男騎士「くっ…」(13)

オーク「…」

男騎士「くっ…」

オーク「…」

男騎士「くっ…」

オーク「…男やんけ!」

男騎士「オークに捕まるなど騎士の恥…さっさと殺すのである!」

オーク「いや、後処理めんどいし。法を犯してまでやるメリット皆無」

男騎士「なっ…オークは騎士を捕らえ、犯して殺すのではないのか?」

オーク「いつの話だよ…法が整った今の時代、犯すのも殺すのもリスキーなんだって」

男騎士「そんな…ならば私の期待は…犯しに犯され、ボロ雑巾のように殺されるのだろうという、私の期待はどうなる!?」

オーク「歪みすぎだから。性癖歪みすぎだから」

男騎士「くっ…長年の夢が…」

オーク「え、何なのこの人…ホモなの」

オーク「そうでもあるがぁ!」

オーク「あ」

オーク(セリフ間違えた。今のセリフ、男騎士のだった…)

男騎士(ど、どういう事だ…私のセリフをオークが言ったぞ…?)

オーク「…」

男騎士「…」

パチン!
ハイ、カーット!

オーク「す、すいません…」

テクテク

監督「困るなぁ…君、新人オークとはいえ、今日で何回目のNGなの?」

オーク「すいません…」

男騎士「ま、監督さん。彼、ちょっと緊張してるみたいですし、休憩を挟んでは…」

監督「んー、男騎士さんがそういうなら…おーいみんな、一旦休憩だ」

・ ・ ・ ・ ・

オーク「…はぁ」

男騎士「リラックス、リラックスよ。コーヒーでもどうぞ」

スイッ

オーク「男騎士さん…ありがとうございます…それと、すいません…俺のせいで」

男騎士「まぁあれだけミスがあると、新人だから、では済まないかしらねぇ…」

オーク「本当にすいません…俺…俺…」

ジワッ

男騎士「あー、泣かないの男の子が、もう」

オーク「でも゛…おれ゛…」

グズッ グズッ

オーク「男騎士さんに…皆に…迷惑かけて…」

男騎士「…あたしもね、新人の頃は散々だったわ」

オーク「え、男騎士さんが…?」

男騎士「そりゃもう、忘れる、どもる、噛む…何回監督さんに殴られたか分からないわね…」

オーク「あ、あの監督さんが…男騎士さんを殴る…?」

男騎士「えぇ。それだけ期待してくれていたの。監督さんには、本当に感謝しているの。あの人はほら、真剣でしょ?真剣だからこそ、新人の君にもあれだけ言うのよ…期待の裏返しね」

男騎士「失敗が何度も許される、なんて甘い世界じゃないわ…でも、それでも、あたしは自信を持って言うわ…失敗しなさい。そして、それを確実に糧にしなさい」

オーク「男騎士さん…はいっ!」

男騎士「いい顔ね、好きよ、そういう子」

ザワザワ

監督「そろそろ再開すっぞー」

男騎士「さぁ行きましょう、最高の、全力の演技で!」

オーク「はいっ!」

・ ・ ・ ・ ・

こうして、映像作品

『イマドキオークに捕らえた男騎士は是が非でも犯されたい』

が誕生したのであった…

【おしまい】

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