【艦これ】涼風のバレンタイン (14)

五月雨「涼風はバレンタインどうするの?」

涼風「あー? ばれんたいんってなァ、なんでィ」

五月雨「もー、去年もチョコレートあげたでしょ!」

涼風「おおっあの気前のいい日かぁ!」

五月雨「で、どうするの?」

涼風「どうするって、ありがたくいただくけど」

五月雨「そうじゃなくってー。涼風は誰かに贈ったりしないの?」

涼風「なるほど確かに貰ってばッかじゃいけねェ、あたいも負けてらんないね!」

五月雨「そうじゃないけど……、まぁ、いいかな」

涼風「そうと決まったらこうしちゃいられねェ! 準備だ準備!」

五月雨「ちょ、ちょっと涼風、どこいくの!?」

涼風「五月雨にもチョコあげるからなー!」タタタ..
 

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-数日後-

涼風「ほらほら五月雨、どーだっ!」ドサッ

五月雨「わぁ! だ、ダンボールいっぱいのチョコレートなんて、どうしたの!?」

涼風「へっへへ、陽炎と協力してちょいと」

五月雨「ま、まさかギンバイ……」

涼風「おぉーっと、細けェことはいいっこなしだ! それに代金なら陽炎がさるルートから済ませてくれてる。手回し周到ってもんよ!」フフン

五月雨「まったくもう。でも、こんなに配るの?」

涼風「おうとも! いやー誰にあげようか考えてたら止まらなくなっちまって」

五月雨「それでこんなに?」

涼風「陽炎も箱ごとちょろまかすほうがバレにくいっていうしさァ」

五月雨「へ、へぇー……」
 

涼風「ほらっ五月雨にもやるよ!」

五月雨「えっ!? まだバレンタインじゃないよ!?」

涼風「あァそっか。じゃァこれは隠しとかねェと」ゴソゴソ

五月雨「それにしても、ほんとに気前がいいね。わたしもだけど、みんな小さく手作りしてるのに」

涼風「手作りだァ?」

五月雨「涼風はお菓子作りとか――しなさそうだね」

涼風「てやんでえ! あたいだってそンくれェできらァ」

五月雨「ええー」

涼風「よォーっし、あした烹炊所を借りて作ろー!」

五月雨「お、おー」
 

涼風「だめだった……」

五月雨「烹炊所の使用願いが殺到して、日時を決めて合同で利用することになったんだね」

涼風「仕方あんめェ! じゃあ先に何を作るか決めよっかー!」

五月雨「決めてなかったの!?」

涼風「え? うん。でさ、何がいいかな?」

五月雨「うーん、簡単で数が作れるといえばトリュフとか生チョコとかかなぁ」

涼風「とりふ? なんか粋な響きじゃねェかーっ!」

五月雨「そう? じゃあトリュフにしよっか。でもこんなにいらない……というか、全部調理しようと思うとすごい大変だと思うけど」

涼風「そうかィ、そんならいらねェぶんは陽炎に流してもらうかァ」

五月雨「……なんというか、陽炎さんってすごいね」

涼風「そりゃそうさァ! あ、で、とりふを作るのにどれくらい必要なんでィ」

五月雨「何人に配るつもりなの?」

涼風「白露形のみんなだろ、満潮だろ、長波だろ、伊勢や山城にも贈ってやるかァ」

五月雨「えーと、トリュフもけっこうたくさん作れるから、うん、これだけあればいいかな」

涼風「こんだけぇ!? こんなにあるのに!」

五月雨「ふふっ、うん、みんな欲しがると思うからいいんじゃない?」

涼風「むうー、みんなが欲しがってるなら、間尺にあわねェなんて言ってられねェなァ」

五月雨「さすが涼風! 気風がいいね!」

涼風「そ、そうかィ? へ、へへへ!」
 

-2/13-

涼風「さァーって、菓子作りはじめよっかァー!」

五月雨「はーい!」

涼風「んで、どうやって作るンだ?」

五月雨「………。うん、わかってたけどね? えっと、まずチョコレートを細かく刻みます」

涼風「がってンだぁ!」ガコガコガコ

五月雨「わたしもやろう」タンタンタン

涼風「なんかあっちのほう、賑やかだねェ」

五月雨「金剛さんたちだね。金剛さんはきっと提督に贈るんだろうな」

涼風「あッ提督かァ! 忘れてた、あたいも贈ろう!」

五月雨「え? 本命?」

涼風「ほんめい?」

五月雨「あっ。あー……」
 

―――
――

涼風「いっ意中の相手に渡すだァ!?」

五月雨「ちょっと、涼風、声が大きいってば」

涼風「そっそんなん聞いてねェってばー! 気前の良さを見せ付けるんじゃねェのかィ」

五月雨「わけわかんないよその行事……」

涼風「じ、じゃあ、あたいが提督にチョコレートを渡したら、」

五月雨「涼風が提督のこと好きだってことになるね」

涼風「べらんめえッ! そそそそんなこと、できっかァ!」

五月雨「ちょっと、包丁振り回さないで! 小破したらどうするの」

涼風「ご、ごめん」
 

五月雨「えっとね、チョコは本命だけじゃなくて義理チョコっていうのもあるの」

涼風「義理?」

五月雨「そうそう。意中の相手じゃなくて、義理のあるひと、お世話になってるひとに渡すっていうのかな」

涼風「おおっそれァいいじゃねェかァ! 提督には世話になってるかんな、うん」

五月雨「それから、友達に渡す友チョコっていうのもあるよ」

涼風「なんッかややこしくなってきやがったな」

五月雨「でももともと西洋ではチョコレートとは無関係らしいけど」

涼風「だァーッ、こまけェこたァ知らねェ!」

五月雨「あはは。はい、生クリーム熱しておいたからこれかき混ぜて」

涼風「はいよ!」

五月雨「あとはオーブンシートを敷いといて、っと」

霧島「ちょっとみんな聞いてくれる? 冷蔵庫で冷やす際には名前をメモしておいて! 誰のかわからなくなるから!」

比叡「ひえぇー! どれが私のかわからなくなってしまいましたー!」

金剛「Oh、姉妹で一緒にいれたせいですネー。ヒエイ、大丈夫デース!」

榛名「すいません! 榛名が気がつかなくてっ」

涼風「おー?」

五月雨「ああ、それは気をつけなきゃ。書いとくね。す、ず、か、ぜ、っと」

涼風「五月雨ー、これいつまで混ぜてればいいんでィ」

五月雨「あ、もういいよー」
 

五月雨「そんなこんなでトリュフ完成!」

涼風「うあー慣れねェことしてくたびれたっ」

五月雨「もうちょっとがんばらなきゃ、涼風」

涼風「なんでィ」

五月雨「ラッピングしないと。こんな袋に小分けしてリボン結んだりしてね」

涼風「おっくうだねぇ、何に入れてたって変わりゃしねェだろ」

五月雨「ちょっとリボンつけたりするだけで印象がぜんぜん違うよ。気持ちをこめなきゃ」

涼風「そんなもんかィ。じゃぁちッとやってみっかァ」

五月雨「わたしも手伝うから、溶けないように手早くやっちゃおう」

涼風「ほいさ! こうか! てやぁーっ」
 

-2/14-

涼風「ほい! 陽炎にゃ世話ンなったなァ」

陽炎「なんのなんの。こちらこそ久しぶりに腕を振るえたよ」



江風「ほら、姉貴らのついでに涼風にもやるよ」バシバシ

涼風「おう、みんなのついでに江風にもやるよ」バンバン



涼風「おーい満潮ー! チョコやるよー!」

満潮「ふん! ……ありがと。これあげるわよ」

 

涼風「次は――提督か。んっ、べ、別にどきどきなんてしてねェ、してねェから……」ボソボソ

涼風「……よしっ」

バタン!

涼風「いよォーッ提督、あたいもチョコ持ってきたぜー!」

提督「ああ、涼風。うん、やっぱり君は義理人情に厚いもんな」

涼風「んん? あ、ああ、そうさっ、これ、あたいが作った」

提督「手作りなのか。それは嬉しいな。ありがとう、涼風」

涼風「ぁ、ん、て――」カァ

提督「ん?」

涼風「て、てやんでぇ! 持ってけドロボー!」ブンッ

提督「うわあ! なんで投げるんだ!」パシッ
 

涼風「はー……あ、五月雨」

五月雨「どうしたの? 涼風。顔赤いよ」

涼風「うっ。なっなんでもねェっ」

五月雨「ふーん?」ニコニコ

涼風「なんだッ」

五月雨「うふふ。なんでもないよ。はい、これ。わたしから」

涼風「おおっ! ありがとうな! ん……あたいと作ってたやつじゃねェのか?」

五月雨「うん。あのあとこっそり作ったんだ」

涼風「気付かなかった。おぉー、黒っぽいじゃねェか、さすが五月雨だねェ」

五月雨「えへへ。ありがとう」

涼風「あたいのは、五月雨に手伝ってもらったから、その」

五月雨「ううん。わたし、涼風ががんばってたのを一番近くで見てたんだよ。嬉しい。ありがとう」

涼風「へ、へへっ! いいってことよォー!」

五月雨「一緒に食べよ?」

涼風「うん! ばれんたいんって、楽しいなッ!」



おしまい
 

ありがとござましたー 涼風かわいい

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