八幡「秘密な二人」 (70)
街中
三浦「はぁ~あ」
八幡「なんだよ、その溜息は」
三浦「なんかあんたとこうやって歩いてるのがおかしいのよ」
八幡「へいへい、申し訳ないです」
三浦「変なもんよね、あーしが隼人に振られてもう3か月か」
八幡「そういや、もうそんなになるのか」
三浦「あんたに慰められてさ…なんかアホみたいじゃん、私…」
八幡「あ、普通に言えるんですね」
三浦「当たり前」
八幡「未だに、帽子とサングラスだしな、お前…」
三浦「あんたと一緒のところ見られたくないし」
八幡「そりゃわかるけどよ…」
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八幡「未だに、学校では冷たいしなおまえ」
三浦「こうして、二人でいるときは優しいみたいな言い方すんなっ」
八幡「優しいだろ…けっこう」
三浦「ば~か」
八幡「…まあ、学校では俺は底辺だしな。お前のステータスに影響するし」
三浦「いや、そっちはいいんだけどさ…」
八幡「は?いいのかよ…?」
三浦(こいつは案外気づいてない…)
三浦(結衣に知られたくないだけ)
三浦「ま、なんでもいいでしょ」
八幡「途中でやめられたら、気になるんだが…」
三浦「気にスンナっての、みみっちい男は嫌われるし」
八幡「はあ…でも、元気になったな、お前も」
三浦「…ま、あーしだっていつまでも気にしてられないしね」
八幡「少し安心したぞ。あの時のお前、正直見てられなかったし」」
三浦「そんなにひどかったっけ?」
八幡「ああ、一色の何倍もな」
三浦「そういえば、あんたいろはも慰めたのよね?」
八幡「発想がエロイぞ…三浦」
三浦「その想像の方がエロイっての…アホ丸出しだし」
八幡「対して、慰めてないからな?三浦の方が大変だった」
三浦「あんた、結構そういう才能あるかもね。人の気持ち慰めるっていう」
八幡「限定的だな、おい」
三浦「心理カウンセラーみたいな」
八幡「ははは、喜んでいいのかわかんねぇよ」
三浦「まあ、いいや。帰る?」
八幡「そうするか」
三浦「ん…」
八幡「…?」
三浦「…」
八幡「……」ギュウ
三浦「よしっ」
八幡(こういうしぐさのあーしさんが可愛いと思うようになってしまった…)
八幡(ていうか、あーしさん、想像以上に乙女…)
次の日、学校にて
八幡「夏真っ盛り…3年で受験生…なにこの2重苦…」
結衣「夏で受験生だと2重苦?そうかな?」
八幡「暑いのに、勉強とかやってられん…クーラーの電気代もバカにならんし」
結衣「それはあるかも、でもさ夏だよ?海とか楽しみじゃん~っ」
八幡「それはお前らリア充どもだけだ…俺は知らん、そんな夏」
結衣「もう…ヒッキーはそうやって思ってもないこと言うんだから…」
八幡「思ってるぞ…バリバリ思ってる」
結衣「そんなこと言ってさ…」
八幡「ところで、いつの間にいたんだよ由比ヶ浜…」
結衣「えへへ、やっはろ~!」
八幡「相変わらず、元気な奴」
結衣「ねね、今度さ、海とかプールとか行こうよっ!」
八幡「行かない」
結衣「即答だし…いいじゃん、熱さ乗り切って勉強に打ち勝たなきゃ!来年は受験だしさ」
八幡「来年受験か…はあ」
結衣「あたしも、絶対合格したいからさっ!」
八幡「…暑いのはごめんだな…はあ、考えとく」
結衣「うん、ありがとうっ」
八幡「考えとくだけで、OKとは言ってないぞ」
結衣「大丈夫だよ、ヒッキーこういう時はOKしてくれるの知ってるもんっ」
八幡「なにその見抜いたような発言…」
結衣「ずっと見てたんだから、ヒッキーのこと」
八幡「……おい」
結衣「あははは」
教室
戸塚「やあ、八幡。おはよう」
八幡「おう、戸塚か…部活だったのか?早いな」
戸塚「うん、僕ももう引退なんだけどね」
八幡「そうか、それは肩の荷が下りたな」
戸塚「そういえば、奉仕部の方は引退とかあるの?」
八幡「普通ならあるはずなんだが…平塚先生は鬼畜で」
戸塚「…?」
八幡「依頼がある限り、卒業までだそうだ」
戸塚「え…そ、それは…大変だね…あはは…」
八幡「ま、その間は勉強部屋として使ってもいいそうだからな」
戸塚「そうなんだ」
八幡「戸塚も来ないか?いや、来てください」
戸塚「僕が行っても大丈夫なの?」
八幡「当たり前だろ、マイブラザー」
戸塚「じゃあ、機会があったら行くよ」
八幡「頼む…女子の比率が多すぎて、そろそろヤバい」
戸塚「モテモテだね、八幡」
八幡「断じてそんなことは……」
戸塚「八幡?」
八幡(なんか、三浦の顔が思い浮かぶな…)
戸塚「どうかした?」
八幡「いや…なんでもない」
結衣「優美子、おはよ」
三浦「おはよ、結衣。なんかいいことあった?」
結衣「え?な、なんのこと?」
三浦「顔、にやけてるし」
結衣「あ、えへへ。わかる?」
三浦「隠そうとしてないし…まったく、なにがあったん?」
結衣「ヒッキーがさ」
三浦「…ヒキオが?」
結衣「今度、海に連れて行ってくれる」
三浦「……あっそ」
結衣「まだ、考えとくって言っただけだけどさ、ヒッキーは」
三浦「それってまだわかんないんじゃないの?あいつ面倒臭がりだしっ」
結衣「大丈夫だよ、こういうのは守ってくれるもん」
三浦「……」
結衣「優美子、どうかした?」
三浦「あ、ううん。なんでも…」
結衣「そう…?」
三浦(あいつ…私にはそんなこと言ったことないくせに…)
戸部「なあなあ、隼人君、帰りにカラオケしてかね?」
葉山「まあ、いいけど。俺達だけでか?」
戸部「じゃあ、優美子とかも呼ぶべ。お~い」
三浦「聞こえてるっての」
葉山「なら、どうかな?一緒に」
三浦「隼人たちと?」
葉山「他に誰か呼ぶかい?」
三浦「いや、誰もいないし。結衣も来る?」
結衣「あたしは部活あるからさ、パス」
戸部「そういや、奉仕部って引退ないの?」
結衣「そうみたいだよ…先生が鬼に見えたし」
三浦「ていうことはヒキオも…」
結衣「優美子?」
三浦「あ、なんでもないって」
葉山「じゃあ、俺達だけで行こうか」
三浦「あとは海老名誘うし」
戸部「おっけ~」
今日はこのくらいで
部活
八幡「ここに籠ってるが…依頼が来ないな」
雪乃「いつものことでしょう、それより受験生としての本分が重要よ」
結衣「だよね…でもこう暑いとさ~」
雪乃「確かに暑いわね」
結衣「だよね、だよね?」
八幡「おい、自然な流れで持って行こうとすんなっ」
結衣「なによ、いいじゃんっ」
雪乃「なんの話をしてるの?」
結衣「みんなで海に行こうって話」
雪乃「海へ?」
結衣「うん、暑いしさ。夏休みももうすぐだし」
八幡「受験生がなに言ってんだって感じだろ?」
雪乃「そうね…でも」
結衣「一回も遊びに行かない、缶詰の方が危険だと思うけどな」
雪乃「確かに一理あるわね」
八幡「おい、懐柔されんなよ…」
結衣「やった、じゃあゆきのんも参加でいいよねっ?」
雪乃「ええ、それは構わないけれど…奉仕部の3人で行くの?」
結衣「う~ん、どうしよっか?あたしは3人でもいいけれど」
八幡「待て待て、これじゃ俺がさらし者みたいだ」
雪乃「ひきこもり谷君が目立ってしまうわね、美少女の間に入ってしまうと」
八幡「それ突っ込みどころか?」
雪乃「突っ込みを入れてくれないと、とても恥ずかしいんだけれど…」
八幡「なんでやねんっ」
雪乃「…もういいわ」
結衣「じゃあ…他に呼ぶとしたら…いろはちゃん?」
八幡「まてまて、女子比率高すぎだから、女性専門っぽい業種でも3割は男の時代だから」
雪乃「管理の立場の人物になると、急激に男性の割合が増えるよね。だからセクハラもそれに応じて…」
八幡「待て、話が脱線しすぎだ」
結衣「他に呼ぶ人の候補いるの?」
八幡「戸塚は連れて行くぞ」
結衣「あ、うん。彩ちゃんね、いいよ」
雪乃「女子の割合がまた増えたわね」
八幡「まあ、そう言いたくなるのもわかるが、あいつは天使だからな」
雪乃「男とは言わないのね、あれもついてるのよ?」
八幡「やめろ」
結衣「でもさ、なんか楽しくなりそうだよね~っ」
雪乃「…まあ、たまには気分転換もいいかもしれないわね」
結衣「うん、じゃあまた日程とか調整しようね」
雪乃「ええ」
雪乃「最近、同じような日々が続いてるような気がするから」
八幡「…」
八幡「お前の場合、奉仕部と自宅マンションで一人ってのが多そうだからな」
結衣「そういえば、ゆきのん一人暮らしだもんね」
雪乃「そうね、寂しさを感じたことはないけれど」
八幡「そうかよ」
雪乃「ただ、たまには誰か居てもいいような気がするわ」
八幡「…?」
雪乃「今夜、家にご飯を食べに来ないかしら?」
八幡「は、はあ!?雪ノ下…!?」
結衣「ちょっ…ゆきのん…!?」
雪乃「…?二人でよ?」
結衣「二人で…?あ、そうだよね、あははっ」
雪乃「ええ、なにをそんなに焦ってるの?」
結衣「ううん、なんでも」
八幡(まあ、考えれば当たり前のことだが…なんか驚いた)
雪乃「比企谷くんを家に入れるのは危険な気もするけど、携帯電話を110番に合わせてればなんとか」
八幡「ひどすぎますよ、雪ノ下さん。あと、そこまでして呼ぶな」
結衣「行ってもいいの?」
雪乃「ええ、あなた達がよければ」
結衣「ヒッキーは?」
八幡「…わかったよ、行く」
結衣「やったっ」
八幡(なんだかんだで、奉仕部の仲も進展してきてるな。去年なら、考えられないことだ)
ブルル
八幡「もしもし」
三浦「ヒキオ?あーしだけど」
八幡「三浦からかかってくるのが信じられん」
三浦「何言ってんのよ、いまさら…ところでさ」
八幡「おう、なんだ?」
三浦「今日、みんなとカラオケに行くことになっちゃってさ」
八幡「ああ、そういうことか」
三浦「先に帰ってて」
八幡「ま、ちょうどよかったわ」
三浦「あれ?そっちも約束あんの?」
八幡「いや、まあ…ちょっとな」
三浦「なに?なにがあんの?」
八幡「雪ノ下の家でご馳走になる予定だ」
三浦「え…?」
八幡「奉仕部3人でな」
三浦「…ふ~ん、うまく行ってるんだ」
八幡「おいおい、なんのことだよ…」
三浦「よかったじゃん、奉仕部の仲いい感じで」
八幡「おう…まあなんとかな」
三浦「そういうことならわかった。それじゃ、またね」
八幡「ああ、またな」
ピッ
三浦「……なんか、モヤモヤする…」
次の日 学校にて…
ワイワイワイワイ
八幡「朝からにぎやかだな…なんかあったのか?」
戸塚「さあ?どうだろう?」
八幡「ふあ…」
戸塚「なんだか眠そうだね?寝てないの?」
八幡「そんなことはないんだが…」
戸塚「?」
八幡(昨日は…はあ…)
三浦「……」ジー
八幡(なんか、三浦が見てるような…)
海老名「どうしたの、優美子?」
三浦「海老名…なんでも」
海老名「そう?なんか機嫌悪そう」
三浦「そんなことないって」
三浦「ねえ、結衣さ」
結衣「えっ、なに?」
三浦「なんか寝起きって感じ…」
結衣「え?そ、そう…そんなことは…」
三浦「……」
戸塚「でもさ、髪もボサボサだし…シャワーは浴びた?」
八幡「一応…でも」
戸塚「どうしたの?」
八幡「昨日から、家に帰ってない…」
戸塚「ええっ?」
八幡「泊まるハメになってしまったんだよ…はあ」
戸塚「なにがあったの?」
八幡「二日酔いでして…」
戸塚「八幡…」
八幡「場の空気っていうのがあってな…」
戸塚「まさか、八幡がそんなことを…」
八幡「その軽蔑の目線やめてくれ戸塚…うう」
戸塚「まあ、僕も飲んだことくらいはあるけどさ」
八幡「そ、そうだろ?この歳だしな、やっぱね」
戸塚「八幡…今、大事な時期だよ?」
八幡「…はい」
戸塚「どこで飲んだの?まさかお店とか?」
八幡「まさか…家」
戸塚「でも、さっきは帰ってないって」
八幡「雪ノ下の家…」
戸塚「ええっ!?」
八幡「戸塚っ、声が大きいぞ」
戸塚「雪ノ下さんの家…?まあ、二人がそんな関係でも驚かないけどさ」
八幡「こらこら、変な勘違いすんな。由比ヶ浜も入れての3人だから」
戸塚「3Pか」
八幡「どこでそんな言葉覚えたんだ、お父さんそんな子に育てた覚えはないぞ」
戸塚「え…でも、事情はなんとなくわかるけど…本当に何もなかったの?」
八幡「なにも…ない」
戸塚「目が泳いでるよ八幡…」
八幡「……」
戸塚「でも…まあ、いいんじゃないかな?」
八幡「…え?」
戸塚「あの二人とさ、八幡なら…そういう仲になってもいいんじゃないかな?」
八幡「いや…あのね」
戸塚「きっかけがお酒の勢いっていうはどうかと思うけど…まあそれもありじゃない?」
戸塚「ほら、みんな奥手だしさ。たまには強引にっていうのも」
八幡「あのな…そういう勢いはますい…今の俺には」
戸塚「八幡はさ、雪ノ下さん達じゃ不満なの?」
八幡「いや、そんなことはないけど」
戸塚「僕は、奉仕部のどちらかと早くゴールインしてほしいと思ってるよ」
八幡「戸塚……」
結衣「ねね、優美子さ」
三浦「な、なに?」
結衣「えっと…あ、あたしさ…」
三浦「??」
結衣「やっぱり、恋って盲目なんだなって思っちゃった」
三浦「ふ~ん、そういうもんかな」
結衣「昔、友達でお酒の勢いでしたって話聞いたことあったけど」
三浦「結衣?」
結衣「そ、そういうのも悪くないのかなってさ」
三浦「それって…」
今日はここまで
あ
三浦「結衣からそんな話するなんて…なんかあったの?」
結衣「えっとさ…実は…昨日さ」
三浦「う、うん…(知らない振り知らない振り…)」
結衣「ゆきのんの家でご飯食べたんだけど…ヒッキーも呼んで」
三浦「へ、へえ…ヒキオもね…へえ」
結衣「でさ…えっと…案外話も盛り上がって…家に置いてあったお酒に手を出してさ…」
三浦「結衣~なにやってんのあんたは…」
結衣「えへへ」
三浦「そんなかわいい顔でとぼけても駄目」
結衣「ごめんなさい…」
三浦「まあ、家だし見つかることはないだろうけど…見つかったら大変じゃん」
結衣「うん…あはは、場の空気がね?」
三浦「…で?それだけ?」
結衣「えっ?」
三浦「え?じゃないでしょ、他になんかあったんでしょ?」
結衣「え…そ、それは…そのまま泊まることになったけどさ…」
三浦「それは別に問題ないでしょ、問題はヒキオ」
三浦「あいつはどうなの?」
結衣「気になるの?優美子…ヒッキーのこと」
三浦「え…あ、いや…そうじゃなくて…ほら男が女の家行ってるわけだしさ」
結衣「あ、だ、だよね?ビックリしちゃった」
三浦(結衣ってこういうの勘がいいかも…あぶな)
結衣「えっとね…ヒッキーも…泊まった…」
三浦「ええっ!?ウソ…」
結衣「優美子…声が大きいよっ!」
三浦「あ…ご、ごめん…」
結衣「それでね…あははははっ」
三浦「あんのバカ…」
結衣「どしたの優美子?」
三浦「結衣、詳しいことは後で聞くね」
結衣「え?あ…うん…」
三浦(結衣、すっごい照れてる…まさか…)
三浦(ていうか、どんなことまでしたのよ?)
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八幡さん絶倫!?