オツカレッシター
オツカーレ!
オツカレサマナノー
美希「あふぅ……今日も疲れたの……頑張ってお仕事したから、眠くって……」
美希「ふぁ~……あふぅ」
美希「……ハニーが迎えに来るまで、まだ時間あるし……ちょっと寝ちゃっても、いいよね?」
美希「答えは聞いてないの! ソファーで仮眠とるの!」ピョーン
ドサッ
「ぐえっ」
美希「ぅ~ん……抱き枕まで置いてあって、ちょうどぃ……むにゃむにゃ……」
美希「……zzZ」
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杏「……ぅ、うぐっ苦し……なんだ? またきらり? ねぇちょっときらり」グイッ
美希「……zzZ」
杏「……」
美希「ぉにぎぃ……むにゃ」モグモグ
杏「…………」
杏「……誰!?」
杏「いや……見覚えがあるぞ……確かこの子、765プロの」
美希「むにゃむにゃ」モグモグ
杏「ちょっ、食べるな……! 杏のほっぺはおにぎりじゃなーい!」
美希「んにゃ……ましゅまろ……?」
杏「マシュマロでもないよ!」
「ほ?」
杏「誰だ今の」
フワフワノマシュマロ……トロトロノミルククリーム……
杏「とにかく……離れっ……って、この子意外と、力強いっ」ジタバタ
美希「ぅー……ヤ! なの!」ギュー
杏「それはこっちのセリフだよ! この暑いのに……」
杏「はぁ……無駄に抵抗したら疲れた……もうこの子が起きるまで待つしかないか……」
杏「それまで杏も、もっかい寝てよ……おやすみー……」
美希「ぉや……すみぃ…………zzZ」
……
……
杏「ん……ここは……」ムクリ
貴音「また拾ってきたのですか! もうこれ以上は飼えないと!」
美希「むー! ちゃんとお世話するもん!」
響「気持ちは分かるけどな……元いた場所に返してきた方が」
美希「ヤ! なのー!」ギュー
杏「どこだここ」ギュー
響「ねぇ美希、生き物を飼うっていうのは、とーっても大変なことなんだぞ」
貴音「そうですね……ものぐさな美希に、きちんと管理できるとはとても」
美希「二人共ひどい! ミキはちゃんとやるよ! お仕事だって、今は頑張ってるでしょ?」
貴音「ですが……」
杏「あのさ、揉めてるとこ悪いけど。ね。杏、人間」
美希「エサもあげるしトイレもしつける! イタズラとかしないように育てるからー!」
杏「よく見てほらヒトだから。人類だから。ぷちどるじゃないよ?」
響「うーんでも……これ以上増えると、社長もさすがに困ると思うぞ……自分の家族だけでも、けっこうなエサ代がかかってるだろうし」
貴音「美希自身のお給料で飼育できるのですか?」
美希「ぅ……それは…………」
杏「なにこの事務所。人間飼うのが普通なの?」
美希「きっと社長も納得してくれるの! この子とっても頭いいんだよ?」
響「じゃあ何か芸を見せてよ」
美希「いいよ。……はい! お手!!」スッ
杏「えー……」
美希「お手!」
杏「……」ポスッ
美希「よくできました! はいアメ!」
杏「わーいアメだぁ!」パクッ
杏「はっ……!」
響「そのぐらいイヌ美だってできるぞ!」
美希「じゃあね…………おかわり!」
杏「アメのおかわりが先だよ」
美希「むー……なら、ちん〇ん!」
響「伏せ字にしないでよ!! 変な感じになっちゃうでしょ!」
杏「ていうか杏、元々立ってるし。にんげんだもの。あんず」
美希「……おちん〇ん!」
響「『お』をつけないで!!」
美希「おちん〇んって言われたらエッチなポーズでユウワクするの! さんはい! おちん」
響「やめろぉ!」バン
杏「やめろぉーっ!」バンバン
貴音「美希……仮にもわたくし達はあいどるなのですから」
杏「仮にもとか言っちゃったよ」
貴音「ここはやはり、もっとあいどるらしい芸を…………例えば」
貴音「あなをほる」
杏「えっ」
響「そうじゃないさー。まったく貴音は」
貴音「なんと。では手本を」
響「ふふん。完璧な自分を見てろよ~」
響「あんたろう! そらをとぶ!!」
杏「……それは幸子に、ね?」
美希「違うの! 二人ともダメダメなの!」
杏「っていうかあんたろうって何さ……」
美希「いくよ! はい! ……てれぽーと!!」
杏「アイドルってなんだろう」
響「なんにもできないね」
貴音「まだれべるが足りないのでは?」
美希「きっとまだ『はねる』と『たいあたり』しか覚えてないの」
杏「杏は人間だ!!」
美希「はい。ふしぎなアメ」
杏「んまー」パクッ
美希「早く進化しないかなー」
響「楽しみだぞ!」
貴音「大きくなると良いですね」
杏「悪いけど、杏もう育たないよ」
美希「通信進化かな?」
響「逆さにするのかも」
貴音「石を。月の石を」ズシッ
杏「ぐえっ……やめろぉーっ!!」ブオン
貴音「なんと」
杏「そもそもね、杏、犬でも猫でもポケ〇ンでもないから。人間。ヒト。ヒューマン。アンダスタン?」
美希「はいアメ」
杏「杏がそれで黙ると……おいひー」パクッ
美希「飼われるのはヤなの?」
杏「そりゃあ……いや、でも待てよ」
杏「…………飼ってもらえれば、年中お休みで、アメがもらえる……? うーんでも自由がなくなるのは……」
響「……本当に考え始めたぞ……飼われることを」ヒソヒソ
貴音「面妖ですね……」ヒソヒソ
美希「首輪。首輪をつけるの」ガサゴソ
杏「えっ」
杏「まっ、ちょっちょっと待って」
美希「はい首輪」パチン
杏「ぐえっ、いやなにすんのさ。っていうか聞こえたからね!? 杏をからかってるでしょ!」
響「バレちゃったかー。いやさ、実は」
貴音「申し訳ありません。しかしこれは全て響が企んだこと……」
響「ちょ、ちょっと貴音ぇ!」
杏「なるほど……うっかり杏を抱いたまま持って帰ってきちゃって、こっちの事務所に電話したら、飴で餌付けしたら飼えると言われた……と」
貴音「はい」
響「さい」
美希「なの」
杏「くそぅ、いったい誰が……」
響「『持って帰っちゃったのぉ? じゃーぁー杏ちゃんの飼い方、教えてあげるにぃ』って」
杏「……きらり」
響「『みんなも杏ちゃんでぇ、はっぴはっぴ☆するにぃ』って」
貴音「するにぃ♪」
美希「とゆーわけで、ミキはムジツなの。なーんにも悪くないよ?」
杏「いや持って帰った時点で誘拐だからね!?」
響「というわけで、迎えが来るまで、ちょっとふざけただけなんだ。ごめんね?」
杏「あーいいよいいよ。杏もなんだかんだ楽しかったし。アメもらえたし」
貴音「えぇ、もうすぐ迎えが来るはずですので、それまで……」
美希「……」
美希「待つの。響、貴音」
貴音「……美希?」
響「どうしたんだ?」
杏「?」
美希「杏をこのまま返すの……惜しいと思わない?」
響「? ……ま、まさか本当に飼うつもりか……? ぅ、うぎゃぁあー!! それはマズいぞ美希ぃ!」
貴音「その通りです。飼う側のみでなく、飼われる側も大変苦労するのですよ。首輪をつながれ、四つん這いになり夜の公園へ……そして電柱へと片足をあげて」
響「わーわー!!! と、とにかくそんなのダメぇ!!」
美希「二人とも何言ってるの? そーじゃなくって」
美希「杏を、ミキたちのユニットに入れない?」
響「なっ……!」ガタッ
杏「なんだってぇー!!」ガタガタッ
美希「思えばミキたちには、足りないものがあったの……それは」
響「そ、それは……」ゴクリ
美希「マスコットキャラ……!! なの!」
貴音「なんと……!」
響「なん……だと……!」
美希「今って、完璧の響。天才のミキ。面妖の貴音。でしょ? でもこれだと」
貴音「可愛い系の……愛されきゃらが不足している……と」
美希「その通りなの!! そこに妖精の杏も加えてー」
響「……ハム蔵じゃダメか?」
美希「ハム蔵は男の子でしょ? ミキたちは女の子のアイドルグループなんだよ?」
杏「その前にさ、やっぱり杏はペットと同列なの?」
響「でも、そうなるとキャラ被りが心配だぞ」
美希「どこか、誰か被る?」
貴音「……美希、ですね」
美希「えっ……ミキが?」
貴音「……普段のものぐさ加減と、ステージ上に立った時の卓越した技量、才能」
美希「そ、そんな……まさかなの……! ミキと杏が!?」
響「うん。世間では双葉杏は『頭がいい方の眠り姫』って呼ばれてるって」
美希「」
美希「はっ! ミキ、ひらめいちゃったの!!」
響「お、おー……なに?」
美希「この杏を! ミキのプルーンにするの!!」
貴音「……??」
杏「……ブレーンでしょ」
美希「それなの!」
美希「天才がタッグを組んで、アイドルパワーは2倍! そこに響がいつもの2倍のジャンプ! そして貴音がいつもの3倍回転を加えれば……!!」
杏「きらりぃー! お前を上回る1200万パワーだぁーっ!! ……ってなるかい!!」
響「す、すごいぞ! 息はぴったりだ! 理論は全く分からないけど」
貴音「なぜわたくしが回転するとあいどるぱわぁが増えるのですか? 美希、なにゆえ。美希」
美希「これは早速社長に提案するしかないの!」
響「プロジェクト・フェアリーがもっと完璧になるぞ!」
杏「……ん? プロジェクト・フェアリー……?」
貴音「どうでしょう? あいどるぱわぁ、増えていますか? 響? 美希?」クルクルクル
ガチャッ
「ん、なんだ。まだ迎えは来ていなかったのか?」
美希「あっ! 社長!! 提案があるの!」
「なんだい? 美希ちゃん」
美希「杏を、ミキたちのユニットに加えたいの!」
響「そうすれば! 1200万パワーなんだ!」
貴音「目が……まわり、ま、した……ひび、き」フラフラ
「ふぅむ……」
美希「ね? いいでしょ!?」
美希「黒井社長!!」
黒井「ウィ」
杏「えっ」
杏「えっこれ、えっ……どういう世界線? なに? 杏、世界移動しちゃった??」
黒井「双葉杏か……確かに、面白い人材ではある」
杏「ここ961プロだったの……どうりで何もかも豪華なハズだよ……ソファーの高級感あふれるフッカフカ加減とか」フッカフカー
黒井「しかし、果たしてプロジェクト・フェアリー。そして961のブランドイメージに合うかどうか……」
杏「ん……? なんかデジャブ……」
美希「えー、せっかくいいアイデアだと思ったのにー」
黒井「いや、発想は悪くないのだよ。……そうだ! 私にいい考えがある!」
響「おぉ! さすが社長!」
杏「嫌な予感が……。あ、あのさ。杏、なるべく働きたくないんだよねー……楽して過ごすために、印税生活がしたくてアイドルになったしさ……」
黒井「うむ」
杏「それに……はっきり言って、961ってブラックだって言われてるじゃん? バリバリ働かされるのはごめんかなーって」
響「大丈夫だぞ! ぶっちゃけ765より福利厚生しっかりしてるから!」
美希「ハニーも、765にいた時よりお休みもらえるし、サービス残業もなくて楽だーって言ってたよ?」
貴音「ぉぇー……ぅぅ……」
黒井「貴音ちゃん大丈夫かい」サスサス
杏「えー……」
黒井「私の案は…………双葉杏……いや、杏ちゃんを、美希ちゃんたちと一緒に移籍してきた…………雪歩ちゃんと組ませる。というものだ」
貴音「なんと……萩原雪歩と……!」
黒井「うむ。プロジェクト・フェアリーの、もう一つのユニットとして売り出すのだ。……差し当たっては、もう一人欲しいところだが……それはこちらで見繕っておこう」
美希「もしかして、ミキたちのライバルユニット誕生?」
黒井「ふん、怖いかね?」
美希「ううん! ミキ、むしろわくわくしてるの! もっと競いあって、いーっぱいキラキラしたいって感じ!」
響「自分もだからね!」
貴音「わたくしも、雪歩の新ゆにっと、楽しみです」
黒井「ウィ、王者に相応しい、いい闘争心だ。その調子でトップアイドルの座を掴み取り、真の王者、真のアイドルとは何か。世間に知らしめてやろうではないか!」
ハーッハッハッハッハッハッハ!
なのー!
だぞー!
はやー!
杏「…………杏の意志は……?」
……そして
杏「われわれの正義のためにー!」
雪歩「ためにー!」
可奈「ためにー!」
メーデーメーデーメーデー! メメメメメーデー!
杏「われわれは絶対に働かないぞー!」
雪歩・可奈「「ぞー!」」
美希「メーデーメーデーメーデー!」
響「メーデーメーデーメーデー!」
貴音「めぇでめぇでめぇでー」
冬馬「メーデーメーデーメーデー!」
北斗「メーデーメーデーチャオ!」
翔太「メーデーメーデーメーデー!」
黒井「…………どうしてこうなった」
ポン
高木「……」
黒井「……」
高木「久々に、飲むか」
黒井「…………ウィ」
メーデーメーデーメーデー メメメメメーデー
スイミンヲー
……
……
杏「とゆう夢を見たんだ」
美希「えー……」
END
ここまで読んで下さった方は、本当に有難うございました。
前作
輿水幸子「カワイイボクから相談されるなんて、響さんはカンペキですね!」
美希「は、ハニーと社長がホモセックスしてるの……!」
では、また。
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