P「あの貴音にTwitterなんか出来るわけ無いだろ?」
響「本当なんだって! たまたま見つけたんだけど、これは絶対に貴音だって!」
P「だから貴音にそんなのは無理だって」
響「うがー! 信じてよプロデューサー!」
P「ちょっと資料をまとめたいから後にしてくれよ」
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響「なんで信じてくれないんだ!」
P「だってさ……なぁ?」
響「なぁ? じゃないさー! 本当なんだってば!」
P「分かった分かった。そこまで言うなら見てみるよ」
響「本当か!?」
P「まぁ、実はちょっと興味あるし」
P「それじゃあ、そのアカウント名を教えてくれ」
響「えっとねぇ……@harapeko_ohimechinだぞ!」
P「え~、@harapeko_ohimechinっと……」カタカタ
響「ど、どうだ?」
P「おっ、出てきたぞ」
はらぺこお姫ちん @harapeko_ohimechin
平成◯◯年◯月◯日月曜日、らぁめん二十郎◯◯店、麺固め ヤサイニンニクマシマシ 八百圓
麺、味の染みた、わたくし好みの固さ。
汁、丁度良い塩気でニンニク合う。
豚、甘みのある神域のもの。
完飲。
P「…………」
響「…………ね?」
P「……何これ?」
響「だから貴音のTwitterだってば」
P「いや……これだけじゃ分からないし……」
響「それじゃあ、もっと読んでみれば良いじゃん」
P「う、うん」
はらぺこお姫ちん @harapeko_ohimechin
平成◯◯年◯月◯日日曜日、らぁめん二十郎◯◯店、豚ダブル大ニンニク八百五十圓
麺、小麦の香りが広がる少し柔らかめのもの。
汁、醤油の中に甘みのある味。
豚、ほろっと崩れる肉に震える
完飲。
P「え? こんなのが延々の続くの?」
響「そうだぞ」
小鳥「あっ! はらぺこお姫ちんのツイートじゃないですか!」
P「知ってるんですか音無さん?」
小鳥「知ってるも何も超有名ですよ!」
小鳥「何でも年間400食は二十郎を食べているらしいですよ」
P「はあ!? 年間400食!?」
小鳥「実際にこうして写真もアップされていますからね!」
P「末恐ろしいな……」
小鳥「でも急にどうしたんですか?」
P「いや……それが……」
響「このはらぺこお姫ちんは貴音だぞ!」
小鳥「ふふっ、まさかそんなわけ──ありえるわね……」
P「でもまだそうと決まった訳じゃ……」
響「そこまで言うなら証拠を見せるぞ!」
P「証拠?」
響「えっとね……あった! この日からだぞ!」
P「えーと、◯月◯日──」
はらぺこお姫ちん @harapeko_ohimechin
平成◯◯年◯月◯日火曜日、らぁめん二十郎◯◯店、大豚 生姜 タマチ 一千五十圓
麺、平打ち極太 まこと美味っ!!
汁、タマチの酸味と辛味が合わさった神汁を夢中で飲み干す。
完飲。
P「これがどうしたんだ?」
響「場所を見て欲しいさ」
P「ん? 某北国だな」
響「丁度この日から3日間、同じ店のレポートが続くんだ」
P「それと何が関係が……はっ!?」
響「気付いたみたいだね。そう、この日からは丁度、貴音はこの某北国で3日間ロケだったはずさー!」
P「いや、これだけじゃ証拠にはならない……」
響「むぅ、強情だな」
P「日付けは偶然かもしれないだろ。それに一つ重要な部分が抜けている」
響「な、なにさ?」
P「最初の方でも軽く触れたけど、貴音に現代のツールなんて使いこなせるわけ無いだろ!」
小鳥「あっ、そう言えば前に貴音ちゃんにTwitterの使い方聞かれたかも」
P「小鳥いいぃっ!!!!」
小鳥「や、やだ……そんないきなり名前でなんてまだ早いですよぅ」
響「ほら! やっぱり貴音だぞ!」
P「ぐっ……だがそれでも俺には貴音がTwitterを使いこなせる気が微塵もわかない……!」
響「むむむ」
P「そ、そうだ! これはどう説明するんだ!」
はらぺこお姫ちん @harapeko_ohimechin
平成◯◯年◯月◯日金曜日、らぁめん二十郎◯◯店、麺固め 全マシ 六百五十圓
箸を持ち 天地を喰らう 麺固め
わたくし好みの 秋の夕暮れ
完飲。
響「うん、いかにも貴音らしい文面だな」
P「そうじゃなくて写真!」
響「見事な天地返しだな」
P「なんで天地返しを知ってんだよ! ってそうじゃなくて!」
響「もう~なんだよ~」
P「一緒にアップされてる写真だよ! 文は百歩譲って書けたとしても、写真は無理だろ!」
千早「ふふっ、一緒に勉強した甲斐がありましたね」
P「まさかのちーちゃん!!!!」
千早「最近、趣味で写真を始めたんですよ」
P「うん、知ってる」
千早「恥ずかしい話なんですけど、私こういうの苦手で」
P「うちの機械音痴ツートップだもんな」
千早「それで丁度四条さんも使いこなせる様になりたいという話だったので」
P「千早は素晴らしい趣味だと思うけど、貴音はラーメン撮りたいだけだからね」
P「もうわかった。認めるよ。これは貴音だ」
響「やっと認めたか!」
小鳥「まさか貴音ちゃんが、はらぺこお姫ちんだったなんて……」
響「そんなに有名なのか?」
小鳥「ええ。正体は謎に包まれていて、姿を見たものは誰一人としていないそうよ。取材依頼も全て無視しているらしいし」
響「へぇ~」
千早「ちなみに、これが四条さんだとして、どうするんですか?」
響「自分は別にその後について深く考えて無かったぞ。正直勢いに乗ってただけだし」
P「まぁ、どうもしないわな。一応個人の趣味だしな」
小鳥「それもそうですね!」
一同「わっはっはっはー」
律子「言い訳あるかっ!!!!!!」
P「り、律子!?」
律子「大体、これを毎日食べたら身体壊すに決まっているじゃないですか! 私たちは身体が資本なんですよ!」
P「うぐっ……」
律子「全く……貴音も辞めたと思ったら再開してたなんて……」
P「え? 再開?」
律子「前はブログで似たような事をやってたんですよ、あの子は」
小鳥「あっ! そう言えば元々はブログで有名な人だったんだ!」
P「そうなんですか?」
小鳥「はい! でも突然更新されなくなって、死亡説まで出たんですが」
律子「私が止めたんですよ!」
小鳥「でも最近になってTwitterで復活したと話題になってまして。同一人物とは明言されてはいないんですが、文体から間違い無いかと」
P「な、なるほど」
律子「全く、あの子ったら!」
P「でもほら、ニンニク効果で病気一つ無く健康だって」
律子「良いわけありますか! いつか絶対に身体壊します!」
P「確かに家系ラーメンの早死に三段活用を前に嬉しそうに食べてたしな……」
律子「止めなさいよ!!!!」
響「まぁ、確かに女の子が『ウンメ~ッ!!』とか書いてたらドン引きだな」
律子「ふふふっ、着たらお説教ね……」
ガチャ
貴音「おはようございます」
千早「噂をすればなんとやらね……」
P「南無三……」
貴音「おや? 皆お揃いで、どうかしたのですか?」
律子「おはよう貴音。自分の胸に聞いてみなさい」
貴音「はて?」ムニュムニュ
千早「くっ……」
貴音「わたくしには特に思い当たる節が……」
律子「昨日はどこで夕飯食べたの?」
貴音「昨日は確か、わたくしのほぉむですが」
律子「……らぁめん+白ネギ+味付うずら+生卵+生卵 ニンニク」
貴音「」ピクッ
律子「ホームって家じゃなくて、ホームグラウンドの意かしら?」
貴音「」ダラダラ
貴音「……ふれが呼んでいるので抜けますね!」
律子「いつからここはMMO世界になったのよ!」
貴音「ひっ! お許しを!!」
律子「ブログの時にあれだけ注意したのに、アンタはまたっ!」
貴音「昨日は偶然入っただけなのです! 本当に偶然です!」
律子「バッチリTLに証拠が残ってるわよ! 毎日ね!」
P「でも、どうしてブログやTwitterなんか?」
貴音「……皆様に二十郎の素晴らしさを知って貰おうと思いまして」
律子「本音は?」
貴音「わたくしの生きた軌跡!」ドヤァ
律子「ほう?」
貴音「あっ、今のは言葉の綾と申しますか、なんと言うか……」
律子「問答無用!」
貴音「そんな! お助けを!」
律子「慈悲は無い!」
貴音「斯くなる上は!……つま先立ちでキス☆」ボソッ
律子「」ピクッ
貴音「社会人との彼との甘い恋愛……憧れちゃうわね」
律子「」
律子「ア、アンタ……どこでそれを……?」
貴音「ふっ、律子にも裏あかうんとがある事は把握済み。日々の妄想を垂れ流す──」
律子「わー! わー!」
貴音「あの人との身長差だと、丁度私がつま先立ちになっちゃ──」
律子「貴音! やめなさい! って何処を触ってるのよ!」
小鳥「」●REC
P「よーし、レッスン行くぞー!」
千早「はい!」
響「わかったさー!」
終わり
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