オーク「くっ、殺せ!」女学者「だめですよお」 (123)

女学者「オークさんは大事な実験体なんです、殺すなんてとんでもない」

オーク「実験体だと!?」

女学者「完品の壮年期の雄のオーク、買い取りにも値が張りましたからねえ」

オーク「あくまで俺をモノ扱いするつもりか!」

女学者「じゃあ早速」スッ

オーク「な、なんだそれは!?」

女学者「電極棒ですよ」

女学者「これを肛門に挿入して電気刺激で精液を採取します」

オーク「ひいっ!!」

オーク「な、なんでそんなことをするんだ!!」

女学者「他種族と繁殖可能なオークの生殖能力」

女学者「それを応用できれば人工授精による家畜の生産性の増強や」

女学者「医学に転用できれば不妊症の治療なんかに役立ちますからね」

オーク「人間の理屈など知ったことか!」

オーク「捕虜としての扱いはどうした!?」

女学者「残念ながら人間側は魔獣に人権を認めていませんよ?」

女学者「今の貴方も、法律上は私が所有する家畜という扱いになります」

女学者「だから何をしても私の自由なんですよねえ」

オーク「わ、分かった!分かったから話し合おう!」

女学者「んー、話し合いなんて非効率なことをする時間が惜しいですね」

女学者「ちょっと我慢してくれれば直ぐに終わりますから」

オーク「やめろ……やめてくれ、頼むから」

女学者「えい!」ズプッ

オーク「あ……」

女学者「じゃあスイッチ入れますよ」ヴヴヴヴヴヴ

オーク「うあ……そんな……くっ」どぴゅ

女学者「うわあ、すごい量ですね」

女学者「試験管から溢れちゃいましたよ」

オーク「……」ガクリ

女学者「今日もお願いしますねえ」

オーク「な、なあ」

オーク「精液が欲しいのなら自分で出してやるから、もうこれは止めてくれないか?」

オーク「なんというか……雄として大事なものを喪失していく気がする」

女学者「あー……でもすみません」

女学者「手とかから雑菌が混入しないようにするにはこれが一番なので」

オーク「そ……そうか」

女学者「私と同じくただの作業と割り切ってください」ヴヴヴヴヴ

オーク「……逃れられないのならば、そう努力するしか無いのだろうな」

女学者「えい!」ズプッ

オーク「くあっ……っ!」どぴゅ

マウス「キ……キキキッ!」

ぱあん!!

女学者「ああ、やっぱり小型哺乳類ではもう限界ですね」

女学者「受精と着床のプロセスの解明には役に立ちましたが」

女学者「発生段階になると胎児のサイズが母体を上回って破裂しちゃいます」

女学者「というわけで、もう1回お願いしますね」

オーク「も……もう今日だけで3回目だぞ!?」

オーク「これ以上は無理だ」

女学者「調べたんですけど、オークさんの精子の含有量は3回目までほぼ落ちません」

女学者「だから大丈夫ですよお」

オーク「いやそういうことじゃなくてな?」

オーク「くっ……」どぴゅ

女学者「今日もお疲れ様です、いっぱい採れましたよお」ヴヴヴヴヴ

オーク「……なあ」

オーク「こういう事をして、お前は何も感じないのか?」

女学者「相手は魔獣で、オークさんは研究サンプルですから」

女学者「それに、オークさんを連れてくる前からこんなことは日常茶飯事でしたし」

オーク「そうか」

オーク「……なあ」

女学者「なんですか?」

オーク「もう逃げ出したりはしないから鎖を解いてくれないか?」

女学者「いいですよお」

オーク「本当か!?」

女学者「でも代わりにこの首輪をつけてもらいますねえ」

オーク「なんだこれは」

女学者「この研究所の敷地から逃げ出そうとすると爆発します」

女学者「あと許可なく私に触れても爆発します」

女学者「ついでに私の裁量でいつでも爆破できます」

オーク「……」

オーク「まあいい、せめて体を動かせるようにしてくれればそれで」

女学者「わかりましたよお」カチャカチャ

オーク「ふう、これでやっと人心地ついた」

女学者「じゃあこのやり取りで鮮度が落ちちゃったんで採取し直しますねえ」ヴヴヴヴヴ

オーク「え?」

女学者「5匹産まれた仔犬の内、犬が2匹でオークが3匹ですか……」

女学者「まだ母体の遺伝子発現を優位に調整する因子の解明が不十分みたいですねえ」

オーク「なあ……その子供はやっぱり」

女学者「研究の為に解剖して標本にしますよ?」

オーク「そうか……」

女学者「色々弄って人工授精させたとはいえ、いちおう貴方の子供ですからね」

女学者「心中お察しします」

オーク「……もういい、俺も諦めた」

オーク「少し体を動かしてくる」

女学者「敷地の外に出ないように気を付けてくださいよお?」

オーク「分かっている」

オーク「ふんっ!」ブンッブンッ

オーク「ふう……やはり鍛錬はいい」

ガサゴソ

オーク「ん?」

村人「ひいっ、ま、魔獣!?」ダッ

オーク「……なんだったのだ今のは」

女学者「オークさーん」

オーク「ああ、女学者」

オーク「先ほど人間に見つかってしまったのだが……」

女学者「大丈夫ですよお」

女学者「私がこういうことをしてるのは村では有名な話ですから」

オーク「そうか……ならいいが」

オーク(なんだろう、胸騒ぎがする)

女学者「ではオークさん、今日も……」

村人1「おい!女学者!!出てこい!!」ドンドン

オーク「……剣呑だな」

女学者「すみませんオークさん、ちょっと待ってて下さいね」

女学者「はいはーい」ガチャ

村人1「この魔女が!今度はどんな魔獣を引き連れてきた!!」

女学者「ただの一般的なオークですよお」

村人2「村人3の話では檻にも入れてないそうだが?」

村人3「へい、あっしは確かに見ましたぜ」

村人3「自由の身で剣の鍛錬に励む魔獣の姿を……」

女学者「大丈夫です、逃げ出せば直ぐに死ぬようになっていますから」

村人1「信用できるか!!」ヒュン

女学者「うあっ!」ガツン

オーク「おい女学者!?」

女学者「お、オークさんには関係ないです……」

オーク「血が出てるじゃないか!!」

オーク「お前ら、コイツと同じ人間なんじゃないのか!?」

村人1「誰がこの魔女と同じだ!!」

村人2「魔獣とまぐわった女など見るだけで汚らわしい!!」

オーク「なっ……」

オーク「違う、コイツは研究に使っているだけで俺とはそういう関係じゃ」

村人1「子供の時からすでにそいつは魔獣に犯されていたんだよ!!」

オーク「!?」

女学者「いいんですオークさん」

女学者「この方たちの言うことは全て真実ですから」

オーク「だが……」

女学者「みなさん、今日のところはお引き取り願いますか?」

村人2「何がお引き取り願いますだ!!」

村人3「出ていけ!汚れた魔性の女よ!!」

村人1「村の平和を侵す存在が!!」

オーク「貴様らあああ!!」

村人達『ひいっ!!』

女学者「止めてくださいオークさん」

オーク「何を言っているんだお前は!」

オーク「怪我を負わされたのはお前の方なんだぞ!?」

女学者「村人たちに危害を加えれば、私は貴方を殺さなければなりません」

オーク「くっ……!」

この前のjkと女騎士の人?

女学者「それにほら、もうみなさん逃げ出してしまいましたし……」

オーク「悪かったな、俺のせいで状況をややこしくしたようで」

女学者「仕方ありませんよ」

オーク「それより早く手当を」

女学者「待ってください」

女学者「私に許可なく触れても首輪が爆発すると説明しましたよね?」

オーク「うっ……」

女学者「これぐらい自分で治療できます」

女学者「今日の実験は取りやめますので、オークさんは自由にしていて下さい」

オーク「ああ、分かったよ」


>>20
違うよ、しばらく巻き込まれ規制くらってたし
これはその間に書き溜めた分

女学者「……つう」ペタペタ

オーク「……なあ」

女学者「自由にしていいと言ったと思いますが?」

オーク「らなばここに居るのもまた俺の自由だろう」

女学者「それもそうですね」

オーク「……」

女学者「……」

女学者「なんで」

女学者「なんで……私を庇ったんですか?」

オーク「それは……」

女学者「私は貴方に酷いことを沢山しました」

女学者「家畜扱いし、性を弄び、男性としての尊厳を踏みにじり、子供まで殺しました」

女学者「なのに何故、そんなに心配そうな顔をするんですか?」

女学者「なんで……私のために怒ってくれたんですか?」

オーク「……確かに、お前に恨み辛みが無いと言えば嘘になる」

オーク「だが俺は、お前がそこまで悪い人間だとはどうしても思えないのだ」

オーク「お前のやることは命を弄ぶようなことばかりだった」

オーク「だからこそ、お前の命に対する真剣さが良く見えた」

女学者「買い被りですね」

女学者「私は自分の知識欲の為に平気で生命を奪える人間ですよ?」

オーク「平気ではなかっただろ」

女学者「貴方も見ていたでしょう、笑顔で貴方の子供を解剖する私の姿を」

オーク「笑顔?」

オーク「あの薄っぺらい作り笑いがか?」

女学者「!?」

オーク「笑顔の仮面で隠しても私には分かるぞ」

オーク「お前は実験体を殺す度に後悔の念を浮かべていた」

女学者「……思い込みですよ」

女学者「ストックホルム症候群ってご存知ですか?」

女学者「強盗犯の人質などになった人間が、犯人に好意を寄せる心理現象のことなのですが」

女学者「私の見立てでは、貴方はそれと同じ状態に陥っている」

女学者「回避できない危機的状況から精神を守るために偽りの愛情を……」

オーク「えらく饒舌だな」

オーク「誤魔化しているつもりかも知れないが、声が震えているぞ」

女学者「……ッ!」

オーク「お前が講釈垂れた理由でも構わない」

オーク「少なくとも俺はお前のことを嫌ってはいない」

オーク「お前のことを心から心配できる程度には、な」

女学者「なんで……どうして?」

女学者「私みたいな人間に対して、どうして貴方はそんな言葉を重ねられるの……?」

オーク「ならばお前はなぜそこまで他者を拒絶する」

女学者「やめて!」

女学者「私は誰かに好かれる資格なんて無いの!」

女学者「特に魔物には今までいっぱい酷いことをしてきた!!」

女学者「だからダメ、そんなのはダメなの!」

オーク「……女学者ッ!」

女学者「あ……」ギュッ

女学者「そんな……私に許可なく触れれば死ぬって言ったのに……」

女学者「スイッチを切るのが間に合ってなかったら本当に死んでいたんですよ……?」

オーク「それでもよかった」

オーク「今、誰かが抱きしめてやらねばならぬとそう思った」

女学者「あ……ああ」

女学者「う、うう……ああ……うわああああ!!」ポロポロポロ

女学者「ちょっと……昔話をしてもいいかな?」

オーク「ああ、お前の気のすむまで話せばいい」

女学者「さっき村人が言ってましたよね」

女学者「魔獣と交わった汚れた女だと」

オーク「……」

女学者「私ね、8歳の頃に森の中で迷って魔獣に捕まったんです」

女学者「ワーム系の知能の無い魔獣で、他種の雌の生殖器に卵を産み付けて繁殖するタイプでした」

女学者「運よく、私の悲鳴を聞きつけて通りすがりの騎士様が助けてくれました」

女学者「もう少し遅れていれば、連れ去られて卵の養分として巣で保管されてたでしょうね」

オーク「……」

女学者「でも騎士様がくるまえに既に……ね」

女学者「騎士様が駆けつけるぐらいだから、それは大きな悲鳴を上げたんでしょうねえ」

オーク「……無理しないでいいぞ?」

女学者「大丈夫、それにこれは貴方に聞いておいて欲しいから」

オーク「分かった、続けてくれ」

女学者「直ぐにお医者様に連れて行かれて、卵は無事に摘出されました」

女学者「子宮自体を摘出するほど酷い事態にはなってなかったそうですよ」

女学者「でも……おそらくもう子供は産めないだろうって」

オーク「……」

女学者「まだ子供だったもの」

女学者「当時は『ああ、そうなのか』としか感じられなかったです」

女学者「でもそれを聞かされた時の父の表情は今でも忘れられません」

オーク「……」

女学者「それから直ぐです、魔王が復活を果たして魔族と人間の戦争が始まったのは」

女学者「もともと軍でそれなりの地位にあった父は自ら志願して最前線へ向かいました」

女学者「まるで一人娘の敵討ちだと言わんばかりにね」

女学者「そして死にました」

女学者「父の戦友の話では、決して退かずに1匹でも多くの魔獣を道連れにしようとしての最期だったらしいですよ」

オーク「……」

女学者「ごめんなさいね、貴方には不快極まりない話でしょうから」

オーク「いや構わない、俺も戦場を渡り歩いてきた身だ」

オーク「そういうこともあるだろうなとは理解できる」

女学者「ありがとう」

オーク「続けてくれ」

女学者「父の戦死に国からは莫大な補償金が渡されました」

女学者「それは私と母が生活するには十分すぎるどころじゃない大金でした」

女学者「でも、母の心はお金では癒せなかった」

女学者「娘の傷と夫の死で心労が祟り、母は倒れてしまいました」

女学者「そして、療養のためにこの村に越してきたんです」

オーク「……」

女学者「土地を買った時はいいところだと思ったんでしょうね」

女学者「でも、閉鎖的な村で新参者はあまりいい扱いを受けなかったんです」

女学者「そして、町からの噂か、私の過去がバレた」

女学者「その結果は既に見てもらった通りです」

オーク「……それで先ほどの奴らか」

女学者「魔女は悪魔と交わり力を得る、でしたっけ」

女学者「科学と魔法の両方が発達した現在でも、田舎では黒魔女は未だに恐怖の対象だったんです」

女学者「母は引っ越す前より一層酷くなっちゃいました」

女学者「そして長くは持たなかった」

女学者「私には財産とこの家だけが残されました」

オーク「……」

女学者「私だけずっと喋っててつまらない?」

オーク「言ったハズだ、お前の気のすむまで話せばいいと」

女学者「ごめんね、他人にこんなこと話すのは初めてだから」

オーク「急がなくてもいい、時間はいくらでもある」

女学者「急に放り出されて、私は何をしていいか分からなくなっちゃった」

女学者「それでやっと思ったんです」

女学者「ああ、子供を産めない私は誰かのお嫁さんにすらなれないんだって」

女学者「それからかな、勉強を始めたのは」

女学者「お金も時間も一杯あったもの」

女学者「でも分かったのは、現代医術ではどうやっても私の不妊は治療できないこと」

女学者「そして、もう一つの可能性……魔術からのアプローチ」

女学者「正確に言えば、魔獣の魔術的な生体プロセスを科学側に落とし込む方法ですね」

オーク「やっと話がつながったな」

女学者「ええ、そして私は今ここにいるんです」

女学者「今思うと、私もやっぱり動機は復讐だったのかなあ」

女学者「私の人生を滅茶苦茶にしてくれた魔獣を切り刻んで利用してやろうって」

オーク「でもそうはならなかったんだろう?」

女学者「……だって、詳しくなればなるほど思っちゃったんですもの」

女学者「あれは不幸な事故で、私達一家はただ不運なだけだったんだって」

女学者「魔獣だって生き物で、人間から見れば奇特な生態だって仕方が無いことだもの」

女学者「私を不幸にしようだなんて、あの魔獣も思っていなかった」

女学者「ただ生きてゆくためには仕方のないことだった」

オーク「……そう思えたことがお前のいいところだ」

女学者「褒めても何も出ませんよお?」

オーク「茶化すなよ」

女学者「でもね、それでも諦め切れなかったんです」

女学者「ずっと続けてきたことだったし、今更他の道を見出せませんでした」

女学者「それを自覚すると、今まで犠牲にしてきた魔獣たちの命が重く圧し掛かってきました」

女学者「中にはオークさんみたいにちゃんと会話できる知能のある相手もいましたしね」

オーク「……」

女学者「馬鹿だよね、私」

女学者「今まで奪ってきた命の責任を取りたいから、これからも殺し続けますだなんて」

女学者「とんだエゴの塊だと自分でも思いましたよ」

女学者「だから、自分は誰かと生命を育む資格なんてないと思い込んじゃいました」

女学者「最初の目的からいえば、本当に本末転倒な話ですよね」

オーク「だが……」

女学者「うん、それは間違いだって教えてもらいました」

オーク「女学者ぁ……」ギュッ

女学者「あっ……」

オーク「んっ」チュッ

女学者「んふっ」チュウウ

女学者「あ、あのオークさん……?」

オーク「もっと教えてやる、お前は何も後悔する必要などないと」

オーク「俺がそれを確かめてやる」

女学者「えーと……その」モジモジ

女学者「ごめんなさい!」

オーク「あ……」

オーク「そうだよ、な」

オーク「すまん……先走った」

女学者「いや、すごく嬉しいんです!」

女学者「オークさんの相手になるのも嫌じゃないんです!」

女学者「ただ今は待ってください」

女学者「……もうちょっとで研究が一応の形になりそうなんです」

オーク「それは」

女学者「今の研究成果だけでも、単純に妊娠だけするなら可能かも知れません」

女学者「オークさんとの子供なら人間でも魔獣でも関係ないですから」

女学者「ただし人間の不妊治療として活用するための研究はまだ開発段階なんです」

女学者「でも、それを確認するための人体実験ってやっぱりご法度なんですよ」

女学者「だから自分の体でも使わない限りは、ね」

オーク「……」

女学者「本当にごめんなさい!!」

女学者「私はオークさんの純粋な気持ちを利用することになります」

オーク「いいよ、俺もそれは分かってる」

オーク「お前の人生の目的に、俺の身も心も一緒に捧げてやってくれ」

女学者「ええっと……でも収まりつかなかったりします?」

オーク「いや……お前の気持ちを害してまですることではない」

オーク「今がその時ではないというのならいくらでも我慢しよう」

女学者「いつものアレを使えばとりあえずスッキリはできますけれど……?」

オーク「……はぁ」

オーク「そういう無粋な話をするな」

オーク「それに、どうせまた実験で搾り取られるのだろう?」

女学者「そうなりますね」

オーク「ならその時のためにせいぜい溜め込んでおくさ」

女学者「なんかすみませんね」

オーク「俺がいいと言っている、もう謝るのもよせ」

女学者「ふふふ、分かりましたよお」

女学者「おはようございます」

オーク「ああ、おはよう」

女学者「朝ご飯食べたら準備して、お昼頃からまた研究を再開します」

オーク「分かった」

女学者「午前中は自由ですから」

オーク「……その準備には肉体労働とかないか?」

オーク「俺の手伝えることがあるなら協力したいのだが」

女学者「ふふふ……じゃあ少し手伝って貰いましょうか」

女学者「でも自由時間が無くなっちゃいますよ?」

オーク「いいさ、どうせ持て余していた暇だ」

オーク「それに、自由と言うならお前の手伝いをすることだって自由だ」

女学者「ですねえ」

女学者「おかげで準備も早く終わりましたよ」

オーク「俺には良くわからんものばかりだったが、役に立ったのなら幸いだ」

女学者「えーと……次はいつものアレです」

オーク「……ついにか」

女学者「ええ」

オーク「脱ぐぞ」

女学者「はい」

オーク「……」

女学者「……」

オーク「早くしろ、何故か今までと違って気恥ずかしい」

女学者「だって……」

女学者「今までみたいに無感情にやるって無理ですよお」モジモジ

オーク「まあ……モノ扱いされるよりは嬉しいがな」

女学者「そういうつもりで見るとすごく大きいですね」

オーク「今は実験のための採取だろう」

女学者「そうでした」

女学者「では」ヴヴヴヴヴヴ

オーク「……」

女学者「あの……挿入る前から大きくなってるのですが」ヴヴヴヴヴ

オーク「うるさい」

オーク「それともこれって問題あるのか?」

女学者「いえ……」ヴヴヴヴヴ

女学者「ではいきます」ズプッ

オーク「んあっ」どぴゅ

女学者「あれ、いつもより多くないですか?」

オーク「そんなこと確認せんでいい!」

女学者「……そういえばオークさん、早いですよね」

オーク「その機械のせいだからなッ!?」

オーク「本番ではちゃんと我慢できる……と思うぞ」

女学者「そうですか」

女学者「まあその時にわかりますよね」

オーク「俺の言葉を信じろよ……」

女学者「おはようございます」

オーク「おはよう」

女学者「今日はですね……」

ドンドン!

オーク「……俺が見てこよう」

女学者「いえ、私で対応できます」

オーク「なら一緒にいこうか」

女学者「ええ」

女学者「どちらさまでしょうか?」ガチャリ

騎士「失礼する、私は王立騎士団国務特別部隊所属の騎士と申すものだ」

騎士「ここに魔王軍に与する黒魔女がいると通報を受け事実確認に参った」

オーク「あの村人ども……」

女学者「……」

オーク「どうした、女学者?」

女学者「もしかして……あの時の騎士様?」

騎士「そういう君は……まさかあの時助けた少女なのか!?」

オーク「なっ!!」

女学者「そんな偶然……」

騎士「と、とりあえず私の使命である視察と事実確認を行いたいが、よいか?」

女学者「あ、はい」

女学者「禁咒指定関係の書類がこちらで、世界倫理宣言のチェック項目はこちら」

騎士「ふむ……書面上では少なくとも問題は無いな」

騎士「それと君は?」

オーク「俺はこいつの所有物だよ」

女学者「魔物商人との取引証明書はこちらです」

オーク「ついでに言えば俺はしがない傭兵出身だ」

オーク「こいつが疑われてるような魔王軍上層部とのコネクションなんて持ち合わせとらんぞ」

騎士「……驚いた」

騎士「よくしつけられた魔獣だな」

女学者「そうですか?」

騎士「ああ、特にオークは粗野で凶暴だからな」

騎士「飼われているものでは檻の中で残飯を食い荒らし、涎を垂れ流すような個体ばかりだ」

オーク「まったく……こいつに買われたのもとんだ天運だな」

女学者「私も買い上げたのがオークさんでよかったですよお」

騎士「魔獣飼育条例には則っているな?」

オーク「逃げ出したり、人間に危害を加えればこの首輪がボンッだとさ」

女学者「首輪の品質証明書も保管してあります」

騎士「ふむ」

騎士「そして最後に黒魔女の件だが」

騎士「君は……」

女学者「まあ、騎士様が察している理由でだいたい合ってます」

騎士「すまない……私が間に合わなかったばかりに」

女学者「いえいえ、命を助けていただいただけで充分です」

女学者「とりあえず報告のための簡易魔力検査と採血ですよね?」

騎士「話が早くて助かる」

女学者「まあ、血液による魔力適性検査は私の発明ですし」

オーク「おまえサラッとすごいこと言わなかったか?」

女学者「人体と魔獣の親和性の研究の副産物ですよお」

女学者「資産も無尽蔵じゃないんでこまめに特許申請して稼がないと」

オーク「学者って大変なんだな……」

騎士「さてと、私は報告に王都に戻らねばならんが」

騎士「村人どもに私から宣言しておこうか?」

女学者「いえいえ、正式な判決の前に騎士様がそのようなことをしては駄目ですよお」

女学者「もしもの時に騎士様の汚名になりますから」

騎士「しかし、この村は……」

オーク「こいつはずっとこの村で暮らしてきたんだ」

オーク「今更急ぐこともないだろう」

騎士「そうだな」

騎士「よもや魔獣に私が諭されるとは」

オーク「魔獣だって生きている、言いたいことぐらい言うさ」

騎士「ははは、その通りだな」

騎士「ではな」

女学者「ええ、また機会があれば」

女学者「ふう……」

オーク「どうした、久々の来客で疲れたか?」

女学者「いえ、危なかったなーって」

オーク「え?」

女学者「魔獣からの直接精液採取とか異端審問ギリギリアウトですし」

オーク「そ、そうだったのか?」

女学者「だから書面上ではオークさんの睾丸に注射針を突き刺して……」

オーク「そ、それ以上の説明は必要ない!!」

オーク「それで人馴れしてれば『よく躾けられた魔獣』になるよな……」

女学者「まあ精子だけではなくて精液全体の受精システムの解明が必須でしたし」

女学者「私の研究ではそういう方法は使えなかったんですけどねえ」

オーク「ますます俺の幸運に磨きがかかるな」

女学者「さてと、心配事も一つ潰れましたし研究に勤しみましょう」

女学者「では早速」ヴヴヴヴヴ

オーク「なあ、これってイケナイことなんだよな?」

女学者「ええ、イケナイことです」

オーク「バレたらヤバいんだよな?」

女学者「ええ、ヤバいです」

オーク「それでも続ける?」

女学者「ええ」

女学者「だってオークさんとの子供……欲しいですし」

オーク「なあ、それって」

女学者「ええ、ギリギリどころか異端審問ドストライクです」

女学者「……」

オーク「……」

女学者「まあ、バレなければいいんですよバレなければ」

女学者「それとも、もう嫌になったから理由をつけて止めてもらおうと?」

オーク「そんなことはない」

オーク「言っただろう、俺の身も心もお前の研究に捧げていいと」

オーク「聞いたのは、ただ心配だったからだ」

女学者「今日みたいに上手くやってますって」

女学者「というわけでえい!」ズプッ

オーク「ふぬうっ!?」どぴゅ

女学者「いやあ、慣れって怖いですね」

オーク「恥じらいみたいなものも徐々に薄れてゆくからな……」

女学者「でもオークさんのこういう姿見られるのはちょっと嬉しいですよ私」

オーク「俺としては間抜けな姿を見られて若干気後れするんだがな」

女学者「おはようございます」

オーク「おはよう」

女学者「いただきます」

オーク「いつもながら人間の飯は美味い」

女学者「私の手作りですしね」

ドンドン!

オーク「俺が出よう」

女学者「いいですよ、ご飯冷めちゃいますし」

女学者「それにもう村人たちが危害を加えにくるようなことも無いでしょうから」

オーク「そうか」

女学者「私が出ます」

オーク「何かあったらすぐに呼べよ」

女学者「はあい」ガチャ

騎士「お久しぶりです」

女学者「騎士様!」

騎士「女学者殿も健やかそうで何よりです」

女学者「今日はどういったご用件で?」

騎士「それが、ここで立って話すには立ち入った話で……」

女学者「それじゃ少しお時間を貰えますか?」

女学者「私たち朝ご飯でしたので、騎士様も一緒に」

騎士「……ではご厚意に甘えよう」

オーク「ああ、あんたか」

騎士「オーク殿も久しぶりだな」

女学者「ちょうど良かったです」

女学者「ちょっと作り過ぎちゃったかなーって思ってたところだったんですよ」

オーク「お前の作る飯ならいくらでも食えるけどな」

女学者「まあ、オークさんったら」

騎士「ふっ、まるで夫婦のようだな」

女学者&オーク『ッ!?』

女学者「いや、あの……私たちそういうのでは」

オーク「そうだ、俺とこいつはあくまで主従関係、研究材料であってな……」

騎士「まあいい、それも含めた話になる」

騎士「ここからは重大な国家機密だ、内密に頼む」

オーク「……どうしてそれを俺たちに?」

騎士「彼女は学会に席を連ねていないものの、独学で挙げた功績は著しい」

騎士「そこで今回の事態のために白羽の矢が立ったのだ」

オーク「前々から思っていたが、実はおまえってすごい奴なんじゃ……」

女学者「私の研究が完成しない以上は周りの評価とかどーでもいいですし」

騎士「ははは、女学者殿らしい」

騎士「それでは本題だ」

騎士「魔王軍と人間軍が講和を結んだ」

オーク「なんだと!」

騎士「混乱を避けるために一般への情報公開はまだ成されていない」

騎士「だが戦線は着実に退かれているし、首脳による会議も行われている」

騎士「その内容には、魔族と人間の対立を煽るために作られたシステムの解体」

騎士「分かり易く言えば、異端審問会の消滅なども盛り込まれている」

女学者「じゃあ……」

騎士「ああ、時間が経てば君たちの関係も問題なくなる」

オーク「貴様……前にきていた時に既に気づいていたな?」

女学者「え?」

騎士「あれらの異端審問は人間社会に混乱をもたらす存在の抹消が目的だ」

騎士「貴様が彼女を悪戯に誑かす魔獣ならその場で斬って捨てていたさ」

女学者「え……あの」

オーク「どうやら騙し通せたと思っていたのはお前だけだったようだな」

騎士「最初は過去の事件から魔獣に狂ったのかと思いもした」

騎士「しかし色に溺れていたのではとてもではないが生み出せない功績と」

騎士「何よりそのオークの君を見る眼差し」

騎士「少なくとも、村人の言う黒魔女ではないことは直ぐに明らかになった」

オーク「そちらさん、専門職だからな」

オーク「素人が表面上を繕ったところで隠し遂せる訳もなく、か」

女学者「やだ……私、自分でなんでもできると思い上がってた」

女学者「恥ずかしい」

オーク「つくづく幸運だよ俺たちは」

騎士「確かに私も過去の負い目から手心を加えたと言えば嘘ではない」

騎士「だが君たちを信頼したから上には報告をしなかったのだ」

女学者「ありがとうございます」

騎士「なに、上司に愚直なだけが騎士の取り柄ではないからな」

騎士「そして魔獣の生体理化学の権威である君に招聘がかかったのだ」

騎士「人間と魔物とが入り混じる今後の世界において、君は重要な存在になるとね」

騎士「分かり易い変化として、まずは王都に引っ越して貰うことになるだろう」

女学者「ええっと……」

オーク「ここは、彼女の母親が残した思い出の家だぞ」

騎士「ではそのまま移築させましょう」

女学者「いやそこまでは流石に」

オーク「いいのか?」

女学者「思い出といっても、すでに母も弱り切ってましたしね」

女学者「ここを引き払うことにはそこまで躊躇いはありませんよ」

女学者「それよりオークさんですが……」

騎士「王都にも魔獣飼育条例はありますから」

騎士「好事家の魔獣蒐集家もいますし、わざわざ特例にするまでもありません」

女学者「そうですか」ホッ

騎士「ただし、魔族の人権関連の法整備には時間がかかりますから」

騎士「どうしてもそれが終わるまではオーク殿は家畜扱いです」

オーク「構わん、どうせ今までと何も変わらんのだ」

女学者「そろそろ物騒な首輪は外したいんですけどねえ」

騎士「ではそこだけ私から上に掛け合ってみよう」

女学者「本当ですか?」

騎士「ああ、本来なら君は魔獣を憎んでいても仕方が無い」

騎士「そんな君を変えてくれた彼への私なりの感謝の気持ちだよ」

オーク「こいつは最初から魔獣を恨んじゃいなかったぜ」

オーク「だからすんなり俺のことも受け入れられたんだと思うぞ」

騎士「それでもオーク殿が彼女の大切な者であることには変わりない」

騎士「やはりここは私が骨を折ろう」

騎士「一度見逃したのだ、その責任ぐらいは最後まで背負わせてくれ」

女学者「ありがとうございます」

騎士「さてと、話は一通り済んだな」

騎士「最後に再確認するが、招聘に応えてくれるのだな?」

女学者「ええ」

騎士「了解した、ではそのように伝えよう」

騎士「研究施設の移築や新居についての打ち合わせはまたの機会に」

騎士「それでは失礼する」

女学者「はい、またのお越しをお待ちしております」

女学者「そういうワケで引っ越しの準備を始める訳ですが」

オーク「ああ」

女学者「その前にですね……」

女学者「研究、完成しました」

オーク「このタイミングでか」

女学者「いや、実際にはもっと早く試せたんですけどね」

女学者「ちょっと怖くて、完成度を上げる方向で引き延ばしてました」

オーク「それがどうして今?」

女学者「だって王都に引っ越したらきっと激務激務で出産子育てなんて無理ですよお」

女学者「だから今が最後のチャンスかなって」

オーク「なるほど、分かった」

女学者「オークさん、いいんですか?」

オーク「俺はいつでも、お前がいいというのなら」

女学者「渡したお薬、飲んでくれましたか?」

オーク「ああ」

女学者「初めて……ではないんですけど」

女学者「まあ、慣れてるワケではないので優しくお願いします」

オーク「俺も初めてだが上手くやるよう努力しよう」

女学者「ええッ!!オークさん初めてなんですかッ!?」

オーク「そ、そんなに驚くことか……?」

女学者「いえ、包容力とかすごいし場馴れした感じが」

オーク「戦場では捕虜ぐらいしか相手がいなかったからな」

オーク「俺は戦いに命を賭けた者を辱めるなど、どうも出来んかった」

オーク「命乞いの末に色に狂った女騎士など正視に耐えんかったしな」

女学者「そうでしたか……」

オーク「すまん、キナ臭い話をした」

女学者「いいですよ、これからですから」

女学者「改めて見るとやっぱり大きいですねえ」

オーク「お前の負担にならねばいいが……」

女学者「大きいのがコンプレックスなんて、世の中の男性から恨まれちゃいますよお?」

オーク「はははっ、そうだな」

女学者「オークさん……」

オーク「女学者……」チュッ

女学者「んんっ」チュウウウ

オーク「んふっ」もみもみ

女学者「あんっ……そんな……」

オーク「胸……柔らかいな」もみもみ

女学者「オークさんはおっぱい好きですか?」

オーク「ま、まあな」もみもみ

女学者「こっちもお願いします……」クチュッ

オーク「加減が分からんから、痛かったら素直に言ってくれよ」クチュクチュ

女学者「あ……なにこれ……」クチュクチュ

オーク「大丈夫か?」スッ

女学者「や、やめないで下さい!」

女学者「気持ち良すぎ……っていうか今まで弄ったことなかったんで」

オーク「そ、そういうものか?」

女学者「どうせ子供なんて産めないと心の底では諦めてましたし」

女学者「性欲のやりどころより過去の恐怖心が勝ってたんでしょうね」

女学者「一人でしたことなんて無かったですから」

オーク「……本当に辛くないのか?」

女学者「ええ、今はオークさんがいてくれますから」

女学者「んあ……ひっ……んん!」クチュクチュ

オーク「だいぶ濡れてきたな」

女学者「そろそろ大丈夫だと思いますよお」

オーク「そうか」

オーク「この前は決め損ねたから、今度こそ言わせてもらおう」

オーク「教えてやる、お前は何も後悔する必要などないと」

オーク「俺がそれを確かめてやる」

女学者「はい……よろこんで」

オーク「辛かったら直ぐに止めるからな」

女学者「はい、その時はちゃんといいますから」

オーク「じゃあ入れるぞ」グッ

女学者「あ……入って……ますよね?」

オーク「ああ、少しずつだが進んでいるぞ」ヌプッ

オーク「痛くないのか?」ヌプッ

女学者「意外と大丈夫みたいです」

女学者「まあ、私初めてじゃないですし」

オーク「……自分を傷つけることは言うな」ヌプッ

女学者「ち、違いますよお!」

女学者「オークさんが初めてだっていうから、経験者の余裕をですねえ……」

オーク「先っぽ、全部挿入ったぞ」ズプッ

オーク「大丈夫そうならこのまま全部埋めていくが、いいか?」

女学者「いいですよお……」

オーク「んっ」ズププッ

女学者「あ、オークさんのを中ですごく感じます」

オーク「何度もいうが辛い様なら」

女学者「私から言うまではそういう心配いいですってば」

オーク「そ、そうか」

女学者「壊れ物みたいに扱わないで下さいよお」

女学者「もっと乱暴にしてもいいんですよお……?」

オーク「い、いやな」

オーク「あまり激しくして俺の方が先に果ててもな……」

女学者「えーっと、やっぱりオークさんは」

オーク「初めてで自分の体の加減も分からんだけだ!!」

オーク「ただ、不甲斐ない結果だけにはしないよう努力しよう」

女学者「……オークさん、3発目までなら」

オーク「大きなお世話だ!!」

オーク「ほら、奥まで挿入ったぞ」

女学者「あ、もうですか……?」

オーク「本当に痛みとかはないんだな」

オーク「安心した、じゃあ動かしていくぞ?」

女学者「オークさんに任せますよお……」

オーク「んふっ……くっ……!」ヌプッヌプッ

女学者「あんっ……オークさん……」

女学者「好きならまたおっぱい揉んでもいいですよお……?」

オーク「ああ……」もみもみ

女学者「ううんっ……もっと強くてもいいですよお……」

オーク「分かった……ふんっ!」パアン

女学者「いやそっちじゃなくて……ひゃん!」

オーク「いいぞ、いいぞ女学者!!」パンパンパン

女学者「すご……オークさんのが……ひあっ!」

オーク「駄目だ、そろそろ……」パンパンパン

女学者「もうちょっとだけ!私も……くうんっ……」

オーク「うっ、出る……!!」ドクドクドク

女学者「お、オークさああん……!!」ビクンッ

オーク「はあ……はあ……」ぬぽん

女学者「ははは……結構体力使いますね、これ」

オーク「女学者……」

女学者「オークさん、最後まで頑張ったじゃないですか」

女学者「褒めてあげます」ナデナデ

オーク「お、お前なあ……」

オーク「まあ、いいか」

女学者「へへ……オーク……さぁん……」ガクッ

オーク「女学者!?」

女学者「……すぴい」Zzzz

オーク「……なんだ、眠っただけか」

オーク「俺も疲れたな」

オーク「おやすみ、女学者……」

―1年後―


騎士「女学者さん、迎えに来ましたよ」

女学者「いつもありがとうございます、騎士様」

騎士「いえいえ、これも何かの縁ですから」

オーク「いってらっしゃい、女学者」

娘「だあ!まんま!!」

息子「ぷぎぃ!まんま!!」

女学者「はいはい、今日は早めに帰れると思うからねえ」

騎士「いやはや、両親に似た立派なお子様だ」

女学者「実験としては失敗例ですけどねえ」

オーク「母体の遺伝子が優位になる確率が50%では、不妊治療としては実用化できんな」

騎士「そんな、ご子息を失敗例扱いだなどと……」

女学者「あら、実験体に愛情を注げないとでも思って?」

騎士「……そうでしたな」

オーク「晩飯、用意しとくからな」

騎士「オーク殿もすっかり主夫が板につきましたな」

オーク「ははは、傭兵稼業よりこっちの方がよほど性に合っている」

女学者「そうそう、魔族の人権についてだけど、魔獣の一部については早々に認められそうよ」

騎士「貴女の論文があったからこそですよ」

オーク「交配可能な魔獣は元は人間だった……というやつだな」

女学者「生物学的な分類と魔術的な分類では基準が大きくかけ離れていたんですもの」

女学者「そもそも、魔族側との和平が無ければ拒絶反応で受け入れられなかったでしょうけどね」

騎士「もちろん、その中にはオーク殿も含まれていますよ」

オーク「ああ、早く挙げたいもんだな、正式な結婚式」

女学者「ふふふ、そのためにも稼ぎ頭は頑張らないとね」

オーク「家庭のことは任せておけ」

娘「まかしぇとけー!」

息子「ぶいっ!!」

――人界歴2014年

  この年、魔族と人間の調和という、1世紀前では想像もできなかった変革があった

  まだ多くの課題が残されているものの、それによって生まれた幸福は数知れない

  自由を謳歌する中で、人々はまた歴史の物語を織りなしてゆく

  これはそんな中の、ほんの小さな1ページ




                    ~完~

スマン、なぜか一時投稿できなくなって最後のレスだけ投下遅れた
これにて女学者とオークの物語は終了です
命乞いの末に色に狂った正視に耐えない女騎士とかはまたの機会に

このSSまとめへのコメント

1 :  匿名係長の名無しさん   2014年01月18日 (土) 09:13:58   ID: yEalwf55

世界の歴史がまた1ページ……。

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