八幡(9)「迷子?」雪乃(9)「うん・・・」 (156)
八幡(公園でかくれんぼをしていたらいつの間にか皆いなくなっていた・・・)
八幡(珍しくクラスメートの男子が「ひきがやあそぼーぜ!笑」なんて言ってわくわくした自分が恥ずかしい)
八幡(てゆうかかくれんぼするとか言って皆すぐにどっか行ったこと八幡知ってるよ・・・?)
八幡(どうせ明日学校でネタにされるのだろう・・・はぁ死にたい・・・)
八幡(いつまでもこんな所で隠れてないで家に帰って小町と千葉テレビでも見るか・・・。ん?人影・・・?)
雪乃「お、お姉ちゃん・・・どこぉ・・・?」
八幡「!?」
雪乃「ひぃっ!?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433777692
八幡(えっ?なに?かくれんぼまだ続いてたの?俺の勘違いだった?なんだよーもう危うくこのまま帰ってなんでお前帰ったんだよっていじめられるところだったぜ・・・。よしここは明るく答えて好印象を与えよう)
八幡「え、えーっと見つかっちゃった☆」
雪乃「あ、あなたじゃない・・・」
八幡(ええっーーー!?どゆことぉ!?かくれんぼにあなたじゃないってどゆことぉ!?もしかして俺はそもそもかくれんぼのメンツにすら入れてもらえてなくて一人で隠れてたってこと!?何それすっごい恥ずかしい!俺はいったいなにに隠れてるの!?教えてはっちー!)
八幡「あ・・・なんかごめん・・・じゃあ俺帰って・・・」
雪乃「ねぇ・・・お姉ちゃん知らない?」
八幡「は?」
雪乃「お姉ちゃんを迎えに行ったらここがどこか分からなくなったの・・・」
八幡(今更だがそもそもこの娘誰だ?学校のクラスメートではないな・・・。いつでも友達になれるように俺はクラスメートのフルネームを全て覚えているから間違いない。更に女子の場合何を聞かれてもそつなく会話できるように常にシュミレーションしているまである。え、なにそれ気持ち悪い。)
雪乃「ここにはいないみたい・・・」
八幡「そ、そっか・・・」
雪乃「どうしよう・・・」
八幡「そ、そうだね・・・うん・・・」
八幡(む、むりだぁ!そもそもシュミレーションしても話す機会がないので女子に全く免疫なくてきょどってばかりな俺に初対面の女の子と会話とかなにそれ無理げーじゃん!?)
雪乃「お、お姉ちゃん・・・ぐすっ・・・」
八幡「!?」
八幡(ちょっとぉぉぉぉ!?泣かないで!?俺が泣かしたみたいじゃん!?)
八幡(くっ・・・仕方ない・・・ここはなんとか場を和ませる俺が密かに練習してきた一発芸を披露するしか・・・!)
八幡「今から一発芸やりまーす」
雪乃「・・・・・・?」
八幡「ほわっ!」スタン・・・ストン
雪乃「わわっ・・・」
八幡(決まったぜ・・・夜な夜な小町が帰ってくる前にベッドの上で一人練習してきたバク転・・・誰にも見せる機会がなかったがこんなところでお披露目するなんてな・・・。ふっ、あまりのすごさに動揺しちゃってるかな?)
雪乃「すごいけれど・・・ハヤト君は3回連続でやって最後はバク宙してた・・・」
八幡(な、ナンダッテー!悔しい!てゆうか誰だよハヤト君ぅぅぅぅん!すごすぎだろぉぉぉ!なに体操の選手かなにかなんですかぁぁぁぁ!?)
八幡「そ、そっか・・・」
雪乃「でもありがとう。」ニコッ
八幡「!?」
八幡(初めて女子に感謝を言われたかもしれない。とゆうかその笑顔は反則ですよお嬢さん!)
八幡「ち、ちげーし!勘違いすんなし!」
雪乃「ならあなたは独りでいきなり女の子の前でバク転する変態さんなの?」
八幡「あぁ!そうだよ俺はバク転大好き人間なんだ!」
雪乃「ふふっ、面白い人ね」ニコッ
八幡(だからその笑顔はやばいですって!)
雪乃「あの・・・少しお尋ねしたいんだけれど・・・」
八幡「?」
雪乃「千葉駅ってどうやったらいけるかわかる?」
八幡「え?普通にあっちに行けば・・・」
雪乃「あっち・・・?」
八幡(千葉駅なんて千葉県民なら誰でも行けるだろうに。この娘は県外からきたのかな?)
雪乃「チラッ・・・チラッ・・・」
八幡(すごい案内してほしそうにこっちを見てる・・・。くっ・・・お姉ちゃんお姉ちゃんと言っているからこの娘は妹属性がついている。とすると俺のお兄ちゃんスキルの一つ、構ってやるぜお兄ちゃんが自動的に作動しちゃうのぉぉぉぉぉぉ!)
八幡「ちっ、仕方ねーな。お兄ちゃんが駅まで案内してやるよ」
雪乃「私にお兄ちゃんはいないよ?」
八幡「そこはノリでお兄ちゃんって呼ぼうぜ」
雪乃「やっぱり変態なの・・・?」
八幡「妹愛に溢れていると言ってほしいな。まぁいいや。早く行こうぜお姉さんが待ってるんだろ?」
雪乃「え、うん!分かった!早く早く!」
八幡「ってそっちじゃねぇし!」
八幡(やれやれこれは、家に帰って小町と千葉テレビは見れなさそうだな。)
雪乃「だからねーお姉ちゃんはすごいんだよー!何でもできちゃうの!」
八幡「へーへー、すごいですね」
雪乃「ねぇ!聞いているの!?」
八幡「聞いてますよー、わーお姉ちゃんすごーい、びゅーてぃほー」
雪乃「もう!全然聞いてない!」
八幡(充分聞いてるっつうの。なにこいつとんでもないシスコンだなおい。どんだけお姉ちゃん好きなのん?てかお姉ちゃんさんのスペック高すぎやしませんかね?ピアノに合気道にヴァイオリン空手に・・・数え切れないぐらいの習い事だわ・・・俺なら逃げるね確実に)
雪乃「だから私もお姉ちゃんみたいになりたくて毎日練習してるの!」
八幡「別にそんな真似しなくたっていいんじゃねぇの?」
雪乃「え?なんで?だってお姉ちゃんすごいんだよ?」
八幡「なんていうかな。人それぞれ違くて皆いいってことだよ。うん」
雪乃「そうかなー」
八幡(今のままでも充分魅力的だなんて口が裂けても言えませんでした!)
雪乃「でも君はすごく違う気がする!」
八幡「なんか嫌味に聞こえるのは気のせいですかねぇ・・・」
雪乃「そんなことないよ?」ニコッ
八幡(可愛い・・・。はっ、いかんいかん危うく惚れてしまうところだったぜ。こういうときは小町を数えよう、いーっちにーっさーっ・・・・ん?なんだあの男?)
男「ターゲット確認。少年と歩いている様子。どうしますか?・・・・了解」
八幡(さっきからこっちを見てて怪しいな。もしかしてストーカーかしら?はわわっいつの間に俺はトップアイドルになっちゃったの?って、んなわけないか。電話している今のうちに念のため道を変えるか。)
八幡「なぁ、こっちの路地からだと近道なんだぜ」
雪乃「そうなの?なら早く行きましょう?」
八幡「ちょ、お前が先頭だと意味ねぇだろうが」
雪乃「乙女のエスコートは紳士の務めだってお姉ちゃんが言ってたよ」
八幡「はいはい、しっかりエスコートさせて頂きますよお嬢様」
雪乃「エヘヘッ//」
八幡(だから可愛すぎるんですよ!)
男「なっ、どこにいった!?」
雪乃「こういう道ってなんだかわくわくするね!」
八幡「えー、あぁそうだな」
雪乃「いきなりパンさんが出てきたりして!」
八幡「いやいやそれはねぇよ・・・」
八幡(どんだけ頭の中お花畑なのこの娘・・・)
八幡(ていうかまずいな・・・さっきから後ろから誰か付けている気がする。やっぱりさっきの男か?)
八幡(少し会話しただけだがこんな俺でも分かることがある。この娘はかなりのお嬢様だ正真正銘のな。なので恐らく誘拐だろう。子供ながらなんていう発想力だ。これも普段の妄想のたわものか)
八幡(だが、これが俺の妄想なら別にいいんだ。たまたま後ろから誰か付いてきているそれだけなら。だが万が一にでも誘拐だという可能性もゼロじゃない。さてどうするか。)
雪乃「ねぇ、まだ着かないの?」
八幡(まだ会って30分そこらだが、俺はこの娘に怖い思いをさせたくない。まぁ男の子だからな!)
八幡(となると、俺が囮になって先に進ませるのが確実だがこの娘の迷子スキルは1級だ。少し難しいかもしれない)
八幡(だがそれ以外方法が思いつかないのだし、仕方ない・・・・)
八幡「あぁ、もう少しで着くぞ。このまま真っ直ぐ行くとすぐ向こうが千葉駅だ」
雪乃「やったぁ!」
八幡「ん?あっ!やっべぇ!財布道に落としたみたい!俺ちょっと取りに行ってくるから先に行ってて!」
雪乃「え?私も探しに行くよ?」
八幡「え・・・?あ、えーっと。お姉ちゃんさんが待ってるんだから早く行けって!」
雪乃「でも・・・」
八幡「じゃ!無事に駅に着けよ!」ダダダッ!
雪乃「え?ま、待ってよ!」
八幡(これでいい。俺と彼女じゃ生きる世界が違うのだ。彼女には明るい未来ある人生を歩んでほしい。ならそれを補助できるなんてとても誇らしいことだ。誰にも必要とされなかった俺の人生でも、少しくらいかっこいいことの一つをさせてもらってもいいじゃないか)
八幡(てゆうかそもそも誘拐と決まったわけではないのだし気軽に行こうじゃないか。俺の勘違いだったらそれはそれでまた一つ黒歴史が増えるだけだ。え、なにそれハイリスクノーリターンすぎね?まぁいい所詮自己満足だ。・・・足音が大きくなってきたな。八幡の一世一代の身代わり作戦の開始だ!)
男「・・・・」スタスタ(少年だけ?ターゲットはどこだ)
八幡「あ、お兄さーん。ちょっといいですか?僕さっきまで友達とここでかくれんぼしていたんですけど見ませんでした?」
綺麗な八幡
みにのんはもはやるみるみじゃなかろうか
男「んん?分からないなぁ。どんな娘なんだい?」(なんだいきなり・・・?)
八幡「えーっと、黒髪の女の子なんですけどー、この路地の中だけでかくれんぼしていたんですよ。」
男「おお、そうなのか大変だね」(やはりターゲットはこの路地にいるのか?)
八幡「そうなんですよ。んん?あぁー!見つけたぞー!あ、お兄さんありがとうございました!あっちに逃げていきました!」ダダダッ
男「おお、そうか頑張れよ」(ターゲットはあちら側の路地に逃げたのか?)
八幡(ふむ・・・ボロは出さなかったが充分怪しいな。なんとなくだが)
眠い寝る。初めてSS書いたけど大変だね。そのうち更新します
>>17子供だからこれくらいでいいかなーって思ったけどやっぱもう少し大人目の口調がいいのかなー
雪乃「はぁはぁ・・・やっと見つけた・・・!」
八幡「ふぁっ!?」
八幡(えぇぇぇぇ!?ナンデ!?真っ直ぐ行けって行ったじゃん!?あそこから迷子になる要素なくない!?むしろ才能あるよ!迷子の!)
八幡「な、なんで・・・」(訳 また迷子なの?ばかなのん?)
雪乃「あ、あのまま礼も言えないで別れるなんてその・・・嫌だもの。最後までエスコートするのが紳士の嗜みよ。」
八幡「お、おう・・・」
八幡(ふぇぇぇ・・・。すごいいい娘だったよぉぉぉ・・・迷子とか馬鹿とか呟いてごめんなさいぃ・・・)
雪乃「そうだ、お財布は見つかったの?」
八幡「あ、あぁさっき歩いていたお兄さんが見つけてくれてさ・・・」
雪乃「お兄さん?」
八幡(あ、まずったか・・・)
雪乃「すごくいい人でよかったね!」パァッ!
八幡(この娘には疑うという言葉を知らないのだろうか。どんだけゆとり教育を施されてるんだよ。悪い人に唆されないか八幡心配!)
雪乃「なら早くいきましょう・・・そういえばここはどこなのかしら?」
八幡「分からないでここまできたのかよ・・・こっちだよ」
雪乃「はぁーい」
八幡(さっきの男が先回りしているかもしれないからルートを変えるか・・・)
雪乃「ふふっ、こんな風に誰かと外出するのってなんだか久しぶり」
八幡「お姉ちゃんさんと一緒に出かけたりしないのか?あとさっきのハヤト君とか」
雪乃「うーん、お姉ちゃんとはいっつも遊んでるし、ハヤト君は男の子だし・・・お家の繋がりっていうか・・・」
八幡「それは俺を男として認識してないからオッケーみたいに聞こえるんですが・・・」
雪乃「えっ!?ち、違うよ。なんていうかあなたは普通に接してくれるというかなんというか・・・。クラスメートの皆は私にどこか遠慮しているから・・・なんだかうれしいの。」
八幡「友達・・・いないのか?」
雪乃「う、うん・・・エヘヘ。でも私にはお姉ちゃんがいるから大丈夫!」
八幡「そうか・・・。俺も実は学校に友達いないんだ・・・」
雪乃「え、そうなの?じゃあ私たち友達いない仲間だね!エヘヘッ」
八幡「そうだな。あんまり嬉しくねぇけど・・・」
雪乃「な、なら。よかったら私と・・・」
男「ターゲット確認。実行に移す・・・!」
八幡「!?」
男「探しましたよ、お嬢様」
雪乃「あっ、男さん。あれ、私一人でお姉ちゃんを迎えに行くからって皆に伝えたよ?」
男「えぇ、姉上様がきっと迷子になると思うからこっそり後を付けてくれと私に頼まれていたのですよ」
雪乃「もう!お姉ちゃんったら心配性なんだから・・・」
男「さぁ、姉上様が待っていらっしゃいますから行きましょう、こちらに車を手配しております」
雪乃「あっ、彼も乗せてくれる?まだお話したいの」
八幡「へ?」
男「・・・まぁいいでしょう。おお、よく見たらさっきの男の子じゃないかお友達は見つかったのかな?」
八幡「あっ、はい!」
八幡(さっき会ったときとなんだか印象が違う気がするな・・・。あと最初の間はなんだ?)
雪乃「わ、私のことかな・・・///」
八幡「!? か、勘違いすんなし!」
雪乃「ふふっ、照れてるの?」
八幡「るっせー!」
男「ハハっ、仲がよいのですね。では、お二人ともこちらへ」
八幡(まぁでもお互い知ってる仲みたいだし大丈夫か。たぶんボディーガードか何かだろう。俺の勘違いで済んでよかったよかった。というか一人勝手に盛り上がってた自分が恥ずかしい!)
雪乃「あれ?今日はいつもの車じゃないの?」
男「・・・えぇ、今日は秘密裏に動く為に違う車を出させてもらったのですよ」
雪乃「へぇ、そうなんだ!なんだか新鮮だね」
男「ふふっ、そうですね。では、どうぞ」
八幡「お願いします・・・。」
雪乃「千葉駅までれっつごー!」
男「あぁ、席に置いてあるドリンクは自由に飲んでも構いませんよ」
八幡(自由とかいいながら一本しかないんですが・・・。まぁそもそもこの娘だけに用意されたものだから仕方ないか)
八幡「お前飲んでもいいぞ」
雪乃「え?えーっと・・・ありがと・・・。」ゴクゴクッ
八幡(美味しそうに飲むなー)
雪乃「あ、あなたにもあげる・・・」
八幡「は、はぁ!?いいよ俺は!」
雪乃「いーの!飲んで!」
八幡「なんでそうなっちゃうの・・・」
八幡(これは絶対に飲まないといけない流れなんですか?意識しちゃってる俺の方が恥ずかしいの?だって女の子の間接キッスだぜ?いやいや無理でしょー。・・・っつても断れる空気じゃねぇもんな・・・これだから女の子はずるいんだよ)
八幡「貸せ」
雪乃「え、うん」
八幡「ん」ゴクゴクッ
雪乃「美味しいでしょ?」
八幡「あ、あぁ・・・」
八幡(恥ずかしすぎて、味なんて分かるかよ!)
雪乃「えへへ~」コクッコクッ
八幡「・・・眠いのか?」
雪乃「う、うん。久しぶりにこんなにはしゃいじゃったからかな・・・」
八幡「千葉駅までもう少しかかるし寝ていいぞ。着いたら起こすよ」
雪乃「ありがとぉ・・・」ムニャムニャ
八幡(寝つきはやっ!っていう俺も久しぶりに会話したせいかすごい眠いぞ・・・起こすと言った手前寝るわけには・・・)コクコク
男「私が起こしますので寝ていても大丈夫ですよ」
八幡(・・・ならお言葉に甘えさせてもらいますか)ムニャムニャ
八幡(知らない天井だ・・・。じゃねぇよ!えっ?てか口にガムテ張ってあんじゃん!しゃべれねーし!それと腕と足が縄で縛られてる!?これが噂のSMプレイ!?やだっ俺小学生で大人の階段登っちゃうの?まだ純粋な子供でいたいよお母ちゃーん!)
雪乃「んー!んー!」
八幡「!?」
八幡(さっきの女の子だ!俺と同じように縛られて身動きが自由に取れないみたいだな・・・)
八幡(と、とにかく冷静に考えて状況を整理だ!そうこういうときは深呼吸だ!はい!すってーーーはいてーーーって口呼吸できねぇから上手くできねぇチキショー!更に焦ってきたじゃねぇか!)
八幡(ふぅ、一人で脳内漫才をして少しは落ち着いたかな?よし、まずは状況を整理だ。ふむ・・・。仮にだ。仮にだぞ。すごく、すごく考えたくないことだが・・・さっきの男は俺の妄想ではなく本当に誘拐犯で俺らは誘拐されて軟禁されてるとか・・・?)
八幡(はっはっは!まっさか~そんな漫画みたいなことが・・・。ん?扉の奥から話し声が・・・)
?「だからぁ、お宅の娘さんの命が惜しかったら金だせって言ってんだろうがぁ!なんなら可愛い娘ちゃんの泣き声でも聞かせてやりましょうかぁ!?」
八幡(・・・こいつぁ腹を括るしかねぇみたいだな・・・)ダラダラ
八幡(なんか逆に切羽詰りすぎて冷静になってきたぞ・・・。うーん、ここは普通の部屋じゃないな。もう使われていない建物の一室みたいだ。高いところに壊れた窓が一つだけあるだけか?おかげで薄暗い・・・。こういうときは通気口とかあってそこからの脱出が定番なのがベターだけど・・・ってあるぅぅうぅぅ!通気口普通にあるよぉぉぉぉ!)
八幡(でもあれ一人じゃ無理な高さだな。二人なら行けるか・・・?たぶんここはあの娘一人を入れる部屋だったのだから見落としたのか?だがラッキーだ。あれを使わない手はない)
八幡(でも脱出できる場所があってもまずは縄を解かないとな・・・、おっいい感じのガラス破片があんじゃんか。割れた窓ガラスかな?これで切ろう)キコキコッ
八幡(よしっ、切れた。次はあの娘だな)
雪乃「んー!んー!」
八幡「分かってるって、テープを剥がすけど大きな声は出すなよ。あいつらに気付かれるかもしれない」
雪乃「んー・・・ぷはっ。ありがとう。・・・ねぇ・・・ここはどこ?私たちなんで縛られてたの・・・?」
八幡「静かに、いいか叫ぶなよ・・・たぶん俺たちは誘拐されたんだ」
雪乃「ゆ、誘拐っ?」
八幡「決まったわけじゃないが、こんな状況だしな」
雪乃「ど、どうするの?」
八幡「勿論、逃げるぞ。いいかあそこに通気口があるだろ?見た感じ錆びてるから頑張れば外せるかもしれない。しかもあれなら俺らでも通れるはずだ」
雪乃「う、うん。でも高いよ?」
八幡「・・・俺が肩車してお前が柵を外して入るしかないな」
雪乃「えっ///」
八幡「し、仕方ないだろっ、流石に俺は持てないだろうし・・・。ていうかこんなときに恥ずかしがってるなってのほら早く乗れ」
雪乃「う、うん。失礼します・・・」
八幡(ってかっる!なにこいつ天使なの?翼でも生えてるんじゃない?ていうかなんかいいにおいがする気がーって、俺が恥ずかしがってどうすんだよ!)
雪乃「んしょ・・・んっしょ・・・もう少しで取れそう・・・」
八幡(って、両足が頬にぃぃ!って苦しい苦しい首にまできてるよ!なにこれ恥ずかしいのに苦しいよぉぉぉぉ!)
八幡「んぐぐぐ・・・」
雪乃「あっ、やっと取れたー。よいしょっと、はい!私が引っ張るから手を伸ばして!」
八幡「はぁはぁ・・・ありがとう。ていうか静かにな・・・」
雪乃「大丈夫?ごめんね?私そんなに重かったかな・・・?」
八幡「い、いや、軽かったぞ。天使の羽が生えてるのかと思っちゃったわ」
八幡(やべーっつい本音が!これは流石に引かれるか?)
雪乃「て、天使って・・・///ほらっ早く手を出してよっ」
八幡(天使がいたよ・・・)
八幡「あ、ありがとう」
雪乃「んっー、はぁっ・・・あなたは少し重いねっ」
八幡「そりゃすいませんでしたね、んしょっと。悪いが先頭を任せてもいいか?」
雪乃「任せて、でも変なところ見ないでね?」
八幡「み、見るわけないだろ!そういう変なこと考えてないで早く行けって、状況分かってるのか?」
雪乃「分かってるよ?でも怖いって気持ちも強いけど、あなたと一緒なら大丈夫って思えるの。なんだか不思議よね。私たちさっき会ったばっかりなのに」
八幡「そうか・・・」
八幡(そういう俺も満更でもなかった。この娘の為に勇気を出そうと思っている自分がいる。)
眠いんで寝ます。なんかゆきのんが幼すぎるってレス多いんですけどそれとなく理由あるんでもう少し待ってください。ヒッキーが大人っぽいのはボッチで本しか読んでなかったとかなんとかっていう設定でオナシャス
雪乃「ううう、でも暗くて前がよく見え・・・きゃぁぁぁぁ!」ガシャーン!
八幡「おい!どうした!っておわぁぁぁ!」
八幡(なっ!急に坂になってる!暗くて気付かなかった・・・!)
八幡「ぐ・・・ぬぬ・・・」
八幡(なんとか堪えて彼女とぶつからないようにしないと・・・)
八幡「おい、大丈夫か!」
雪乃「いたた・・・。うん、なんとか。あ、明かり見えるちょっと待ってて今柵を外すわ。うんっしょっと・・・。」
雪乃「わわっ」
雪乃(少し高いけど降りられるかな?)
雪乃「えいっ・・・!痛っ!」
八幡(降りた音が聞こえた、俺もそろそろ滑るか・・・。お、結構高いな、よく降りれたなあいつ)
八幡「よっこらしょっと、ん?どうした座り込んで?急ぐぞ」
雪乃「あはは、ごめんちょっと降りるのに失敗しちゃって足くじいちゃったみたい・・・」
八幡「・・・歩くのは危ないな。仕方ない。おんぶしてやるよ、ほら」
雪乃「え、え。いいの?」
八幡「大丈夫だ。妹もよくおんぶしているから慣れてる」
雪乃「妹さんがいるの?」
八幡「あぁ、世界一可愛い妹がいるぞ」
雪乃「私は?」
八幡「は?」
雪乃「私はどれくらい可愛い?」
八幡(この娘なにいっちゃってんの?もう早くしないといけないのにぃ!)
八幡「あー、世界一可愛いよ。うん。ほら早く行くぞ」
雪乃「世界一可愛い・・・///」
八幡(ていうか世界一可愛い二人がいたらそれ世界一じゃねぇじゃんか!馬鹿か俺は)
雪乃「そ、それじゃあお願いします・・・」
八幡「はいよっと」
八幡(・・・自然とおんぶしちゃったけど、すっごいはっずい!やべーよ!やわらかいよー!いいにおいしちゃうよー!はっ!いかんいかん今はそんなこと考えてないでクールになれ八幡!早くここから抜け出してこの娘を安全なところに連れて行かないと・・・)
雪乃「ねぇ、無事に逃げれたらあなたに伝えたいことがあるの」
八幡「気になるから今言えよ」
雪乃「そ、それはまだちょっと恥ずかしいというか心の準備が・・・」
八幡「まぁいいけど・・・」
雪乃「私ね・・・今とっても楽しいの」
八幡「は?」
雪乃「だってそうでしょう?まるで物語の登場人物みたい」
八幡「あぁ、そうだな・・・」
雪乃「だから、私を最後まで守ってね・・・約束だよ」ニコッ
八幡「あぁ・・・約束する」
雪乃「ふふっ」
八幡(だが俺は知っている。そんなの本の中の物語だ。現実の世界はそんなに甘くはない。友達も出来ず、周りから悪意の目を常に向けられ居た堪れない人間だっているのだ。世の中いいことばかりじゃない。いいことが続けば悪いことだって起きる。今の現状なんか正にそうだ。あの男だけではなくきっと仲間が出口を見張っているだろうし、見つかった時点でアウトな俺らはどう考えても不利だ。この娘は未だに現実を見ていない。いや見たことがないのだろう)
八幡(それでも、俺はたった今約束してしまったのだ。最後までこの娘を守ると。妹以外と約束したのは初めてかもしれない俺だが、まだこの娘と友達でもなんでもない俺だが、女の子の約束の一つも守れない男に俺はなりたくない)
八幡(だから俺も無事に逃げられたら彼女に伝えよう。俺の初めての友達になってくれと)
八幡「よしっ出口だ。もう少しで外に出れるぞ」
雪乃「うん!」
男「はははっ、脱出ごっこは楽しかったかな・・・?」
八幡「なっ!?」
八幡(やはり現実は甘くないか。分かっていたはずだ。だが、俺にも意地があるこの娘だけでも助けるんだ・・・!)
八幡「いいか、俺があの男に突進して時間を稼ぐからお前は走って逃げろ。足が痛いかもしれないけどそれしかない」
雪乃「で、でもそれだとあなたが・・・」
八幡「たぶん目的はお前だ。俺はすぐに解放されるさ」
雪乃「う、うん分かった・・・」
男「最後の会話は終わったかな?大人しく捕まってくれるなら痛いことはしないよ?」
八幡(チャンスだ。向こうは油断している。近くまで寄って不意打ちすれば、俺でも体制を崩せるかもしれない。)
八幡「近くまで寄って俺が体当たりするからそのまま逃げろ。いいな」コソコソ
雪乃「うん・・・」
八幡「分かりました抵抗しません。」
男「うんうん、素直な子供は好きだよお兄さん」
八幡(そんなの嘘だけどなぁ!食らえ八幡ボンバー!)ただの体当たり
男「うおっ!」
八幡「今だ逃げろ!」
雪乃「うん!」
男「はっはっは。僕は一応ボディーガードとして雪ノ下家につかえてたんだよ?子供の体当たり程度わけないんだよねぇ!」
八幡「うわぁ!」
雪乃「!?」
八幡「早くいけぇ!前を向いて走れぇ!このやろぉぉぉぉぉ!」
雪乃「う、うん!」
男「はぁしつこいなぁ・・・。あんまり子供はいじめたくないんだけどねぇ・・・おらぁ!」
八幡「ごふっ!」ガハッ・・・
八幡(いてぇ・・・マジで殴りやがったな・・・。息が苦しい・・・。やっぱり俺なんかには無理だったのか?)
八幡(いや、それでも・・・それでも・・・)
八幡「お、俺はあの娘を・・・守るって・・・約束したんだ・・・だから・・・だからぁ!・・・諦めてたまるかよぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
男「はぁ、そういうのはお遊びでやってよね。もう君の出番はないよ。うらぁ!」
八幡「ごはっ・・・!」
男「まぁ、外には仲間がいるから今頃お嬢様も捕まっているだろうし、君はなーんにも役に立てなかったね。アハハッ!」
八幡(ははは・・・やっぱり仲間はいるよな・・・俺の行動は全て無駄だったのか・・・。畜生・・・・畜生!)
八幡「それでも守るって・・・約束したんだ・・・あの娘を・・・絶対に・・・!」フラフラ
男「だーかーらーもうそういうのはいいっ」
陽乃「よく言った少年!」
男「!?」
八幡「!?」
陽乃「いやーそんな熱いこと言える少年も今時少ないよー。お姉さんちょっとうるっときちゃった」
陽乃「でもすっごいぼろぼろだね~あの娘の為にこんな体張ったの?かっくぃー!」
八幡(そう言いながら彼女は自然な歩調で俺に近づいてきた。あたかも目の前の男がいないかのように)
八幡「あんたは・・・?」
陽乃「あぁ、私?あの娘のお姉ちゃんだよ」
八幡(やっぱりか・・・)
男「お、おい!」
陽乃「私が来たからにはもう安心だよ~。お姉さんにまっかせなさい!」
男「聞いてるのか!」
陽乃「るっさいな~。ねぇこの私がこんなところにいるんだよ?状況わかんないの?」
男「びくっ」
陽乃「さっさと諦めて大人しくしたほうが身のためだと思うんだけどな~」
男「う、うるせぇ!ここまで来て引き下がれるかよ!そうだ!あんたを捕まえれば・・・!」
陽乃「私が難しいと思って妹を誘拐したくせによく言うね~。そもそもこの私がそんな簡単に捕まるとでも思ってるの?」
陽乃「・・・・・思い上がるなよ愚民が」
八幡(先ほどまでの朗らかな印象のギャップのせいだろうか、彼女のその一言はこの場の空気を氷点下まで下げるのではないかというぐらい冷徹で冷たくとても恐ろしかった)
男「お、うぉぉぉおおお!」
陽乃「あーらよっと」
男「おわぁ!」
八幡(彼女は勢いよく掴みかかろうとした男を軽やかにかわし、そのまま男を受け流した。なにもんだよ・・・)
陽乃「あははっ、焦りと激昂のせいかな?動きが単調だよ~?そんな腕で私んとこのボディーガードだったなんて、あははっ笑える~」
男「うおおお!」
陽乃「で・も。流石の私も大の大人に真っ向から勝てませんので・・・」
パチン
陽乃「みんな~よろしく~」
SP「ハッ!」バタバタ
男「なっ!」ハナセェーーー!
陽乃「はいはい大人しくしましょうね~。そうそう私の妹を誘拐したんだし、あとでじっくり可愛がってあげるから待っててね」ニコッ
男「ヒィッ!」
八幡(こっわ!あの娘と似た顔してるけど笑顔の種類が違いすぎる!)
陽乃「さってと。これでおしまいかなぁ。一応周りの散策もお願いしよっかな」
SP「了解です!」
陽乃「ありがと。ん~、君動ける?」
八幡「動けるっす・・・」
八幡(本当は体中痛いっす!)
陽乃「さっすが男の子~。じゃあこっち来て、応急手当しなきゃね」
八幡「え、いやでも・・・」
陽乃「もぉー遠慮しないの。ささっこっちこっち」
八幡「はい・・・」
陽乃「ふっふっふー。この私が直々に手当てしてあげようじゃないの~。役得だぞ~このこのっ~」
八幡「いた、痛いっす。いや自分で、できます・・・」
陽乃「・・・あの娘を助けてくれたお礼だよ少年」
八幡「いや・・・俺は何も・・・」
陽乃「一人じゃないってだけでもあの娘の心象は違っていたと思うの。君と一緒だったおかげでショックは軽かったはずだよ」
八幡「・・・」
八幡(でも俺は結局あの娘を助けられなかった・・・。この人たちが来なかったらなんて考えるだけでも恐ろしい。そうだあの娘は大丈夫だろうか)
陽乃「あ、今あの娘のこと考えてる?」
八幡「!?」
陽乃「大丈夫だよー、あっちの車で手当てしてもらってるんじゃないかな」
八幡「そうですか・・・よかったです」
八幡(この人エスパーかよ!)
八幡(あ、そういえばこの人たちはどうしてここがわかったんだ?)
陽乃「今度はここがなんでわかったんだーっ思ってる?」
八幡「!?」
八幡(え、まじでエスパーさんなの?俺の心中覗かれちゃってるの?きゃぁ!恥ずかしい!)
陽乃「あっはっはっは!君ってすごい顔にでやすいね~見てるとすぐ分かっちゃうよ~」
八幡「まじですか」
陽乃「うんっ、もう丸分かりっ。ん~まぁ話すと少し長くなっちゃうからなぁ。簡単に説明するとこの件を大事にしたくないから身内でなんとか収めよーって話になってて、見かねた私が独自に動いて助けに来たって感じかな?」
陽乃「はいっ!それではこの話が気になる人は本編の後で!」
八幡「誰に言ってんですか・・・」
陽乃「な、い、し、ょ。」フフッ
八幡(よく分からない人だな・・・)
陽乃「ねぇ、ちょっと質問していいかな」
八幡「な、なんですか?」
陽乃「あぁ、別にそこまで畏まらなくていいよ。あなたから見てあの娘ってどんな風に見える?」
八幡「えーっと・・・世間知らずなお嬢様?」
陽乃「ぶっ・・・。あっはっは!まさにその通りだ!」
八幡「あと純真すぎるっていうか・・・」
陽乃「・・・やっぱりそう見えちゃうか~」
八幡「いきなりどうしたんですか?」
陽乃「んー、一般人から見てもそう見えるんだなーって確認したかっただけ」
陽乃「あの娘はね。ものすっごい甘やかされて育てられたの。母さんは基本的に私のことしか見てないけど、私と父さんが溺愛しすぎちゃってね」
陽乃「学校でもクラスメートの子に仲良くしてねって根回しもしちゃってさ。本当余計なことしちゃったなー。私がいなくなったら心配だよ・・・ははっ」
陽乃「そこでやっと私は気付いたんだ。今の状況はあの娘のためにならないなって」
陽乃「だから今回の件はあの娘にとっていい機会だったのかも。世間は怖いんだぞーってさ。ねっ?」
八幡「・・・そうですね」
陽乃「ははっ、ごめんねこんな話しちゃって!君には感謝しているよ。親御さんには私たちから説明しとくから安心して!」
陽乃「よしっ、はい手当て完了!」
八幡「あ、ありがとうございます」
陽乃「一応病院で診てもらった方がいいかもね。その前にあの娘に会ってく?」
八幡「あぁ、はい」
陽乃「オッケー!ちょーっと待っててね!」
八幡(あの娘の純粋さは異常だとは薄々思っていたが、なるほど家庭の環境からだったのか。というか下の学年のクラスメートにまで仲良くさせる影響力ってどんだけだよ)
八幡(本人は遠慮されてるって言ってたけどそれは怖かったんだろうな。あの人に脅迫されたら従うしかない。それが上級生だったら恐ろしくてまともにその妹となんて会話なんてできない)
八幡(確かにお姉ちゃんさんがいなくなったら今まで募りに募った感情が爆発し、その全ての悪意があの娘に流れ込むのは自明だ。今の彼女はきっとその悪意に耐えられないだろう。)
八幡(今回の誘拐で現実の怖さに気付いただろうと言っていたが、恐らくまだ気付いていない。彼女はこれが物語みたいだと言っていた。現実を正しく認識しないで楽しんでいたじゃないか。ならその原因は一体なんだ?)
八幡(はははっ簡単じゃないか。俺の存在だ。俺がいなければ彼女は今回の一件で大人になれたのかもしれない。ならその責任を取るのはやはり俺なのだ)
八幡(なら俺がこれから取る行動は一つしかない・・・)
陽乃「はぁーい、お待たせ~。お姫様を連れてきたよん。ささっ雪乃ちゃん王子様がそこにいるから早くいったいった~」
雪乃「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!か、からかわないでよっ///」
陽乃「うふっふ~。そうね~。あとはお若いお二人に任せちゃおっかな?ではではちゃお~」
雪乃「もう!お姉ちゃん!」
雪乃「あ、ご、ごめんねお姉ちゃんに変なこと言われてない?」
八幡「あぁ大丈夫だ」
雪乃「そ、そっか・・・。えっとさっきはありがとね・・・すごく嬉しかった」
八幡(やめてくれ・・・俺はそんな人間じゃない)
雪乃「で、でねさっき伝えたいことがあるって言ったじゃない?」
八幡(俺は彼女を守ると約束した。さっきは守れなかったけれど・・・。だけど俺は彼女の未来を少しでも守りたい)
雪乃「あの・・・よかったらその・・・」
八幡(だから俺はここで彼女の礎になろう。俺にはそれくらいしか出来ない。覚悟は決めた。ここからは私情を挟まず、冷徹になり、心を殺して言葉だけしゃべろ)
雪乃「わ、私と友だ」
八幡(でもこれだけは。これだけは心の中で呟かせてくれてもいいよな。・・・・・ごめん)
八幡「はーあ、本当やってらんねーわ」
雪乃「ちに・・・え?」
寝ます・・・。明日にはたぶん終わりそうです。時間があったら陽乃んの話も書きたいなーって思ってます。
八幡「道案内するだけだったのこんな大怪我しゃってさー」
雪乃「ご、ごめんね・・・」
八幡「ごめんじゃないでしょ。さっきから体中痛くて死にそうだわー。てか最初に怪我の心配しろよな。どんだけ自己中なんだよお前」
雪乃「ごめん・・・」
八幡「よかれと思って行動したら誘拐?ふざけんなよ。なんで俺まで巻き込まれてんの?」
雪乃「ごめんなさい・・・」
八幡「お前さ。これが物語みたーいとかお気楽なこと言ってたよな?俺はあの時怖くて怖くてたまんなかったぞ。見つかったら痛いことされるってな」
雪乃「でもあなたは!私が足をくじいたときに手を差し伸べて・・・」
八幡「あ、あれは・・・お前に恩を売っておけば後々便利かなって思っただけだ。お前お嬢様なんだろ?お金持ちならお礼にお金くれるかもってな」
雪乃「そんな・・・!」
八幡「大体さぁ、世の中甘く見すぎなんじゃねぇの?損得考えずにお前なんか助けるかよ」
雪乃「ひどい!そんなこと言う人じゃないと思ってたのに!」
八幡「そういう勝手な自分の理想像を相手に押し付けないでくれる?迷惑だわ。これが俺なんだよ。わかったか?」
雪乃「初めて・・・初めてお友達が出来ると思ったのに・・・」
八幡「友達?はっ簡便してほしいね。お前となんて友達になってやるかよ。もう一生俺の前に現れるな。この疫病神・・・!」
雪乃「う、うわぁぁぁぁぁん!」
八幡「はっ、泣けばいいってもんじゃねぇぞ。・・・じゃあな」
八幡(・・・これが彼女の為になるかは分からない。ましてやこれがきっかけで塞ぎこんでしまうかもしまうかもしれない。でも彼女にはあの姉がいるのだ。きっと大丈夫強くなれる。)
八幡(自惚れかもしれないが、俺というトラウマは彼女の記憶にきっと留まり続けるだろう。それだけでいいはずだ。こういうこともあるんだと彼女が認識するだけで大分違うはずだ)
八幡(自分の今の行動に全く自信はない。だけどきっと意味はあったと思う。そう信じたい・・・)
陽乃「やっ。いやまさかあんなことしでかすとは思わなかったよ?私の妹を泣かせた罪は重いぞっ」デコピン
八幡「いたっ・・・。聞いていたんですか・・・」
陽乃「まぁね~。君の雰囲気がさっきと違ったから気になってね」
八幡「すいません・・・」
陽乃「謝るのは私じゃなくてあの娘だと思うけどな~」
八幡「それは・・・ちょっと・・・」
陽乃「そりゃそうか。ていうかあんなことしても、あの娘は自分の境遇とか家柄のせいだー私のせいだーとしか思わないんじゃないかな?」
八幡「そうかもしれません・・・けど、周りの人間が皆いいやつじゃないって少しでも気付いてくれたらって・・・」
陽乃「別に君にそんなお節介頼んでないけど?」
八幡「そ、そんなの俺の勝手じゃないですか。ていうか綺麗ごと並べてただ鬱憤を晴らしたかっただけかもしれないですよ?」
陽乃「本当にそうだったら私は君を許すわけにはいかないな~」
八幡「・・・」
陽乃「ははっ、まぁ君の場合隠し事は出来そうもないね。私の前では♪」
八幡「・・・はぁ」
陽乃「あの娘は、強くなれるかな」
八幡「さぁ?これからなんじゃないですか?俺のことなんてすぐに忘れて立ち直るかもしれませんしね」
陽乃「あははっ、そうならいいんだけどね。あぁそうだ。よかったら送っていくよ?」
八幡「いえ、歩いて帰れます。じゃ俺はここで・・・」
陽乃「・・・ねぇ、君はあの娘と友達になりたかったんじゃないの?」
八幡「・・・」
陽乃「そっ・・・。あぁ、そうだ君の名前は?」
八幡「どこにでもいるボッチですよ。名乗るほどじゃないっす」
陽乃「ふーん。あなたとはまたどこかで会える気がするな~」
八幡「それはちょっと遠慮したいですね・・・」
陽乃「はははっ、この正直者め~。うん。じゃあね 君」
八幡(・・・これで終わりだ。これは俺の自己満足の世界だ。本当に気持ち悪い。自分がやったこと全てが正しいと思って突っ走って、誰かの為になると本気で思っている。)
八幡(思い上がりだ。そんなことあるはずない。相手が何を考えているのかも分からないし、何が正しいのかも分からない。)
八幡(友達が出来ずどうやったら皆は楽しんでくれるとか、どうやったらその輪に入れるのか必死に考えて空回りして、省かれて)
八幡(絶望し、この世の全てを恨んで落ち込み自分が嫌になった。だから俺は周りを観察し、邪魔にならないように努力し行動してきた。)
八幡(でも未だに心の奥そこでは期待して、もしかしたら俺は必要とされてるんじゃないかと希望を持っている自分がいるんだ)
八幡(必要とされて、期待されたのに、彼女を守れなかった・・・。)
八幡(そう、俺は所詮その程度の人間だ。だからこれは、自分の為なのだ。彼女の為にじゃない。俺の自己肯定だ)
八幡(すごく頑張った。彼女の為に力になれた。そう思い込まなければ俺は自分を見失いそうになってしまう。)
八幡(もっと俺も強くならなきゃな・・・)
八幡(にしても今日は疲れたな・・・家に帰って早く寝よう・・・)
八幡(その後、なんとか自宅に帰ったら小町が俺の惨たらしい怪我を見て「お兄ちゃんが死んじゃうぅぅぅ!」なんて大泣きして、俺も釣られて泣いてしまった。)
八幡(親には正直に話したが、怒りもせず、「ただそっか頑張ったんだな」としか言ってくれなかった。そういうのが一番心にくるんですよね・・・)
………
……
…
『現在』
八幡「うーっす」
雪乃「こんにちは」
八幡「あぁ」
雪乃「・・・由比々浜さんは?」
八幡「あー、なんか三浦たちと急遽遊ぶ予定はいちゃって今日部活いけないってゆきのんに謝っておいてって言ってたな」
雪乃「そう・・・」
雪乃「ねぇ、比企谷君。少し昔話をしてもいいかしら?」
八幡「ん?どうしたやぶからスティックに。まぁ聞くだけならただだしな。いいぜ聞いてやるよ」
雪乃「なんで上から目線なのかしら・・・。まぁいいわ」
雪乃「私、実は小学生の頃に誘拐されたことがあってね。」
八幡「ほー、そりゃ大変だったな」
雪乃「当時の私はとても純真で可愛らしい女の子だったわ」
八幡「何言っちゃってんの?お前が純真とか片腹痛いんだけど」
雪乃「こほん・・・。私はその日姉さんを迎えに行こうとしたのだけれど珍しく迷子になってしまってね」
八幡「いつも通りの間違いなんじゃ・・・」
雪乃「ぎろっ」
八幡「雪ノ下さんが迷子になるわけないっすよねー!」
雪乃「あなた、聞くだけも出来ないの?」
八幡「へーへー、すいませんねぇ」
雪乃「そんな困っている私を公園に居た男の子が道案内をしてくれると言ってくれたわ。」
八幡(ん?なんか身に覚えのある話だな・・・)
雪乃「それでなんだかんだ誘拐されちゃってね・・・」
八幡「なんかすごい省略された感が・・・」
雪乃「特に何もなかったのよ。その後彼と一緒に脱出しようと頑張ったわ。少しトラブルもあったけどなんとか出口まで来れたの」
雪乃「でも、現実はそんな甘くないわよね。誘拐犯に見つかってしまい、私は彼のおかげで外には出れたけど誘拐犯の仲間に捕まってしまい、これまでかなって思ったら、姉さんが助けに来てくれたわ。」
八幡「流石雪ノ下さんだな」
雪乃「そうね、その後は犯人も全員捕まり、私も彼も介抱を受けた後私は彼に伝えたいことがたくさんあったわ。姉さんの助けもあったけど彼がいなかったら私はずっとあの部屋で怯えていただろうしね」
雪乃「でも彼は私を否定してきたの。私は彼が王子様のように見えたから、とてもショックで大泣きしてしまったの。彼は言っていたわ世の中はそんな甘くない、キレイな世界じゃないんだと。」
雪乃「私はその後考えたの。本当にそうなのかなって。私って小さい頃かなり甘やかされてて現実が見えてなかったのよね。彼の言うとおりだったわ。」
雪乃「姉さんが卒業した後、同学年の女子は私に牙を向けるようになったわ、彼とのあの決別がなかったら、悪意による心構えが出来ていない私だったら、そのときにきっと私は塞ぎこんでしまっていたかもしれないわ」
雪乃「私はね、姉や彼のような強さが羨ましかったの。少しでも近づきたくて努力し、刃向かう奴らは皆蹴落としてきたわ」
雪乃「でもね、そんな完璧さを求め続けていても1つだけ手に入らないものがあったの」
雪乃「私はあの時にちゃんと彼に伝えられなくて後悔してたのね」
八幡「あ、あのな雪ノ下・・・その・・・」
雪乃「だからね比企谷君。何度も振っちゃってたけどこれでおあいこよ?」
雪乃「こほん・・・改めて私から言うわ」
雪乃「あの時は私のそばに居てくれてありがとう。私と・・・友達になってれる?」
八幡「はーあ・・・。最後まで守るって約束しちまったしな。おおせのままにお姫様」
雪乃「ふふっ・・・」
fin
とりあえず初投稿だったんで頑張って最後まで書いたけど向いてないっすわ自分。ほんと、駄作ですいません!後半とかもうノリで書いちゃってうわーって感じです。正直幼い二人のいちゃいちゃだけ書けばよかったなーって後悔してます・・・。小難しいこと考えるの疲れたっす・・・。最後まで読んでくれた方はありがとうございます・・・。
おつおつ
今からそのイチャイチャ書けば良いと思うよ?
はるのん劇場も書こうと思ったけど疲れちゃったよ
大事なとこ誤字っちゃダメだろう!
とにかく乙
このSSまとめへのコメント
ゆきのん可愛い!
9歳でこの会話は出来ないと思うが・・・
面白かったです!
ロリのん可愛い