凛「無人島で遭難しちゃったにゃー!」 (42)
真姫「リゾート気分でクルージングしていたら、とんだ災難ね」
花陽「ここどこなんだろう?」ダレカタスケテー
凛「凛たちどうなっちゃうにゃー?」
真姫「民家でもあればいいんだけど、この海域一帯はほとんど無人島のはずなのよね」
花陽「ね、ねぇあれ見て!丘の上!」
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真姫「丘の上・・・?」
凛「あっ!建物があるにゃー!!」
花陽「良かった。無人島じゃなかったんだね」
真姫「そうね。行ってみましょう」
・
・
・
真姫「で、来てみたものの」
凛「建物、ボロボロにゃー」
花陽「そんな、廃墟だったなんて・・・」
真姫「まぁいいわ。雨風しのげる場所があっただけましと考えましょう。この廃墟で救助を待ちましょ」
凛「凛歩き疲れたから賛成にゃー」
花陽「ちょっと怖いけど、外よりはずっと良いよね?」
真姫「決定ね」
凛「そうと決まれば中に入るにゃ。ドアも半分くらい壊れて開いてるから入れるにゃー」
ギィ
真姫「中は・・・思っていたよりキレイね」
花陽「えっ!?これキレイなの!?」
真姫「泥やカビで埋もれていたら入れなかったもの。廃墟の割にはまだ良い方だわ」
花陽「うーん、でもやっぱりなんだか怖いよぉ」
凛「食べ物とか無いのかにゃー?」
真姫「・・・流石にこの朽ち具合の廃墟の食べ物は危険だと思うわ」
凛「ううっ、お腹空いたにゃー・・・」
凛「あ、でも何かサバイバルに役立つ道具があるかもしれないにゃー!」
真姫「そうね。ナイフか燃料の残骸でもあれば、だいぶ状況は良くなるんだけど」
花陽「それじゃあちょっと探検してみよっか?」
凛「と、思ったけど、この戸棚の中に非常用っぽいバッグが入ってたにゃ」ガラッ
真姫「見つかるの早っ!」
花陽「このバッグ、なんだか新しい・・・?」
真姫「そう見えるわね。まぁ、ともかく開けてみましょ」がぱっ
ゴロン
凛「うわっ!これ、ナタにゃ?」
真姫「いきなり刃物が手に入ったわね。少し大きいけど」
花陽「あとは、ランタンと・・・たぶんその燃料缶!」
真姫「光源に燃料まで!本当にサバイバルバッグだったようね」
凛「あとはお鍋と、カセットコンロにゃ!」
真姫「カセットコンロ?凛、ちょっとそれ見せて」
凛「はいにゃー!」
真姫「・・・。」ガチャ
真姫(建物の経年劣化度合いからいって、かなりの年月放置された施設だと思ったのだけど)
真姫(このコンロもナタも、あまり錆びていない。戸棚にしまってあったから・・・?)
真姫(だとすると、この建物は・・・)
真姫「みんな。建物の中をくまなく探しましょう」
凛「えっ、どうしてにゃ?」(と言うか凛は全部探検する気だったにゃー)
真姫「このバッグ、少なくとも数年以内に置かれた物よ」
花陽「あ、やっぱり!」
真姫「推測になるけど、この建物は昔使われていた施設を、なんらかの防災拠点として再利用しているのかもしれない」
真姫「探せば他にも道具や非常食があるかもしれないわ!」
凛「真姫ちゃんホントにゃー!?」
真姫「可能性だけど、この建物は高台にあるし。簡易の避難施設なんじゃないかしら?」
凛「真姫ちゃんすごいにゃ!さっそく食べ物探してくるにゃー!!」ダッ
花陽「あ、待って凛ちゃん!私もいっしょに行くからっ」
真姫(とは言え、ドアが補修されていないところを見るとすでに遺棄された施設なのかもしれない)
真姫(食料もだけど、通信機器が見つかればいいのだけれど・・・)
花陽「真姫ちゃん真姫ちゃん!」
真姫「どうしたの花陽?何か見つかった?」
花陽「うん。キャリーカート付きだったから、そのまま持ってきちゃったんだけど・・・」ガタゴト
花陽「これ、救急箱、かな?真姫ちゃんならわかるかと思って」
真姫「緊急時用の医療キットね!それにしても、ずいぶん大きいわ」
花陽「中はまだ見てないんだ」
真姫「そうなの?それなら、中身は・・・」ガチャ
真姫「すごい!栄養補助サプリメントがたくさん!」
真姫「それに、消毒薬、睡眠薬にアスピリン、抗生物質、鎮痛剤、インシュリン注射まで!」
真姫「かなり本格的な医療キットよ。お手柄ね、花陽」
花陽「え、えへへ、そうなのかな?」てれっ
真姫「栄養サプリがあるのはかなり大きいわ」
花陽「えっと、私はよくわかんないから、真姫ちゃんに預けておくね」
真姫「ええ」
花陽「私は凛ちゃんの方を手伝ってくるから、真姫ちゃんはその救急箱を検証しててね」
真姫「わかったわ。気をつけて」
花陽「うんっ。凛ちゃーん、ドコー?」
\こっちにゃ花陽ちーん/
花陽「チョットマッテテー!」
真姫「・・・。」
真姫(この医療キット、大半が大量のガーゼと包帯だった・・・)
真姫(それに、止血帯、鉗子、ハサミ、麻酔、縫合糸)
真姫(あきらかに外科手術。しかも、外傷の治療に偏向したキット・・・)
真姫「何よこれ・・・!!まるで野戦病院みたいじゃない!!」
真姫(この建物、いったい何のための施設なの・・・!?)
真姫(とたんに不気味に思えてきたわ!なんなのよここ、まったく!)
凛「真姫ちゃん真姫ちゃーん!」ガチャ
真姫「ど、どうしたの凛!?」ビクッ
凛「ちょっとよくわからない機械があったから、見て欲しいにゃー」
真姫「機械?」
凛「レバーとかボタンとかダイヤルがいっぱいで難しそうにゃー」
真姫「そんな複雑な機械なら私にだってわかんないわよ?」
凛「ともかく見て欲しいにゃ」
真姫「わかった。行くわ」
凛「こっちにゃ」てくてく
真姫「これ・・・!」
凛「結構大きい機械で、見たこともないにゃ」
真姫「これもしかして、無線機じゃない?」
凛「にゃ!?」
真姫「ほらここ。表明が錆びてて見えにくいけど、Hz(ヘルツ)って読めない?」
凛「ホントにゃー!!真姫ちゃんすごいにゃ!」
真姫「いえ、でも使い方はわからないわよ?」
凛「でも凛にはもっとわかんないにゃ!」
真姫「私だって同じよ」
凛「ヘルツって何にゃー!?」
真姫「前言撤回。私の方がわかってるわ。ええ、うん」
真姫「でも、いずれにしろ動力が無い事には動かないわね」
凛「動力はどうしたらいいにゃ?」
真姫「たぶんだけど、発電機がどこかにあるんじゃないかしら?」
凛「発電機・・・」
真姫「もしくは、この無線機(仮)にバッテリー内蔵されてたりとか?それなら楽なんだけど」
凛「そもそもこの機械動くのにゃー?」
真姫「そこまではわからないわね」
花陽「ねぇ二人とも!難しいことを考えるのは、ごはん食べてからにしない?」ゴトッ
凛「花陽ちん!そのダンボール箱なんにゃー!?」
花陽「えへへ、食べ物見つけちゃいました~!」
凛「やったにゃあああああ!!すごいにゃ花陽ちん!!!」
真姫「あったのね!?」
花陽「うん、ペットボトルのお水も!製造日が最近だったから、やっぱり真姫ちゃんの言うとおり誰かが最近運び込んだのかも」
真姫「そう。まぁ、飲める水があってなによりね・・・」
花陽「?」
凛「非常食は何があったにゃ花陽ちん?」
花陽「私もまだ全部は見てないの。向こうの部屋で箱に入ってるから、みんなでこっちに持ってこよ!」
花陽「向こうの部屋、少しカビ臭かったから。こっちの部屋で食べようよ」
真姫「ええ、手伝うわ」
凛「ごはんにゃああああああ!!!」
真姫「よい、しょっと!」ガタッ
凛「んにゃっ!」ゴトッ
花陽「ふぅ、結構いっぱいあるね」
凛「しばらくは持ちそうにゃー!」
真姫「まずは何があるかを確認しましょう」
凛「はいにゃー!」
凛「まずは、乾パン、コンビーフ、レトルトパウチの何かに、カップ麺、パンの缶詰め、豆の缶詰めに、ほうれん草の缶詰め」
凛「これは何にゃー?」
真姫「食塩じゃないかしら?」
凛「おー、お塩にゃ!」
花陽「えっと、こっちはコーンフレーク、鮭の瓶詰め、ピクルス、ツナ缶、コーンフレーク、コーンフレーク・・・」
花陽「ま、真姫ちゃんの箱は!?」
真姫「私は水しか持って来てないわ。以上よ」
花陽「えっ!?そ、そんなはずは・・・!!」ガクガクブルブル
真姫「あとはさっき見つけたサプリメントね。あれで栄養を補えば・・・」
花陽「補えないよっっ!!」
真姫「ええっ!?」びくっ
真姫「ど、どうしたのよ花陽?」
花陽「どうしたもこうしたもないよ!!こんなの、こんなのってないよ!!」
花陽「アレが・・・アレが無いなんてぇっ!!」
真姫「アレ?アレって何よ花陽!?」
凛「・・・はっ!」ぴくっ
凛「そうにゃ!大変にゃ!!」
真姫「どうしたの凛!?花陽は何が足りないって言ってるの!?」
凛「アレが無いと、アレが無いと花陽ちんは大変な事になるにゃー!!」
花陽「あわわわわっ!はわわわわわわ!!」ガクガクブルブル
真姫「何!?何が無いの!?」
花陽「お米が・・・」
真姫「えっ?」
花陽「お米が無いのぉおおおおおおおおおおおっ!!!」うわーん!
真姫「お米?そんなの、少しの間ガマンすれば・・・」
凛「ダメにゃー!!」ガタッ
真姫「ええっ?」
花陽「ううっ、お米ぇ、ご飯がぁ・・・」ふらっ
ぱたり
凛「かよちん!?」
花陽「凛ちゃんっ、わ、私、私っ、もうっ、4時間もお米食べてないよぉ」ブルブル
凛「大変だにゃああああ!」ぞわっ
真姫「何!?花陽はどうしちゃったの凛!?」
凛「発作にゃ!」
真姫「えええっ!?」
凛「花陽ちんは、花陽ちんはっ!数時間おきにお米食べないと、発作がおきてしまうのにゃー!!」
花陽「お米、お米・・・お米、食べっ、た・・・ぃ」ぴくぴく
真姫「何よそれ!?」
真姫「何よそれーーっ!!」 イミワカンナイ!
中断
花陽「凛、ちゃ・・・お米・・・っ」ガクガクブルブル
凛「花陽ちんしっかりするにゃぁあああ!!」うわーん
真姫「ちょっと花陽!?大丈夫?!」
凛「水!お水飲むにゃ花陽ちん!」
花陽「うっ、ぁっ」ゴクッゴクッ
凛「パン食べるにゃ花陽ちん!」
花陽「ううっ」パクパク
凛「コーンフレークも食べるにゃ花陽ちん!」
花陽「あっ、ぅ」もぐもぐ
花陽「凛ちゃん、やっぱり、ダメっ、お米・・・お米じゃないと・・・っ」くらっ
凛「花陽ちん!!しっかり気を保つにゃ!!」
花陽「私、この無人島でっ、お米も食べられないまま・・・飢えて、死んじゃうのかな・・・?」
凛「そんなことないにゃ!きっと、きっと無人島にだってお米はあるにゃぁ!!」ぽろぽろ
真姫「凛!さっきの食料箱にあった謎のレトルトパウチは!?もしかするとお粥かもしれないわ!」
凛「そうにゃ!開けてみるにゃ!!」ビリッ
凛「違うにゃ!これシチューにゃあああ!!!」
真姫「くぅっ!!」ぶわっ
花陽「あははっ、二人とも、ありがとう・・・私、みんなと、スクールアイドル、やれて・・・良かっ、た」がくっ
凛「ダメにゃああああああ!!行っちゃダメにゃ花陽ちぃぃん!!!」ぎゅっ
真姫「動いて!動いて無線機ッ!!」ガコッ
ピーガーッ!
真姫「お願い動いて!メーデー、メーデー、メーデー!こちら西木野真姫、メーデー!」
花陽「お米、食べっ、たかっ、た、な・・・」ガクガク
凛「まだ諦めちゃダメにゃ花陽ちん!嫌にゃ!凛をおいて行っちゃ嫌にゃあああああ!!!」ぎゅぅ
真姫「メーデー!お願い誰か返事して!現在丘の上に廃墟のある孤島で遭難、要救急患者1名、メーデー!!」ぽろぽろ
花陽「二人とも、ありがと・・・二人に会えて、良かっ、た、よ・・・」
かくっ
凛「花陽ちん・・・?」
花陽「 」
凛「花陽ちぃいいいいいいいいいいいん!!!」うわぁーん
真姫「花陽ぉーーーーっ!!」ゔぇぇぇ
凛「うわぁーん!花陽ちんが、花陽ちんがぁ!」ぽろぽろ
凛「無人島でお米が食べられなくて、飢え死にしちゃったにゃぁあああああ!!!」わーん
真姫「花陽ぉおおおおおお!!!」ぶわっ
小泉花陽、孤島にて散る!!
・
・
・
凛「天国の花陽ちんへ。お元気ですか?」
凛「早いもので、あれから200年の月日がたちました」
凛「この200年、いろいろなことがありました」
凛「2度の世界大戦、いくたびの飢饉と水不足、暴動、難民、そしてもちろん、ラブライブも」
凛「今では凛もサイボーグ、Rin-GB試作型にゃ」
凛「花陽ちんにあんな事があってから、凛たちはたくさんたくさん頑張ったにゃー」
凛「二度とお米が食べられなくて、飢え死にする人が現れないように!」
凛「まずは見て欲しいにゃ!」
凛「ここはかつて花陽ちんと私たちが遭難した無人島海域一帯で」
凛「今では一つの大きな人工島、カヨチン島にゃ!」
凛「凛、あれからたくさんがんばって、あの無人島を少しずつ開墾して田んぼにしようと思って」
凛「少しずつ耕しては、失敗して、失敗して、ゲリラに襲われたり、戦争で全部焼けたり」
凛「何度も何度も諦めかけたけど」
凛「今では周辺すべてを陸地にして、見える範囲、いーっぱいを田んぼに開拓したんだよ?」
凛「花陽ちんに喜んで欲しかったにゃ!」
凛「今ではこのカヨチン島は四国くらいの大きさで、約874万人の難民たちを持つ一つの国家になっちゃった」
凛「それでも、この田んぼのおかげで食料と水の自給率100パーセント!」
凛「花陽ちんの名前を冠した、地上の最後の楽園にゃ」
凛「この国で、今はもうお米が食べられなくて飢え死にする人は一人もいなくなった」
凛「花陽ちんのお米への想い、無駄にはしんかったよ!」
凛「みんな花陽ちんのおかげにゃ!」
凛「今年になって、ようやく満足いくお米が作れたよ」
凛「天国の花陽ちんにも食べてもらいたくて、たくさん炊いちゃったにゃー」
凛「花陽ちんにいっぱい食べて欲しくて凛、がんばったにゃ!」
凛「花陽ちんに、いっぱいいっぱい褒めて欲しかったにゃー!!」
凛「でも、でも本当は、花陽ちんのこと、あの時助けたかったよ・・・」
凛「天国じゃなくて、凛の隣でこのお米を食べて・・・凛のこと、褒めて欲しいにゃー」
凛「凛、また花陽ちんを助けられないのはつらいから」
凛「凛、もっともーっとたくさんお米作るにゃー!」
凛「今日も、今日も・・・」
凛「今日もお米が美味いにゃー!!」
おしまい
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