勇者一行と魔王軍の死闘は熾烈を極めた……。
鋼鉄に命を吹き込まれ動き出した大巨人――
溶岩よりも熱い炎を吐くドラゴン――
魔王に絶対の忠誠を誓う四天王――
元英雄でありながら悪魔に魂を売った暗黒騎士――
魔界ナンバーワンの暗黒魔法の使い手といわれる側近――
いずれも強敵であった。
それでも勇者たち四人は全てを乗り越えてみせた。
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勇者「ここが魔王の部屋だ……みんな、準備はいいか!?」
戦士「おう、余裕だぜ!」
女魔法使い「私もバッチリよ!」
女僧侶「準備万端です!」
勇者「よし、いくぞ! 俺たちの力なら絶対に魔王を倒せる!」
自信たっぷりな言葉とは裏腹に、皆は予感していた。
自分たちが生還できる確率はおそらく五分五分、いやそれ以下であると。
しかし、それでいい。
それでこそ自分たちの冒険の終幕を飾るに相応しい相手なのだ。
四人は勇気を奮い立たせ、いざ扉を開く。
勇者「魔王ッ! 我らが今こそ、お前の野望を打ち砕くッ!」
バァンッ!
魔王「ふふふ……わざわざ死にに来るとはご苦労なことだな」
“邪悪”を具現化したかのような異形に、禍々しい鎧とマントを身に付けたその姿は、
まさに魔王の名に恥じぬものであった。
妖しい光を放つ瞳に睨まれただけで、膨大な殺意が降りかかってくる。
勇者「ぐっ……!」
戦士「これが……魔王か!」
女魔法使い「ゾクゾクするわ……こんなの初めて!」
女僧侶「こうして向き合ってるだけで生きた心地がしませんね……」
魔王「さて……始めようか」
魔王「お前たちを亡き者にし、人間どもをゆっくり根絶やしにするとしよう」
静かに、そしておごそかに戦闘開始を告げる。
威圧的な言葉がないせいで、かえって勇者たちの恐怖心は煽られる。
勇者(これが……これが魔王、か!)
勇者(まるで、今までの強敵が全員赤子にも思えてしまうほどの存在感だ……!)
勇者(だけど……負けるわけにはいかないッ!)
勇者「みんなぁっ!」
勇者「分かってるだろうが、こいつは今までの奴とはちがう!」
勇者「今までの常識を捨てて、かかっていこう!」
戦士「お……おうよ! よくいってくれた!」
女魔法使い「そうね……今までのセオリーなんざクソ喰らえよね!」
女僧侶「分かりましたっ!」
魔王「ふふふ……来るがいい。己が無力、思い知らせてくれよう」
ついに決戦の火蓋が切られた――
女僧侶「では私からっ!」
女僧侶「怨霊よ……敵を死へといざなえ!」
勇者(即死呪文……!)
勇者(通用しないのは分かりきってるが、普段はありえない一手をあえて打つことで)
勇者(俺たちも未知なる戦いへと気持ちを切り替えられる! 見事だ!)
戦士(ナイスだぜ!)
女魔法使い(やるわね!)
女僧侶(さぁ、皆さん、続いて下さい!)
魔王「――ウッ!?」
勇者「え?」
魔王「勇者たちよ……よくぞ我を倒した……」
勇者「え、ちょっと待って」
魔王「口惜しいが……見事といっておこうか……」
戦士「おいおいおい! どういうことだよ!」
魔王「まさか魔族の中の魔族といわれる我が……」
女魔法使い「なんで効いちゃうのよ! 耐性なかったの!?」
魔王「矮小なる人間などという……存在に……」
女僧侶「次の形態に変身するんですよね? ね?」
魔王「滅ぼされることに……なろうとは……」
勇者「えええええ!?」
魔王「だが……覚えておくがいい……」
勇者「いやいやいや、ちょっと待てって」
魔王「光あれば必ず闇が生まれるように……」
勇者「話してばっかいないで、こっちの話も聞けって!」
魔王「いつの日か……我の意志を継ぐ者は現れるであろう……」
勇者「おーい! もしもーし! もしもーし!」
魔王「我は倒されたが……次こそ闇が勝利するであろう……」
勇者「次じゃなくて今! 今を頑張ろう! ラストバトルよ、これ!? 頼むよォ!」
魔王「せいぜい束の間の平和を……楽しむの……だな……」ガクッ
勇者「…………!」
勇者「魔王ッ! 死ぬなッ! 死ぬなァァァッ!」
― THE END ―
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おい