デク「ワンチャンダイブ?」(28)
勝己「ああ! そうすりゃお前みたいな雑魚でもヒーローになれるかもしれねえぞ?」ニヤニヤ
デク「うん分かったよ」
勝己「は?」
デク「じゃあね。 さようならかっちゃん」
勝己「ははっ、とうとうイカれちまったか?」
不良A「行こーぜカツキ」
不良B「……でさ~」ペチャクチャ
勝己(つまんね)スタスタ
グチャッ
勝己「……は?」
キャアアアアアアア!!!!
ヒトガトビオリタゾー
キュウキュウシャヨベー!!
不良A「おい、アレ……」
不良B「マジかよ、アイツ……」
勝己「……」
勝己「……デク?」
ナムアミダブツ…
隣人「あの子、無個性だったんでしょう?……」
隣人「学校でいじめられていたそうよ。気の毒にねえ……」
デク母「うっ……うっ……」グスグス
勝己「……」
デク母「ごめんねえ出久ごめんね立派な個性に産んであげられなくて」
勝己「……」
デク母「ごめんねお母さんが悪いのね出久かわいそうにお母さんのせいね」
勝己「……」
デク母「勝己くん今日は来てくれてありがとうね」
勝己「え、ああ……」
デク母「昔はよく出久と遊んでくれてたわね。あの子もきっと喜ぶわ」
勝己「いや……」
デク母「あの子よく言ってたわあなたの個性が羨ましいって」
勝己「あ、その……」
デク母「ほんの少しでもあの子に分けてあげられたらよかったのにねえ」
勝己「……」
デク母「ごめんなさいねこんなこと今さらあなたに言ってもしょうがないのにね」
勝己「俺は……」
デク母「もうあの子は帰ってこないんだから。出久……」
勝己「う……」
デク母「勝己くん、出久の分も頑張って立派なヒーローになってね」
勝己「……はい」
―学校―
ザワザワ…
モブ「緑谷君かわいそう」
モブ「無個性じゃなかったらこんなことにはならなかったのに」
モブ「個性社会の生み出した悲劇だ」
勝己(何言ってんだこいつら)
勝己(こないだまで散々デクのこと馬鹿にしてたじゃねーか)
先生「えー、先日は悲しい事故がありましたが……」
先生「……それから爆豪、あとで職員室に来るように」
勝己「……は?」
刑事「爆豪勝己くんだね?」
勝己「ケーサツが何の用すか」
先生「いいから黙って聞きなさい」
刑事「君は緑谷出久くんに対して日常的にいじめ行為をはたらいていたそうだね」
勝己「え?」
刑事「え? じゃないだろう。君の蛮行を多くの生徒が目撃しているんだぞ」
勝己(こいつも見て見ぬふりしてたじゃねーか)
× 刑事「え? じゃないだろう。君の蛮行を多くの生徒が目撃しているんだぞ」
○ 先生「え? じゃないだろう。君の蛮行を多くの生徒が目撃しているんだぞ」
刑事「さらに、緑谷くんに対して自殺しろというような主旨の発言をしたと……」
勝己「そ、それは……」
勝己(あいつら、チクりやがったのか……!!)
刑事「もしそれが本当なら自殺教唆ということになるわけだが……」
勝己「俺は悪くねえよ。あいつが勝手に飛んだんだ!」
刑事「……また来ますよ」
勝己「……てめえら」
不良A「よ、ようカツキ」
不良B「それにしても緑谷のやつ、本当にトんじまうとはな……」
不良A「殴られすぎて頭イッちまったんじゃねーの?」
不良B「なあ、カツキもそう思うだろ……?」
勝己「あ゛ぁ?」ギロッ
不良B「ひっ!!」ビクッ
不良A「そ、そんなコエー顔すんなって……」
勝己「てめえら、よくもチクリやがったな……!!」
不良A「だ、だってよ……!!」
不良B「さすがにあれは言い過ぎだって……」
勝己「うるせぇ!! ぶっ殺す!!」
不良A「や、やめろー!!」
デク『ひどいよかっちゃん……!!』
勝己「!!」ビクッ
勝己「……あ?」
不良B「……あれ?」
勝己(なんでだ? 爆発しねえ……)
不良A「い、今のうちに逃げるぞ!!」ダッ
勝己「おい、待てよてめえら! 話まだ済んでねえぞ!!」
不良B「悪いけど、もうついていけねえよ……!!」ダッ
勝己「……クソモブ共が……」
家「出てけ!! 人殺し一家 犯罪者を許すな……」
勝己「けっ」ガチャ
勝己母「あんた!! こんな時間までどこほっつき歩いてたの!!」
勝己「うるせぇな。さっさと飯つくれクソババア」
勝己母「あんたねえ!! 何てことしてくれたの、あんたのせいで……」
勝己「うぜえんだよ!!!!」ゲシッ
勝己母「きゃあ!!」ドサッ
勝己母「……お父さん、会社クビになったって……」
勝己母「私たち、これからどうしたらいいの……?」グスグス
勝己「知るかよ」
勝己「クソッ!!」ダンッ
勝己(こんな……こんなはずじゃなかった……)
勝己(何で俺がこんな目に……)
勝己(デク……)
勝己(全部、全部テメェのせいだからな……!!)
―翌朝 学校―
机「死ね!! 学校来んな 人殺し……」
勝己「……これがてめぇらの答えかよ」
モブ「お前、よく学校来れたな」
勝己「あ?」
モブ「緑谷に死ねって言ったんだって?」
モブ「それって殺人とおんなじじゃん」
勝己「てめーらも似たようなもんだろ」
モブ「うわ、責任転嫁かよ。さすが人殺しは言うことが違うな!」
勝己「ふざけんな、この……!!」
モブ「おいやべえよ、キレるって……」
勝己(モブのくせにうざってえんだよ!!)
勝己(今までと一緒だ、気に入らねえ奴は全部爆破して――)
デク『いいなあ、かっちゃんの個性かっこいいもんなあ』
勝己「!!」ハッ
デク『僕も早く出ないかなぁ』キラキラ
勝己「あ……」
デク『かっちゃん、待ってよ……』ハァハァ
勝己『トロいなーデクは!』
デク『あっ!!』ドサッ
勝己『だっせー、転んでやんの』
デク『あ……待って……』ズルズル
勝己「じゃーな、先行くぜ」
デク『僕を……』
ガシッ
デク『置いていかないでよ』
勝己「うわあああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
モブ「どうしたんだコイツ、急に固まっちまって」
モブ「今のうちだ、やっちまえ!」ボカッ
モブ「個性の使えねーてめえなんか怖くもなんともねえんだよ!!」ゲシッ
勝己「あ……くそ……」
勝己(なんで……爆破できねえんだ……)
勝己(デク……お前もこんな気持ちだったのか?)
勝己(答えろよ……クソが……)
勝己(なんで……)
勝己「なんで死んだんだよ、デク……」
ヒソヒソ…
隣人「あの子よ、確か……」
勝己「……」ギロッ
隣人「やだ、怖いわぁ……早く引っ越してくれないかしら……」
勝己「チッ……」ガチャ
シーン
勝己「誰もいねえのかよ」ハァ
トントン…
勝己「親父? おふくろ?」スタスタ
母「おかえり……遅かったわね……」トントン
勝己「電気ぐらいつけろよ。危ねえだろ」
母「そう……ごめんなさいね……」トントン
勝己(何だこの臭い? 生臭えな……)クンクン
勝己「なあ、何作ってんだよ?」
母「そうねえ……」
デク母「親子丼なんてどうかしら……?」クルッ
勝己「!!!」
勝己「なん、で……父さん、母さん、殺し……」
デク母「私は悪くないわ。この二人が勝手に死んだのよ」
勝己「……!!」
デク母「あなただったのね……」ユラユラ
勝己「あ……」アトズサリ
デク母「どうして……? 出久にあんな酷いこと……」
勝己(う……動け!! 動け動け動け動け!!!!)
勝己(このババアぶっ殺して……出来るだけ遠くまで逃げる!!)
勝己(早く……動けよっ!! 畜生、なんで……!!)
勝己(こんなに汗かいてんのに……なんで個性が発動しねえんだよ!!?)
勝己(俺が、デクに死ねって言ったから?)
勝己(それ聞いて、デクがトんだから?)
勝己(俺が? デクを?? 殺したから????)
デク母「返して……返してよ!! 出久を返して!!!!!」
勝己「ごめ……なさ……」
勝己(俺がデクを殺した俺がデクを殺した俺がデクを殺した俺が)
勝己「ちがうよじょうだんのつもりだったんだほんとにしぬなんておもってなかったんだごめんなさい」
勝己(人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し……)
デク母「返して!! 返して!! 返して!! 返して!! 返して!!」
勝己「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
勝己「ごめん……なさい……」
??(……ちゃん……かっちゃん……かわいそうに……)
―病院―
デク母「出久……? 泣いてるの?」
医者「どうかされましたか、奥さん」
デク母「今、出久が涙を流した気がして……」
医者「まさか、そんなはずは……」
デク母「やっぱり、この子はちゃんと生きてるんです……!!」
医者「……残念ですが、息子さんが目を覚ますことはもう……」
デク「……」
不良A「にしても、本当にトんじまうとはなーwww」
不良B「ありゃさすがに言いすぎだろwww」
不良A「ずっと眠ったままらしいぜあいつwww」
勝己「しらねwww俺悪くねーしwwwあいつが勝手に飛んだんだろwww」
不良A「うわひっでwwww」
勝己「てめーらチクったら殺すからなwww」
不良B「分かってるよwwww」
勝己「あー鬱陶しいやつが消えて気分爽快だぜwww」
不良A「……あ」
勝己「なんだよ?」
不良B「う、うしろ……」
勝己「は?」クルッ
グチャッ
―病院―
デク母「出久……」ガチャ
デク母「昨日もオールマイトが大活躍だったのよ」
デク母「テレビずっと録画してあるから……早く見ないと溜まってっちゃう……」
デク母「……出久?」
デク「……」
デク母「笑ってる……」
デク母「一体どんな幸せな夢を見ているのかしら……?」
おしまい
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