爺「アルファベットの頭文字を能力にして渡す」 (48)



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ミスった
寝ていた時、夢を見た。

はっきりと鮮明に覚えている夢で、何処かはっきりとした夢だった

「という訳で君に与えるアルファベットの頭文字は"G"じゃ」

唐突にそう云ってきたのは頭がテッカテカの爺。

「すんません、唐突に何を言ってらっしゃるんですかハゲ頭」

「おお失礼、私は、そうだね、賭け屋、とでも言っておこうか、君の右手にアルファベットのGが描かれているじゃろ。その"G"の文字は英単語の頭文字での、何かを呼び寄せるとき、その頭文字が付く言葉を叫ぶ事で発動する事が出来る」

話は分かるが何を言っているのかは分からん。

「ふむ、例えばFと言うアルファベットがある。そのアルファベットが頭文字になる言葉を口にすれば、その能力が実現するのじゃ、例えば……Flame(炎)」

爺が口にした瞬間、爺の掌から炎が溢れる。

「っと、このように、"I"ならIce(氷)、"T"ならTree(木)となる」

はあ、今さっきの実演で大体分かった、英単語でその頭文字を言葉にすれば、それが実現するって訳だ。

「但し、原則能力は一つとする頭文字が付くもの全てがOKなったら、"K"の頭文字はKill(殺す)と叫べば事が済むし、何より面白くないしのぉ」

「……はあ、じゃあ俺の"G"の文字は一体何なんですか?」

「それは………うん、教えたらつまらんじゃろ、数ある単語の内、自らの能力を見つける、それこそが能力バトルの醍醐味って奴じゃよ」

マジかよ。

「うむ、それではそろそろ、お主が夢から醒める時間じゃ、それじゃあの少年よ」


「………」

夢を見ていた、野郎と二人きりになる夢。

ひとまず、その爺は何か言っていたが、そう、頭文字がなんたらかんたら。

右手をあげると、確かに右手にはアルファベットの"G"が痣の様に記されていた。

もしあの夢が本当ならば、Gを頭文字にした英単語を口にしたら、能力が発現するんだよな?

「………Gun(銃)」

―――出ない。

「…………Gravity(重力)」

―――何も起きない。

「…………Game(ゲーム)」

―――何事も起きる気配すらしない。

つーか夢だよ、やっぱりあれ、何か起きる訳ないし、ただの鮮明な夢だし。

「馬鹿げてるわな、本当に」

丁度いい時間だし、学校に行くか、飯は購買で買えばいいし。

………。

「一応、辞書持って行くか…………」


「Ground(地面)―――Grudge(恨み)―――Guilty(犯罪)―――」

「…………ねえ、今日英語のテストってあったっけ?」

「うぉ!!って、委員長かよ、驚かすなよ馬鹿」

教室での出来事、何時も通り底辺の位置にいる俺は電子辞書片手にGの付く能力を検索中。

で、その時に限って委員長でもあり、俺の幼馴染でもある子が話しかけてきやがった。

「ふんふん、勉強しない君が英語の勉強とは見直したよ」

違うと言いたいが、夢の中での出来事を引きずっている、何て言えばそれどんな中二?と返されるに決まっている。

そのため、こいつの思うとおりに、勉強って事にしといた。

「うん、Gに付いて勉強中でさ」

「分からないことあったら聞きにきなよ、私も英語を勉強しててね、それなりに答えれると思うよ」

「あぁ、分かった」

そう云って立ち去る委員長。

さて……辞書に載っている言葉はあらかた口にしたが、未だに確信に迫った言葉が出てこない。

もしや造語?いやいや、それだとほぼ無限に近い単語を口にしなければいけなくなる。



「あ、そうそう、そう言えば」

「あん?」

何だ、まだ何かあるのか?

「Dwarf(小人)」

「!?」

委員長が言葉にした英単語、その言葉が実現するかのように、人の目の死角になる場所で、小さな生物が出てきた。

「さて、何か聞きたそうな顔をしているね、"力になるよ?幼馴染くん?"」

ありきたりじゃね?と思いつつも、首を縦に降る。


場所は移って屋上、これまでの経緯を委員長に話した。

「ふ~ん…………成る程、"G"か………」

「……一応、委員長もその文字、持ってるんだよな?」

「うん、右手に書かれてある痣でしょ?ほら、私は"D"で、能力はDwarf(小人)、一応ネットで調べたんだ」

「ネットで?やほー知恵袋?」

「いや、にチャンネル」

「うぇ!?」

まさか優秀そうな委員長がネラーだったとは……いや、このご時世だ、そんな所を見る奴も居る。

少しばかりイメージが崩れてもしょうがない事だ、うん。

でも、何だろう、このアイドルがトイレ行ったときの幻想が砕けたような感覚。

「ほら、君も使うといい、スレ立てて今までの経緯を……いや、それより私が立てたスレでも使うとするか」

と、持ってきたタブレットでぽちぽち押してると、そのまま画面を此方に見せてきた。


【そんな能力で】何かおじさんに能力貰ったんだけど5スレ目【大丈夫か?】


1:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
代理


2:以下、名無しにかわりましDの意思がお送りします
》992いやそこはダイナソーでいいじゃん

3:以下、名無しにかわりましてがDの意思お送りします
》1建て乙

226:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
んで、結局》1の能力は"Dwarf(小人)"に決定したの?


227:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
》72如月さんは帰って、どうぞ



「まじかよ……5スレ目って………」

そこは釣り乙とかで終わるはずだろ、スゲーなにチャンネル。

「えっと…………」



【そんな能力で】何かおじさんに能力貰ったんだけど5スレ目【大丈夫か?】


1:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
代理


2:以下、名無しにかわりましDの意思がお送りします
》992いやそこはダイナソーでいいじゃん

3:以下、名無しにかわりましてがDの意思お送りします
》1建て乙

229:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
》227千早は関係ないだろいい加減にしろ!!


230:1
学校からですがこんにちわです。
一つ凄い事になりました。
実は幼馴染も能力者になってました。


【そんな能力で】何かおじさんに能力貰ったんだけど5スレ目【大丈夫か?】


1:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
代理


2:以下、名無しにかわりましDの意思がお送りします
》992いやそこはダイナソーでいいじゃん

3:以下、名無しにかわりましてがDの意思お送りします
》1建て乙


232:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
》227千早はいない、いいね?


233:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
千早の人気に嫉妬



「何か以下千早スレになってるんだけど………」

「あははー………まあ、こんな日もあると云う事で」

いい感じに占めてんじゃねえよ。


「やっべぇ………何で焦ってるのか知らんけど………何か落ち着かん」

「うん、まあしょうがないよね、一応バトルロワイヤル方式だし」

……………今なんて言った?

「え?あはは、聞いてなかった?二十六名によるバトルロワイヤル、殺すも気絶させるのもよし、とにかく最後の一人になったらゲームは終了」

―――え?何?じゃあ俺とお前って敵同士?

「いやいや、身構えなくていいよ、一応は長い付き合いだし、殺す姿とか想像も付かない」

「………まあ、なあ」

「うんうん、だから当面はパートナーって事で、いいね?」

「……あぁ」

拳を突き出す委員長、仕方無しにその場のノリで拳を合わせる。

「ふう、よし、じゃあどうしよっか?もう昼休み終わりそうだし、教室にも、ど……」

タブレットを見て硬直する委員長。

どうかしたのか、と見てみると、先ほどのスレッドが立ち上がっている。







【そんな能力で】何かおじさんに能力貰ったんだけど5スレ目【大丈夫か?】


1:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
代理


2:以下、名無しにかわりましDの意思がお送りします
》992いやそこはダイナソーでいいじゃん

3:以下、名無しにかわりましてがDの意思お送りします
》1建て乙


266:iygいgひo:ugうぎうgo:gうg"T"
特定した、殲滅する


267:以下、名無しにかわりましてDの意思がお送りします
千早はかわいいだろいい加減にしろ!!



「は?なんだこれ?」

レス番号266。文字化けしている名前の欄に、強調するように"T"の文字が。

悪戯だろ、と思いつつ少しばかり垂れた冷や汗を拭った直後。


♪♪♪~~~~~


携帯電話が鳴り出した。
一体誰からか、まさか……そう思いつつ、電話に出る。

『…………』

「も、もしもし?」

無言。

しばらく待ってみても一言もしゃべれない。

数十秒ほどして、いたずら電話だと認識した俺は通話を切ろうとして―――










『三十秒経過、特定した』











そのボイスチェンジャーで声色を変えた声で、そう喋った。


ひ、と声を漏らして、思わず地面に電話を落とす。

しばらくの間が開いて、呆けていた俺は我を取り戻し、電話を手に取ると、既に通話は途切れていた。

ちと早いですけどこの辺で、やはりブリーチの事を言われましたか、ついでに言うと、主人公の能力が某ブリーチのあの子の能力と似てました。アルファベットも似てました。〇〇シリーズにしたかったですが変えました。続きは明日位です。

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