女「せーんぱいっ!」(18)

女「せんぱいっ! 今日はいい天気ですね!」

男「……」

女「まだちょっと寒いですけど、ちょっとずつ春って感じがしてきましたね!」

男「……」

女「先輩はどの季節が1番好きですか? 私は夏ですかねー」

男「……」

女「……なんで無視するんですか」

男「……」

女「無視しないでくださいよー!!」

男「……」

女「あれですか、ツンデレってやつですか」

男「……」

女「」

男「……」

女「そういうのも嫌いじゃないんですけどね、そろそろデレ成分も欲しいかなー、なんて……」

男「……」

女「駄目ですか……」

男「……」

女「どうやったら相手してくれるのかなー、この頑固者は」

男「……」

女「仕方ない。私が一肌脱ぎましょう。文字通りひとはだ
脱ぎましょう」

男「……」

女「ほら先輩、女の子のパンツですよ!」ピラ

男「……」

女「せめて横目で見るぐらいはしてくれてもいいじゃないですか……」

男「……」

女「わかりました、放置プレイというやつですね」

男「……」

女「私もせんぱいとそういうプレイをするのは吝かではないんですけどね、こういうのは段階を踏んでから……」

友「おー、男よっす!」

男「おお友、よっす」

女「えっ」

友「あ、君もこんにちは?」

女「は、話しかけないでください」

友「ははは、ひどいなあ」

女「せんぱいっ、早く行きましょ!」

友「じゃあ男、俺急ぐからまたな」

男「おう、また今度な」

女「なんで普通に喋ってるんですか」

男「……」

女「知らない人に話しかけられてびっくりしたってわけじゃありませんよ」

男「……」

女「むしろ知ってるからこそこうして言ってるんです」

男「……」

女「せんぱいと仲良くしてましたからね、面識はありませんが顔ぐらいは知ってます」

男「……」

女「なにが言いたいかわかりませんか? 私がおかしなことを言い出したと思ってます?」

男「……」

女「私に言わせればおかしなのはせんぱいの方ですよ!」

男「……」



女「だって、あの人先週死んだじゃないですか」

通行人「ああ、見た見た。1人でなにかブツブツ言ってる人」

通行人「向こうの方に行ったよ。あんた重そうな荷物だね、気をつけて行きなよ」

「……」

女「幽霊、ってことになるんですかね」

男「……」

女「頭がついていきませんか。そうですよね、私だって動転してます」

男「……」

女「本当に仲が良かったですもんね。お察しします」

男「……」

女「友さんが死んだ後から先輩の奇行ははじまりましたね」

女「奇行と言っても1人でふらふら歩きまわって、1人でなにか喋ってるだけのかわいいものですけど」

女「ご近所の方から聞いたんです。勝手してごめんなさい」

女「怒ってますか? でも、先輩が心配で仕方なくて……許してください」

男「……」

女「私、怖いんです」

女「先輩の奇行がかわいいものだなんて言いましたが、あんなの強がりです」

女「だってそうでしょう? ずっと一緒にいる私を相手にしないで、死んだ人とお喋りしてるんですもん!」

女「先輩が向こうに行っちゃいそうで怖いんですよ!」

女「いい加減なんとか言ってくださいよ!!」

男「……」

男「……」

男「……」

男「……」

男「……」

男「……ねえ、君だれ?」

第1部 完

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