男「頑張っていこうぜ」(7)

病院

男「よう元気か」

父「おぉ・・・よっこらせ・・・」 ヨロ

男「元気なわけねえよな、寝てろよ。ほらお土産置いておくぜ」ガサ

父「すまんな・・・大学のほうはどうだ・・・?」

男「ん?ああ・・・ぼちぼちやってるよ」

父「バイトばかりで行ってないんだろう」

男「・・・」

父「すまん・・・本当にすまん・・・俺に金があればお前をこんな」

男「やめろよ、ここまできて金の話なんて余計身体にさわるぜ」

父「・・・そうだなすまん」

男「へへっほらお土産これおはぎ、好きだろ?」

男「ん!美味い」 モグモグ

父「・・・・」モグ

父「美味いな・・・」 スッ

男「食欲無いのか」

父「大丈夫だ大丈夫。昼ごはんを食べたばかりだからなあまり腹が減ってないんだ」

男「そうか・・・身体はキツいか?」

父「・・・もう長くないだろう」

男「!」

父「自分の身体は自分が一番わかる。男、俺が死んだら・・・」

男「ああ・・・」

父「・・・すまない」

男「いいよ・・・」

医師「男君」

男「ああ、父がお世話になってます」

医師「いえいえ・・・お父さん・・・最後まで手術を拒否されてね」

男「・・・」

医師「確かにお金はかかる。でも私たちからすれば命が優先順位が上だから」

男「ええ」

医師「抗がん剤治療もさ・・・その」

男「わかってます。ですが父がそこまで拒否をするというのはその覚悟なんでしょう。俺の言葉にも耳を貸しません

医師「・・・そう」

男「俺だって・・・金が掛かっても治療させたいですよ・・・」

医師「・・・」

男「すいませんバイトなんで」

医師「ああ、では君も身体に気をつけてね」

男「ありがとうございます」



老借金取り「・・・」

男「どうも」

老借金取り「親父さんは」

男「生きてましたよ」

老借金取り「そうかい・・・坊主も大きくなったな・・・」

男「おじさんそれでも借金取りでしょう。随分と親切ですね」

老借金取り「なぁにお前がこんな時から取り立ててんだ・・・少しはゆるくても何も言われねえよ」

男「今月分遅れてすいません」 スッ

老借金取り「ひぃふぅみぃ・・・確かにもらった」

男「あと50万ですね」

老借金取り「ああ・・・頑張れよ・・・お前も不憫だ」

男「ふふっ、同情するなら」

老借金取り「金をくれか・・・おう、邪魔したな」

店長「じゃあ夜勤お願いね」

男「はい、お疲れ様です」

女「また夜勤はいるんですか?頑張ってますね!」

男「遊びたいですからね。稼がないと」

店長「も~男くんチャラいな~」

男「ははは」

女「じゃあ頑張ってくださいね!」

男「はい!お疲れ様です」


男「・・・」

男「ありがとうございましたー」

男「ふぁぁ・・・さすがに眠いな・・・」

男「少し今月の給料勘定するか」

男「・・・」



男「・・・・・チッ」

男「はぁ・・・」

男「治療費か・・・」

男「・・・へっ捻出できる治療費が1万かよ」

男「参ったな・・・」

男「あっいらっしゃいませー!」

男(大学やめるか・・・)

男(親父に意見聞いてみるか・・・たぶん駄目だと言うんだろうけど・・・)





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