学校 屋上
マミ「こんなことって……」
まどか「マミさん、こんにちは」
さやか「一緒にお昼たべましょー」
マミ「……」
まどか「マミさん? どうかしたんですか?」
マミ「え? あ、ああ、ごめんなさい。気が付かなかったわ」
さやか「それって手紙ですか? あぁー! もしかして、ラヴレターとか!?」
まどか「わぁ……。マミさんは素敵ですし、モテるんだろうなぁ」
マミ「残念だけど、そういった類のモノではないの。知人からの手紙よ」
さやか「お友達ですか?」
マミ「そう。そのお友達がね、この街に帰ってくると言っているの」
まどか「へぇ。そうなんですか。よかったですね」
マミ「よかった、か。治っていればいいのだけれど……」
さやか「その人、病気かなにかなんですか?」
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QB「杏子からの手紙かい?」
まどか「キュゥべえも知ってるの?」
QB「勿論さ。杏子も魔法少女だからね」
まどか「そうなんだ!」
さやか「おぉー。魔法少女の友人も魔法少女かー」
マミ「……」
QB「浮かない顔だね。久しぶりに会えるのだから、もう少し嬉しそうにしたほうがいいんじゃないかい?」
マミ「折角、苦労してこの街から出て行ってもらったのに……はぁ……」
さやか「あのぉ、もしかしてマミさんはその人のこと……」
マミ「嫌いってわけじゃないのよ。根は良い子だし。ただね……」
まどか「何かあるんですか?」
マミ「魔法少女というものを勘違いしていて、とても扱いが難しいのよ」
QB「素直に面倒だって言えばいいじゃないか」
マミ「こらっ」
さやか「め、面倒って……一体……」
マミ「とにかく、二人には関係のないことだから、気にしなくていいわ」
まどか「そうなんですか?」
マミ「彼女のことは私に任せて。もし、見かけても話しかけちゃダメよ」
さやか「わ、わかりました」
マミ「それじゃ、色々と準備しなきゃないけないから、私は早退するわ」
まどか「え?」
マミ「急がないと」テテテッ
さやか「あぁ、行っちゃった」
まどか「ねえ、キュゥべえ。マミさんのお友達ってどんな人なの?」
QB「名前は佐倉杏子。立派な魔法少女さ」
さやか「そういうのはいいから。どんな性格をしているのか、教えてよ」
QB「純粋だね。とにかく純粋で、一点の曇りもない。穢れを知らない魔法少女と言えば杏子のことになるぐらいに」
さやか「なんか、聞くだけならいい人っぽいけど」
まどか「どうなんだろうね」
QB「二人共、杏子と話す機会はあるだろうから、楽しみにしておけばいいよ」
通学路
さやか「やっぱり、気にならない? 例の佐倉杏子って」
まどか「うん。魔法少女なら、これからマミさんとも一緒に行動することになるだろうし、そうなると、私たちとも一緒に……」
さやか「だよね、だよね。挨拶ぐらいはしておいたほうがいいと思わない?」
まどか「けど、マミさんは話しかけちゃダメって」
「おい」
さやか「え?」
杏子「この辺りに学校がにゃかったか? 巴マミってやつが通ってるところにゃんだけどさ」
さやか「あぁ、えっと、この先にあるけど」
杏子「にゃーんだ。そうにゃのか。サンキュ」
さやか「ちょっと、待って。あんた、誰なの?」
杏子「誰かって? ったく。人に名前をたずねるときは自分から言うのが礼儀じゃにゃいのか?」
さやか「ご、ごめん。私は――」
杏子「あたしは、この街の平和を守るためにやってきた、正義のネコ耳魔法少女サクラ☆キョウコだ!! にゃんっ☆」
まどか「わぁ……」
さやか「あぁ……えぇ……?」
杏子「よろしくにゃ」
まどか「は、はぁ……」
杏子「じゃあにゃ」
さやか「あの、マミさんの友達っていうのは……」
杏子「あん? お前ら、マミのこと知ってるのか?」
まどか「は、はい」
杏子「もしかして、魔法少女か?」
さやか「まだ、キュゥべえとは契約してないんだけど、魔法少女がやってることは知ってる」
杏子「ふぅん。そうか。にゃら、あたしが魔法少女とはどんなものにゃのか、教えてやってもいいぜ」
まどか「えっと、魔女を退治するのが主な目的だったはず」
杏子「まぁ、目的はにゃ。でも、魔法少女っていうことを忘れちゃいけにゃい」
さやか「どういうこと?」
杏子「お前ら、魔法少女を見たことにゃいのか?」
さやか「だから、それはマミさんが魔法少女だから、何度か見たってば」
杏子「マミだけじゃにゃい。テレビで色々やってただろ? 魔法のステッキをクルクル回して、ステッキの先からキラキラしたものを出して、みんにゃを笑顔にするようにゃやつ」
さやか「アニメの話?」
杏子「魔法少女ってのは、子どもから大人にまで夢を見せる存在でにゃきゃいけないんだ」
まどか「……」
杏子「地味に殴るとか蹴るとか、剣を出してきて切るとか、槍で刺すとか、銃で撃つとか、そういうことは絶対にしちゃいけにゃいんだ。そこ、分かってるにゃ?」
さやか「ま、まぁ、なんとなく」
杏子「お前らも魔法少女ににゃりたいにゃら、基本的なことは覚えておけよにゃ」
さやか「えっと、あんたが語尾に『にゃ』をつけるのは、魔法少女だからなの?」
杏子「はぁー? にゃにいってんだ。あたしはネコ耳魔法少女だ。ネコ耳ってのは飾りじゃにゃい。ちゃんと動くんだぞ」ピコピコ
まどか「ホントだ……」
杏子「あたしがネコ語にゃのは、魔法少女だからじゃにゃい。ネコ耳魔法少女だからだ、にゃんっ☆」
さやか「……あの、無理してない?」
杏子「どういうことだよ。あたしはこれが自然体にゃんだ。それにイヌ耳魔法少女のマミだって、変身中はイヌ語をしゃべってるだろ」
まどか「え……!?」
杏子「えってにゃんだ?」
さやか「まどか……」
まどか「話は合わせておいたほうがいいかも」
さやか「だね」
杏子「にゃにをこそこそしてんだ」
さやか「い、いやぁ、なんでもない。そうそう。マミさんは魔法少女のときは可愛い耳をはやしていたなぁ、って」
杏子「にゃっにゃっにゃ。だろ」
まどか(笑いかたまで、徹底してる……)
杏子「またネコ耳とイヌ耳魔法少女コンビで、一緒に戦いたいぜ」
さやか「そ、そうなんだ」
杏子「お前らも魔法少女ににゃるにゃら、どんにゃ耳を付けるのか、ちゃんと考えておけよにゃ」
さやか「それ、絶対なの?」
杏子「あったりまえだろ。魔法少女と動物耳ってのは切っても切れにゃい縁にゃんだぞ」
さやか「そうだっけ?」
まどか「さぁ……」
杏子「それはそうと、マミはこの先にいるんだにゃ。行ってくるぜ」
さやか「あぁ、ちょっと――」
「この先へは、行かさないわん!!」
まどか「この声は……」
杏子「誰だ!! 姿を見せろ!!」
マミ「――イヌ耳魔法少女トモエ☆マミ!! わおーんっ」
さやか「うわぁ……」
杏子「へっ。流石はマミだ。お約束がわかってるじゃにゃいか」
マミ「貴方こそ、久しぶりなのにちゃんと対応してくれて嬉しいわん」
まどか「あの、マミ、さん……?」
マミ「なにかしら?」
さやか「えっと、その耳と尻尾は……」
マミ「うふふ。見慣れているでしょう。何せ私は、イヌ耳魔法少女だもの!! わんっ」
まどか・さやか「「……」」
杏子「そしてあたしはネコ耳魔法少女だにゃーん」
まどか「あ、うん」
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