――これはたった一夜の夢。
そこにあったかもしれない可能性の物語。
『シンデレラ』は『アイドル』と共に舞踏会を駆け抜けて、その手に夢を掴むことを望む。
あなたは――
↓2『シンデレラ』を選択してください
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460203232
喜多日菜子(15)
http://i.imgur.com/DUOskEz.jpg
今回の「シンデレラ」は喜多日菜子です。
↓2彼女の『願い』は?
――彼女の名前は喜多日菜子。
彼女はいつも妄想をしていた。
たとえば、素敵な王子様が迎えにきてキラキラした世界へ攫われてしまう夢。
たとえば、困っている人たちをあっという間に助けてしまう魔法使いになる夢。
たとえば、周りの誰もが涙を流さないで済む夢。
彼女にとっての『現実』はあまりに退屈で、『妄想』は彼女の救いだった。
目を開いてみる世界は彼女が望む形には決して変わらない。
だから彼女は、いつものように『妄想』に浸りながらこう考えたのだ。
――ああ、誰にも邪魔されないで妄想をし続けれたらいいのに、と。
――『シンデレラ』喜多日菜子の設定を行います。
↓2 彼女のそばに立つ『アイドル』は?
森久保乃々(14)
http://i.imgur.com/4RohcXt.jpg
――日菜子の隣に立つ『アイドル』は森久保乃々です。
↓2 彼女の『能力』はなんですか?
※今回は試用版なので、能力の方向性に指定はありません。
『逃げ足が速くなる』程度のことから、『銃を具現化』や、『歌声がビームになる』などの非現実的なものでも可能です。
――森久保乃々の能力は『ポエムの実体化』です。
それでは、彼女の夢を始めましょう。
『誰にも邪魔をされずに妄想をし続ける』
そんなことを夢に願った、彼女のお話を。
――――
――
↓2ここはどこ?
1.自宅のベッド
2.職員室のちひろの前
3.その他(自由安価)
日菜子「むふ……?」
日菜子はゆっくりと目を開ける。
とてもいい夢を――『妄想』をできた気がする。
しかし今回は、どんな内容だったかを思い出せない。
日菜子「うーん……ベッドの上での妄想は捗りますけど……夢と曖昧になっちゃうのが難点ですねぇ……」
ぼーっと余韻に浸りながら、彼女は時計を見た。
普段起きている時間までにはまだ余裕がある。
目覚まし時計が鳴るまで、もう一度妄想に戻ろうか。
先ほどまで浸っていた世界が手招きをしている気がした。
↓
1.妄想にひたる
2.起きて支度を始める
3.その他(自由安価)
日菜子「……ふわぁ」
ゆっくりと伸びをして日菜子が立ち上がった。
夢の余韻を振り払うように支度を始める。
普段から妄想に浸りすぎて、寝坊ギリギリになることも少なくない彼女は久々の余裕を持った朝を過ごした。
日菜子「うん、準備は十分……むふふ、王子様が曲がり角でぶつかっても大丈夫……♪」
むふ、と興奮を隠しきれないように息を吐く。
そろそろ時間も丁度いい頃合いだ。日菜子は家をでて学校に向かった。
↓2 誰かが待っている?
1.日菜子は普段通り学校へ向かった
2.誰かが待っていた(2人まで指定可)
コンマ末尾1,2の場合イベント発生
日菜子はいつものように1人で学校へ向かった。
登校の道すがら、彼女は考える。
普段のように交差点を渡れば『誰か』に会うかもしれない。
その『誰か』はきっと、自分をこれまでとは違う世界に連れて行ってくれるのだ。
その妄想が叶ったことは一度としてない。
だけど、いいのだ。夢を見ることは、悪いことではないのだから。
日菜子「……おやぁ?」
いつも通りの、1人の、通学路。
そこに微かな違和感が差し込む。
それは――
↓1 コンマ
1、2、3 (突然の爆発音)
4、5、6 誰かが待っている……?
7、8、9 「あの……聞こえていますか……聞こえなければ別にいいんですけど……」
0 ???
「あのぅ……聞こえますか……聞こえなければ……別にいいんですけど……」
聞き覚えの無い声が、どちらからという方向性も持たずに聞こえてくる。
それは妄想の中で『王子様とお話』をしている時に似ていて、そんなことを考えていたのだったかと日菜子を困惑させた。
日菜子「……むふ。聞こえてますよぉ?」
しかし、声の主はどう聞いても女性の声だ。
それも聞き覚えのない、可愛らしい少女の声。
すわ幻覚か、幻聴か。そんな困惑は一瞬で消える。
彼女の妄想の中にいる話し相手たちは、彼女が考えた通りに受け答えをしてきた。
今回は違う。彼女が考えていなかったはずのタイミングで、妄想したことのない声での呼びかけだったのだから。
「そうですか……聞こえますか……うう、やっぱり……」
声の主は日菜子の呼びかけに対して困った様子でぶつぶつと何かを言っている。
こんなことは妄想していないのに、すらすらと音が途切れず聞こえる。
まるで現実に存在する人と変わらずに続く独り言を聞きながら日菜子は目を輝かせた。
日菜子「むふふ……ついに日菜子の妄想は、自分の手を離れたんですね……」
憧れの王子様との日々を手に入れる日も近いかもしれない。
そう思い、日菜子は自分の頬へ手を当ててだらしなく笑った。
「……残念ながら、現実に存在するので……妄想じゃありませんけど」
日菜子「……むふ?」
乃々「……初めまして。あの、見えてますか……やっぱり見えてないし聞こえてないっていうことはありませんか」
日菜子「……姿まで見えるなんて、精巧な妄想ですねぇ……通学中なのに」
乃々「ですから、妄想じゃありませんけど……」
日菜子「むふふ、可愛らしい服で……いいですねぇ……」
目の前に声の主が確かな像を持って立っている。
よくよく目を凝らせば向こう側が透けていて、現実の人間ではないことは間違いなさそうだった。
日菜子は目の前に突然現れた『非現実』の存在を確かめるように手を伸ばす。
しかし触ることはできずに、ただ空を切るだけだった。
日菜子「流石に触感まではダメですかぁ……」
乃々「うぅ……話を聞いて欲しいんですけど……」
日菜子「話って、理想の王子様のお話とかですかぁ……?むふふ、いいですねぇ。そういうおしゃべりができる友達が欲しかったんです」
乃々「いえ、その――」
↓1 コンマ
1,2 「今すぐここから逃げてほしいんですけど……!」
3,4 「王子様のことならちょっとこだわりがありますけど……」
5,6,7 「あなたに忠告をしたいと思ったんですけど……」
8,9 「……私はもう、嫌なのに……」
0 ???
乃々「……あなたに忠告をしたいと思ったんですけど」
日菜子「忠告、ですかぁ……」
乃々「きっと、聞くと後悔します……でも、聞かなかったふりをするともっと後悔します」
日菜子「……後悔?」
乃々「私は……森久保乃々といいます。これから話すのは、ウソではないので……聞いて欲しいんですけど……」
日菜子「乃々ちゃん……むふふ、喜多日菜子です」
乃々「あ、いえ……私はあなたを知っています……趣味は妄想で、15歳……」
日菜子「おや、そうなんですかぁ……でも日菜子は乃々ちゃんのことを知りませんねぇ」
乃々「……それは、当然ですけど。私はあなたの『アイドル』で、あなたはまだ目覚めたばかりの『シンデレラ』なので……」
日菜子「目覚めたばかりの『シンデレラ』……むふふ、なんて妄想が捗るワードなんでしょう……!」
乃々「そんな、目を輝かすような意味じゃありませんけど……」
日菜子「そうなんですかぁ……むふふ、私の『アイドル』というのも妄想が捗りそうな単語ですが……」
乃々「……そちらも、決していい意味では……いえ、別にあなたのそばにいるのが嫌というわけではないですけど」
聞き覚えの無い単語が、日菜子の妄想をくすぐる。
そのまま空想の世界に入ろうとする日菜子を乃々が引き留めて話を続けた。
乃々「……あなたは、この日常に違和感を感じますか?」
日菜子「日常に違和感……?そうですねぇ、特には……」
乃々「そうですか……この日常は、好きですか?」
日菜子「日常が……好きか? そんなの――」
↓2
1.日菜子「当然、毎日楽しいですよぉ」
2.日菜子「うーん、妄想さえできれば特に……」
3.その他返答(自由安価)
日菜子が唇に手をあて、はてと考える。
日菜子「うーん、妄想をしている時が一番幸せ、ですかねぇ……」
日常、毎日、起きて、学校に行って、妄想をして、授業を終えて、帰宅して、妄想して……
彼女の日常は妄想と共にあった。だから、日常が好きかと聞かれれば好きだ、と言える。
それは、日常がそのまま妄想のことを指すからだ。
乃々「……そうですか。なら、大丈夫です」
日菜子「大丈夫……って何がですか?」
乃々「『シンデレラ』は……他の『シンデレラ』を蹴落として、ただ一人だけのお姫様を目指します」
日菜子「……他の、シンデレラ」
乃々「ええ……あなたは目覚めたのが早い方、だと思いますけど……他にも目覚めた人たちはいるみたいです……」
日菜子「むふ、シンデレラはいじわるな継母や義姉たちに虐げられるものですものねぇ……」
乃々「……そのあたりは、たぶん。詳しい人に聞いたほうが早いと思いますけど」
日菜子「詳しい人……ですかぁ」
乃々「私は、ここにはもういない『アイドル』なので……どこにも帰れませんし、早く何もかも終わってほしいんですけど……」
日菜子「それは少し寂しいかもしれませんねぇ……だって、妄想してたような非現実がやっと叶いそうなのに……」
乃々「……そのあたりは心配ないと思いますけど。勝ち抜けば願いが叶うはずですし……」
日菜子「……願いが……叶う……?」
乃々「ええ……そうです」
日菜子「それはとっても素敵ですねぇ……むふふ、願いが、ですかぁ……」
乃々「詳しいことはたぶん、学校で――あっ」
日菜子「どうしたんですか?」
乃々「いえ……その……時間が……」
日菜子「……あっ」
――――
――
日菜子「むふ、ふふ……ギリギリ、セーフですね……」
乃々『流石にちょっと罪悪感が沸きますけど……』
あの後すぐに走り出し、ギリギリで教室に飛び込んだ日菜子は、ぐったりと机にもたれかかった。
浅い呼吸が短い間に何度も繰り返される。
乃々の姿は見えなくなったが、声だけはいまだに日菜子に聞こえていた。
「必要になればまた」と言い残し、その場で霞のように立ち消えたのだ。
もうすぐ授業が始まる。
どうにか息を整えようと勤めて深く吸って吐き出したところで、頭の上から声が聞こえてきた――
↓3
1.ちひろ「おはようございます、日菜子ちゃん?」
2.その他アイドルより、何らかのセリフ(アイドル及びセリフ指定)
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