高森藍子「ゆるふわ効果」 (18)

P「藍子と一緒にいると時間の経つのを忘れる、とよく言われているよね?」

高森藍子「そうですねぇ、『ゆるふわ』って言われてます」

P「そのゆるふわについて、ちょっとした確認なんだけど」

P「例えば俺が藍子とおしゃべりしたとする」

P「そろそろ10分経ったかなと思って時計を見ると、実は30分経っていた」

P「被害者の証言をまとめるとこういうことだよな?」

藍子「は、はい。でも被害者って……私犯罪者なんですか?」

P「あ、ごめん。でもゆるふわした結果、遅刻したりっていう実害があるから」

藍子「なるべくゆるふわしないように気をつけます……」ショボン

P「待て待て、そういう話じゃないんだ」

P「ゆるふわを好意的に見てもらって、ラジオでゆるふわタイムもやらせてもらってるんだから」

P「今後も大いにゆるふわしてもらいたい」


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藍子「じゃあどうしてこんな話を?」

P「ゆるふわについてもう一度確認するぞ」

藍子「あ、はい」

P「体感時間は10分だが周りは30分経っていた」

P「これってウラシマ効果と同じじゃないか?」

藍子「あっ……!」

藍子「ウラシマ効果って、宇宙旅行すると時間の流れが違ってくる、でしたっけ」

P「正確に言うと、亜光速で移動すると時間の流れが遅くなる、だな」

P「ゆるふわ効果だな」

藍子「あはは……でも待ってください」

藍子「ゆるふわ効果は『10分しか経ってない気がした』だけであって、実際には30分経ってます」

藍子「時間の流れが遅くなったわけではない……と思うんですけど」

P「体感時間と周りの時間経過が違う、という意味では同じだ」

P「……というか、藍子はゆるふわ効果を否定したいの?」

藍子「肯定否定の話ではなくて……」

藍子「そもそも私はただの人間なんだから、亜光速で移動なんて出来ませんよぉ」

P「亜光速じゃなくてアイドルだよな」

藍子「あしか合ってないです」

藍子「とにかく、ゆるふわ効果はただの気のせいだと思います」

藍子「プロデューサーさんが腕時計をつけていたら、腕時計はちゃんと30分経ってますよね?」

藍子「プロデューサーさんの周りの、時間の流れが遅くなったわけではないですよ」

P「だが実際、何人もゆるふわ効果を証言しているんだから……」

P「ゆるふわ効果は生物にだけ作用するのかもしれない」

藍子「それはもう……肉体年齢を調べる、とかしないと判断できないんじゃ」

P「調べたとしても30分程度じゃ違いなんて分からないだろうなぁ」

P「少なくとも年単位くらいの差でないと」

P「……例えば全治3ヶ月の怪我をしてさ」

藍子「はい」

P「藍子とずっと一緒にいると治りが明らかに遅い、とか」

藍子「たしかにそれなら分かるかもしれませんが……」

藍子「何の役にも立たないですね」

P「だよなぁ」

藍子「……」

P「…………」

藍子「なんだかよく分からない話になっちゃいましたけど、満足しました?」

P「いや、してない」

P「もっとこう、さぁ……多くの人に藍子のゆるふわっぷりを知ってほしいんだ」

P「藍子はまだまだ多くの人を癒せるポテンシャルがあるんだよ」

藍子「プロデューサーさんにそう言ってもらえるだけで、私は満足です」

藍子「突然の大ブレイクとか狙わなくても」

藍子「地道にアイドル活動続けて少しずつでもファンが増えてくれれば……」

P「まぁ、それが正攻法なんだろうけど」

藍子「……ちょっと気分転換しましょう? お茶でも淹れますから」

P「ありがとう…………そうだ、お茶だ」

藍子「えっ?」

P「お茶を飲むところは喫茶店」

藍子「はい」

P「喫茶店といえばメイド喫茶」

藍子「はい?」

P「メイド喫茶といえば菜々さん」

藍子「安部菜々さんですか?」

P「菜々さんは永遠の17歳」

P「ここからは俺の推測だが、永遠の17歳とはつまり……」

P「ゆるふわ効果によって、肉体の成長が17歳でほとんど止まっている状態だったんだよ!」

藍子「はぁ。……はぁ?」

藍子「あの……プロデューサーさんが何を言っているのか、ちょっと分からないんですけど」

P「ゆるふわ効果で体感時間が遅くなる」

P「これは何人も証言しているから間違いない」

藍子「…………はい」

P「その人の時間の流れが実際に遅くなっているとすれば」

P「言い換えれば老化も遅くなっている、ということ」

P「時間の流れがものすごーく遅くなれば、周りからはほとんど老化していないように見えるはずだ」

藍子「えーと……菜々さんは、少なくともゆるふわとは言われてないと思うんですけど」

P「それは、ほら……ウサミン星人だし」

P「ウサミン星のスゴイ技術で隠れてゆるふわしてるんだよ、常に」

P「要するに! 藍子のゆるふわ効果が老化防止に役立つかもしれない、ということだ!」

川島瑞樹「なぁんですってぇ!?」

藍子「きゃあ!」

P「うおっ、川島さんどこから!?」

瑞樹「そんなことはどうでも良いのよ、今の話し詳しく聞かせてちょうだい!」

P「あぁ……ゆるふわ効果で老化防止、ですか?」

藍子「川島さん、十分お若いですよ?」

瑞樹「別に、自分で自分を老けてると思ってるわけじゃないのよ?」

瑞樹「ただ、失った若さを取り戻すことは出来ないわ」

瑞樹「だから私は、今の若さを維持する努力を怠らないの」

瑞樹「という訳で詳しく教えて。ゆるふわすれば良いの?」



カクカク シカジカ



瑞樹「うーん、なるほど。それは盲点だったわ」

藍子(納得しちゃうんだ……)

P「ゆるふわ効果でアンチエイジング。受け入れられると思います?」

瑞樹「そうねぇ……サプリやトレーニングよりお手軽だし、可能性は高いと思うわ」

瑞樹「でもゆるふわ効果を得るには、藍子ちゃんとおしゃべりしなければいけないんじゃないかしら」

P「あっ、そうか……!」

藍子「あのー……ゆるふわ効果でアンチエイジングはもう確定事項なんですか?」

瑞樹「それに、ゆるふわしてる間老化防止効果があるということは」

瑞樹「逆に言えば、短時間のゆるふわでは大した効果は得られないということよ」

P「さすが川島さん。今話を聞いたばかりなのに、すぐ問題に気づくなんて」

瑞樹「ふふっ、アンチエイジングには一家言あるのよ」

藍子「そもそも科学的になんの根拠も無いことのほうが問題と思うんですけど……」

瑞樹「惜しいわね……これまでにない画期的な手法だというのに」

瑞樹「その恩恵を受けられるのは、藍子ちゃんとおしゃべりできる、ごく一部の人だけだなんて……!」

P「いや、そうと決め付けるのは早計です」

瑞樹「えっ?」

P「あるじゃないですか、全国のファンを同時にゆるふわさせている番組が」

瑞樹「ゆるふわタイム……っ!」

藍子「ええ~っ!?」

瑞樹「確かにそれなら、ラジオさえ聞ければ何人だろうと関係ないわ!」

P「そして短時間で効果が薄いのなら、毎日24時間放送すればいい」

藍子「私死んじゃいます!」

P「別に生放送しろとは言ってないだろ。全部新録にする必要もない」

P「新録は今までどおり週1本30分で、残りはバックナンバーとかソロ曲を放送すればいいんだ」

藍子「さっきから私の声聞こえないのかと思ってました……」

瑞樹「ねぇ、ノンストップ放送ならネットラジオのほうが良いんじゃないかしら」

P「あぁー、そうですね。事務所のサーバで配信すれば良いですね」

瑞樹「技術的なことはよく分からないけど、とにかく出来るのね?」

P「ええ、出来ますよ」

瑞樹「聞けるようになったら教えてね。私毎日聞くから」

P「せっかくだからノンストップ放送のPRも兼ねて、ゲスト出演しませんか?」

瑞樹「あら、良いわねー。『私も聞いてます』みたいな?」

藍子「あ、あのっ。なんだかどんどん話が進んでるんですけど」

藍子「もしゆるふわ効果なんて本当は無かったら……」

P「何言ってるんだ、藍子がゆるふわなのは自他ともに認めるところじゃないか」

藍子「そうですけど、私には時間の流れが遅くなってる実感が無くて……」

瑞樹「それは仕方ないわよ。藍子ちゃんは常にゆるふわ効果の中心にいるんですもの」

P「藍子がゆるふわしてない状況なんて、ありえないですよね」

藍子(私そんなにゆるふわなのかな……?)





かくして、ゆるふわタイムノンストップ配信が開始された!

藍子の心配とは裏腹に、ネットラジオとしては異例の大ヒットを記録することになる。

だがゆるふわ効果には、3人も気づいていないもう一つのチカラが秘められていた……!

~どこかの戦場~

軍人A「ヘイブラザー、何を聞いているんだい?」

軍人B「ああこれか、ネットラジオだよ」

軍人B「日本のアイドル、アイコ・タカモリのゆるふわタイムという番組なんだ」

軍人A「面白いのか?」

軍人B「もちろん面白い。が、それだけじゃなくてな……」

軍人B「コレを聞くだけで老化防止になるんだと」

軍人A「マジかよ。俺にも聞かせてくれ」

軍人B「それに、アイコの声を聞いていると不思議と心が落ち着いて安らぐんだ」

軍人A「ふむ、俺は日本語は分からないが、たしかに癒やされる声だな」

軍人A「ここが戦場だってことを忘れちまいそうだ」

軍人B「ああ、戦争なんてくだらないとさえ思えてくる」

軍人A「……敵に聞かせて和平に持ち込めないだろうか」

軍人B「HAHAHA! いくらなんでもそりゃ無理だろう!」

軍人A「だよな!」

軍人B「……」

軍人A「…………」

軍人B「試しに反抗的な捕虜に聞かせてみるか」





P「大変だ、藍子ォ!!」

藍子「どうしたんですか?」

P「藍子にノーべノレ平和賞が贈られることになったぞ!!」

藍子「えええええええっ!!?」

おわり

あーちゃんの ゆるふわボイス マジ癒やし

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