P「小鳥さんに心霊ドッキリを試みる」 (80)
※一応ホラー物ですので、苦手な方はご注意ください
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1370533893
P「小鳥さん、今日は残業らしいですね」
小鳥「えぇ、そのつもりでいます」
P「そんなに切羽詰まってるんですか?」
小鳥「そこまでではないですけど……少しでも前倒ししておきたくて……」
P「だったら俺も付き合いますよ」
小鳥「そんな……悪いですよ………」
P「いいんですって、困ったときはお互い様じゃないですか」
小鳥「私の都合でプロデューサーさんに迷惑は……」
P「わかりました……じゃあ勝手に残って勝手に手伝いますから、それでいいですか?」
小鳥「もぅ……ありがとうございます」
P「そうこなくっちゃ」
P「…………」
P(……計画通り)ニヤリ
P(ふっふっふっふ……まんまと引っかかったな)
P(小鳥さん……俺は他人の仕事をタダで手伝うほどお人好しじゃないんですよ)
P(見返りとして、小鳥さんの怖がる姿をバッチリ見せてもらいますからね!)
P(ついでに怖くて抱きついてくれればなおよし!)
P(あぁ……こんなに残業が楽しみなのは初めてだな)
小鳥(よかったぁ……プロデューサーさんが手伝ってくれるなんて……)
小鳥(仕事の負担は減るし、なにより夜の事務所に二人きり……)
小鳥(これはもう何が起きたってオカシクないわ!)
小鳥(その気になって抱きついてくれればなおよし!)
小鳥(あぁ……こんなに残業が楽しみなのは初めてだわ)
P(さて、そうと決まれば、今のうちに協力者を確保しておかなくては……)
P(やはり幽霊は女性だと相場が決まっているからな)
P(ここは一つ、アイドルの誰かに協力してもらうとしよう)
P「…………」
小鳥「プロデューサーさん?」
P「はい?」
小鳥「どうしたんですか? なんだか考え込んでるみたいですけど……」
P「いえ、誰か帰ってこないかなぁーと思いまして」
小鳥「そ、そうですよね……私と二人きりなんて、イヤですよね……」
P「そういう意味じゃないですってば!」
小鳥「それなら、どうしてですか?」
P「ちょっと頼みたいことがあるんです。 アイドルの子に」
小鳥「あら、それなら私がお聞きしますよ?」
P「小鳥さんはご自分の仕事をなさっててください」
小鳥(……ちぇっ、気分転換になると思ったのになぁ)
ガチャ
千早「お疲れ様です」
P「やったぁ! 千早だ!」
千早「な、なんですか?」
春香「はい! はいっ! 私もいまーす!!」
P「おぉ春香まで!? 会いたかったぞー」
春香「えぇっ!? あの……わ、私もです……////」
P「ささっ、各々方! ちょいと会議室まで」
春香「……へ?」
千早「随分歓迎すると思えば、何か裏がありそうですね」
P「裏? 俺は裏表の無い人間だって、業界では有名なんだぞ?」
千早「そんな話は聞いたことがありません」
P「あぁ、それは千早の方だったか……」
千早「……はい?」
P「いや、なんでもない」
千早「……小鳥さんに?」
春香「……心霊ドッキリ?」
P「夏といえば幽霊! 幽霊といえば心霊ドッキリ! な?」
千早「そんな馬鹿げたこと……ねぇ春——」
春香「やります!」
P「ぃよっしゃ!」
千早「ちょ、ちょっと待ってください!」
P「なんだよ」
千早「春香……心霊ドッキリなんてやっていたら、電車なくなるわよ?」
春香「平気だよ、千早ちゃんちに泊まるから」
千早「え?」
P「それなら安心だな」
千早「私はまだ協力するとは言ってません」
P「どうしても幽霊役が必要なんだよぉ」
千早「だから私が帰ってきたとき、あんなに嬉しそうだったんですね」
P「千早は髪が長いから幽霊にピッタリだし」
春香「髪を前に垂らしたら、貞子みたいになれるよ!」
P「なれるよ!」
千早「……なりたくないです」
P「いいじゃん、別にまつ毛を全部抜けとは言わないからさ」
春香「千早ちゃん! 何事も経験だよ、経験!」
千早「春香はやらないの?」
春香「え? 私は……やるんですか?」
P「幽霊を二人も出したってしょうがないだろ」
P「それに、春香は転んだりして正体がバレるかもしれないし」
千早「私は半強制だということですね……」
P「いや、まぁ最悪……春香にやってもらうけど?」
春香「千早ちゃん、帰りたいなら私のことは気にしなくていいよ」
千早「でも、それだと春香が……」
春香「それは大丈夫、今夜はプロデューサーさんちに泊めてもらうから」
P「What?」
春香「協力するんですから、そのくらい良いじゃないですかぁ〜」
P「いやしかし……」
春香「別に取って食うようなことはしませんから」
P「それはこっちのセリフ……でもないけど!」
千早「わ、私も協力します! だから春香は私の家に泊まって」
春香「……ちぇっ」
P(俺って結構信用されてないみたいだな……)
P「で? 結局2人とも協力してくれるのか?」
春香「というか、協力させてください!」
千早「不本意ではありますけど……私も」
P「よし、これでもう成功したようなもんだ」
春香「はい! プロデューサーさん、質問!」
P「どうぞ、春香君」
春香「具体的なネタというのはあるんでしょーか?」
P「良い質問ですねぇ………まずはこちらをご覧ください」
P「……よいしょ」ガタ
春香「なんですかこれ? ボタンと……マイク?」
P「見てわかる通り、ボタンが五つとマイクが一体になった装置です」
春香「押してもいいですか?」
P「ダメダメ! もうセッティングしてあるんだから」
千早「セッティング?」
P「それは俺が3日かけて作った、黒いボディのデジタルマシンだ」
P「ターボチャージャーも付いてるんだぜ」
春香「たーぼちゃーじゃー?」
千早「ある程度の予想はつきますけど、説明してください」
P「まず心霊現象ってやつを色々考えてみたんだけどさ」
P「一つは物音。 まぁラップ現象ってヤツだな」
春香「ちぇけらー! みたいな感じですか?」
千早「それは違うと思うわ」
P「誰も居ない、何もない空間から音が鳴る現象のことだよ」
春香「……知ってましたけどね」
P「その左から三つ目までのボタンを押すと、各所から音が鳴る」
春香「それでボタンのところに『ガタッ』とか『カタカタ』って書いてるんですね?」
千早「もう一つは……『バタン』?」
P「一応その擬音どおりの音が鳴るはずだ」
春香「どういう仕組みなんですか?」
P「説明が長くなって、しかも春香には理解できないと思うけど……」
P「それでも聞きたいか? どうしてもと言うなら……」
春香「し、知らないほうが良いこともありますよねー」
P「四つ目のボタンは、そのマイクのスイッチになってる」
春香「押して喋ると、向こうに聞こえるんですか?」
P「その通り! しかもちょっとエコーをかけてある」
千早「何に使うんです?」
P「心霊現象その2は、女性の笑い声だ」
春香「……そういうことですか」
P「ちょっと千早、その場で笑ってみて。 出来るだけ幽霊っぽく」
千早「……わかりました」
千早「フフ……ウフフフッ……フフフ………」
P「おぉ〜なかなか上手いじゃないか」
春香「逆に明るく笑うっていうのも恐いと思いますよ、こんな風に……」
春香「アハハッ……アハハハハ………ハハハ……」
P「いいねいいね! その乾いた感じが実にイイ」
春香「でしょでしょ!」
P「マイクを通せば、さらに恐くなりそうだ」
千早「最後のボタンは何ですか?」
P「それは照明のスイッチだよ」
P「押すと、小鳥さんの居る部屋の全照明が消える」
春香「うわぁ……何気に一番恐くないですか?」
P「他のネタと組み合わせることで、より恐怖心が増すだろうな」
千早「余り多用しすぎると逆効果だと思いますけど……」
P「うん、確かに一理ある」
春香「まぁそのへんは臨機応変にいきましょう!」
P「そうだな」
春香「なかなかイイ装置を作りましたね、プロデューサーさん!」
P「そうだろうそうだろう!」
P「人間やろうと思えば、なんだってできるんだな」
春香「そうですね!」
千早(二人とも、とても楽しそうだわ……)
P「他に何か使えるネタはないか?」
春香「えぇっと……何かあるかなぁ」
千早「…………」
千早「あの………電話とか、どうかしら?」
春香「電話?」
千早「えぇ……事務所に電話をかけて、何か言葉を」
P「うん、それいいな」
春香「問題はセリフですかね」
P「いやぁもう何でも恐いと思うよ」
春香「まぁそうでしょうけど」
P「その時にアドリブで考えたらいいんじゃないか?」
春香「多分『痛いー』とか『助けてー』とかになると思います」
千早「ありきたりではないかしら?」
春香「でもその方が、いろいろ想像できて恐いだろうし」
P「そうだな」
P「とまぁ、ここまではただのお膳立てに過ぎない」
千早「…………」
P「恐怖心を散々煽った上で、最恐ネタを喰らわせてやるんだ」
春香「恐怖が最高潮に達してネタばらし……それがベストですからね!」
P「その通り! ここで千早の力が必要になってくるわけだ」
千早「…………あまり自信はないです」
P「大丈夫だって」
春香「衣装とか、メイクとかって……?」
P「白装束も用意したし、メイクだってちゃんと覚えたぞ!」
千早「覚えたって……どこで?」
P「以前ドラマの撮影現場に行ったときに、メイクの方に教えてもらったんだ」
千早「無駄な行動力だけはあるんですね」
P「無駄? ちぃっとも無駄なことじゃないぞ?」
千早「そうは思えません」
P「今後、ドラマのオファーが来るかもしれないだろ? ホラー物とか」
千早「ですが、幽霊役なんてそうそうあるわけでは……」
P「確かにそうだが、他にも役に立つことがある」
春香「なんですか?」
P「ずばり、小鳥さんの姿だ」
千早「え?」
春香「あっわかりました! 小鳥さんの怯えた姿、ですね?」
P「そう……ドッキリだとはいえ、小鳥さんの反応はリアルなものだろ?」
P「恐怖に慄く人間が、どういうリアクションをするのか……」
P「小鳥さんが身体を張って教えてくれるってわけだよ」
千早「……少し、納得しました」
P「ということで……全力で小鳥さんを怯えさせてくれ」
春香「手加減は禁物ですね!」
P「そのとおり!」
春香「プロデューサーさん?」
P「なんだ?」
春香「ほら……よくドッキリとかって、モニターがあるじゃないですか?」
P「あぁ、ちゃんとセッティングしてるぞ」
春香「あっそうなんですか? どこに?」
P「社長室だよ。 この企画の本部はそこだからね」
千早「え? だ、大丈夫なんですか?」
P「今日は社長居ないし、残業中に来るわけもない」
千早「だからって……」
P「使うのは今夜だけなんだし、綺麗サッパリ片付けるから」
春香「もう既に仕掛けてあるなら、心配したってしょうがないですね」
P「そういうことだ」
千早「…………」
春香「セッティングの仕方も誰かに教えてもらったんですか?」
P「うん。 たしか……貴音か響だったと思うんだけど………」
P「以前番組でさ、楽屋でのドッキリにかけられたんだ。 知らない?」
春香「うーん……ごめんなさい」
P「その時にさ、カメラの位置に問題があったりするといけないから……」
P「収録前のセッティング時に、見せてもらったんだよ」
千早「問題ってなんですか?」
P「机の下とか、きわどいところに仕掛けられたら困るだろ?」
千早「……あっ」
P「どうした?」
千早「い、いえ……」
千早(ちゃんと私達のこと、考えてくれてるのね)
P「そこでバッチリ、隠しカメラとか、この装置の技術を学んだってわけさ!」
千早「…………」
千早(騙されるところだったわ……)
P「そうそう、一つだけどうしようもない問題があるんだ」
春香「なんでしょう?」
P「カメラが自前の安物しかなくてさ、暗闇だと満足に撮れないんだよ」
春香「そうですか……」
P「だから照明を落としたときには、ほぼ映らないと考えていてくれ」
千早「それなら、私の幽霊姿は記録されないんですね……よかった」
P「うーん、ちょっともったいないかな」
春香「そうですねぇ……でも、仕方ないですよ」
P「今後の為に、ちょっといいカメラを用意しておこうかな……」
春香「そういうのって、経費で買えないんですか?」
P「そんなことしたら俺の首が吹っ飛ぶよ」
千早(一度吹っ飛んだほうがいいんじゃないかしら……)
P「こんなところかな、話しておかないといけないことは」
春香「はぁ……早く夜にならないかなぁ〜」
千早「それまで時間を潰すのが大変ね」
P「とりあえずネカフェにでも行ってきたらいいよ」
春香「はい、そうします……けど」
千早「…………」
春香「…………」
P「…………」
P「………お金?」
春香「はい」
P「………ネカフェの?」
千早「はい」
P「…………お納めください」
——そして時は過ぎ
P「…………」
小鳥「…………」カタカタ
P「……暗くなりましたね」
小鳥「えぇ、残業ですから」
P「…………」
小鳥「…………」カチカチ
P「……静かですね」
小鳥「えぇ、残業ですから」カタカタ
P「…………」
小鳥「……あら、間違えちゃった」
P「うーむ」
P(今のところ、いつもの小鳥さんって感じだな)
P(なんとなくソワソワしているようにも見えるが……)
小鳥「…………」
小鳥「…………」チラッ
P「…………」
小鳥(今のところ、いつものプロデューサーさんって感じね)
小鳥(なんとなくソワソワしているようにも見えるけど……)
小鳥「…………」
小鳥(今夜はこのまま何もなく終わりそう……)
小鳥「……ちょっとは期待してたのになぁ」ボソッ
P「……え?」
小鳥「い、いえ……なんでもないです」
P「…………あの、小鳥さん?」
小鳥「はい?」
P「ちょっと、レコーディングに行ってきます」
小鳥「えっ……あ、はい」
小鳥(……おトイレってことでいいのよね?)
ジャーー バタン
P「……ふぅ」
P(トイレは口実だったんだけど、意外と出るもんだな)
P(さて、暗くなったら社長室に来いと伝えていたから……)
P(春香たち、流石にもう来てるだろう)
P「…………」
P「ちょっと入ってみよう」
ガチャ
P「おーい、居るかー?」
春香「あっ、プロデューサーさん!」
千早「お疲れ様です」
P「おつかれ、今来たのか?」
春香「えぇ、ついさっきです」
P「そうか……ちょうどよかった」
春香「さっそくやりますか?」
P「そうだな……ちょっとモニタを付けてみてくれ」
春香「はーい」
パチッ ブゥーーン
小鳥『…………』
春香「おぉ! 映りました!」
千早「音無さん、仕事してるわね」
P「残業だからね」
小鳥『ふあぁ〜ぁ………あふぅ』
春香「あっ、欠伸した!」
P「これから恐怖のどん底に落とされるってのに、のん気なもんだ」
春香「では、そろそろ落としましょうか?」
P「やっちゃってください」
小鳥「………はぁ」
小鳥(プロデューサーさん遅いなぁ)
小鳥(私と二人きりだから緊張してるのかな?)
小鳥(それで、トイレに入って気持ちを落ち着かせてるんじゃ……ないわよね)
小鳥「…………」
ガタンッ!
小鳥「ひっ!」
小鳥(……び、びっくりした)
小鳥(今の……プロデューサーさんかしら?)
カタカタカタカタ…………カタカタカタカタ…………
小鳥「……な、なに? 何の音?」
小鳥「…………」
小鳥「お、収まっt——」
バタンッ!!
小鳥「きゃあ!!」
『バタンッ!!』
小鳥『きゃあ!!』
春香「うふふっ、すごくビックリしてます」
P「そりゃそうだよ。 こんなの誰でもビビるよな」
小鳥『だ、だれ? 泥棒……?』
春香「あれ? 泥棒かと思ってますよ?」
千早「当然よ。 いきなり幽霊を疑うなんて普通は……」
P「参ったなぁ、それじゃ意味がない」
P「…………」
P「そうだっ! 春香、俺ちょっと戻るからさ」
P「俺が耳に手をやったら、カタカタ音を鳴らしてくれないか?」
春香「わかりました! 耳に手ですね!」
千早「一体何を……?」
P「まぁ見てなって」
春香「プロデューサーさん……なにするつもりだろう?」
千早「言われたとおり、見てみないとわからないわね」
『ガチャ』
小鳥『きゃー!』
P『ど、どうしたんですか?』
小鳥『あぁ、プロデューサーさん!』ギュ!
P『おっと……こ、小鳥さん?』
小鳥『い、いま……変な音がしたんです!』ギューッ
春香「あーーーーっ!!!」
春香「千早ちゃん大変! 小鳥さんがプロデューサーさんに抱きついた!」
千早「怯えてたらそのくらいするわよ」
春香「あーん、ずるい〜」
千早「えぇ、ホント……ずるいわね」
春香(そこは同意するんだ……)
小鳥『あちこちから変な音が……』
P『変な音ですか……』スッ
千早「春香、合図したわよ!」
春香「え? あ、ホント!」
春香「…………」
千早「春香?」
春香「ねぇ千早ちゃん」
千早「な、なにかしら?」
春香「これってやっぱり……」
春香「『ポチッとな♪』って言ったほうが……?」
千早「そんなことはいいから、早く押さないと!」
春香「あっ、ゴメン」
ポチッ
千早「………言わないのね」
春香「うん……なんか恥ずかしくって」
カタカタカタカタ……カタカタカタカタ……………
小鳥「あっ! ほ、ほら……また鳴ってる……」
P「え? 何も聞こえませんよ?」
小鳥「そんな……聞こえるじゃないですかほら!」
カタカタカタカタカタカタカタ……………
小鳥「ほらぁ!」
P「……まったく聞こえません」
小鳥「だ、だって……えぇ?」
P「まだ聞こえます?」
小鳥「……………」
シーーーーーーーーーーン
小鳥「…………お、収まったみたいです」
P「小鳥さん、疲れてるんじゃないですか?」
小鳥「い、いえ……平気です」
小鳥(どうして? どうして私だけ……)
P「さてと……」
小鳥「ど、どこ行くんですか?」
P「ちょっと手を洗いに」
小鳥「……トイレの後、洗ってなかったんですか?」
P「え、えっと……石鹸の泡切れが悪かったので……」
小鳥「そうですか……」
P「別に逃げたりしませんよ」
小鳥「出来るだけ……早く帰ってきてください」
P「恐いんですか?」
小鳥「……す、少し」
P「幽霊は恐がってる人のところに来やすいですからね」
小鳥「も、もぉ! やめてください!」
P「あはは……すぐ戻ってきますから」
小鳥「…………はぁ」
P(よしよし、だいぶ効いてるみたいだ)
ガチャ
P「いやぁ、こうかはばつぐんだぞ!」
春香「…………」ムスッ
P「あれ? 春香、どうしたんだ?」
千早「妬いてるんですよ、音無さんが抱きついたから」
P「そうなのか? 春香」
春香「ちがいますよーだ!」
P「そうか……ってそんなことはいいから、次に行くぞ次に」
春香「……はい」
P「まずは千早の笑い声からにしよう」
千早「わかりました」
P「その後、春香の乾いた感じのやつな」
春香「電気はどうします?」
P「電気は……次にしよう」
春香「りょーかいです」
小鳥(うぅ……プロデューサーさん、早く帰ってきて)
小鳥「…………」
『フフフ………ウフフフ………フフ………フフフ……』
小鳥「はっ!?」
『フフッ……フフフフ…………ウフフ……フフ………』
小鳥「やだ……な、何?」
『アハハハハ………アハ……ハハハハ………ハハハ………』
小鳥「も、もうやだ……恐い……恐いよぉ!」
『フフフ……フフフフ………アハハ………ハハハハ………』
小鳥「プロデューサーさん! プロデューサーさん!!」
『フフフフフ………フフフッ…………ウフフフフ…………』
『ハハ……ハハハ……アハハハハ………ハハハハ…………』
小鳥「助けて! 早く! 早く帰ってきてよぉーー!!」
『フフフフフ………アハハハ………ハハハ……フフ………』
小鳥「あぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!」
フフフフ
アハハハハハハ
フフフッ
イタイ コワイヨー
ハハハハ
タスケテ
アハハハハハハハハ フフッ
フフフフフフフフ
小鳥「プロデューサーさん! どこに行ったの!?」
プロデューサーサン
ドコニイッタノ
小鳥「恐い……コワイ………プロデューサーさん……」
プロデューサーサン
アハハハ ハハハ
フフフフ コワイコワイ
小鳥「やめて……もうやめて………許して…………」
ヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテタメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテ…………
ユルシテユルシテユルシテユルシテユルシテユルシテユルシテユルシテユルシテ…………
小鳥『助けて……プロデューサーさん………早く……来て』
千早「…………」
P「叫びすぎて声がしゃがれてきたな」
春香「やりすぎですかね?」
P「ちょっと可哀相になってきた……やめないけど」
春香「とりあえず戻ってあげましょうよ」
P「そうするけど……すぐコッチに帰ってくるからな」
春香「そうなんですか?」
P「春香に電話ネタをやってもらってる間に、千早のメイクをしないと」
千早「メイクはプロデューサーがするんですか?」
P「うん、だから俺が小鳥さんとこに行ってる間に、着替えだけ済ませといてくれ」
千早「……わかりました」
P「春香は俺が戻ってきてから、電話をするんだぞ」
春香「はい!」
P「んじゃ、頼んだ」
ガチャ
P「ふぅ……小鳥さ——」
小鳥「ひっく……ひっく………」
P(あら〜こりゃ重症だ……)
P(耳塞いで目もガッツリ閉じてるな……俺が来たことにも気付かないか)
P「小鳥さん?」
小鳥「うぅ……プロデューサーさん………早く戻ってきて……」
P「小鳥さん!」ガシッ
小鳥「ぎゃぁ!!!」
小鳥「あっ! プロデューサーさん!!」
P「どうしたんですか?」
小鳥「う、うわぁぁぁぁーーーーん!!」ギューッ
P「わわっ!」
小鳥「笑い声……女の人の笑い声が……ずっと………」
P(震えてる……やっぱり、やりすぎかな………)
P「そうだ! 俺ちょっとコンビニ行ってきますね」
小鳥「私も行きますぅ! もう一人はコワイ……です」
P「ちょっとした夜食を買うだけですから、小鳥さんはお仕事しててください」
小鳥「だって……また変な声とか…………」
P「すぐ帰ってきますから……ね?」
小鳥「すぐですよ? 絶対ですよ?」
P「えぇ、もちろんです」
小鳥「……わかりました」
P「…………」
小鳥「…………」
P「…………コホン」
P「あの……抱きつかれるのは悪くないんですけど……」
P「そろそろ行ってもいいでしょうか?」
小鳥「ご、ごめんなさい……もう少しだけ」ギューッ
ガチャ
P「さぁてと……おぉースバラシイ!!」
P「千早! やっぱり白装束似合うね!!」
千早「嬉しくないです」
P「よし! さっそくメイクをしよう!」
春香「それじゃ、私は自由にやってていいんですね?」
P「あぁ、電気を消して……電話な」
春香「よぅし……任せてください!」
春香「モニターが映らないのは残念ですけど……」
春香「声だけ聞こえればどんな感じかわかるでしょうし」
P「メイク道具は……あったあった」
P「それじゃ、いくぞ千早」
千早「はい」
春香「こっちもいきますねー」
P「おう」
パチッ!
小鳥「きゃあ!」
小鳥「電気が……電気がぁ!!」
Prrrrrrr Prrrrrrr
小鳥「ひっ! で、電話……」
Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr
小鳥「やだ……出たくないよぉ」
Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr
Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr
小鳥「……もしかしたらプロデューサーさん?」
Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr
小鳥「そうよ……きっとそうよ」
Prrrrrrr Prrrrrrr Prrr ガチャ
小鳥「…………も、もしもし?」
『助けて……タスケテェ………』
小鳥「あ………あァ………もう……ヤダ……」
『イタイ………たすけてぇ…………ブツッ』
小鳥「き、切れ……た?」
『………………して?』
小鳥「ヒッ!」
『どうして……どうしてこないの?』
小鳥「だ、だれ……なの………」
「こっちへくればいいのに……」
小鳥「え?」
小鳥「………ぁ」
ドサッ
春香「イタイ……たすけてぇ…………」ピッ
春香「……よし」
P「俺が小鳥さんだったら、絶対チビッてるよ」
千早「音無さんの反応は?」
春香「なんとなく、言葉にならないって感じ」
P「おいおい、向こう電気消えたままだぞ」
春香「あっ、いけない!」カチッ
小鳥『…………』
春香「あれ? 小鳥さん……窓の外見て硬直してますね」
P「あまりに恐すぎて放心状態になってるじゃないか……」
千早「流石に可哀相ですよ……」
P「まぁまぁ、次で最後だからさ」
春香「私達は千早ちゃんの後に入るんですか?」
P「そうそう、忘れないようにドッキリの看板を持っとかないとな」
P「どういった幽霊にするかは、千早に任せるよ」
春香「私達も楽しみにしてるね!」
千早「わかったわ………私が行ったら、また電気を消してくれる?」
春香「電気? うん、おっけー!」
P「頼んだぞ、千早」
千早「多分一番恐いでしょうから、早めにネタばらししてあげてくださいね」
P「まぁ頃合を見計らって出ていくよ」
春香「それじゃ、いってらっしゃい」
千早「…………はぁ」
千早「なんだか、すごく悪いことをしているような気になってくるわ……」
春香「いやいや、こういうのは手加減したほうが悪いんだよ?」
千早「そう思うのは春香がアイドル芸人だからよ」
春香「せめて、テレビを分かってると言って欲しいなぁ」
P「……テレビの企画じゃないんだけどねこれ」
P「よし、行ったぞ」
春香「それでは電気を……」
パチッ
小鳥『!?』ビクンッ
P「もう悲鳴すら出なくなったか」
春香「パソコンの明かりで薄っすら見えますけど……震えてるみたいですね」
P「恐いよなぁ……そりゃ恐いよ」
小鳥『……!?』
P「お? ドアの辺りを見たぞ?」
春香「千早ちゃんの存在に気付いたみたいです!」
P「あっ隠れた!」
春香「なんか可愛いですね!」
P「本人はいたって真剣だけどね」
小鳥「プロデューサーさん? ………じゃないの?」ガタガタ
コンコン…………コンコン…………
小鳥「ひぃ!」
コンコン…………コンコン…………コンコン…………コンコン
コンコン…………コンコン…………コンコン…………コンコン
小鳥(ひぐっ……恐い………誰?)
小鳥(プロデューサーさん? どうしてノックなんて……)
コンコン…………コンコン…………
ガチャ
小鳥「!?」ビクッ
小鳥(声を出しちゃダメ…………)
千早「……ドラナイ………ビガ……ナイノ」
小鳥「………ヒィッ!」
千早「クビガ……モドラナイノ…………クビガモドラナイノ………」
小鳥(ウ……ウソよ………こんなの…………)
千早『クビガモドラナイノ……タスケテタスケテ………』
春香「千早ちゃん……恐いよ……」
P「よく見えないけど……首傾けて痙攣してるな」
P「髪が長いのもあって、マジの幽霊みたいだ」
小鳥『…………』
千早『ケタケタケタ………ケタケタケタ………』
小鳥『…………ぁ』
千早『ケケケケケ………クケケケケ…………』
小鳥『あ………あぁ………………』
春香「そ、そろそろ行きませんか?」
春香「小鳥さん……なんかヤバイ感じですよ?」
P「そうだな……ちょっと待ってくれ」
小鳥(南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏………)
千早『……………ケケケ』
小鳥(ポマードポマードポマードポマードポマードポマード………)
千早『ドコニイルノー? ………クケケッ……ドコニイルノー?』
小鳥(来ないで……来ないでぇ!!)
千早『…………』
ヒタ…………ヒタ…………ヒタ…………ヒタ…………
…………ヒタ…………ヒタ…………ヒタ…………ヒタ
ヒタ………ヒタ…………ヒタ
千早『……………アァ』
小鳥「…………ひっ!」
摺醴��霾醴髏蠶蠶鸛躔か ベ∃壮鎧醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
勺儲靄靄醴醴醴蠶體酌�紜���山∴ ベヨ迢鋸醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
∃儲霾�露繍蠶髏騾臥猶鬱� ご笵此∴ ∃�謳廱躔騾蔑薺薺體髏蠶蠶蠶蠶蠶蠶
ヨ儲諸隴躇醴蠶歎勺尓俎赴 �蠶蠶蠢レ ∴�醴蠶鬪扠川ジ⊇氾衒鑵醴蠶蠶蠶蠶蠶
ヨ鐘諸薩讒蠢欟厂 ベ状抃 傭蠶蠶髏厂 ヨ繍蠶蠶臥べ泣澁価価櫑蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
�罐諸醴蠶蠶歎 マシ‥…ヲ冖 .∴瀦醴蠶襲��鶴門門攤蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
加罐讒蠶蠶欟厂 ヘ ∴�醴醴蠶甑欄鬮°�蠢蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
溷霾醴蠶蠶勸 ∴ヨ繍醴蠶蠶鬮狡圷し醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
醴蠶蠶蠶蠶髟 ベ湖醴醴蠶蠶蠶庇⊇⊇�體髏髏蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶蠶蠶欟 �繍蠶蠶蠶蠶蠶曲三三巛憫髏蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
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千早『——ミツケタ——』
千早「ミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタ」
小鳥「ヒ、ヒィーッ!!」
千早「フフフフフ…………」ニタァ
小鳥「」
小鳥「………きゅぅ」ガクッ
千早「……あら?」
千早「ちょ、ちょっと音無さん!?」
千早「大変……プロデューサー! 早く来てください!」
ガチャ
P「じゃーん! ウソよね〜ん!!」
春香「ドッキリでし………あれ?」
千早「…………気絶してしまいました」
P「うそーん」
春香「千早ちゃん、やりすぎだよ……」
P「画面で見てるコッチも恐かったもんな」
千早「思いのほか楽しくなってしまいまして……」
P「それはわかったからさ……とりあえず首の角度を戻そうか」
千早「フフフフフ…………」ニタァ
春香「わかってても恐い………」
————
——
小鳥「すぅ……すぅ………」
P「とりあえず、小鳥さんが目を覚ますのを待とう」
春香「そうですね」
千早「今のうちにメイクを落としてきます」
P「あぁ、そうしてくれ。 目が覚めてまた気絶されたら敵わん」
春香「無限ループって恐いですよね」
千早「着替えも済ませるので、入ってこないでください」
P「わかってるよ」
千早「…………ふぅ」
千早「生地が薄いから、少し寒かったわね」
千早「…………」
『フフフフ………フフフ…………ウフフフフフ…………アハハハ』
千早「えっ?」ビクッ
千早「今……笑い声が………」
千早(気のせい? それとも、春香……かしら?)
千早「…………」
カタカタカタ…………カタカタカタカタ……………
千早「!?」
千早「…………」
千早「………気のせいよね」
千早「は、早く戻らないと」
小鳥「…………はぁ」
P「えっと……ごめんなさい」
春香「ちょっと、やりすぎちゃいました」
小鳥「今の気持ちは、怒りよりも安堵の方が強いです」
小鳥「もう恐いどころの騒ぎじゃなかったですよぅ……」
ガチャ
小鳥「ひぃ!!」ビクッ
P「大丈夫、千早ですよ」
春香(もうトラウマに……)
千早「気が付いたんですね、音無さん」
小鳥「えっと……本物の千早ちゃんよね?」
千早「私はずっと本物の私ですよ」
小鳥「そうよね……でもすっごく恐かったわ」
P「あの千早を見れば、誰だって気絶しますよ」
小鳥「でも、一番恐かったのは……飛び降りですね」
P「……は?」
小鳥「あの電話の声って、春香ちゃんでしょ?」
春香「は、はい」
小鳥「電話で恐怖心を煽っておいて、視線の誘導まで完璧だったじゃない?」
春香「えっと………飛び降りって……どういうことですか?」
小鳥「どういことって…………」
小鳥「一度音声が途切れて、受話器から『どうしてこないの?』って声がして……」
小鳥「今度は窓の辺りから……『こっちへくればいいのに』って……」
小鳥「それで窓に目をやった瞬間、制服を来た女の子が……落ちていって………」
千早「…………」
小鳥「アレって人形ですか? 目が合っちゃってものすごく恐かったです!」
P「いや、春香が電話で言ったのは……」
春香「『助けて……』っていうのだけです……けど」
小鳥「…………え?」
小鳥「いやだから、その後に『どうしてこないの?』って……」
春香「いえ、そんなこと言ってませんし……飛び降りなんて………」
小鳥「もう! まだドッキリ続いてるんですか?」
小鳥「確かに私は………女の子を……見たんですよ?」
P「…………」
千早「…………」
小鳥「ウ、ウソです……よね? 人形ですよね、あれ」
Prrrrrrr Prrrrrrr
春香「きゃあ!!」
小鳥「ま、また電話が……」
Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr
小鳥「これもドッキリですよね? そうなんですよね?」
P「いや、俺は……俺は知らないです!」
Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr Prrrrrrr
小鳥「プ、プロデューサーさん……」
P「………出るしかない」
P「…………ゴクリ」
P「も、もしもし?」
『ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』
P(ノイズが酷いな………)
『いやなきろくなんて……かきかえればいいの』
P「……え?」
『ザーーーーーーーーーーーーーーーー………ブツッ』
コンコン…………コンコン…………
ガチャ
『フフフ……フフフフフ…………アハハハハ………フフフフッ……』
ALL RESET
Return
『ウソよね〜ん!!』
『小鳥さん……窓の外見て硬直してますね』
『メイクはプロデューサーがするんですか?』
『もうやめて………許して…………』
『幽霊は恐がってる人のところに来やすいですからね』
『千早ちゃん大変! 小鳥さんがプロデューサーさんに……』
『いきなり幽霊を疑うなんて普通は……』
『だ、だれ? 泥棒……?』
『カメラが自前の安物しかなくてさ、暗闇だと……』
『なんですかこれ? ボタンと……マイク?』
『心霊ドッキリなんてやっていたら、電車なくなるわよ?』
『私と二人きりなんて、イヤですよね……』
『小鳥さん、今日は残業らしいですね』
小鳥「……え?」
P「ですから、今日は残業らしいですね」
小鳥「えぇ、そのつもりでいます」
P「そんなに切羽詰まってるんですか?」
小鳥「そこまでではないですけど……少しでも前倒ししておきたくて……」
P「だったら俺も付き合いますよ」
小鳥「そんな……悪いですよ………」
P「いいんですって、困ったときはお互い様じゃないですか」
小鳥「私の都合でプロデューサーさんに迷惑は……」
P「わかりました……じゃあ勝手に残って勝手に手伝いますから、それでいいですか?」
小鳥「もぅ……ありがとうございます」
P「そうこなくっちゃ」
P「…………」
P(……計画通り)ニヤリ
P(ふっふっふっふ……まんまと引っかかったな)
P(小鳥さん……俺は他人の仕事をタダで手伝うほどお人好しじゃないんですよ)
P(見返りとして、二人きりの時間を満喫しまくってやりますからね!)
P(良い雰囲気になって抱きついてくれればなおよし!)
P(あぁ……こんなに残業が楽しみなのは初めてだな)
小鳥(よかったぁ……プロデューサーさんが手伝ってくれるなんて……)
小鳥(仕事の負担は減るし、なにより夜の事務所に二人きり……)
小鳥(これはもう何が起きたってオカシクないわ!)
小鳥(ドサクサ紛れに抱きついてくれればなおよし!)
小鳥(あぁ……こんなに残業が楽しみなのは初めてだわ)
きおくにないことは なかったこと
きおくなんて ただのきろく
きろくなんて
かきかえてしまえばいい
春香「事務所への帰り道で千早ちゃんに会えるなんて……なんだか嬉しいな♪」
千早「春香は大げさね」
春香「だって……全然連絡とかもしないで、街中で出会ったんだよ?」
千早「そのくらいありえるわよ」
春香「そうかなぁ……」
千早「で、でも……私も、その……嬉しかったわ」
春香「えへへ……ありがとー」
「…………」
春香「…………あれ?」
千早「どうしたの?」
春香「う、うん…………」
「…………」
春香「ごめん……ちょっと待ってて!」ダッ
千早「あっ、春香ー!」
千早「どうしたのかしら……」
春香「はぁ……はぁ………はぁ……」
「…………」
春香「えっと……こんにちは」
「こんにちは」
春香「前に会ったかな? 会った……よね?」
「…………」
春香「あっ! 仕事で行ったイベント会場の遊園地で……」
春香「んー……でも違うなぁ……えっと………」
「……はじめまして」
春香「え?」
「はじめまして……だよ?」
春香「そう……じゃあ、はじめまして! 私は春香っていうの……あなたは?」
「…………」
「……玲音」
春香「玲音? んーと……」
千早「春香……知り合いの子?」
春香「うぅん、勘違いだって」
千早「そう……」
玲音「…………」
春香「玲音、じゃさよなら!」
春香「いつかまた、どこかで会えるかもね♪」
玲音「…………」
春香「バイバイ」
千早「さようなら、玲音」
玲音「…………」
玲音「そうだね……いつだって会えるよ」
END
終わりです
お粗末さまでした
クロスということも>>1に書いておけばよかった……
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