ナルト「今日も弁当を交換してくれってばよ」 (27)

木の葉の里の昼下がり。

うずまきナルトは散らかったデスクにドカンと大きな弁当の包を置いた。

仕事は順調、お腹はペコペコ、まったくもって理想的な昼休みだ。


シカマル「いや、俺は構わねえんだが……。毎日カップ麺でよく飽きないなお前」

ナルト「へへ、俺ってばラーメン大好きだからな」

シカマル「これ知ったらヒナタが泣くぜ」ホラヨ

ナルト「サンキュー、シカマル」パシッ


妻が早起きして一生懸命作った愛妻弁当を、10両かそこらのカップ麺といとも簡単に取り換える。

罪悪感がないわけではないが、卵焼きやタコさんウィンナーに比べてあの科学的な味が魅力的なのだから仕方ない。

因みになぜシカマルの弁当が毎日カップ麺なのかというと、またもや彼の風俗通いが嫁にバレたことが大きく関係している。


ナルト「ヒナタの前じゃカップ麺なんか食わせてくんねーからな。夜中にこっそりとお湯を注ぐのはなんか悲しいってばよ」ピリリ ジョボボボボ

シカマル「お前の体を気遣ってくれてんだろが。……お、今日はじゃこ天入ってるぜ」パカッ


ヒナタの愛を土足で踏みにじる火影と相談役。

ご飯に描かれたさくらでんぶのハートや、ハムで作られたかわいいクマなんかは旦那の目に留まること無く、風俗狂いのおっさんの胃袋に吸い込まれていく。

そしてナルトはニコニコしながら3分間が過ぎ去るのを待ち続けた……。


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***


ナルト「おーい、帰ったってばよー」ガチャッ

ヒナタ「おかえりなさい。今日もご苦労様」

ナルト「ボルトとヒマワリは?」

ヒナタ「二人とももう寝かせたわ」


ナルトが自宅に帰り着いた頃には、既に9時を回っていた。

午後から緊急の案件がいくつも舞い込み、結局残業する羽目になったのだ。


ナルト「もうか? 俺がボルト位のときには12時くらいまでは起きてたのに」

ヒナタ「それは遅すぎです。それよりナルトくん、先にご飯にする? お風呂にする?」

ナルト「……『それとも私?』って訊かねーのか?」ニヤニヤ

ヒナタ「え? ……じゃ、じゃあ……あ・た・し? ///」

ナルト「飯」

ヒナタ「なにそれ!?」

ナルト「流石に腹空かせて汗も流さずにベッドに直行する奴なんていねーってばよ」ハハハ

ヒナタ「もう! ///」


いつものようにヒナタをからかいながら、ナルトは火影の羽織りものを脱ぐ。

これを脱いで初めて、やっと仕事から解放された気がする。


ヒナタ「あ、お弁当殻は?」

ナルト「ほい」

ヒナタ「今日のはどうだった?」

ナルト「ん? ああ、いつも通りすげえ美味かった……」

ヒナタ「よかった! あ、今日も食べ残し無し! やった!」パカッ

ナルト(この瞬間が一番胸が痛むってばよ……)


ナルトは極力ヒナタと目を合わせないようにしながらダイニングに向かった。

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