男「初恋の味って言うじゃねーか」
男友「中学ん時のアノ娘の話か?」
男「…」
男友「いや、黙んなよ」
男「うるせぇ、クリスマス当日告白玉砕する辛さを知らねぇだろうよ、お前さんはよ!」
男友「クリスマスは知らねぇけど、自分の誕生日にフラれる辛さなら知ってんぞ」
男「…」
男友「…」
男「…や、やっぱり俺、ちょっと飲もうかなお酒」
男友「おぅ、無理すんなよ…?」
女「…チィッ!」
女友「女ちゃん、中々どうして醜い顔になってるよ?」
女「しょうがないでしょ、もう少しでアイツの初恋から好みのタイプとか分かるかもしれなかったのに」
女「わざわざ近くの席に座って、男友には小型マイクまで付けさせてさ」
女友「気持ち悪い程お熱だよねー、男君に」
女「…悪い?」
女友「別にー?」
女友「私はタダ酒飲ませてもらってるから、それで十分」
女「1000円までよ?」
女友「人の出不精な彼氏駆り出すんだし、もっと景気良くやっても良いんじゃじゃない?」
女友(ま、面白いから良いんだけど)
女「ふん、それは男友君の出来高によるわね」
女友「よっしゃ、男友よ馬車馬のように頑張りなさいよ、やれよほらほら!」
男友(うわぁ、なんかすっごい邪念が…)
男「どした、うんこ漏れそうなのか?」
男友「大丈夫、家でものすげーの出してきた」
男「さよか」
男「つーかさ、そろそろこの週1でやってる飲み会も面子増やそうぜ」
男友「女友でも呼ぼうか?」
男「…」
男友「露骨に嫌な顔するねぇ」
男「何、お前は悲しい独り身男にトドメを刺したいの?」
男友「じゃあさ、女ちゃんも一緒っていうのは?」
男「女さん?…俺話した事すら無いぞ?」
男友「…へ?」
女友「…へ?」
女「あら、惚けた顔ね」
女友「いや、…いやいやいやちょっと女ちゃん」
女「何?」
女友「話した事無いって…」
女「そうだけど?」
女友「何澄ました顔してるのかな、この娘」
女友「ほら見てみなさいよあの男友の顔」
男友(……)
女「…不細工ね」
女友「あっはっはー、本当ねー…って、違うそうじゃないの」
女友「何よ、話した事ないって」
女「…あ、あそこにスベスベマンジュウガニが!」
女友「分かりやすいのね、あんた」
女「…しょうがないでしょ、話しかける勇気があるならこんな事してないわよ!」
女友「な、泣かなくてもいいでしょ」
女「くぅー!」
女友「メニュー開いても1000円までだからねー」
女「くぅー!」
男「それにしても珍しいな、お前」
男友「何がさ」
男「いつもは宅飲みだろ?」
男「どうして急に居酒屋なんだってさ」
男友「あー…、気分だよ気分」
男「ほーん」
男友「後さ、たまには他人の作ったごはんが食べたいのさ」
男「そんなの彼女に作ってもらえば良いじゃねーか」
男友「残念ながらエメラルドグリーンの出汁巻き卵(?)を食べる勇気は持ち合わせてないんだ…」
男「…ほら食えよ、美味ぇぞ卵焼き」
男「…うん」
女友「…500円に減らすか」
女「!?」
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