【ラブライブ】にこ「海未のお姉ちゃん」 (141)

更新遅め
うみにこ
微百合要素あり

以上のことが大丈夫な方はぜひお付き合いください。

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――――――



海未「まったく! なにをしてるんですかっ!!」

穂乃果「……ご、ごめん」

凛「もうしないにゃ……」

にこ「…………」


ある日の放課後。
我がアイドル研究部の部室には、説教する海未とその前に正座する穂乃果と凛の姿があった。


海未「にこ! あなたもです! 聞いているんですかっ!」

にこ「……き、聞いてるわよ」


訂正。
正座してるメンバーににこも追加ね。


穂乃果「そ、そんな怒らなくてもいいじゃん!」


と、そこで穂乃果が抗議の声をあげた。

よし、よくやったわ!
これで――


海未「穂乃果! まったく、あなたはっ!」

穂乃果「あっ、しまった!?」

海未「なにがしまった、ですかっ!! あなたは自分が怒られている自覚があるんですか!!」


ガミガミガミガミ。
顔を真っ赤にして怒る海未。

怒られている自覚なんてあってたまるか!

そうツッコミたかったけど、せっかく穂乃果が生け贄になってくれたんだし。
ちょっと休憩♪

正座のまま、ちらりと海未を観察する。
顔、真っ赤ね。
その顔の赤さは、怒って興奮しているからか……いや、違うか。
これはきっと……。


凛「にこちゃん、にこちゃん」

にこ「……なによ?」


ふと凛が小声で話しかけてきた。
にこも小声で応じる。

海未は穂乃果への説教で白熱しすぎて、にこたちが少し話すくらいなら気づかない様子。


凛「海未ちゃん、すごく怒らせちゃったね……」


悪いことしちゃったかな?

そう言って、少しシュンとする凛。
はぁ、よくも悪くも純粋ね。


にこ「大丈夫よ。あれは恥ずかしさを隠そうとして、余計に怒ってるだけだから」

凛「え? そうなの?」

にこ「そうそう」


キョトンとした表情で首をかしげる凛にそう答える。

まったく、海未にも困ったものよね。
ちょーっと穂乃果や凛と一緒に――



海未「…………にこ?」



にこ「っ!?!?」


気づけば、海未の笑顔が目の前にあった。
くっ、もう穂乃果への説教は終わってたのねっ!?

……そ、その笑顔止めなさいよっ!?
べ、別に怖くはないけどっ!


海未「凛との会話に華を咲かせていたようですが?」

にこ「い、いや、べ、べつにっ……」

凛「にこちゃんが凛に話ふってきたんだよっ!」

にこ「ちょっと、凛っ!?」


この後輩、にこを売った!?
前言撤回。
この猫、腹のなか真っ黒よっ!!


海未「……にこ、凛と仲良く何を話していたのです?」

にこ「え、えっとぉ……にっこにこ――」

海未「にこ?」

にこ「…………」


謎の迫力に無言になるにこ。

それを反抗と受け取ったのか、海未はさらににっこりと笑って、


海未「そうですかそうですか」

海未「なるほど、わかりました」


こう言った。


海未「あなたたち……」

海未「また私の『アレ』を真似してっ、馬鹿にしていたのでしょうっ!!」


被害妄想よ。
とも言えず、にこは黙るしかなかった。

『アレ』。
それすなわち――


凛「……ラブアローシュート」

にこ「ぶほっ!!」



海未「……………………ふふっ」



にこりん「「ひっ!?」」



『ラブアローシュート』である。

この後滅茶苦茶怒られたのは言うまでもないわよね。



――――――

――――――



穂乃果と凛と一緒に土下座をして謝って。
結局、この件は練習量が2倍ということで済んだ。
……ヘトヘトだけどね。

その日の練習終わりのこと。



海未「……にこ、大丈夫ですか?」



練習も終わったというのに、肩で息をするにこを見かねたのか、海未がそう話しかけてきた。
手にはタオルが握られていた。


にこ「……海未」

海未「あ、気にしないでください! もう気にしてませんから」

にこ「……そ」


微笑む海未の手からタオルを受けとる。


にこ「ありがと」

海未「いえ。今思えば、私もむきになりすぎましたし」


にこたちも馬鹿にしていた訳ではないでしょうしね。

と、海未。
まぁ。
実際その通りで、別に馬鹿にしていた訳ではない。
にこが穂乃果と凛に決め台詞の大切さを説いていた途中の一例としてあげただけだしね。

……思いの外、凛のモノマネが上手くて穂乃果とツボに入ってたのは事実だけど。
まぁ、言わぬが華ってやつね。

そんなことを心の中で思っていると、


海未「にこ?」


ふと海未がこちらの顔を覗き込んでいた。
心配していることが分かる、そんな表情だ。


にこ「大丈夫よ。にこだって、それなりに体力はあるから」

海未「そ、それならいいのですが……」

にこ「……えぇ」

海未「…………」


そこで一旦会話が途切れる。


海未「…………」

にこ「…………」


……あー、もうっ!


にこ「ていっ!」

海未「いたっ!?」


海未の頭にチョップ。
すると、案の定海未は抗議してくる。


海未「いきなりなにをするんですかっ!!」

にこ「えー? にこはべつにぃ~?」

海未「いや、チョップしたじゃないですかっ!」


現行犯です!
指をビシッと突き立てて、にこの右手を指す。
……ふふっ。


にこ「その方がらしいじゃない」

海未「え、あっ……」


ポツリと呟いた言葉。
それは海未の耳に入ったみたい。
どうやらにこが言いたいことを察したようで、海未は少しうつむきながら頷いた。


にこ「気にしすぎよ、海未」

にこ「にこはアイドルよ? このくらいでへばるわけないじゃない」


にこっ!
いつものように笑う。
それを見た海未も、つられて笑う。

元はといえば、にこたちが原因なのに、こんな心配しちゃって……。
まったく変に真面目なんだから。


――――――

――――――


海未「まったく、あなたたちにも困ったものです」

にこ「はいはい、悪かったわよ」


練習終わりの帰り道。
いつもの調子を取り戻した海未は、そう言って、にこたちにくどくどとお説教をする。


穂乃果「あー! もう、海未ちゃんのお説教は聞きあきたよー!」

ことり「まぁまぁ、海未ちゃん。その辺で……」


にこたちとは言っても、今いるのは2年生組とにこだけ。
説教対象の凛は、花陽と真姫ちゃんを引き連れてとっとと退散していた。
まったくいい根性してるわ、凛も。


穂乃果「ことりちゃんの言う通り!その辺にしておこうよ~」

ことり「ね、海未ちゃん? ここはことりに免じて」

海未「……はぁ、ことりは穂乃果に甘すぎます」

にこ「…………」


そんな2年生組のいつものやりとりを聞きながら、ボーッとしていると、


海未「にこ!」


いきなり話が飛んできた。
遅れて、反応する。


にこ「なによ? にこもお説教はおなかいっぱいだから――」

海未「……はぁ」


そう返すと、いきなりため息を吐かれた。
そして、海未はこう続ける。


海未「にこも、それでも年上なのですか!」


……それでも年上?
…………。


にこ「いきなりディスるんじゃないわよっ! 海未も変わらないでしょうがっ!」

海未「……?」

にこ「…………」


あ、そっちではないのね。
……うん。


海未「えぇと……?」

にこ「……なんでもないわ、続けて」

海未「は、はい」


コホンとひとつ咳払いをして、海未はにこへこう質問をした。



海未「にこ、年上とはどんな存在かわかりますか?」



ことり「あっ……」

穂乃果「げっ」


年上とはどんな存在か?

海未の質問。
そんなことを聞かれたから、なんとなく考える。
年上ねぇ?


にこ「頼りになるとか?」


なんとなくイメージで口にしてみた。
ま、あながち間違ってはないでしょ。

どうやら、海未もその答えを期待していたようで、うんうんと満足げに頷いている。


海未「そう。年上とは頼りになる存在です」

海未「それに加えて、時に厳しく時に優しく導くのが理想の姿でしょう」


にこ「なるほど」


海未の言に納得する。
世間一般に言われてる年上、特に先輩とかそんな感じよね。


海未「自分の経験や知識、そういったものを伝えるのも年上の大事な役割ですね」

にこ「ま、そうね」

海未「成長を見守る、そして教え導く。それが年上という存在です!」

にこ「ふむ」


海未「その最たる例が『姉』!」


にこ「…………うん?」

海未「『姉』という存在ほど、素晴らしい存在はないですよ!」

にこ「…………」


なんだろう。
雲行きが怪しくなってきたんだけど……。


にこ「えっと、海未?」

海未「なんですかっ!」

にこ「えっと、話がずいぶん飛んでない?」

海未「そうですか? 年上といえば、姉でしょう?」


いや、先輩とか兄とか色々あるでしょ?

なんて言葉は出てこなかった。
今の海未にそれを言ったらなんだか危ない気がする。

こういうときは、幼馴染みに話を振るのが一番よね。
丸投げよ、丸投げ。
ちょっと――


にこ「って、いないっ!?」


海未を押しつけるために、周りを見渡してみても、あの二人の姿はない。
もしかして、こうなるって分かってたの?


海未「にこ! 聞いてますか!」

にこ「え、えぇ」


しまった!
あの二人が逃げ出す。
それを示すのは、今の海未がそれほどまでに面倒だってこと!

くっ!
後手に回ったわ……。
でもっ!


にこ「あ、そーいえばぁ、にこ、用事が――」

海未「…………えっ」

にこ「――特になかったわ」

海未「!!」


わかった、わかったから!
そんな嬉しそうに、こっち見るんじゃないわよっ!!
話したくてウズウズしてるってわけ?


海未「そ、そうですかぁ。ということは、まだお話できるんですね」

にこ「…………え、えぇ」


そう言って、海未はにこをチラチラと見てくる。
聞いてほしいオーラが見えるわ。
うわぁ、めんどくさぁぁ……。


海未「『姉』は最高ですよね、うんうん」

にこ「…………」


…………はぁぁぁ。
しょうがないわねぇ。



にこ「『姉』になにか思い出でもあるの?」



あそこまで『姉』を推してくるのだし。
きっとなにかあったんでしょ。


海未「っ! さすがにこです!」


きっと聞いてくれると思っていました!

そう言う海未。
はぁ、いい笑顔ね。


にこ「そういえば、海未はお姉さんがいるんだっけ?」


穂乃果かことりから聞いたそんな話を振ってみる。


海未「え……あっ、はい」

にこ「?」


ん?
なんか変な反応ね?
その姉との話じゃないってこと?
とはいっても、海未に二人も姉がいるなんて聞いたことないわよ?

そんなにこの疑問を感じ取ったようで、海未はにこにこう言った。


海未「私には確かに姉はいます。ただ年が離れているので、そこまで仲がよかったわけではないのです」


性格も違いましたしね。
海未は苦笑いを浮かべた。

……えっと、それじゃあ?


海未「私がここまで『姉』が素晴らしいものだと感じるようになったのは、実の姉とは関係ないんです」

海未「私をこうしたのは……」


そこで、その人物を思い出すように、海未は少しだけ目を閉じた。
それから、懐かしむように微笑んで話し始めた。



海未「昔、私を『妹』だと言って連れ回した――」

海未「――とある女の子のせいなんですよ」



――――――

今日はここまで。

ご意見感謝。
確かに百合ものは書きすぎた感がありました。
次からは少し控えようと思います。

昨日は更新できず申し訳ないです。
今から少しだけ更新します。

――――――


私が小学校低学年の時のことです。
……そうですね。
ちょうどことりと仲良くなって、それから少ししてのことでした。

えぇ。
例のにこに使ったのと同じ作戦で、穂乃果が私を遊びに巻き込んでからのことです。

穂乃果たちに交ざって遊ぶようになってからも、私は恥ずかしがり屋で……。
その上、人見知りもする子供でした。

……?

ふふっ、よく言われます。
考えられないって。
けれど、事実です。

……あ、いいえ。
実はそのことは無関係ではないんです。

私がこうして立派……とまでは言いませんが、人並みに慣れたのは、その『姉』との出会い、そして、彼女の教えがきっかけなんです。



あれは、私が穂乃果たちと公園で遊んでいたときのことです。



――――――

――――――


うみ「ほ、ほのかぁ……ことりぃ……」

うみ「どこですか……?」キョロキョロ

うみ「…………」

うみ「…………」

うみ「…………みつかり、ません」

うみ「…………」

うみ「…………」グスッ

うみ「……せっかく……ふたりがかくれんぼにまぜてくれたのに……」グスッ

うみ「うぅぅ、ほのかぁ……ことりぃ……」

うみ「…………こんなにみつけられないんじゃっ――」

うみ「……っ、そんなのいやですっ!」

うみ「よしっ、ぜったいみつけてみせます!」ゴシゴシ

うみ「が、がんばるぞぉ……」



ほのか「……むにゃぁ」グッスリ

ことり「んん……」スヤスヤ

――30分後――


うみ「や、やっぱりみつかりません……」

うみ「…………」

うみ「……こうなったら……」



うみ「こ、こうさんですっ、ほのか、ことり……」

うみ「でてきてくださいっ」



うみ「…………」

うみ「……でてきて、くださいよぉ」グスッ

うみ「も、もしかして、おうちにかえっちゃったんですか……?」

うみ「わたしが、かくれんぼヘタだから……」

うみ「……もしかして」



『……まだかなぁ』

『うみちゃん、さがすのヘタだよねぇ』

『もうっ! ほのか、おこっちゃったよ!』

『ほのかちゃん?』

『もうかえるもん!』

『そうだねぇ、うみちゃんといてもたのしくないもんね』

『よし、ことりちゃん、かえろっ!』

『うん♪』



うみ「…………」

うみ「……っ、ぅぅぅ……」グスッ

うみ「ほのかぁ、ことりぃ……」ポロポロ

うみ「うえぇぇぇんっ」

――――――



「どうしたのー?」



――――――

うみ「っ、ふぇ?」ヒック

○○「こんなところでないてどうしたのよ?」

うみ「っ!?」ビクッ

○○「ねぇ!」

うみ「……な、ないてなんかないです!」

○○「ふーん? ないてるように見えるけど?」

うみ「……っ」ゴシゴシ

○○「あ、ダメよ! そんなにこすったら、赤くなっちゃう……まってて?」

うみ「……?」

○○「はい、ハンカチ! ○○のお気に入り! ふいてあげる!」フキフキ

うみ「あ……」

○○「うん! かわいい!」

うみ「……あ、ありがとうございます……」ボソッ

○○「おれいはいらないわ! そのかわり……わらって!」

うみ「え?」

○○「ほら、わらうの!」

うみ「え、あっ……」

○○「……わらうのニガテ?」

うみ「……っ」コクコク

○○「えっと、じゃあ……いっしょにやりなさい!」

うみ「……いっしょにって……」

○○「ほら、やるからみてなさい!」

うみ「え、あっ、はいっ」

○○「いくわよ……」



○○「に――――――



――――――

――――――


えぇ。
そんな風に、私のことを笑わせようと、一緒に笑顔の練習をしたんですよ。

え?
あ、はい。
昔の記憶なので所々不鮮明なんです。
よく思い出せないこともあって……。
もしかしたら、事実とは少し違っているかもしれませんね。

…………。

けれど、そうやって、彼女は泣いていた私のことを笑顔にしようとしてくれたのです。

……にこ?

どうかしました?
……そうですか?
それならいいのですが……。

……続けますね?


――――――

――――――


○○「よし! ちゃーんとえがおになったわね」

うみ「は、はいっ」

○○「なら、えっと……?」

うみ「?」

○○「なまえ、なんていうの?」

うみ「そ、そのだうみですっ」

○○「うみ……? いいなまえね」

うみ「あ、ありがとうございます……///」カァァァ

○○「としは?」

うみ「あ……7さいです」

○○「ってことは、えっと……1年生?」

うみ「あ、いえ……2年生です」

○○「そ。じゃあ、年下ね」

うみ「えっと……?」

○○「こっちは3年生よ!」

うみ「あ、じゃあ……『せんぱい』なんですね」

○○「センパイ?」

うみ「はい!」

○○「…………」

うみ「せんぱい?」

○○「…………せんぱいね、うん。そうそう! せ、せんぱいよ」アセアセ

うみ「……はい?」

○○「あ、やっぱりやめ! と、年下なんだから、あれよ!」



○○「『妹』!」



うみ「いもうと?」

○○「そ、そうよ? 年下のことは『妹』っていうでしょ!」

うみ「……えっと?」

○○「はい、けってー!」ビシッ

うみ「え、あ、はいっ」アセアセ

○○「…………」

うみ「…………」



○○「じゃ、これからは○○のことは『お姉ちゃん』って呼ぶこと!」

○○「わかった?」



うみ「っ!」

うみ「!!」コクコク



――――――

――――――


と、ここまでが私に二人目の『姉』が出来た経緯です。
ふふっ、すごい人ですよね。
会ってすぐの私を『妹』だなんて……。

……たぶん、ですが。
彼女は、そう言った方が私が心を開いてくれると思ったんでしょう。
先輩後輩なんかより、姉妹の方が遠慮なく接することが出来ますから。

今考えてもすごい人です。
……本当に。

…………。

……は?
『先輩』という単語が分からなかっただけじゃないか、ですか?

…………。

……にこ。
私のことはいくら言っても構いません。
ですが、彼女のことを悪く言うのは許しませんよ?

……ふふっ、分かってくれたみたいですね。

そう!
そうです!

彼女は素晴らしい人なんですから!


さて、では続けますよ!


――――――

――――――


○○「それで、友だちをさがしてるのね」

うみ「はい……」

○○「うーん」

うみ「で、でも、きっとかえってしまいました……。わたしはかくれんぼヘタなんです」シュン

○○「…………」

うみ「…………」ズーン

○○「えい!」コツン

うみ「いたっ!? い、いたいですよぉ」グスッ

○○「なかないの!」

うみ「でもっ」グスッ

○○「だいじょぶよ!」

うみ「…………」ウツムキ

○○「ほら、かおあげて!」グイッ

うみ「あっ……」



○○「お姉ちゃんにまかせなさい!」ニコッ



うみ「……っ」ゴシゴシ

うみ「…………」コクコク

○○「ほら、ニコッ!」ニコッ

うみ「に、に……にこっ///」

○○「うん! かわいいわ!」ナデナデ

うみ「っ///」カァァァ

○○「よーし!」

○○「お姉ちゃんは、かくれんぼのていさいなのよ!」

うみ「……おねえちゃん」

○○「うみは、ここですわってなさい! すぐ見つけてみせるわ!」

うみ「は――うんっ!」ニコッ


――――――

――――――


それから30分後。
無事、穂乃果とことりは見つかりました。

どうやら私を待つうちに、遊具の中で寝てしまっていたようなんです。
ふふふっ、穂乃果とことりらしいですよね?

ただ、見つけて安心した私はまた泣いてしまって。
彼女に怒られる。
そう思ったのですが……。

……え?
あ、そうです!
よくわかりましたね。

にこの言う通りです。
結局、彼女は私が泣き止むまで抱きしめてくれたんです。

まぁ、公園中を探し回った彼女は泥だらけで。
だから、泥の匂いがしたんです。
……けれど、それで私はとても安心した。
それは今でも鮮明に思い出せます。

…………。

……あ、すみません。
少し思い出していたんです。

結局、その日はそこで終わりです。
穂乃果とことりは私にとても謝ってくれて。
私はそこでまた安心したんです。

……ん?
あ、彼女のことは穂乃果もことりも知っています。
すぐ二人にそのことを話しましたから。

ただ二人は、彼女には会っていないのです。
えぇ。
なぜかいつの間にか彼女はいなくなっていて……。

続きを話しても?
はい、ありがとうございます。

そうですね。
その日はそこで終わりですが、その数日後、私はまた彼女に会うんですよ。
偶然、またその公園で……。


――――――

今日はここまで。
待っててくださった方感謝です。
もしかしたら、明日も更新できるかもしれませんが、あまり期待はせず待っていてくださるとありがたいです。

――――――


うみ「…………」シュン

○○「……うみ?」

うみ「え?」

○○「やっぱり、うみね」

うみ「おねえちゃん……」

○○「どうしたの? またかくれんぼ?」

うみ「…………」フルフル

○○「……じゃあ、どうしたのよ?」

うみ「…………」

○○「だまってちゃ分からないわよ」

うみ「…………」

○○「…………きょう、あの二人は?」

うみ「……っ」ビクッ

○○「いっつもいっしょ、って言ってたじゃない」

うみ「…………」フルフル

○○「……うみ?」

うみ「……ふ、ふぇぇぇんっ」ポロポロ

○○「わっ!? な、なに!?」

うみ「おねえちゃぁぁぁんっ」ギュゥゥゥ

○○「な、なんなのよぉ!?」


――――――

――――――


○○「ケンカ、ね」

うみ「は、はい……」

○○「あいては、どっち?」

うみ「……ほのか、です」

○○「……えっと」

うみ「オレンジのかみのこです」

○○「あー、あっちの子ね」

うみ「……」コクリ

○○「それで? げーいんは?」

うみ「…………」

○○「…………」

うみ「…………」フルフル

○○「しゃべりたくないの?」

うみ「……」コクコク

○○「あっそ」

うみ「…………」

○○「…………」

うみ「……」チラッ

○○「…………」

うみ「…………」チラッ

○○「…………」


うみ「…………ほのかが、わるいんです」


○○「…………え?」

うみ「しゅくだいしないから……ダメですっておこって、でもぜんぜんしてくれなくて……」

うみ「うぅぅぅ……」グスッ

○○「……しゅくだい」

うみ「おねえちゃん……わたしまちがってないですよね……」

○○「…………ま、まぁ、そうね!」

うみ「ですよねっ!」

○○「えぇ……」

うみ「おねえちゃんもしゅくだいは、ちゃんとやるべきだとおもいますよね!」

○○「…………うん」ソラシ

うみ「うんうん! やっぱりそうですよね!」

○○「…………で、でも」



○○「そ、その、ほのかって子の気持ちも考えなきゃダメよっ!」ビシッ


うみ「ほのかの、きもち?」

○○「そ、そう! うみは、ほのかって子にどんな風におこったの?」

うみ「え、えっと……しゅくだいしないなんて、ダメですって……」

○○「それ!」

うみ「……?」

○○「いい? しゅくだいなんてしたい人は、だれもいないわよ!」

うみ「え? わたしはしたいとおもいますけど……」

○○「えっ?」

うみ「?」

○○「…………」

うみ「???」

○○「……そ、そうね。お姉ちゃんも、しゅくだいは……うん、すきよ」

○○「でもっ! しゅくだいが、べんきょうがキライな人だっているの」

うみ「……そ、そうなんですか」

○○「そうよ。それをガミガミいわれたら、キライなものが、もっとイヤになるわ」

うみ「は、はい……」シュン


○○「…………」

うみ「…………」シュン

○○「あー、もう! ほら、うみ!」ムニッ

うみ「ふぁ、ないふるんえすかぁ……」ムニーン

○○「お姉ちゃんが言ったことわすれたの!」

うみ「……?」

○○「ほら……にこっ♪」ニコッ

うみ「っ! ……に、にこっ///」

○○「うん、かわいいわ!」

うみ「……うぅ」

○○「そのえがおで、いっしょにしようっていえばいいのよ」

うみ「…………」

○○「こんなかわいいえがおの子といっしょなら、きっとどんなこともたのしいわ!」

うみ「……///」コクリ

○○「ほら、うみ! いってきなさい!」バシッ

うみ「いたっ……は、はいっ」タッタッタッ



うみ「あ……」クルッ

○○「ん?」

うみ「あ、ありがとうございます、おねえちゃんっ」ペコリッ

○○「がんばるのよ!」

うみ「はいっ……」タッタッタッ



――――――

――――――



そんな彼女のアドバイスのおかげで、私と穂乃果は無事仲直りが出来ました。


私と一緒に宿題をやりましょう。
そう言ったら、

「海未ちゃんがやるならやる!」

なんて。
ふふふっ、現金ですよね。

でも、やはり彼女の言った通りだったんです。
私は穂乃果の気持ちを考えず、ただ一方的に言ってばかりで……。


相手の気持ちを考える。

簡単なようで難しいですよね。
それを彼女はあんな幼い頃にしっかりと分かっていたんです。
だから、そんな彼女は今でもすごいと感じます。
ちゃんと私を叱ってくれたことも含めて。

やはり彼女は、私の尊敬すべき『姉』です!


…………どうしました、にこ?
なんで目を反らしてるんですか?
……ふふっ、なるほど。
わかりましたよ?

にこは……彼女のあまりの素晴らしさに居心地が悪くなっているんですね?

うんうん、わかります。
それほどまでに彼女は素晴らしい。
まさに年上の鑑!
そんな彼女と自分を比べてしまっているんですね。

大丈夫です、にこ。
彼女は特別ですから。
貴女は貴女で少しずつ、彼女のようにしっかりしていけばいいんです。

…………さぁ、続けましょう!



――――――

今日はここまで。

にこまきも読みたいので、どうぞスレ建てて書いてください。
期待して待ってます。

ちょくちょく誘導とかいってる人いるけど前作とかあるの?

わざわざ対立煽るようなこと言うなよ>>1
スルーすりゃいいのに>>66みたいな対立好き連中が嬉々として反応してくるだろ…

>>67
前作というよりは過去作でしょうか。
繋がりはないので読まなくても大丈夫かと思います。
>>68
申し訳ない。
煽るつもりはなかったのであしからず。

えりちか誕生日おめでとう。
モブライブに可能性を感じつつ少しだけ更新します。

――――――


うみ「おねえちゃん……」

○○「なに?」

うみ「いつまで、こうしてれば……」

○○「…………もうすこしよ」

うみ「は、はい」

○○「っ!? きたっ!? かくれて!」

うみ「は、はいっ」ビクッ

○○「…………」

うみ「…………」

○○「…………」

うみ「…………おねえちゃん?」ボソッ

○○「しっ!」

うみ「…………っ」コクコク

○○「…………よし、行ったわね」

うみ「は、はぁぁ……こ、こわかったですぅ」ギュッ

○○「よしよし、だいじょうぶよ! お姉ちゃんがいるから」ナデナデ

うみ「は、はいっ」ギュゥゥゥ

○○「まさか、犬においかけられるなんて思わなかったわ」フゥ

うみ「うぅぅぅ……」ウルウル


○○「ほら、もうだいじょうぶだから」

うみ「……」コクコク

○○「それで……ちゃんとある?」

うみ「あっ……」ゴソゴソ

○○「……」

うみ「ちゃんと、もってます」

○○「ん、かしなさい」

うみ「あ、はい」

○○「それじゃ――」


――パキッ――


○○「はい、うみ」

うみ「あっ……えっと」

○○「……はやくとりなさいよ。アイスとけるわよ」

うみ「で、でも……たべあるきはダメですっておかあさんがいってました」

○○「…………」

うみ「だから、ダメ……なんです」チラッ

○○「…………」

うみ「それはおねえちゃんがたべて――」

○○「もうっ! ……はい!」ズイッ

うみ「えっ、えっ!?」

○○「はやくとりなさい! 手、つめたいから!」

うみ「は、はいっ」バッ

○○「はやくたべる!」

うみ「はいっ……」シャクッ

○○「よし!」

うみ「…………あっ」

○○「たべちゃったわね」ニヤニヤ

うみ「あ、あ……うぅぅぅ///」

○○「よし、あっちのベンチすわるわよー! たべあるきじゃないならいいんでしょ!」グイッ

うみ「わっ、ひ、ひっぱらないでくださいぃぃ!?」


――――――

――――――


○○「たべおわった?」

うみ「はいっ」

○○「よし、なら、じゅんびしなさい!」

うみ「じゅんび、ですか?」

○○「えぇ、だがしや行くわよ!」

うみ「だがしや……ですか?」

○○「そ!」

うみ「あ、あの……」

○○「うみは行ったことある?」

うみ「あ、はい。ほのかに、このまえつれていってもらいました」

○○「……ふーん」

うみ「あ、もちろん、ことりもいっしょです」

○○「……あっそ」

うみ「おねえちゃん?」

○○「う、ううん。なんでもないわ!」

うみ「???」


○○「と、とにかく行くの! ふたりでお金だせばいろいろかえるし!」

うみ「あ、あの……」

○○「ん? どうかした、うみ?」

うみ「……もうおかねありません」シュン

○○「えっ!?」

うみ「きょうのおこづかい、アイスでつかっちゃったんです……」シュン

○○「…………」

うみ「だ、だから……だがしやは、おねえちゃんひとりでいってください……。わたしはなにもかえないので……」

○○「…………」

うみ「…………」ショボーン


○○「も、もうっ! しかたないわねぇ!」


うみ「え?」

○○「ほら! はやく行くわよ!」

うみ「で、でもっ!」

○○「いいの! きょうは、おねえちゃんのオゴリよ、オゴリ!」

うみ「オゴリ……って、なんですか?」

○○「お姉ちゃんがすきなやつ、ぜんぶかってあげるってことっ!」

うみ「っ!!! ほんとですかっ!?」パァァァ

○○「うぐっ……」

うみ「あっ……」シュン

○○「ほ、ほんとうよっ!!」

うみ「っ!!!」パァァァ

○○「――っ、ほら、いそぎなさい! おいてくわよ!」スタスタスタ

うみ「あっ、まってください、おねえちゃんっ」タッタッ



――――――

――――――



それから、私たちは駄菓子屋に行きました。

まぁ、彼女もそこまでお金を持っていなかったようで。
結局、買ったのはきなこ棒と1本ずつなんですけど……。

なけなしのお金で、私に駄菓子を奢ってくれた彼女。
ふふふっ、きっと姉らしく振る舞いたかったんでしょうね。
今思えば、子供の可愛らしい背伸びですが、あの頃の私は、大人な彼女に憧れたものです。
そういった意味では、彼女の思惑は大成功だったわけです。

…………。

そんな風に私と彼女はよく遊ぶようになりました。

あとから聞いた話ですが、よく出かけていく私を見て、父も母もとても安心したそうです。
両親は穂乃果のおかげだと思っているようですけどね。
もちろん穂乃果のおかげというのも間違いではありません。
穂乃果に巻き込まれなかったら、今の私はきっといませんし……。

けれど、やはり彼女との思い出も。
彼女への憧れも、私を変えた一因になっているのですよ。


……え?
その後ですか?
まぁ、今まで話したみたいに過ごしましたよ。

公園でかくれんぼの特訓をしたり。
なにもせずボーッとしたり。

…………。

え?
…………あぁ、すみません。
そんな顔をしていましたか?

はい……そうですね。
彼女のことを話すと、最後には思い出してしまうんです。


彼女がいなくなってしまった日のことを……。



――――――

今日はここまで。
次の更新は上手くいけば明日。
遅くとも土曜日には更新できるかと思います。
しばしお待ちください。

少しだけ更新します。

――――――



○○「…………」

うみ「…………」ズーン

○○「また、ケンカしたの?」

うみ「……」コクン

○○「……そ」

うみ「……おねえちゃん」

○○「なに?」

うみ「わたし、おねえちゃんがおしえてくれたみたいにやってみたんです」

うみ「でも……わたしは、やっぱりダメです」

○○「…………」

うみ「また、ほのかのこと、おこってしまいました……」

○○「そう」

うみ「えがおで……やろうって、いったのに……」グスッ

うみ「でも、ほのかはぜんぜんはんせいしていないんです……」

○○「…………」

うみ「おねえちゃん、わたしはどうしたらいいんでしょうか」シュン

○○「…………」ジッ

うみ「……おねえちゃん?」

○○「……ねぇ、うみ?」

うみ「は、はい?」

○○「……こんどね、妹が生まれるの」

うみ「え? いもうと、ですか?」

○○「……うん」

うみ「そうなんですか!」

○○「だから――」

うみ「?」

○○「…………ううん、なんでもない」

うみ「……?」

○○「ね、ねぇ、うみ!」


○○「かくれんぼ、しない?」ニコッ


うみ「か、かくれんぼ、ですか……?」

○○「そ」

うみ「で、でも……わたしは……」ウツムキ

○○「あ、ほら!」ムニッ

うみ「むぁ!? お、おねえひゃん、いたいえすっ」

○○「えがお!」

うみ「ふあっ!?」

○○「え・が・おっ!」

うみ「……あ、ひゃいっ」

○○「……にこっ♪」ニコッ

うみ「……に、にこっ!」

○○「……うん、うまくなった!」

うみ「えっと、なにがですか……?」

○○「えがおよ! 上手になったわ」ニコッ

うみ「あっ……えと、はいっ///」

○○「それなら、きっとだいじょぶよ」

○○「ほかのこともぜったい上手になるわ! えがおができる子はだいじょぶって、ママも言ってたし!」

うみ「ママ?」

○○「あっ、お、お母さん!」アセアセ

○○「と、とにかくだいじょぶよっ!」

○○「○○がいなくなっても……」ボソッ

うみ「え? いま……?」

○○「ううん! なんでもない! とにかくやるわよ!」

うみ「え、あっ、はいっ」



――――――

――――――


○○「うみ、みっけ!」

うみ「う、うぅぅ……またみつかっちゃいました……」

○○「よーし! 次はうみがオニね!」

うみ「は、はい……」

○○「こんどは、こーさんなしよ?」

うみ「え……って、あっ」

○○「ん? どうかした?」

うみ「…………」シュン

○○「うみ?」

うみ「もうそろそろ、おうちにかえるじかんです……」

○○「あっ、もうそんな時間ね」

うみ「…………」シュン

○○「……よし! うみ!」

うみ「え、はいっ」


○○「次がさいごね」


うみ「は、はい」

○○「……いい? こんどは、こうさんしないのよ?」

うみ「えっ、それじゃあ……」

○○「……ちゃんと見つけるのよ!」

うみ「うぅぅ、はいぃ」コクン

○○「あと、さいごまで、えがおでやることっ! わかった?」

うみ「……は、はいっ!!」コクコク

○○「…………うん、じゃあ……かくれるから」

うみ「あっ、じゃあ、めをつぶってますねっ」クルッ

○○「…………」



○○「じゃあね、うみ」ボソッ



――――――

――――――


うみ「……49、50」クルッ

うみ「えっと……にこっ///」

うみ「よし、み、みつけますっ」タッタッタッ



うみ「……おねえちゃん~?」


うみ「どこですかー?」


うみ「ここには……いないです」


うみ「ここ、ですか? ちがう」



うみ「ここにも、いない……」

うみ「…………」ウツムキ

うみ「はっ!? いけません! えがおえがお」ニコリ

うみ「うーん……いったいどこに……って、あれ?」

うみ「木のところに、なにか――」スルッ



うみ「……これ、おねえちゃんのリボン?」



うみ「…………なんで、ここに」

うみ「…………」

うみ「…………」ジワッ

うみ「…………」ポロポロ

うみ「っ、な、なんで、なみだが……」ゴシゴシ

うみ「っ……あ、うぅぅぅ……」ゴシゴシ

うみ「おねえちゃんっ、ひっぐっ……おねえちゃ――」ゴシゴシ

うみ「っ、っ……」ゴシゴシ



うみ「……に、にこっ!」ポロポロ



うみ「にこっ、にこっ!」ポロポロ

うみ「……っ」ゴシゴシ

うみ「う、うぅぅ……」ギュゥゥゥ

うみ「おねえちゃぁぁぁんっ」ボロボロ



――――――

――――――



海未「こうして、彼女は私の目の前から姿を消しました。私も幼いながらに何となく感じ取っていたんです」

海未「もう彼女には会えないことに」

海未「結局、数日間公園に行ってみましたが、案の定彼女は現れませんでした」

にこ「…………」

海未「……おっと、話している間に、もうにこの家の前ですね」

にこ「…………」

海未「にこ?」

にこ「…………」


……うん。
もう気づいていると思う。
というか、流石ににこも最初のエピソードで気づいてたわよ。

うん、そうよ。
海未がいう『彼女』、もう一人の『姉』ってのは――



にこ「にこのことなんだけどっ!?」



……もちろん、言えるわけない。

いや。
別に言ってもいいんだけどね?
でも、なんだかところどころ美化されていて、思い出の中のにこはすごくいいお姉ちゃんにされていた。
それがなんだか……。


にこ「は、はずかしすぎるわ……」

海未「ん? なにか言いましたか?」

にこ「い、いやいやいやいや! な、何も言ってないからっ!」

海未「? そうですか?」

にこ「うんうんっ!」


……ふぅ、なんとか誤魔化せたわね。
不思議そうに首を傾げる海未は……見えてないことにしましょ。


海未「にこに年上の素晴らしさを伝えるはずが……いつの間にかただの思い出話になってしまいましたね」


すみません。
ばつの悪そうな表情で笑う海未。


にこ「べ、べつに、気にしてないわよ」

海未「そう言っていただけると、助かります」


にこり、と。
海未は笑う。


にこ「…………」

海未「? にこ?」


……あぁ、にこも思い出してきた。
昔のこと。

海未、やっぱり笑うの上手くなったわね。

元々が整った綺麗系の顔立ちだし。
だから、笑うと余計に絵になる。

ふふんっ!
これも笑顔の師匠であるにこのおかげかしら?
……なんて。


海未「にこ?」

にこ「……ねぇ、海未」

海未「え、あっ、はい。なんでしょう?」

にこ「ちょっとかがんで」

海未「? はい……えっとなにか――」



―― ナデナデ ――



海未「え、えっ!?!?」

にこ「…………」

海未「ま、待ってくださいっ!」


にこの手から逃げるように体を反らす海未。
それから、赤い顔でにこに抗議してくる。


海未「い、いきなりなんですかっ!? む、無言で撫でないでくださいっ」


じゃあ、なんか言いながらならいい……わけではないか。

まったく……。
昔話とかするんじゃないわよ。
あの時のこと、昨日のことみたいに思い出しちゃうじゃない。

こころが生まれて、それから家のことも手伝わないといけなくなって。
ここあやこたろうが生まれてからは、さらに家のことを手伝うようになった。

だから、ずっと気掛かりだった。

公園で出会ったあの泣き虫な『妹』のことが――。

かくれんぼうまくなったかな、とか。
ちゃんと笑えるようになったかな、とか。
ケンカはしてないかな、とか。
いつかどこかで会えるかな、とか。

それをこんな形で、雑談みたいに話されるなんてね……。

……ふふっ、上等よ。
そっちがその気ならこっちだって……。


にこ「ねぇ、海未?」

海未「……な、なんですか?」



にこ「笑顔、上手になったわね♪」



海未「え?」

にこ「さ、にこは家に入るにこっ♪」

海未「え、ちょ、ちょっとにこっ!? 今のはいったい?」


耳を塞ぐ。
なにか海未は言ってるみたいだけど……。
あー、キコエナイキコエナイ!

……あ、でも、もう一言だけ言っておこうかしら。

笑顔と、自分の気持ちを隠れさせるのは上手くなったにこの『妹』。
そんな彼女に、にこは得意の笑顔を浮かべてこう言った。




「海未のお姉ちゃんは、今でもきっと――」

「――あんたのこと見ててくれてるわよっ!」




―――――― fin ――――――

以上で
『にこ「海未のお姉ちゃん」』完結になります。

レスをくださった方
読んでくださった方
稚拙な文章・表現に、お付き合いいただき、ありがとうございました。

以下、過去作です。
よろしければどうぞ。
真姫「私だけの」
真姫「私だけの」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428761231/)
【ラブライブ】花陽「雨、絵里ちゃんと一緒の土曜日」
【ラブライブ】花陽「雨、絵里ちゃんと一緒の土曜日」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443178719/)

次は少し間を空けようと思います。
どうなるかわかりませんが、もしまた御目にかかれるようであれば幸いです。

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