こしみずさち〇こ (28)

注意:R-18

あとは…タイトルから察して


0、

 フフーン、全くプロデューサーさんはボクがいないとダメダメですねっ♪

それは旅立ちの鐘のように心地よく響いた。
可愛い姿で、可愛い声で、誰よりも俺を信じてくれている子。

次の『世界を輝かせる魔法のようなお仕事』までの時間を
二人で笑顔で待ちわびることが出来る。
そんな今の大きな幸せまでの道をここに記した。

これはそんな始まったばかりの物語。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452963467

1、

 最初は本当に奇跡だった。

その頃の俺は所謂新人プロデューサーで、先輩の手伝いをしてるだけの扱いやすい後輩ポジションだった。
一通りの仕事を覚えて、アイドルとの関わり方を学んだ頃……

「お前も自分でプロデュースしたくなる子を探せ。見つかるまで仕事は無いと思え」
と、青天の霹靂のような一言で会社から放り出されてしまった。

その後、オーディションの現場などを多少見てきたが、
自分がプロデュースしたいという子には出会えていなかった。

 そして、それは休日に気分転換で訪れたショッピングモールでのことだった。

『ティンときた』とは、よく言ったもんで、俺はその日、一目惚れをした。


可愛らしい白のワンピースと大きい帽子に……


それは見るからに可憐で、こんな服を着こなせる子が居たらと思わずには居られなかった。

俺は単純に見惚れてしまっていた。

そんなとき、隣から同じような感嘆の声が聞こえてきた。

可愛く鳴る鈴のような声だった。

俺はその声の主を見たくて横を向いた。

そこには誰も居なく……いや、少し目線を下げると居た。

菫色のような淡く綺麗な髪を真っ直ぐなショートカットに綺麗に整え、シンプルで中性的な洋服に身を包んだ子が。

俺は、その子の視線の先に映るものが今まで俺が見ていたものと同じだと気付き……声を掛けた。

「この服が気になるのかい?」

出来る限り優しく、怖がらせないように、でも、きちんと意見を聞き出せるように……

「え!?…は、はぁ……」

その子は急に声を掛けられて戸惑っていた。

そりゃそうだよな……俺は自分の軽率さを心の中で叱責して、
休みでも持っていろと言われた通りに仕込んでいた名刺をポケットから取り出す。

「ごめんね。驚かせたかった訳じゃないんだ。僕はこういう仕事をしていてね…」

屈んで目線を下げ、差し出すように名刺を渡す。

お姫様に謁見するナイトになった気分でヤレと言われ、自然に出来るようになるまで何度も仕込まれた動作だ。

「ど、どうも……プ、プロ…デューサー……?」

更に戸惑わせているのかもしれない…そんな疑惑でここから逃げたくなるが、
ここで引いちゃダメだと俺の中で何かが訴えていた。

「今日はオフなんだけどね……いつでも仕事できるようにいろいろ仕込んでるんだ」

何て、笑いながら手品師のようにメモやペン、名刺などをちょこちょこと取り出しては仕舞って見せる。

「ふふふ…」

疑惑の顔だった子が少し笑顔になる。とても可愛い笑顔だった。
さらにもう一声かけようと思った時だった……

その子のスマホが鳴り、その子が画面を見た表情からタイムリミットのようだと悟る。

「もし、君がアイドルや可愛いものに興味があったら連絡して欲しい。僕の全力で素晴らしい世界を見せるから!」

俺は、そう優しくでも、怖がられない程度に強く宣言するように告げて、頭を下げた。

きっと、今は答えなんてもらえない。

それは分かりきっていたので、軽く別れの挨拶をして、俺は自分の買い物に戻った。

2、

 ショッピングモールで出会った子からの連絡は来なかった。

でも、それが悲しいとかそういう感情には不思議とならなかった。

そんな何も変わらないような日常に戻った気分になった頃、俺は友人のメイクさんからの依頼で仕事の手伝いをしていた。

それは裏方の仕事で、アイドルのメイク道具を買い揃えたり、メイクさんの意見を聞いたりすること。

「その子に合ったメイクってのはね、時として物凄い自信を与えるの」

買い物中の雑談でメイクさんのポツリと言った一言。

メイク1つで変わる。

何となくそれは魔法みたいだなぁ……なんて思っていた。

そして、雑談を続けていたとき……

小さくて可愛い、ある日の奇跡がまた目の前に現れてくれた。

相手も俺に気付いたようで、丁寧に軽く会釈をしてくれた。

「誰?」

メイクさんの声が少し真剣みを帯びる。

俺はここで隠す必要は無いけど、あの子には伝えたくなくて静かに呟くように伝えた。

「少し前に偶然見つけたけど、逃してしまった逸材だと信じている子です」

メイクさんは俺の声を聴くと静かに頷いて…その子に近寄った。

「初めまして。私はね、アイドルのメイクを担当しているの。ねぇ、メイクとか気になる?」

その子はいきなりの挨拶に気圧されていた。

メイクさんはあえてそれを好機と見て捲し立てる。

「お肌綺麗ね~。整ってるし本当に可愛いわ。あ、そうだ!プロデューサーさん、新作コスメを試してみましょうよ!」

コスメを試すという名目で相手の時間をもらう。

メイクさんの上手い作戦に俺は乗る以外の選択肢なんて考える必要はないと判断した。

その子は……気圧されたまま、否定も出来ずメイクさんに流されていた。

その後は、近くにあるメイクさんの作業ルームにお邪魔して、メイクや髪型チェンジを試すことになった。

「う~ん……よく見ると眉とかきちんと手入れしてないわね……ちょっと待っててね」

そう言うと、美容師のような道具セットを持ち出してテキパキと眉やうなじを整えていく……

「ねぇ、プロデューサーさん。この子、どうしたらもっと可愛くなると思う?」

ふと、俺に質問が飛んできた。

どうしたら可愛くなるのか……すでに可愛さが溢れているのに……

少し酷だと真剣に考えていると、ちょっと試したいことが浮かんだ。

「その……耳の辺りから外ハネさせてみたら……どうでしょう?」

メイクさんは、その言葉が正解とでも言うように何も言わず髪をセットした。

困惑した顔だけど、そこには今まで自分が見たことがないと断言できる美少女が居た。

あぁ、この子の笑顔が見たい。それも、自信満々の笑顔が!

「可愛い!本当に可愛い!!」

子供のようでみっともないかもしれないけど、そんなこと構っていられないくらいの嬉しさだった

やっと、自分のやりたいことが音を立てて組みあがっていく。

「いい!出来るなら、僕が担当してトップアイドルに育てたい!!」

困惑する顔を強める子を後目に俺ははしゃいでしまう。

この子はどんな子なんだろう……アイドルに興味を持ってくれないだろうか?

そこまで考えたとき、一気に冷静にならざるを得なかった。


……そういえば、俺はこの子について何も知らない。


メイクさんの勢いに任せてここまで連れてきてしまった。

俺は、相手の意志をちゃんと確認していないことを今更になって気付き、

その日のメイク体験は終わらせることにした。

その子は、笑顔で楽しかったと言ってくれたけど、それ以上のことは言わなかった。

俺は、心の中で勝手に組みあがった物を持て余してしまう……

「ねぇ、プロデューサーさん。あの子が自分の事を言わないのには、理由があるわ」

メイクさんがぼーっとする俺の横で静かに話す。

「その理由はね、とんでもなく大きいの……だから、事実を掴んで、それでもアイドルにすると決めたら、まず私に教えて欲しい」

真意が上手く掴めない言葉……俺はそれが気になってメイクさんに視線を向ける。

そこには、今までのような軽快な雰囲気ではなく、緊迫した空気さえ感じる程の真剣な空気が漂っていた。

「誰かではなく、最初に私に相談してほしい。もしそれをしてくれたら全力で協力してあげるから」

お願いより強い声色と強い眼差しに射抜かれる。

俺は、返すべき言葉を思い浮かべることが出来ず……首を縦に振るしかできなかった。

3、

 そして、そのすぐ後に……俺とあの子のストーリーはついに動き出すことになった。

事の発端は、メイク体験をした数日後のことだった。

携帯に1通のメール連絡が入った。

「これから会えないか」という旨が丁寧に書かれた上品なメール。

送り主は名も知れぬあの子だと言うことくらいはすぐに分かった。

俺はどうでもいい自分の予定を全て取りやめて、時間や場所を確認する返信をする。

決まった場所は……先日出会ったメイクさんの居る場所の近くにある喫茶店になった。

 俺が約束の場所に着いた時には、既にその子は待っていた。

俺は店員に待ち合わせだと伝え、その子の目の前に座った。

相手は少し驚いたような顔をした後、嬉しそうに会釈をしてくれた。

店員はすぐにメニューを持ってくる。

俺は開かずすぐに出来そうなアイスティーを頼んだ。

そして、届いたアイスティーを、一口、喉を湿らせて……

「連絡ありがとう。……用件を伺ってもいいかな?」

緊張感が伝わらないように出来る限り優しく語りかける。

そこから、その子から紡がれた言葉は……俺を掻き乱した。

正確に思い出すことは出来ない。ただ、言われたことは……

メイク体験や髪型を変えて可愛い自分に出会えたことは恥ずかしかったけど、少しだけ嬉しかった。

ということと……その子が『男』だということだった。

震えそうな手や声を悟られないように相手の言葉を聞く。

その子……輿水幸(こしみずこう)は、小さいときから親以外の周りから可愛いとだけ言われてきた。

ただ、自分は男だし、それを認めたくなかった。

でも、先日、メイクのときに見た俺の嬉しそうな顔と可愛いと褒めた声は今までと違っていた。

心地よくて、嫌いな評価なのに嬉しい気持ちを感じた。

プロデューサーさんになら可愛いと言われても悪くない気分なんだ……と、そして、

アイドルになるというのは、きっと女の子としてのアイドルだとメイクを見て確信している。

そこまで言うと……彼は黙ってしまった。

いや、黙ったんじゃない。待っているんだ。俺の声を……

俺は……精いっぱいのカミングアウトと、その言葉に含まれているモノを感じとって言葉を絞り出した。

無我夢中で性格な言葉なんて覚えてないけど、確かに伝えた。

本気で可愛いと思ったこと、女の子のアイドルとして輝く姿が見たいと、そして…そのプロデュースを俺自身でやりたいと。

彼は、静かに聴いていた。

そして……静かにでも確かに首を縦に振った。

俺は、どう考えていいのか分からなかった。でもプロデュースしたい気持ちは本気だった。

その後、詳細は連絡すると告げて別れ……俺はメイクさんの場所を目指して歩いた。

メイクさんは、俺の顔を見て察知したように人払いをして話す時間を作ってくれた。

俺は……さっきのことを告げ、それ(男)でも可愛いアイドルとしてプロデュースしたいと願いを口にした。

答えは、その願いを叶える協力をしてくれるという力強い一言だった。

ここから、プロデュースが始まった。

4、

 俺と幸君のアイドル活動は協力者のメイクさん以外の誰にも明かさず内密にスタートした。

最初にやったことは、所作の訓練とメイクや髪型のセット、そして……キャラクター作りだった。

俺は、幸君の笑顔が大好きで、特に自信ありげな笑顔は何度見ても飽きることが出来なかった。

だから、自分の可愛さを自信満々に伝えてくる子にしたかった。

本来の大人しくて真面目な幸君の性格からは離れてしまうことは、少し心配だった。

そんなとき、メイクさんから1つ提案が出た。

それは、芸名を作って、それを演じるようにすればいいのでは?…と。

出された提案はとても魅力的だった。

ただ、あまり幸君から離れた名前にはしたくなかった。

そこで…幸に子を付けて、『幸子(さちこ)』にしてはどうかと言ってみた。

メイクさんからは不評だったけど……幸君はシンプルで可愛いと認めてくれた。

そこからレッスンを積んで……俺は幸子のプロデューサーとしてデビューを考えるようになった。

ただ、今までは、ちょっとした部活のように俺が無償でレッスンを受けさせていたが、

これ以上はマスコミへの露出も出てくる。

俺は……幸君の両親に会うことにした。

5、

 一言目いや、幸君の両親からの言葉は全て俺への攻撃だった。

それはそうだ。


自慢の息子を娘として芸能界に見世物として売り出させろ


なんて言葉を「はいそうですか」と認めるようなヤツは居ない。

しかも、それのためにずっとレッスンを勝手に受けさせていたなど、

親からすれば言語道断だろう。

俺は……かけられる言葉を全て受け止め、それでも万に一つの可能性を求めて頭を下げ続けた。


そんな俺の横で……幸君が頭を下げた。

中学生だし、今が大事な時間だと分かっているけど、この人の言葉を信じて楽しみたい……と、

成績は下げたりしないと約束する。と言い切った声は決意に満ちていた。

その言葉を聞いたとき、幸君の父親から1つだけ質問が来た。

「アイドルの凄さを評価するシステムなどはあるのか?」と、

俺は頭を巡らせ、少し先の予定に開催検討中の総選挙があることを思い出した。

それは2回目の総選挙。

上位5名には特別な仕事が与えられるなど、今回は規模の桁が違うという噂もある。

俺は検討中だが……と前置きをして、そのイベントの存在を伝える。

そこで、父親から提案が出た。


これから総選挙までの間、幸君の成績を上げ、総選挙でも上位3名の中に入ること。


俺は、逡巡なんかする前に「畏まりました」と引き受けた。

それは打算でも何でもなく、出来ると信じられたからだった。

幸君の両親は俺の即答に少し驚いたようだが、隣の幸君は、瞳に強い決意を示していた。

6、

 ボクが一番カワイイに決まってますよ。プロデューサーさんはそんなコトも分からなかったんですか? 失礼ですね!
いいです、許してあげます!その代わりにボクがカワイイって証明するの手伝って下さいね!

言葉に淀みもなく、幸子モードに入ったアイドルは自信深げに言葉を投げかけてくる。

うん。可愛い。こんなに可愛いんだ。きっと誰にも負けない!

ただ……メイクさんとの話し合いをして気付いたことがある。

まだ羞恥心を捨てきれていない。

カメラの前や知っている人の前なら、このモードを持続できるけど、

外では恥ずかしさに耐えられず俺の影に隠れてしまう。

これでは、折角の可愛い自慢が効果を発揮できずに終わってしまう……。

俺は、何か出来ないかと考えていた。

その時……ふと幸君との出会いを思い出す。

あのワンピースなら……そう考えた瞬間、俺は予定を確認して空いた時間にショッピングモールに急行した。

二人が出会った場所を探して……見つけた。

まだ売れ残っていた。何度も衣装合わせに付き合った俺だ、幸子のサイズを間違えるはずがない。

俺はワンピースと帽子のサイズを確認して、すぐに購入した。

そして……帰り道で見つけたアイテムも買って、全て綺麗にラッピングをしてもらった。

次の日、レッスン後に俺は幸子にプレゼントを渡した。

……そして、次の日はレッスンを中止してデートの約束をした。


幸君ではなく、幸子に


「プレゼントした服装を着こなして、俺を誘惑するように引っ張りまわしてくれ」

と伝えて、その日は解散をした。

7、

 こんなにカワイイボクとのショッピングなんですから、プロデューサーさんは荷物持ちでも光栄に思うべきです。


輿水幸子というアイドルに秘めた魅力を発揮するワガママなひと言。

それが可愛いのは当然で、俺は荷物を持ちながら一緒にショッピングをする。

『幸子』として来てみたい服、靴を『幸子』の状態で探させる。

人の目を気にせず、むしろ視線を楽しんで自由に振る舞う。

そんな状況をレッスンの1つとして課す。

ある程度の買い物が終わった頃、小さなベンチを見つける荷物を置いたら小さな幸子しか座れないくらいのベンチだ。


 …ハァ、少し疲れました…暑いですね。


ハンカチで汗を拭き…襟元をパタパタと動かす。

その先には……黒いラインがチラチラと見える。

それは俺からのプレゼントの1つ……ブラジャーだ。

纏う物を全て女性ものにする。

そうすることでまた意識が変わるんじゃないかと信じて渡したものだ。

どんな気分で装着したのかは分からないけど、確かに装着してくれていた。


 ん、ドコ見てるんですか?カワイイボクに見とれてました?


イラズラっ子のような笑顔でニヤニヤと襟元をパタつかせてくる。

本当に小悪魔みたいな可愛さだ。

この可愛さが堪らなくて、いろんな人に伝えたくて、やっぱり俺はこの子のプロデューサーなのだと自覚する。

 そして、買い物の終わった帰りの車の中で、ちょっとした反省会……

俺はとりあえず手放しで褒める。可愛いと褒める。誰よりも褒める。

幸子は外で『幸子として振る舞う』ことに疲れたみたいで、途中から眠ってしまっていた。

 その後、事務所の駐車場に着いたとき……起こそうとした幸子を見て、気付いてしまった。

股の部分が膨らんでいることに……

男なら分かる疲労度が貯まったときにリラックスすると勃起してしまうこと……

俺は、可愛いワンピースを纏った可愛い幸子の陰部が盛り上がっていることに不覚にも興奮してしまった。

そして……幸子を起こす前に……ワンピースの上から隆起している部分に触れていた。

軽く撫でるように触れただけで、ピクっと幸子の体が反応する。

その反応が可愛くて、興奮してしまう……でも、俺は自分の立場を弁えなきゃいけない……

俺は、自分の行いを省みて触った左手で自分の頬を引っぱたき、

冷静にしたつもりの頭で幸子を起こし、勃起が治まるまで降りるなと教えた。

 今回の屋外レッスンは大成功だったようで、その後のライブでも幸子を崩すことなく観客を魅了した。

8、

 ライブでの成功をきっかけに幸子の認知度はぐんぐん上がっていた。

学校の成績もちゃんと上がるようにサポートしていた。


 そして……第2回総選挙の投票が解禁されたのだった。


 選挙を境に変に構えたり、特別なことはせず、実力で勝つために俺は仕事のペースを変えるつもりはなかった。

きっと大丈夫だと信じて俺は幸子との仕事を邁進する計画でいた。

すぐに発表された順位速報……幸子は3位に入っていた。

しかも、キュートグループで1位。

 まだまだ先は長いが、俺も幸子も一度胸をなでおろすことが出来た。

大丈夫……このままなら、いや、幸子の実力なら上だって食えるはずだ……と


しかし……


最終結果は……


全体4位だった。

9、

 俺は絶望した。約束を果たせなかった自分に……信じてくれた幸子をちゃんと輝かせていなかった自分に……

同僚や先輩方からは、大出世だとお褒めの言葉をいただいたけれど……心は晴れなかった。


 選挙結果の出た夜……幸子から1通のメールが来ていた。

「明日、2人だけで会いましょう」……と

俺は幸子の顔を見る権利すらないと返信も出来ず1人で帰宅をした。


 その翌日……鳴り響く呼び鈴で目を覚ました。

俺は寝ぼけ眼で玄関を眺めていると……

  ガチャッ

っと扉の開く音がした。

「全く、不用心すぎですよ!プロデューサーさん!ボクのプロデューサーならもっとしっかりしてください!」

ドアの閉まる音の後に聞こえてきたのは……大好きな声だけど、今は聴きたくない声だった。

「さ、幸子?……ごめん……ごめん……」

俺は蹲って視界と塞ぎ、謝罪の言葉をつぶやく。それしか出来ないんだ、それしか……

でも、そこに返ってきたのは、優しく俺の頭を撫でる手だった。

その撫でる手の動きが優しくて温かくて……涙がもっと溢れてきてしまう……

俺は我慢できずに幸子に抱き着いていた。

何度も、何度も、謝罪の言葉を重ねて幸子を抱きしめる。

そのとき、ふと、耳元でいつもより優しく幸子が俺を呼ぶ声が聞こえた。

幸子の声に動きが止まる。

その時を待っていたかのように幸子は俺の顔を両手で挟み、優しくウインクをして……唇を重ねてきた。

俺の脳が考えるのを止めた。いや、何が起きたのか分かろうとしていなかった。

固まる俺なんか気にせず、幸子は唇を重ねてくる。

冷静になってきた俺は、幸子の動きを止めると、何故こんなことをしているのか問いかけた。

答えは単純だ。そんなことも分からないのかといつもの自信深げな笑顔で挑発された。

あぁ、分かんないよ。いや、分かろうとしたくないのかもしれない。

俺は幸子から離れようとする……けど、幸子は俺の首に腕を回して離そうとしない。

それどころか……自分の体を俺に擦り付けて更に挑発してくる。

ダメだ……こんなの……ダメだって……

そして幸子から……本当のダメ押しが来た。

「プロデューサーさんの好きなように愛していいんですよ?ボクのことが好きなことくらい知ってますから」

その言葉が決壊の一言だった。

俺は、気が付けば幸子を押し倒していた。

あの日のデートで着ていたワンピース姿の幸子。あの日からお気に入りだって言っていたのを知ってる。

だったら、これ以上しわにしたり、俺の涙なんか染み込ませちゃダメだ。

幸子のワンピースのボタンを外して脱がせる。

白い肌と黒の上下の下着が14歳の男の子とは思えない艶めかしさを醸し出している。

女性用下着から、大き目になった幸子の陰茎が見える。

俺はその陰茎を撫でる。

「んっ……」

幸子から淫靡な声が漏れ聞こえる……こんなの興奮しない訳がない。

俺は、もっと強い刺激が与えたくなってしまい……幸子のパンツを降ろし、陰茎に舌を這わした。

ぴちゅ……と俺の舌より少し冷たい、でも熱い部分に触れる。

幸子が「あ……あぅ……」と喘ぐ声を感じ、もっと刺激したくなる。

口の中に陰茎を含み、舌で亀頭を玩ぶ。

男としてオナニーしていて気持ちいい部分なら分かる。

だから、そこを刺激してやればしい。

そして、口の中に少しの苦みを感じた。

カウパーだ。

俺の行為で幸子が感じてると分かりもっと熱くなる……けど、そこで幸子に呼び止められた。

見上げた幸子の顔は快感で幸悦としているけど……何か言いたそうだった。

俺は、幸子の言葉を待つ。

「プ、プロデューサーさん…ボクは今、女の子だから……そ、そこでイクのは……嫌です」

何て可愛いワガママなんだろう。

そうしたら、愛でる場所なんて1か所になっちゃうじゃないか。

俺は幸子をうつ伏せにして、腰を浮かせる。

そして……普段オナホに使うローションを幸子のお尻にに垂らして……オスマンコに指を這わせる。

指にもローションを馴染ませて……人差し指を刺し込んだ。

「ふぁっ……ぁぅぅ……」

指の輸送を感じて幸子は何度も嬌声を漏らす。

肉厚な肛門の締め付けとその先の直腸の空間。これが幸子のオスマンコの膣だと感触を堪能する。

肛門を刺激し続け、少し入る指に余裕が出てきたようだ。

俺は2本でも入るくらい開いたことを確認して……

興奮しきった俺の陰茎をオスマンコに突き立てた。

「お、ぐぅぅ……」

やっぱり狭い。でも温かい。この感触は……病み付きになりそうだ。


グチュ…ズチュ……ズブブ……


幸子の腰を掴んで俺が行ける最奥まで到達する。

あぁ、ダメだ……この体は魔性だ……

俺は幸子の小さな体を抱き起して背面座位のような体制で抱きかかえる。

可愛い耳たぶを甘噛みして、耳元で愛を囁き、最奥を探求するようにグラインドする。

快感で酸素が足りないのかだらしなく開いた口とヒクヒクしている喉を見て、もっとイジメてやりたいと嗜虐心をそそる。

今度は、背面座位から正常位に体位を変えさせて再度、何度も何度もオスマンコの中を抉った。


グチュグチュとエッチな音を立てる幸子のオスマンコに興奮する。


幸子の陰茎が快感のセンサーのようにカウパーをずっと垂れ流している。


「お尻の穴だけで射精できそうなんて…本当にエッチな子だ。そんな子は……大好きだ」


最後にそう囁いて最後に強く突き立てる。


「い、いやぁ…ダ、ダメ……でるぅぅぅぅうぅ!」


ビュル…ビュルルーーーー


ついに幸子が射精した。

射精の瞬間、男は肛門が締まるように出来ている。

俺の陰茎もその幸子のオスマンコの最後の締め付けで……果てた。


ドプッ!……ドクッ!……ドピュッ!……


「はぁ……はぁ……」

今まで愛でるのを我慢していた分だ!とでも言うように大量の精を幸子の中に吐き出す。

ズルゥ……っと抜き取ったオスマンコからは、俺の精液がコポコポと溢れてきていた。


 その後は、一緒に風呂に入ってお互い綺麗になり、やっと……選挙の結果と向き合った。

上位報酬のCDへの参加。これが最後の仕事になること。

そして、幸子のアイドル引退と、俺のプロデューサーとしての終了。

俺は幸子以外のプロデュースをしたい何て考えられなかった。

だから、ここで幸子が終わるなら俺も終わる。

幸子はそれについて何か言いたそうだったけれど……静かに聴いていた。

話しが終わってから、どれくらい経っただろう…心地よい静寂の中、幸子は俺の隣に寄り添っていた。

そして……

あまり遅くなってもいけないからと、明日また事務所で会おうと約束をして別れた。

Last、

 翌朝、出勤した俺を待っていたのは、1通の手紙だった。

差出人は、幸君の両親となっていた。

選挙結果のこと、幸君の成績のこと、過去の仕事の感想

いろいろな話題が真摯に書かれていて、やっぱり幸君の両親だなと苦笑いをした。

そして……最後の1枚には、昨晩と今後の事が書いてあった。

昨日、俺と幸子が結ばれた後……幸君ではなく幸子として親の前に現れた。

アイドルとプロデューサーの関係と、自分たちの関係をカミングアウトした。

そして、幸子が今回の総選挙で一時的にキュートのトップになったから、

次はプロデューサーをトップにしないとダメだと、

『最強に可愛いアイドル輿水幸子』のプロデューサーは世界に1人しか居ない。

それを失わせるなんて許せないと大立ち回りをしたと書いてあった。

そして……幸子を誰より幸せにすると約束するならプロデュースを続けてもいいと書かれていた。

俺は、涙で前が見えなくなった。

まだ幸子と一緒に仕事が出来る。

その事実が堪らなく嬉しい。

涙を拭いて、天を仰いだとき……背後から最愛の天使が元気に旅立ちのラッパを吹いてくれた。


 フフーン、全くプロデューサーさんはボクがいないとダメダメですねっ♪

ボクはきっとトップアイドルになりますよ♪

だからプロデューサーさんはこれからも忙しくボクのためにイヌのように走り回って下さい!



終わり

水着に温泉、デレステのエピソードにと、可愛い女の子である幸子において、
過去少し話題になった程度の男の娘説で書く意味は無いと思うけど、
どうしても書きたかったんです。

だってほら、輿水幸子は可愛いから!

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