男「安価で異能バトル……?」 (71)
男「夢を見たんだ」
男「能力をもらう夢」
男「厨二じみてるがどうやらこれはマジな奴みたいだ」
男「俺、能力的なものを使える。そんな気がする」
男「漠然とした感じだけど、発動できるという『確信』があるんだ」
男「夢の中で俺が貰った能力は……↓2」
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男「サイズ変更だってさ。全身を1cmから2mくらいまで変更できるんだ」
男「部分的なサイズ変更は無理。発動してから思った通りの大きさになるまで5秒くらいかかる」
男「何回もサイズ変更はできない。小さくなった後、戻るだけでかなり疲れた。1日1回ってところだな」
男「制限時間もある。10分だ。それを過ぎると元の身長に戻る」
男「なんでそんな詳しいことが分かるかって? 説明はできないが頭のなかに説明書みたいなのがあるんだよ」
男「それを読んでるだけさ」
男「しっかしこの能力、ちょっと使い道がわからないな」
男「ま、追々わかってくるんだろ」
男「分からないといえば……俺の手のひら」
男「俺の手のひらにはこんなことが書いてある」
経験値0/1
男「経験値って……レベルアップするみたいじゃないか」
男「ん~、とりあえず今は↓1をするか」
男「座禅でもするか。瞑想しながら色々考えるんだ」
男「……」
男(最近なにかと物騒な事件が多いな)
男(殺人事件やら暴行事件やら)
男(ま、このあたりは平和でそんなことが起こるなんてこたぁないだろうけどな)
男(俺の能力と経験値、色々探ってみる必要は「かぁぁぁつッ!」バシィィィッ!
男「いでっ!?」
?「なっとらん! なっとらんのじゃ!」
男「じ、爺さん!」
和尚「和尚と呼べと言っておろうが」
和尚「座禅は考え事の時間ではない。自我を取り払い、それ以外のものを感じる修行なのじゃ!」
男(この爺さんは『和尚』。俺の遠い親戚で、両親が死んだ俺をここまで面倒見てくれたんだ)
和尚「自ら修行するその心構えはけっこう。飯ができたぞ。ここまでにして茶の間に来い」
男(厳しいところもあるけど、基本は気のいい爺さんだ)
和尚「お前がこの寺を継いでくれればいいんじゃがのう」ブツブツ
男「あー今日も飯がうまいなー」
和尚「無視するでない!」
男(ここはボロ寺。檀家さんが多いからなんとか食えてるが、ここを切り盛りしてるのは爺さん)
男(……とたまに俺、だけ)
男(ことあるごとに爺さんは俺にこの寺を継がせようとしてるけど……)
男「ふぅ~、ごっそさん。朝飯も食い終わったし↓1でもするか」
男「寺の掃除でもするかー」
男「おい爺さん。掃除は俺に任せろよ。休んでな」
和尚「おう、すまんの。ゆっくり休ませてもらうわい」
…
男「こんなもんかな。寺掃除も10年続ければこんなもんよ」
男(爺さんには昔色々と迷惑かけたもんな。これくらいしねーと)
男(今の俺は所謂フリーター。大学まで出させてもらったが、就職先が全然決まらず早半年)
男(ここで手伝いながらアルバイトする毎日だ)
男(もちろん就職先も平行して探し中。でもなかなか現実はうまくいかないんだよなぁ)
・・・
男「どうだい爺さん。綺麗になっただろ?」
和尚「ふうむ。悪くない。ご苦労じゃったな」
男「これで掃除も終わりだ。次は↓1をしよう」
男「こう新たな能力に目覚めてくれねーかなぁ」
男「なんかもっとかっこいい能力とかさぁ。ほら! ほら! 能力! 目覚めろ!」
男(この後俺は庭で何回か正拳突きしまくったがどうにもならなかった)
男(新しい能力を目覚めさせるのと経験値は何か関係してるのかもな)
男(いや、そうに違いない。早く経験値たまんねーかなぁ)
……
男「能力開発(笑)にも飽きたし、街の方に行ってみるかぁ」
男「どこあたりに行こうかな↓1(施設名など)」
男「美少女の家に行ってみるか」
男(『美少女』っていうのはうちの寺の檀家さんの娘のことだ。俺の友達の一人)
男(体が弱くて家に引きこもりがちだからたまに会いに行くようになったんだ)
男(今日もどうせ暇してるんだろうから……)
男「えーとスクーターのキーは……っと」
男(異能に目覚めたからって日常ががらっと変わるなんて漫画だけの話だよな、やっぱり)
…
男「着いた」
男(いつ見てもデカい家だ。街一番の金持ちと言われるだけある)
ピンポーン
男「ちわーっす」
執事『男様ですね。今門を開けます』
男「うぃーす」
美少女「ごきげんよう、男様」
男「おう、来たぜ」
美少女「来ていただけてうれしいです……この家は広すぎて寂しいから」
男「みたいだな」
男(こうやって暫く話したり、俺が持ってきた漫画読んだり、ゲームしたりするんだ)
男(外のものってだけでかなり珍しがるんだよなぁ)
男(妹なんていたらこんな感じなのかな)
美少女「今日は何をして遊びますの?」
男「そうだなぁ↓1」
男「かくれんぼでもしようか。ここ広いし」
美少女「たのしそう! やりましょうやりましょう!」
執事「男様、美少女様に無理をさせませぬよう気をつけてお遊びくださいね」
男「わかってるって! まかせろ!」
男(こいつは『執事』。最近突然やめた『執事長』に代わって美少女の面倒見てる人だ)
男(若いけどなかなか頼れるひとだな)
男「ここは能力を使って隠れる側になりたいが……」
美少女「なんですの?」
男「いや、なんでもない。アレ使ったらフェアじゃないもんな」
男「俺が鬼になるよ。30秒数えるから隠れな」
美少女「はいっ!」
…
男「さーんじゅっ! もうーかーい?」
男「……」
男「探すか」
…
男「あれー?」
男(美少女にしては隠れるのがうますぎる。見つからないな)
男(暗い場所や狭い場所に隠れてるなら、10分もすれば怖くなって泣きながら出てくるはずだが)
男「美少女―?」
男「っかしいな。どうしよ。探す所は探し終えたはずなんだけどなぁ」
男「誰か聞くか、もいちど探してまわるか……↓1するか」
男「美少女の弟に話を聞くか。でも終え、さっきあいつの部屋にも探しに行ったんだよなぁ」
・・・
美少女の弟「どうしたんだよアニキ。まだ姉ちゃん見つかんねぇの?」
男(こいつは『美少女の弟』。反抗期まっただ中の小学生だ)
男(俺にはなつくかわいいやつだ。クソ生意気だがな!)
男「なんか見てない?」
美少女の弟「あー、うー」
男(何か隠してんな)
男「教えてくれたらゲーム貸してやるよ」
美少女の弟「……乗った。さすがアニキ、未来の義兄だな」
男「気が早い」
美少女の弟「実はさ。アニキが探しに来た時、姉ちゃんこの部屋に隠れてたんだよね」
男(なんかクローゼットのあたり調べるのを阻止されたのはそれが理由か)
美少女の弟「その後、姉ちゃん『男様がまた探しに来るかもしれないので』って別の隠れ場所を探しに行ったんだ」
男「ほお」
美少女の弟「執事も参加しちゃって『とっておきの隠れ場所があります』なんて言ってさ、どっか行っちゃったよ」
男「執事か……盲点だったな。美少女の弟、『とっておきの隠れ場所』ってどこか知ってるか?」
美少女の弟「分かんないよさすがに。俺が教えられるのはここまで! さ、ゲーム貸して!」
男「はいはい」
男(どこに行ったかわからないが、執事が美少女を連れて行ったのは分かった。さてと……・↓1)
美少女の弟「マリカー♪ マリカー♪ あっ!」
男「どうしたんだよ急に」
美少女の弟「アニキにさぁ、相談したいことがあんだけど」
男「どうした? ……!」
男(美少女の弟の開かれた手のひらに書かれた『経験値0/1』の字)
男(まさか……俺と同じ能力者!?)
男「美少女の弟、お前、何か『使える』ようになったんじゃないか?」
美少女の弟「ん、あぁ! おれねおれね! ↓2が使える能力をもらった気がするんだよな!」
男「お菓子作りの能力?」
美少女の弟「ほら!」ポン! ポポン!
男(美少女の弟の手を叩いたところからクッキーや飴玉が『包装された状態で』現れた)
男(ポケットを叩くとビスケットが~の要領で完成した状態菓子が。あいつ得意げだな。学校でも自慢すんのか)
美少女の弟「おれが食ったことあるものならなんでも出るんだ! 続けて10個も出すとすげー疲れるけどな!」
美少女の弟「ねーちゃん『おやつは一日一回』って言うからひどいよなぁ。でも、これからは食べ放題だぜ! ぐふ」
男「おお……あ! そうだ、美少女の弟。お前も姉ちゃん探しに付き合ってくれないか?」
美少女の弟「えぇー」
男「スマブラも貸す」
美少女の弟「アニキ大好き!」
男「これで買収は完了だ。あとは執事といると思われる美少女を探すだけだが……どうしよう? ↓1」
男「美少女の弟、お前先に探しててくれ」
美少女の弟「アニキはどうするんだよ」
男「俺は美少女の部屋にいたずらを仕掛ける」
美少女の弟「またブーブークッションかよぉ」
男「蛇蛙だと具合悪くなっちまうからな。今日は特に音のでかいクッションを仕掛けるぞ」
美少女の弟「付き合いきれねぇよぉ。じゃ、アニキ。おれ、行ってくるから!」
男「あぁ! 頼んだ!」
美少女の弟「姉ちゃーん! ねえちゃ―ん!?」
執事「……」
美少女の弟「あっ、執事じゃん!」
執事「美少女の弟様でしたか。どうか……なさいましたか?」
美少女の弟「アニキに頼まれてねえちゃんを探してるんだよ!」
美少女の弟「姉ちゃんどこにいるか教えてくんねぇ?」
執事「……それはできません」
美少女の弟「えっ、なんで――」
ドサッ
執事「……殺しはしませんよ。ただ眠ってもらっただけです」
美少女の弟「」
執事「よっこいしょ……さ、行きましょう美少女の弟様。『とっておきの隠れ場所』へ」
執事「後はあの男だけですかね……」
一方、寺では
和尚「むむむむ、何かが来ておる!」
…
男「美少女の弟の奴までいなくなりやがった」
男「おーい! んだよ、みんなしていなくなりやがって」
男「俺も暇じゃないんだってーの!」
男「俺の探し方が下手なだけか?」
男「ん~」
執事「……」
男「お、おい執事! あのさ、美少女と――」
ガッ
男「あっ……ぶねーな! 何で掴みかかろうとするんだよ!」
執事「教える必要はありません」ガッ!
男「どういうつもりだよ!」
男(なんだ……なんなんだよこいつ。急に俺に掴みかかって来たりなんかして)
執事「あなたには死んでもらいます」
男(大丈夫かこいつ。救急車呼ぼうかな。携帯、携帯……)
執事「おっと! 警察を呼ぶのですか? その場合……やむを得ません」
執事「この屋敷に火を放ちます」
男「……!?」
男(え、え、なんだ。なんだよこの展開。漫画か?)
男(執事が何を言ってるのかよく分からんし、なんで急に俺を殺そうとするのかも分からん。とにかく今は……↓1)
男(し、執事を小さくしてコップかなんかに入れちまえば……)
男(だ、ダメだ! サイズを変えられるのは『俺自身だけ』! 執事を小さくなんかできねぇ)
執事「出来るだけ楽に……と思いましたが、シチュエーションの関係上『もみ合っている内に私がうっかり殴り殺してしまった』ということにしたいので」
執事「この旦那様が普段使っておられる大理石の灰皿で後頭部に致命傷を負わせましょう」
執事「さぁ、諦めて……」
男「あ、あぁ、やべぇ……死ぬっ!? ↓1」
男(能力も戦闘向きじゃないしなぁ。……ならはったりを決めこんでやらぁ!)
男「ふふふ……寺育ちをあまり舐めない方が良い。波ァッ!」
執事「なにィッ!」
男(怯んだ! 寺育ちはスゴい、俺は色んな意味で思った)
執事「……!」
男(その時俺は気づいた。俺がカッコつけて出した掌を執事がジッと見ていることに……!)
執事「ほぉ……男様も『能力者』でいらっしゃるとは」
男「!」
執事「奇遇ですねぇ。私も……」
執事「『そう』なんです!」
男「お、お前も!?」
男(執事の野郎が俺に自分の掌を見せつけてきやがった。そこには『れべる2 経験値0/2』と書かれていて……!)
執事「尚更生かしては置けなくなりました。レベルが1のうちに……殺してしまいましょう!」
男「うわぁああッ! (あんにゃろう躊躇なく俺に灰皿で殴りかかって! ……なら、↓1だ!)」
男(……正当防衛だよな!)
男「おらっ! 俺の身体! 小さくなりやがれ!」シュルル…
執事「何を……! あ、どこに消えた!?」
男(縮小)(うまく見えなくなったみたいだな。……このまま奴の口の中に入り込んで体内で能力を解除する! そうすればアイツを……殺しちまうかもしれないが)
執事「後ろか! 前か!?」ドタドタ
男「っとアブねっ!(小さくなってるから踏みつけられそうだ。さすがにうまくはいかねーぞ)」
執事「くそっ、どこに隠れている!(迷彩能力、高速移動能力、考えられるのはそれくらいか。しかし私にも↓1という能力がある!)」
執事(こうなればヤケだ。執事長の時のように奴を!)
執事(『平行世界の運営』。レベル1では『平行世界における自分とその周辺の数分先の未来視』のみの能力でしたが……『経験値を得ることで能力が拡張』)
執事(レベル2は『未来視』できる時間範囲が30分近くまで伸びました)
執事(さらに新たな効果『自分以外のもの全てを平行世界へ自由に移動させる』こともできるようになり……最強へと近づきつつあります)
執事(私の目指す『理想の人間のみで構成された世界』を作り上げる為、美少女様や美少女の弟様には平行世界へ移動してもらったのですが……)
執事(問題は『男』。私の未来視では、彼は私を内部から破壊し殺すつもりのようです)
執事(私の口からメキメキと飛び出すところを見る限り、能力は『身体の縮小化』といったところでしょう)
執事(この辺りに小さくなって潜んでいる、ということは……!)
執事(この屋敷から遠くへ離れた方が良いということですかね)
…
男(あぁっ! 執事が何かに気づいたみたいにどっかへ行こうとしてるぞ!)
男(くそっ、小さいままじゃ追いかけられねぇ! ↓1)
男(作戦変更だ。能力解除してそのまま巨大化!)グンッ!
男「おおおおッ!」ゴゴゴゴッ
男「おおっ、2.5mくらいになれた! 筋肉もそれなりに増強されるみたいだな!」
男(しかしもう今日は能力使えないぞ。見えるのは俺を後目に屋敷の奥に逃げていく執事。こいつを……とりあえずとっつかまえないと)
男(掴みかかって来た時と比べて疲れてるみたいだな)
男(逃げたところを見ると、アイツは俺の能力を知っていた……?)
男(走れば追い付くぞ。どうする……↓1)
男「追いかけるっ!」ダダッ
男(執事は新参の使用人。この屋敷で遊び尽くした俺の方が構造を知っている!)
…
執事「はぁ……はぁ……」
執事(逃げ切ったか。未来視の使いすぎで疲れました……。やっと厨房まで隠れられた)
執事(それにしてもあの男の能力……一体――)
男「よう」
執事「!」
男「リビングから厨房まで行くには近道があってよォ。大広間から客室をまっすぐ抜けて、ベランダに出ると……すぐ、なんだよなァ」
執事(に、逃げねば……やられる! 『未来視』発動!)
執事(な、なんてことだ)
執事(どの未来の私がどんな場所に隠れていようと……男が見つけてしまう!)
執事(逃げても、逃げても逃げても逃げても! 『逃げ切る』未来が私の未来に存在していないだとォ!)
男「おぅ、一発二発殴らせろ。話はその後で聞く」
男(こんなことしたのバレたら爺に怒られるかもしれねぇが)
バキッ
執事「う、うぐ、うぐぅ……」
男「どんな能力使うか分かんねーからとりあえずどんな能力でも使えないくらい殴っといたんだが……」
執事「クソぉ、私の野望が……」
男「もっぺん殴ったろかい!」
執事「うぐ」
男「……ったく。何か聞くかどうするか……↓1」
男「美少女と弟はどこだよ? 無事か?」
執事「……お二人は『平行世界』に移動させました。無事のはずです」
男「『平行世界』だって!?」
執事「『現在の私』を起点とした、『現在の私』から始まる分岐を元にした別世界です。そこにお二人がいます」
男「そんなことしてどうする――」
執事「私が選んだ『優れた人間』のみが構成する平行世界を作るためです。最初に私が選んだのがあのお二人……」
執事「私の選定から外れた人間はいらないのですよ」
男「……はぁ。話にならねぇ、とにかくこいつが二人を隠しちまったんだな。次はどうする↓1」
男「なんでそんなことすんだよ」
執事「何故? 愚問ですね。あなたも夢を見たのでしょう?」
男「あ、あぁ」
執事「私は能力を得た時、自分は神になれると確信したのです。この力さえあれば……レベルを上げれば……神に!」
男「いやないだろ。ないよ、ないない。能力には制約とかあるみたいだし」
執事「……無欲なのですね」
男「毎朝座禅してるだけあるな」
執事「ふん。所詮あなたは私の選定から外れた人間です」
男「ボコボコにされたお前が言えるセリフかね」バキッ
執事「う、うぐ」
男「大男なめんなよ。加減とかできないから[ピーーー]かも知れんからな」
執事「……」
男「黙っちまったよ。どうする↓1」
男「その平行世界とやらに送った二人を戻すことはできるのか?」
執事「えぇ、できます。ですが……しませんよ」
男「お前自分の立場分かってるの?」
執事「ぐっ……戻しましょう」
…
美少女の弟「アニキ~、ごわ゛がっ゛だよ゛ぉ」グスグス
美少女「男様……いったいこれは……」
美少女の弟「執事の奴がおれを殴ってどっかに連れてったんだ! それで……」
美少女「えっ……」
男「まあ、そういうことらしい。二人は執事にある場所に『監禁』されてた」
美少女「そう……執事様が『隠れていれば見つからないから』って言うものですから私よく分からないまま……」
男「……さてと、ここからは執事をどうするかだな。まだこの経験値のシステムもよく分からないんだが↓1」
男(色んな能力があるっぽいし、中にはエロい能力を持った奴もいるよな)
男(そいつを探すとするか)
男「執事の処断は二人に任せる」
執事「こ、殺さないのですか」
男「人殺しなんてできるかよ。俺がたっぷり絞ったんだから後は二人に任せる」
男(エロい能力者を探したいし)
美少女「……執事様、どうしてこんなことを?」
執事「私は――」
…
美少女「……」
美少女「異能の話はにわかに信じがたいですが……執事様、私には『この世界』でやりたいことがたくさんあります」
美少女「ですから、あなたの思想には賛同できません。そして男様を……殺そうとしたことも許せません」
執事「……」
美少女「この屋敷から今すぐ立ち去ってください。私と弟と男様に二度とその顔を見せないこと」
執事「……そんな、私は!」
美少女「この屋敷の主は私です。使用人が主に逆らうの!?」
執事「ひっ……」
…
男(美少女に言われてから執事はすぐにこの屋敷から出た)
男(奴が逆恨みしてまたここへ来たらと思うと不安だが……)
男(それと分かったことがある。能力者は悪い奴もいるってことだ)
男(執事みたいに能力に目覚めた途端、変な使命感が湧いて凶行に出る奴がまだまだいるかもしれない)
男(美少女の弟みたいに能力を悪用できないのならいいが……うーん、まだ異能については分からないことだらけだ)
男「俺、そろそろ行くよ」
美少女「男様……今日はありがとうございました」
男「大したことじゃないよ。こっちこそ門まで見送ってもらってありがとよ」
美少女「大したことじゃありませんよ、ふふっ。では……また遊びに来てくださいね。弟も待ってますから」
男「おう、そうだな。また来るよ。じゃ――」
…
男(寺に帰るのには早すぎるし、エロ能力者を探すか。……脱童貞だ)
男(どうやって探すかな↓1)
男(親友の家に行ってみるか。アイツなら何か分かるかもしれない)
男(『親友』は情報通だ。きっとこの能力のことだって……)
……
親友「すまない。分からんな」
男「あ、そう……」
親友「しかし不思議なものだな。タトゥーのように掌に字が書かれている」
男「ベタベタさわんなくすぐったい。知らないってことはエロ能力者はお預けかぁ」
親友「またエロか。お前はエロばっかりだな。美少女ちゃんは違うのか?」
男「妹みたいなもんだよ。7つも年離れてるし……」
親友「仕方のないやつだ。しかし面白い話だな。『サイズ変化』『お菓子作り』『平行世界運営』そんなスケールのデカい異能を持つ人間が三人もいるだなんて」
男「いい迷惑だ。俺の能力なんて使いどころ分からんし」
親友「……お前、その能力があったらのぞき放題じゃないか。小さくなって更衣室なり女風呂に潜めば」
男「!」
男「天才かお前! そうと決まれば――」
親友「アホか、冗談だぞ。10分しか能力が持続しないんだろ? 小さくなれば縮尺も変わる。5m平米も体育館クラスの広さに早変わりだ」
男「……」
親友「踏まれたら死ぬぞ? その広さの場所を10分間走り回りながら覗けるか?」
男「……無理」
親友「諦めるんだな」
男(親友に聞けることはあるかな? それとも他の場所に行くか?↓1)
男「とりあえず一緒に能力について調べようぜ。お前頭いいしさ」
親友「いいだろう、親友の頼みだからな。とは言ってもまだ俺の知る能力は3つだけ」
親友「能力者になった理由も、能力の一貫性の無さについても分からない」
親友「ただ、経験値のシステムについては少し予想はできる」
親友「執事は『レベル2』だったんだろ?」
男「ああ」
親友「ゲームであれば経験値というものは、何かをすることによって得るものだ」
親友「男は戦闘中能力を使ったから、能力使用による経験値付与の線はなし」
親友「となると敵を倒したことによる経験値付与の線が濃いと俺は考える。執事はお前と戦う前に誰かを倒している」
男「……なるほど」
親友「それが誰かは分からないがな。そして、俺の予想が正しければお前の掌に書かれている『経験値0/1』は『あと一人倒せば経験値が1もらえますよー』っていうことだな」
男「レベルも上がるのか」
親友「恐らく、な。まだ経験値の上げ方には他のやり方があるかもしれない」
親友「今日は帰れ。何か分かったら電話する。調べがいがあるな! 今日は徹夜だ」
男「おう! 悪いな!」
――寺
男「ただいまー」
男(げ、じじいが仁王立ちでこっち睨んでやがる)
和尚「……」
男「な、なんだよ」
和尚「何か……あったな?」
男(……気づいてるみたいだな。どうしよ↓1)
男(嘘ついても仕方ねえ。俺はじじいに正直に全てを話すことにした)
男(こういう時はじじいの奴黙って聞いてくれるんだよな……)
和尚「……なるほど。ワシも長いこと生きておるこんなことは初めてじゃ」
和尚「近頃各地で起こっとる不可解な事件といい……大きな嵐が近づいておるのかもしれんな」
和尚「今日は飯を食って早く休め。無事で何よりじゃった」
男(じじいはじじいの癖にやけに優しく俺を迎えてくれた)
男(確かに大きな嵐が近づいてるのかもしれないな)
…
――次の日
男「じじい、掃除終わったぞー」
和尚「和尚と呼べ。ふむ、悪くない。ご苦労」
男(じじいはいつものじじいに戻っていた。こっちの方が安心感あるよな)
男(さて、今日は何をしよう――)
男(おっと電話だ、親友からか……なんだろ)ピッ
男「もしもし、なんだよ」
親友『↓1(内容)』
親友『友が能力について相談しに来た。あいつも能力者になったみたいだ。お前も俺の家に来い』
男「お、おああ。分かった!」ピッ
男(『友』か。あいつが能力に目覚めても悪いことはしないだろうが……)
和尚「行くのか」
男「ちょっと、な」
和尚「……気を付けていけ」
男「おう」
…
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