結城晴「夏休みも」 的場梨沙「もうすぐ終わりねー」 (17)

ありす「それで」

飛鳥「宿題の進み具合は?」


梨沙「………」

晴「………」


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ありす「というわけで、飛鳥さんの部屋で勉強会を開催することにしました」

飛鳥「わからないことがあったらボクかありすに聞くように」

梨沙「はーい」

晴「へーい」

心「ほーい♪」

飛鳥「では始めようか」

ありす「待ってください。なにかひとりおかしな人が混ざっていませんか」

心「?」

ありす「あなたですあなた」

晴「そういえば、なんで26歳のシュガーハートさんが勉強会に?」

梨沙「確かに26歳のハートさんがいるのは変ね」

ありす「まさか、まだJKだから宿題があるとかなんとか、菜々さんのようなことを言うつもりでは。26歳なのに」

心「やだなぁ、違うよぉ?」

心「あとキミ達いちいち年齢口にすんな☆」

飛鳥「その通り。26歳の心さんがこの場にいることには確固とした理由がある。だから26歳で勉強会に参加しても問題ない」

心「もうわざと言ってるよね? 怒るぞ☆」



ありす「なるほど。今度クイズ番組の収録に参加することになったんですか」

梨沙「確かに、小学校レベルとか中学校レベルとか言われる問題も出るわよね」

晴「前もって対策するってわけだな」

心「そういうこと♪」

飛鳥「心さんの事情も理解できたことだし、早速勉強を始めようか」

晴「橘、ここ教えてくれないか?」

ありす「見せてください。……ああ、ここはですね、前に習ったこの考え方と同じで」

晴「おお、なるほど! サンキュー、さすが橘は頭いいな!」

ありす「いえ、それほどでも……」テレリ

梨沙「ありすー、アタシは社会のここがわかんないんだけど」

ありす「ええっと……このあたりの歴史はきちんと流れを把握している自信がないです」

ありす「飛鳥さんに聞きましょう。きっと詳しいです」

梨沙「そうね。よく考えたら飛鳥は絶対詳しいわよね」

飛鳥「別に聞くのはかまわないけれど、ボクは特別飛鳥時代について詳しいわけではないよ」

梨沙「えー」

飛鳥「失望されても困る」

心「飛鳥ちゃんは宿題終わったの?」

飛鳥「だいたいは。ありすも似たような状況だから、他人のサポートをする余裕があるんだ」

心「へー、偉いね☆ はぁとは宿題溜めるタイプだったから♪」

心「あ、そうそう。ここどうやって解くかおしえてー?」

飛鳥「どれどれ」

心「今時の中学生って難しい問題やってるんだねー。もういろいろ忘れちゃってるなぁ♪」

飛鳥「(うちの両親と同じことを言っている……とは口にしない方がいいか)」

梨沙「あーっ!」

晴「わっ、いきなり大声出すなよ」

ありす「どうしたんですか」

梨沙「日記、毎日書けって言われてたの忘れてた」

梨沙「思い出しながらテキトーに書くしかないか……」

飛鳥「手間はかかるけれど、それしかないだろうね」

晴「オレは日記だけは書いてたから助かったぜ」

心「はぁと達も手伝ってあげればなんとかなるなる☆」

ありす「梨沙さんと一緒にいた時に起こった出来事なら、日記の話題として提供できますからね」

梨沙「みんな……ありがとう」ホロリ

晴「で、何か日記に書くようなネタというと……」

心「この前、莉嘉ちゃんが捕まえてきたカブトムシが梨沙ちゃんの顔に張り付いて、大騒ぎになったこととか☆」

飛鳥「梨沙が昼寝していたら、優さんのアッキーがぺろぺろ顔を舐め続けたせいでよだれまみれになったこともあったね」

ありす「あとは、小春さんのペットのイグアナのヒョウくんにスカートを引っ張られて――」

梨沙「……もっとまともなネタないの?」

飛鳥「つくづく動物に好かれるタイプだね、キミは」

晴「あとは自由研究だな」

梨沙「一番めんどいやつねー」

梨沙「まず何をやるかってところから悩むのよね」

晴「難しい研究を選ぶとあとで苦労するしな」

飛鳥「あまり考えすぎずに、日常生活で気になることを見つければいい」

飛鳥「そうしたら、それについて自分なりに調べる。これで立派な自由研究の完成さ」

心「はぁとは、モテる女の秘訣について研究したことあるなぁ♪」

ありす「効果はありましたか」

心「それを読んだ担任の先生が半年後に結婚してたぞ☆」

心「自分自身には役に立たなかったけどな☆ はあ……」

晴「自分で思い出して自分で傷ついてるぞ」

梨沙「あれが自爆芸ってやつよ。きっと」

梨沙「まあ、とりあえず気になることよね。うーんと、気になることと言えば……」

翌日


梨沙「スタドリやエナドリの成分って」

ちひろ「秘密です♪」

梨沙「夏休みの自由研究で」

ちひろ「秘密です♪」

梨沙「プロデューサーが露骨に元気になる原因を探りたくて」

ちひろ「ひみつ」

梨沙「………」



梨沙「しょーがない。他を考えよう」

梨沙「といっても、他に研究したいと思うようなことってなにかしら」

梨沙「あんまり時間に余裕もないし……」


蘭子「煩わしい太陽ね(おはようございます!)」

飛鳥「やぁ蘭子。おはよう」


梨沙「………」

梨沙「よし」

数日後


梨沙「できたー!」

ありす「『私は、アイドルの神崎蘭子さん(14)の、オリジナリティあふれる言葉のほん訳について研究しました。』……これで提出するんですか」

晴「自由研究だけど自由すぎないか」

梨沙「別にいいでしょ。気になったことには違いないんだから」

梨沙「それに内容にも自信あるわよ。付き合っていくうちに蘭子の言葉の意味はなんとなくわかるようになってきたし」

飛鳥「ボクも大丈夫だと思うよ。見ず知らずの一般人ならともかく、アイドルの蘭子に関する研究だからね」

晴「そういうもんか……?」


蘭子「(へえー、私こんな風に言葉置き換えてたんだ)」フムフム

心「つか当の本人が内容に驚いてるのはおかしくない?」

そして9月、課題提出後


梨沙の担任教師「さて、次は的場さんの自由研究をチェックだな」

教師「なになに……え」

教師「なんだこれは……」


教師「蘭子ファンの俺にはこの上なく役立つ研究じゃないか!」

教師「彼女の言葉をちゃんと理解できれば、俺も真のファンの仲間入りだな!」



後日


梨沙「よくわかんないけど結構褒められた」

晴「マジかよ」


おしまい

短いですが終わりです。お付き合いいただきありがとうございました
最初は梨沙と飛鳥の組み合わせだったのに、いつの間にかしゅがはさんとか晴とかありすとかが私のSSでレギュラー化しています

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