―――――事務所―――――


本田未央「おはよーございまーっす！」

渋谷凛「……」ﾍﾟﾗ

未央「しぶりん、おはよー！……お？それ、雑誌？」

凛「ああ、未央、おはよう。そうだよ、この記事見てたんだ」

未央「どれどれ……」

未央「あ！ニューウェーブじゃん！この前の初ライブの記事だ！」

凛「うん。成功したみたいだね」

未央「いやぁ～、後輩の活躍は嬉しいものですなぁ～」

凛「そうだね、ニウーブにはもっともっと頑張ってほしいね」

未央「なにその略し方！？」

凛「あれ？言わない？ニュェーブって」

未央「もう変わってるじゃん！そもそもどうやって発音してるのそれ！？」

凛「こう……ノドを……ｸﾞｪｯ……ってして……」

未央「そこまでして発音したくないよ」

凛「まあ、そんなことはどうでもいいんだよ」

未央「腑に落ちないなあ……」

凛「未央ってさ、ニューウェーブの3人と喋ったことある？」

未央「え？わりとあるけど……。ほら、レッスンが前後だったりしたらその間とか。すれ違ってもちょっと話すし」

凛「……流石のクソコミュ力だね」

未央「褒めてるんだよね？」

未央「あれ？もしかしてしぶりん……」

凛「……」

未央「え、ニューウェーブの3人と喋ったことないの！？」

凛「な、ないわけじゃないって！『おはよう』とか『おつかれ』とか……」

未央「それが会話なら私は毎日数百人と会話してることになっちゃうよ」

凛「だ、だって何を話せばいいかわかんないし」

未央「いや、それにしたって……」

凛「全然向こうからも話しかけてくれないし……」

未央「あ～、しぶりん、ちょっと最初の印象が怖いって思われがちだもんね……」

凛「私も未央みたいに“コイツ別に何言っても平気そうだなオーラ”が欲しいよ」

未央「さっきからちょくちょく煽ってくるのはなんなの？」

凛「だからさ、ちょっとアドバイスをしてほしいんだ」

未央「アドバイスって……3人と話すための？」

凛「そうそう」

未央「しょうがないなぁ～！この未央ちゃんが、ジュース1本で請け負ってしんぜよう！」

凛「じゃあいいや、おつかれ」ﾄｺﾄｺ

未央「ちょ、ちょっとちょっとちょっと！！？？」ｶﾞｼｯ

凛「？」

未央「何でそんな純粋な表情ができるの！？」

凛「150円は高いな……って」

未央「そんなに器狭かったっけ！？」

凛「未央、よく考えてみなよ。こっちは“アドバイスして”って言っただけなのに、その返事で150円請求されたんだよ？」

未央「請求て」

凛「世が世なら本田/未央だったよ」

未央「そんな世紀末の価値観を持ってこられても！」

未央「わかったわかった！ジュースいらないから！」

凛「しょうがないな……」

未央「何様！？」

凛「いつも、どうやって喋ってるの？」

未央「どうやってって言われてもねー、なんとなく、言いたいことを言ってるだけだし……」

凛「ﾁｯ」

未央「態度」

凛「ｳｨｯｽ」

未央「しぶりん！！」

未央「やっぱり、何か共通の話題を持っていくといいんじゃないかな？」

凛「なるほど……」

未央「じゃ、とりあえず1人ずつ、趣味とか好みとかを見ていこっか」

凛「そうだね、まずはあの赤いヤツから……」

未央「三人称が失礼極まりないな！！！」

未央「まずは村松さくらちゃんだね」

凛「聞いたことある」

未央「なきゃ困るんだよ」

凛「趣味は……“ピンクの物集め”だって」

未央「衣装もピンク系が多いよね。……でもしぶりんはピンクのイメージ薄いし、この線で攻めるのは難しいかな」

凛「ピンクな物で難しい場所（意味深）を責める！？」

未央「急にどうしたの！？」

凛「他に何か情報は」

未央「何事もなかったように進むの……？」

未央「まあいいや……。さくらちゃんは、しまむーみたいに笑顔が素敵だよね」

凛「『笑顔が素敵ですね』って話しかければいいの？」

未央「それはナンパって言うんだよ」

凛「『あなたの笑顔は今まで見たどんな宝石よりも輝いている……』」

未央「本格的に落としにかかってない！？」

凛「じゃあどうすればいいのさ！」

未央「り、理不尽……。私が言いたいのは、さくらちゃんはしまむーと似てるから、いつもしまむーに話しかけるみたいにすれば良いんじゃないかなってことだよ」

凛「いつも卯月に話すみたいに……」

未央「うんうん、それなら緊張もしないと思うし」

凛「そうだね……。いつもみたいに……。『卯月、明日、ザギンでシースーどう？』みたいに……」

未央「いつもそんなこと話してるの！？」

凛「じゃあ、さくらはもう大丈夫だね」

未央「大丈夫？このままいくと銀座で一緒にお寿司食べるルートだけど？」

凛「次、青いヤツ」

未央「そこは改善する努力をして！！！」

未央「大石泉ちゃんだね」

凛「よくパソコン持ってるのは見るんだけど……」

未央「趣味がプログラミングだからね。パソコンいじりが好きみたい」

凛「うーん……機械には疎くて……」

未央「私もあんまりかなー」

凛「卯月はよく防衛省をハッキングしてるらしいけど……」

未央「しまむー！！？？」

凛「どうやって話そうかな……」

未央「しまむーの件が気になってしょうがないんだけど」

凛「もう！今は私と泉の話でしょ！集中して！」

未央「誰のせいだと思ってるのさ！？」

未央「でも、イメージカラーは青だし、しぶりんと話は合いそうだけどね」

凛「言われてみればそうだね。しかも、ユニットのクール担当ってとこも共通してるし」

未央「ちょっと前まではここで頷いてあげることができたのになぁ」

凛「じゃあ、まずは小手調べに『蒼の波動に魅せられたのはいつ頃？』って聞いてみようかな」

未央「多分、もう二度と話しかけてはもらえないよ」

凛「じゃあラストの守銭奴」

未央「しぶりん、ニューウェーブに恨みでもあるの？」

未央「土屋亜子ちゃんだね。確かにお金は好きみたいだけどさ」

凛「趣味：貯金だって。しっかりしてるね」

未央「そうだね、ニューウェーブのお給金とかは一括して管理してるみたいだし」

凛「じゃ、『友達を紹介するだけで楽して稼げる方法があるんだけど……』で一発だね」

未央「一発で逮捕まで持ってかれそうだね」

凛「最悪、お金を渡せばいっか」

未央「本当に最悪の一手だね」

凛「10円で1分くらいかな」

未央「公衆電話みたいなシステム！？」

凛「今の子はテレフォンカードとか知らないのかな」

凛「あっ、菜々さんは知ってると思うけどね」

未央「人選が悪意にまみれてるよ」

凛「こんなところかな……」

未央「これで納得できたの？本当に？」

ｶﾞﾁｬ
島村卯月「おはようございます！」

未央「しまむー！おはよ！」

凛「ちょうどよかった。卯月ってさ、ニューウェーブといつもどんなこと話してる？」

卯月「政治か宗教か野球の話ですね！」

未央「3大タブーを的確に！？」

未央「なんでそんな地雷原でダンスを踊るかのような選択を！？」

卯月「不合理に身を委ねてこそギャンブルです！」

未央「その福本作品みたいな価値観はどこで手に入れたの！？」

凛「なるほど……仲良くなるためには時にケンカも必要って言うもんね」

未央「初手から殴り合いを始めて仲良くなれると思ってるの？」

凛「2人とも、ありがと。勇気が出たよ。私は、誰かに背中を押してほしかっただけなのかもしれないね」

未央「よくもまあ良い雰囲気で終わらそうとするよね」

卯月「頑張ってください凛ちゃん！」

未央「しまむーのせいでこれから地雷原でのダンスが待ってるんだよ？」

凛「仲良くなってみせる……！ニーェーブと！」

未央「略し方！！！」



おわり

過去作

橘ありす「名探偵フレデリカ？」

白菊ほたる「今日のゲストは藤居朋さんと緒方智絵里さんです！」

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