義賊「何が正義なのか」 (29)
リリリリリ...
ガサガサッ
警備員「誰だ!」
(っと...警備員か...)
警備員「...風か」
(気絶させる位なら良いかな)
警備員「ふう...」
(ごめんね!) シュッ ガスッ
警備員「っぐ!」
義賊「こいつには罪はないよねっと...裏口から入れるね」 スタタタッ
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ギイ...
義賊(あぁ、台所か...)
義賊「おおう...こんな所にさっそく高級品が」
義賊「そいえば、あいつ新しい包丁欲しがってたな...あと鍋も...」
義賊「ウーン...ないなぁ...お?」
義賊「うわっ...武器になる物全部に鍵掛けてるし...まぁピッキングすれば何とか...」
カチャカヤ...
ビー! ビー! ビー!
義賊「うわっやっばい」
「警戒警報!第二調理場にて警戒警報発令!警備員は第二調理場に急行せよ!繰り返す...
義賊「逃げなきゃ!」 ダダダッ
「いたぞ!追え!」
「待ておい!」
義賊「やばいやばい!」
警備員「もう逃げられんぞ!」
「縛るぞ!」
義賊「あー...」
ーーー
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ーーー
「お前は運が良いな、普通だったら縛り首なんだが...」
義賊「...」
「盗みに入った屋敷の主は優しいだからな、何日か牢に入れろってだけで済んだそうだぞ」
義賊「へぇ...貴族の癖に良心はいっちょ前に持ってんだね」
「はぁ...だがお前は他にも窃盗の容疑があるからな、直ぐには出られんぞ、
他の貴族の奴らは殺せと言ってるらしいからな」
義賊「ふん...」
「へっ...可愛げがねえな?お前の立場分かってんのか?取調べって言えば俺は何だって出来るんだぜ?」
義賊「...ッ」
「まぁそれはまた今度にでもするか...おい!番兵!こいつは重要人物だ!絶対に目ぇ離すな!」
番兵「はっ!」
「それじゃ、また今度」 ニヤア...
バタン!
番兵「はぁ~...あいつ、気持ち悪い奴だろ?」
義賊「あ、うん...」
番兵「俺手っきりお前は万引きで捕まったガキかと思ったんだがなぁ、まさか巷を騒がせていた義賊とは思わなんだ」
義賊「サインはあげないよ」
番兵「何が悲しくてこそ泥のサインなんか貰わなきゃいけないんだ、まぁ今日は遅いからなさっさと寝ろ」
義賊「...」
ーーー
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義賊「...朝か」
番兵「おう起きたか、朝飯持ってこさせるからちょいと待ってくれや」
義賊「食欲ないからいい...」
番兵「飯食わなねぇと元気でねぇぞ?」
義賊「元気出すようなことはいないでしょ?」
番兵「はぁ?俺は別にお前に欲情するほど飢えちゃいねぇぞ?」
義賊「そうゆう意味で言った分けじゃないけど」
番兵「...いいから飯食え!もう来たから!」
義賊「はいはい...」
番兵「おい、朝刊にお前の記事載ってんぞ?」
義賊「見せて」モグモグ
番兵「ほらよ」 ポイ
義賊「あんがと、フムフム」
『盗賊遂に捕まる!
ここ最近世間を騒がせていた盗賊が昨夜未明犯行に入っていた屋敷で警備員に見つかり
現行犯逮捕。犯人は貴族の屋敷に忍び入り宝石などを盗み貧困層が住むいわゆる『スラム街』と
言われる地域で盗んだ宝石などを配り歩いていた。市民からは貧困層を生む国策が悪いと言う
意見も出ておりこの盗賊の是非が問われることとなる...
番兵「お前人気なんだな~」
義賊「人気になりたくて盗んだ分けじゃないんだけどなぁ...」
番兵「まぁなっちまったもんはしょうがないだろう」
義賊「今日はあの気持ち悪いの来るの?」
番兵「俺は知らんが取り調べはあるんじゃねぇか?」
コンコン
番兵「ん?どうぞ」
「ようお邪魔するぞ」
番兵「はっ!お疲れ様です!」
「あーあー礼はいらん...そいつを連れて来い、取調べだ」
番兵「はい!」 ガチャン
番兵「おい、出ろ!」
義賊(仕事はこなすんだね)
番兵(仕方ないだろ!さっさと出ろ!)
義賊(朝ごはんは?)
番兵(後で俺の半分やるから!)
「何してんだお前ら、さっさと来い!」
ーーー
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ーーー
番兵「自分も取り調べに出席せねばならんのですか?」
「別に調書を聞けとかそんなことじゃ無い、終わった後の処理でもしてくれ」
番兵「処理...?」
「詳しいことは後で分かるさ」
「さぁて義賊、お話でもしようか」
バタン...
番兵「ッチ、気に入らねぇな...」
上官「おう、番兵!あの盗人の取調べか?」
番兵「はい、自分はまだ朝飯も食べてないんです」
上官「ははは!そらしょうがない事だ...ところで何でここに立ってんだ?」
番兵「例の取調べ官にここにいろと言われまして...」
上官「取り調べには関係ない筈だが?」
番兵「はい、ですがあの野郎何言いたいのか「後の処理をしてくれ」と言って残されました」
上官「後処理...あんのボンボン...!」
番兵「はい?」
上官「お前は戻ってろ、あのボンボン...今日という今日は許さんぞ...」 タッタッタ
番兵「?」
そして...
番兵「はぁ~疲れた...上官どうしちまったんだ?」
ガチャ
上官「おう、お前お手柄だぞ!遂にあいつの鼻を明かすことが出来たぞ!」
義賊「...」
番兵「お前...だ、大丈夫なのか?」
上官「間一髪だった、この子はまだ綺麗な体だよ」
番兵「はぁ...いったいどう言う意味で?風呂にでも入れたんですか?」
上官「まぁ訳を話すとな、あのクソ野郎は女の容疑者の取調べで性的暴行を加える輩でな、
素直に抱かれりゃ悪いようにしねぇって言って抱いたらポイ...調書には実際に犯した罪よりも
もっとひでぇことを書き、刑罰を重くさせたんだ」
番兵「ほうほう」
上官「で、今回もこの子が被害に会いそうな所を間一髪俺と連隊長で止めたと言う訳だ」
番兵「そりゃお疲れ様です...で何で俺の手柄で?」
上官「お前があそこにいなけりゃ決定的な証拠にならんかっからな、棚から牡丹餅ってやつだ」
番兵「はぁそりゃどうも」
上官「もっと喜べよ!まぁ良い飯持って来させるからちょっと待ってろ、お前も食うだろ」
義賊「うん...」
上官「じゃ行ってくるわ」
バタン
番兵「大丈夫なのか?」
義賊「うん...何とか」
番兵「うーん気に入らねぇ奴だったが...下衆もここまで来ると関心するわ」
義賊「上官の前じゃ純粋ぶってんだね」
番兵「最初の掴みに失敗してなぁ...」
義賊「まぁ...」
番兵「ん?」
義賊「ありがと...あんたが居なかったら今頃はあいつに犯されてた」
番兵「良いって事よ、俺は純愛物しか受け付けない男でな」
義賊「馬鹿じゃない?」
番兵「恩人に向かって何てことを」
義賊「お礼は言ったでしょ?これで全部チャラってことで」
番兵「...」
上官「おーい飯持ってきたぞ!」
番兵「やったー!」
義賊「そいえば、さっき半分くれるって言ってたよね?」
番兵「なんてことを...」
上官「まぁ良いから!さぁターンと食え!」
番兵「いまさらですが、囚人の待遇良すぎじゃないですか?」
上官「ほんとに今更だな、まぁ外部には内緒って事で...それにこちらの不手際でこいつは危ない目に会ったからな、
口封じってやつだ」
義賊「恩を仇で返すような事はしないよ~」 モグモグ
番兵「なら良いっすね」
上官「じゃぁ俺は始末書書かなきゃならんからもう行くわ...」
義賊「もう行くの?ゆっくりしてけば良いのに」
上官「始末書書いた後はお説教があるんでな、今日と明日は来れないよ...」
番兵「気をつけて下さいね」
上官「おう...」
バタン..
義賊「大変そうだね」 モグモグ
番兵「まぁほとんどはあの野郎のせいだからな、今後に響くようなお咎めは食らわんだろ」
義賊「なら良いけど...」
番兵「あれ?俺の飯は?」
義賊「さぁ」
ーーー
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ーーーー
ーーー
上官「いわゆる左遷...と言う事でしょうか?」
大臣「そう言う訳ではないよ、ただちょっとねぇ...」
上官「ではどうして...」
大臣「あの問題起こした取調官の親がねぇ...人脈が広くて...」
秘書「国内の官僚達とも繋がりがあり、多くは言えませんが表ざたになれば国家を揺るがす恐れもあります」
上官「圧力を掛けた...ってことですか?」
大臣「まぁそう言う事になるな...認めてくれるか?」
上官「...元はと言えば私の観察不届きもあります、国の為になるのなら行きましょう」
大臣「ありがとう...ありがとう...」
上官「失礼しました」
バタン
上官(ふんっ...大衆の前じゃぁ良い顔しやがって...)
上官(まぁうちの隊に影響はでねぇだけマシか...)
男騎士「よお、どうしたシケたツラしやがって」
上官「おう、男騎士か...お前の妹をどう攻略するか考えてた所だ、何か良い案無いか?」
男騎士「氏ね」
上官「嘘だよ、ちょっとお上に移動の命令を貰ってな」
男騎士「移動?お前がか?珍しい事もあるんだな」
上官「それで何持っていくか悩んでたんだ」
男騎士「嘘付け。お前がそんなことで悩むような男じゃねぇだろ」
上官「...めっちゃ不安なんです...男騎士さん、俺めっちゃ不安なんだよ...」
男騎士「おおぅ...どこに行くんだ?」
上官「魔族とか怪物が住む森の警備」
男騎士「あぁ...それはキツいな...」
上官「女騎士さんにも告白してないしよ~どうすりゃ良いんだよ?混乱してきた!」
男騎士「おまえそんなキャラじゃねぇってのに...いよいよやばいな」
男騎士「下士官達にはもう伝えてんの?」
上官「いや、まだ言ってねえ」
男騎士「まぁ場所があれだからなぁ...反応に困るよ」
上官「とりあえず挨拶周りしてくるよ...」
男騎士「おう」
ーーー
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ーーー
番兵「お前生まれはスラム街なのか?」
義賊「んー...分からんない、気づいたらスラム街にいたんだ」
番兵「ほー、で盗みはいつからやり始めたんだ?」
義賊「さぁ?盗みも気づいたらやってた...でも盗んだものを人にあげるのは...いつから始めたんだろ?」
番兵「いろいろとあんだなー、スラム街に仲間はいんのか?」
義賊「仲間...と言うか家族みたいなもんかな」
番兵「家族ねー」
番兵「んにしちゃぁ面会とかそういうのには来ないなぁ」
義賊「みんな忙しいんじゃないかな」
番兵「そういうもんか?お前は危険を犯してまでスラム街の人間に奉仕してんだからさぁ
人の一人くらいは来ると思ってたんだがなぁ...」
義賊「仕方ないよ、みんなも必死で生きてるんだ」
番兵「そんなもんかなぁ?」
義賊「そういうものだよ...あの人達は苦労して生きてきたんだ、今くらい楽に生きさせようと
思うただの自己満足だよ」
番兵「ふーん、わかんねぇ世界だ」
義賊「上官大丈夫なの?」
番兵「俺が知るかよ、まぁそろそろ戻ってくるとは思うが...」
上官「ウーッス」
義賊「あっ、来た来た」
番兵「上官、どうでしたか?」
上官「左遷ですよ、ええ」
番兵「さ、左遷?!何で左遷なんか...」
上官「上の人間にもいろいろと思うところがあるんだ、仕方ない」
番兵「でも...!」
上官「それ以上は言うな決まった事だ、明々後日には出るからそのつもりで...んじゃあな」
番兵「...わかりました、御気をつけて」
上官「おう、生きて帰ったらお土産持ってくるは」
バタン
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