八幡「雪ノ下と付き合うのは辛かった」 (79)
八幡(大学生も2年目にはいってるんだよな…)
八幡(高校卒業して、1年経過か…早いもんだよな)
八幡(俺は卒業してすぐに、雪ノ下と付き合った)
結衣「ヒッキー!待った?」
八幡「いや…今来たところ」
結衣「そっか、よかった~」
八幡「んじゃ、行くか」
結衣「うん」
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八幡(高校3年生の期間でも雪ノ下と色々絆深めたし…卒業の際の告白はうまくいくと思ってた)
八幡(もちろん上手くいったんだが…)
結衣「今日どこでご飯食べる?」
八幡「サイゼ」
結衣「…冗談だよね?」
八幡「も、もちろん…」
結衣「もう~~!」
八幡「じゃ、じゃあ…平塚先生がおすすめしてたラーメン屋は?」
結衣「いいよ、そこにしようよっ!」
八幡「いいのかよ…」
ラーメン屋
結衣「あ、ここの醤油ラーメンおいしいっ!」
八幡「由比ヶ浜って、ラーメン食ってる姿似合うよな」
結衣「どういう意味だしっ!」
八幡(付き合う前もある程度は考えてたことだけど…なんというか…)
八幡(雪ノ下の家柄の問題が俺には少しきつかったな…)
八幡(しばらく付き合ってから、相手の家族に少し挨拶に行った時、陽乃さんは今まで以上のプレッシャーをかけてきた。その母親に至っては口には表しにくいものだった…)
八幡(ああ、雪ノ下雪乃と一緒になるというのはこういうことなんだと初めて実感した)
結衣「ね、ねえ、ヒッキー」
八幡「ん?」
結衣「やっぱりこういうの、ゆきのんに悪いかな…」
八幡「それ言わないでおこうって言ったの、お前なんだけど…」
結衣「あ、そうだよね…ごめん」
八幡「いや、謝らなくてもいいけどな」
八幡(由比ヶ浜とは同じ大学に通っていて…少し微妙な仲になってる…浮気のような)
八幡「ラーメン食べたあと、どっか行くか?」
結衣「う~ん、カラオケとか行かない?」
八幡「そうするか…」
結衣「あ、あと…」
結衣「今日は泊まるって行ってあるんだよね…えへへ…」
八幡「お、お前な…こんなところで言わなくても…」
結衣「ど、どこで言おうが一緒じゃんっ!」
八幡(由比ヶ浜とは…身体も重ねてるわけで…)
八幡(雪ノ下とは、違う大学ということもあってか元々会う機会は由比ヶ浜ほどじゃない)
八幡(まあ、彼女だしそこそこ会うんだが)
八幡(大学は違っても、それほど離れてるわけじゃないしな)
アパート
結衣「お、お邪魔しまーす…」
八幡「おう…」
結衣「えへへ…やっぱり緊張するよね」
八幡「まあ…」
八幡(もうこれ…浮気だしな…)
八幡「えっと…なんか飲む?」
結衣「お茶…とか?」
八幡「わかった」
コポコポ
八幡「ほら」
結衣「ありがとっ」
八幡「カラオケ…けっこう歌ったよな」
結衣「うん、そうだね…ヒッキー意外に高音出るとかびっくりだし」
八幡「よくわからんな…その辺は」
結衣「女性ボーカルを原曲キーとか…普通無理だよ?」
八幡「裏声混ぜては唄ってるからな…地声だとできないって…」
結衣「それでも凄いと思うけどね」
八幡「な、なあ…今日って泊まって行くのか?ほんとに…」
結衣「うん…いいよね?」
八幡「いいけど…」
結衣「ヒッキーさ…あたしとこういう関係になって…どうかな?」
八幡「どうって…?」
結衣「ちょっとは…気分とか晴れてる?」
八幡「……」
結衣「ゆきのんと付き合うようになってさ…ヒッキー、疲れてるみたいだったし…」
八幡「今まで付き合ったことない俺が言えることでもないけど…もう少し軽いものだと思ってたんだよ…」
結衣「いや、普通はもっと軽いものだと思うよ…少なくとも大学生くらいまでの恋愛は」
結衣「優美子や姫菜も言ってたし」
八幡「相談してんの?」
結衣「ヒッキーの名前は出してないよ」
八幡「やっぱそうか…雪ノ下は…家柄があるからな」
結衣「ホントはさ…あ、あたしとの関係みたいなのが普通っていうかさ…」
結衣「いきなり、ゆきのんの関係まで行くと、それって婚約だしさ…」
結衣「しかも婚約の相手が王家みたいな感じ?」
八幡「お前にしては分かりやすいな、その例え」
結衣「どういう意味だしっ!」
八幡「でも、ありがとな。元気づけてくれて…」
結衣「えへへ、いいのそんなの」
八幡「どうするかは、もう少し考えてみるけど…」
結衣「あたしと付き合えばいいし…」
八幡「由比ヶ浜…?」
結衣「ゆきのんと無理して付き合うのは、ヒッキーの為にもならないし…」
結衣「あたしなら…その…ヒッキーと相性とかもいいと思うし…」
結衣「大学生の付き合いできると思うし…」
八幡「お前…」
結衣「ついでに、処女もあげたし…」
八幡「さらっと恥ずかしいこと言うよな、お前って」
結衣「本当のことじゃんっ!」
八幡「由比ヶ浜って、前から俺のこと?」
結衣「高2の頃から好きだったし!」
八幡「じゃあ、あのアプローチは全部…」
結衣「本気だし!ヒッキー、からかわれてると思ってたんでしょ?」
八幡「あの時は、そう思ってた」
八幡「でも今は違うぜ、ありがとな由比ヶ浜…うれしい」
結衣「ヒッキー…!」
八幡「雪ノ下とは最近、そのことであんまいい関係でもないしな…難しいとは思ってた」
八幡「でも、なかなか陽乃さんらには言えなくてな…」
結衣「あはは…で、この前ここに来たとき二人で飲んだもんね…それで勢いで…」
八幡「したな…」
結衣「うん…」
結衣「きっかけは勢いだけど、あたしはヒッキーなら良かったよ」
八幡「…ごめん」
結衣「謝らないでよ、それよりゆきのんだよ…」
八幡「ああ…」
結衣「これから、子供とかできたら、苦労しかないってお母さんも言ってたし…」
結衣「今は普通の恋、経験しない?駄目かな?」
八幡「雪ノ下にも言ってみる」
結衣「うん」
ピンポーン
結衣「あれ?誰か来たみたいだよ?」
八幡「俺が出る」
ガチャ
八幡「……雪ノ下…」
雪乃「こんばんは…ごめんなさいこんな時間に」
八幡「……」
雪乃「どうかしたの?」
八幡「いや…あの…」
雪乃「最近意思疎通がうまくいってなかったみたいだから…」
八幡「……」
雪乃「謝ろうと思ってきたのだけれど…」
八幡「…」
結衣「え…あ」
雪乃「誰かいるの?」
八幡「いや…!」
雪乃「…」
雪乃「入るわよ」
八幡「お、おい…雪ノ下っ!」
雪乃「由比ヶ浜さん…!?」
結衣「ゆきのん…!?」
八幡「あ……」
雪乃「…嘘…」
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雪乃「…」
結衣「…」
八幡「…あの、えっとだな…」
雪乃「どういうことかしら…?友人を部屋に入れただけ…ということではなさそうね」
八幡「…」
結衣「…」
雪乃「いえ、例え由比ヶ浜さんでもそれはしてはいけないわ」
八幡「それは…」
雪乃「あなた達は…隠れてこうして会っていたのね…」
八幡「…ごめん」
雪乃「そんな…なぜこんなこと…それも由比ヶ浜さんと…!」
八幡「……俺が全面的に悪いんだよ」
結衣「そうじゃないでしょ」
八幡「由比ヶ浜…?」
雪乃「なにかしら?」
結衣「謝るのも必要だけど…まず、ゆきのんにも非があること言わなきゃ」
雪乃「私に…非があるというの?どういうことかしら?」
結衣「二人が付き合ってから、ヒッキーどんどん疲れていってたよ?」
雪乃「…」
結衣「それで話も大体聞いてる…家の問題とか色々あるって」
雪乃「ええ、そうね…それで比企谷くんと喧嘩をしたりしていたわ」
結衣「それも聞いてる…そこでヒッキーが疲れてもゆきのん何もしなかったの?」
雪乃「なにもって…そんなことは…」
結衣「だって、おかしいよね?今の時期の彼氏を家によんでまるで婚約者みたいにするなんて」
雪乃「……」
結衣「だからヒッキー疲れちゃったんだよ…ゆきのんの家族の方からもプレッシャーが凄かったらしいから…」
雪乃「……」
結衣「全部見て見ぬふりしてたの?どう考えてもうまくいかないよね?」
八幡「由比ヶ浜、あのな…」
結衣「ごめん、もうちょっと話させて」
結衣「もちろん、ゆきのんが見て見ぬふりしてたわけじゃないと思う」
雪乃「それで、喧嘩をしたのよ…」
結衣「でも、あなたならいけるっていう言葉を何回も浴びせたんでしょ?」
雪乃「………」
結衣「そういうニュアンスのプレッシャーを与えてたよね?だから最近会えなくなったんでしょ」
雪乃「私は…」
結衣「ゆきのん、ヒッキーに期待しすぎだよ」
八幡「……」
雪乃「……!」
結衣「奉仕部の名残かな?ヒッキー、ここぞという時の頼りがい凄かったもんね」
雪乃「そうね、あの時の彼は…王子様みたいな感じだったわね」
八幡「恥ずかしいけど、つい最近の話なんですけどね…」
結衣「あの1~2年で、ゆきのんはヒッキーに救われたし、惹かれたんだよね?」
雪乃「ええ…」
結衣「でもそのことを、家柄の問題に当てはめちゃ駄目だよ」
雪乃「そういうこと…」
結衣「うん、あたし達まだ何もわかってない子供なんだよ?種類が違い過ぎるし、ハードル高すぎだって」
雪乃「…」
八幡「…」
結衣「この件に関して、ヒッキーは隼人くんにかなり劣ってるんだよ?」
雪乃「…そうね、確かにあなたならといった考えがずっとあったわ…」
雪乃「あなたを追い詰めてたことに関して…本当にごめんなさい」
八幡「雪ノ下……」
結衣「うん…それで、あたしは…ヒッキーと浮気しちゃって…ごめんなさい…!」
結衣「あたし…ゆきのんのこと裏切った…!」
雪乃「そうね…でも原因は私にもあったのだし…」
結衣「それだけじゃないよ?…ヒッキーのこと奪えるかもって打算的なことも考えてたよ…」
雪乃「…」
結衣「ゆきのんには任せられないって思うようになって…」
雪乃「そう…あなたは前から、比企谷くんのこと好きだったものね」
結衣「…うん…」
雪乃「それなら…そういう考えになっても…仕方ないのかもしれないわね…」
八幡「雪ノ下…由比ヶ浜とこういう関係になったのは…俺の心が弱かったせいだ。だから…」
雪乃「そうね、あなたのせいでもあるわね」
雪乃「でも…私がそれを責める資格はないと思うわ」
八幡「雪ノ下……」
結衣「ゆきのん…」
雪乃「比企谷くん」
八幡「…なんだ?」
雪乃「リセットしましょう」
八幡「雪ノ下…?」
雪乃「別れましょう」
八幡「…あ、でも」
雪乃「家族は私が説得するし、あなたに迷惑がいかないように必ずするわ…だから」
雪乃「由比ヶ浜さんと向き合ってあげて…あなたのことこんなに想ってくれてるんだから」
八幡「……」
八幡「わかった」
雪乃「ええ……でも…寂しいわね……」ポロポロポロ
結衣「ゆきのん……!」
それから、しばらくして…
結衣「ヒッキー!」
八幡「おっす」
結衣「ねえヒッキー、例のレポートやった?」
八幡「なにお前?俺任せとか言わないよな?」
結衣「えへへ」
八幡「いや、笑っても駄目だからね?お前は一色か」
結衣「でも、見せてくれるよね?」
八幡「へいへい」
結衣「ありがと~!」
八幡(俺は…由比ヶ浜と付き合っている)
八幡(雪ノ下の家族の問題は…雪ノ下が一切言わないのでわからないが…)
八幡(葉山もそこに混ざって対応してくれたとか…)
八幡(大枠で聞いただけでも、俺一人でどうにかなるものでもないっていうのはわかった…)
結衣「ヒッキー、こっちこっち!」
八幡(俺は本当にちっぽけな人間で、恋愛も大学からが初めての小市民…)
八幡(高校での成功とかは、周りに恵まれてただけかもな…)
八幡(しかし、俺はまだ若いしこれから少しでも世間を知って…)
八幡(少なくとも由比ヶ浜…いや、もしかしたら別の彼女かもしれないが…)
八幡(その人だけでも幸せにできるような人間になれればとは思う…)
八幡(雪ノ下は俺とは違い過ぎた…それはスペックというより生まれが…)
八幡(彼女がどういう人生を歩むかはわからないが、今の俺は隣で歩くことはできない)
八幡「人は分相応で生きてるのである…誰か偉い人が言いそうな言葉だな」
結衣「え?どうしたの?」
八幡「いや、なんでもないって…行こうぜ」
結衣「うん」
おしまい
終わりました~~
後日談
雪乃「…はぁ」
雪乃(どうして…比企谷君は…)
コンコン
雪乃「…はい」
陽乃「雪乃ちゃん。入るよ」
雪乃「何の用かしら…姉さん」
陽乃「元気ないなー雪乃ちゃんは。何時までもそんな暗いとお肌に良くないぞ?」
雪乃「ほっといて頂戴。姉さんに関係ないでしょう」
陽乃「関係あるよ?」
雪乃「…」
陽乃「だって家族でしょ?可愛い妹が落ち込んでたら慰めてあげるのが姉ってもんでしょ?違う?」
雪乃「…」
雪乃「なら。尚更ほっといて貰えるかしら」
陽乃「…」
雪乃「今は一人になりたいの。何も考えたくないの。家族なら気遣いくらいするのが当然でしょ?」
陽乃「ダメだよ?私が言う事聞かないのは知ってるでしょ?」
雪乃「いい加減に…」
陽乃「雪乃ちゃんを心配してるのは私だけじゃないんだよ」
雪乃「…」
陽乃「はぁ…とっておきは置いときたかったのになぁ」
雪乃「何が…」
陽乃「隼人。入っておいで」
ガチャ
葉山「…こんにちは。雪乃ちゃん」
雪乃「貴方まで何の用?もしかして姉さんと一緒に笑いにきたの?」
葉山「そんなことない。雪乃ちゃんを笑うなんて」
雪乃「じゃあ何?慰めにきたの?流石優等生ね。ここまで完璧な仮面を被るなんて」
葉山「違う!!」
雪乃「っ…」ビクッ
葉山「俺はそこまで器用な人間じゃない…君もよく知っているだろ?」
雪乃「…」
葉山「俺は慰めなんか決してしない…むしろこういう状況になっている事を嬉しく思う俺がいる」
終わりです~^ ^
このSSまとめへのコメント
これが現実ですね
もう少し続きを見たかった