穂乃果「名探偵穂乃果だよ!」(20)
穂乃果「じゃーん!見て見て海未ちゃん!名探偵穂乃果だよ!」
海未「ど、どうしたのですその恰好は?」
ことり「衣装の材料余っちゃってね、それでシャーロックホームズの衣装作ってって言われたから作ってみたの」
穂乃果「どうどう?困ってる事あったら穂乃果に相談していいんだよ、私の推理で解決しちゃうから!」
海未「穂乃果!ここは学校です!学校の規定の制服を着ずにふざけた格好をして良いと思っているのですか!」
穂乃果「えーいいーじゃんちょっとくらいー、海未ちゃんのケチ」
海未「まったく何に影響されたのか…」
ことり「穂乃果ちゃん今推理モノにはまってるらしいよ」
海未「穂乃果がですか?意外ですね、穂乃果がそんなものを読むなんて…」
ことり「と言っても漫画だけどね」アハハ
海未「でしょうね……」
キャー
カヨチーン!
穂乃果「悲鳴!?」
ことり「これかよちゃんの声!しかも部室から!」
海未「何かあったのでしょうか!」
穂乃果「急ぐよ!何としても奴の殺人をここで食い止めなければ!」キリッ
ことり「いやー…多分誰か殺されたって決まったわけじゃないと思うけど…」
海未「すっかり役にはまってますね…」
バン!
穂乃果「御用だ御用だ!」
凛「ほ、穂乃果ちゃん!かよちんがかよちんが!」
穂乃果「は、花陽ちゃん…まさか被害者が花陽ちゃんだなんて…」
穂乃果「瞳孔が開いている、午後15:39。残念だよ花陽ちゃん……まさか君が死ぬだなんて!」
海未「いえ、ちゃんと脈もありますし息もしていますが」
穂乃果「何、それは本当かね園田君」
海未「なんですかその呼び方は…気味が悪いですよ」
ことり「何があったの?凛ちゃん説明してくれる?」
凛「うん……」
凛「実はね、今日かよちんがおやつに取っておいたお餅が机からなくなっててね」
凛「それでかよちんショックで気絶しちゃって……」
ことり「そうなんだ……なんでなくなったんだろうね」
穂乃果「これは事件の匂いがするね園田君!」ワクワク
海未「何故私に言うのですか……」
穂乃果「μ`sのメンバーが何者かの被害に遭ってるんだよ!?放っておけるの海未ちゃん!」
海未「いやそれは…」
穂乃果「こんなの放っておけないよ!死んだ花陽ちゃんだって報われない!」
海未「ですから亡くなってませんと……はぁ、仕方ありませんね」
海未「たしかに謎を謎のまま残しておくのも気分が悪いですし、それに本人に断りを入れず盗み食いした者を野放しにしておくことはできません」
穂乃果「さっすが海未ちゃん!じゃあ早速犯人を捜そう!」
凛「でもどうやって犯人を見つけるの?」
ことり「んー、まず鉄板で言えば事情聴取かな?」
穂乃果「凛ちゃん、最後に餅を見たのはいつ?」
凛「かよちんと真姫ちゃんとお昼食べてた時にかよちんが餅を鞄から出したときかなー」
穂乃果「ってことは12時くらいまでは餅があったと…」
凛「それで部室に来て鞄とお餅を置いて自動販売機にジュースを買いに行ったの、それで帰ってきたら餅が無くなってて…」
海未「と言う事は餅が無くなったのは昼休みから放課後にかけての出来事というわけですか」
凛「でも授業の休憩時間もかよちんの席で過ごしてたし鞄には誰も触ってなかったよ」
海未「つまり凛と花陽が部室に着いて自動販売機に行っている間の出来事というわけですか」
ことり「どれくらいの時間部室を開けてたの?」
凛「大体15分くらいかな」
ことり「そっかぁ……。お餅の事を知ってるのは見てたクラスメイトか真姫ちゃんと凛ちゃんくらいだしねぇ…誰がとったんだろう」
穂乃果「事件は迷宮入りか……」ガクッ
海未「いや早すぎでしょう…」
穂乃果「あっ!ひらめいた!」キラン
穂乃果「犯人は凛ちゃん!貴方だ!」ビシィ
凛「え、えぇ!?なんで凛が犯人なの!?」
穂乃果「それは簡単な事なのだよ、そうだね園田君」
海未「いえ同意を求められましても私自身あなたがどうやってその結論にたどり着いたのか見当がつかないのですが…」
穂乃果「凛ちゃん、今日ずっと花陽ちゃんの傍にいたんだよね」
凛「まぁ凛はかよちんと昔から仲良しだしずっといるけど…」
穂乃果「つまり誰よりも花陽ちゃんの事をよく知っていてかつ餅を取るチャンスはあったと言う事!」
凛「凛そんな事しないにゃ……ましてやかよちんの大事な餅を取ったりするようなことするはずないにゃ」
ことり「私も凛ちゃんがそんな事するはずないと思うな、親友の絆を天秤にかけてまで餅なんて取る可能性は低いと思うよ?」
穂乃果「そっかぁ……じゃあ誰なんだろう」
穂乃果「わかった真姫ちゃんだ!」
海未「近くにいた人間を片っ端から名指していくのは推理としてどうなんですか…」
穂乃果「でも犯人である可能性はあるよね!ね!」
海未「なくはありませんが……」
穂乃果「じゃあ真姫ちゃん探そう!行くよ園田君!」ピュン!
海未「まったく…何故穂乃果はあんなにはしゃいでいるのですか…」
ことり「いいじゃない楽しいし」
海未「……楽しいのですかこれ」
アシタモヨロシクネーマダー…ゴールジャナーイ
真姫「ふぅ……」
パチパチ
真姫「ヴェエ!?穂乃果!?」
穂乃果「素晴らしい演奏だね真姫ちゃん」
真姫「何よ、別に褒めたって何も出ないけど……」カミノケクルー
穂乃果「でも残念だね……まさか美しき歌姫の正体が餅泥棒だったなんて…」
真姫「何の事よ?」
穂乃果「真姫ちゃん!」モッギュー
真姫「な、何よいきなり手なんて握って!」
穂乃果「ウチの和菓子屋夜10時くらいまで開いてるからね!お餅も置いてあるからいつでも来ていいんだよ!」
真姫「だから一体何の事よ!」
ーーー
真姫「花陽が持っていた餅を取られてその犯人を捜してるですって?」
海未「ええそうなんです」
真姫「だからってなんで私なのよ、こんなこと言うのもなんだけどそんな飢えてるような事しないわよ」
穂乃果「真姫ちゃん、自分がお金持ちなのを後ろ盾に自分にかかる疑いをもみ消したね」キラッ
真姫「なっ、イミワカンナイ!第一と、友達の花陽の餅を取る意味がわからないわ!私にとってリスクしかないじゃない!」
ことり「私も真姫ちゃんが犯人だとは思わないな、本当にメリットがないと思うよ」
海未「私もそう思います。真姫は誇りが高いのでそんな事をする可能性は低いです」
穂乃果「んー…たしかに証拠もないし疑うのは時間の無駄だよねぇ…」
真姫「そういえば……にこちゃんが部室へ入っていったのを見たけど」
穂乃果「え!?それっていついつ!?」
真姫「そうね…ちょうど私が音楽室に向かう途中の事だったから15時過ぎくらいの出来事かしら」
穂乃果「15時過ぎ…花陽ちゃんと凛ちゃんが部室を開けている時間!」
穂乃果「にこちゃんが犯人だったんだね!残念だよにこちゃん……!」
海未「だから…と一概に擁護しにくいのが悔やまれますね、何せハンバーガーショップでの前例がありますし…」
ことり「あはは……」
穂乃果「よーし!にこちゃん探そう!」
希「えりち、今日は嵐が来そうな予感やね……」
絵里「たしかに外は曇っているわね…今日は早く練習を終わらせて下校しないと」
にこ「そんな事言ってる場合~?本番まで時間あんまりないってのにそれ気が緩みすぎじゃない~?」
希「でもカードも注意してるしなぁ」
絵里「まぁ今日くらいは早く上がってもいいと思うわ」
にこ「まったく情けないわね~…ちょっと人気が出て来て終わりと思ってるんじゃない?まだよ、まだ私達の活動は始まったばかりなんだからね」
バァン
穂乃果「そこまでだよにこちゃん!!」
にこ「にこぉ!?」
希「穂乃果ちゃんどうしたん?それホームズの恰好?めっちゃ可愛いやん」
穂乃果「今ね……私はある事件を追っているの」
希「事件?」
海未「実は…かくかくしかじか」
希「ほうほう……花陽ちゃんのお餅を勝手に盗み食いをした犯人を追ってると、面白そうやん!」
絵里「あはは……それでホームズの格好してごっこ遊びしてるのね」
穂乃果「失礼しちゃうよ絵里ちゃん!私今本格的に推理してるんだからね!」
にこ「バカバカしい……もっと注意すべきバカがいたのを忘れてたわ」
穂乃果「そしてここに来た理由は……」
希「ん~。ウチらの中に犯人がおると思っとるから?」
穂乃果「その通り!」
希「たしかに部室に入れるのはμ`sのメンバーだけやしな。妥当な線やね」
絵里「でも私達部室には行ってないわよ、放課後はすぐ生徒会室に向かったから」
希「ウチもや」
穂乃果「」ジ~
にこ「……何よ」
穂乃果「にこちゃん!ずばり花陽ちゃんのお餅食べたでしょ!」
にこ「はぁっ!?」
穂乃果「目撃情報は真姫ちゃんから聞いた!おやつの時間にふらっと部室を訪れたんだよね!」
にこ「いやたしかに15時くらいに部室に行ったけど……」
海未「もしかして机の上のお餅を食べたのですか?」
にこ「食べてないわよ、私鞄だけ置いてすぐ部屋でたし」
穂乃果「嘘をつけ!ことりちゃんスタンドライト!」
ことり「はい☆」
ピカッ
にこ「うわまぶしっ!!」
穂乃果「ほら……おふくろさん悲しんでるよ、そろそろ白状したらどうなんだい」
にこ「いやいやだからやってないって言ってるでしょ」
穂乃果「かつ丼でも食いねぇ、私のいきつけの店なんだがこれがうまくてよぉ。心が洗われていくような味さあ」
海未「これ探偵というよりかは刑事のような気がしますが…」
穂乃果「ほら、そろそろそういう事にしといたらどうなんだい」
にこ「でっち上げようとしてるじゃない!」バンッ
穂乃果「だってわっかんないんだもん!みんなやってないって言うんだもん!」
海未「本当に食べてないのですか?」
にこ「盗ってもないし食べてもないわよ、私そこまでお腹空いてなかったし」
ことり(お腹空いてたら食べてたのかな……)
海未「絵里と希はアリバイがありますし、凛も真姫もやってないと言いますし…」
海未「何か犯人の手がかりとなる確たる証拠がつかめればいいのですが…」
ことり「ゴミ箱に包み紙が捨てられたりしてないかな」
海未「見つけられたとしても指紋鑑定に出すなんて大げさな事はできませんし…」
ことり「そうだよね…」
希「そういえばことりちゃんと海未ちゃんはその時何をしてたん?」
ことり「私は穂乃果ちゃんにホームズの衣装を作ってって言われたからそれ縫ってたよ」
海未「私は掃除当番だったので掃除を」
希「ふーん…」
にこ「そういえば」
にこ「穂乃果、あんた部室にいたわよね。私見たわよ」
穂乃果「えっ?あー……」
ことり「そういえば頼まれてから穂乃果ちゃんどこかに行ってたね…部室に行ってたんだ」
海未「穂乃果、何をしに行ってたんです?」
穂乃果「いや~誰かいないかなーって思って」
穂乃果「そしたらね……ん?」
穂乃果「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
海未「ど、どうしたのです!?いきなり大声を出して」
穂乃果「犯人がわかった!!」
ことり「ホントなの穂乃果ちゃん!」
海未「まさか目撃していたのを思い出したとか…?」
穂乃果「いや~目撃してたっていうか見えないっていうか……」
絵里「ゆ、幽霊……!?」
希「スピリチュアルやね」
にこ「アホばっかね…」
海未「それで犯人と言うのは……」
穂乃果「それは何と……」
海未(まさか穂乃果が本当に推理して犯人を見つけ出すとは……幼馴染ながら見くびっていたのかもしれませんね)
穂乃果「私でしたーー!!いやーついつまみ食いしてたのを忘れてて…」ジャーン
海未「……」
ことり「……」
3年組「……」
穂乃果「あ、あれ……反応薄いなぁ…あはは」
海未「穂乃果……」
海未「さ、メンバー一人一人に謝っていきましょうか」
穂乃果「う、海未ちゃん……笑顔が怖いよ」
ことり「あはは……まさか推理する側が犯人だなんて」
穂乃果「つ、ついお腹減っててお餅があるなぁーって思ったからヒョイっと…」
海未「できるだけカロリーは抑えるようにと言ったはずです!!」
絵里(海未…そこなの?指摘するところそこなの?)
海未「とにかく花陽と他のメンバーに謝りなさい!まったくいつも貴方はどうしてこう軽はずみな行動をするのですか!」
穂乃果「ごめんなさい~!そこまで考えてなくて~~!!」ズルズル
海未「今日はとことん説教しますからね!私の部屋に来てください!」
穂乃果「ひえ~~~!!」
ーthe end ー
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