙は汚れててわかんないけど……」

ピラッ

ファラジータ「!!!!」

グラン「……ジータ遅いなぁ」テクテク

グラン「ジータ? テキパキやらないと終わらな……」

ファラジータ「」バッ!!

グラン「……二人ともどうしたの?」

ファラ「なっ、なんでもないっす!! ね、ジータ!!」カァー

ジータ「うんっ、なんでもない! なんでもないから!」アセアセ

グラン「……変な物でもあったの?」

ファラ「うひっ、じゃ、じゃあ私はこれ運ぶんでっ! またくるっす!!」トコココー

グラン「……ジータ?」

ジータ「あ、あはは……大丈夫、なんでもないから」

グラン「へんなの……」

……

グラン「はい」

ジータ「よいしょ」

ファラ「運ぶっす!」トテテテー

グラン「はい。……こうしてるとさ」

ジータ「んしょ。なーに?」

グラン「これもお願い。昔、実家の倉庫の掃除をした時のこと思い出すなって」

ジータ「あったね~そんなこと。色々出てきたよね」

グラン「父さんが残したものばかりだったからね……」

ジータ「あれ、まだ残ってる? キラキラした砂が詰まった瓶」

グラン「あぁ、僕の部屋に置いてあるよ」

ジータ「また見たいなぁ。綺麗だったよね」

グラン「僕は見慣れちゃったけどね。……余裕ができたら、一度ザンクティンゼルに戻りたいね」

ジータ「……うん、そうだね」

グラン「はいっ」

ジータ「んっ。ちょっと外まで運んでくるね」

グラン「よろしく」

ジータ「よっとっと……」スタスタ

ギィ…グラッ!

グラン「うわっ!?」

ジータ「きゃあっ!?」

バタンッ!

ジータ「ぐ、グランッ!? 大丈夫!?」

グラン「問題ない! 今の揺れは……ラカムがドジッたのかな?」

ジータ「そうかも……ちょっと、扉開けるね」

グラン「うん、何も見えないや。お願い」

ジータ「ん……」ギシッ

ギギギ…

ジータ「……あれ? 開かない……」グッ グッ!

グラン「え? 開かないの?」

ジータ「うんっ……なんか、引っかかってて……!」

グラン「ごめん、こっちは暗くて動けない……」

ジータ「ふんっ……んんん~!」

グラン「む、無茶しないでよ?」

ジータ「だって! グラン外出れないじゃない!」

グラン「それはそうだけど……」

ファラ「どうしたんすか?」ヒョコッ

ジータ「ファラちゃんー! グランが!」

ファラ「だんちょがどうしたんすか!?」

ジータ「さっき揺れた時に、扉が開かなくなっちゃって……」

ファラ「……えっと、無事なんすか?」

グラン「無事だよー。暗いから動けないだけ」

ファラ「あぁ、だんちょ。……ふんっ、んっ!」ギシッ ギシッ!

ファラ「確かにこれは堅いっすねぇ……」

ジータ「どうしよっか……カタリナさん呼んでくる?」

ファラ「そっすね、もしくはザザにお願いするか……っすね。それにしても」

ジータ「?」

ファラ「古い倉庫……トラブル……閉じ込められる……」

ジータ「??」

ファラ「……そこはジータも一緒に閉じ込められるところでしょ!?」

ジータ「えぇ!?」

ここまでです。また明日

……

ザザ「……フンッ!!」ゴッ!

ガッ! ガラララ!

ファラ「おおーっ! さすがっす!」パチパチ

グラン「助かったよ……」

オイゲン「イイ腕っ節だ。頼りになるねぇ~」

ザザ「……怪我は無いか」

グラン「大丈夫だよ。ちょっと明かりに目が慣れてないだけ」ショボショボ

ジータ「少し休憩する?」

グラン「平気。すぐ慣れる。みなさん迷惑おかけしました」

カタリナ「無事でよかった。また揺れるかもしれない、入り口の安全は確保するようにな?」

グラン「はい……気をつけます」

ジータ「私も、先に扉の近くのものから片付けるね?」

ファラ「じゃ、それ運ぶっす! 先輩、片付け再開っす!」

カタリナ「うむ。我々も左の区画に戻ろうか」

   /::::::::::::::::::::::::::\~プーン

  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\~プーン  >>1
  |:::::::::::::;;;;;;|_|_|_|_|~プーン
  |;;;;;;;;;;ノ∪  \,) ,,/ ヽ~
  |::( 6∪ ー─◎─◎ )~        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  |ノ  (∵∴ ( o o)∴)~      <このSSを書けば賞賛の嵐だお。皆見てくれるお。レスももらえるお。
  | ∪< ∵∵   3 ∵> ムッキー!    \_____________________
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|  ,,ノ(、_, )ヽ、,   :::| このスレを立てたときの>>1
|   ト‐=‐ァ'   .:::|
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| (●), 、 (●)、 | このスレの自分以外のレスを読んだときの>>1
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
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/`ー `ニニ´一''´ \

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|   ノ   ヽ、   :| このスレを閉じたときの>>1
| (●), 、 (●)、.:::|

\ ,,ノ(、_, )ヽ、,, ::/
/`ー `ニニ´一''´ \

ジータ「グラン、ごめんね?」

グラン「ん? さっきのこと?」

ジータ「うん。私が気をつけるべきだった」

グラン「いいよいいよ、何も無かったんだ。僕もちゃんと明かりを……」スッ

ボワ

グラン「つけとくべきだった」

ジータ「……なんで閉じ込められる時につけなかったの?」

グラン「えーと……」

グラン「……ジータ。遅れを取り戻そう」

ジータ「あ、そうだね。いそごっか」

グラン「走って転ばないようにね」

ジータ「そんな頼りないかな~」

……それから

グラン「ふー、疲れた……」

ジータ「腕がへとへと~」

ファラ「お疲れ様っす! これで全部っすかー?」

グラン「うん、さすがに本棚とかは動かせないな」

ファラ「分かったっす! 向こうも終わったみたいっす。早く戻るっすよ!」テテテ

ジータ「元気だな~……」

グラン「夕飯効果は凄いなぁ」

ジータ「元の体力もあると思う……」

カタリナ「ご苦労様。大方の物はこの広間に運び出せたようだな」

グラン「壮観ですね」

ジータ「こう見るとほんとにいっぱいあるね~」

オイゲン「なぁ、ザザさんよぉ……ちっと腰の辺りを叩いてくれねぇか……軽く、軽くな」ズキズキ

ザザ「……ぬんっ」

オイゲン「うォッ、あ~ぁぁ……効くなぁ~~……」ビクビク

グラン「……言わんこっちゃない」

カタリナ「今日の作業はここまでにしよう。明日、改めてゴミの分別と部屋の掃除を行おう」

ジータ「は~い。そろそろ上の階の部屋もいっぱいになってきましたもんね」

カタリナ「この先何人騎空団に加わるかは分からないが……用意しておいて損は無いだろうな」

ファラ「じゃ、食堂に行くっす! 夕食が待ってるっすよー!」ワクワク

グラン「まだ四時だよ。流石に早いって」

ゾロゾロ

ジータ「……」

シーン

ジータ「……」キョロキョロ

ジータ「……」ガサゴソ

ファラ「……ジ~タ~? 何してるっすか~?」

ジータ「ぴっ!? ふぁ、ファラちゃん!?」ビクッ

ファラ「付いて来てないな~って思ったんで、戻ってきたっす」

ファラ「で、何を探してるっす?」

ジータ「え、えっと、あの……さ、さっき! 指輪、落としちゃったみたいで!」アセアセ

ファラ「ジータは指輪なんてしなかったはずっす!」

ジータ「えぇあぁそうだったかな、えっと~……!」

ファラ「……コレっすか?」ヒョイ

ジータ「!!!!」

ファラ「分かりやすいっすね……」

ファラ「こんなのがいいんすか、ジータ~? 部屋に戻って一人で読むつもりだったんすか?」

ファラ「へへ、ジータも意外とむっつりっすね~」ニヤニヤ

ジータ「そっ、そんなんじゃないよ!! 不純物は率先して捨てなきゃ! でしょ!」

ファラ「だからって誰にも言わずに回収することないと思うっすけど~」

ジータ「……と言うか、なんでファラちゃんが持ってるの!?」

ファラ「え」

ジータ「誰にも言わずに~、って言ってたけど! ファラちゃんこそカタリナさんの許可取ったの~!?」

ファラ「なっ、ちょっ……と、取ったっすよ!!」カァー

ジータ「ほんと!?」

ファラ「ほんとっす!!」

ジータ「聞いてきていい!?」

ファラ「んなっ!? や、やめるっす!」

ジータ「なんでよっ!」

ファラ「なんでもっすー!!」


グラン(……二人とも遅いなぁ……?)

   /::::::::::::::::::::::::::\~プーン

  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\~プーン  >>1
  |:::::::::::::;;;;;;|_|_|_|_|~プーン
  |;;;;;;;;;;ノ∪  \,) ,,/ ヽ~
  |::( 6∪ ー─◎─◎ )~        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  |ノ  (∵∴ ( o o)∴)~      <このSSを書けば賞賛の嵐だお。皆見てくれるお。レスももらえるお。
  | ∪< ∵∵   3 ∵> ムッキー!    \_____________________
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|  ,,ノ(、_, )ヽ、,   :::| このスレを立てたときの>>1
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|   ノ   ヽ、   :| このスレを閉じたときの>>1
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\ ,,ノ(、_, )ヽ、,, ::/
/`ー `ニニ´一''´ \

……夜

グラン「ふぁ……満腹満腹」

ビィ「美味かったなぁ、さっすがペトラとスーテラだぜぇ!」パタパタ

グラン「明日の当番僕なんだよね~、地味にプレッシャーだよ」

ビィ「グランも助っ人呼べばいいんじゃねぇか?」

グラン「ん~……それが普通になったら良くない。あくまでローテーションでやってるわけだからね」

ビィ「全く、真面目なやつだなぁ」

グラン「まぁ、正直当番を二人ずつにしてもいいかなとは思ってるよ……団員も増えてきたことだし」

ビィ「頼むから姐さんは外しといてくれよ……?」

グラン「ジータに言っとくよ……」

イオ「あ、グラン!」

グラン「イオ? どうしたの?」

イオ「えっと……こんな時間なんだけど、魔法の訓練に付き合ってくれない?」

グラン「模擬戦ってこと?」

イオ「そう! 軽くね!」

ビィ「さっきシャワー浴びてきたのにかぁ?」

グラン「いや、やるよ。食後の運動は必要だ」

グラン「シャワーはまた浴び直せばいい」

ビィ「空の上でも風呂好きだなぁ、グラン……」

イオ「ごめんね。どーしても実戦で試してみたかったの!」

グラン「なんだろ怖い。稽古場いこっか」

イオ「ええ!」

ビィ「折角だしオイラも観戦するぜ!」

……稽古場

ラカム「お、なんだ? 魔法っ子二人して」

グラン「イオが必殺技のテストに付き合って欲しいって」

イオ「ちょっと!!」

ラカム「はは、そりゃいいな! どれ、俺も立ち会うとすっか!」

イオ「ち、違うからね! そんなハードル上げないでよ!」

グラン「いやぁ、イオがこう言う誘いする時って、大抵新しい魔法だから……」

イオ「それでも必殺技なんて……ファラじゃないんだから!」

ラカム「ひでーな、おい」

ビィ「いつか無双破斬の改良版を編み出すって言ってたぜ……」



ファラ「……くしゅっ!!」

グラン「じゃ、始めようか」

イオ「ええ。いつも通り、どっちかが先に終わりって言うまで!」

グラン「分かった。いつでもいいよ」

イオ「……いくわよー!」コォォ

グラン「……」

グラン(短い詠唱。空気が一瞬だけ冷えこんで、細かい氷の槍が複数飛んできた)

グラン(イオのお決まりの一手だ。正直、属性相性は良くない)

グラン「っ!」ダッ

イオ「避けるのも上手くなったわね!」

グラン「褒めてるのかな……ファイアッ!」ボウッ

イオ「アイス! 属性差は覆せないわよ!」コォォ!

グラン(巻き上がる火炎が氷の壁に阻まれて消えた)

グラン(氷は依然として残っている。防壁にするつもりか)

グラン「だったら……エーテルブラスト!」キュイイン!

グラン(魔力の奔流が氷に突き刺さり、爆発するように弾けた)

グラン(崩れた壁の向こうに見えたのは……詠唱をするイオ……!)

グラン(壁を残したのはこのためか!)

グラン「来るっ……!」

イオ「これが……あたしのっ! ……必殺技!」ゴォォォ!

グラン(必殺技?)

イオ「――エレメンタルガストッ!」

ゴォォォ!!

グラン「ッ!?」

グラン(アイスの比じゃない氷の嵐! まともに受けたら間違いなくリタイアだ!)

グラン(編み込まれた魔力の量からして、ファイアでは防ぎきれないだろう)

グラン(こうなったら……!)

グラン「……アイス!!」コォォ!

イオ「えっ!?」

グラン(僕の周りを包みこんだ氷の壁が、イオの必殺技を受け止める)

グラン(凄い魔力だ。何重にも壁を張らなければ――)

グラン「……っうあ!」

シーン

ラカム「うっへ~……容赦無いなイオ」

ビィ「……ど、どうなったんだ?」

イオ「……」

グラン「……っ」

イオ「あっ!?」

グラン(半壊した氷の壁が解けていく)

グラン(イオの必殺技は僕まで届くことはなかった。でも……)

グラン「……ふう」

イオ「え、エレメンタルガストを……防ぎきったの!?」

グラン「いや。参ったよイオ。防御に魔力を回しすぎてもう空っぽだ」

イオ「防御に……って、グランいつの間にアイスを使えるようになってたの?」

グラン「え、うん……ちょっと前に」

イオ「……なにそれー!!」

グラン「??」

グラン(僕は降参したつもりだったんだけど、イオはなぜか憤慨していた)

グラン(素直にやられておくべきだったのかな? でもそれは痛いしな……)

イオ「この間までファイアしか使えなかったのに、なんでグランはそんな成長が早いのー!? ずるい!」

グラン「ず、ずるい?」

イオ「ずるいよ! 折角の大技だったのに!」

グラン「な、なんかごめん……」

イオ「……はぁ。怒鳴っちゃってごめんなさい。あたしが修行不足なだけね」

グラン「……でも、凄いと思うよ。防御に全ての魔力を使ったのは今のが初めてだよ」

グラン「魔物との戦いなら大活躍できると思う」

イオ「……うん。今度やってみる」

ラカム「……すげェなぁ。あんな魔力の塊見たことなかったぜ」

ビィ「それを防いだグランもグランだぜ……と言うか、模擬戦に全力出しすぎだぜ二人とも!」

イオ「ふうっ。付き合ってくれてありがと、グラン!」

グラン「こちらこそ、良い経験になったよ」

……寝室

グラン「ふぁ、あ。今日は色々あったなぁ」

ビィ「うぅ……りんごが恋しいぜ……」

グラン「あー……明後日まで我慢。明後日の朝には島に着くからさ」

ビィ「ついたらまず果物屋に行くぜ! 絶対だぜ?」

グラン「オッケーオッケー。ついてくよ」

ビィ「ようしっ! 約束だからな!」

グラン「ん。おやすみビィ」

ビィ「おやすみグラン」

グランジータは家族感覚で気になってても恋愛関係じゃないいつもの感じをイメージしてます
それにしてもファラは書いてて楽しいです また次回

【グランとスーテラ】

スーテラ「団長殿! いらっしゃいますか!」トントン

グラン「スーテラ? どうしたの?」ガチャ

スーテラ「団長殿。私、どうしても聞きたいことがありまして!」

グラン「なんだろ」

スーテラ「団長殿は、女の子なのですか!?」

グラン「…………は?」

ビィ「ぎゃははは! なんだそりゃあ!」

グラン「……スーテラ? 誰に、何の話を聞いたの?」

スーテラ「それがですね。ラカム殿とオイゲン殿が話しているところを、偶然耳にしたのですが」

グラン「うん……」

……

ラカム「これがこう、こうなって……あーくそっ。分からん! 魔法ってのはよく分かんねーなぁ」

オイゲン「同感だぜラカムよぅ。こんなもんは男がやるもんじゃねぇ。もっと頭が良くて才気溢れるイ~イ嬢ちゃんがやるもんだ」

ラカム「そもそも男ってのは元から魔法の適正は無いはずなんだ。やめだやめ! 俺たちがこんなことするのは間違ってる!」

オイゲン「同感だぜ。一体誰なんだぁ……? この、“知恵の輪”とか言う魔法のアイテムを持ち込んだのは……」

スーテラ(それは私ですが……)

スーテラ(男性には魔法の適正が無い? ですが団長殿は魔法使いですよね?)

スーテラ(……頭が良くて才気あふれる嬢さん……少なからず団長殿の特徴と一致する所があります……!)

スーテラ「……まさかッ!? 団長殿は女性!?」

スーテラ「こ、こうしちゃいられません! 確かめに行かないと!!」ピューン

ラカム「……なぁ、おっさん。なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたのは俺だけか?」

オイゲン「同感だぜ……」

スーテラ「……ということでして」

グラン「……」

スーテラ「私気になって気になって! このままでは夜も眠れません!」

スーテラ「教えて下さい、団長殿!! 団長殿は女の子なんですか!?」

グラン「……いや、男だよ……」

スーテラ「……ええええっ!?」

グラン「なんで驚くかな……」

スーテラ「……しかし、団長殿はとても上手に魔法を使いこなしておられます」

グラン「確かに女性の方が魔法を扱いやすいのは事実だよ。でも、それが絶対ってわけじゃない」

グラン「男でもたまに、魔法を使うのに適した体で生まれることがあるんだ。僕みたいのがね」

スーテラ「そうだったのですね……私、また思い違いを……」

グラン「いや、いいよ……流石にみんなに吹聴されたら困ってたけど、先に僕のところに来てくれて助かったよ」

スーテラ「あ……それなら、ですね? 団長殿は、副団長殿ととても仲が宜しいように見えるのですが……あれも女性同士だから、と言うわけではなく……?」

グラン「ジータ? あぁ、ジータは……その、昔から一緒だし、家族みたいなもんだからなぁ」

スーテラ「……か、かぞく!? そ、それって――」

グラン「え?」

スーテラ「既にご結婚されてるということですか!?」

グラン「……うーんと、ね…………」

【ジータとオイゲン】

ジータ「……、ん?」スタスタ

オイゲン「……」カチャ

ジータ「……」ヒョコ

オイゲン「……おう、ジータ。稽古は終わったのか?」

ジータ「今日はカタリナさんがビィを愛でる日だからお休み~」

オイゲン「そうか……」

ジータ「これ、全部銃のパーツ?」

オイゲン「おうよ。たまにこうして点検してやらねぇとな、イカれて使い物にならなくなっちまうのさ」

ジータ「そーなんだ。定期的に剣を研いであげるのと同じだね」

オイゲン「そうさな、もっともこっちは火器だからよ」

ジータ「……細かい部品がいっぱい」

オイゲン「どれか一つかけたら動かなくなっちまう。困ったもんさ……」

ジータ「故郷には銃って無かったんだよね。だから新鮮」

オイゲン「そうか……そうかもな。俺は昔からこれ一本でな」

オイゲン「剣や槍も触ったことはあったが……やっぱりこいつに戻ってきちまうんだよな」

ジータ「あはは。ベテランの言うことは違うね~」

オイゲン「伊達にこの歳まで生き延びてねぇからなぁ、ワハハハッ!」

オイゲン「さて、よぉ……ジータ? 顔色がちっと悪いんじゃねぇか」

ジータ「ん……そう、かな」

オイゲン「おう、そう見える」

オイゲン「俺ぁ若いのにあんまり口出す主義じゃねぇんだが。話を聞いてやることくらいは出来るぜ?」

ジータ「……さすがだなぁ、オイゲン」

オイゲン「わはは。褒めてもなんもでねぇぜ?」

ジータ「……あのね? 愚痴、になっちゃうかもしれないんだけど……」

ジータ「私、この騎空団の副団長だよね。最近、私じゃ似つかわしくないんじゃないかって。思うようになってきて……」

オイゲン「そりゃまたどうしてだい」

ジータ「私ってまだ弱いから。実力なら、もっと相応しい人が他にいると思うの」

オイゲン「……ほんとにお似合いだよなぁ、お前さんとグランは」

ジータ「えっ!? な、なんでグランが出てくるの?」

オイゲン「あいつも同じようなことで悩んでたからなぁ。ったくよぉ、同じよーに相談受けたんだぜ?」

ジータ「グランが? そ、そうだったんだ……」

オイゲン「団長、副団長に実力なんて関係ねぇ。俺らはお前たちがその立場にいるから付いて行ってるんだぜ」

ジータ「……」

オイゲン「例えるならこの銃と同じだな……副団長であるジータ。団長のグラン。二つのパーツどっちか一つでも無くなっちまったら、この団は成り立たねぇんだ」

オイゲン「あまり責任を感じないでくれよ。まだ若いんだ、不十分な面はあるさ。そう言うとこを一つずつ治していって、大人になってくんだぜ」

オイゲン「……てぇな感じでな、グランにも言ってやった」

ジータ「……そっか。ありがと、オイゲン。ちょっと元気でた」

オイゲン「おいおい、ちょっとかよぉ!」

ジータ「あははっ、ほんとに元気でたから! ありがと。……グランのとこ、行ってくるね」

オイゲン「おう。たまには二人で話すのも悪くないんじゃねぇか」

ジータ「そうだね! ……行ってくる!」

オイゲン「頑張れよ~」

【ファラとザザ】

ファラ「ザザー! いるっすかー!?」

ザザ「……大声を出さなくても、聞こえているぞ」

ファラ「あっ、やっと見つけたっす! 今いいっすか?」

ザザ「また修行か」

ファラ「話が早いっす! 今日こそザザの守りを打ち破ってみせるっす!」

ザザ「……少し、待て」

ファラ「ふぇ? 今じゃだめっすか?」

ザザ「……」クイ

ファラ「ん……甲板に、鳥が!」

ザザ「……私の里にも、同じ鳥がいた」

ファラ「そう……だったんすか?」

ザザ「ああ。美しい鳥だ。見ているだけで……癒される」

ファラ「ザザ……武人ってイメージあるっすけど。けっこーそういうのが好きなんすね?」

ザザ「……そうかもしれないな」

ファラ「へえー……私は、ずっと帝国軍にいたっす。毎日訓練ばっかりで……鳥とか、風景とか見る余裕なんて、ぜんぜん無かったっす」

ザザ「……そうか」

ファラ「あ、でも。この船に乗って、色んな島を見て……私も最近、あの雲綺麗だなーとか。山って大きいなーとか。そんなこと考えるようになってきたっす」

ザザ「……良いことだ。君は、会う度に修行をせがんでくる。もっと違うものに目を向けるべきだと……考えていた」

ファラ「し、しつれーっすね! これでも私、感受性豊かな方っす!」

ザザ「……その心を、戦いに奪われないようにな」

ファラ「……分かってるっす」

ザザ「……口が過ぎたようだ。稽古場に行こうか」

ファラ「えっ? 修行、受けてくれるんすか?」

ザザ「ああ言ったが……私は決して、戦いは恥じるべき行為だとは思っていない。この船にいる以上、避けては通れぬことだ」

ザザ「ならば私は、君が強くなるために力を貸そう。その強さが間違った方向へ向かないように、私が受け止めよう」

ザザ「強くなれば、また見えてくるものもあるだろう。今は君がしたいことをするべきだ」

ファラ「ザザ……」

ファラ「あ、あんた……ほんとに良い奴っすね……」

ザザ「……今の私に出来るのは、これくらいだ」

ファラ「そ、そんなことないっすよ! 今度一緒に料理作るっす! ザザの故郷の料理とか……見せてほしいっす!」

ザザ「……」

ザザ「……悪くないな。考えておこう」

ファラ「にへへ! 楽しみっす! さぁ、張り切るっすよー!」

短いですがこの辺で。あみだくじで適当にペアを作って話を考えてみました
次回【ラカムとカタリナ】と【イオとペトラ(とルリア)】の予定

グラン「星の古戦場?」

グラン「へぇ……魔物を倒して集めた通貨で報酬が貰えるのか」

ジータ「うん~。腕試しにいいんじゃないかな~」

グラン「そうだね。どのくらい強くなったか確かめてみよう」

ファラ「たくさん通貨を集めると、伝説級の武器が手に入るらしいっすよ!! これを逃す手はないっす!」

ファラ「なんでもこの時期の為に他の依頼をキャンセルする騎空士もいるとか……」

グラン「はは……そんな凄い武器なんだ。ちょっと気になるなぁ」

グラン「よーし、僕たちも頑張ってみようか。目指すは伝説の武器、かな?」

ファラ「おーっ! 張り切るっすー!」

ジータ「エリクシールの飲み過ぎに気をつけてね~」


かくしてグラン率いる騎空団は星の古戦場に降り立つ。
しかし彼らは知らなかった、古戦場で待ち受ける地獄のような争いを――

という訳で投下は明日になります…がんばります…

【ラカムとカタリナ】

ラカム「……第十一回大人会議ぃ~」

カタリナ「……今日はこの二人だけか?」

ラカム「……おう。オイゲンの爺さんは野暮用につき欠席……はぁ」

カタリナ「えらく気落ちしているな。大丈夫か?」

ラカム「大丈夫……あぁ、俺は大丈夫だ、そうだ……」ブツブツ

カタリナ「何なんだ一体……」

ラカム「さて、カタリナさんよ……今回の議題についてだが」

カタリナ「あ、ああ。今日は君が用意したとの事だったな」

ラカム「……まあな。カタリナさん……食堂にある掲示板は知っているよな?」

カタリナ「ジータが設置した団員連絡用のものか。あれがどうかしたのか?」

ラカム「いや、それにな……一つお便りがあってな……今回話したいのはそのことなんだよ」

カタリナ「そうなのか」

ラカム「おう……なぁ、カタリナさん」

カタリナ「うん?」

ラカム「あんたはイイ女だ」

カタリナ「んなっ」

カタリナ「ら、ラカム!? 突然何を言うんだ!?」

ラカム「腕が立ち、気立てが良くて顔も良い。あんたはこの騎空団、いや全空一の美人さんさ。みんなそう言うに決まってる。だろ?」

カタリナ「そ、そんなこと言われても……」テレテレ

ラカム「だから……全空一美人のカタリナさんなら、どんなこと言われても決して怒らない……そうだよな?」

カタリナ「ん?」

ラカム「掲示板にあったお便り。読み上げるぞ……」




 ~~撫でるのを止めて欲しい~~                

 誰にとは言わないけど、毎日毎日撫でられて頭がどうにかなっちまいそうだぜ!
 せめて篭手は外してくれぇ! 摩擦で熱い!
 どうしたらいいのか誰か教えて!                    






カタリナ「…………は?」

カタリナ「…………」


ラカム(いつだったか……ルリアが冗談で作ってた真顔スタンプのような表情だ)

ラカム(だから嫌だったんだよ!! こんな役回りは!)

……

グラン「掲示板の、これなんだけど……」

ラカム「ビィって文字書けたんだな……?」

ジータ「大事なのはそこじゃないよ。誰が伝えるの……?」

ラカム「カタリナに……?」

ラカム「……」

グラン「……」

ジータ「……」

ラカム「こ、この掲示板を置いたのはジ」

ジータ「グランサイファーの管理人は……ラカム。そうだよね?」

ラカム「……いやいやいやいや」

グラン「騎空団ではみんな違う役割を持ってる。これはラカムにしか出来ないことなんだと思う」

ラカム「おいおい!? 青ざめた顔でなんつーこと言うんだ!」

ジータ「という訳で……はい! よろしく!」

グラン「僕たちは稽古に行ってくるから!」ピュー

ラカム「あっ、ちょおい! お前らァ!!」

ラカム(あそこでこの紙を突き返せなかった俺も俺だ……だが)

カタリナ「…………」

ラカム(間違いねぇ。人を殺せる表情をしてやがる。誰が好き好んで引き受けるんだ、こんな汚れ仕事をよぉ!)

ラカム「カ……カタリナ。色々思う所はあるだろうが、なんつーか、あいつの言うことを聞いてやるのも……」

カタリナ「だ……」

ラカム「だ?」

カタリナ「誰がこんな不埒なものを書いたんだ!!??」

ラカム「…………」

カタリナ「グランとジータか!? あぁ、あの二人に違いない! 全く、最近の若者は場を弁えない行動が多すぎるぞ!」

ラカム「…………」

カタリナ「直接言えばいいものを! いやそれでは増長するだけか!? 恋愛が悪いとは言わないが、あの二人はまだ若いんだぞ! 節度を守るべきだ!」

ラカム「……か、カタリ」

カタリナ「君もそう思うだろう!? ラカム!!」

ラカム「アッハイ」

カタリナ「こうしちゃいられん! 私は二人のところにいく! 間違いを犯す前に正してやらねばな!!」

スタタタ

ラカム「…………」

ラカム「すげェなぁ、姐さん……」


……


ジータ「……突然カタリナさんに怒られたんだけど、なにか知ってる?」

ラカム「イエマッタク……」

【イオとペトラ】

イオ「あーあ~……」

ペトラ「どうしたんですか?」

イオ「まだ島につかないのかな~……」

ペトラ「……散歩でもしましょうか?」

イオ「んーん。もう何回も行ったもん」

ペトラ「そうですか……」

イオ「ねぇねぇ」

ペトラ「なんですか?」

イオ「ペトラって好きな人いないの?」

ペトラ「んぶっ」

イオ「だ、大丈夫?」

ペトラ「ごほっ……すみません、いきなりなんですか?」

イオ「だって、ペトラ綺麗だもの」

ペトラ「そんなこと無いですよ……今は思いつきませんね」

イオ「そーなのー? 確かに、この騎空団の男たちはみんな難しいかもね」

ペトラ「みなさん素敵な方だと思いますが……」

イオ「オイゲンとザザは彼氏よりお父さんみたいだし。ラカムも近所のお兄さんって感じよね」

ペトラ「ふふ……だめですよ、イオさん」

イオ「それにグランは……ね」

ペトラ「団長さんは……」

ガチャ

ジータ「あ、二人とも。グランどこいるか知ってる~?」

イオ「さっき散歩してたわよ。部屋に戻るって言ってた」

ジータ「そっか。コーヒーでも淹れてあげよっかな」

ジータ「ありがとね~」

イオ「……本妻ね」

ペトラ「……眩しいです」

ジータ「???」

ルリア「何の話ですか~?」

イオ「ルリアには早いわね……あと一年、二年くらいかしら」

ルリア「えー? なんですか、気になりますっ!」

ペトラ「もう少ししたら……きっとわかりますよ」

ルリア「えええ~??」

【グランとジータ】

コンコン

グラン「はい」

ジータ「入っていい?」

グラン「いいよ。開いてる」

ガチャ

ジータ「こんばんは。コーヒー淹れてきたよ」

グラン「ありがとう。気が利くね」

ジータ「本読んでるって聞いたからね~。邪魔じゃなかった?」

グラン「今一段落ついたとこ」

ジータ「この前読んでたやつ?」

グラン「そう。毒魔法は後回しにして……簡単な妨害魔法から進めようかと」

ジータ「……やっぱりちんぷんかんぷん」アハハ

グラン「はは。今度実戦で見せられると思う」

ジータ「楽しみ」

グラン「んっ……くぅ」ノビー

ジータ「……おつかれ?」

グラン「そうかも……ずっと読んでたからかな」

ジータ「……ん」クイクイ

グラン「ん? 来いって?」

ジータ「ん。座って」

グラン「……」スタスタ

ポフ

ジータ「マッサージしてあげる」モニモニ

グラン「わっ」

ジータ「お客さん凝ってますね~」モニモニ

グラン「まだそんな歳じゃないんだけど……」

グラン「……うひっ、ははっ、く、くすぐったい」

ジータ「ちょっとー、動くと揉みにくいよ」

グラン「だ、だって……こ、コーヒーも飲めないから、じ、ジータ、勘弁っ……」

ジータ「んもー」

ジータ「これならいいでしょ」トントン

グラン「うん……そうだね」

ジータ「……ねーグラン」

グラン「なに?」

ジータ「オイゲンに相談したんだって?」

グラン「え゙っ……なに。聞いたの!?」

ジータ「うん。話してくれた」

グラン「はぁっ!? ひ、秘密にしてって言ったのになぁ!!」

ジータ「あはは、耳真っ赤。そんな恥ずかしい?」

グラン「そりゃ……こんなこと大っぴらに言えないじゃん。ファラとか……知ったら何て言うか」

ジータ「フォローしてくれるんじゃない?」

グラン「笑うに決まってるよ!」

ジータ「そうかな~」

グラン「ほんとにもう……頼むからジータは秘密にしてね? オイゲンには僕が、もいちどきつく言っとくから!」

ジータ「必死すぎだよ~。分かってるよ、私も同じだもん」

グラン「同じって?」

ジータ「私も立場のことで話聞いてもらったんだよ」

グラン「……そうなんだ」

ジータ「グランと同じこと言ってもらったよ。私達お似合いだってさ~」

グラン「お、お似合い……」カァ

ジータ「? それでね、一度グランと話そうと思って」

グラン「うん……」

ジータ「思って、来たんだけど」

グラン「うん?」

ジータ「なんか……どうでもよくなっちゃった」

グラン「えぇ……」

ジータ「ほんとはどうでもよくないけど! 同じこと考えてるって分かったし、グランの顔見れたし。それで満足しちゃった」

グラン「……」

ジータ「グラン? 顔赤いよ?」

グラン「えっ、いやっ、気のせいだよ」

ジータ「まだ恥ずかしいの~? 大丈夫だってば」

グラン「そ、そうじゃなくて……とにかく! ジータ、もう良い時間だよ!」

ジータ「えっ? あ、もうこんな時間? 部屋戻らないと」

グラン「うん、送ってくよ」

ジータ「えぇ? いいよ別に~」

グラン「いいから、僕がしたいだけだから!」

ジータ「変なグラン~。じゃ、一緒にいこっか」

グラン「うん。行こう」

ジータ「ん~」

ガチャリ バタン


ビィ(まったく……人のいないとこでやってほしいぜ!)ネタフリ

ここまでです。次回か次々回に新しいキャラを出したいです。
キャラの加入はフェイトエピソードを基に書こうかな…と思ってますが、
グランとジータが共存する世界なので多少の改変はご容赦ください

ファラ「ぜぇ……はぁ……け、結構やっつけたんじゃないっすか~……」

グラン「うん……十五くらい?」

ジータ「ま、まだ十匹だよ~」

ファラ「うひ~……このでっかい目玉だけじゃないんすよね? あっちの犬っころも対象なんっすよね!?」

グラン「あれは……僕たちにはまだ早い。気がする」

ジータ「あっちはベテラン向けみたいだね~」

ファラ「……気のせいっすか? なんか、一撃で倒されてるように見えるっす……」

アサルトタイムダ! オウギ! オウギ!

グラン「……空は広いなぁ」

ジータ「私達も一発で! どかーんと! 倒せるようになりたいね~」

ファラ「そっすね~……」

地獄はまだ始まったばかりだ!
という訳で本投下は明日です

グラン「……」ムクリ

グラン「……朝か」

ビィ「……」スヤスヤ

グラン「んっ。しょっと……」ノビー

ガララ

グラン「……おお」

グラン「……」

グラン「ふ、ぁ……顔洗いに行こ……」テクテク

……甲板

グラン「……」シャコシャコ

ラカム「よう。早起きだな団長」

グラン「んはお」シャコシャコ

ラカム「なんて? ……ああ、おはようさん、な。デケェ島だよな」

グラン「うん」

ラカム「さっき港につけた時に話を聞いた。よろず屋のやつも来てるってよ。良い依頼を貰えるかもしれん」

グラン「……」コクコク

ラカム「……寒くないか? 寝間着だろそれ」

グラン「んー……うん」コクリ

テクテク

ラカム「……やれやれ、よっぽど楽しみだったみたいだな」

ファラ「だんちょー! ついたっすよー!」

グラン「おはよう。元気だね」

ファラ「とーぜんっす! 今みんなを起こしに行ってるところっす!」

グラン「ありがと。朝食を済ませたら甲板に集合するように伝えといて」

ファラ「りょーかいっす! んじゃ、次はジータの部屋に行ってくるっす!」スタスタ

グラン「よろしく」

……

グラン「準備はこんなもんかな」

ビィ「グラン~、覚えてるよな? まず果物屋だぜ!」

グラン「はいはい、分かってるよ」

ビィ「じゃあ早く行こうぜ! もうみんな甲板で待ってるんじゃねえか?」

グラン「急ぎすぎだよ……先行ってて。金取ってくるから」

ビィ「おう!」パタパタ

……甲板

グラン「みんな揃ったかな」

ゾロゾロ

グラン「これから三日間この島に滞在する。あんまり羽目を外し過ぎないように」

グラン「あと、今まで通り個人で勝手に依頼を受けるのも禁止だよ」

ジータ「シェロさんの所には私が行くよ。依頼を受けたい人は付いて来てねー」

ファラ「はいはい! 行くっす!」

カタリナ「私も行こう」

グラン「あと一人か二人、誰かいないかな?」

ザザ「それなら、行こう」

グラン「ありがとう。じゃあ依頼の方は四人に担当してもらうよ」

ジータ「任された~」

グラン「僕とビィは食料の調達に行く。一緒に行く人はいる?」

オイゲン「おっと、ちょうど酒のつまみが切れてたんだ」

グラン「オッケー。他には」

ファラ「あ、だんちょー!」

グラン「ん?」

ファラ「これ、お願いしたいっす! 足りない食材を纏めておいたっす!」

グラン「おお……気が利くね」

ファラ「えへへ~、あとはこの島の特産品とか、気になった食べ物が書いてあるっす」

グラン「分かった。参考にするよ」

ファラ「よろしくっす!」

ラカム「俺は留守番するぜ」

オイゲン「どうしたぁ、一人でナニすんだ?」

ラカム「なんでだよ! こいつの点検してやりてぇんだよ」トントン

イオ「私たちは買い物行ってくるわね!」

ペトラ「服の買い物って、何を基準に選べばいいんでしょうか……?」

ルリア「ふふふ、ペトラさんならなんでも似合いますよ~」

ファラ「平常運転っすね~」

イオ「スーテラはどうするの?」

スーテラ「私は……姉様の行方が知りたいので、酒場で情報を集めるつもりです」

イオ「そっかぁ……だったら後で合流しない? 一緒に買い物しましょうよ!」

スーテラ「良いですね! 分かりました!」

グラン「よしっ。分かってると思うけど、何かあったらここに戻ってくるよーに。連絡は僕かジータによろしく! 解散!」

ワイワイ

【買い出し組】

オイゲン「おめぇさんもこなれてきたんじゃねぇか?」

グラン「なんのこと?」

オイゲン「団の指揮だよ、いっちょ前に取れるようになったじゃねぇか」

ビィ「確かに、見違えるようだぜ!」

グラン「これだけやってれば慣れるよ。あの二人には迷惑かけたと思ってるけど」

グラン「そうだ、オイゲン……なんで相談したことジータに喋っちゃったかなぁ?」

オイゲン「おっ……ははは、もうバレたか!」

グラン「バレるに決まってるでしょ! ジータと話したんだから!!」

オイゲン「ぶははは、すまんすまん。いやなに、ジータにゃ話しても問題ないと思ったのさ」

ビィ「オイラはなんとも言えねぇけどよぅ……グランはよくやってると思うぜ?」

グラン「ビィ……ありがたいけどそう言うフォローは大丈夫」

ビィ「ちぇー」

グラン「とにかく、他の人には言わないでよ! 団長としての矜持に関わるから!」

オイゲン「よく言うぜっくく、おっとあれか? 目当ての果物屋は」

ビィ「アレだぜ! グラン! 早く行こうぜぇ!」パタパタ

グラン「あっ、ちょっと待てって! ビィってば!」スタスタ

オイゲン「おいおーい、爺を置いてくなよなー」

店主「いらっしゃい! 新鮮な果物が揃ってるよぉ!」

ビィ「おっちゃん! 置いてあるりんごあるだけくれ!」

店主「おっ、元気なトカゲだなぁ! よしっ、買ってけ買ってけ!」

ビィ「オイラはトカゲじゃ――」

グラン「ストップストップ! すみません、少し考えます!」

ビィ「もが! グラン! なにすんだよぉ!」

オイゲン「悪いね連れが喧しくて。なぁ、酒のつまみに合いそうな果物……なんかねぇか」

店主「なぁに構わん構わん。アンタいける口かい。このアモエルの実なんてどうだい」

オイゲン「ほぉ……良い色だな。味は」

店主「サービスだ、一つ食ってみなよ」

オイゲン「商売が上手いねぇ……どれ……ふむふむ……」

グラン「う~ん一箱かな~……」

ビィ「そんなぁ! 三つ、いや二つでいい!」

グラン「ファラに頼まれたリストだってあるし……、オイゲンは」

オイゲン「よォし買ったァ!」

店主「おっ気前イイねぇ~!」

グラン「……うん。一箱で我慢して」

ビィ「ちぇ~……分かったよぅ……」

グラン「あの~店主さん。それに追加でリンゴ一箱も買えますか」

店主「一箱でいいのかい?」

グラン「はい。あ、リンゴの送り先なんですが――」

オイゲン「……残念だったなぁ」モシャモシャ

ビィ「なんか食べながら言う台詞じゃないぜ!」

オイゲン「わりぃわりぃ」

短いですがここまでです
ちょっとGW中は更新滞ると思います、スミマセン!

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