提督「ごめん…」

加賀「…今日の提督は、どこかおかしいです」

提督「そんなこと」

加賀「あります」ｷｯﾊﾟﾘ

提督「う」

加賀「どこか上の空ね。体調が優れないのかしら」

加賀「…今日の出撃は、中止にした方がよさそうね」

提督「えっ」

加賀「そんな状態で艦隊の指揮がとれるのですか？」

提督「…で、できる！」

加賀「…そう」

加賀「提督。作業中の書類を見せてください」

提督「これか？　ほら」ｽｯ

加賀「……」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

提督「……」

加賀「軽く見ただけで、５か所ミスがあります」

提督「え」

加賀「注意力に欠けるわね。これで大丈夫だと言えるんですか？」

提督「うぐっ」

加賀「今日はもうお休みになってください」

提督「で、でも仕事は」

加賀「書類の方は艦娘達に任せても問題ありません。急ぎの書類はないでしょう？」

提督「急ぎでは、ないけど…」

加賀「なら今日はもう休みましょう。私が運びます」ｸﾞｲｯ

提督「うわっ！？」

提督（お、お姫様抱っこって…）

…寝室…

提督「加賀！　流石に一人で歩けるよ」

加賀「提督は酷く疲れた顔をしています」

提督「疲れた顔…？」

加賀「日頃の激務が蓄積した結果でしょう」

提督（確かに…連日徹夜で指揮を執ってるけど）

加賀「そんな疲れた顔を見せれば、艦娘達も心配します」

提督「……」

加賀「勿論、私だって心配です」

提督「加賀…」

加賀「だから、休んでください」

提督「…わかったよ。今日は休むよ」

加賀「そうですか」

提督「じゃあお休みなさ…」

加賀「では、私も失礼します」ｺﾞｿｺﾞｿ

提督「ちょ、ちょっと、なんで布団の中に入ってくるの！？」

加賀「私も寝ます」

提督「何で一緒の布団で！？」

加賀「提督がちゃんとお休みになってるか、見張る当番が必要だからです」

提督「だからって、布団にいきなり潜り込むヤツがいるか！」

加賀「…確かに」

提督「わかってくれたか…」

加賀「飛行甲板つけっぱなしで布団に入るのは失礼でしたね」ｲｿｲｿ

提督「そうじゃない！」

加賀「？？？」ｷｮﾄﾝ

提督「あっ、その首かしげ可愛い……じゃなくて！」

加賀「何か、私に落ち度でも？」

提督「それは不知火のセリフ！　なんで一緒の布団に入ってくるんだよ！」

加賀「人肌であっためると、疲労がとれやすくなるそうです」

提督「…ホントか？」

加賀「はい。青葉が言ってました」

提督「ウソくせぇ…」

加賀「女は度胸。何でも試してみるものです」

提督「今日の加賀はグイグイくるなぁ！？」

ぐらっ

提督「あれっ…力が」ｶﾞｸｯ

加賀「…相当、疲労が溜まっているようね」

提督「力が入らない…」

加賀「早くお休みになってください」

提督「…お前は、添い寝する気満々か」

加賀「はい」

提督「…わかったよ」

加賀「それでは、失礼して…」

提督「……」

提督（添い寝って、思ったより密着するんだな…）

加賀「……」

加賀（…これは、流石に気分が高翌揚します）

提督（これは…）

加賀（眠れない…）

提督「なあ、加賀」

加賀「どうしましたか」

提督「ちょっと寝付けそうにないんだけど…」

加賀「でしたら、提督が寝られるように私がなんとかします」

提督「何とかするって…一体」

加賀「寝られるように歌を歌います」

提督「！？」

加賀「…羊が一匹」

提督「！？」

加賀「羊が二匹…」

提督（何か数えだしたよこの子…）

加賀「…めぇー」

提督「」ﾌﾞﾊｯ

加賀「提督、早く寝てください」

提督「お前、寝かせる気ねえだろ！？」

加賀「では、真面目に子守唄を歌います」

提督「あ、ホントに歌えるのね」

加賀「…ゆりかごの歌を、かなりやがうたうよ～♪」

提督（あ、きれいな歌声…）

加賀「…ねんねこ、ねんねこよ～」

提督（懐かしい、ような…）

加賀「ねんねこ、ねんねこ…ねんねこよ～」

提督（まぶたが、おもく、なって…）

提督「……」

加賀「…ふぅ」

加賀（鳳翔さんに教えてもらった子守唄…役に立ちましたね）

提督「……ｚ」

加賀「…提督の寝顔、かわいいですね」

提督「……ｚ」

加賀「…えい」ﾂﾝ

提督「……」ﾌﾟﾆｯ

加賀「……」ﾂﾝﾂﾝ

提督「……んむっ」ﾌﾟﾆｯﾌﾟﾆｯ

加賀「ふふっ…」

提督「……ｚ」

加賀「さて、私も寝るわ。おやすみ、提督…」

・
・
・

提督「……ん」ﾑｸﾘ

加賀「お目覚めね、提督」

提督「……加賀。今、何時だ？」

加賀「夜の６時です」

提督「…えらいぐっすり寝てたな」

加賀「ええ。スヤスヤでした」

加賀「ところで提督。お腹すきませんか」

提督「言われてみれば…お腹すいたな」ｷｭｳｳ

加賀「早く食堂へ行きましょう。今日はカレーです」ｸﾞｷﾞｭﾙﾙｳﾙ

提督「なんかスゴイ音してんぞオイ！？」

加賀「カレーで気分が高揚します」

提督「そういう問題！？」

加賀「…もう大丈夫そうですね」

提督「お陰様でな」

加賀「では行きましょう。カレーが私たちを待っているわ」

提督「…加賀」

加賀「なんですか」

提督「ありがとな」

加賀「……」



「どういたしまして」