安部菜々「いつか来る試練……!」 (45)

――水着売り場――
北条加蓮「いらっしゃいませー♪」(売り場の制服を着用)

安部菜々「ぎゃあああああああああああああああ!!!」

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――注意事項――
北条加蓮→安部菜々の呼称を変えさせていただいています。

それと、高森藍子のキャラがちょっと崩壊気味かも。

菜々「なんでいるんですか! なんでいるんですか加蓮ちゃん!」

加蓮「え? バイト」

菜々「さらっと嘘をつくなーっ!」

加蓮「ホントだよ。私、ここの水着を前に宣伝したことがあるんだ」

菜々「丸め込んだってことですかね!?」

加蓮「人聞きが悪いなぁ。こうしてアイドルに水着を勧めて、売上を伸ばすんだよ」

菜々「また屁理屈みたいなことを!」

加蓮「人の顔を見ていきなり叫ぶって失礼じゃない?」

菜々「誰でも叫びますよそこにいる筈のない人を見たら!」

加蓮「えー、あれはそういう叫びじゃなかったでしょ。まるでさぁ……」

加蓮「とうとう恐れていた水着の仕事が入ったからせめて地味目な水着で済ませようって思いアイドル仲間の誘いも断って」

加蓮「1人こっそり買いに来たところを意地悪な女の子に見られて末路が見えたような顔だったよ」

菜々「的確すぎるー!!」

高森藍子「あ、あの……こんにちは、菜々さんっ。あはは……」(普段着)

菜々「藍子ちゃんまで!? ホントなんでいるんですか!?」

加蓮「菜々さ、この前に事務所で水着の話をしてたでしょ」

藍子「それから今度、水着のお仕事があるってPさんがお話していました」

加蓮「悪そうな顔してたねー」

藍子「それで、夕美さんから向井さんも共演するって聞いて」

加蓮「仕事の為に新しい水着を探すって言うから」

藍子「ここに来るんじゃないか……って、加蓮ちゃんが」

菜々「ステレオでの説明ありがとうございます! ナナ帰る!」

加蓮「まあまあお客様」ガシッ

藍子「今ならお安くなっていますよっ♪」

菜々「加蓮ちゃんから逃げる為なら高い水着でいいです! ……って藍子ちゃん!? え、藍子ちゃん!?」

菜々「……うらぎりものー!」

藍子「えへ」

加蓮「帰ってもいいけど、菜々がいつどこの水着売り場に行くか全力でサーチして先回りするよ?」

菜々「加蓮ちゃんなら易々とできそうだから恐いですねぇ!」

加蓮「まあまあ。つまり逃げても無駄ってことだからさっさと決めちゃえっ♪」

菜々「…………だったらせめて、ワンピースタイプの水着に……私服とあんまり変わらないヤツ……」

藍子「お客様、今ならこちらの商品が人気となっております♪」スッ

加蓮「今ならこの辺がJKに人気の商品となっています♪」スッ

菜々「ビキニをこれみよがしに見せるなああああああああ――っ!!!」

藍子「わ、わぁ……これなんてほとんど布面積がないですよ……」テレテレ

加蓮「え、藍子、そういうのに興味あるの?」

藍子「ないっ、ないです! ただすごいなぁって思っただけで……あっ、この辺とか加蓮ちゃんに似合いそうですよね!」

加蓮「パレオ? ……にしては随分と長いね。これを使ったら大人っぽく見えるかな? 藍子はこの辺とかどう? 薄緑の花柄だよ」

藍子「たまにはいいかも? それで菜々さんには……これがいいと思いますっ」(←ウサミミがプリントされたピンクビキニ)

加蓮「私的にはこの辺がいいかな。アダルティで」(←黒のフリルビキニ)

菜々「自然な流れでビキニを勧めてこないでください!」

菜々「それに加蓮ちゃん、JKのナナになんでアダルティが必要なんですかね!?」

加蓮「え? だって……ねえ?」

藍子「ですねっ」

菜々「もおおおおおおおおおおおおおおお――っ!!」

菜々「加蓮ちゃんはともかく今日の藍子ちゃんはどうしたんですか!? なんでそのっ、加蓮ちゃんにつられたみたいな!」

加蓮「あ、ひどーい。それってどういう意味?」

菜々「自分の胸に聞けー!」

藍子「…………胸…………」

菜々「ああああああああああもおおおおおおおおおおおお!」

加蓮「まあまあ。菜々。別に私たち、菜々を困らせようって訳じゃないんだよ?」

藍子「そうですそうです。去年のクリスマスに、一緒にお仕事をした仲じゃないですか♪」

加蓮「あの時の菜々のクリスマスメイド、可愛かったなぁ」

藍子「メイドさんの中のメイドさんって感じでした!」

菜々「き、急に何ですか……」

加蓮「うんうん。菜々ってすごいよねー。いつもアイドルらしく振る舞っててさ」

藍子「ベテランのアイドルって言えば、菜々さんですよね」

加蓮「今回の仕事だってアレでしょ? 準主役とかいいながら主役より高い収益が見込まれてるって、Pさんがこっそり教えてくれて」

藍子「私たち、いつも見習わないとなぁって思っているんです♪」

加蓮「それに、Pさんがいくつもある選択肢からようやく決めた仕事なんだよね?」

藍子「Pさん、何日も夜遅くまで頑張っていましたっ」

加蓮「むしろ大きな仕事を決めるのが遅すぎるくらいなんだって。菜々ってそれほどのアイドルなんだよ。だから」

藍子「クリスマス以来、大きな仕事がなかった仲間だって思っていたけれど裏切られたなんて」

加蓮「これっぽっちも」

藍子「思っていませんよ?」

菜々「」

加蓮「ねー♪」

藍子「ねー♪」

菜々「あの……加蓮ちゃん……? ……藍子ちゃん……?」

加蓮「さて藍子。菜々さんへそ出し計画を続けよっか」

藍子「はいっ。可愛い水着、もっと探しちゃいましょう!」

加蓮「確かみくちゃん辺りと喋ってたって情報があったよね。あの辺が好きそうなのっていうと……」

藍子「あっ、この辺りとかどうですか?」

加蓮「わー、派手な水着。確か、今年のJKは冒険をするってキャッチコピーがあったんだっけ?」

藍子「はいっ」

菜々「あ、あのー……その……加蓮ちゃん、藍子ちゃん」

加蓮「ん?」

藍子「はい?」

菜々「…………怒ってます?」

加蓮「ううん、ぜんぜん」

藍子「いえっ、ぜんぜん!」

菜々「怒ってますよねぇ! 特に藍子ちゃん! そんな凄い笑み見たことないですよナナは! 加蓮ちゃんじゃないんですから!」

加蓮「こら、さりげなく人を何だと」

菜々「いつもの優しい藍子ちゃんに戻ってください! ……ほ、ほら、ナナにもお仕事が来たんだからおふたりにだってすぐに、」

加蓮「うわー、総選挙上位常連が何か言ってるよ」

藍子「私たちには遠い世界のお話ですね」

加蓮「まだ花嫁撮影の後みたいに1年くらい待たされるかもしれないのにねー」

藍子「加蓮ちゃんがかわいそうですっ」

菜々「アンタらもランカー常連でしょうが! ホントなんなんですか今日の藍子ちゃんはぁ!!」

加蓮「あれ、私には違和感ないんだ。実はこれでもさっきからできる限り嫌味と皮肉を込めた演技を、」

菜々「いや加蓮ちゃんは割といつも通りじゃないですか」

加蓮「…………」

菜々「…………」

藍子「…………」

加蓮「…………お客様、こちらの紐ビキニで新しい世界の扉を開いてみませんか?」

菜々「失言でしたーっ!」




菜々「はぁ、はぁ、も、もう、おふたりともいったい何なんですか……」

菜々「いえ、もうナナに怒っているっていうのは分かりましたけど、そんなのナナに言われても困りますよぉ……」

加蓮「うーん…………」チラッ

藍子「…………ですね」チラッ

菜々「?」

加蓮「ん。いや、そろそろ落ち着こっかなーって」

藍子「加蓮ちゃんも楽しそうにしていましたから、もういいかな、なんて……」

菜々「へ?」

加蓮「ねえ、菜々。菜々は何歳?」

菜々「それはもちろんにじゅっ――」

加蓮「よし、藍子。帰ろう」

藍子「はいっ」

菜々「ああっ待ってください待ってください! ナナは17歳です、17歳!」

加蓮「……」ハァ

藍子「あはは……」ニガワライ

加蓮「それ、む――堂々と言える?」

菜々「え、ええ言えますとも。だってナナは17歳ですからね……」

加蓮「……うん、17歳だよね。今をときめくJKアイドルだよね」

菜々「も、もちろん!」

加蓮「それならさ、水着くらい余裕だよね」

藍子「他のみなさんも、ビキニで撮影されてることが多いですから」

菜々「……それは……その………………それは…………」

菜々「……い……いくらなんでも無理ですよ! ……いつか来る試練だって分かってましたけども! いざ来てみると!」

菜々「できる訳ないじゃないですかぁ! だってナナは――」

菜々「……おふたりなら分かりますよね! ナナの言ってること!」

加蓮「うん、分かるよ」

藍子「でも……本当に、それでいいんですか?」

菜々「え?」

加蓮「先に言っておくね。私たち、もうふざけてないから」

加蓮「事務所で聞いてみたんだ。菜々のことをどれくらい知ってるかって」

菜々「ナナのこと……?」

藍子「そうしたら……ウサミン星については苦笑いされる方が多かったんですけれど、17歳だって方は、ご存知じゃない方もけっこういました」

加蓮「菜々は17歳。JKアイドル。なんか古臭い言葉を知ってるのはお母さん子かおばあちゃん子か」

藍子「それか、どんな層でも受け入れられるように、頑張って調べているか……」

加蓮「そうやって答える人が多かったんだ。半分……以上はいたかな」

菜々「…………え…………」

加蓮「ファンにはさすがに聞いてないけど、きっとファンだってそうだよ」

藍子「菜々さんが17歳だって思ってる人、いっぱいいると思います」

加蓮「そんな菜々を見て元気づけられるって人、たくさんいるんじゃないかな」

藍子「もちろん、17歳だからってだけじゃないですけど」

加蓮「私もほら、高校生アイドルだからなんとなく伝わるんだ。高校生が――自分と同年代の子が頑張ってるから頑張ろう、ってなる人がいるってこと」

藍子「加蓮ちゃんは、ちょっと特殊なケースなんじゃ……?」アハハ

菜々「ナナは――17歳だと、思われているんですか……?」

藍子「はい。でも……このまま放っておいたら、いつ気付かれるか分かりません」

加蓮「人間、1度疑い出すとずっと疑っちゃうからね。あれ、もしかしてあのアイドル、騙してんじゃないか? って」

藍子「だから、水着のオファーが入ったって聞いた時、思ったんです」

加蓮「最初はホントにゴリ押ししようと思ったよ? ビキニ。ネタになりそうだし。でもさ、藍子が強く言うものだから」

加蓮「それに、菜々が17歳だって言ったから」

加蓮「はいこれ」スッ

菜々「これは……」

加蓮「懐かしい?」

菜々「スクール水着ですね! いやあ懐かしい、もう何年も前に……ハッ!」

加蓮「ふふっ」

藍子「こらっ、加蓮ちゃんっ」

加蓮「ごめんごめん。17歳だと思っている人がスクール水着を着ていたら、もう多少は変なことを言っても疑われないよ」

藍子「アイドルでも、学生じゃないのにスクール水着を着るってこと、まずありませんから」

菜々「加蓮ちゃん、藍子ちゃん……」

加蓮「…………っていう作戦を頑張って考えてみたんだけど……ど、どう? さすがにスクール水着はない……?」

藍子「あうぅ、よく考えてみたらこっちの方がいけないことのような気が……!」

菜々「……………………」ミズギヲミル

菜々「……………………」フタリヲミル

菜々「いえ! この上ないグッドアイディアです! 確かにこれならぜんぜんおかしくありませんね!」

加蓮「!」

藍子「あはっ、よかった……」

菜々「いやもうどうしようかと、ホントどうしようかと。もうさすがに断るにも断れないくらいまで来ていましたからね!」

加蓮「ふうっ……ま、Pさんも頑張ってスケジュール調節してたからね」

藍子「なんだか、すごく楽しそうにやっていましたよね……」

加蓮「あー、うん。念願の水着の仕事を持ってこれたーとかなんとか。知らない人が見たら一発で110番だよ、あれ」

菜々「ああ、もう……」

加蓮「ね、菜々」

菜々「はいはいっ♪」

加蓮「私も……藍子も、どこまで頼りになるか分からないけどさ」

藍子「菜々さんが頑張って隠し事をしたいって言うなら、私たち、手伝いますよっ」

加蓮「ほんのちょっとでも、ファンの為だって理由があるならね」

菜々「……!」

加蓮「っていうか……見ててもう痛々しいんだよね……ウサミン星の方はまだしも、17歳の方は……」

藍子「Pさん、何度も苦笑いしていますよね……」

菜々「そ、それはーその、思ったことを口に出してしまうというかついうっかりっていうか……」

加蓮「うっかりしちゃうのはしょうがないからさ」

藍子「私も、気をつけていてもよく失敗してしまいますから」

加蓮「それなら、"知ってる"私たちがフォローしたいなって」

藍子「私は……その、できることが少ないですけど、加蓮ちゃんは演技がとても上手ですから!」

加蓮「藍子だって。菜々が自爆した時にまあまあって割って入るの得意そうじゃん。話しかけて気を紛らわすとか」

菜々「おふたりとも……おふたりが、そんなことを思ってくれていたなんて!」

加蓮「えー。気付かなかったの?」

菜々「気付ける訳がないじゃないですよぉ! 加蓮ちゃん、いつもナナのことからかってばっかりで!」

藍子「……だから私、言ったんです。きっと信じてもらえてないって」ジトー

加蓮「うん、今ちょっと日頃の行いを反省してるとこ」

加蓮「……ま、スクール水着ってアイディアは、私と藍子が話し合ってたらたまたま出てきただけだから」

藍子「次は菜々さんも一緒に考えましょう。3人集まった方が、きっといい考えが出ますから」

菜々「…………はい!」

菜々「!」

菜々「いえっ、ナナは17歳ですから何のことやら分かりませんけれど!」

菜々「困ったら、相談させていただきますね!」

加蓮「うん」

藍子「はいっ♪」




加蓮「さて、と」

藍子「お仕事用の水着はこれで決定ですね」

菜々「……………………へ?」

加蓮「あとは海に遊びに行く用だね。こっちもしっかり擬態してないと」

藍子「そういえばPさんが言っていました。アイドルたちの素顔も撮影して、プロダクション全体の写真集にするんだって」

加蓮「え、ホント? ってことは迂闊なの選べないなぁ」

藍子「水着は地味な方が好きなんです、って言って、誤魔化せるでしょうか……?」

加蓮「菜々にそんな高度なことができると思う?」

藍子「……………………………………あ、あは」

菜々「あ、あの~? なんだか話が不穏な方向に」

藍子「それならやっぱり、分かりやすい方で」

加蓮「JKなら当然、ビキニだよね」

菜々「!?」

加蓮「あ、店員さ~ん! ふふっ、ごめんなさい騒いじゃって。あと制服もありがと。はい、いい経験になりました!」

加蓮「それで、この子……うん、"見ての通り女子高生なんだけど"、何かいい水着ない? もうすごくイケてるヤツ!」

藍子「今年は流行に乗って可愛く見せるんだって張り切っちゃってて! そのっ、可愛いのないですか!?」

菜々「ちょおっ! 張り切ってるの加蓮ちゃんですよね!」

加蓮「え? ある? ちょうど新作が?」

藍子「あはっ。ちょうどいいです! きっとその水着、大人気になりますよ♪」

菜々「もう着させること確定ですか!? え、ちょっと! 加蓮ちゃんのこと見なおしたって思った途端に!? いや、いやです、ビキニは無理ですってば~~~~~~!」



おしまい。クリスマスメモリーズばんざーい!

おっつー、いやあ、ウサミン大活躍ですなあ
>>1の作品、世界観的にだいたいパラレルなんだろうけど、これとこれは同一世界線ですってのはあるのかな?

読んでくださり、ありがとうございます。

>>43
加蓮と藍子がカフェテラスの2作品は完全に同一世界線です。
それ以外はすべて別世界線です。設定を流用していても別世界線です。
なので、シリーズ物だと注釈を入れていない物は、単発の作品として読んでいただければ嬉しいです。

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