【モバマス】のあえもん (124)

みく「だーかーらー、常温放置で1日経過した鯖を一気飲みするのは芸人の仕事だって何度言ったらわかるのにゃ!」

のあ「みく……それは、『逃げ』よ。猫アイドルとしての」

みく「あーっ、もうやってられないにゃ!解散にゃ、『にゃん・にゃん』は解散にゃーっ!!!」

P「何だー?まーだみくは魚が食べられないのか」

みく「いや、今嫌がってるのはそこじゃないにゃPチャン!よく見るにゃ、この死んだ目をした鯖を!」

のあ「……じゃあこの鯖が嫌ならこっちのピチピチの鯖缶を一気に」パコン

みく「そーうーじゃーなーいーーーっっっ!!」

P「全く、しょうがないなぁみくは」

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のあにゃんの目指すアイドルとみくが目指すアイドルは、いつもどこかにズレがあったにゃ

でもまぁ、のあにゃんとの芸人以下の掛けあいも……何だかんだで、みくは嫌いじゃなかったんだにゃ。





【さようなら、のあえもん】



ー事務所ー

みく「おはようございま……って、何なのにゃこの空気は」

のあ「……」

P「みく……」

?「……」

みく「……」

みく「のあにゃん?Pチャン?……その人は誰にゃ」

P「この人は……池袋教授。20XX年の天才ロボット工科学者……のあさんを造った人だ」

みく「……えっ」

池袋教授「貴方が、みくさんか。No.Aから報告は受けていたが……なるほどな」

のあ「……」

P「……」

みく「ちょっと待ってにゃ、何を言ってるか全然分かーーー」

P「のあさんな……」

P「未来に、帰ることになったんだ」




みく「…………えっ?」

みく「未来の世界へ帰る!?」

みく「そんな……Pチャン!!……なんとかして、のあにゃんを止めてーーー」

P「……のあさんには、のあさんの都合があるんだ」

みく「……!」

みく「のあにゃん……『にゃん・にゃん』で、トップアイドルに……二人で、てっぺん取るって……!!」

のあ「……ごめんなさい、みく」

みく「のあにゃん……」

池袋教授「みくさん、Pさん……。改めて、急な話ですまない。この事務所には世話になったから、こんな形で終わりたくは無かったんだが……」

P「タイムパトロールの方との兼ね合いなんでしょう?我々には逆らえませんよ」

みく「……」

何もかもが突然すぎて、みくの頭の中はパニック状態にゃ

のあにゃんと、もう会えなくなる

突きつけられた現実から目を逸らしたかったけど、のあにゃんもPチャンも全てを受け入れたかのような顔をしていて……

みくには、たった一言を震えた声で言うことしかできなかったにゃ

みく「……あの、教授」

池袋教授「ん?何かな」

みく「……のあにゃんは、いつまで現代に居られるんですか」

池袋教授「そうだな……これからNo.Aは恒常機能を低下させて時間軸移動準備のスリープ状態に入る訳だが……この時代にギリギリまで保たせるならばーーー」

教授が言った、のあにゃんが現代に存在できるタイムリミット

それは丁度、シンデレラガール総選挙の発表の日だったのにゃ。

ー帰り道ー

のあ「……」

みく「……」

のあ「……みく」

みく「……」

のあ「……こんなに早く別れの時が来るなんて、思っていなかったわ」

みく「……みくもにゃ」

のあ「みく……本当に、大丈夫?」

みく「何がにゃ?」

のあ「……できることなら……私は、帰りたくない」

みく「……」

のあ「……みくのことが心配で、心配で。……たまらないの」

みく「のあにゃんは優しいにゃ」

のあ「……一人でロケ弁に出たシャケを食べられる?」

みく「……」

のあ「……他のプロダクションのアイドルにいじめられた時、レーザーを撃ち返してやれる?」

みく「……バカにしないでにゃ!一人でだって……大丈夫にゃ」

のあ「……」

みく「みくはそれよりのあにゃんの方が心配だにゃ。スリープモードとか教授は言っていたけど、のあにゃんは痛くされたりとかしないのかにゃ?」

のあ「……大丈夫。だって……私は、ヒト型ロボットだから……痛みなんて、感じないわ」

みく「……そう」

のあ「……明日から、私はスリープモードに入るわ。……アイドルとしての活動は、もう出来ない」

のあ「明日から、本当に……みくは……」

みく「……ね、のあにゃん。そんなに心配なら……みくは約束するにゃ」

のあ「え……」

みく「みくは、シンデレラガールになるにゃ。のあにゃんの思いも一緒に背負って一位になってやるにゃ。イロモノでも、トップアイドルになれる所を見せてやるにゃ」

みく「みくにゃんのあにゃんの『にゃん・にゃん』で築いた力で……猫耳アイドルを世の中にしらしめる」

みく「それくらいすれば、みくが一人でもやっていけるって……いくら心配性なのあにゃんでも分かるかにゃ?」

のあ「みく……」

みく「のあにゃんとの約束にゃ。みく、絶対にシンデレラガールになるよ」

のあ「みく……!」ホロリ

みく「の、のあにゃん!?」

のあ「……」ポロポロ

のあ「……変ね。システムが……正確に作動してないみたい……」ポロポロ

みく「……のあにゃん、それは違うにゃ」

みく「それはね……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

プシューー

……ピッピッピッピッ

のあにゃんがスリープモードに入ったその日から、みくは本気の本気でシンデレラガールになるために、必死に努力したにゃ

ベテラントレーナー「前川ァ!腰の動きが甘いぞ!!」

みく「にゃにゃにゃっ!!」

マスタートレーナー「前川ァ!腰の入り方がなってないぞ!○▽プロの三村を見てみろ!アレを超えるくらいでないとシンデレラガールにはなれんぞ!」

みく「はいにゃっ!」

みく「みくとLIVEで対決?受けて立つにゃぁ!ファンの声援を集めたほうが勝ちだよ!」

みく「はぁっ、はぁっ……し、しまったにゃ。これじゃあみくのセクシーな息づかいを聞かれ……ゲホッゲホッ」

みく「みくも営業に行くの!みくのカワイイところ、い〜っぱいアピールするにゃ!」

みく「今日もレッスン頑張るにゃ!絶対、ぜ〜ったいにトップアイドルになるんだもん!」

みく「Vo.レッスン!みくの美声をさらに美しくするための大事な時間だよ!」

みく「にゃん!にゃん!にゃん!にゃん!」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

[最近のみくにゃん、必死過ぎない?なんか目が怖い]

[失望しました……みくにゃんのファン止めてアーにゃんのファンになります]

[他の猫キャラに埋もれてる感がある]

みく「にゃ……」カタカタカタ

みく「……まだまだ努力が足りないのにゃ……」

みく「……」

のあ「プシュー……ピーーッ……ピーーッ……」

みく「ううん、頼っちゃ駄目にゃ。みく一人の力で……」

P「おーい!みく!……ここに居たか」

みく「Pチャン?そんなに慌ててどうしたにゃ」

P「来たんだよ、デカい仕事が……」

みく「これは……!?」

《アイドルマスターシンデレラガールズ(仮)》

P「2クールドラマの準主役級だ。この仕事は今後にかなり響く、大きな転換点になるぞ!」

みく「……Pチャン、みく……この仕事が立派にこなせたら……トップアイドルに……手が届くかにゃ?」

P「ああ、相応しい位置にまで行くことができるだろう」

みく「わかったにゃあ!みく、精一杯やってみるにゃ!」

のあ「プシュー……ピーーッ……ピーーッ……モルスァ……」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

「はい、カーッットォ!!オッケー!次のシーン行こうか」

「前川さん、準備お願いしまーす!」

みく「はいにゃ!」



「遅れてきた新入りが先にステージに立つのは納得行かないにゃ!」

「このみくと……勝負にゃぁぁあ!!」


「はぁ……はぁ……ゲホッ、うっ……」



みく「演技って……大変にゃ」

「おはよ……って、何撮ってるの!?」

「何時でも仕事ができるように……この猫耳は肌身離さず持ってるにゃ」



みく「……うん、しょうがないにゃ。台本通りだから」

「もっと可愛さを押さないといけないにゃ」

「何言ってるの?クールがーーー」



李衣菜「……」

みく「李、李衣菜さん?」

李衣菜「……みくちゃん、どうかしたんですか?声にハリが無いですよ。体調が悪いなら練習は後に……」

みく「な、何でもないです。すいません」

二人組のユニット……キュートとクール……

しっかりしなきゃ……のあにゃんは、もう隣には居ないんだから

「李衣菜チャン、料理とかするのにゃ!?」

「あっ……」

「みくは……」

「みくは、お魚が嫌いにゃ……」



「はいカット!いい演技してたよー」

「撮影で使った鰈の煮付け、食べたい人いらっしゃいますかー?」

みく「あ……私が食べていいですか?」

「え、みくさんが?」

みく「はい」

みく「うっ……」パクパク

みく「ふぅ……」ゴクン

蘭子「あれ?」

みく「にゃ……こんばんは神崎チャン」

蘭子「こんばんは前川さん。……確か魚がお嫌い……でしたよね。どうしてそんなに必死に鰈を食べていらっしゃるんですか」

みく「……んー」

みく「師匠……というか、友達というか……その人、みくのことをすっごい心配そうに見てるの」

みく「だから……みく一人でも、立派にやっていけるって見せつけてやるんだ。魚の完食はそのための第一歩ってところかにゃ」

「卯月ちゃん。どんな理由があっても……仕事をほっぽり出すのはプロ失格だと思う」

スポッ

「本当に……心配したんだよ、うづにゃん」



「さ、うづにゃん」

「にっこり笑顔で、皆に会いに行こう!」




ーーーーーー
ーーーー
ーー

名前が呼ばれるたびに、
ウォォォォォォ
ホァァァァァ
と、地響きのような歓声が会場全体からわき起こって……みくの心臓はどきりどきりと鼓動を早めていったにゃ。

ついに、シンデレラガール総選挙の結果発表の日が来た……来てしまったのにゃ。

P「んん……くーっ、落ち着かないな。どうにも」

みく「Pチャンがソワソワしてるとこっちまで落ち着かなくなるんだから止めてにゃ」

P「すまんすまん」

みく「……」

P「……」

みく「のあにゃん……やっぱり、来れないのかにゃ。眠ったままなのかにゃ……」

P「今頃、転移のための最終調整に追われてるだろうから……スリープモードが解けていても抜け出してくるのは難しいだろうなぁ」

みく「残念だにゃ、みくがシンデレラガールになるところを見せられないだなんて」

P「……なぁ、みく」

みく「にゃ?」

P「……あー」

P「……シンデレラガールになって、燃え尽きて引退……なんてことは、止めてくれよ」

みく「何を言ってるのPチャン。みくはトップアイドルとして猫耳アイドルを普及させるという使命があるんだから、引退なんかしてられないにゃ」

P「はははは、そうだな……」

『続きまして、第11位……』

喉がカラカラになってきたのをPチャンとの会話で誤魔化してるうちに、舞台袖に控えているアイドル達は……みくを入れて10人になっていたにゃ。

ーーーーーー
ーーーー
ーー

『第三位、高垣楓!○○プロ所属!!』

最後の三人にまで残っていたあのベテランアイドルが光の中に出て行った後、いよいよみくの緊張はクライマックスを迎えたにゃ。

この時にはもう、みくの猫耳には歓声なんか聞こえていなかったにゃ。

周子「……」

周子P「……」

『皆様、大変長らくお待たせいたしました』

みく「……」

P「……」

『未だ名前が呼ばれておらず、中間発表にて上位にいたアイドルが……2名います。その2名のうち、最初に呼ばれたアイドルが……』

『シンデレラガールとなります!』

みく「……ッ!!」

『泣いても笑ってもこれっきり!』

『見事、シンデレラガールの座を勝ち取ったのは……!!』



みくが……みくが、シンデレラガールにならなきゃ


のあにゃんが安心して未来に帰れないんだにゃ!!!





ワァァァァァァァァァ



ーーーーーー
ーーーー
ーー



ひょっとして

な~に?

意気地がないの?

逃げちゃうから

捕まえてみて

裏の路地にCom'on

猫1「ニャー」

猫2「ナーオ」

ふと気がついたら、みくは……総選挙発表会場近くの、人気の無い公園に立っていたにゃ



満月照らすおさんぽ道

ひょいひょいひょい

ゴォォォォォ……

?「……」スタッ



さあおいで

秘密のステージへ

?「みく、こんな所にいたの……もう暗いのに。一人じゃ……危ないわよ」



ーーーShall we dance?

みく「……のあにゃん」

のあ「……」

みく「どうしてここに?」

のあ「みくの携帯電話から発される電波は、未来の技術ではなくても感知できるでしょうね」

みく「……そうじゃないにゃ」

みく「のあにゃん……最終調整、終わったの?」

のあ「ええ。転移が始まるまであと数分……というところかしら」

みく「……」

のあ「Pから送られてきた写真、立派だったわ。……舞台袖から撮ったようだったから、少々見にくかったけれども」

みく「……」

のあ「シンデレラガール総選挙、第二位。おめでとう……みく」

みく「……っ」

約束、果たせなかったよ

って、言いたかったけど

素の自分をさらけ出してしまいそうだったから、やめた。

のあ「みくはもう……私が居なくてもやっていけるわ」

のあ「……一人前の立派なアイドルとして」

ねえ、のあにゃん

もっともっとお喋りしたいことがあったにゃ

もっともっと一緒に歌いたかったにゃあ

もっともっと一緒に踊りたかったにゃ

もっともっと……

……もしみくがシンデレラガールになっていたら、この胸の痛みはもう少し優しかったのかな。



もう時間は残りわずか

しゃららん

最後にひとつお願いがあるの



みく「ね、のあにゃん」

のあ「ええ」

みく「……一緒に歌おうよ。踊ろうよ、ここで。猫チャン達とお星様が観客にゃ」

のあ「……そうね」

のあ「これが、私の……いえ」

のあ「『にゃん・にゃん』の、ラストステージ」

みく「……だにゃ!」

猫「ニャーン」

〜♪


いたずら目して Thank you

鈴が響いて Bye-bye

アイドルのみくは、自分を曲げないでいられるけど

前川みくは、そうじゃない

だからみくは最後まで、みくにゃんでいられるように

のあにゃんに泣きつきたくなっても

行かないで、って言いそうになっても

『みくにゃん』でいられる限り

ステージの上で踊るアイドルでいられる限り

みくは、自分を曲げないよ。



街灯に照らされまた明日

……な~んて甘い

子猫じゃないのよ

にゃお!

のあにゃん

みくは子猫じゃないよね

いつまでも泣いてて、のあにゃんを困らせる……

子猫じゃいられないよね?



触れてよ ね~え

やさしく ね~え

ねえ

みくが、一人前の立派なアイドルになったって、のあにゃんが言ったんだから

もう、安心して未来に帰れるよね、のあにゃん



指絡めて 背伸びをして



だから……

そんな悲しそうな顔をしないでよ、のあにゃん



瞳を閉じて Silence



スウッ

………カタン



……のあにゃん?





ーーーーーー
ーーーー
ーー

ー事務所ー

みく「……」ススッ

みく「……にゃ」ブカブカ

みく「……」スススッ

みく「……」ブカブカ

のあにゃんがただ一つだけ遺していったこの猫耳カチューシャは、みくには少し大きいみたいだにゃ

ガチャ

P「おはよう、みく。今日は早いな」

みく「Pチャン……」

P「……のあさん、帰ったんだな」

みく「……」

みく「うん」

ね、のあにゃん

のあにゃんが帰ったら、事務所ががらんとしちゃったよ

でも……すぐに慣れると思うにゃ

だから……心配しないでよ、のあにゃん


【さようなら、のあえもん】終わり

【帰ってきたのあえもん】につづく

てんとう虫コミックス6巻最後の7巻につづく表記はもっと他にやりようがあったのではないか

アーにゃん含め数人のアイドルが悪い立場に配置されてしまい、申し訳ありませんでした

次回大蛇足篇です



【帰ってきたのあえもん】



シンデレラガールとしてみくの名前が呼ばれたその時、みくはビックリしたし、すっごく嬉しかったにゃ

ただ一つ、残念だったのは……

のあにゃんが、この世界のどこにもいなかったこと。

ーとある楽屋ー

みく「……」スススッ

みく「……」ピッタリ

みく「……ピッタリ……だにゃ」

のあにゃんが遺していったこの猫耳カチューシャは、みくの大切な宝物だったにゃ

みくに丁度いい大きさになったのはもう随分前のことなんだけれど、何となく付けるのは気が引けて……

シンデレラガールになってから初めてのライブイベントを迎えて、やっと付けてみる覚悟ができたんだにゃ。

コンコン

みく「……」

コンコン

みく「……はっ」

みく「はーい、誰かにゃ〜?」

菜々「ナナです。あと、アーニャちゃんも居ますよ」

アナスタシア「みく、今忙しい……ですか?」

みく「あ、ううん。大丈夫にゃ」

ガチャ

みく「どうしたにゃ、二人とも……何かあったかにゃ?」

菜々「仕出し思い弁当、まだ食べていないなら一緒にどうかと思いまして」

アナスタシア「アー……猫耳、調整中……でしたか」

みく「……ううん、大丈夫にゃ。一緒に食べよ」


パカッ

みく「わ、美味しそうだにゃ。このハンバーグは最後にとっておくにゃ♪」

アナスタシア「みくは、スキなものを最後に食べる派、ですか」

みく「あ〜、うん……そうだにゃ。昔は残しておくと食べられちゃうから最初に食べる派だったけど……にゃぁ……」

菜々「な、何だか深みがありますね」

みく「あ、そういえばこのお弁当にはお茶以外の飲み物を合わせて飲みたいにゃ……ちょっとそこの自販機で何か買ってくるにゃ」

菜々「みくちゃん、飲み物だったら……ナナ、いいもの持ってますよ!」

みく「え……菜々チャンの飲み物って……まさかアレかにゃ?」

アナスタシア「アレ……?」

菜々「その通り!『ウサミン特製スペシャルドリンク☆』です!」ドスン

みく「……」

コポコポ

菜々「さ、二人ともどうですか?」

アナスタシア「ハラショー……エメラルドのように綺麗……ですね」

みく「……まぁ、ありがたくいただくにゃ。でも菜々チャン、そのどデカい青汁入り水筒を持ち歩くのは止めた方がいいにゃ……」

菜々「どうしてですか?ニンジンたっぷりの青汁……じゃなくて『ウサミン特製スペシャルドリンク☆』は健康にも良いですし、この水筒の持ち運びも運動に丁度いーーー」グイッ

ピキッ

菜々「うっ」

みく「ほら、こうなるから……肩か腰かにゃ」

アナスタシア「アー……перелом……?……大丈夫、ですか」

菜々「な、何のことですか?ウサミン星人は地球で怪我なんか……うっ、イタタタ……」

みく「菜々チャン、落ち着いて落ち着いて。ウサミン星人は元気と勇気が足りなくなるとちょっぴり心が痛くなっちゃうんだよね?」

菜々「そ、そう……ですね……」

みく「アーにゃん、ちょっとそっちの椅子持ってきてにゃ。何個かくっつけて菜々チャンを寝かせるにゃ」

アナスタシア「わかりました」

>>88
アナスタシア「アー……перелом……?……大丈夫、ですか」

菜々「な、何のことですか?ウサミン星人は地球で怪我なんか……うっ、イタタタ……」

みく「菜々チャン、落ち着いて落ち着いて。ウサミン星人は元気と勇気が足りなくなるとちょっぴり心が痛くなっちゃうんだよね?」

菜々「そ、そう……ですね……」

みく「アーにゃん、ちょっとそっちの椅子持ってきてにゃ。何個かくっつけて菜々チャンを寝かせるにゃ」

アナスタシア「ダー」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

菜々「す、すみません色々と……食事時に」

アナスタシア「しょうがない、ですね」

みく「そうにゃ。菜々チャンもそろそろ無理しちゃいけない歳にゃ。17歳も後半になったんだから」

菜々「あは、ははは、……そうですねぇ」

みく「今、タクシー呼んだから……歩けるようなら自分の力で。無理ならスタッフの人を呼んでタクシーまで運んでもらおうね」

菜々「すいません、本当に……」



ハイジャータンカモッテー

アイタタタ

アナスタシア「……беспокоиться、心配です。出番までに間に合うでしょうか」

みく「車椅子でステージに出ても、杖をついていてもファンに受け入れられるのが菜々チャンの凄いところだからね。大丈夫だよ」

アナスタシア「……私たちも歳を取っていきますね」

みく「にゃ?」

アナスタシア「みくは……私と同じ歳、です」

みく「そうだったね、○歳にゃ」

アナスタシア「……облигации……15歳の時から一緒にステージの上にいて……今も仲間でいてくれることに感謝してます」

みく「にゃっ」

アナスタシア「そして……夢をずっと諦めずに、シンデレラガールの栄光を掴んだみくに……уважение……敬意を?……表します。改めておめでとう、みく」

みく「……」

アナスタシア「最近、忙しくて……直接、祝えてませんでした」

アナスタシア「菜々……と食事の後、一緒に言うつもりでしたが……行ってしまったので。とりあえず、一人で」

みく「……直球だにゃぁ……」

アナスタシア「みく?何か困らせてしまいましたか」

みく「ううん、照れちゃっただけ。ありがと、アーにゃん」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

みく「菜々チャンを見送ってたからお弁当冷めちゃったかにゃ……って」

アナスタシア「どうかしましたか、みく?」

みく「みくの分の仕出し弁当が……なくなってるにゃ!」

アナスタシア「!……ンー、いわゆるストーカー?のпреступление……ですか。プロデューサーに、知らせましょう」

みく「あっ……」

アナスタシア「?」

みく「そ、そうだにゃ……普通に考えたら、そうだよね……」

アナスタシア「みくは犯人に、心当たりが?」

みく「……」

いるはずはないにゃ

いるはずはないって、分かってるけど……

何だか、猫チャンの髭がピンピン反応するんだにゃ

みく「ね、アーにゃん……何だか、楽屋のドアの外に誰か居るような気がしない?」

アナスタシア「……アー……日本のシックスセンス……ですね」

みく「にゃ……え、えーと……と、とりあえずそこのドアの前に人が居るなら……逃げずに顔を見せるにゃ!他の楽屋には世にも恐ろしい追尾能力を持ったアイドルが何人もいるんだから、逃げるだけ無駄……」

ガチャ

みく「にゃっ?」

菜々「思ったよりも軽い怪我だったみたいで……迷惑を掛けてしまいました」

みく「……菜々、チャン?」

アナスタシア「お帰りなさい、菜々」

菜々「ナナは病院……じゃなくてグルコサミンスタンドで元気をいっぱい注入して貰いました。ステージでは張り切っちゃいますよーっ!!」ミミミンミミミン

アナスタシア「ハイテンション、ですね」

みく「……」



みく「みくは騙されないよ」

アナスタシア「シトー?」

菜々「……」

みく「菜々チャンはね、体が不自由になり始めても愚痴をこぼさずに頑張っているにゃ」

みく「でも、今の菜々チャンは背筋がピンとして、ハキハキと動いている」

みく「今、ここにいるのは菜々チャンじゃないにゃ!菜々チャンのニセモノめ、正体を表すにゃぁ!」

菜々「……フッ」

菜?「……」ミシミシベキッ

??「流石ね、みく」ウィーンガシャンウィーン

アナスタシア「большой……大きくなっていきます」

シューーーッ

ミシミシミシッ

みく「忘れもしない、その銀髪……間違いないにゃ」

シュルシュルシュルシュル

ガキィン

みく「のあにゃん……のあにゃんなんでしょ……?」

アナスタシア「ガスで覆われていて、良く見えません」

ブオオオオオオオオオ

??「いいえ、私はのあにゃんではないわ」

みく「えっ?」

??「私はーーー」





[トランセンドバニー]高峰のあ「のあぴょん……だぴょん」





みく「……」

アナスタシア「……」

のあ「……」

のあ「みく……その貧弱なリアクションは何……ぴょん?」

みく「だからみくは芸人じゃないにゃぁぁぁ!」

のあ「シンデレラガールの名が泣くわね……ぴょん」

みく「にゃぁぁぁ……まさか○年ぶりに再会したのあにゃんが兎に寝取られてるなんて……」

ニャーニャー
……ピョン


アナスタシア「……ン……何年経っても日本語は、難しいですね」

ガチャ

菜々「ナナ、ただいまウサミン星から帰還しました!幸い松葉杖だけで済んで……って、何ですかこれは」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

みく「……というわけにゃ」

アナスタシア「……なるほど。未来から来た、ヒト型робот」

菜々「へぇ……『にゃん・にゃん』の時の相方さんだったんですね。急に話を聞かなくなったから、何か事情があったとは思っていましたが……」

のあ「そうぴょん」

みく「いい加減その口調を止めてにゃ、のあにゃん」

のあ「分かったわ……ぴょん」

みく「……もういいにゃ」

みく「で、二人に説明したところで聞かせてもらうけど……のあにゃん、どうして猫キャラを捨ててみくの前に顔を見せたにゃ」

のあ「……」

みく「みく、そんなのあにゃん見たくなかったよ……」

のあ「……」

アナスタシア「ノア……何か、事情、ありますか?」

菜々「……そうですよ、みくちゃん。キャラは命の次に重いものなんですから。何か理由があったに違いありません」

みく「にゃっ……そうなの、のあにゃん?」

のあ「……私が、兎になったのは……」


のあ「みく、貴方がシンデレラガールになることが……未来改変の特異点だったからよ……ぴょん」

みく「何が何だかよく分からないにゃ」

のあ「一から説明すると……私が製造された未来世界、つまり私にとっての正史では……『みくがシンデレラガールになる』ことによって強烈な猫キャラアイドル文化が色濃く残っているの」

菜々「アイドルの生存競争が激しそうですね……」

のあ「あっ……」

アナスタシア「……ノア、何か?」

のあ「……ぴょんを言い忘れていたわ……ぴょん」

みく「もう何も言わないにゃ」

のあ「そして、偉大なるロボット工学者、池袋教授によって始祖『マエカワ』を模して造られたのが……私よ。……ぴょん」

みく「……みくが、のあにゃんのモデルだったのにゃ?」

のあ「私を見ての通り、後世のみくは誇張された偶像と化していたんだけど……ぴょん」

みく「さりげなくみくに暴言を吐くのは止めてにゃ」

アナスタシア「……でもノア、今の話を聞く限り……ノアはみくをシンデレラガールにするために、未来に帰った、と思えます」

みく「えっ」

のあ「みくの心を利用した……と。過去のみくとの関わり合いに、含みがあった……そう言いたいのね……ぴょん」

みく「えっ、ちょっ、のあにゃん……」

のあ「みくぴょん」

みく「……」

のあ「ごめんなさいぴょん」

みく「のあにゃん!?」

菜々「それと、今の説明ではキャラを変えた理由が分かりませんけど……」

のあ「……」

みく「えっ」

のあ「ごめんなさい、キャラを変えたんじゃなくて……元々兎キャラだったのをみくのために一時的に変更していただけだった……ぴょん」

みく「のあにゃん!?」

菜々「あれ、先ほどの話と矛盾が……?」

アナスタシア「仕出しのгамбургерお弁当は……」

のあ「……」

みく「えっ」

のあ「美味しかったわ……ぴょん」

みく「のあにゃん!?」

菜々「懐から出ているウサギの被りものは……」

のあ「アニャぴょん、ウサミン、のあぴょんで『ぴょん・ぴょん・ぴょん』を結成して、シンデレラガールであるみくに対抗を……」

アナスタシア「シトー?」

みく「のあにゃーーーーん!?」

みく「にゃぁぁぁ……みくの、みくのハートがブロークンにゃぁぁぁ!」

みく「のあにゃん、何でこんな……」

ガチャ

P「おい、みく。そろそろ出番だぞ」

みく「に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!もう嫌にゃぁぁ!!」

P「うおっ!?どうしたんだ」

みく「ずっと、ずっと……会いたかったのに……こんな再会って無いよ!」

みく「のあにゃんなんか……のあにゃんなんか、大っ嫌いにゃぁぁぁ!!!」ガチャバタン

オイ!?マテ、ドコニイクンダミク!

のあ「……」

菜々「……」

アナスタシア「……」

のあ「……ぴょん……」

アナスタシア「……アー……もしかしてノアは、素直じゃ、ない……ですか?」

菜々「……照れ隠しかもしれませんけど、みくちゃんはあれで結構純なところがありますから……ハッキリ言わないと、分からないこともあると思います」

のあ「……そう……私もまだまだね」

菜々「何処までが嘘だったかはよく分かりませんが……みくちゃんならきっと受け止めてくれますよ」

のあ「でも……あんなに怒らせてしまったら……」

アナスタシア「ノア、これを」スッ

のあ「これは……私が、昔被っていた……」

アナスタシア「ダー」

アナスタシア「シンデレラガール……みくにとってのティアラ、です。ステージで踊るみくには、これが無いといけませんね」

菜々「『ただいま』はみくちゃんに言えませんでしたが……その気持ちは別の言葉でも届けられますよ!」

のあ「……」

のあ「二人とも……ありがとう」

のあ「……みく……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

の、のあにゃん!?

…………

あっ……

…………

うん……

うん!



待っててね、のあにゃん




……行ってくるにゃ!




【帰ってきたのあえもん】終わり


以上、本編(きれいなのあさん)と蛇足編(いつもののあさん)でした

お読み頂きありがとうございました

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