伊織「にらめっこという名のいたずらっこ」 (26)
765プロ事務所
千早「水瀬さん、今時間はある?」
伊織「時間? レッスンはさっき終わったから、大丈夫だけど?」
千早「あの……それなら、もしよかったら、なんだけど」
伊織「何よ、はっきりしないわね。用があるならはっきり言いなさいよ?」
千早「そ、それじゃあ、私と……」
伊織「あんたと?」
千早「にらめっこをしない?」
伊織「はぁ?」
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伊織「にらめっこぉ? あんた、熱でもあるんじゃないの?」
千早「そ、そんなことは、ないと思うわ」
伊織「一応聞くけど、どうしてにらめっこなのよ?」
千早「さっき我那覇さんと美希が、楽しそうにやってたのを見てて、ちょっと」
伊織「やってみたくなっちゃった、って、わけ?」
千早「本当にちょっとだけ、なんだけれど」
伊織「意外にかわいい所あるわよね、あんた……」
千早「水瀬さんは、私とするのは嫌かしら?」
伊織「べ、別に、あんたとが嫌とか、そういうわけじゃないけど……」
伊織「はぁ。この伊織ちゃんが、あんな子供っぽい遊びをねぇ」
千早「…………」
伊織「ま、いいわ。つきあってあげるわよ、千早」
千早「!」
伊織「あんたがどんな風に笑わせに来るのか、気にならないこともないしね」
千早「ありがとう、水瀬さん」
伊織「べ、別に、そんなにお礼を言われるほどじゃないわ」
千早「照れてる?」
伊織「そ、そんなわけないでしょ! どうして照れる必要があるのよ!」
千早「それじゃあ早速、いいかしら?」
伊織「はいはい。言っとくけど、やるからには負けるつもりはないわよ?」
千早「ふふ、望むところね」
伊織「じゃ、さっさと始めるわよ」
千早「ええ」
伊織「にーらめっこしーましょ」
千早「笑ったら負ーけよ」
伊織「あっぷっぷ!」
千早「あっぷっぷ」
伊織「受けなさい! 必殺変顔攻げ」
千早「こちょこちょこちょ」
伊織「ひあっ!? きゃあ!?」
千早「こちょこちょこちょ」
伊織「あは、あははははは!?」
千早「こちょこちょこちょ」
伊織「ちょ、くすぐったい! きゃははははは!」
千早「こちょこちょこちょ」
伊織「や、やめて千早あはははははやめてぇ!」
千早「私の勝ちね、水瀬さん?」
伊織「ひ、ひぃひぃひぃ……けほっ」
千早「ふふ、いい勝負だったわ」
伊織「こ、こら! こらこらこらこらこらぁ!」
千早「あら? どうかしたかしら?」
伊織「どうかするに決まってるでしょーが!」
千早「先に相手を笑わせた人、つまり、私が勝者だと思うけど?」
伊織「あんたねえ! 今のはどう考えたって反則よ、反則!」
千早「反則? どうして?」
伊織「どうしてもこうしてもないわよ! こんなのが許されるわけないでしょ!」
千早「…………」
伊織「にらめっこっていうのは、もっとこう! 変な顔とかで相手を笑わす」
千早「こちょこちょこちょ」
伊織「うきゃあ!?」
千早「こちょこちょこちょ」
伊織「あは、あははははははぁ!」
千早「こちょこちょこちょ」
伊織「うひぇひぇひぇひぇ! お、お願い千早脇腹はやめてぇえへへへへへ!」
千早「こちょこちょこちょ」
伊織「ひぃぃぃぃぃ!」
千早「こちょこちょこちょ」
伊織「わ、わかった! わかったから、私の負けでいいからぁはははははは!」
千早「本当かしら?」
伊織「ほ、ホントよホント! ホントだからもうやめてぇぇぇ!」
千早「それじゃあ、このぐらいで勘弁してあげるわ」
伊織「はあはあ……はひはひ……げほげほ、げほっ!」
千早「大丈夫、水瀬さん?」
伊織「だ、誰のせいでこうなってると思ってるのよ……」
千早「勝つためには、誰に対しても全力を尽くす必要があると思って」
伊織「だから! それに関してはちょっと待ちなさいっての!」
千早「あら、まだ納得いかない?」
伊織「納得いく奴がいたら、そいつの顔を見てみたいわよ!」
伊織「こんな卑怯な真似で、勝ったなんて言わせないから!」
千早「でも、さっき私の負けでいいって言ったわよね?」
伊織「い、言ってないわよそんなこと! あんたの耳がおかしいんじゃないの!?」
千早「確かに言ったわ」
伊織「う、うるさいうるさいうるさーい! 言ってないったら言ってないの!」
千早「じゃあ、もう一回する?」
伊織「いっ!?」
千早「にーらめっこしーましょ、笑ったら負ーけ」
伊織「ちょ、待って待って待って!」
千早「水瀬さん、顔が引きつってるわよ?」
伊織「な、何でもいいからちょっと待ちなさい!」
千早「ふふ。水瀬さんって、こういうの本当にダメなのね。こちょ」
伊織「だ、だから! その手つきはやめなさいってばぁ!」
千早「こちょこちょこちょこちょ」
伊織「ひああああ! ストップ! 待って待ってお願いだから待ってぇ!」
千早「それじゃ、私の勝ちでいいかしら?」
伊織「う、くっ……!」
千早「もう一回聞くけど、私の勝ちでいいかしら?」
伊織「ううっ……この伊織ちゃんが、こんな汚い手に……!」
千早「まだ足りないみたいね……こちょ」
伊織「わ、わかったわかった! わかったわよ!」
千早「あら、本当に?」
伊織「きょ、今日の所はあんたの勝ちでいいわ! だからもう、くすぐるのはやめて!」
千早「認めてもらえてよかったわ」
伊織「はぁ、全く……けほけほけほっ!」
伊織「うぅ……笑い過ぎて、お腹がズキズキするわ……」
千早「少し、やり過ぎてしまったかしら?」
伊織「どう考えてもやり過ぎに決まってるでしょ!」
千早「ふふ。ごめんなさいね、水瀬さん?」
伊織「まさか千早が、こんな手を使ってくるとは思わなかったわ……」
千早「あら、そうかしら?」
伊織「そうよ! こんないたずら、昔のあんたじゃ考えられなかったわよ!」
千早「……確かに、そうかもしれないわ」
伊織「でも……本当にあんた、変わったわよね」
千早「やっぱりこういうおふざけ、私らしくないかしら……?」
伊織「ご、誤解しないでちょうだい! もちろん、良い意味でに決まってるでしょ!」
千早「水瀬さん……」
伊織「ま、まあ私は……」
千早「…………」
伊織「今の千早の方が、昔よりもずっと好きだけど……」
千早「!」
伊織「って! わ、わ、私ってば、何を言って」
千早「水瀬さん」
伊織「へ?」
千早「嬉しいわ」
伊織「千早……」
千早「水瀬さんや、765プロのみんなのおかげね、本当に……」
伊織「べ、別に! 私は何もしてないけど……」
千早「本当にありがとう、伊織……」
伊織「っ!」
伊織「今、あんた……」
千早「どうかした、水瀬さん?」
伊織「え、あ……」
千早「うん?」
伊織「べ、別に、何でもないわよ!」
千早「……ふふ」
伊織「……呼びたくなったら、いつでも呼びなさいよね」
千早「……うん」
伊織「そ、それはそうと千早!」
千早「?」
伊織「そ、そんなに私の目を見つめないで! は、恥ずかしいじゃない!」
千早「照れてる?」
伊織「なっ……そ、そんなわけないでしょ!」
千早「顔が赤くなってるわ」
伊織「えっ!?」
千早「もちろん嘘よ」
伊織「ぐっ!?」
千早「ふふっ」
伊織「ち、ちちちち千早ぁ! この馬鹿! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ばかぁ!」
千早「ふふ、ふふふふふふふふっ!」
伊織「このっ……からかうのもいい加減にしなさいよ! えいっ!」
千早「きゃあっ!?」
ドシーン
千早「み、水瀬さん何するの! い、いきなり押し倒さないで!?」
伊織「もう許さないわ! これからにらめっこ第2ラウンド開始よ!」
千早「そ、それって……!?」
伊織「もちろん、あんたと同じ手を使わせてもらうわ!」
千早「ま、ちょ、待って水瀬さん!」
伊織「聞く耳持たないわね! にらめっこしましょ、笑ったら負けよ!」
千早「や、だめっ! お願い話し合う時間を」
伊織「あっぷっぷ! それっ、こちょこちょこちょ!」
千早「ちょ、あはははは!」
伊織「さあ笑いなさい千早! こちょこちょこちょ!」
千早「や、やめて水瀬さん、あははははは!」
伊織「ほらほらほら、こちょこちょこちょ!」
千早「ひ、ひひひひひっ! ちょ、水瀬さんそこはダメ!」
伊織「へーぇ、千早もここが弱かったのねぇ」
千早「お、お願い伊織! 脇腹だけは許して!」
伊織「ま、遠慮はしないけどね? こちょこちょこちょ!」
千早「きゃーっはっはっはぁ! た、助けて! 助けて伊織ぃ!」
伊織「さあ、覚悟しなさい千早! こちょこちょこちょ!」
千早「し、死んじゃう! 死んじゃうからあははっははははぁ!」
伊織「この伊織ちゃんをもてあそんだ罰よ! こちょこちょこちょこちょこちょぉ!」
千早「あーっはっはっはぁ! ごめんなさい! ごめんなさい伊織ぃぃ!」
春香「ほへぇ……。千早ちゃんがあんなに笑ってるの、初めて見たかも……」
やよい「伊織ちゃんも、びっくりするぐらい楽しそうですー!」
春香「そうだねぇ……。見てると、気持ちがほっこりするなぁ……」
やよい「何だか私まで、つられていっしょに笑っちゃいそうかも!」
小鳥「それでは記念に写真を一枚」
やよい「ちょい」
春香「待ち」
小鳥「……ピヨォ」
おしまい!
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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