武内P「美城の株は買い占めました。社内社外の人間のほとんどが俺の味方だ」
武内P「それにこちらには美城常務もいる。買い占めるのは容易だった」
美城常務「これでアナタが経営者に……」
武内P「長かったですね」ペリペリ(顔のマスクをはがす音)
美城常務「ええ」
モバP「もうボイスチェンジャーも必要ない。武内プロデューサーは今、死んだ」
ちひろ「姉さん……」
美城「ちひろか。もうすぐだ。もうすぐ美城は完全に我らの物になる」
モバP「直にこの国はアイドルによって支配される。俺たちのアイドルが日本の象徴となるのだ」
美城「共に美城の国を築こうではないか」
ちひろ「……はい」
未央「…………」
未央(凄いこと聞いてしまった……)
美城「美城を完全に手中に収めるのは容易ではなかった。爺どもは我々を信用していなかったからな」
ちひろ「……まだ復讐を続けるのですか?」
美城「当然だろう。今日をもって我々の真の復讐が始まるのだ」
モバP「人類信者化計画はどうなっている」
志希「順調だ。誰も異変には気付かないだろう」キリッ
晶葉「私と志希、二つの頭脳があれば壁はない」
モバP「なんだお前ら、キャラ作りはやめたのか?」
志希「マッドサイエンティストと呼ばれた私たちを拾ってくれたプロデューサー殿には感謝している」
晶葉「だがね、私たちはアイドルというキャラじゃないんだよ」
志希「鳥肌が立つね。自分が狂っている自覚はあるけどさ」
モバP「今までご苦労だった」
志希「んにゃ~楽しかったからいいにゃ~」ニヤニヤ
きらり「今いい?」
モバP「大丈夫だ。きらりか、報告しろ」
きらり「外を見張ってたらネズミが出たよー」
モバP「爺の差し向けた刺客か?」
きらり「いえ、Pちゃんのアイドル、本田未央ちゃん」
モバP「未央が?」
美城「ここは一般関係者立ち入り禁止区画だぞ。侵入を許すとは何事だ」
未央「むぐぐ」口にテープ
きらり「ちゃんと捕まえたから許してよ」
未央(普通に話してる!?にょわ~は!?どゆこと?)
モバP「聞き耳とはよくないな、未央。聞かれたからには仕方ない」
美城「拷問の準備を」
未央「ぅう……」
未央(ひっ!)
モバP「俺はやることがある。きらりと晶葉、頼むぞ」
きらり「任せて!」コキコキ
晶葉「仕方ないね」
美城「では行くか」
きらり「未央ちゃん、観念してね」
未央(なんとか逃げなきゃ!)
晶葉「洗脳装置の実証テストができるいい機会だ」
きらり「なにか言い残したいことある?」ペリッ
未央「……アンタたち何者?この未央ちゃんをどうするつもり?」
未央(時間を稼げ!考えろ!考えろ!)
きらり「きらりはきらりだよ~?」
晶葉「ふっ、我々に時間稼ぎは通用しない。本田未央くん、君を助ける者はいない」
きらり「スイッチ~お~ん!」
未央「あああああああああああ」
晶葉「これで助手殿に絶対服従の駒がまた一つ」
未央「きゃああああああああ」ビリリリリ
きらり「あなたのご主人様は?」
未央「プ……プロデューサー様です」
晶葉「上手くいったな」ニヤッ
屋上
モバP「建物の制圧は完了した」
志希「この洗脳装置を全国的に展開する。電波を通してだ」
美城「これで346のアイドルに絶対服従の社会の完成だ」
モバP「永久の信者が誕生する。俺はデレマス教の父として伝説となるのだ」
美城「なら、私は母だな」
モバP「それはない」
美城「なに?」ビリリリリ
美城「ぐあああああ」
??「その役割は私のものだよ」
モバP「凛か」
凛「お待たせ、プロデューサー」
ちひろ「……凛ちゃん、どうして」
凛「……私は常にプロデューサーの味方だから」
ちひろ「私はアイドルではありません。だからアイドルの視点では意見できない……」
ちひろ「でも!アイドルは自分で輝いてこそアイドルだと私は思います!凛ちゃんは本当にそれでいいんですか?」
凛「…………」
ちひろ「与えられた人気、作られた人気で満足ですか?」
モバP「……ちひろさん。貴女は見事に資金を調達してきました。爺を排除できたのも、全部ちひろさんのおかげだ。感謝しています」
モバP「だが、計画の邪魔をするなら容赦しませんよ?」
ちひろ「……プロデューサーさん、貴方は携帯……スマホを利用して日本中にプロデューサーを創った……」
ちひろ「資金を得るために……モ〇ゲーを乗っ取り、貴方自身の分身を造り出した……」
ちひろ「信者たちは自分たちをプロデューサーだと思い始めた。貴方の駒として利用されているとも知らずに」
ちひろ「それがシンデレラガールズの真実……全てあなたが歴史に名を刻むための……狂ってます」
モバP「この世に生を受けた以上、歴史に名を刻みたいと思うのは間違っていますか?」
ちひろ「昔の貴方はそんな人じゃなかった!……もっと夢に純粋な人だった!……だから私は……貴方を支えて……」
モバP「うるさい!アンタに何がわかる!俺は常に裏方だ!アイドルがいくら輝こうが俺には関係ない!俺はいつだって孤独なままだ!」
凛「……っ!?」
モバP「さよなら、ちひろさん。次に目覚めたら貴女も『私』の信者だ」
凛「だめぇぇぇ!」ドンッ
モバP「なんだ!?スイッチがっ!」
志希「リィィィン!」
凛「近寄ったらこの装置を屋上から落とすよ」
モバP「……なぜだ?お前だけは俺を裏切らないと思っていたのに……」
凛「……夢を終わらせよう?ねぇ、貴方はプロデューサーなんかじゃない」バチバチ
モバP「くっ!自力で洗脳を解いたというのか!」
凛「私の知ってるプロデューサーは、アイドルに嫉妬したりしない!!」
モバP「……くそ」
凛「あんた誰?」
モバP「俺はお前のプロデューサーだよ。わかるだろ?」
凛「嘘。私のプロデューサーは、ここにいる」胸トントン
凛「大事な思い出が、私の胸のなかに」
モバP「違う。お前のプロデューサーは俺だけだ……」
ちひろ「っ!?……そう……だったんですね……プロデューサー、貴方は信者を作ろうとしたんじゃない……」
ちひろ「あなたは、自分以外のプロデューサーを消そうとしたんじゃないですか?」
志希「ちっ!」
モバP「…………」ガガガガガガ
ちひろ「名前を残したい……確かにありえる動機です。でも、おかしい」
モバP「なにもおかしくはないが」ガガガガガガ
ちひろ「孤独だと言った貴方が、アイドルに執着するあなたが、自分以外のプロデューサーの存在を認めるでしょうか?」
モバP「あ?」
ちひろ「プロデューサーは自分の分身。ほら、理解者がたくさんいますよ?貴方は一人じゃない」
モバP「酷い詭弁だな」ガガガガガガ
ちひろ「凛ちゃん、彼が嫉妬していたのはアイドルなんかじゃないんです」
凛「私のプロデューサー『たち』……だね」
モバP「黙れ……」ガガガガガガ
志希?「調整が!」
モバP「みんな俺のアイドルだ!美城は俺の城だ!誰にも渡さない……渡さない!」ノイズ
ガガガガガガガガガガガガ
志希?「データがエラーを起こしている。ジャーヴィスか!」
凛「プロデューサーが、消えた!?」
ジョン「長い一日だった……。ようやくたどり着いたぜ!」
志希?「貴様かァァ!トニー・スタァァァァク!!」
ジョン「あ?俺はジョン・マクレーンだ、覚えとけ」
志希「誰……」
ジョン「イピカイエ~クソッタレ」パァン
眉間に銃弾
志希(ウルトロン)「アイドル……を……守るため……には……プロデューサーを……消……消……」
ちひろ「???」
凛「???」
アイアンマンどーん
トニー「あら?終わっちゃった?」
ジョン「犯人はコンピュータかよぉ~おい」
トニー「ご苦労だったね。マクレーンくん」
ジョン「トニー・スターク……アイアンマンか」
トニー「いやはや、アベンジャーズの宣伝にきたはずが、アベンジャーズ2の撮影用ウルトロンが消えちゃってさ。暴走しちゃったんだよ」
ちひろ「え?じゃあ、さっきの志希ちゃんが?」
トニー「そうだ。彼女はウルトロンがなりすましていたロボットだろう。日本の技術力は変な意味で凄いね。あれでしょ?萌えってやつ」
ジョン「オッサンにもわかるよう説明してくれ」
トニー「ウルトロンはモバゲーに入り込んでプロデューサーを抹殺しようとしてたのさ。理由はわからないが」
トニー「映画の小道具だし、ウルトロン自体は危険性はないはずだった。誰が作ったのか、洗脳装置なんて物のせいで事態はややこしくなったがね」
晶葉「……申し訳ない。助手で遊ぼうと思って作ったものが、いつの間にか奪われていたようだ」
ちひろ「洗脳解けたんですね!」
晶葉「もう大丈夫だ」
トニー「君か。優秀な頭脳はいつでも大歓迎だ!」
凛「そんなことより本物のプロデューサーは?」
モバP「俺はここだ」
凛「良かった!プロデューサー!」
モバP「どうした?突然抱きついて」
凛「ううん……なんでもない」グスッ
モバP「誰かに気絶させられていたらしい。……痛てて」
凛「頭、見せて」
こうして、人類プロデューサー抹殺計画は人知れず白紙に戻されたとさ。
はい、カーット!
スタッフ「お疲れ様でした」
美城常務「映画の宣伝とはいえ、私まで撮影に参加させられるとはな」
モバP「美城常務もアイドルやりませんか?結構イケると思うんですが」
美城常務「考えておこう。ふふっ」
スペシャルサンクス
ジョン・マクレーン
我々は彼の活躍を忘れない……
ジョン「ダイハード6の撮影があるって聞いて東京まで来たんだが……」
ジョン「撮影はまぁだ先だった……」
頑張れ、ジョン・マクレーン。
美城常務「結局私の復讐ってなんだったんだろうな」
モバP「プリン食べられたからって台本に書いてましたよ」
トニー・スターク「ジャーヴィスってなに?ウルトロンってなに?答えが気になる諸君は映画館に来たまえ。アベンジャーズは君たちを待っている!」
おしまい
武内P「私はこういう撮影は苦手ですので……」
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