安価とコンマで異能戦争 (36)

その日も、いつもと同じ「今日」という日のはずだった。
いつもと同じ道を、いつもと同じように辿り、いつもと同じ一日を過ごすはずだった。
だがふと気付くと、見慣れたはずの周囲の景色は一変していた。
ネガポジ反転されたかのように色彩が狂い、街路樹も建物も、ガラス細工のような半透明な質感に変じている。
何より、自分以外に誰の姿もない。
静寂で満たされた無人の街で、あなたは戸惑い、一人立ちすくむ。
と、そこに、

「――ようこそ、神域へ。次代の神候補様」

響いたのは、どことなく無機質な女の声だ。
振り返ると、そこに居たのは>>↓1

1.巫女服の少女
2.ビジネススーツの女
3.スチュワーデス風の女性
4.どこかの民族衣装をまとった老婆
5.その他自由安価


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そこに居たのは巫女服の少女だった。
さっき周りを見回した時には居なかったはずだが一体どこから……いや、それよりも彼女は何者なのだろうか。
こちらを見つめる瞳はひどく澄んだ光を放ち、美しさや可憐さよりは、どこか作り物めいた不自然さにそこはかとない不安感を覚えさせる。
ともあれ、まずは彼女自身やこの状況についての疑問を口にしようとしたあなただったが、少女が小さな手のひらをこちらに向けて静かに制止した。

「申し訳ありません。わたしは有資格者をここへ招き入れただけで、あなた自身については詳しく知らないのです。まずはお名前を窺っても宜しいでしょうか」

出鼻をくじかれた。ペースを向こうに握られている感じがするが、そもそもこんなわけのわからない状況で主導権も何もあったものではない。
とりあえず求められた通り名乗るとしよう――

>>↓1
あなた(主人公)の名前
「男」等でも普通にキャラ名でも可

端的に名乗ると、巫女服の少女は小さく頷いた。

「では改めて、ようこそ神域へ、加持駆様。まず、何からご説明いたしましょうか」

何を聞こうか>>↓1
1.この場所について
2.少女について
3.「次代の神候補」について
4.その他自由安価

「わたしは神使。この場、そしてこの戦いの案内人を任ぜられたものです。固有の名を持ちませんのでお好きにお呼び下さい」

そう言って、神使の少女はぺこりと一礼する。
わけのわからない状況と人形めいた雰囲気にやや気おされていたが、だんだん慣れてくると背伸びしている子供みたいで可愛く見えてきた。
かもしれない。
さて……>>↓1

1.彼女に適当な呼び名を付ける
2.この場所について聞く
3.「次代の神候補」について聞く
4.「戦い」とは?
5.その他自由安価

とりあえず、会話する上で支障が出るから仮の呼び名を付けよう。

「いいかな」
「お好きにお呼び下さい」
「じゃあずばり君の名前は――>>↓1!」

「伊勢・鞘子。うん、じゃあよろしく鞘子」
「何か元ネタがおありですか?」
「いや何となく頭に浮かんだだけなんだけど。気に入らなかった?」
「いえ、わたしにそういった感情は与えられておりませんので。……ちなみにこの容姿や服装についても、招き入れた有資格者と円滑なコミュニケーションを取る為に、その心象風景から適当な人物像を抽出し再現したものであり、端的に申しますとあなたの嗜好の反映です」
「えっマジで?」
「冗談です」
「えっ」
「次のご質問をどうぞ」

翻弄されている気がする……

さて何を聞くべきか>>↓1
1.この場所について聞く
2.「次代の神候補」について聞く
3.「戦い」とは?
4.その他自由安価

「その……さっき言っていた、『次代の神候補』っていうのは……どういう意味?」
「言葉の通りです」

小さく頷くと、少女、改め鞘子は、両腕を軽く広げて色彩と質感の狂った周囲の風景を示しながら、

「この街、正確にはこの街を中心とした周辺一帯を治める土地神が間もなく寿命を迎えようとしておられます。土地を守護する神が居なくなれば、土地神によって退けられていた様々な厄災が流れ込み、その土地は荒れ果てる事になります。故に、先代が倒れる前に次代の神を立てる必要がある」
「待って、その候補が俺だと?」
「その通りです」
「今までにちらちら聞こえてきた単語からするとすごく不穏な予感がするんだけど」
「おおむねその予想通りで間違いないかと」

「一言で言えばこういう事です。――失われつつある神の力を分割してこの地に住まう有資格者に授け、有資格者同士の戦いによって次代の神となる者を決定します」
「あー、お約束の展開来たな。で何故俺が?」
「この神域に踏み入る事が出来るのは、神の力の器足りえる方だけです」
「だから俺も神候補だと」
「はい」
「どうしたもんか……」

>>↓1
1.待てよ、という事は俺にも何か超能力みたいなものが使えるようになるのか
2.そもそも何で戦いで決めようとするんだ
3.勝ち残って神になったとして何か得する事はあるのか
4.その他自由安価



「正直付いていけない。そういうのは他所でやっててくれ」
「……不参加の立場を取る、という事でしょうか? 一応、この戦いへの参加自体は自由意思に委ねられてはおりますが……」
「だったらパスだ。ゲーセンに行きたいから元の世界に戻してくれ」
「かしこまりました。加持様の意思を尊重いたします。それでも有資格者である以上、他の神候補から攻撃を受ける可能性はありますが、ご案内はここまでとして現世への帰路を」
「ちょっと待って」

ストップ、と手のひらを突き出して、何か超常的な力を使う気配を見せた鞘子を制止する。

「こっちが戦わないと言ってても一方的に襲われるのか!?」
「他の神候補様の判断や状況の趨勢にもよるので断定はできませんが、可能性はあります」
「何が自由意思の尊重だ実質強制参加じゃねえか!」

だとしたら……>>↓1
1.戦う手段について聞いておこう
2.戦いで神を決めるというシステムについて聞いておこう
3.戦う理由やメリットについて聞いておこう
4.それでも絶対に戦わない。このまま帰る
5.その他自由安価

「そもそも何で戦いで神を決める必要があるんだ?」
「既にお伝えした通り、この戦いに際して、滅びつつある現行神の力の断片をこの地に住まう有資格者――すなわち次代の神候補様方にお渡ししております」
「それで?」
「これらの神の力は、このままでは神と共に滅びゆくだけのものですが……それらが強き望みを持つ人の身に宿れば、その魂によって育まれ、より強き力へと磨かれてゆきます」
「で、神候補同士の戦いによって、それを奪い合う、と?」
「その通りです。喪われゆくばかりとなった力を増幅し、再び一つに束ねる事で、土地神に相応の力へと蘇らせるわけですね。戦いによって奪い合うのは、単純に『増幅された力を誰に預けるのか』の決定方法として基準が明確である事と、神候補の心や魂を刺激し、宿した力を増幅するのに適しているという理由からです」

ふむ、とここまで聞いた内容を反芻する駆。

「不参加希望者が襲われるかどうかは状況次第、というのは」
「戦いを望まれない神候補以外の方々の間で十分に力が増幅され、土地神と成るに十分な力が集まれば、その力を集めた方を次代の土地神としてその時点で戦いは終わります。しかし、集まった力が神に至るには不十分である場合や、単純に好戦的な神候補の方が他に居られた場合は、戦わない事を望んでいる神候補の方でも襲われる可能性があります」
「その可能性って高いか低いかでというとどこら辺?」
「過去の代替わりの戦いから推測される値としてはここら辺です」

駆が右手と左手を上下に置きながらぼやくと、鞘子は律儀にその手の間に自分の手のひらを入れて多寡を示した。
ちなみに、白くて細い掌が差し込まれたのは、駆の両手の中間地点よりやや上寄りである。
襲われずに戦いをやり過ごすには相応の幸運が必要になりそうだ。

さてどうしたものか…………>>↓1
1.戦う手段について聞いておこう
2.戦う理由や目的、メリットについて聞いておこう
3.やっぱり絶対に戦わない。このまま帰る
4.その他自由安価


「神の力の断片が配られてる、っていう話だったけど、それが戦うための手段になる、と考えていいのか?」
「結構です。断片とはいえ神の力……いわゆる超能力や、漫画やアニメなどのサブカルチャー作品における異能のような、超常の力となって顕れます」
「神の使いの割に人間界の情報に明るいね?」
「コミュニケーションを円滑にする為、有資格者様の心象から掬い上げた単語を利用させていただいております」
「それ言ってれば全部俺に責任押し付けられると思ってないか?」
「滅相もございません」
「まあいいや……ちなみにそれって既に俺の中にも」
「はい。この神域に踏み込まれた際、既にお受け取りになっているはずかと」
「俺が異能者デビューとは……実感ないんだけど本当に超能力なんて宿ってるのか?」
「確認致しましょうか」
「頼む」
「では失礼して」

駆が頼むと、鞘子は軽く一礼して距離を詰める。何ら気負いのない踏み込みで、駆とは頭一つ分違う小柄な体が、吐息さえかかりそうな位置に立つ。
ぬ、と一瞬ひるみつつもその場で耐えた駆の左胸に、鞘子は小さな手のひらをそっと当ててしばし瞑目し、

「……確認致しました」
「……お、おう」
「加持駆様に宿った神の力の断片、その性質は――」

>>↓1
1.『溶頭駆肉』
2.『戦変蛮化』
3.『七転八起』
4.『夢影夢綜』
5.その他、内容自由指定

「――あなたの力は『溶頭駆肉』」
「……『溶頭駆肉』?」
「端的に申しますと脳内物質の任意操作です。思考速度の加速、痛覚の抑制、肉体的なリミッターの解除等、様々な応用がきく性質のようですね」
「便利だな」
「あとは、脳内麻薬ドバドバでいつでも手軽に何の根拠もない多幸感を味わえるなど」
「それはいらない」
「ただ、『溶頭駆肉』の字面が示す通り、過度な酷使は脳を焼き、肉体を自損させる危険性も孕んでいます。扱いにはくれぐれもご注意を」
「覚えておく」

駆が頷くと、鞘子は一歩引いて小さく一礼し、再びこちらの質問を待つ体勢に入っている。

さて、あとは……>>↓1
1.戦う理由や目的、メリットについて聞いておこう
2.実際に他の能力者と戦う時、どうすればいいのかを聞いておこう
3.ここまで聞ければ十分だ。あくまで戦う気はないのでこのまま帰る
4.その他自由安価

「ありがとう、ここまで聞けたら十分だ。元の世界? っていう表現でいいのか? とにかく、元居た場所に戻してくれ」
「よろしいのですか?」
「ああ、運が良ければ襲われずに済むだろうし、もし襲われても、俺に宿った力が身体強化能力なら逃げる事だってできるだろう。あくまで、俺は戦う気はないから」
「――よろしいのですか?」
「? 何が?」
「この神域に踏み入る事が出来たという事は――有資格者であるという事は、あなたにも、何か、神の力に縋ってでも叶えたい望みがあるのでは?」
「――!」

>>↓1
1.別にそんなものは無いけど
2.戦えば願いが叶うっていうのか?
3.それは自力で何とかする
4.鞘子には関係のない話だ
5.その他自由安価


「……が欲しい、っていう望みでも、叶うのか」
「? 申し訳ありません、最初の部分が聞き取れませんでした」
「…………」

一度深呼吸。

「――君が欲しいと言ったらそれも叶うのか?」
「……、」

そう言うと、鞘子は口を開きかけた状態で一瞬止まり、

「――可能です。そもそもわたしは神使、この地を治める土地神の使いとして存在するもの。加持様が次代の土地神と成られた場合は、加持様にお仕えすることになります」

あくまでも淡々と、先ほどまでと変わらない口調でそう答えた。

「そうか。そうかぁー……」
「……わたしがこの姿になったのは加持様の心象風景からイメージを掬い上げた結果ですが、もしや本当にそういった嗜好が」
「シャラーップ」
「……」

黙れと言ったからか、かしこまりました、という意思を無言の一礼で示す鞘子。律儀である。
さて、これでひとつの回答が得られたわけだが……>>↓1

1.戦う
2.戦わない
3.その他自由安価(襲われた時だけ返り討ちにする、等)

「じゃあ、戦うよ。……ん? ああ、いいんだよ。それともう喋っていいから」

黙れと言ったのをまだ有効ととらえていたのか、小首を傾げて問うてくる鞘子に軽く手を振って命令解除の意を伝える。
一礼してそれを受けた鞘子は改めて口を開き、

「本当によろしいのですね?」
「ああ。乗り掛かった舟だ、やれるところまでやってやる」
「かしこまりました」
「ところで、実際に他の神様候補と出会ったらどうすればいいんだ? というか、相手が神様候補かどうかって見て分かるものなのか?」
「その際はわたしをお呼び下さい。神使は戦いの場を整える事も役目として与えられております。次代の神候補様方のご希望があれば、申し付けられた神候補様ご本人、および周辺数十メートル圏内に居られる他の神候補様をこの神域へといつでもお招きする事が可能です」
「そういえば結局この場所って何なんだ?」
「物質界と、精神や魂といった無形の概念の世界の狭間にある空間……とでも申しましょうか。現実世界の情景を写し出してはいますが、ここでの行動は現実世界側へは影響しません。また、この世界に踏み込めるのは神候補様のみですので――」
「なるほど、他の人を巻き込まず、戦う相手だけを戦う舞台へ引っ張り込める、と」
「左様です」
「ありがとう、よくわかった。他に聞いておくべきことはないか?」
「加持様からのご質問がなければ」
「ふむ」

他に何か聞いておくことはあるだろうか?>>↓1

「そういえば、神使っていうのは鞘子だけなのか? それとも他の神候補にも一人ずつ付いてるのか?」
「厳密にお答えするなら、『どちらも真である』という答になります」
「?」
「分霊という概念をご存知でしょうか? 神的存在は、その性質や能力を失うことなく分割が可能です。『神使』という存在も、本来人数という概念を持たないものです。しかし……」

と、そこで鞘子は自分の胸に手を当て、容姿や服装を指し示し、

「『わたし』は加持様の心象からこの姿を形作り、『伊勢鞘子』という名前を頂いた事で、神使でありながらかつてのそれとはやや異なる存在へと変じています。同様に、他の神候補様の案内に向かった神使達も、その神候補様から形と、もしかしたら名前を頂いた事で、かつての『わたし達』とは異なる存在へと変じているものと推測されます」
「わかったような分からないような」
「コミュニケーションを円滑にする為加持様の心象から単語を抽出してご説明しますと、全員同じ花ですがそれぞれが特別なオンリーワンです」
「もう鞘子は鞘子だって事が分かってればそれでいいや」
「では、他に何かご質問はございますか」

>>↓1

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