姉「そうだなぁ、今日は前話したお城に閉じ込められたお姫様の話でもしようかな」
妹「わあい!私その話の続き気になってたの」
姉「それはよかった。前はどこまで話したっけ?」
妹「うんとねぇ、ついに王子様がお姫様を見つけたとこまで!」
姉「そうそうそうだった!妹ちゃん、よく覚えてたね」ナデナデ
妹「エヘヘ」
姉「それで続きだけどね、王子様はお姫様を発見して――
メイド「姉様!姉様!まぁ、木の上なんかにお登りになられて!」
姉「あ、メイド」
メイド「お父上様がお呼びです。さぁ早く木からお降りになってください!」
姉「っちぇ、今から話し始めようとしたのに」
妹「お姉ちゃん、早く行ってきなよ。私待ってるから」
姉「そう?ゴメンね妹ちゃん。すぐ戻ってくるから!」
妹「うんっ!」
メイド「姉様早くなさってください!」
姉「はいはい、今行きますよ、と」ヒョイ
姉「また後でね妹ちゃん!」
妹「はい!」
メイド「姉様待ってください!」
妹「……行っちゃった」
父「姉、やっときたか」
姉「すみませんお父様」
父「いや、いいさ。さあそこへ座りなさい」
姉「このままで大丈夫です。それで話というのは?」
父「そう固くならなくてもいいよ。今日はいつもお利口さんな姉にご褒美を用意しようと思ってね。姉は今ほしいものはあるかい?」
姉「服」
父「ほう、服が欲しいのかい。どんなのがいいんだい?」
姉「妹に服を買ってあげてください」
父「……姉は実に優秀だ。我が一族の中でも特に秀でて、ね。だけど妹。あれはいかん。覚えが悪いし運動神経もよくない。そんな屑な妹のことを気遣う必要はお前には無いのだぞ?」
姉「妹に服を買ってあげてください」
父「…………分かった。家族おもいな子供に育って私は嬉しいよ」
姉「話はそれだけでしょうか?」
父「あぁ」
姉「なら失礼します」
妹「お姉ちゃん話しってなんだったの?」
姉「うん?大したことじゃないよ~。妹ちゃんは気にしなくていいの!」
妹「そうなの?」
姉「そうそう!」
妹「ならいいや」ニコッ
姉「……ねえ妹ちゃん?」
妹「うん?」
姉「妹ちゃんは、この家が好き?」
妹「うん!お父様もお母様もみーんな大好きだよ!」
姉「そ、っか」
妹「あ、でもねお姉ちゃんがいーちばん大好き!」
姉「…ふふ、ありがとうね」
妹「どういたしまして!それでさっきの話の続きは?」
姉「そうだったそうだった!それで王子様はね――
数年後
姉「妹ちゃん、私この家出て行こうと思うの」
妹「え?」
姉「だってこんなのっておかしい。いつもいつもお父様やお母様が思ったとおりに行動しなきゃいけない。これじゃあ私たちは人間じゃなくてただのロボットだよ」
妹「お姉ちゃん……」
姉「…だから、妹ちゃんも一緒に行こう?」
妹「それは……」
姉「突然だよね。でも私は妹ちゃんにこんなとこに居て欲しくない。出て行った後のことはちゃんと考えてる。妹ちゃんに苦労はかけない。明後日には出て行くからそれまでに考えといてね」
妹「う、ん」
姉「あ、それとこれは勿論お父様たちには内緒ね!」
妹「…分かった」
二日後
姉「妹ちゃん、決めてくれた?」
妹「うん」
姉「返事、聞かせてくれる?」
妹「私、お姉ちゃんとは……」
姉「………」
妹「いかない!」
姉「……え?」
妹「というよりもう貴女は私の姉じゃない。私の姉はもっと立派な方で私の憧れだった。お前は私たち一族の血に抗おうとしている裏切り者だ!出て行くなら勝手にすればいい!ただし二度と顔を見せるな!このっドブ猫!」
姉「……あ、っそう。そういう考えだったんだ。妹ちゃんはそう思ったんだ。あぁ、いいよ!お前なんか私の妹じゃない!誰が二度とお前の前に姿を現すか!結局はお前も父上と母上の操り人形でしかなかったんだな!いいさ!お前に姉と思われるだなんて反吐が出るから丁度よかったよ!じゃあね!」
妹「もう二度と返ってくんな!ばあか!」
姉「………ばか」タッタッタッタ
妹「……お姉ちゃん」ボソッ
父「姉が出て行った?」
メイド「はい。さきほど姉様の部屋へ掃除をしに入ったらこの手紙が…」
母「………まぁ、なんてことなの!あの子は確かに昔から反抗的なところがあったけど、まさかこんなこと…!あぁ、何て恥晒しなの!こんな家名に泥を塗るようなこと!ああ、親族に何と言われるか!」
父「姉め、誰がここまで育ててやったと…!」
メイド「姉様をお探しになられますか?」
父「いい!あんなやつは放って置くのだ!どうせ一時したら帰ってこざる得ないに違いないのだから!」
妹「お父様、お母様大声を出されてどうかなさったのですか?」
母「ああ、妹!妹はあんな姉のようにならないでね!」
妹「お母様?」
父「…妹、姉が先ほど出て行った」
妹「お姉さまが?」
母「そうよ妹!妹はあんな姉みたいに反抗的ではないものね!あんな姉のような恥晒しなことは絶対にしないでね!そう誓って妹!」
妹「…勿論ですお母様。私がこの家を裏切ることはありません」
父「それでこそ我が娘だ!」
父「さあ母もあんな役立たずのことは忘れよう」
母「…えぇ、そうね。あぁ、私のかわいい妹ちゃん。貴女だけが私の全てよ」
父「お前が私の娘であること、誇りに思うよ!」
妹「(昨日まで私の存在をまるで無いもののように扱っていたくせに)」
妹「はい、必ずお父様とお母様の期待に添えてみせます」
数ヵ月後
「妹様、貴女は今日もお麗しい!」
「妹様ほど美人なかたをわたくしめは見たことも御座いません!」
「本日貴女様のような方と踊れること、夢にも思いませんでした!」
妹「(この人知ってる。前姉を口説いてるのを見たことある。この人も。この人も。この人なんかは姉が居ないと生きていけないって言ってた。何だ、普通に生きてるじゃん)」
妹「本日は私のようなものの為に来て下さり有難う御座います」ニコッ
「いえ、私も貴女様に招待していただき誠に恐縮です」
「そうですとも!」
「私のようなものにまでお声をかけていただけるとは!」
「ありがたき幸せです!」
妹「そう言っていただけると幸いです。皆様是非楽しんでいかれてくださいね。私は他の方々にも挨拶してきますので失礼します」
父「今日のパーディーはお前に相応しい相手を見つけるために開いたものだが、良い人は見つかったか?」
妹「皆様良い方ばかりでまだ誰、とまでは…。お父様はどのような方がよいと思われてるのですか?」
父「あぁ、あの人などどうかな。男という名前らしい。家柄も我が一族にふさわしいお方だ」
妹「私もあの方は素敵だと思っていました。少し話してきてみてもよろしいでしょうか」
父「あぁ、是非そうするといい」
妹「男様」
男「何でしょうか美しいお嬢様。貴女様からお声をかけていただけるとは非常に光栄です」
妹「お上手ですね。男様、少しお話ししませんか?」
数週間後
「妹様が遂にご結婚なさるらしいな」
「しかも相手はあの男様だろ?」
「美男美女カップルか、羨ましいね」
「しかもお二人とも素晴らしい血筋じゃないか」
「お似合いのカップルだ」
妹「男さん。私って卑怯なんです」
男「どうしたんだい?妹。式を前にして突然」
妹「私貴方と出会ったパーティーの前に男さんのこと調べてたんです」
男「僕のことを?」
妹「はい、まぁあのパーティーの参加者みんなですけど。それで私知ってたんです。貴方の家柄、生い立ち、そして貴方が愛に飢えていること」
男「愛に?」
妹「はい。貴方のお父様はたった一代で今は名を知らない人などいないくらい有名な方となられました。そしてその息子である貴方には周りからとてつもない期待がかかっていた。
全てが出来て当たり前。例え褒めてもらいたくてもそんなことは有り得ない。出来ないときはまるで屑のように扱われる。
貴方のお父様はとても厳しいと専らの噂でしたよ」
男「………」
妹「頑張っても褒められない。愛してくれない。貴方はいつしかお父様に褒めて欲しくて、そのためだけに頑張るようになられたのでしょう?結局貴方が望んだ物は得られなかったようですが。
そんな時に私は貴方に近づいた。愛しているという言葉と共に。
……私は、卑怯な女なのです。大好きなお父様とお母様の期待に添えれるなら貴方の気持ちすら利用する。最低な女です」
男「言いたいことはそれだけか?」
妹「………」
男「お前の言いたいことは分かった。が、それは間違っている。確かに僕はお父様に褒められたかった。愛されたかった。しかし結局僕はあいつの身代わりロボットにしかなれないのだと悟ったんだ。そんなやつからの愛?そんなものいらない。反吐がでる。今僕が欲しいのは、妹。君からの愛だけだし僕が愛しているのは妹だけだ」
妹「いいえ違うわ。貴方は私を通して貴方のお父様を見ているのよ」
男「違う」
妹「違わない」
男「違う。どうして君はそう思うんだい?君は僕が愛に飢えていると言ったけど君こそがそうなんじゃないのか?君はお父様からもお母様からも愛されているように見えた。でも君が本当に愛して欲しい人からの愛は貰えてないのではないのか?」
妹「……鋭すぎる人は世間から嫌われるわよ?」
男「君もかい?」
妹「私はそうでもないわね」
男「なら、問題ないさ」
妹「……貴方も相当卑怯なようね」
男「いいんじゃない?卑怯者同士。これ以上無いベストカップルだ」
妹「……そうかもね」
『今日のイチオシニュース!妹様と男様遂にご結婚!』
姉「なんだかんだであの子も生きてんのね」
友「戻りたくなった?」
姉「まっさかぁ。あんな窮屈な場所」
友「でしょうね。あんたにはあんなお嬢様みたいな生活似合わないわ」
姉「なんですとぉ!?」
友「あああ煩い黙れ」
姉「お前から言ってきたんだろうが!」
友「はいはい」
姉「もう」
友「ねぇ、それよりこの男ってやつ……」
姉「知ってる。こいつの親父裏で結構やってるわよね。人身売買とか。まぁそういうこともやってないと一代でここまで有名に、なんて無理でしょうね」
友「だよね。いいの?妹ちゃん」
姉「あんなやつ妹でも何でもないわ」
友「そんなこと言っちゃってー。妹ちゃんも巻き込まれたとき、後悔すんのあんただよ?」
姉「………」
友「いいの?後悔して」
姉「……はぁ。友、今から書く私の手紙妹に直接届けられる?」
友「あたいを誰だと思ってるんだい!あんたの友だよ?不可能なことなんて無いさっ!」
姉「ありがとう。これよろしく」
友「はやっ!もう書いたの!?」
人がいないような場所
姉「まさか本当に来てくれるとはね」
妹「別に。する事がなかったから」
姉「それだけでわざわざ抜け出しにくいあの家を出てくるもんなの?」
妹「貴女には関係ないでしょ。そっちこそもう目の前に現れないって言ったのにどういうつもり?」
姉「別に会いたくて会ってるわけじゃないわよ」
妹「あっそう。じゃあ帰るわね」
姉「あっちょ!」
妹「何?」
姉「あんたの……」
妹「私の、何よ」
姉「あんたの夫、色々裏あるから早く別れた方がいいよ!」
妹「はぁ?」
姉「だぁかぁらぁ!」
妹「知ってるわよ」
姉「…へ?」
妹「人身売買や麻薬色んな犯罪犯してるんでしょ?知ってる」
姉「妹……」
妹「話はそれだけ?なら帰らせてもらうわね。さようなら。もう会うこともないでしょうけど」
姉「……なにさ。結局操り人形は操り人形のままだったのね」
姉「なら、何で…」
妹「何で別れないかって?そんなの決まってる。お父様たちが望んでるからよ」
姉「んなっ!」
妹「私の意志なんてどうでもいいの。あの人が裏で何やってるかなんてどうでもいいの。お父様たちがあの人の地位が自分の跡継ぎとして相応しいと思ってる。私は大好きなお父様の役にたてるならどうだっていいのよ」
姉「妹……」
妹「話はそれだけ?なら帰らせてもらうわね。さようなら。もう会うこともないでしょうけど」
姉「……なにさ。結局操り人形は操り人形のままだったのね」
数ヶ月後
友「妹ちゃん、死んじゃったね」
姉「…うん」
友「男のやっていたことが全てばれてあんたの父親と母親は地位が一気に下がったことで発狂して自殺。妹ちゃんは捕まって牢の中で死亡。あんたが嫌いだった家族はもうこの世にいない」
姉「…うん」
友「…後悔してる?あの時もっと必死に止めればよかったって」
姉「……ううん」
友「そっ。ならうじうじしてないでさっさと働く!あんたが家出てきて住む場所も仕事もないあんたに私の家提供して仕事も見つけてやった私の為にもキビキビ働けっ!」
姉「……うん」
友「返事だけで動いてないし…」
数週間後
友「今日も元気に働くぞー!」
姉「おー!」
友「キビキビ働けよーっ!」
姉「おーっ!」
姉「うおおりゃあ!」
友「姉、すっかり元気だな!」
姉「うん!!何時までもうじうじしてらんないからねっ!」
姉「わぁい!何?何?」
友「ほらよ」
姉「やったー!って、手紙?」
友「見るからにガッカリすんな。ほら、誰からの手紙か見てみろよ」
姉「うーん?っっあ……妹?」
友「ほんじゃあたいは先に働きよくからその手紙読んでからおいで」
姉「あっちょ!これどこから…ってもういっちゃった」
姉「正直読みたくないなぁ。でも私宛だしなぁ……うし、読むか」
『お姉ちゃんへ
お姉ちゃんがこれを読む頃には私はもうこの世にいないでしょう。この手紙は前お姉ちゃんが私に手紙をくれた時友さんに託したものです。いいお友達がいたんだね。安心しました。
さて、どうして私が手紙を書いているかというと、私には今とても後悔してることがあるからです。それはお姉ちゃんに言ったこと。
お姉ちゃんが家を出ていくとき私に言ってくれたよね。一緒に行こうって。私あれすっごく嬉しかった。涙がでるほど嬉しくて涙がでるほど悲しかった。
だってお姉ちゃんの手を取ったらお父様とお母様を裏切ることになるんだもの。私考えた。お姉ちゃんとお父様、お母様。私にとってどちらが大事なんだろうって。
それでね、やっぱり私はお姉ちゃんの方が好きだった。お姉ちゃん以上に好きな人なんていなかった。
だけど、だからこそ私お姉ちゃんと一緒に行けなかった。
もし、私までついて行ったらお父様たちはお姉ちゃんを必死に探して連れ戻したと思うの。だって跡継ぎがいなくなっちゃってるんですから。そしたらお姉ちゃんはまたお父様たちに自由を奪われてしまう。
私そんなの嫌だった。お姉ちゃんには自由が似合うから。お姉ちゃんは自由の中で生きるのが相応しいと思ったから。
でもお姉ちゃんは優しいからこんな理由じゃ絶対納得してくれないと思った。お姉ちゃんが納得してくれないと自由になれない。だから私あんなこといったの。今でも凄く後悔してる。これだけはどうしても謝っておきたかったの。あの時はひどいこといって本当にごめんなさい。
もうあまり時間がないようなのでこれで終わらせていただきます。本当はもっとお姉ちゃんに言いたいことあったんだけどね。いつか昔みたいにまたお姉ちゃんにお話ししてもらいたかったとか…
お姉ちゃん。私お姉ちゃんが大好きだから。誰がなんと言おうと世界で一番お姉ちゃんが好き!』
姉「…ばか。あんたは本当に馬鹿だよ。こんなの、納得出来るわけ無いじゃん。馬鹿。あんたは世界一の大馬鹿者だよ!」
姉「…………私も世界一大好きだよ妹ちゃん」
いい加減終わっときます。
全く別の一次創作してたときにふと思いついたネタでダラダラと書いていくうちに二度と見返したくない物になってしまいました。
グダグダしすぎで本当にすみませんでした。
もし最後まで見てくださった方がいてくださるならば本当にありがたいです。
それではこれで
今見直したら相当抜けてたり同じ文が別のとこにあったりしましたが全て脳内保管でお願いします。
最後までこんなんですみませんでした
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