【艦これ】古鷹「新たなる旅立ち・弐…?」 (60)
二〇十五年末 突入、海上輸送作戦完了後日……
提督「……」
古鷹「……」
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古鷹「先日の作戦が終わってもう何日も経つのに提督、ずっとボーっとしてる……」
加古「あー……あれだね。うん、あれだよ」
古鷹「あれ?」
加古「西の国の潜水艦を仲間に迎えられなくて悔しい!って言ってたじゃん」
古鷹「うぅん…それだけじゃないと思うけどなぁ」
加古「やけに真剣だねぇ。古鷹どーしたー?」
古鷹「い、いやっ、別にそんなことは」
加古「あんまし気にしなくていいと思うよー。普段から口数少ないし、こないだの漁場の警備の後もあんな感じだったけど、ちょっとしてからまぁ元通りだったし?」
古鷹「うん……そうだね。」
加古「あぁ飯食ったらまた眠くなってきたよー。古鷹も秘書艦だからって頑張りすぎるとお肌に悪いよ!そいじゃ、おっ先~」
古鷹「うん、お休み加古」
古鷹は加古を自室から見送ると、自身の薬指にはめられたプラチナのそれを見下ろしながら、軽くため息をついた。
翌日……
提督「……」
古鷹「……」
古鷹(加古はああ言ってくれたけど……提督は相変わらずどこか上の空)
古鷹(艦隊行動も最低限の任務の消化と、新しく来た子たちの演習ばかり)
古鷹(確かに輸送作戦は成功したし、今の資源に余裕もないから別におかしいことじゃないのは分かってるけど)
古鷹(なんだろう。なぜか今の提督をみてると古鷹、とても不安になります)
提督「……古鷹」
古鷹「!」
古鷹「は、はいっ(びっくりした!)」
提督「少し……これを見てくれ」
古鷹「(任務表?)提督、これは?」
提督「新しい任務……らしい」
古鷹「任務ですか……」
古鷹(任務?遠征系みたいだけど一体……?)
「新たなる旅立ち・弐」
強い絆を結んだ艦娘と共に内地への遠征を敢行せよ!(※提督不在の鎮守府はなんとかしまーす)
燃料88 弾薬88 鋼材88 ボーキサイト88
古鷹(なんなのこれ…)
それ遠征てか出張……
古鷹「提督、これはいったい?」
提督「俺にも分からん……ただ言えることは、大淀が最優先項目としてこの任務を通達してきたことだ」
古鷹「大淀さんが?」
提督「……あぁ」
古鷹「それにしてもこの説明ですと、遠征に出向くのはおそらく私と……」
提督「俺、らしい」
古鷹「提督が鎮守府で指揮をとられないのは、如何なものかと思いますが……」
提督「俺もそう思った。が……なんのつもりかは分からんが、どうにも問題はないらしい」
古鷹(なんかこの注釈の字、どこかで見たことが……?)
提督「それと内地への遠征らしいが、大淀に聞いても任務の期間だけ守れれば、具体的な場所と行動はこちらが決めてもいいとのことだった」
古鷹「えっ?それじゃあ……つまり?」
提督「あまり気乗りはしないが、実質的に暇をもらうことになるな」
提督「任務期間は七十二時間、つまりは三日間」
提督「ここ最近は深海棲艦たちの動きもほとんどないから問題はないと思うが」
提督「作戦の意図は全くの不明。それでもおそらく受けねばならないだろう」
古鷹(つまり、提督と二人きりで……)
提督「まぁ古鷹さえよければだが」
古鷹「重巡古鷹、出撃します!」パァァ
某日、マルナナマルマル。提督と古鷹を乗せた哨戒艇は数人の艦娘の護衛の下、柱島鎮守府より山陰某地の沿岸に到着した。
古鷹「みんな、わざわざここまでありがとうね」
青葉「きょーしゅくですー!ニヒヒっ」
衣笠「衣笠さんたちのことは気にしないで、しっかり羽を伸ばしてきなさいな」
加古「お土産よっろしくぅ!」
お別れ際はほどほど、加古をはじめとした三人は柱島へと帰って行った。
古鷹「……それにしても」チラッ
提督「」
古鷹「提督って船酔いしやすい体質なんですね」
提督「……うるさい……」
古鷹(顔色見られないようにしてる……提督、なんだかかわいいっ)
古鷹(それにしても提督とはじめてのおでかけかぁ)
古鷹(楽しみだなぁ)
提督の覚束ない足取りを古鷹が支える形で、二人は町の方へ向かった
提督「もう、大丈夫……」
古鷹「えへへ、もう少しこのままでもいいんですよ」
提督「……あそこ、行くぞ」
古鷹「はいっ」
古鷹「駅……」
提督「……どうした」
古鷹「いえっ、なんでもないです!」
提督「……そうか、はじめてか」
古鷹「……はい……」
提督(無理もない。工廠で生まれてから一度も内地を見せたことなかったからな)
提督「……切符の買い方、分かるか?」
古鷹「えっと、本で読んだことなら……」
提督「……切符の買い方はな、ここをこうして……」グイッ
古鷹「提督!電車来ましたよ!」
提督「おう(やけに上機嫌だな)」
古鷹(手に触れてもらったの、いつ振りかな//)
ガタンゴトン…
提督「……」
古鷹「……(海が見えなくなっちゃった)」
古鷹「今更なんですけど……私たちは今、どちらを目指してるんでしょう?」
提督「ここから先の指示はないし……」
提督「せっかく頂いた時間だ。関西への里帰りついでに、途中でいろいろ……」
古鷹「なるほど……」
提督(ちょうどいい時期だしな)
古鷹(……里帰り!?じゃあ、提督の御両親にも……!?ど、どうしよう……!!)
提督「……どうした」
古鷹「な、なんでもないです!」
提督「?」
ガタンゴトン……
提督「……」
古鷹「……(なんだか山ばっかり)」
古鷹(提督の私服姿……そういえば初めて見たなぁ)
古鷹(古鷹、お洒落は分からないけど)
古鷹(似合ってるなぁ)
提督「……似合うぞ、服」
古鷹「へ!?」
提督「……」
古鷹「ありがとう……ございます」
古鷹(なんだか……嬉しい)
ガタンゴトン……
提督「……」
古鷹「……!」グゥー
提督「……すまん、あと少しだから我慢してくれ」
古鷹「……ゴメンナサイ」
イチサンマルマル
「終点、○○~○○~」
提督「……何か食いたいの、あるか?」
古鷹(恥ずかしい……)ブンブン
提督「そうか(じゃああそこに……)」
古鷹「提督、このお魚甘く煮てあって美味しいです!」
提督「そうか」
古鷹「穴子っていうんですか?鳳翔さんに今度リクエストしてみますね!」
提督「あぁ……」
古鷹「?」
提督(知っていた店が商店街の寿司屋か)
提督(せめて洒落た店の一つでも知っていればな……すまない)
古鷹(ここすごく美味しい……)
古鷹「おなかいっぱいです!ごちそうさまです!」
提督「おう」
古鷹「提督……あれはなんですか?」
提督「あれは城だが……(そうか、あぁいうのも初めてか)」
古鷹「あの、もしよければ……」
提督「あぁ、構わない」
古鷹「いいですか!?ありがとうございます!」
古鷹「すごい……お城が白くてとても綺麗!」
提督「おぉ、瓦にも漆喰が……」
古鷹「なるほど!だから遠くから見ても、お城全体が真っ白なんですね」
提督「階段、急だから……」
古鷹「はい!」
提督「……気をつけろ……」
提督「天守閣の頂上だ」
古鷹「へぇ~…あ!さっきのお店、あそこかな?」
古鷹(高いところから町を見下ろすとこう見えるんだ…すごいなぁ)
古鷹「楽しかったです!提督、貴重なお時間ありがとうございます!」
提督「なんか大げさだな」
古鷹「次は、どちらに?」
提督「そうだな……」
ガタンゴトン……
提督「……」
古鷹「提督、チョコいります?」
提督「あぁ」
古鷹「……」モグモグ
提督「……」モグモグ
ガタンゴトン……
提督「……」
古鷹「……(大きい川……なんだか親近感を感じるけど気のせいかな?)」
加古「ハックション!」
衣笠「おわっ!?」
「次は○○~○○~」
提督「……」スッ
古鷹(提督?急に立ち上がってどうしたんだろ)
おばあさん「お兄ちゃんすまないねぇ、ありがとうねぇ」
提督「いぇ……」
古鷹(席を譲ってあげたんだ……)
古鷹(気がつかなくて、本当お恥ずかしい……)
ガタンゴトン……
提督「……別に良かったんだが……」
古鷹「いえ、そういうわけには」←一緒に立った
ヒトナナマルマル
「○○~○○~」
提督「今日はここで宿をとっている……」
古鷹「わかりました。それにしても、さっきの町より……すごく大きいですね!(お泊り……//)」
提督「そうだな。西の方だと、一番大きい港町かもしれん」
古鷹「今日はこのまま宿へ?」
提督「まだ早いな。少し時間をつぶす」
古鷹「はいっ」
古鷹(人がたくさん……提督とはぐれそう……)
ギュッ
古鷹「ひゃ!?//」
提督「はぐれたら……困る」
古鷹「は、はい……//」
古鷹(手……あったかい)
古鷹「なんだかとても……きらびやかですね」
提督「……そうだな」
古鷹(お店……あれ、かわいいなぁ)
提督「?」
古鷹「ちょっと見て行ってもいいですか?」
提督「あぁ」
提督(雑貨屋か)
古鷹(このランチョンマットかわいい!)
古鷹(かわったビアグラス……加古がよろこびそうだなぁ)
提督(こうしてると普通の女の子なんだな…)
提督(……ん?)
古鷹(提督も何か買ってる……?)
古鷹(気になるなぁ)
古鷹「大きい港!それにあの赤い建物……すごく高いですね!」
提督「……行くか?」
古鷹「うぅん、さっきお城に登ったので大丈夫です!」
提督「そうか」
古鷹「そ、それよりも……」グゥー
提督「元気な胃だな。お見それした」
古鷹「お恥ずかしい……」
古鷹「ステーキ……」ジュルリ
提督(こんなキャラだったかこの子)
古鷹「提督、いいんですか?なんだか高そう……」
提督「構わない」
古鷹「えへへ、提督ありがとうございます!」
古鷹「この鉄板で焼いてもらえるんですね」
提督「焼き方聞かれてるぞ、どうする?」
古鷹「ふぇ、えっと……ふ、フツウで!」アタフタ
提督(今後は外国語教育も取り入れないとな)
古鷹「満足~……」コウオツ
提督(日ごろから良いもの食わしてやれなくてすまんな……)
古鷹「提督っ」
提督「ど、どうした」
古鷹「今度は古鷹に一軒、奢らせてください!」
提督「いや、そういうわけには……」
古鷹「一度入ってみたかったんです、ショットバー」
提督(断りきれない自分が恥ずかしい)
古鷹「さー行きましょー」
提督「俺はスレッジハンマー……」
古鷹「私、このおーるどふぁっしょんどっていうので!」
「かしこまりました」
提督「珍しいの知ってるな」
古鷹「えへへ、加古に教えてもらったんです」
古鷹「♪」
提督(さっそく角砂糖を崩し始めたか……)クスッ
古鷹「提督はこういうところ、よく来てたんですか?」
提督「バーか、そうだな」
古鷹「女の人とも……?」ドキドキ
提督「いや……上官によく潰されに来てはいたが」
古鷹「そっかぁ」
提督「?」
古鷹「それででふねぇ……あおばったられすね!//」ペラペラ
提督(だいぶ酔ってるみたいだが……大丈夫だろうか)
古鷹「えへへ……」
提督「古鷹、そろそr……」
古鷹「ていとく!」
提督「!?」
古鷹「なんだか……以前のていとくに戻ったみたいですね」
提督「……」
古鷹「そんなていとく、すきですよ」
提督「っ……」
古鷹「すきありー!それもくらさいぃ」パッ
提督「……」
提督「って古鷹、これはウォッk……」
古鷹「」キュウ
提督「マスター、チェックを……」
フタサンサンマル
提督(なんとか古鷹をホテルまで運び込んだぞ……)
古鷹「スースー……」
提督(今後は酒のことにも気をかけないとな……)
提督(……)
なんだか……以前のていとくに戻ったみたいですね
提督(以前か)
提督(おそらくこの子は気付いてたんだな)
提督(先日の作戦にしても、軽巡洋艦と駆逐艦が作戦の根幹で、古鷹たちに出撃を命じることはあまりなかったが)
提督(だからこそ傍らで見ていたのかもしれない。作戦の滞りに苛立ちを隠せない俺の姿を)
提督(艦娘を兵器としか見られなくなっていた俺の姿を)
そんなていとく、すきですよ
提督「……」ゴクリ
古鷹「スースー……」
提督「……」
提督(都合のいい時にだけ“女”だなんて、最低だな俺は)
提督「お休み、古鷹」
加古「古鷹、うまくやってるかなー」
加古「大淀さんには無理言って悪かったと思うけど……」
加古「二人きりにならないと分からないこともあるだろうしね」
加古「あーあ、今頃よろしくやってんのかなー」
一日目おわります ねむねむ
>>8 だよなぁ
二日目……マルハチマルマル
古鷹(記憶がない……)
提督「おう」
古鷹「お、おはようございます」
提督「酒は……残ってないか」
古鷹「古鷹、本当に面目ないです」シュン
提督「気にするなよ」クスッ
提督「それより、髪がすごいな」
古鷹「古鷹、シャワーをお借りしますっ」
ジャアアァァァ……
古鷹(提督、笑って許してくれた)
古鷹(優しいなぁ)
古鷹(でも)
古鷹(何もされてないみたい)
古鷹(ほんのちょっと残念……って私のバカっ)
マルキュウマルマル
古鷹(夢にまで見たカフェごはん)ワクワク
提督「どうした」
古鷹「鎮守府の中にカフェがあったらみんな喜ぶかなって、ちょっと思いました」
提督「そうだな」
提督(バーならできるのだがな)
ガタンゴトン……
提督「……」
古鷹「……(提督のシャツのコーヒー染み、伝えたほうがいいかな)」
提督「……(古鷹のセーターにココアの染みが……)」
ガタンゴトン……
提督「……」コクッ
古鷹「……!」
古鷹(提督の頭が私の肩に……)
提督「スースー」
古鷹(寝ちゃった)
古鷹(昨晩は悪いことしちゃったな)
古鷹(あれ?昨日のバーの会計……)
古鷹(……できてないよね)
ガタンゴトン……
提督「スースー」
古鷹(提督のにおい好き……)
古鷹(もう少しこのまま……)
ガタンゴトン……
提督「スースー」
古鷹「スースー」
提督「寝過ごした……」
ヒトフタサンマル
古鷹「提督ゴメンナサイ……」
提督「俺こそすまない……」
提督「時間はあるから問題はない」
古鷹「はい」シュン
少しでかけます すみません
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