見づらい
行間開けよう
あと初心者アピールと力尽きた発言要らんから抜いた方がいい荒れる原因になりかねん

>>2
アドバイスありがとうございます…
了解です次から心がけます

みずらいっていわれたからもっかいあげなおしますごめんなさい、行間はたいせつたいせつ（しおい並感

姉さん、姉さん…。------。
どこかから声、音の波、しあわせな音。

今まで幾度この音が好きだとおもっただろう、幾度この音だけ聞いていたいと思っただろう。

音は頭に残り、響き渡り、幽かに甘美に、まるで朝露のように儚くとどまる。

しかし、その声という名の音は永久を刻める訳もなく、言葉は甘美な陶酔を脳裏にほんの少しだけ刻んで泡沫へと消えていく。そのたびに私はほんの少しの悲しさに襲われて、脳裏の陶酔から呼びさまされる。

……いったい、普通の会話でどれほどの幸せを感じているのかわからない、と自分でも思う。

これは現？それとも泡沫？…わからない、幸せならどちらでもいいかな…

『あのね、阿賀野ね、本当は… ----なの。あなたのこと。』
---------ああ、そうか

『うれしい、けどね…私たちは。……姉さん、ごめんなさい…。』
--------そっか、いつもと同じ、か…。



お腹の上にちょっと重みを感じて、掠れた目でぼんやりと宙を見る。
三つ編みみたいなパン…おいしそう、おなかすいたな…ううん、ご飯食べたい。

「パン…たべる…ん、ぅ…」

「阿賀野姉…寝ぼけてないで。寝てる時まで食べ物の夢なの…呆れちゃう。ほら、もう朝です、起きて？」

聞きなれた声にまだ開き切らない目をこらすと三つ編みみたいな、じゃなくて三つ編み。ああ、能代か…朝だ、起きなきゃ…。

まだ寝ていたい体を起こそうとする。一度目…失敗、布団にかなわない。あったかい…

「二度寝しない！出撃がなくても起きる!」

体を揺さぶられながら厳しい声。わかってるよお…わかってる、け、ど…

「朝、つら…あうう、もーちょっと…。」

ごろり、と寝返りを打ちながら駄々をこね、別のほうを向いてもう一度睡りに落ちようとする。

「…姉さん、しっかりして頂戴？長女なんだから…」

ああもう、わかってるのに、と心の中で返そうとして、違和感を覚える。…能代の声じゃない、今のは。

自分の中に、何かが逆流するような、血が一気にめぐるような、不思議な感覚が貫けた。

…ああ、この声はそっか、この子に起こされちゃかなわないかな…、起きないと。

「んぅー…おきる、起きるって…」

平静を装うように、鼓動に気が付かれないように。大きく伸びながら目をこすって、ゆっくり起き上がる。

「…姉さん？なににやけてるの?何かいい夢でも見た？」

ぐい、と顔をのぞきこまれ、思わず硬直する。…近い、近いよ矢矧。

「べ、別に特に何もみてないよ！おいしいご飯の夢だったのに能代に起こされたんだもんー…」

咄嗟にごまかそうと、拙い嘘を並べてみる。

「阿賀野姉は夢でも食べて…はあ。」

「私が鍛えなおしてあげようかしら?姉さん、どう？」

「え、遠慮しとく、遠慮しとくね！！阿賀野走るのきらぁい…ふああ。おはよぉ、能代、矢矧ぃ」
寝起きでいつもと変わらないような他愛のない会話をして、にっこりと微笑みながら挨拶をする。

「もうおはようにしては少し遅い時間だけれど…。ところで…姉さん、寝癖がすごいけれど？」
くすり、と軽く笑って矢矧が私の髪に触れる。…細くて、やさしい指の感触。顔赤くなってないよね、多分、平気…。

「矢矧、ごめん直してあげて？私は酒匂探してくるから…たぶん駆逐艦の子たちと一緒にいるだろうけど」

「わかったわ能代姉さん？さ、姉さんは起きて、とりあえず着替えましょうか？」

「ふぁい…矢矧ぃ、服とってぇ…？」

「そのくらい自分で取りなさいよ…まったく、普段どれだけ能代姉さんが甘やかしてるのかわかっちゃうわね」

すこし苦笑いを浮かべて小言を言いながらも私の服をさがしてくれる矢矧。…能代、ありがとう…。

「はい姉さん、服。…出ていってるから、着替え終わったら呼んでね？」

まあ…確かにそうよね、着替える時は流石に姉妹といえども…。

「はぁい。ちょっと待っててね？」

「わかったわ、それじゃドアのとこにいるわ？」


一人になった部屋をぼーっと見回す。きれいな鏡台、そこに並んだ薫香を詰めた小瓶たち。木製の箪笥、おおきな窓。それとお気に入りのぬいぐるみに、大好きな姉妹全員で撮った写真。

…この鎮守府はいくらか余裕もあって提督さんの階級も上の鎮守府なんだ、と改めて認識させられる。ような、きれいな部屋が一人一人に与えられている。同居を好んで寝ている子たちもいるが、阿賀野型はみんななぜか一人部屋。…矢矧と一緒でもいいのに、なあ。そう、いつも考える。

考え事をしてないで、着替えなくちゃ。待たせているわけだし。

そっと寝巻の上を脱ぐ。…確かに矢矧の言うとおり、少しくらいは鍛えたほうがいいのかな？ううん、でもどうなんだろう。確かに私たち阿賀野型の制服はおなかも出てて、露出がわりとあるけど…平気よね、うん

今日は矢矧とずっと一緒にいられたらいいな、なんてことを考えながら制服に袖を通して、深緋のスカートを履く。…よし、着替えは終わり。

「矢矧ぃー、着替えたよお？」
そう部屋の中から呼びかける。いっそいって抱きつくくらいはしても平気だったかな？あ、でもまだ髪もぼさぼさだし歯も磨いてないし…無しね。

「はぁい、じゃあ髪の毛を梳かしましょうか？ん、座って？」
そういいながら部屋に入ってきた矢矧は鏡台の前の椅子を引いて、私を座るように促す。
　
冷たくも、温かくもない、空気の温度を遷した木の感触。なんだか鏡の前に座ると背筋がぴん、と自然に伸びる。

「姉さん、これから写真でも撮るみたいな顔してるわよ？変な姉さん。」
くす、と柔らかくほほ笑む矢矧。…かわいいなあ、本当にかわいい。私が仮に男の人なら、告白してるのになあ。
……すこしだけ心の隅が、ほんのすこし曇る。　どんより重たく、ぐるぐると渦を巻く。ああ、もう…もどかしいというか、自分の生まれを忌む、というか。

（すみません主です。実はこの先しばらくほのぼのしていったあと展開が２つほど頭の中にあるんですが…
幸せにはなるけど微鬱、というか重たくなるほう

ふつうに幸せに終わるほう

どっちが需要あるんでしょう…ご助言ください

重たいの読みたい

まずは重いの書いて蛇足と言って幸せも書けばええんやで

逆に考えるんだジョジョ、二回分やっちゃっても美味しいと。

>>11 >>12 >>13
重くいきます、需要ありそうだったらノーマル書きます！
ありがとうございます、しばしこのチキン感漂う阿賀野の奮闘をごらんください

「姉さんの髪って、きれいよね。黒くて、まっすぐで、さらさらで…」
髪に櫛を通しながらそっと毛先に触れて矢矧がつぶやく。

「矢矧のほうがきれいじゃない？こう、真っ黒じゃなくて、夜の海みたいな不思議で、素敵な色だと思うなあ？」

「なんだかそういわれるのは初めてね…酒匂にも私の髪はまっくろじゃない、って言われたことはあったけれど…」
くる、と指先に髪の毛を巻きつけて弄びながら、少し照れた声色で喋る。ほんと、かわいいなあ…もう。
…今日は出撃もなし、すこしわがままをいってみようかな…？あ、でも…

「…姉さん？何か考え事？難しそうな顔して。姉さんって顔に出やすいわよね」

「へ！？あ、ああうんなんでもないよ！」

「…私に隠し事かしら？そう、ふぅん…」
…かないません、ごめんなさい。お姉ちゃんは妹に弱いんですきっと。私が矢矧に対してじゃないはず。

「あの、ね？えっと…矢矧と髪型、お揃いにしてみたいなあって…？」
いっちゃった。どういう反応されるんだろう…怖いなあ

「姉さんが私の髪型？…また、どうしてかしら？」

「ほら、さ、最近暑いじゃない！それでもしかしたら結ってみたらちょっとは涼しいのかなあって！」
こんなのは建前。自分でもわかるくらい見え透いた嘘。…大好きな人と一緒の髪型にしたいに決まってるじゃないの、そんなの。

「ふうん…ま、いいわ？結えるものがあったかしら…ん、これでいいわね、ちょっと我慢してね？」
そういいながら矢矧は自分の結っていたゴムを取り、手際よく私の髪を自分と同じように結ってくれる。

「…ん、え、矢矧？これ矢矧のゴム…」

「あげるわよ、姉さんに。私他にもいくつもあるし？」

「そ、そぉう？ありがと、じゃあもらっちゃおっと…えへへ」
思わずにやけてしまう。矢矧のゴムをもらえた、いつも矢矧が使ってるゴム…すごくうれしくて舞い上がってしまう。

「にやにやしてるわよ、姉さん。」
その一言で一気に戻ったけれどね。…思いっきりみられちゃったにやけ顔。恥ずかしい…。

「使ってたやつなのに…。ほんと、へんな姉さん。私替えのゴムとってくるから待ってて？」
そういって髪を下した矢矧はすたすたとこの部屋を出ていく。…髪を下しててもかわいいなあ、さすが矢矧。

酒匂は？

はいごめんなさいちょっとコンビニ行ってました再開します






矢矧の部屋は2つとなり。きっとすぐにもどってくるだろうし…
鏡台の前の椅子から立って、くるり、と一回転をする。矢矧のいつもの髪型とおなじ、ポニーテール。…似合ってるのかな？わからないや
でも、いつもとちがう…ずっとみてる、大好きな子の髪型を自分がしてるって、不思議な感じだなあ。
能代や酒匂にどう思われるかしら？まあ、後でご飯の時にでも聞いてみましょう。

…それよりも問題なのが、自分でも気味が悪いと思うほど口元が綻んでいる。締まりなく、にやにやと。
真面目なことを考えようとしてみても、やっぱりこのゴムと髪型が邪魔をして口元を綻ばせる。

矢矧が使ってたゴム…ふふ、いいなあ。宝物。矢矧が直接その場で髪の毛から取って、渡してくれたんだよ？
お守りになりそう、ずっともってようかしら？なんて。

ふふ…やっぱり、どうしてもにやけちゃう。今日はなんだかいい日だなあ…もう今日終わりでもいいや

そんなことを考えていると、ドアの開く音がしていつもの髪型の矢矧が戻ってきた。
私はそっと椅子に座って、少し上機嫌に足を交互に揺らす。

「ごめんね姉さん、ただいま？」

「おかえりー。おろしてる矢矧もかわいかったのになー…むう」

「お風呂上りとかにみてるじゃないいつも？そんなに珍しいものでもないでしょうに」

「まあ、そうだけどー…ふふ、まあ、いいや？」

「ほんと、変な姉さん。…頭でも打った？」
そういいながら顔を覗き込んでくる。ちょっとまって、近いって、近いって…

いつもは下しているのに今日は結っているからというのもあって、素肌が近い。…なんか、甘くていい匂い。それにこう、落ち着くなあ…幸せ。
そんなことを考えているとやっぱり口元は自然と綻んでしまうし、心臓の鼓動も高鳴る。頬が少し紅潮してしまう。

「ねえさん、顔ちょっと赤いわよ？熱…？」
そういいながら額をぴっとりとくっつけられる。刹那、私の思考は止まる。
…どういう状況？矢矧が私のおでこにぴったりくっついて…え、え？

整理できずにぐるぐるとまわる乱雑な思考を無理やりまとめて、あわてて反応する。

「だ、大丈夫大丈夫！！熱ないよ！ただあついから！！」
軽く飛び跳ねるように後ずさりをして、矢矧からなんとか離れる。…セーフ。

「…？ふうん？そう？まあ確かに暑いけれど…」

「ねー、ほんと！ほんとに最近暑いよねえ…」
日も高く上がり始めた頃合い、窓が締め切りの部屋は確かにすこし汗ばんでしまいそうなくらい暑かった。

「窓開けるわね姉さん。あついし…」
そういって窓のほうに歩んでいく矢矧。離れてくれてよかった…幸せだったけど、あのままだったらちょっと阿賀野倒れてたかもれない。
そんなことをすこし、考えた。

>>18
酒匂は今駆逐艦の子たちと遊んでます、能代ちゃんが迎えに行ってます。
「ぴゅうー、しれえ、まっててねえ、もうすぐ出るよお！」

「姉さん、この後はどうするの？」
窓を開けて戻ってきた矢矧がきく。私はベットの上にぺったりと、いわゆる女の子座りをしてさっきまで私が座っていた椅子に腰かける矢矧の仕草を見つめた。

休日の阿賀野型は基本、能代以外は制服を着ていても靴下を履かない。夏なんて特に、暑くてかなわないのだから。

椅子に座った矢矧をじっくりと眺めてみる。すらりとのびて、きれいな形の、すべすべな脚。
柔らかそうな、ふんわりとした、でも余計な肉のついていない太もも。
しっかりしまっていて、でも繊細さを感じる腰回り。その上に、しっかりと女の子の体を主張する大きな胸。

思ったよりも繊細で、華奢な肩。透き通るようにきれいな肌、柔らかそうな頬。
艶めかな唇に、すっと筋が通った鼻。きりっとしていながら、やさしい目元。

……阿賀野、変態さんだったのかもしれない。ここまでじっくりみてると、同性でも変な気になってくる…。

「姉さん？姉さんってば、聞いてるの？」
そんな矢矧の声でふと我に返る。

「な、なあに矢矧？ちょっと考え事してたぁ…」

「そう？ま、いいわ。この後はどうするの？お昼にしては少し早いし。なにか私とする？」

…？阿賀野、幻聴聞いちゃった？矢矧が、私と、なにかする、って、へ、へ？？
「や、矢矧、最後なんて言った？」

「へ？いや、だから、私となにかしてる？って…姉さん、朝から変よ？ほんとに大丈夫？」

「大丈夫大丈夫、ほんとに平気だって！ほらぴんぴんしてるわっ？」
慌てて弁明をする。…ううん、もう少しなにかうまいごまかし方がほしいよ。

それにしても、幻聴じゃなかった。ほんとだったんだ…　
ていうことは、もしかして？

「ねえ矢矧、今日は阿賀野とずっと一緒にいてくれるの？」
…もし、それが叶うのなら、どれだけいいか。

「へっ？ええ、いいわよ？たまには姉さんと一緒にいてみましょうか」

……えっ、うそ、ほんとに？また口元が綻ぶ、というかもはや満面の笑みになってしまう。
心の中でちいさくガッツポーズ。聞いてよかった…！！

「やったー！今日は矢矧と一緒ーっ！」
うれしさのあまりベッドの上で少し飛び跳ねてしまう。…酒匂みたい？

「もう、跳ねないの。そんなにうれしかったの？」
矢矧がかるく苦笑いしながら、椅子から立って阿賀野のそばに歩みよってそっと頭をなでる。
…ああ、幸せ…ほんとに幸せだなあ。

「えへへ…うん、すっごく幸せ。ひさしぶりだしっ？」

「そうね、なかなかなかったわねえ。ふふっ、私もすこし、楽しみ。」
にっこりと笑う矢矧。本当に愛くるしくて仕方ないと思う。提督さんの前でその笑顔しちゃだめだよ？阿賀野だけ見たいなあ、なんて考えてもしまうくらいに愛らしい。

「じゃあ、なにしましょっか？阿賀野はなんでもいいよお」

「そうね…、お散歩でも二人でしましょうか？のんびり鎮守府の中を歩くのもたまにはいいかもしれないし。」

それはもうデートなのでは、なのでは…！？
はやる思いを落ち着けて、私は答える。

「いいじゃないのー！お散歩お散歩っ。じゃあいこ？矢矧っ」

「ええそうね、お昼までまず森のほうを歩いてみましょうか？」
そういって二人で立ち上がり、私はベットを少し整えて、矢矧は戸締りをする。
もっていくものは…何もいらないよね？うん、いらないとおもうし手ぶらでいいや。

「さ、行きましょ?姉さん。」
戸の前に立つ矢矧が声をかける。ぱたぱたと小走りで寄っていき、共に部屋を出る。
鍵をしっかり閉め、自室を後にする。

今日は、きっと素敵な一日になりそうね？

「あー！矢矧ちゃんと阿賀野ちゃんだ！おーい、おはよおー！」
元気な声が少し向こうから聞こえる。それとともに駆け寄る小さな影。

「あら、酒匂おはよう？」

「ぴゅう！おはよう矢矧ちゃん!どっかおでかけ？」

「ええ、少し阿賀野姉さんとお散歩。酒匂はいま帰ってきたんでしょう？」

「そうなの～。能代ちゃんがお迎えに来てくれたの！これから能代ちゃんと遊ぶんだーっ」

「すこし勉強してからですよ酒匂？宿題が残っているでしょう」

「ぴゃああ！はあい…能代ちゃん、教えてね？」

妹たちの会話を微笑ましく眺める。元気のいい末っ子、酒匂はほかの三人に比べて幼く、実戦経験もほぼないため駆逐艦の子たちと同じように鎮守府内の学校に通っている。
その勉強の手伝いなどをするのは、やっぱり能代の役目。…この子はほんと、どこまでしっかり者なのかしら。

「ばいばーい、矢矧ちゃん、阿賀野ちゃんーっ」
おおきく手を振りながら能代の腕に抱きついて帰っていく酒匂たち。
…腕に抱きつく、ねえ。いいなあ、ちょっとやってみたいな？

「さ、私たちもいきましょっか？」

今なら、自然な流れ？チャンス…えいっ！
酒匂みたいに、矢矧の腕にしがみつく。

「…姉さん、どうしたの？」

「へ？えっへへー…酒匂のマネ！今日は矢矧にべったりになるのー、ぴゅう！」

「あらら…それは困ったわ？ま、いいけれど…。でも姉さん、それはお互い歩きにくいわ？だから…」
そういって私の手を取って、指と指と絡める。
…へ？

「ほら、これじゃだめ…かしら？」
矢矧が少し照れたように笑い、こっちを見る。

…夢みたい

矢矧と手をつないで、二人で新緑の木漏れ日の中を歩いてる。
ああなんだろう、すごく幸せな気持ち。ほんと…もう、言い表せないくらいに幸せだなあ

隣を歩く矢矧はやっぱり凛々しくて、かわいくて、いつもと違う特別な距離にあるその顔にそっと触れてみたい、と考えた。
頬をふに、と押してみたり、そういうちょっとしたいたずらをしてみたいな、って思う。　
好きな子にはいたずらをしたくなるっていうじゃない？

「ねえ、矢矧ー」

「なあに、姉さん？」

「きもちいいねえ、たまには海じゃないのも」

「そうね…森も静かで、いいわね。いつもとは違う…歩くのはすこし、疲れるけれど」
くすっと笑って答える矢矧。手はつないだまま。

…いいよね、すこしくらいいたずらしてみたって。

「…えい」
私は、気が付くと妹の頬に唇を当てていた。
あれ…？なにしてるんだろう、こんな気なかったのに…

体の芯があつくて、溶けそうなくらい。変に汗も出てくるし、息が苦しい。
これは…引かれるなあ、きっと。ほんと、なにしてるんだろ…

「ね、ねね…ねえ、さん…？」

「ひゃい！な、なんでしょう！」

「その、えっと…びっくり、するから…いってからにしてくれる…？」

へ？えっと、いま、なんて。私、また幻聴？

「はい？えっと矢矧さんいまなんていいましたか」
目をぱちくりして、思わず敬語になって聞き返してしまう。焦りすぎてもう、何が何だかわからないくらい混乱してる。

「だから…そういうこと、するときは言ってからにして頂戴？驚くから…」

「へ…？怒って、ないの？」

「だれが怒るのよ、好きな人にそんなことされて…」
ぼそりと、はずかしそうにつぶやく矢矧。

「…いま、なんていったの矢矧？」

「…好きな人に、されて怒る人がいるかしら、っていったのよ…ああ、もう。姉さん、好きよ…？姉としてじゃなくて。
きっと同性で可笑しいと思うでしょう？でも、素直な気持ちなの…ごめんなさいね」

…うそ、矢矧、冗談でしょう？
そんなたちの悪い冗談、やめてよ。
「…うそ…、うそ、でしょ？」

思わず否定的に聞き返してしまう。

「やっぱり…いや、だったかしら…忘れて、姉さん。ごめんね…さ、戻りましょうか？」

いや、違うの・・・　まって、まって。
声が出ない、緊張？興奮？わからないけれど、体がどくどくとおおきな脈を打つ。

「…ちが、う、の。まって矢矧…、待って」

「…？」
不安そうな、悲しそうな、困ったような顔をした矢矧がじっと、私の顔を見つめる。

「あの、ね。矢矧…えっと、大丈夫、阿賀野はいやでもないし、引いてもいない。だから、落ち着いて聞いてね？」

自分にも言い聞かせるように言い、ゆっくりと深呼吸をする。

「矢矧、阿賀野ね。ずっと矢矧のことが大好きだった。私はあなたより先に着任して、妹が今度はどんな姿で会えるのか、ずっと楽しみにしてたの。
そうしたら、ある日こんなにかわいい子が妹として、うちの鎮守府に入ってきた。驚きと同時に、阿賀野は妹に一目惚れをしたの。」

「そう、だったんだ…それで？」

「そうだったの。…それで、それからは毎日、ずっとこっそり、可能な限り矢矧を見てた。気が付かれたくない、でもずっと見ていたい…そんな気分だったの。
怖かった。正直、とっても怖かった。だって、姉妹に恋愛感情を抱くなんて気持ち悪いじゃない。きっと…しられたら、お別れだろうなって思ってた」

「それで、さっきどうしてか矢矧のほっぺにキスしちゃったとき、頭が真っ白になったし、どうしてしちゃったのかもわからなかった。体が勝手に、気が付いたら動いてたの。」

ああ、嫌に饒舌。どうしてこんな、ぺらぺらと喋れるんだろう…
きっとすべて伝えたら、関係は壊れてしまうんじゃないだろうか


-----…それなら、壊れる前に、全て、なにもかも---

「……それで？姉さんは、どういう気持ちなの?今。」

矢矧がいつになく真剣な眼差しで私の顔を見つめる。こわいくらいまっすぐ、しっかりと。

…ここでいわなかったら、きっと、ずっと言えないと思う。…いうしか、ないよね

木々がざぁ、と風でざわめく。
心地よい木漏れ日が私の足元に落ちて、揺れる。

涼しげな風が、二人の間の微妙な距離を駆け抜けて、私の髪を撫でていく。

永久ともいえるような刻が、流れる

「矢矧が、好き。大好きなの。だから…そばにいて?矢矧」

いってしまった。自分の、想い。
返答が、やっぱり怖い。

「…ねえ、さん…よかった…」
いつもと違う様子の声にふと、うつむいてた顔を上げると、矢矧はぼろぼろと涙をこぼしていた。
笑っているような、泣いているような、ぐちゃぐちゃにまざった顔。いつもの矢矧からは想像もできないような、感情があふれ出した姿。

私は、何も言えない。
本能だったのかもしれない。頭がまっしろのままに、静かに歩み寄る。

涙を隠そうと、向こうを向いていた矢矧に、後ろからそっと抱きつく。

温かさを、わけあうように、そっと
何も言わずに、無言でそっと、抱きしめた。

新緑の中で響くのは、木々のざわめきと、矢矧のすすり泣く声、私の涙をこらえる声。

静かに、しばらくの間響いていた。

ごめんなさいここで一回ご飯食べたりしてきます…多分10時半～11時前には再開できるかと思います…
こっから少し展開が変わっていく予定です、そろそろほのぼのプラスいちゃいちゃゾーンが終わってだんだんおもくなる…かも

「べ、別に特に何もみてないよ！おいしいご飯の夢だったのに能代に起こされたんだもんー…」

咄嗟にごまかそうと、拙い嘘を並べてみる。

「阿賀野姉は夢でも食べて…はあ。」

「私が鍛えなおしてあげようかしら?姉さん、どう？」

「え、遠慮しとく、遠慮しとくね！！阿賀野走るのきらぁい…ふああ。おはよぉ、能代、矢矧ぃ」
寝起きでいつもと変わらないような他愛のない会話をして、にっこりと微笑みながら挨拶をする。

「もうおはようにしては少し遅い時間だけれど…。ところで…姉さん、寝癖がすごいけれど？」
くすり、と軽く笑って矢矧が私の髪に触れる。…細くて、やさしい指の感触。顔赤くなってないよね、多分、平気…。

「矢矧、ごめん直してあげて？私は酒匂探してくるから…たぶん駆逐艦の子たちと一緒にいるだろうけど」

「わかったわ能代姉さん？さ、姉さんは起きて、とりあえず着替えましょうか？」

「ふぁい…矢矧ぃ、服とってぇ…？」

「そのくらい自分で取りなさいよ…まったく、普段どれだけ能代姉さんが甘やかしてるのかわかっちゃうわね」

すこし苦笑いを浮かべて小言を言いながらも私の服をさがしてくれる矢矧。…能代、ありがとう…。

はやくもどってこれたらなんか>>29 がよくわかんないことになってる…
何事、私のIDじゃないっぽい