【艦これ】めいたんてい加賀さん (91)
某基地 某寮
玄関
ギィィィ
夕張「ただいまー」
夕張「まさか、急に降ってくるなんて」クシュン
名取「お帰りなさい…雨…ですか?」
夕張「そうよ。さっきまでいい天気だったのに。おかげで濡れちゃったわ」
夕張「シャワーしたいんだけど…お風呂空いてる?」クシュン
名取「少し前に夕立ちゃんがお風呂場の方へ行くのを見ましたよ」
夕張「こういう時ここみたいに小さい寮は困るのよね」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423757095
ギィィィ
夕雲「ふぅ…夕雲としたことが…こんなに濡れるなんてね」
夕張「あれ? 夕雲も出かけてたんだ」クシュン
夕雲「夕張さん、まだ風邪治らないんですか?」
夕張「結構長引いてるのよね」
夕雲「気を付けてくださいね。夏風邪を甘く見ると痛い目にあうそうですよ」クシュン
夕雲「あれ?」クシュン
夕張「夕雲も風邪?」
夕雲(確かに昼食のとき匂いも味も…)
ガチャ
夕立「あれ~? みんな帰ってきたっぽい?」フキフキ
夕張「もしかして夕立も雨に降られた?」
夕立「うん。濡れたけど、お風呂でスッキリしたっぽい!」
夕張「夕雲、先に入る?」
夕雲「いえ、夕雲は後で入ります。お先にどうぞ」クシュン
夕立「あれ?夕雲風邪っぽい?」
夕立「私も鼻詰まりで風邪っぽい!」
名取「みなさん野菜をちゃんと摂らないからですよ」
夕張「私、栄養管理は気を付けてたんだけどなぁ」
名取「夕食はほぼ作り終わったけどサラダを付け足しますね」
夕立「風邪治ったっぽい!」
夕雲「あなたそんなに野菜食べたくないの?」
夕立「た、たくさん食べられるっぽい!」
名取「それじゃあ、夕立ちゃんのサラダ増やしますね」
夕立「」
…………
………
……
廊下
鳳翔「夕立ちゃん、響ちゃんを見かけなかった?」
夕立「今日は響見てないっぽい。もしかしたら部屋にいるかも」
鳳翔「それが、ノックをしたけど返事もないから…」
夕立「寝てるっぽい? 用があるならあとで伝えとく!」
鳳翔「ううん…ちょっと洗濯の手伝いをしてくれるって言ってたからね」
夕立「私も手伝った方がいいっぽい?」
鳳翔「大丈夫、もう終わったから。それより寝てるなら、もうすぐご飯だから起こさないとね」
夕立「私が起こしてくる!」
鳳翔「それじゃあ、お願いね。私は名取ちゃんの手伝いをしようかな」
食堂
名取「鳳翔さんわざわざありがとうございます。でも今日は艦娘も少ないので私一人で大丈夫です」
鳳翔「そう?」
名取「はい。どうぞ鳳翔さんのです」
鳳翔「ありがとう」
夕雲「名取さん、私のをお願いしますわ」
名取「夕雲ちゃんはこれですね。あ、野菜マシマシにしておきました」
夕雲「」
名取「それと野菜ジュースもサービスしますね」
夕雲「」
響の部屋
コンコン
夕立「響いるっぽい?」
ガチャ
夕立「ドア開けっぱっぽい!」
夕立「響ー、もうご飯の時間っぽい。早く食堂に……」
夕立「…………」
夕立「た、た、大変っぽい!」
夕張「どうしたの、夕立。そんな大きな声出して…そもそもここあなたの部屋じゃないわよね」
夕立「ひ、響が死んでるっぽい!」
夕張「え!? う、嘘でしょ」
夕張が中をのぞくと、その部屋には床を赤く濡らし、倒れている響がいた。
夕張「と、とにかく血を流して倒れているなら早く手当てを」
夕立「で、でもそんな道具ないっぽい!」
夕張「この時間なら、みんな食堂にいるはず…誰か呼んでくるわ!」
夕立「わ、私も行く!」
食堂
赤城「加賀さん、今の見ました?」
加賀「何か変なものでもありました?」
赤城「夕雲ちゃんのご飯の量増えてましたよね?」
加賀「増えてたのは野菜だけ。そもそも赤城さんはいつも量を増やしているでしょう」
赤城「野菜でも増えたら嬉しいですよ」
加賀(そもそもアレ以上は盛れない気がします)
タッタッタッ
夕立「大変っぽい!」
加賀「どうかしましたか?」
夕張「と、とにかく響の部屋に!」
加賀「わかりました。赤城さん、私は少し席を外します」
赤城「いってらっしゃーい」 モグモグ
響の部屋
加賀「これは…!」
夕立「まだ、誰も触ってないっぽい…もしかして生きてるっぽい?」
加賀「…………」
夕立「うそじゃないっぽい…」
夕張「今日は提督いないし、どうすれば…」
加賀「とりあえず私達でなんとかしま…」
夕雲「きゃあぁぁ! これはどういうことですか」
名取「夕雲ちゃん! 紙パック、ちゃんと飲まなきゃダメで…」
名取「こ、これは……。加賀さん、早くお…」
加賀「名取さん、少しいいですか」 ヒソヒソ
名取「はい、分かりました。持ってきます」
夕張「加賀さん、いったい何を頼んだんですか」
加賀「それは…後で分かることです。とりあえず、あなたたちのアリバイを聞かせてもらいます」
・・・
加賀「なるほど…丁度ここにいる三人はほぼ同じころに、この寮に戻ってきた…」
加賀「それでは参りましょう。解決編に」
夕立「もう犯人分かったっぽい?」
夕雲「……」
加賀「まず、そこに倒れている彼女を見てください。何か気づくことがあるでしょう」
夕雲「それほど血は出ていませんね」
夕立「そもそも、この部屋に凶器っぽいものは見当たらないっぽい」
加賀「それから?」
夕張「体勢がちょっとおかしい気がするわ」
夕立「指でどこかを指してるっぽい?」
加賀「そう、その通り。そして、その先にあるものは…」
夕立「窓?」
夕雲「もしかして、犯人が逃げた場所を指しているのでは?」
加賀「いいえ、窓よりもっと遠くにあるもの」
夕張「外に見えるものってことよね…」
加賀「彼女と同じ体勢なら分かるかもしれません」
夕立「分かった! 空っぽい!」
夕張「空? 犯人は空母ってこと!?」
夕雲「そうなると、加賀さん、あなたが一番…」
名取「加賀さん、お待たせしました。鳳翔さんにもお話していたら遅くなってしまって…」
加賀「ありがとう。でも、まだ必要ではありません」
夕雲「そ、それより一番怪しいのは…」
加賀「私は犯人ではありません。ですが、いい推理です。ずばり犯人はこの中にいます!」
解決編
加賀「まず、大事なのは事件の起こった時刻です。私の見解では、丁度あなたたちがこの寮へ戻ったころ」
加賀「次に彼女が指し示すもの。時刻と合わせて考えると、そこには夕空が広がっていたはずです」
加賀「奇しくも、あなたたち4人には"夕"の文字が入っています」
夕立「夕立に夕雲、夕張…一人足りないっぽい?」
夕雲「名取さんの"名"にも確かに入っていますね」
名取「ふえぇ…何の話ですか?」
夕張「空を指してたなら夕空というよりも、むしろ夕雲なんじゃ…」
夕雲「わ、私は犯人ではありません!」
夕立「そうやって否定するのが怪しいっぽい!」
夕雲「そ、それを言うならあの時間は雨が降っていました。この時期の突然の雨…夕立さん、まさしくあなたのことです!」
加賀「ふふっ…いい推理です。それでは名取さん、みんなにあれを」
名取「は、はいっ! みなさんどうぞ…」
夕雲「こ、これは、さきほどの野菜ジュース…」
夕立「わ、私はいらないっぽい…」
夕張「これを飲めばいいのね」
加賀「えぇ、とりあえず一口飲んで見て」
夕雲「」チュー
夕立「」チュー
夕張「」チュー
加賀「さて、これで分かったでしょうか」
夕張「! まさか…」
夕立「! あんまり野菜気にならないっぽい!」
夕雲「それは単なる鼻づ…!」
鳳翔「お待たせ! ぞうきん持ってきたよ」
鳳翔「響ちゃん、起きて!」
響「んー!」
響「ふあぁ…ん? みんな集まってどうしたんだ?」
鳳翔「ほら、ハンカチで顔を拭いて、それからお風呂に入ってきて」
響「ハラショー…」
鳳翔「飲み物を床に置いて寝ちゃダメですよ」 フキフキ
響「ハラショー…お風呂に入ってくる」 スタスタ
夕立「あれ? ワケが分かんないっぽい!」
夕張「響がトマトジュースでもこぼして、寝てたってことよね」
夕雲「加賀さんと名取さんは最初から気づいていましたね」
加賀「ちょっと盛り上げた方が面白いと思ったので」
名取「私は少し前に耳にした演劇の練習かと…ミステリーという話でしたから」
夕立「とにかく事件解決っぽい!」
食堂
加賀「赤城さん、お待たせしま…」
赤城「おかえりなさい」チュー
加賀「あれ?」
赤城「ん? この野菜ジュースならいっぱいあるそうですよ。ちょうど全種類を飲み終わるところです」チュー
加賀「あの…私の…」
赤城「私は二週目に入るので加賀さんの分も持ってきますね」
加賀「いや、私の夕食…」
赤城「加賀さんのご飯なら鳳翔さんが冷めると美味しくないので他の艦娘が来ないなら廃棄すると言って…」
加賀「えっ!」
赤城「誰も来なくて勿体無かったので私がいただきました」
加賀「えぇっ!」
終
肝心なタイトルを忘れていました
『空からの刺客』です
とりあえず今出来ている分だけ投下してみました
今後の予定
『お菓子な消失』
『ステルスチョコあれば』バレンタインネタ
『お菓子な消失』
電「ただいまなのです!」
電「って誰もいないようなのです」
電(でも今の電はウキウキ気分なのです!)
厨房
電(昨日、間宮さんから聞いたのです。バレンタインチョコ作りのあまりを今日電が食べてしまってもいいのです!)
電(しかも電特製のチョコも作ってくれたそうなのです!)
ガチャ
電(………?)
電(中には既に包みに入ったチョコしかないのです…)
電(間宮さんは分かりやすいって言ってたからおかしいのです…)
電(た、大変なのです! 電のオヤツが消えてしまったのです!)
電(とりあえず間宮さんを探すのです!)
加賀「電さん、冷蔵庫開けたまま何をしているのですか」
電「!」
電「加賀さんなのです! かくかくしかじかなのです」
加賀「なるほど…チョコが消えた…」
加賀「では探してみましょう」ガサガサ
電「そこはゴミ箱なのです…いくらなんでもチョコを捨てるハズはないのです」
加賀「ありました」
電「そんな…」
加賀「メモが」
電「?」
加賀「これを見てください。間宮さんの置き手紙です」
『雷ちゃんへ
チョコは冷蔵庫に冷やしてあります
間宮』
電「はわわわ、電ではなく雷になっているのです」
加賀「しかしボールペンで書かれていて書き換えたようには見えませんね」
電「しかも、間宮さんの字なのです!」
加賀「それでは雷さんのもとへ参りましょう」
電「はい、なのです!」
雷の部屋
雷「んー? 電じゃない。私に何か用?」
電「実は電のオヤツが無くなってしまったのです」
電「もしかしたら雷が間違って食べてしまったかもしれないのです!」
雷「私じゃないわ、電のチョコを勝手に食べる理由もないじゃない」
電「でも間宮さんの手紙には電じゃなくて雷って書いてあるのです」
雷「そんな手紙、知らないわよ?」
電「雷じゃないなら誰が食べたのですか…」
雷「食堂によく出入りする人に聞いてみたらどうかしら」
電「ありがとうなのです!」
加賀「……」
食堂
電「あ、赤城さんがいるのです」
加賀「赤城さんこんなところで何をしているのですか」
赤城「きゃぁっ! 加賀さん驚かせないでください」
加賀「驚かせるつもりありませんでしたが、それよりもまた間食ですか」
赤城「少し演習をしてお腹がすいたので…」
電「あれっ? 赤城さんのほっぺにチョコが付いているのです!」
赤城「こ、これは…」
電「怪しいのです!」
加賀「赤城さん、食べたのですね」
赤城「すみません…我慢出来ずに…」
電「赤城さんなら仕方が…」
加賀「あれほどアイスの食べ過ぎは体に悪いと言ったのに懲りませんね」
赤城「で、でも冬に食べるアイスは格別なんですよ」
加賀「……」
電(チョコの話じゃなかったのです…)
厨房
加賀「事件現場をもう一度調べてみましょう。何か新たな発見があるかもしれません」
電「まずはもう一度ゴミ箱を調べてみるのです」
電「これは…!?」
加賀「アイスの袋ですね」
電「4つも捨ててあるのです」
加賀「それ以外は特に何もないようですね」
電「次は机の上を調べて見るのです」
加賀「少々散らかっていますね……! ここを見てください」
電「何かの粉がこぼれているようなのです」
加賀「」ペロッ
加賀「こ、これは!?」ペロッ
電「な、なんだったのですか!」
加賀「ベーキングパウダーのようです。チョコ以外のものを作った艦娘がいるというだけでしょう」
電(麻薬や青酸カリではなかったのです……)
加賀「それよりこの辺りにペン立てはありませんか?」
電「ペン立てなのですか?」
加賀「間宮さんが厨房でメモを残すためのペンがあると思ったのですが…」
電「あっ、あったのです!」
電「このペン立てにはいろいろ入っているのです」
電「鉛筆にシャーペン、ボールペン、フェルトペン…なぜかクレヨンまで入っているのです」
加賀「トンボ鉛筆、クルトガ、フリクション、マジックインキにクレパス…」
加賀「謎は解明しました!」
以下は推理にお役立てください
http://www.tombow.com/products/2558/?pcview=true#product_lineup
http://www.mpuni.co.jp/products/mechanical_pencils/sharp_pen/kurutoga/standard.html
http://frixion.jp/sp/
http://www.guitar-mg.co.jp/story/
http://www.craypas.com/products/regular/craypas/
解決編
加賀「それでは私の推理を話しましょう」
加賀「犯人は雷さんです」
電「えぇーっ! さっき違うって言っていたのです!」
加賀「まぁ犯人なのですから嘘くらいつくのではないでしょうか」
電「でも、あの手紙は何なのですか?」
加賀「あれは彼女が書き換えたものでした」
電「あれはボールペンなので書き換えは出来ないハズなのです…」
加賀「私も最初はそう思っていました。しかし、ペン立ての中を見たところ、この問題は解決しました」
加賀「これです」フリクション
電「こ、これはフリクションなのです!」
加賀「そう、これを使えばボールペンなのに文字を消せます」
加賀「消えていたのはチョコだけではなかったのです」
加賀「間宮さんはたまたまあったので使ったのでしょうが、犯人はこれを上手く利用したのでしょう」
電「で、でもそれだけじゃ雷が書き換えたとは言えそうにないのです…」
加賀「確実に食べた証拠はありませんが…そこは炙りだしましょう。チョコのように相手の嘘を溶かすのです」
雷の部屋
雷「また来たのー? まったく仕方ないわね」
電「わ、悪い子なのは雷のほうなのです!」
雷「ま、また私が犯人だって言いに来たの?」
電「違うのです! 証拠が見つかったのです! 目撃者もいたのです!」
雷「そ、そんなわけないわ。あの時は誰も……!」
電「ひ、引っかかったのです…ということは犯人は雷なのですね…」
雷「……」
加賀「そもそも一度あなたにあった時から怪しいと思っていました」
雷「あの時も口を滑らせちゃったのかな」
加賀「その通りです。食べられたものがチョコだと知っていたこと。あの時は『オヤツ』としか言っていませんでした」
雷「実は私ね、寝過ごしてお昼ご飯を食べ損ねたの。食堂に行ったけど誰もいなくて…」
雷「何か余り物でお料理しようと思って冷蔵庫を開けたらチョコが目に入って…」
電「だからって電のチョコを食べるなんてひどいのです…」
雷「そ、そうじゃないのよ。あのチョコね、名前入りだったの」
電「電のですか? 余計におかしいのです!」
雷「それがね雨冠が手前にあったのよ。奥の方がちゃんと見えなくて雷だと思ったの」
電「た、確かにそれだと気づかないかもなのです」
雷「気付いた時にはもうかじってて…」
加賀「そこであなたはメモに気付いた。チョコの文字の電と雷を見間違えたあなたは逆の細工をメモにした」
雷「その通りです」
電「な、謎は解けたのでもうこのお話はいいのです」
雷「えっ…どうして」
電「電は今日食べられなかったくらいで起こらないのです。」
電「それに明日、雷から貰えるのを知ってからいいのです。毎晩、頑張ってるのを見てたのです」
雷「電…ありがとう」
厨房
ガサゴソ
加賀「誰ですか?」
赤城「!」
加賀「赤城さん、まったくこんなところで何をしているんですか?」
赤城「ちょこっと冷蔵庫を覗いたらチョコがいっぱいあるなーって…」
加賀「まさか! 食べてしまったのですか」
赤城「さすがにそんなことはしませんよ! 私、みなさんが一生懸命作ったこと知っていますから」
加賀「そう。それなら良かった。明日貰えるんだからそれまでの我慢です」
赤城「明日…貰える…」
赤城「そう考えると今日私が少し食べること明日私が食べることは同じことと考えられてつまり私が今ここで食べて…」 ブツブツ
加賀「いや、ダメですよ」
終
EXTRA ぷらずまちゃん
雷の部屋
雷(うーん、困ったわ。あのチョコ司令官に上げるつもりで作ったのに…)
雷(今からチョコを作るには準備が…)
雷(でも、司令官より電に上げた方がいい気がする)
雷(司令官には悪いけど甘いチョコは無しね。その代わり私が甘やかしてあげる! 悪く思わないでね司令官!)
終
『ステルスチョコあれば』
2月14日
その日はバレンタインデーだった
提督。一応これ、僕からも渡しておくね……邪魔、かな?
そう言った僕だって真心込めてチョコを作った
きっといろんな形の愛があるんだよね
執務室前
ガチャ
時雨「失礼しました」
バタン
時雨(よかった。僕のチョコ喜んで受け取ってくれたみたい)
睦月「あれ? 時雨じゃない!」
時雨「その箱、もしかして睦月も提督にチョコを?」
睦月「そう! チョコを上げるの」
時雨「如月がいないみたいだけど…」
睦月「……」
時雨「一緒に作ってたよね?」
睦月「あ、後で渡すんじゃないかな」
コンコン
睦月「て、提督! 失礼します」
時雨(何か事情がありそうだね。厨房に行ってみようか)
厨房
如月「……」
時雨(ちょっと落ち込んでいるみたいだね…)
時雨「如月、睦月とケンカでもしたの?」
如月「えっ! 時雨……? 急に話しかけてくるからビックリしたじゃない」
如月「それでケンカだっけ? してないわよ。なんで、そんなことを聞くのかしら?」
時雨「睦月と一緒にチョコ作ってたから僕はてっきり…」
如月「そ、それは…ちょっと失敗したのよ。今から作り直す時間もないからもういいのよ」
時雨「……」
食堂
金剛「というわけでこのバケツに水を張って外で冷やしておくのデース」
榛名「それで流行りのアイスバケツとやらができるんですね」
比叡「ひえー。それで誰が被るんですか、お姉さま」
金剛「ここは一つクジ引きデス!」
霧島「そもそもアイスバケツの作り方が違うような気もするのですが…」
金剛「大丈夫! 私に全て任せるのネー!」
霧島「はいっ!」
時雨(バケツに氷張ってみたいだけじゃないのかな…)
執務室前
時雨「あれ? 睦月まだここにい…」
睦月「静かにっ。執務室を見て」
時雨「あれは…叢雲だね。チョコを渡しているみたいだけど」
睦月「あっ、マフラー…」
時雨「提督からのプレゼントかな。叢雲はお気に入りだもんね」
睦月「…………」
時雨「睦月、どうしたの? 睦月!」
睦月「いや、ちょっと羨ましいなって…ごめんね、私部屋に戻る…」
叢雲の部屋
叢雲「きゃああああぁぁぁっ」
叢雲「ぁぁっ……っ……」
叢雲「……………」
廊下
深夜0時
丁度、僕が廊下を歩いていたその時、悲鳴が聞こえた
時雨「今の声は!?」
ガチャ
浜風「どうしたんだ!」
廊下に飛び出して来たのは浜風だった
時雨「ねぇ、今の声聞いた?」
浜風「隣の部屋から聞こえた気がした。音の方からして叢雲の部屋だと思う」
ドンドン
浜風「大丈夫か! どうしたんだっ!」
時雨「か、鍵は?」
ガチャガチャ
浜風「掛かってる…」
ガチャ
叢雲の隣の部屋から出て来たのは睦月だった
睦月「ふぁぁ…すごい声がしたけど何かあったのぉ?」
浜風「叢雲の声だったよな?」
睦月「寝ていたからよくわかんないけど隣から聞こえた気がする…」
如月「ねぇ、何があったのよ」
睦月「如月! どうしてここに?」
如月「結構騒がしいかったわよ。気ならない方が不思議よ」
時雨「その割りには他には誰も来てないけど…」
如月「食堂でも騒いでる人達がいたからじゃないかしら」
加賀「確かに。金剛さんといい赤城さんといいチョコで盛り上がっていましたからね」
如月「か、加賀さん…」
加賀「お手洗いに、と食堂を出たのですが何やら騒々しかったので来てみたのですが状況を話していただけますか」
……
…
加賀「なるほど、叢雲さんの部屋から悲鳴がして返事もない…」
加賀「例えば、ゴキブリを見て気絶などであればいいのですが」
加賀「扉か開かないとなると窓しかないでしょう。一度外から見てみましょう」
時雨「それじゃあ、僕も」
睦月「私も!」
加賀「わかりました。時雨さんと睦月さんは私と一緒に。浜風さんと如月さんは扉の前で待っていてください」
外・玄関前
加賀「ちょっと待ってください。地面が濡れているようです。水たまりも出来ていますね」
時雨「でも、晴れていますよ」
加賀「雨ではなく、このバケツに溜まっていた水がこぼれたのでしょう」
睦月「高速修復材のバケツ…」
加賀「この水たまり、跨ぐには幅が広いですね。靴は汚れますが…とにかく今は窓へ向かいましょう」
時雨(この敷地の外に向かって伸びていた足跡…あれは誰のなんだろう)
叢雲の部屋・窓の外
加賀「さて、カーテンは閉じていないようですね。中を確認しましょう」
加賀「!」
時雨「どうしたんですか!」
加賀「少なくとも叢雲さんが中で倒れているのは確認できました」
時雨「そんな!?」
睦月「あっ、窓の鍵、掛かっていません!」
加賀「妙ですね…いえ、それより中に入りましょう!」
叢雲の部屋
時雨「叢雲! しっかりしてよ!」
睦月「ねぇ! 返事をして!」
浜風『何があったんだ!?』
時雨「叢雲が中で倒れてて返事をしないんだ!」
加賀「二人とも少し下がってください」
加賀「……」
加賀「返事をしないのではなく、できないのです。叢雲さんは死んでいます」
時雨「えっ……」
睦月「嘘…でしょ……」
加賀「間違いありません。首にマフラー…部屋で巻いているのは気になりますね。恐らくこれは…」
スルスル
加賀「やはりそうでしたか。首に跡があります。このマフラーで絞殺されたとみて間違いないでしょう」
時雨「そのマフラー…」
加賀「何かこのマフラーについて知っていることがあれば教えてください」
時雨「もう少し前に提督が…叢雲にプレゼントしていたんです」
加賀「提督が?」
時雨「睦月も見たよね?」
睦月「うん…」
加賀「とりあえずこの部屋を出ましょう。現場保存のため窓から戻りましょう」
廊下
如月「叢雲が死んでるだなんて…」
浜風「しかも殺人…?」
加賀「今から私は提督と話をしてきます。あなたたちはここにいてください。それから口外しないようお願いします」
時雨「僕もついていっていいですか」
加賀「……プレゼントの件もあります。一緒に来てください」
時雨「わかりました」
執務室前
コンコン
加賀「提督! 提督!」
時雨「いないのでしょうか?」
加賀「では食堂の方にいってみましょう」
時雨「賑やかだから提督もいるかもしれませんね」
食堂
赤城「遅かったですね、加賀さん」
加賀「まぁ…ちょっと用ができてしまいました」
赤城「そうですか。あ、これ一ついかがですか? 忙しい時こそ甘いものですよ」
加賀「ありがとう」
金剛「きっと加賀はあまりお腹の調子が良くないのデース」
榛名「だから戻ってくるのが遅かったのですね。さすがです、お姉さま」
霧島「せめてもう少し小さな声で…」
加賀「もう十分聞こえていますが」
金剛「腹痛くらい大丈夫なのデース! なんなら明日一緒にアイスバケツするといいのネー」
赤城「バケツアイス?! 私も一緒に…」
比叡「バケツアイスではなくアイスバケツです。頭から氷水を被るそうです」
金剛「比叡、明日は頑張るのデース」
比叡「はいっ!」
赤城「比叡さんが冷え冷えですね」
榛名「榛名、温度を上げてきますっ!」
加賀「それより提督がどこにいったか知りませんか」
金剛「それならもう少し前に慌てて出て行ったのデース」
霧島「何でも本部から急な呼び出しが掛かったそうで、ここへ来てそう言い残していきました。ここに来たのはガヤガヤしてたからでしょう」
加賀「提督がいない…」
時雨「困りましたね」 ヒソヒソ
加賀「執務室に戻りましょう」 ヒソヒソ
執務室前
加賀「提督は時折、抜けているところがあります。慌てて出て行ったのら、鍵を掛けていない可能性があります。」
加賀「私としたことが先ほどは施錠の有無を確認をしていませんでした」
ガチャ
時雨「開いているようですね」
執務室
加賀「机の上には箱が山積みですね。おそらく中身はチョコですね」
時雨「私が渡したときよりもいくつか増えています。多分、睦月と叢雲の分ですね」
加賀「どうしてそう言えるのでしょうか」
時雨「実は…」
……
…
加賀「なるほど、それでは今私の手元にあるこの3つのチョコ。これらが先ほど会った方のチョコですね。2つは外装少し似ている気がします」
時雨「一つは僕のチョコですね」
加賀「開けてもいいでしょうか」
時雨「うーん…まぁ、いいですよ。チョコとメッセージが添えてあるだけですから」
パカッ
加賀「……」
加賀「確かに言う通りですね。残りの2つですが、睦月さんと叢雲さん、どちらがどちらか分かりますか?」
時雨「この箱が睦月の持っていたやつだと思います」
加賀「申し訳ないですが開けさせていただきます」
時雨(僕に向かって言われても…)
パカッ
加賀「よくあるハート型のチョコですね。真ん中にチョコペンで字が書かれています」
『ていとく
ハッピーバレンタイン!
むつき』
加賀「あなたの言う通り、これは睦月さんのチョコでした。それでは残りの一つは必然的に叢雲さんのチョコですね」
加賀「それではこちらも開けてもいいですか」
時雨「僕に聞かないでください…」
パカッ
『しれいかんへ
ハッピーバレンタイン♡,,
』
加賀「内容にそれほど違いはないようですね。名前はありませんが叢雲さんの渡したチョコなのでしょう」
加賀「……」
時雨「どうしたんですか?」
加賀「現在、容疑者は4人です。睦月さん、如月さん、浜風さん、そして時雨さんあなたです」
時雨「ぼ、僕は犯人じゃ…」
加賀「…とりあえず叢雲さんの部屋まで戻りましょう」
叢雲の部屋前
加賀「みなさん、お待たせしました。事件をより把握するためにそれぞれ話を聞かさせていただきます」
……
…
睦月「今日の行動はこんな感じです…私、疑われているんですか?」
加賀「いえ、刑事ドラマでよくある形式をやってみただけです。犯人の見当もつきません」
加賀「睦月さんは部屋で寝ていたとのことですが窓の近くを誰か通りませんでしたか?」
睦月「すみません、気付きませんでした」
加賀「……。ありがとうございました。浜風さんを呼んできてください」
……
…
浜風「以上です。まさか、この寮で殺人事件が起こるとは。あの時、ドア壊していたら…叢雲を助けられたのか…犯人を捕まえられたのか…」
加賀「今はその犯人を捕まえることに専念しましょう。ところで、犯人は窓から逃げたようなのですが誰かが窓の外を…」
浜風「分からない…私は叫び声を聞いて部屋を飛び出したから。私がドアをノックしなければ犯人はドアから出ていたかもしれない…」
加賀「それでは、チョコについて尋ねます」
浜風「チョコ? そういえば、バレンタインデーでしたね。私はチョコは作ってません」
加賀「この間、厨房で何か作っているのを見ましたが…」
浜風「あれはクッキーです。去年チョコを貰ってホワイトデーにクッキーを作って渡したら好評だったので。今年はチョコと交換しました」
加賀「そうですか…もう一つだけ質問を。如月さんのチョコについて何か知りませんか?」
浜風「あぁ、あれまだ見つかっていないんですね。加賀さん、手伝っているんですね」
加賀「……。ありがとうございました。如月さんを呼んできてください」
……
…
如月「これでいいかしら? …如月を疑っているんですか?」
加賀「そういうわけではありません。それよりも如月さん、あなたチョコを失くしたようですが…」
如月「…多分、犬が咥えて持っていっちゃったんです」
加賀「誰かが盗んだのですか?」
如月「……分かりません」
加賀「それでは、事件のあった頃あなたはどこにいましたか?」
如月「叢雲の部屋へ行くまで私は…玄関にいました」
加賀「! その時のバケツの状況を教えてください」
如月「ぁ…すみません。私が、私がバケツを倒したんです」
加賀「……。ありがとうございました。時雨さんを呼んできてください」
……
…
時雨「まぁ、さっき一緒にいるときにほとんど話しましたよね。やっぱり、僕も疑われているんですか?」
加賀「秘密にしているこの状況で本当に疑っている人にあなたが怪しいと指摘するものでしょうか」
時雨「良かった…僕は疑われてないんですね」
加賀「はい、先ほどの3人の話で犯人を推測できました。あなたにも私の得ている情報を伝えておきましょう」
時雨(僕にも推理してほしいってことなのかな…)
以下を推理にお役立てください
時雨改二
http://wikiwiki.jp/kancolle/?%BB%FE%B1%AB%B2%FE%C6%F3
睦月改
http://wikiwiki.jp/kancolle/?%CB%D3%B7%EE%B2%FE
如月改
http://wikiwiki.jp/kancolle/?%C7%A1%B7%EE%B2%FE
浜風改
http://wikiwiki.jp/kancolle/?%C9%CD%C9%F7%B2%FE
叢雲改
http://wikiwiki.jp/kancolle/?%C1%D1%B1%C0%B2%FE
解決編
加賀「さて、お集まりいただきありがとうございます」
睦月「…」
如月「…」
浜風「…」
時雨(加賀さんの推理…彼女だったなんて…)
加賀「叢雲さんを殺害した人物。まず、犯行現場についての確認です」
加賀「私達が部屋に入ったとき彼女が死んでそれほど時間は経っていないようでした。つまり、皆さんが聞いた悲鳴は紛れもなく彼女が殺される丁度その時のものだったのです」
加賀「部屋のドアは内側から鍵がかかっていて、窓の鍵はかかっていなかった。犯人は窓から逃げた訳ですが…外部犯の可能性はありません」
加賀「セキュリティ上この敷地に部外者は入れないでしょう。必然的に犯人は内部の者となります」
如月「如月達が疑われているということですね」
浜風「それなら私は犯人ではない。叫び声を聞いてすぐに飛び出たからな」
加賀「そうですね。あなたが部屋を出た時犯人はまだ部屋にいたでしょう。これで一緒にいた時雨さんも犯人ではないと言えます」
睦月「私と如月のどっちかってことになるのね…」
加賀「さて、その如月さんですが事件の起きた頃、玄関にいたそうです。バケツを倒したそうです」
睦月「確かに私達が窓へ向かう時、倒れてました」
加賀「ここでもう一度出入り口について話します。この寮の出入り口は玄関と厨房の裏口のみです。一周してみましたが開いている窓はありませんでした」
加賀「しかし、厨房から入ると食堂にいた私達の目に入ります。よって玄関からのみ、と言いたいところですが」
時雨「玄関は濡れていた…ですよね」
加賀「そう、私達が外に出たとき玄関から伸びていた唯一の足跡。あれはおそらく提督のものです」
加賀「そして外に向かう時、玄関内には足跡はありませんでした。外から戻った私達の足跡は出来ました。つまり、犯人は玄関を通っていません」
加賀「これらの状況から…」
睦月「もうやめてください。そんな遠回しに私をイジメて楽しいですか!」
如月「むつ……き?」
睦月「そうだよ! 私が叢雲を殺したんだよ!」
如月「お、落ち着いて、睦月!」
如月「加賀さんも何か言ってください! そもそも睦月が殺す動機なんて!」
加賀「彼女が犯人です。動機はあなたのチョコ…」
時雨「睦月は気付いたんだよね。僕と執務室を覗いてたあの時、叢雲の渡した箱が…如月のものだったって」
睦月「…そう。そうよ! 叢雲は如月のチョコを盗んだのよ! それも知らずに提督はデレデレして! マフラーなんか渡しちゃって…」
睦月「如月の気持ちを込めたチョコレートなのに…」
如月「そんなぁ…睦月は如月のために…?」
回想
睦月「ねぇ叢雲、私見たんだからね…あれって如月のチョコじゃない!」
叢雲「何を言ってるの? 丁度都合よく置いてあった…いえ、落ちていたのよ」
叢雲「まったく…提督ったらチョロいわね。こんなマフラーまでくれて♡」
叢雲「暖かいわ。気持ちのこもったマフラー…いつかあなたも貰えるといいわね」
……
…
時雨「加賀さん、実は僕、あのチョコが如月のものだって確信がないんです。二人とも普段から司令官って呼んでいるし」
加賀「叢雲さんは一度箱を開けたはずです。だからこそ、あの妙な点があったわけです」
時雨「妙な点…ですか?」
加賀「叢雲さんが渡したと思えるチョコを確かめました。あの時、ハートマークの右下に二つの点がありました」
加賀「元々は睦月さんと同じように名前が書かれていたのです。『きさらぎ』と。その文字を叢雲さんは取ったのです」
時雨「そして『ぎ』の濁点だけは取り忘れていた…スッキリしました」
加賀「それでは私はこれで…」
こうして事件は幕を閉じた
終
>>66
なんか変なところあったら教えてください
wiki見たら戦艦とかでも呼び捨てで呼称とか語尾迷った
多少間違うのはしゃーない
>>67
全体的に言葉遣いかな?本来は丁寧な物腰かな
いくつか抜粋するなら
>>44なら「どうしたんだ!」ではなく
「どうしたんです!?」「なにごとですか!?」とかで
>>47も言わずもがな
>>58 から特に挙げるなら
「分からない…私は叫び声を聞いて部屋を飛び出したから。(ry 」を
「分かりません…私は叫び声を聞いて部屋を飛び出したので。(ry 」
って感じかな
>>68
ありがとうございます
雪風…先に行くぞ…や金剛、信濃呼びから敬語は少なくしていました
対加賀さんには敬語を使いたいと思いつつ無しの方向でした
今後は加賀さん自身も相手も敬語の方針で行きます
>>70
>雪風…、先にいくぞ…!
あぁそれか 雪風へのは姉妹&高ぶってるからか、単なるミスだと思いますな。
それだけななんか浮いてる
「信濃……今度は護り抜きます」
「こんな痛み……金剛や信濃に比べたら……!次の、坊ノ岬では……負けないわ」
これらの口調とはなんか違う
7時00分
某基地 提督の部屋前
ピンポーン ピンポーン
ドンドンドンッ
子日「提督、子日です!」
ガチャガチャガチャ
子日「ねーのーひです!」
加賀「……ドアが壊れますよ」
子日「ひゃあ! 加賀さん、驚かせないでください!」
加賀「別に驚かせるつもりは…。提督に用があるのですか?」
子日「そうです! 子日は昨日までに提出の書類を出し忘れていました!」
加賀「……」
子日「なんですか! そのバカを見るような目は! 子日はバカじゃないです…よ?」
加賀「そんな目はしていませんが……」
加賀「この時間なら執務室にいるのではないでしょうか」
子日「子日、真っ先に行きました! でも、誰もいないみたいでした!」
加賀「……そうですか」
子日「加賀さん、いつにもましてテンション低いですね」
加賀「まぁ、寝起きですから。とりあえず、秘書艦の足柄さんに聞いてみてはいかがでしょうか」
加賀「私は朝食をいただくので、失礼します」
加賀(……いつにもまして?)
……
…
子日「人探しより壊した方が早いです!」
子日「子日アターック」ドンッ
青葉「青葉、見ちゃいました」
子日「青葉さんに見られてしまいました…。これから子日は強請られながら生きて…」
青葉「いや、私そんなことしませんよ。ところで、司令官いないんですか?」
子日「はい、朝からどこにも見当たらなくて」
青葉「だからといって扉を壊すのはまずいんじゃないでしょうか…」
青葉「この部屋は防音仕様なのでインターホンで司令官を呼ぶしかないですけど。寝ていて気づかないならどうしようもありません」
青葉「でも、秘書艦の足柄さんなら鍵を持っているんじゃないでしょうか」
子日「やっぱりそうなるんですね…」
青葉「まぁ、小さな基地ですからすぐに見つかりますよ。青葉も手伝います」
子日「そういえば青葉さんは何の用があるんですか?」
青葉「えっ!? えーっと…ちょっと部屋に忘れ物をしてしまったので」
子日「そんなに大事なものなんですか。子日、気になります」
青葉「た、ただのペンです。ペン。青葉に欠かせないものですから」
子日「もしかして昨日Amazonか
ら届いてたやつですか?」
青葉「そうです。それより早く足柄さんを探しましょう」
……
…
7時40分
提督の部屋前
子日「ぐるーっと一周しましたけど、どこにもいませんね…」
青葉「どこかで入れ違いになった可能性もありますね」
足柄「ふあぁ…どうしたの?こんなところに集まって…」
子日「足柄さん!」
青葉「どこにいたんですか?」
足柄「どこって…私の部屋よ。昨日飲んだお酒が抜けなくてね」
青葉「そうですか…」
青葉「それにしてはあまりお酒の匂いはしませんね」 クンクン
足柄「酔い覚ましにお風呂に入ってきたからよ。それより提督を見かけなかったかしら? 執務室にもいなくて困ってるのよ」
子日「私達もずっと提督探しているんですけど…もしかしたらまだ寝てるのかもしれません」
青葉「足柄さん、この部屋を開けていただけますか?」
足柄「えぇ、構わないけど…じゃあ、この鍵で開けるわね」 ガチャ
提督の部屋
子日「提督は…」
青葉「ベッドの上ですね」
足柄「まだ、起きていないのね…」
子日「じゃあ、子日はこの書類を置いて戻ります!」
子日「書きかけの書類もあるのでもしかしたらごまかせるかもしれません!」
子日「…机の上にこの部屋の鍵が置きっぱです。だらしないですね…」
青葉「えーっと…私のペンは…」
子日「あれじゃないですか? ベッドの頭のところの棚に置いてありますよ。この部屋の鍵と一緒に」
青葉「提督が勝手に使ったんですね。もぅ」
青葉「このペンは返してもら……」
子日「どうしました?」
青葉「ま、枕に血が…」
子日「ホ、ホントです…」
足柄「……」
加賀「死んではいないみたいですね。気を失っているだけですね」
子日「!」
青葉「!」
足柄「!」
加賀「血と聞いて、事件と聞いて飛んできました。(空母だけに!)」
青葉「空母は空を飛びませんよ…」
加賀「飛ぶ空母もあります!」
加賀「冗談はさておき、枕に着いている血痕はごくわずかです。しかも、途切れています」
加賀「しかし、提督に外傷は見当たりません。妙です」
足柄「それ……鼻血じゃないかしら」
子日「は?」
青葉「な?」
加賀「鼻血ですか…何か心当たりがあるのですか?」
足柄「えぇ、この間、私のこの胸をちょっと触らせてあげたのよ」
青葉「ハ、ハレンチです!」
足柄「だって私、ケッコンカッコカリしたのよ。それぐらい構わないわ」
青葉「そ、そうですね…」
加賀「この間…その割りには血の匂いが残っているような気がします」 クンクン
足柄「か、加賀! においを嗅ぐものじゃないわよ!」
加賀「ちょっと冗談を言ってみただけなのですが…」
加賀「……」
青葉「結局、提督の鼻血だったわけですね。それでは青葉はこれで失礼します!」
足柄「提督はこのまま寝かせておきましょう。それじゃあ、鍵を掛けるわよ」
加賀「足柄さん、そういえば今朝はどこに?」
足柄「お酒で潰れてたのよ」
加賀「そうですか、食堂でランドリーに居たという話を聞いたので…」
足柄「それは…お酒でベッドを汚してね。それでシーツを洗ってたのよ」
加賀「酔いながら…シーツを洗濯し、部屋に戻り寝ていた…」
足柄「その通りよ」
加賀「……」
子日「提督はどうして気を失っているのでしょうか?」
加賀「さぁ? どうしてでしょうね」
足柄「寝ぼけてどこかで頭でも打ったんじゃないかしら」
子日「見てみたかったです。寝ぼけた提督」
提督の部屋前
加賀「子日さん、少しよろしいですか?」
子日「?」
加賀「私が食堂にいた、その間のことを教えてください」
……
…
加賀「書類、血痕、ペン、シーツ、鍵…」
子日「何か気付きましたか?」
加賀「いえ、サッパリわかりません」
子日「そうですか…」
加賀「それでは私はこれで」
子日「どこに行くんですか?」
加賀「提督が気を失った原因を知るであろう人物のもとへです」
解決編
青葉の部屋
青葉「青葉の部屋へようこそ。と言いたいところですが、今は立て込んでいるので…」
加賀「そのようすだと、まだ見ていないようですね」
青葉「!」
子日「どういうことですか?」
加賀「青葉さんのペンはおそらくペンではなくペン型カメラです」
子日「カメラ?」
加賀「そうです。目的は単純。寝ている提督を撮影し、見ること」
加賀「ですよね、青葉さん」
青葉「……はぁ。ばれたからには仕方ありません。一緒に見ますか?」
加賀「本当に見てしまっていいのでしょうか」
青葉「それはどういう意味でしょうか?」
加賀「分かりました。私の推測を話しましょう」
加賀「提督についてですが、普通に寝ているように見えるということは、一人で気を失ったにしては奇妙です」
加賀「頭を何かにぶつけたとすると、ぶつかった何かが近くにあるはずです」
青葉「頭側に物が置けるスペースがあるのでそこに頭をぶつけたのでは?」
加賀「そのようにして気を失ったのであれば、あなたのペンがあった場所に提督の頭もあるはずです」
加賀「よって、提督が気を失った時、他の誰かが居たと考えられます」
加賀「そして、あなた達が部屋に入るまで鍵がかかっていた。この限られた状況で出入り可能なのは合鍵を持つ足柄さんしかいません」
加賀「要するに、提督と足柄さんのトラブルを…争っている姿を見てしまっていいのでしょうか」
青葉「……」
子日「……」
加賀「……」
加賀「見ましょう」
青葉「えっ!」
『再生▶︎
0時50分
ピンポーン
提督「誰だ?」
足柄『足柄よ』
提督「こんな夜遅くに何の用…また、酒か!」
提督「この間はヒドイ目にあったからな、酒呑みは出禁です!」
足柄『うぅっ…そんなんじゃないわよ』
提督「な、泣いてるのか?」
足柄『うぅっ…泣いてなんかいないわよ…』 ヒック
提督「す、すぐに鍵をあけるからな」
ガチャ
足柄「提督、ありがと」 スタスタ
ボフッ
足柄「やっぱり提督のベッド、サイッコーね」
提督「泣いていたんじゃないのか?」
足柄「私が泣くわけないでしょ」
提督「酒臭いぞ、既に酔っ払ってるのか…」
足柄「提督、こんな時間まで仕事してるの? しかも、自室じゃない」
提督「いろいろと都合があるんだよ」 カキカキ
足柄「そうよね。執務室じゃムラムラしてもできないわよねぇ」
提督「そんな話はしてないだろ…」 カキカキ
足柄「ちょっとこっち見てみなさいよ」
提督「っ!」
ベッドの上には一糸纏わね足柄の姿。
足柄「提督のことだからこうやって手で胸を覆って…目を隠して…こういうの好きじゃない?」
提督「パネルかよ。服来ないと風邪引くぞ」
足柄「意気地なし…いつもそうやって茶化す…」
提督「え?」
足柄「折角、私が酔っ払って来てあげたのに…その上、私から手を出せってことよね?」
足柄「足柄、出撃します!」 グイッ
足柄は提督を引っ張り、ベッドの上に押し倒す。
突然の出来事に呆然とする提督。
足柄のなすがままに、提督は服を脱がされていく。
提督「ちょ、ちょっと待ってくれ。本当に…」
足柄「自分の体を見なさいよ。こんなに大きくしてるのに待つも何もないわ」
足柄「我慢の限界よ、提督…」
提督「お、落ち着くんだ。音が聞こえるんじゃないか?」
足柄「落ち着かなきゃダメなのは提督のほうよ。ここは防音完璧の提督の部屋なんだから…」
足柄「それよりこれを見なさい」
足柄は袋から取り出したゴムを見せつける。
手に持つソレを提督の胸に当てる。
提督「そ、そんなもの、いつ用意したんだ?」
足柄は提督の言葉に目もくれない。
顔を紅潮させ、提督と体を合わせる。
足柄「何も心配することはないわ。慣れてるから、こういうことは」ズブッ
提督「うっ……」
足柄「どう? 気持ちいい?」
提督「あぁ…」
提督は足柄の体を眺めた。徐々に目線を下げていった。
提督「足柄、血が…」
足柄「しょうがないわよ、初めてなんだから」
提督「お前、さっきは慣れてるって言ってたじゃないか」
足柄「そんなわけ…ナイじゃない。ああでも言わなきゃ私だって…」
提督「私だって…?」
足柄「もういいじゃない、早く続きをしましょ?」
ゴジユウニ
ゴソウゾウ
クダサイ
………
……
…
足柄「はぁ……はぁ…提督…気持ち良かったわ」
提督「………」
足柄「提督?」
提督「………」
足柄「もしかして:腹上死」
時折、休憩を挟んではいたものの既に窓の外は薄っすらと明るくなっていた。
足柄「……やり過ぎたのかしら?」
足柄は提督の胸に耳を当てた。
足柄「良かった…多分失神よね。気持ち良過ぎて…」
足柄「どうしましょ…とりあえず提督はこのまま寝かせて、お風呂に行こうかしら」
足柄「あっ…提督のことだからインターホンが鳴ったら寝ぼけて裸で出ていきそうね」
足柄「そうなると…体を拭いて着替えさせようかしら」
足柄「あと、シーツも変えなきゃいけないわよね…」
』
子日「」
青葉「」
加賀「」
食堂
足柄「いつものお願いね」
鳳翔「はい」
足柄「ちょっと待って…少し大盛りにしてくれるかしら」
鳳翔「……? やけ食いは体に悪いですよ」
足柄「やけ食いじゃないわよ。いいことがあったんだから」
鳳翔「それは良かったです。ところで子日ちゃん見かけませんでした?」
足柄「今朝会ったけどそれっきりね。加賀と一緒にいたわよ」
鳳翔「そうですか…じゃあ、ゲームにでも熱中してるんでしょうか。加賀さんがお昼を食べないなんて珍しいですね」
足柄「そうね、それは珍しいわ。そんなに熱中するもの…見てみたいわね」
終
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