有浦柑奈「初めてのラブ」 (20)

柑奈「ふぅー、お仕事長引いちゃった」

柑奈「プロデューサーさんから後で事務所寄ってくれって言われてるし、急がないと」


事務所
柑奈「ただいま戻りましたー・・・・・・」

パーーーーーン!!

柑奈「!?」

「お誕生日おめでとーーーーーー!」

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柑奈「へ?」

モバP「仕事お疲れ様、柑奈。お前、今日誕生日だろ?」

モバP「だから今日は労いも込めて、お前の誕生パーティーだ!」

柑奈「あ・・・・・・、あーーーーーーーーっ!!!」

柑奈「そうでした!今日私の誕生日じゃないですか!!」

柑奈「最近忙しかったから、すっかり忘れてました!」

心「もー、あんまり女の子に無理させるなよ☆」

モバP「そうかもしれないが、そんなこと言っても来月のマラソン企画は流れないぞ」

心「バレたか☆」

クラリス「お誕生日おめでとうございます、柑奈さん。あなたが生まれたこの良き日、一緒に祝いましょう」

飛鳥「重ねた数字に意味なんて無いさ。けれど、祝福という感情が在ること、これが大事なんだ」

柑奈「うぅ……、クラリスさん、飛鳥ちゃん・・・・・・、ありがとうございます!」

葵「泣くのはまだ早いっちゃ!あたしが腕によりをかけて作った料理、召し上がれ!」

柑奈「わぁ、美味しそうやね、葵ちゃん!」

葵「へへっ、最近は和食以外にもチャレンジしてるっちゃ☆」

薫「かおるもお手伝いしたんだよ!」

柑奈「薫ちゃんもありがとう!」

モバP「しかし、結構人数集まったなぁ」

クラリス「フフフ、柑奈さんの日ごろの行いの賜物ですよ」

志乃「おめでたい日はお酒がすすむわね、ウフフ・・・・・・」

美紗希「もぉ、志乃さんそればっかりぃ。あ、料理取り分けちゃうわねぇ」

ライラ「どれもおいしそうでございますねー」

梨沙「ちょっとライラ!よだれ出ちゃってるわよ!」

そら「でりしゃす!でりしゃす!おなかもふるでそらちん、そーはっぴー☆」

日菜子「こうやってお互いに料理を相手の口へ運んで・・・・・・ムフフ・・・・・・」

モバP「マイペースなのもいるが」

柑奈「皆がハッピーなら私はオッケーですよ、アハハ・・・・・」

イヴ「クリスマスじゃありませんが、プレゼントも用意してますよー」

涼「あたしと小梅からはホラー映画のDVDだ」

小梅「な、慣れてない人にも・・・・・・オススメ・・・・・・だよ・・・・・・」

美玲「ウチからはフードだ! たまにはファッションを変えてみるのもいいと思うぞ!」

朋「あたしからは開運グッズね。効果はあたしで実証済みだから!」

柑奈「皆さん、ありがとうございます!」

柑奈「うーん、なんだかインスピレーションが湧いてきたので、私一曲歌っちゃいます!」

唯「お、いいねー。 やっちゃえやっちゃえ!」

~♪






モバP「それじゃあ皆、気をつけて帰るんだぞー」

「はーーーい」


モバP「ふぃー、疲れた」

モバP「……もう少し片付けてから帰るか」

コンコン

モバP「ん?」

ガチャ

柑奈「すいません、忘れ物しちゃって……」

柑奈「ギターがあるはずなんですが……」

モバP「おいおい、商売道具を忘れるなよ」

柑奈「それくらい浮かれるほど嬉しかったんですよ! あ、それですね」

モバP「ほい。 気をつけろよ、大事なものなんだろ?」

柑奈「はい、爺っちゃんの形見ですから! あ、まだ生きてますけどね」

モバP「すっかり持ちネタにして……」

柑奈「いやぁ、でも今日はホントに嬉しかったです! 私は今、皆からのラブで溢れてますよ!!」

モバP「はは、そりゃよかった。 呼びかけた甲斐があったってもんだ」

柑奈「プロデューサーさんが企画してくれたんですか? さすがは私のプロデューサーさん、ラブで満ちてますね!」

モバP「やめてくれよ、気色悪い。 俺はほとんど声をかけただけだっての」

モバP「買い出しとかの準備をしたのは全部参加したアイドル達だ」

柑奈「そうなんですか! ここまでしてくれたなんて、またお礼を言わなきゃいけませんね!」

モバP「クラリスじゃないが、ここまでしてくれるってのはお前の日頃の行いなんじゃないか?」

モバP「しょっちゅうラブ&ピース言ってるのが浸透してきてるんだろ」

柑奈「そうなんですかね? そうだったら嬉しいなぁ……」

モバP「まぁ、俺もなんとなくわかってきた気がするよ、ラブ」

柑奈「本当ですか!? えへへへへ……」

モバP「にやけすぎにやけすぎ」

柑奈「でもですね、私が上京して最初にラブをくれた人はプロデューサーさんなんですよ!」

モバP「え? そうなのか?」

柑奈「はい! プロデューサーさんは私をスカウトした時の事、覚えてます?」

モバP「んー……、あぁ、あの時お前死んだ魚みたいな目をしてたよな」

柑奈「えぇ!? 私、そんなひどい顔してました!?」

モバP「冗談だよ、冗談」

柑奈「もう! わりとまじめな話ですよ!」

モバP「ハハハ、悪かったって」

柑奈「まぁ、でも確かに、あの時は路上で歌っては誰にも聴いてもらえなくて」

柑奈「すっかり落ち込みきっちゃってたんですよね……」



========================================
公園

~♪
柑奈「はぁ、だーれも聴いてくれん……」

柑奈「やっぱり父ちゃんの言うとおり、歌で食っていくのは無理なんやろか……」


モバP「えーっと、確かいつもこの辺にいたよな……」


柑奈「はぁ……ラブ……ラブはどこにあるんやろ……」

柑奈「ふぅ、これじゃいけんいけん。 まずはピースのために歌おか!」

モバP「ん? あれか?」

柑奈「オホン……。 ら~♪ ら~……」

モバP「あぁ、きみきみ。 ちょっといいか?」

柑奈「ん?」

モバP「君、いつもここで歌ってるよな?」

モバP「結構いい声してるし、よく通ってる。 君がよければアイドルなんて興味……」

柑奈「もしかして聴いてくれてた!?」

モバP「へ? あぁ、うん……」

柑奈「ラブ……、ラブやぁ……」

モバP「えっと……」

柑奈「ラブ&ピースの、ピース!」

モバP「ええぇぇぇ……」

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モバP「いきなり迫られて焦った。 かなり」

柑奈「アハハ……」

柑奈「でも、本当に私嬉しかったんです。 あの時」

柑奈「誰にも聴いてもらえないと思っていた私の歌を、聴いてくれている人がいた」

柑奈「そう思った瞬間、私の中がすごく満たされていくみたいで」

柑奈「どん底だった私に、がんばる気力が湧いてきたんです」

モバP「……」

柑奈「あの時感じた気持ち、私はきっとラブだと思うんです」

柑奈「だから……私がこっちに来て初めてラブをくれたのは、プロデューサーさんなんですよ」

モバP「……しかしなぁ、例えそうだとしても偶然じゃないか?」

モバP「たまたま俺が聴いてたから、俺が最初になったってだけだ」

柑奈「偶然だろうと認めてくれたのはプロデューサーさんですよ」

柑奈「それに、今でもプロデューサーさんは私の歌を信じてお仕事を持ってきてくれます」

柑奈「プロデューサーさんは現在進行形で私にラブを与えてくれているんですよ」

モバP「……」

柑奈「あれ? もしかしてプロデューサーさん、照れてます?」

モバP「うるさい、そういうのじゃないっての」

柑奈「えへへ……」

モバP「まったく……」

柑奈「とにかく、今の私にはプロデューサーさんや事務所の皆といった、ラブをくれる人がたくさんいるんです!」

柑奈「だから、私はこのたくさんもらったラブをもっと多くの人に届けたいんです!」

柑奈「お仕事で歌ったり、お芝居をしたり……」

柑奈「私の姿を見てくれた人が明日も前向きにがんばろうって思ってくれるように!!」

柑奈「そうしたらきっと、事務所の皆やプロデューサーさんへの恩返しにもなりますよね?」

モバP「柑奈……」

モバP「……よし」

柑奈「どうしました?」

モバP「明日からはレッスンメニュー増やすぞ」

柑奈「え」

モバP「トレーナーさんにもキツくしぼってもらうように言っとこう」

柑奈「は、はいぃ……」

モバP「仕事もレッスンもガンガンこなしてくぞ」

モバP「それで、いつかはお前の歌を日本中、いや世界中に届かせてやろう」

柑奈「……はい!」

柑奈「ふふ、やっぱりプロデューサーさんはラブに満ちた人ですね!」

モバP「どこがだよ。 それより明日もあるんだ、早く帰って寝とけって」

柑奈「はーい」

柑奈「あ、帰る前にプロデューサーさん」

モバP「なんだ?」

柑奈「これからもプロデュースよろしくお願いします!」

以上で終了です。

柑奈ちゃん誕生日おめでとう
ケーキ買ってこなきゃ(使命感)

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