一夏「女子が一杯居るでござるwwww」(922)

「う~~トイレトイレ」

今トイレを求めて全力疾走している僕はis学園に通うごく一般的な男の子
強いて違うところをあげるとすればオタク趣味があるってことかナー
名前は織斑一夏

「ここのトイレは男子に優しくないで御座るwwww」

トイレに駆け込むが、やはり、女子しか通わないと言う事で、トイレの内装は全てピンク色で大便器しかない。
しかし、それがかえって今の俺には丁度いい。
俺は、藍越学園に通うことになっていたのだが、何の因果か、間違えてis学園の入学試験で、isを動かしてしまったのだ。

個室に入り、便座に座る。
別にトイレの為にやって来た訳じゃないからだ。

「女子ばかりは流石にキツイwwww
某、女子に対しての免疫は姉上しかないでござるよwwwポコォwwwww」

取り敢えず、トイレに入って、isに関する操縦や基本の技術等が書かれた電話帳並の本を広げる。
正直、このトイレは俺しか入れないので、ぶっちゃけ、俺の第二の部屋とさせてもらう事にした。
掃除のおばさん(おじさんかは知らない)が居るかもしれないが、『故障中』と言う張り紙をしておけば大丈夫だろう。

「にしても、これを覚えるのはキツイで御座るwwww
ポケモンの名前を全て覚える方が楽で御座るwww」

取り敢えず、排便をする場所なので、机替わりになるものがない。
今度、板を持って来て、机にしよう。

「帰って溜まっているエロゲーをクリアしたいで御座るwwww
おぉっと、そろそろ教室に戻らねばwww
姉上に引っぱたかれるで御座るwww」

急いで教室に戻ると、教室中にいた女子の動きが一瞬止まる。

「お?」

周囲を見回すと全員がすぐに視線を逸らす。
最初の挨拶が効いているようだ。

 hr時

「織斑一夏で御座るwww
織斑千冬の弟で御座候wwwww
夢の桃源郷is学園に入学出来てもう死んでも良いと思っていまするwwww
彼女イナイ歴=年齢!
彼女募集中で御座るwwww
これから1年間、よろしくで御座るwwwwポコォwwwww」

 回想終了

我ながらあれは酷かった。
だが、その御蔭で女子は誰も近づいてこない。

俺の望む物は『植物の様に平穏な生活』だ。
つまり、このis学園と言う学校自体、願望から程遠い存在なのは間違いない。
趣味を楽しみながら、悪友達とごく普通の学校生活を藍越学園で過ごすはずだったのだが、ご存知のとおりだ。
そして、この学校、知っての通り、女子しかいない。
ハーレムはエロゲーの中で十分だ。
二次元から飛び出したそれは悲惨たるそれでしかない。
つまり、男子の願望とは実現すると、それはもはや地獄だろう。
二次元の少女たちは実にいい。
うるさくない、金はかからない、臭くない、劣化しない。
眺めているだけで幸せになれる。
平穏な存在だ。

「……」

どこからか視線を感じ、首を巡らす。
すると、一人の少女と目があった。

「……」

少女は俺の視線に気がつくとプイと視線を反らせてしまった。

彼女の名前は篠ノ之箒と言う、俺が小学生の頃の友人。
いや、幼馴染だ。
彼女の姉であり、俺の姉である、織斑千冬の親友、篠ノ之束がisを開発した。
is、正式に言えばインフィニット・ストラトスと言い、直訳すると、無限の成層圏という意味だ。
本来は宇宙用のパワードスーツを目指して作られたが、気がついたら軍事転用されていたでござると言う兵器が、isである。
正直、最新技術と軍事産業は表裏一体の関係で、特に宇宙技術に関しては言うまでもない。
冷戦時代の宇宙開発競争なんか最たるもので、ロケットはicbm、大陸間弾道ミサイルの技術と同じだ。
ps2なんか、コントローラーがミサイルの操縦が可能になると某米国が発売中止を求めたほどだ。
ちなみに、戦車の射撃管制などの機械はファミコンレベルの機能らしい。
ps3積んだらより命中率とかが高くなるのではと思ったのは内緒だ。
まぁ、兎も角、彼女は、姉である篠ノ之博士のせいで、俺が小学生の頃転校していった。
幼馴染と高校で再開とかsnegだな。
まぁ、向こうが話しかけてこない限り、俺も話さないし、できるだけ話し掛けられない様にトイレに行く。
全ては『植物のように平穏な生活』のためだ。

二時間目、やはり、非常に難解な言葉をベラベラと山田先生は並べ立てていく。
取り敢えず、教科書を広げ、電子辞書を広げ、更にはis関連の用語辞典を広げる。
正直、俺は一般高校へ受験するための勉強しかしておらず、さらに言えば、このis学園は超エリート高校でもある。
それ故に、周囲の生徒たちは、教科書と辞書ぐらいしか広げていない。
隣の女子なんか、さも当然の如くノートにツラツラと板書を書き連ねていく。
うむ、字も綺麗だ。

「えっと、何?」

俺の視線に気が付いた女子が恐る恐るという感じに俺を見る。

「何でも無いでござるよwwwww
某に気にせずどうぞ、山田教員の授業を聞くで御座るwwwww」

女子生徒は気持ち悪いものを見る顔で前を向いた。
危ない危ない。

「織斑くん、何か分からない所がありますか?」

山田先生が俺にニッコリと微笑みながら尋ねた。

「おお、山田教諭wwww
ちょうど良い所にwwww
p12ページの3行目で御座るがwwwww」
「はい!」
「ナチスドイツの開発したv1ロケットとありますがwwww
v1は飛行爆弾でござるよwwww
しかも、正確に言えば、ナチスドイツではなく、v1はドイツ空軍向けへwwww
v2はドイツ陸軍が開発したで御座るwwww
ちなみに、v1飛行爆弾の正式名称はフィーゼラーfi103と言うで候wwww
この教科書は適当なことが書いてありますなwwwwポコォwwwwww」
「そ、そうなんですか?
織斑くんは物知りですね~」

アハハハと山田先生が苦笑する。

「いえいえwwww
それほどでもありますwwwww」

それから、微妙な空気が流れたまま2時間目は終了した。

「ちょっと良しくて?」
「ダメで御座るwwww」

俺の席にやってきた縦ロールのお嬢様っぽい女子生徒にそう告げ、トイレに向かう。

「おい」

また、背後から俺を呼び止める声。
振り返ると、篠ノ之箒がむっつりとした不機嫌そうな顔で腕を組み立っていた。

「おぉwwww
これはこれは、篠ノ之殿wwwww
お久し振りでござるなwwww
6年ほどで御座ろうか?wwww
いやはや、某の事をお覚えで御座るか?
織斑一夏でござるよwwwwデュフフwwwww」

「ッチ……
ちょっと来い」

周囲の視線を気にしたのか箒は一人でズンズンと歩いていく。
なんだろうか?

「待つで御座るよwwww
そういえば篠ノ之殿」
「なんだ」
「去年、剣道の全国大会に優勝したでござろう?」
「ああ」
「おめでとうで御座るwwww
流石、篠ノ之殿でござるな!wwww
某、中学時代はけんどうをやって居らなんだ故、新聞で篠ノ之殿を見た時は随分驚いたで御座るwwwww」
「そうか」

うむ、会話が続かない。

もともと、箒はおしゃべりという感じの女子じゃないしな。
いや、女子というより、男子以上に男子だ。
多分、其処等辺の男子に刀を持たせるなら、箒に持たせるほうがよっぽど様になるだろう。
そして、廊下の端の方に行くと、箒が振り返る。

「久しぶりだな」
「そうで御座るなwwww」
「その喋り方はなんだ?」
「鬱陶しいでござるか?」
「わかっているのならやめろ!!」

箒がギロリと俺を睨む。

「まぁ、箒なら良いか」
「お、おう…」

箒が少し驚いた顔で俺を見た。

「どうした?」
「な、何でもない!」

「しかし、何故そんな訳の分からん話し方をするんだ?
小学生のことは普通だったろうが」
「ああ、そうだな。
箒、俺が小学生の頃書いた作文覚えているか?
将来の夢って題名の」
「ああ、確か『植物のように平穏な生活』だったか?」

箒が苦笑しつつ俺を見る。

「ああ、そうだ。
この学校は俺の『植物のように平穏な生活』から遠くかけ離れている。
そもそも、俺の歯車が狂い始めたのはお前と同じ理由だよ」
「……篠ノ之博士か」

箒の顔が不機嫌になる。

「ああ、そうだな。
そこを責めるつもりはない。
過ぎた事だ。
だから、俺は現状で対処できる限り『平穏な生活』を目指すつもりだ」

「激しい「喜び」はいらない・・・

そのかわり深い「絶望」もない・・・・・・・・

だったか?」

箒が俺を見る。

「ああ、そうだな。
それが一番ベストな日常だ。
俺の人生は死人の心電図の様に、平坦を望む。
起伏は要らない。
そういう訳だから、某にあまり関わるでないでござるよwwww」

箒にじゃあと別れを告げ、教室に戻る。
教室に入るとやはり、ザワ付きが止まった。
ヒソヒソと、箒が居ない事を指摘する声が聞こえたが、あえて無視する。

「ちょっと良いかしら?」

そこに先ほどの金髪縦ロールが現れた。

「何wwでwww御wwww座wwwwwるwwwwwwwかwwwwwwww
金髪縦ロールさんwwwwww」
「なっ!?
誰が金髪縦ロールですって!?」
「御宅以外に誰が居ようかwwwww」
「私には「いやいやwwww
御宅の名前は知っているで御座るよwwwww
イギリスの代表候補生のセシリア・オルコット女史wwwww
生で見るオルコット女史はやはり違うで御座るwwww
いと美しきかなwwwww美しきかなwwwww」
「わ、私の名前を知っているとは殊勝なことですわね」

オルコットは少し引いた様に俺を見る。
一体何の用だ?

「してwww
そのイギリス代表候補生であるオルコット女史が某に何用で御座ろうかwwwww」

「貴方、少し位知識があって男でisが操縦できるからといって調子に乗っていませんこと?」

ああ、メンドくさいパターンの。

「調子に乗っている様に見えるで御座るかwwww
あいや、それは失礼wwww
そんな事よりオルコット女史wwww
ひとつ頼み事が有り候wwww
良ければサインをお願いするで御座るよwwwwポコォwwww」

ルーズリーフとサインペンをオルコットに差し出す。

「は、はぁ?」
「いやはや、オルコット女史は有名人www
しかも、大英帝国の代表候補生で御座るwwwww
同級生のよしみでサインを書いてくれまいかwwww」
「ま、まぁ、それぐらいなら良いですわ。
貴方宛で宜しくて?」
「できれば親友の分も書いて欲しいでござるよwwww
名前は『弾』で御座るwww
『五反田弾』で御座るwww」
「分かりましたわ」

セシリア・オルコットはアホと見た。
唆せばコロッと態度を変える。
そして、セシリア・オルコットがサインを書き終えると千冬姉と山田先生がやって来た。

「ありがとうござまするwwwww
この恩は一生忘れませぬwww忘れませぬべりぃwwwwwポコォwwwww」
「そ、そうですか…
私は失礼しますわ」

オルコットは言うとそそくさと席に戻った。
うむ。

「織斑、何をしている」
「織斑教員wwww
見て下されwwww
オルコット女史にサインを貰ったで御座るwwww
羨ましいで御座るか?wwwww
羨ましいで御座るか?wwwww
羨ましいで御座ろうwwwwww
生憎、サインは某と親友の分しか御座らんwwww
だから、織斑教員には上げれんので御座るwwww」

「誰がいるか」
「負け惜しみをwwww
さぁ、時間で御座る。
3時間目を始めるとイイでござるよwwww」

ちょうど鐘が鳴る。

「起立」

号令と共に立ち上がる。
そして、礼、着席と続いた。
教壇には千冬姉が立つ。

「まず、授業を始める前に、再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めて貰う」
「織斑教員wwww
質問があり候wwww」
「なんだ、織斑」
「はいwwww
織斑一夏で御座るwwwwポコォwwww
クラス対抗戦とは何か某に教えてくだされwwwww
何分、某、急に入学が決まった訳でwwwww
行事に関してまで目が通らなかったでござるよwwwwフヒヒwwwww」

「……まぁ、良いだろう。
クラス対抗戦とは聞いて名の通りだ。
クラスで代表を決め、その代表者がisを使って戦うのだ」
「ほうほうwwww」
「で、今はそれを決める。
自薦他薦を問わないぞ」

千冬姉が言った瞬間、俺は手を上げる。

「今度は何だ、織斑」
「フヒヒwwww何度もサーセンwwwwww
某、オルコット女史を推薦するで御座るwwwwポコォwwwww
推薦理由はwwwオルコット女史が代表候補生である事とwwww
専用機を持っているからで御座るwwwwプゲラwwwww」
「成程。
ほかに」

千冬姉が周囲を見回す。
すると一人の女子が立ち上がった。

「織斑君も良いと思います!」
「思wwwわwwwwぬwwwww伏wwwwwww兵wwwwww
まさにポルナレフwwwww
ポルナレフもびっくりで御座候wwwwwww」

めんどくさい事になったぞ……

「織斑教員wwww
織斑教員wwwww
某は辞退するで御座るwwwww」
「ダメだ。
他薦された者には拒否権はない」
「なwwwwんwwwwたwwwwwるwwwww横wwwww暴wwwwwwww
アドルフ・ヒットラーも吃驚の独裁政治で御座るwwwwww
教員職の立場を利用した職権乱用wwwwww
流石織斑教員wwwwww
俺達が出来ない様な事を平然とやってのけるwwwww
そこに憧れるwwwww
痺れるwwwwwwコポォwwwwww」
「黙れ」

千冬姉が俺の頭部に出席簿を振り下ろし、俺はそれを白刃取り。

「当たらなければどうと言う事はないwwwwwww」
「他に居ないか!」

千冬姉が周囲をコレでもか睨みつける。
そのせいで全員が固まって動かなかった。

「ならば、二人で話し合って決めろ!」

バンと教卓に出席簿を叩きつけた千冬姉はそれっきり黙ってしまった。
おい、こら、仕事しろ教師。

「取り敢えず、私が代表者で問題ないですわね」
「異議があろうかwwwwwいや、あるまいwwwww
そうだろうwwwwwそうだろうwwwwww」

周囲からエーっと声が上がった。

「なっ!?
私が代表に何が不満なのですか!!」

オルコットがムッとしたように周囲の女子を睨む。

「だいたい、抑が可笑しいんですわ。
こんな極東に態々来て、物珍しいという理由だけで素人の訳の分からない事おっしゃっているお猿さんがこのイギリス代表候補生セシリア・オルコットを差し置いて代表になるなんて!!
isの技術を取得しに来ているのであって、私はサーカスをしに来ているわけでありませんわ!!」

オルコットが白人至上主義を前面に押し出し考えを述べていく。

「だいたい、こんな島国で、生の魚を食べるような野蛮な国で3年間も暮らさないといけないと言う事自体、私は我慢できないのに!」
「聞いたで御座るかwwww
皆の衆wwww
聞いたで御座るかwwwwww
オルコット女史の白人至上主義wwwwww
イギリス人はやはり差別主義者で御座るwwwwww
オーストラリア人やアメリカ人が差別主義者なのはwwwwwwww
元々がイギリス人だからで御座るなwwwwwwwww」

「な、なんですって!?!」
「何が島国だ、この野郎。
黙って聞いてりゃベラベラと。
テメーの国だって島国だろうが。
だいたい、何時まで大英帝国気分なんだ?
アジアでのテメー等イギリスは俺等『猿』にすら勝てなかった雑魚なんだよ。
プリンス・オブ・ウェールズやレパルスだって30分足らずで沈んだ。
ハリケーンだって隼にコテンパンにやられた。
お前が馬鹿にする、『生魚を食べる野蛮な猿』にな。
しかも、お前が習いに来ているisの技術だってどうだ?
そもそもisは何人が作ったか言ってみろ。
そうだよ、日本人だよ。
お猿さんの日本人だ。
お前の様な屑が一番嫌いだ。
人種差別主義者の糞め。
お前の様な存在がいるから、未だ黒人=下等生物の様な思想が蔓延っているんだ」

「い、一夏!!!」

ガタリと箒が立ち上がる。

「……クソ」

やっちまった…
ついカッとなって周りが見えなくなる。
俺の悪い癖だ。
この癖があるからこそ、俺は『植物のように平穏な生活』を求めるようになったのに…

「なにはともあれ、オルコット女史に代表者をやって貰うで御座るwwwwポコォwwwww」
「言ってくれましたわね、お猿さん…」
「お猿さんじゃないで御座るwwww
織斑一夏で御座るwwwwデュフフwwwデュフフwwwww」
「決闘ですわ!!」

オルコットはガタンと立ち上がり、ナワナワ震えている。

「だがwwww断るwwwwwww
この織斑一夏wwwww
女子に手は上げないで御座るwwwwww」

「怖いんですので?
だったらそうおっしゃいな」
「怖いで御座るwwww
オルコット女史はとても怖いで御座るwwww
怖すぎておしっこ漏れちゃいそうで御座るwwwwwポコォwwwww」
「なっ!?
なんて下品なんですの!!!!
男なら正々堂々、私と戦いなさい!!」

メンドくさい女だな…

「しょうがないで御座るwwww
某の飛天御剣流でオルコット女史を一撃で倒してしんぜようwwwwデュフフwwwwwデュフフwwwwww」

取り敢えず、適当に戦ってすぐに負けよう。
相手は腐っても代表候補生だ。
俺が勝てるハズがない。
だったら、せめて、千冬姉に怒られん程度に力を抜いて戦えば良い。
何事も力を抜いてやるのが一番だ。
本気を出すと禄な事にならないからな。

「お、織斑くん、まさか、セシリアとisで戦うつもり?」
「如何にもwwwww
オルコット女史が某との戦いを剣道で付けてくれるとは到底思わんで御座るwwwww」
「じゃあ、ハンデ付けてもらった方が良いよ」
「そうですわね。
確かに、ど素人のあなた相手に全力で行くのは大人気ないですわね。
ハンデをあげますから言ってご覧なさい」

オルコットがフサァッと髪の毛を広げる。

「それならばwwwww
オルコット女史は射撃系の武器を使ってはいけないと言うのはどうで御座ろうかwwwww」

オルコットの使うブルーティーアーズは射撃メインの所謂狙撃兵の様なisだ。
射撃禁止とはつまり、ブルーティアーズのほぼ全部の攻撃を禁止するようなもの。

「な、何を言っているんですの!?」

それみろ、動揺し始めた。

「冗談で御座るwwww
オルコット女史のブルーティアーズは射撃メインのiswwwww
射撃兵器の使用を禁止すると残るはインターセプトのみwwwww
格闘用のショートブレードwwwww
故にwww故にハンデは要らんで御座るwwwwww
相手の手の内は既に見切っているで御座候wwwwww
敵を知りwwww己を知ればwwwww百戦危うからずwwwwウェwwwwwウェwwwww」

そして、ブルーティアーズは機体名にもなったファンネルのようなビットを持っている。
その名のとおり、ブルーティアーズと言う。
確か、6つ。
4つはビーム、2つはミサイルだ。
それにさえ注意すれば、あとはどうとでもなる。
取り敢えず、あとはネットでブルーティアーズと戦う為のシュミレーションを漁るだけ。
ネットの住人はそういう下らん事を大真面目に議論するんだから、ありがたい。
俺の使うのはきっと打鉄だろう。

「あぁ…メンドくさい……」

「とりあえず決まったな?
試合は一週間後の月曜日、放課後に第三アリーナで行う」
「うはwwwwwおkwwwwww」
「分かりましたわ」
「二人はそれまでに準備をしておくように」

準備つってもほとんどする事ないな…
とりあえず、体力は付けておこう。
まぁ、中学は部活に入ってはいなかったが運動は欠かさなかったしな。

「それでは授業をする」

うむうむ、授業だな。
とりあえず、オルコット対策は万全にしておかねば、無駄に怪我をする。
こんな下らない事で怪我をしていたらただのアホだ。
と、言うか今日から一週間枕を高くして、ぐっすりと眠れない…
ストレスが半端ない。
許すまじオルコット…
許すまじ自分の癖……

そんなこんなで一日が終わった。
予習をしてきたが、授業についていくので精一杯だ。
流石エリート高校。
事前に専門書の用語辞典を持ち込んでおいて本当に良かった。
しかし、専門過ぎて、非常に分厚い上にお値段が半端ない。
お値段以上ニトリレベルだったが、生憎、お値段以上にするためには3年は確実に頑張って貰わねば元が取れんだろう。

「あ、織斑くん。
良かった、まだ教室にいてくれて」

そこに山田先生がやって来る。
周囲には女子も居り、俺に話しかけはしないが、話が聞こえるレベルに話し合っている。

「おぉwww
これはwwwこれはwwwww
山田教員wwwww
某に何用で御座ろうwwwwww」
「えっと、ですね、寮の部屋が決まりました」
「おぉwwww早いで御座るなwwwww
政府の匿名でござろうwwwww」
「え、ええ、そうです。
事情が事情だけに……」

「相分かったっで御座るよwwwwww
一旦家に帰って荷物を持ってくるで候wwwww」
「その必要はない。
お前の必要品は私が手配してやった」

そこに千冬姉がやって来る。

「それはwwwwそれはwwwwwウェwwwwウェwwww
それはそうとwwwww洗濯物は如何したwwwww」
「取り込んでおいた」
「織斑教諭はwwwwww
家事がいと下手クソで候wwwwww
取り込んだ=竿ごと部屋に投入wwwwwwポコォwwww
風呂掃除=水を流すだけwwwwwデュフフwwwww
故にwwww故にwwwww
嫁遅れているで御座候wwwwwwうぇwwうぇwwwwww」

実際問題、千冬姉は家ではジャージで髪の毛を梳かさない。
だから、このis学園で再開した時、一瞬別人かと思ったほどだ。

「貴様、覚悟は出来ているんだろうな?」
「覚悟は出来ているか?

俺は出来てる…

ブチャラティ乙ですwwwww
某は何時からプロシュートに成ったで御座るかwwwww
ならばwwwwならば某は一言wwwww

『ブッ殺す』と心の中で思ったならッ!

その時スデに行動は終わっているんだッ!

以上で御座るwwww
某、織斑教諭が放り込んだ洗濯物と風呂掃除があるでござる故wwww
故に一度家に帰らせて貰うでござるwwwww
寮の部屋番号を教えてたまふwwwww」

部屋番号を教えてもらい、その場を後にした。
やれやれ。
やっと一日が終わった。

家に帰り、とりあえず、数日家を空ける用意をする。
また、趣味のモノとか必要なものをトランク2つ分に選び抜き、再び寮に戻る。

「某の部屋は何処で御座ろうwwwwww
此処ではないwwww否、此処だろうwwwwww」

扉を開けると、其処には箒が立っていた。

「ん、同室の者か。
私は篠ノ之箒って…何故、貴様が此処にいる」

箒が俺を睨んだ。

「何故で御座ろうかwwwww
文句があるのならばwwwwww
織斑教諭に言うが良かろうてwwwwwww
某が決めた訳ではないで御座るwwwwwポコォwwwwww」

「そ、そうか…
しかし、男子と同室とは……」

箒はちらっと俺を見る。

「安心しろ。
俺はちゃんと基礎が出来た人間だ。
そんなことより、今日届いたゲームをやりたいからテレビを占領するが、構わんよな」
「あ、ああ…
と言うか、ゲームを持ってきたのか?」
「当たり前だ。
俺は今日、発売のロボティクス・ノーツをクリアせねばならんのだ。
悪いが、話しかけないでくれ」
「あ、ああ…分かった」

テレビにps3を接続。
ああ、これ、hd用のコネクターが対応してる!
流石is学園!!
税金で作られただけあって設備が完璧だ!!!

その後、夕飯の7時までしっかりとやった。
うむ。

「一夏、先程からずっとゲームをしていたが、大丈夫なのか?」

場所は食堂、同室のよしみ、幼馴染のよしみという感じでふたり揃って夕飯を食べる。

「ああ、大丈夫だwwww
某にかかれば鬼畜米英の尖兵なぞwwww
竹槍一本で勝つるwwwwww
うはwwwww某wwwww最強wwwwww
そして、味噌汁うめぇwwwwうぇwwwwうぇwwwwwww」
「他人がいるとその喋り方になるのか…」
「なんの事だかwwwww
某wwww分かりかねまするwwwwwwわかりかねまするぞwwwww篠ノ之殿wwwww」

ちなみに、お好み定食aだ。
内容は白米、味噌汁、豚肉の炒め、お新香である。

「国民の血税wwwww
注ぎ込まれているだけあってwwwwww
飯wwwwテラウマスwwwwwポコォwwwwwww」

「少しは黙って食えんのか」

ギロリと睨まれる。

「コワスwwwww
篠ノ之殿が切れたで御座るwwwww
テwwwwwラwwwwwコwwwwwwワwwwwwwwスwwwwwww
白米のおかわりは無料ですかwwwwww」
「おかわり自由だ。
ついでに、どのオカズもおかわり自由だ」

箒がさっさと去れと言わんばかりに顎でしゃくってカウンターを見遣る。

「タダ飯ウマスwwwwww
お代わりしてきますぅwwwwwデュフフwwwwww」

茶碗を片手にカウンターのおばちゃんにおかわりを要求すると山盛りで返却された。
素晴らしきis学園!

そして、席に戻ると箒が呆れた顔で俺を見る。

「食堂のおばちゃん気前良すwwwww
大盛りくれたで御座るwwwwww」
「ねぇねぇ!」

そこに複数の女子がやって来る。

「何で御座ろうかwwwwww」
「一緒に食べていい?」
「一向に構わんwwwww
ウハwwwww女子増えたwwwwww
テラwwwwモテモテwwwwww」

取り敢えず、箒はあからさまに嫌そうな顔をした。
俺だって嫌だよ。
だが、肉を切らせて骨を断つって戦い方があってな、箒。
俺は今からそれを実行するわけだ。

「ねぇねぇ、織斑くん」
「何で御座ろうwwwww」
「織斑君って織斑先生の弟なの?」
「如何にもwwwww
某wwww織斑千冬の唯一の肉親にして保護者wwwwwww
織斑一夏で御座そうらえばwwwww
今後共姉をよろしく頼むで御座るwwwwwうぇwwwうぇwwwwww」
「そ、そうなんだ…」

女子がいい具合に引いている。

「所で話は変わるがwwwwww」
「な、なになに!!」
「御宅は何処の国の人間で御座ろうwwwwww
ヨーロッパ系で御座るかwwwwwポコォwwwww」

見立てではドイツか、フランスだろう。

「私?
私はベルギーだよ」

「ktkrwwwww
ベルギーktkrwwwww
これで勝るwwwwww」
「え?」
「某wwww
ベルギー大好きで御座るwwwww」
「ほ、ホント!?」

女子生徒が嬉しそうに俺を見る。

「ベルギーwwwww
漢字で書けば白耳義wwwww
チョコレートとfn社の国で御座候wwwwwww
fn社wwwwwwポコォwwwwwww
名門銃会社wwwwwww」
「え、えっと、まぁ、うん…
確かに、ベルギーはfn社で有名だけど…」

女子が苦笑しながら周囲の女子に助けを求める。
よしよし。

「某wwwwww
f2000が欲しいで御座るwwwww
p.90やfncもイイ銃で御座るなwwwwwww
と、言うかwwww
アメリカ軍の主力火器はほとんどfn社で御座るなwwwww
ベルギー人としては鼻高々で御座ろうwwwwwww
ウハwwwwwテラ羨ましすwwwwwww」
「そ、そうなんだ…」

女子生徒はハハハと笑う。
よし、これで女子は近づかないだろう。
一応念のためにもう一人の女子も。

「して、御宅はwwwwww」
「あ、えっと…
オーストリア……」

オーストリアか。
うん、良いね。

「キタ━(゚∀゚)━wwwwwwww
オーストリアktkrwwwwwww
篠ノ之殿wwwwww
聞いたで御座るかwwwww
聞いたで御座ろうwwwww」

前に座る箒に話を振る。
箒はこっちくんなという顔をするが、アイコンタクトを送ってやる。

「よ、よかったな…
それで、な、何が来たんだ?」
「デュフwwwデュフフwwwwwwww
篠ノ之殿wwwww
オーストリアと言えばwwwww
グロック社とステアー社をお忘れかwwwwwwwwクポォwwwwwww」

なんだそれはという顔をする箒。
隣の女子は地雷を踏んだという顔をして遠い目をしていた。

「某がwwwwww某がwwwwwww
教えてしんぜようwwwwwww
耳糞カッポジってよく気がヨロシwwwwww」

そこから延々と銃の話を3人にする。
箒ににゃ悪いが、これも俺の『植物のように平穏な生活』がかかっているんだ。
すまんな。

千冬姉が来て強制解散になるまで銃の話をし、食堂には俺と箒、そして、千冬姉が残った。

「まったく、貴様という奴は何をしているんだまったく」
「こうすれば、俺に干渉してくる奴等を排除できるだろ?
さっきは悪かったな箒」

コーヒーを飲みながら隣で未だゲンナリしている箒に謝罪する。

「その歳で女子に興味がないとか貴様は病気か?」
「病気じゃねーよ。
それよか、千冬姉。
パンツのゴムが伸び切って、更には穴があいた奴を洗濯機に放り込むな。
一緒に洗っちまったじゃねーか」

御蔭で、何となく損した気分になったじゃないか。

「今はそんな話をしなくてもいいだろう」

千冬姉が俺を睨む。

「よくねーよ。
だいたい、千冬姉は何時も良い加減過ぎなんだ。
ゴミの分別も、最近厳しいんだぞ?
可燃ごみに透明のフィルムが1つでも入っていると、持って行ってくれないんだ。
赤は可燃ごみ。
青は資源ゴミ。
前も言ったろう」

「知るか」

千冬姉がフンと鼻を鳴らす。

「はぁ……
良いか、千冬姉。
女尊男卑の世の中とは言え、望んでも結婚できない女子はいるんだぞ。
千冬姉は幸か不幸か、外見“だけ”は飛び切り良いんだ。
だが、外見が良くても中身がダメだったら、結局、ダメだ。
外見がマイナスでも、料理が出来たり、性格がよかったりする女性は結果的に結婚できている。
まぁ、千冬姉が働いて、主夫をやってくれる男を探すって手もあるが、やっぱり、難しいぞ。
だいたい、何時までもブラコンじゃ社会でもやっていけないだろう。
今日の部屋割りだって、箒がたまたま居たから良い物を、もし居なかったら、俺に個室与えただろう」
「当たり前だ。
お前がほかの女子生徒を襲うかもしれなんからな」

脇で箒で私は襲われてもいいのかと呟くが、千冬姉には聞こえていないようだ。

「兎も角、俺だって何時までも千冬姉の面倒ばかり見てられないんだぞ?
こう言う、細かい所から直していかないと、30超えても独り身のままだぞ」
「うるさい。
お前が姉の将来の心配をするなんて100年早いわ。
さっさと部屋に戻れ。
それと、風呂は、部屋のを使え。
篠ノ之は大浴場だ。
良いな」
「は、はい、千冬さん…」

千冬姉はそれだけだと言うと去っていった。
バツが悪くなるとすぐに逃げる性格も直した方が良いな。

「箒、俺たちも部屋に戻るか」
「ああ」

二人で廊下を歩いてると女子生徒がヒソヒソと話をはじめる。

「いやはやwwwwwww
織斑教諭もあの素晴らしさが分からぬとは如何ともしがたいですなwwwww
篠ノ之殿もそうは思わんで御座るかwwwwww」
「お、お前が訳の分からん話をするからいけないんだ」

俺の意思が伝わったのか箒がフンと鼻を鳴らし、言う。

「訳のわからないwwwwww
失敬なwwwwww
失敬で御座るwwwww
失敬で御座るよwwwwww
篠ノ之殿wwwwww
fn社とグロック社とステアー社に謝罪文を書くべきで御座ろうwwwww」
「誰が書くか!!
まったく、鉄砲だのなんだと…
所詮、isの前では無力だ」

箒はフンと鼻を鳴らし、先に部屋に入ってしまった。

やれやれ。
箒、それは違うぞ。
isは世界最強だなんて、言われてるがな。
あんなもの幻想に過ぎない。
確かに、サイロから飛んでくる核ミサイルは迎撃できるだろうが、それ以外のミサイルは、特に潜水艦からのミサイルはキャッチはほぼ不可能だ。
それに、isを操縦する兵士は大抵が女子だ。
目の前で、兵士が死ぬのに耐えられるのか?
俺は無理だ。
殺すの無理だ。
この場にいる奴等は全員、その覚悟があって此処に来ているのか?
いいや、違うだろう。
だいたい、みんな、兵士としての自覚がないはずだ。
だが、isに乗る、乗れると言うことはつまり、この場にいる生徒は皆徴兵されるという事だ。
日本じゃ徴兵は内が、国がそうはさせないだろう。
半ば強制的に自衛隊にいるれるだろう。
何時かの防衛大臣が言っていた、
『徴兵された兵士は専門的な技術を教えてもすぐに流れ出てしまう。
専門的な兵器を扱う兵士は志願制によって成り立たなくてはいけない』

と。

つまり、どういう事かと言うと、徴兵された兵士は2年半(旧軍)で兵役義務が終わる。
その後はほかの一般の仕事に就くために、せっかく苦労して機械の使い方を教えても、兵役が終わり、兵士達が消えてしまうのだ。
isなんて、それを更に厳しくしたもので、操縦出来る人まで制限されている。
今までの兵器なら、健康で鍛えた人なら、教えれば大抵は扱える。
だが、isは違う。
男はまず無理だ。
女も、全員が全員操縦できるわけではない。
適正があるからな。
isは兵器ではないと言うが、あんなもの兵器だ。
いや、兵器と呼ぶに呼べない、玩具だ。
人を殺す目的で作られた非効率極まる玩具。
それがisだ。
兵器とは、自国で製造、生産出来、システムを完璧に把握していなければいけない。
isは強力だが、兵器としては最悪だ。
どれもできないのだから。
世界中の国がisを使わず戦争をするという事態に発展したらどうだろうか?
どんなに篠ノ之博士が苦心して作ったisでも、使う人がいなければ、結果的に意味を成さないではないか。

核抑止論という言葉がある。
お互いが核兵器を持つ事で、お互いに牽制し合い、膠着状態を作る事だ。
これは国にとっては実に利益がある。
なぜなら、お互いがお互いを警戒しあう為に、軍需拡大が見込まれ、それ故に経済が発展する。
もちろん、余りに緊張を膨らませると、破裂した時に地球がなくなるかもしれない。
要は冷戦時代がそれだ。
お互いに適度なガス抜きをする場を設けることで、科学技術は発展し、経済は豊かになった。
現に、人間が宇宙に行ったとき、世界は冷戦中だった。
篠ノ之博士は『世界平和』を目指してisを作ったのだろう。
確かに平和は尊い。
だが、結果として、様々な国や人々に迷惑を掛けた。
そして、今に至るが、正直、isが出来るころより悲惨な世界だ。
中東や第三諸国では相変わらず、紛争が起こっているし、先進国の環境汚染や犯罪率は逆に増えた。
女尊男卑になったからだ。
世界は平和とは逆の状況にある。
まぁ、正直な話、そんなことは『どうでもいい』んだ。
俺は『俺に火の粉が降り掛かって来なければ良い』んだから。
しかし、現状は火の粉どころか、俺を囲んでキャンプファイアー状態だ。

オルコット、is学園、篠ノ之箒、織斑千冬。
片付けられるモノから素早くそして、確実に消していく。
そうしなければ次々に燃え移っていく。
それだけは防がねばならない。
俺はアニメや漫画の主人公を羨ましいと思わない。
彼等は一様にして損しかしていない。
本人達はイイだろうが、俺はよくない。
それを見るのは良いが、なるのは良くない。
だから、俺は全力で火種を消していく。

「待つで御座るよ篠ノ之殿wwwww
某を締め出すとは何事かwwww」

扉を開け、中に入っていく。
さて、取り敢えず、オルコットのブルーティアーズの攻略を考えねばな…
やれやれ、だぜ…

その晩、夜の10時までしっかりとオルコットと自身の事と、ブルーティアーズについてみっちりと調べた。

「ああ、よく寝た」

目を開けると朝の6時だ。
うむ、昨日は色々とあって早めに寝たが、やはり、睡眠時間8時間と言うのは体に染み付いているらしい。
“6時キッカリ”に起きてしまった。
となりではまだ箒が寝ている。
そっとしておこう。
無理やり起こすのも可哀想、だ。
早く起きるのも良い。
取り敢えず、『早く起きれた』と言う興奮から体を動かしたくたまらないな。
そう言えば、全く関係ない事だが、このis学園のグラウンド一周が5kmだったはずだ。
早速、ジャージに着替え、廊下に出る。
そして、十分に準備運動をし、イヤフォンを付ける。
流すは『チャイコフスキー序曲1812年』演奏は陸上自衛隊だ。
軽いランニングに近いウォーキングでグラウンドに向かうと、陸上部だかバスケ部だかの女子達がちらほらいる。
彼女等は2年だろうか?
まぁ、良いさ。
兎も角、ランニングだ。

ランニングは良い。
走っている間は様々なことを考えるが、結局最後の方でどうでも良くなる。
ランナーズハイになった時は最高だ。
無心になって走れる。
個人的に、ランナーはドmだと思う。
こんな苦しいのに、こんな辛いのに、なぜ走るのだろうか?
きっとこのランナーズハイの瞬間が非常に気持ちが良いのだろう。
つまり、エクスタシーを感じられるのだろう。
最初は女子の陸上部たちにスピードを合わせて走る。
体が温まって来たら、本格的にスピードを出して走り出す。
だいたい1500を4分程で走りきるスピードで走る。
確か、高校での世界記録では3分40秒ほどだったはずだ。
4分だと、だいたい女子の記録ぐらいだろう。
だいたいグラウンドを2週する頃になると、ランナーズハイがやって来る。
足が軽くなり、フワフワとした実感だ。
呼吸は少し苦しいものの、ハイに入るまでと比べれば断然の差である。
そして、曲も佳境に入って来た。
大砲を使った伴奏でラストスパート掛け、さらに追い込む。

曲が鐘がなり、凱旋のシーンに入る。
だいたい13分30秒ぐらいだ。
呼吸を落ち着かせるためにスピードを落としていく。
この1812年はナポレオン戦争で、ロシアがフランスを倒すと言う曲だ。
個人的には冒頭の5分あたりのフランス国家が流れる場所と最後の、13分30秒あたりで鐘と大砲が鳴り響く場所が好きである。

「ふぅ~……」

呼吸を落ちかせつつ、周囲を見回す。
グラウンドの隅に懸垂用の鉄棒があるのを見つけた。
時間はまだ7時20分程である。
体力が無い為に、すぐにランナーズハイになれることを喜ぶべきか、悲しむべきか…
兎も角、次は懸垂だ。
その後、腕立て腹筋背筋をする。
そして、だいたい7時40分程まで運動をしていた。

部屋に帰ると箒がベッドに腰掛けており、瞑想している。
髪の毛が少し湿っているが、室内で運動でもしたのだろうか?

「……どこに行っていた?」
「ああ、日課の運動だ。
昨日の分をしていなかったので何時もより多くやっていた。
清々しい朝で、非常に有意義な時間を過ごせたぞ」
「そうか」

箒はそれだけ言うと再び瞑想に戻った。

「シャワーを浴びるが、使うか?」

一応声をかけておく。

「いや。
私はもう浴びた。
シャワーが済んだら朝食だぞ」
「ああ」

着替えを持ってシャワールームに入る。
仄かにシャンプーの香りが漂っており、湯気も僅かばかりだが残っていた。
ついさっき出てきたようだ。

それから、手早くシャワーを浴び、汗を流す。
シャワーが済み、柔軟体操をしてから、箒と共に廊下に出る。

「あ、おはよう織斑くん」
「お早うで御座るwwwww
今日もいい天気で御座るなwwwwwwwコポォwwwwww」
「そ、そうだね…」

女子が苦笑してそそくさと食堂に走っていった。

「何と言うか、お前のその徹底ぶりには感心せざる負えんな」
「良い良いwwwww
序でにwwwww
崇め奉りたまへwwwwwwww
苦しゅうないぞwwwwwwうぇwwwwwwうぇwwwwww」
「……」

箒が俺の脇腹を殴り、早足で行ってしまった。

「ま、待たれよ篠ノ之殿wwwwwwww
今の暴行に付いてwwwwww
謝罪と賠償を要求するニダ、で御座るwwwwwwコポォwwwwww」

食堂に着くと女子生徒でごった返していた。
取り敢えず、朝はバイキングの様だ。

「篠ノ之殿wwww
篠ノ之殿は何を食べるで御座るかwwwwwww
某はwwwww
白米wwwww塩ジャケwwwwwww味噌汁wwwwww
和食三コンボでダイレクトアタックするでござるよwwwwwwデュフフwwwwww」
「私もそれだな」

箒が白米を茶碗に盛り付けながら頷く。

「おぉ、ここのパンは美味しそうで御座るwwwwww
某、和食コンボにプラスしてwwwwwww
洋食を召喚するで御座るwwwwww
クロワッサンとロールパンを生贄にwwwwwww
イチゴジャムを召喚wwwwww
さwwwwwらwwwwwwにwwwwwwwww
ベーコンエッグとソーセージwwwww
そして、ゆで卵を場に伏せてwwwww
ターンエンドwwwwwwwクポォwwwwwwデュフwwwデュフフwwwwww」

両手に料理の乗ったトレーを持って箒が待つテーブルに向かう。
箒は和食の朝食だ。
ノリ、卵等などの付属品がある。

「相席して良い?」

そこに女子が3人やって来る。
おかしいな…
昨日のでだいぶ周りが引いていたと思っていたのに…

「良いで御座るよwwwwww
ささ、座られよwwwwww」

女子3人の為にスペースを開ける。

「織斑くんいっぱい食べるね~」
「流石、男の子だね」

女子が俺の2つのトレーを見る。

「そうで御座るかwwwwww
女子は余り食べないと聞くがwwwwwww
それは流石にwwwwwww
低燃費wwwwww
低燃費wwwwww
低燃費ピピーで御座るwwwwwwうぇwwwwwwうぇwwwwwww」

箒がじろりと俺を睨む。

「それ古いよ~」
「かなり前のcmソングじゃん」
「古~」

女子達がくすくす笑う。
クソ、何で好感度上げてるんだよ。

「私は先に行くぞ」

気が付いたら箒が食べ終えており、そそくさと立ち去った。

「な、何を言っているのか分ねーと思うがwwwwwww
俺も何を言っているのか分からねーwwwwwww
気が付いたらwwwwwww
篠ノ之殿が 朝 食 を 食 べ 終 え て い た wwwwwwwうぇwwwwwうぇwwwww」

しかも若干不機嫌だ。
俺がほかの女子と仲良くしているのが嫌なのだろう。
だがな、箒。
お前はひとつ勘違いしているぞ。
俺は『仲良くしたい』とこっれぽっちも“思っていない”って事を。

その後、太り過ぎないようにと朝食をほとんど取らないアホ3人組に正しい食生活と、運動がダイエットの近道だということを懇切丁寧に罵倒しつつ千冬姉がやって来た朝食の終了時間まで教え込んでやった。
そして、教室は何時も通りだ。
1時間目をこなし、2時間目はなんだか山田先生がブラジャーの話をし始め脱線し、終了。
3時間目は千冬姉の授業だ。

「おい織斑」
「何で御座ろうかwwwwwww
織斑教諭wwwwwwww」
「貴様のisだが。
準備には時間がかかる」

千冬姉が一言言う。

「うはwwwwww
テラバロスwwwwwww
某wwwww某wwwww専用のisゲットだぜwwwwwコポォwwwwww」

言うと全員がえぇえぇぇ!?!?!と叫ぶ。
実にうるさい。
千冬姉もそう感じたらしく、こめかみがぴくりと震える。

「織斑教員wwwww
某のisは赤く塗ってたまふwwwwwww
序でにwwwww
ブレードアンテナを付けて候wwwww」
「そんな改造はせん。
とっとと座れ、休み時間は終わりだ」

出席簿の攻撃を白刃取りしつつ席に座る。
うむ、千冬姉は一撃が強力だが、動きが単純だ。
動きも速いが慣れれば簡単だ。
そして、白刃取りをされた千冬姉はッチと舌打ちをして前に戻った。
教師が舌打ちをするのはどうかと思う。

そして、授業は滞りなく再開し、あっという間に昼休みになった。

「正直、ホッとしましたわ」

オルコットだ。
腰に手を当て、相変わらず尊大な態度である。

「これはwwwwwこれはwwwwwwww
オルコット女史wwwwうぇwwwwうぇwwwwww
おはようで御座るwwwwww」
「い、今更ですの?
まぁ、良いですが……
兎も角、貴方、私のブルーティアーズに訓練機で挑もうとしてたのでは?」
「如何にもwwwwww
某wwwww
打鉄かラファールを使う予定で御座ったで候wwwwwwクポォwwwwww」

しかし、と、なると、昨晩調べた機体での戦術や戦法は一切が無駄になった訳だ。
せめて、武装と機体特性が分かれば、やりようは有るだろうけど…

後で、千冬姉に聞くか。

「では、某少しばかり用事があるのでwwwwwww」
「用事?
このセシリア・オルコットが話しかけているのに、そちらを優先するのですか?」
「あwwwwたwwwwwりwwwwwまwwwwwえwwwwww
御宅は何処の女王様気取りですかwwwwwwwうぇwwwwwwwうぇwwwwww
オルコット女史が女王なら某は天皇で御座るwwwwwデュフwwwデュフフwwwwww
そういう訳でござるからwwwww
某は御暇させてもらうで御座るwwwwwうぇwwwうぇwwwwww」

取り敢えず、職員室に直行する。

「織斑教諭は居るで御座ろうかwwwwww」
「なんだ織斑」
「相談がありそうらへば、暫し、時間を作ってたもれwwwwww」
「……ああ、来い」

千冬姉に付いて相談室と書かれた部屋に入る。

相談室は6畳ほどの部屋で部屋の中央にテーブルと対面になるように椅子が1つづつ置いてある簡素な部屋だった。

「それで、なんだ?」
「俺の専用機の事だ」
「色を塗ったり角なんぞ付けんぞ」
「当たり前だろ?
何の得があるんだよ、そんなことして。
それより、どう言う機体か教えてくれ。
でないと、勝てるもんも勝てない」

答えると、千冬姉が俺を睨む。

「一言で言えば、私の使っていた暮桜をバージョンアップしたものだな」
「格闘戦だけ、だと!?!」

なんと言う事だ!
オルコットのブルーティアーズは遠距離を主体としたisだぞ!

「火器は?」
「無いと聞く。
まぁ、大丈夫だろう」
「俺は千冬姉じゃねーぞ。
格闘バカは千冬姉だけにしてくれ」

と、言うか、もはや、isを兵器として考えてないよな。
格闘戦だけって、完全にお遊び用としか言い様がない。
開発者は何を考えているんだ?

「性能はどのぐらいだ?
打鉄ぐらいか?」
「知るか」
「なんだよ。
格闘バカって言われて怒ってるのか?」

フンとそっぽを向いている千冬姉に半ば呆れる。
子供か、まったく。

「まぁ、専用機じゃなくて、打鉄かラファールを貸してくれよ。
格闘戦の機体じゃ、ろくな勝負ができない」
「お前は戦う前から諦めるのか?」

千冬姉が俺を睨みつける。
あんたは蛇か。

「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず。
小学生でも意味が分かる言葉だぞ。
分かりやすい様にポケモンで例えれば、こっちは炎系。
オルコットは水系だ。
どう考えても、俺の方が振りだろうが。
しかも、向こうは代表候補生だぞ?
常識的に考えても、俺はまだisの総操縦時間は30分にも満たないぞ。
俺が坂井三郎やエーリヒ・ハルトマン見たいなエースパイロットレベルの腕を持ってりゃ、ちったぁ、良いだろうけどよ」

「お前は、入学試験の時に、山田先生に勝ったのだろう?
彼女は一応、元日本代表候補生だぞ」
「あんなもの勝ったも糞もねぇよ」

自分でコケて壁に突っ込んで自滅した。
言ってみれば、『地面にキス』したのと一緒だ。

「てか、あの人、代表候補生だったのかよ…
大丈夫か、日本?」
「お前の言わんとしている事はわかるが、彼女の操縦技術はかなりのものだぞ」
「そうなのか…
まぁ、どんなに優秀でも、何もないところでコケるような兵士は使えないな」
「正論だけに何も言えんな。
あと、言っておくが、isに乗れるからといって全員が兵士になるわけではない」

千冬姉が呆れた顔で俺を見る。

「寝言は寝てから言え。
isはもはや兵器だぞ。
製造、メンテナンスが出来無いが、それを操縦できる奴さえいれば、現状では良い。
それで、戦争になれば、isに乗れる兵士が死んだら代わりの兵士を確保しなけれべ行けない。
と、なると、isに乗れる女子はすべからく、ほぼ自動的に国の管理下に置かれるんだぞ?」

「幸か不幸か、この国の国民は軍隊というものを毛嫌いしている。
戦争になる前に日本は敵国の占領下だろうよ」

千冬姉が安心しろと嘲笑する。

「元も子も無い事を言うなよ。
まぁ、いいさ。
取り敢えず、ラファールか打鉄貸してくれ。
銃を使えにゃ、俺の作戦がパーになる」
「作戦?」
「ああ。
何をするにも、作戦、戦術を立てて行動するんだよ。
いわば、計画だ。
だいたい、千冬姉はあんまり計画性がないんだよ。
だから、何時も家ではぐーたらしているんだ。
だいたいな「要件はもう済んだな。
私は忙しんだ」

千冬姉は言うと相談室から出て行く。
ホント、自分の事になると逃げに徹する……

やれやれ。
結局、isの事は有耶無耶になるし。
取り敢えず、is板で暮桜で各国の代表候補生isに勝つ方法を聞くか。
昼休みも中々に忙しいだろうjk
相談室から出て、教室に向かうと、箒がひとり残っていた。

「どうしたんだ?
ほかの連中は?」
「食堂に行った」
「箒は?」
「お前を待っていたんだ」

箒が照れたようにそっぽを向いた。

「そうか、ありがとう。
じゃあ、さっさと行って食っちまおうぜ」
「ああ」

二人でほとんど人の居なくなった廊下を歩き、食堂に向かった。

「なぁ」
「なんだ?」
「ふと思ったんだけどさ」
「ああ」
「この学校って、世界中から人集まってるんだよな?」
「そうだな。
is適性があって試験に合格すれば国が援助出してくれるからな」
「つーことは、かなり宗教とかめんどくさいよな」

不用意な発言や言動で“敬虔な”イスラム教とかキリスト教の信奉者がいると突っかかってくるよな…

「安心しろ」
「ん?」
「入学する際に、そういう事も審査される。
と、言うか日本人だけだろうな、宗教に無頓着な人種は」

箒がくだらんという顔で鼻を鳴らす。

「そろそろ、生徒が多くなってくるぞ」
「相分かったで御座るwwwwww
そうそう、篠ノ之殿wwwwww
今日、久しぶりに剣を交えようではないかwwwwwwww」
「ああ、構わんぞ」

食堂で昼飯を食べ、午後の授業を難なくこなし、剣道部の道場に向かった。
道着や袴は一番大きいのを借り、防具も同じだ。
竹刀だけは男子用の三八が無いので女子用の三八を使うことになった。
道場には女子生徒が大量に集まっていた。
半分以上が外国人の少女なので、きっと、物珍しいのだろう。

「うwwwwwwはwwwwwwww
観客多すぎワロタwwwwwwwうぇwwwwwうぇwwwwwwww」
「準備はいいか?」

素振りや切り返し、軽い掛かり稽古をし、体が十分に温まった。
審判には剣道部の部長と副部長に部員が立つ。

「今宵の虎徹は血に飢えているwwwwwww
掛かって参られよwwwwwドゥフwwwドゥフフwwwwww」

竹刀を構え、中心で蹲踞。
主審の合図と共に気勢を張り上げる。

久しぶりの剣道だ。
実に3年ぶりだろうか?

「……」

じっと相手の目を見、雰囲気を察する。
無効に動く気配があれば、後の先を、こちらから仕掛ける場合は先の先を取る。
剣道とはつまり、一瞬の出来事だ。
そして、大体、15秒程見合って、お互いに先の取り合いを行う。
一歩前に踏み込めば、直ぐに、間合いを保つように下がる。
周囲ではザワザワと話し声。
大抵が、動かないねーとかなにやってんの?とかそういう声だ。
そして、一瞬、箒の視線が、俺の目から、鋒に移る。
ここだ。

「篭手ぇぇ!!!!!!」

すっと前に入り、そのまま軽く鋒を上げ、箒の右手首めがけて振り下ろす。

「!?」
「っ!!」

一瞬、箒が怯み、しかし、手首を返す。

打ち込みが甘い。
直様、鍔迫り合いに入り込む。

「ふっ…
剣の腕は衰えていないようだな…」
「当たり前だ」

鍔迫り合いは基本、推奨されない。
何故か?
お互いに気が抜ける瞬間でもあり、気が抜けない瞬間でもあるからだ。
鍔迫り合いは、お互いが、素直に、離れるか、どちらかが技をかけて下がるの2種類ある。
最近、10秒ほど鍔迫り合いをしていると審判から止めの合図が入るらしいが。
兎も角、お互いに、慎重に慎重を重ね、すっと離れて行く。

「篭手ぇぇ!!!!」

箒が突然、引き籠手を打ってくる。

「っ!?」

直様、それを追い掛け、面を打ち込む。

「メェェェンッ!!!!」

脇をすり抜け、直様、残心を残す。
剣道は打ったら打ちっぱなしでは1本にならない。
ちゃんと残心を残さねば、1本になる面を打っても、無効にされる。
脇をちらっと見ると、主審と副審の一人が赤と白をあげているが、もう一人は首を傾げていた。
主審は俺達に開始線に戻るように伝え、『合議』と叫ぶ。
合議とは言わば、『今の有効打突はどちらが先に入ったか』と言うのを相談することだろう。
俺達は開始線から下がって、試合場の外に接する線で蹲踞か正座をして結果を待つ。
そして、30秒ほどの合議から、中央に集まった3人は別れる。
俺達も主審の合図で中央に戻り、結果を聞く。

「赤、篭手有り、1本。
勝負有り!
篠ノ之箒!」

今まで静かだった周囲が湧き上がる。
箒が直ぐ様異議アリと立ち上がった。

「今の面は確実に1本だ!!」
「落ち着くで御座るwwwwww
今のは打突部位が少し浅かったで御座るwwwwww
故に、篠ノ之殿の一本で御座るよwwwwwww
いやはやwwwwww
某も少し腕が鈍ったで御座るなwwwwwwwコポォwwwwwww」

「なっ!?
今のはっ!!」

箒が尚も抗議しようとしたので、パシンと箒の面を打つ。

「さっさと蹲踞して、剣を収めるで御座る。
話は後で聞くで御座る故に」
「あ、ああ……」

箒が蹲踞し、鋒を合わせる。
そして、剣を収め、下がって礼。
面を取ると、ものすごい勢いで俺の方に飛んで来た。

「今のはお前の一本だからな!」
「分かったで御座るwwwwww
分かったで御座るから余り、寄らないで欲しいで御座るwwwwww」

これでもかと俺に近づいて睨んでくる箒を押し返しつつ苦笑する。

「何っ!?
そう言って逃げる気だろう!!」

「違wwwうwwwwでwwww御wwww座wwwwwるwwwwww
それとも何かwwwwww
篠ノ之殿はwwwww
某と接吻したいで御座るかwwwwwwww
某は何時でも歓迎で御座るよwwwwwうぇwwwwうぇwwwwww」
「!?!?!?!
馬鹿者!!!」

箒は顔を真っ赤にして、俺に竹刀を振り下ろす。

「真wwww剣wwwww白wwww刃wwwww取wwwwwりwwwwwwww
某wwwww最強すぐるwwwwwwコポォwwwwww
次は二刀流を極めるで御座るwwwwwwデュフwwwデュフフwwwwww」
「巫山戯た事を吐かすな!
兎も角、今の勝負はお前の勝ちだからな!!!」
「分かったで御座るwwwwww
今度、何か奢るがヨロシwwwwwww
某勝者で御座るwwwwwww
敗者は勝者に奢るがヨロシwwwwwww」
「分かった」

箒は言うと更衣室に戻っていった。
全く、頑固者め…

それから毎日、箒と剣道をやった。
うむ、やはり、剣道は楽しいな。

「しっかし」
「どうするんだ?」

そして、俺達は第3アリーナのaピットで二人佇んでいた。
結局、打鉄もラファールも貸して貰えず、俺の専用機は今日届くと言う半端ない程に不利な状況だ。
例えるなら、檜の棒とパジャマ装備で魔王戦をするような物だ。

「どうにかなるって」
「お前のその楽天的思想も変わらんな」
「悲観的に考えてもしょうがないだろう。
やれる事はやったんだ。
あとは野となれ山となれ、とは行かないが、善処はする」

取り敢えず、3年間のブランクはあまり取り戻せてはいないが、それでもやらなかったよりはマシだ。
暮桜でブルーティアーズを倒す方法は結果から言えば、ある。
だが、それはほぼ相打ちの様な物で、しかも、上手く事を運んでの相打ちだ。

「織斑く~ん!!!」

そこにパタパタと山田先生が走って来た。

「山田教諭wwwwww
某専用のisは何処で御座るかwwwwww」
「い、今届きましたよぉ~」

山田先生はそう言うと視界から消えた。
そして、ズテンと音がする。

「転けたな」
「転けたで御座るな」
「うぅ……」

見事な顔面ダイブだ。
漫画みたいな顔面ダイブである。

途轍もなく痛そうだし、痛いのだろう。
その場でゴロゴロと左右にローリングしている。

「織斑」
「これはwwwwこれはwwwwww
織斑教諭wwwwww
某のisは何処で御座ろうかwwwww」
「ああ、ここだ」

千冬姉が指を鳴らす。
すると、ゴゴゴゴゴとピットの搬入口が開く。

「ほぉ……」

俺専用のis。
真っ白い機体だ。

「白式だ」
「びゃく…しき……」

なぜだか、知っている。

ずっと、前から知っていた気がする。

「そ、そうですよ!!
これが、織斑くんの専用is『白式』です!!!」

復活したらし山田先生が豊満な胸を揺らしてムフーと言う。
アンタが持ってきたわけじゃないだろうが…

「美しい…」

白いボディーに手を添わせる。
入学試験のときとは違い、電撃に似たショックはない。
その代わり、まるで、それが当たり前かのように手に“馴染む”のだ。

「織斑、時間がない。
実戦でフォーマットとフィッティングをしろ」
「ああ、分かった」

畜生め、覚えてろよ、千冬姉…
今度からビールは全てノンアルコールビールに変えてやる。
白式に背中を預け、システムを起動。
すると、全部自動でシステムが俺に最適化する。

「箒」
「な、なんだ」
「行ってくる」
「あ、ああ!!
勝って来い!!」

箒の声に手を振って答え、ゲートの前に立つ。
ゲートの向こうに、一機のisがいると言う事を白式のレーダーが感知し、俺に伝える。
見なくとも分かる。
セシリア・オルコットが操るブルー・ティアーズだ。
そっと体を傾けると、白式はフワリと浮く。

「一夏、行きまーす!!!!!!wwwwwwwwww」

そして、ゲートが開くと同時に、前傾姿勢で前に飛ぶ。
急速な加速gが俺を押し付け、アリーナからの光量で一瞬視界がホワイトアウト。
白式がそれを修正し、視界はすぐにクリーンになった。

「あら、逃げずに来たのですわね」

宙に浮くオルコットがオーッホホホと言う効果音が似合いそうなポーズを取る。

「うはwwwww逃げて良かったので御座るかwwwwwww
なwwwwwらwwwww逃げるで御座るwwwwwwコポォwwwwwww」

そのまま開いているゲートから帰ろうとする。

「ちょ、ちょっとお待ちなさいな!?!」
「何で御座ろうかwwwwww
帰って良いので御座ろうwwwwww
ならば、某、帰るで御座るよwwwwwwwwデュフwwデュフフwwwwww」
「なっ!?!
代表者はどうするんですの!!!」
「知らんで御座るwwwww
某どうでもイイで御座るwwwwww」
「なっ!?
ふざけないでくださいまし!!!」

次の瞬間、オルコットが馬鹿でかいビームガン、スターライトmkⅢだ。

「当たらなければどうと言う事はないwwwwwwwwコポォwwwwwwww」

バックステップで中央に進む。
完全同期まではまだ少しかかりそうだ。

「なっ!?
避けられた!?!」

オルコットは驚いた顔をしている。

「取り敢えず、武器はどうで御座ろうか~っと」

確認すると、近接格闘用の剣が1振り。
おぉう…本当に暮桜だよ、うん。

「まぁ、ないよりはマシって?」

オルコットはビュンビュンとビームを撃ってくる。
それをギリギリでかわし、肉薄するべく近づいていくのだが、

「白式が俺のスピードに付いて来ないな…
完全同期するまでちっとキツイな……」

微妙にビームが掠ったりしていくので、hpはオルコットのよりも少し減っているが、問題ない。

それから暫くは相手の手の内を見ようと適度に距離を保って、ビームを切り落としたり避けたりしていた。
あともう少しで同期が完了する。

「逃げてばかりで全く仕掛けてこないんですわね!
まぁ、そうでしょうとも!
格闘武器しか持っていない貴方が、イギリス代表候補生である、私!
セシリア・オルコットに勝てる訳がないんですもの!
そろそろ30分ですわね。
貴方の頑張りに免じて、今までの非礼を詫びるというのなら、許して差し上げますわよ」

オルコットがオーッホホホホと笑う。

「そwwwwれwwwwwはwwwwww
すまんこwwwwwww
テラすまんこwwwwwwww
だから許してくださり候wwwwwwクポォwwwwww」
「あ、貴方…!!!!
もう許しませんわ!!!
最初から最後まで人を馬鹿にしてっ!!!!!
これで仕留めてあげますわ!!」

オルコットが叫ぶと同時に、ビットが4つ俺を囲む。

「馬鹿にしてんのはどっちだっツーので御座る」

目の前に来たビットはフェイント。
左斜め後ろにいるビットが本命かな?

「ララァ、私を導いてくれで御座るっと…」

そのまま前に飛び、ビットを切り壊す。

「なっ!?!」
「オルコット女史は、詰めが甘いで御座るってね。
このビットを使ってる時は御宅、動けないで御座ろう?
悪いが、某も忙しいんでね……
悪・即・斬!!
で御座るよ~っと!!!」

オルコットのビットからのビームを残るhpとシールドで全て受け、一直線に飛ぶ。

「なっ!?!
ビームを一切避けない!?!?
正気ですの!?!」

オルコットが信じられないものを見たという顔をし、ニヤリと笑う。

ようやく、残る2つのビットを出す気になったか。

「取って置きは最後まで取っておくものでしてよ!!!!」

オルコットは高笑いをするとその2つを射出。
そして、二つのビットはビームではなく、ミサイルを放つ。

「だから、『取って置き』って言うんで御座るよ、オルコット女史」

フォーマットが完了したことを知らせるメッセージが出る。
確認のサインをする。

「正義のヒーローは変身するって知ってるか?」
「ふぁ、ファースト・シフト!?!
まさか、今まで初期設定で戦っていたので!?!?!」

オルコットが驚いた顔で俺を見る。

「その通りで御座るよ、オルコット女史」

ジャキジャキジャキンと機体が変形していく。
リアル系ロボの形から、正義のヒーロー系ロボに変わるように流線型に変化した。
また、剣も光り輝き、さらに伸びた。

《雪片弐型》

それがこの剣の名前である。
そして、その雪片弐型の持つ唯一の技。

《零落白夜》

迷わずに発動する。

「小便はすませたか?
神様にお祈りは?

部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はok?

行くぞ、ライミー!!」

結果から言えば、俺が負けた。
零落白夜はどうも、自分のhpを削って最強に近い攻撃力持つらしい。

「納得いかんwwwww
納得いカんぬべりwwwwwww
断固抗議するで御座るwwwwww
特にwwwwwwwwそこの織斑教諭wwwwwwwwww
なぜ説明しなかったしwwwwwww」
「そんな物、自分で確認しろ」

腕を組み、俺が魔王だ的な雰囲気を垂れ流している千冬姉は答えた。

「『自分で確認しろ』キリッ

だっておwwwwwwww
無茶振りにも程があるで御座るwwwwwww
現実世界はポーズが効かんので御座るよwwwwwwwデュフwwwデュフフwwwwww
知って居られたかwwwww
知って居られたか、織斑教諭wwwwwwwwポコォwwwwww」

「うるさい。
兎も角、さっさと部屋に帰って休め。
それと、isは暇さえあれば起動しろ。
靴と一緒で、乗った時間だけ、特性が掴めたり、フィットしてくる」

isを運動靴と一緒にするなよ…

「そ、それじゃあ、これに目を通しておいて下さいね!!」

山田先生が俺の目の前に電話帳をドサドサと置く。
よく見れば電話帳じゃない。
isを展開するときのルールというか、規定とかがズラズラと書かれていた。

メンドくさっ!?!

「これイラねwwwww
白式返すからこれも返すで御座るwwwwww」
「寝言は寝てから言え。
山田君、もどるぞ」
「あ、はい!!」

山田くんって言うと、座布団持ちが出てくるよね。

教師二人組はさっさと控え室から出て行った。
それに代わるようにして箒が入ってくる。

「よぉ、箒。
カッコ悪い所見せちまったな」
「全くだ。
あれだけ大見得切って出て行って…」

箒がフンと侮蔑の視線を送る。

「いや、逆に、あそこまで頑張った俺はすごいと思うぞ。
まぁ、接戦で負けたし、目論見通りだから、俺は今日、実に頑張ったと思う。
正直、こんなに頑張ったのは生まれて初めてかもしれないな」
「……なかなかの演技派だな」

箒が呆れた顔で俺を見る。

「だろ!
まぁ、半分、周りが見えなくなってた。
最後、ミサイルビットの攻撃わざと受けてなかったらかろうじて勝ってたわ」

あれは焦ったね。

まぁ、結果オーライ。
俺は明日から普通の生徒だ。
代表生はオルコットが遣れば良い。

「じゃあ、帰ろうぜ」
「ああ。
それと一夏」
「ん?」

箒が夕日をバックに立っている。
なんぞ?

「きょ、今日のお前はかっこ…良かったぞ……」

小声でボソボソと何かを言った。

「はぁ?
なんつった?」
「な、何でもない!!」

箒はそう言うと部屋から出て行った。
やれやれ…

「恥ずかしいなら、言うなよ。
それに、俺は何時でもカッコイイんだぜ?」

翌日、清々しい気持ちで俺は教室にいた。
昨日の代表者決めは俺の負け。
つまり、俺は代表者に成らなくても良い。
ああ、なんて素晴らしい。
しかも、昨日のあの負け方は、千冬姉からの叱責は無かった。
つまり、十分な戦いに値したということだ。
ただ、気掛かりな事が増えてしまった。
篠ノ之箒だ。
久しぶりに会った箒だが、何だか様子が変だ。
簡単に言ってしまえば、恋する乙女だ。
相手は俺、だと思う。

「一年一組の代表は織斑一夏くんに決定です」
「!?」

クラスがワーッと盛り上がる。

「山田教諭wwwwwww
某wwwwww
耳が可笑しくなったで御座るwwwwwwwww
もう一度wwwwww
もう一度今の言葉をwwwwwwwwポコォwwwww」

「ですから、このクラスの代表は織斑くんに決定です」

ニパーと言う効果音がつきそうなくらいの満面の笑みを浮かべた山田先生が言う。

「冗談ではないwwwwwwww
某wwww昨日の戦いでwwwwwww
オルコット女史に敗北したで候wwwwwww
故にwwwww故にwwwwww
某ではなくwwwwwwww
オルコット女史が成るべきで御座るwwwwwww
しかしwwwww
何故wwwwwww某がwwwwww」
「それは私が辞退したからですわ!」

そこにオルコットがやって来た。

「そもそも、昨日の戦いは貴方が負けて当然の事。
なにせ相手がこのセシリア・オルコットなのですから!」

なんと言う自信家。
俺が本気を出せば10分程で決着が付いたとも知らずに…

「そして、私、反省いたしまして。
些細なことで怒ってしまい、お詫びとして、『一夏さん』に代表の座をお譲り致しますわ」

聞いたでござるか?
某はしかと聞いたでござる。
オルコットが『一夏さん』と言いやがった!!

「要wwwwwwらwwwwwwwんwwwwwwwwでwwwwww御wwwwww座wwwwwwwるwwwwwwwww
同情するなら金をくれwwwwwwwwwww
同情するなら金をくれwwwwwwwwうぇwwwwwwwうぇwwwwwwww」
「黙って代表の座に付け」

そこに千冬姉が呆れた顔で言う。

「嫌で御座るwwwwww
絶対に嫌で御座るwwwwww
と、言うかwwwww
昨日、織斑教諭は自分で言った事を忘れたで御座るかwwwwwwww」
「忘れた。
これは教師命令だ」
「横暴wwwwww
カエサルも吃驚の独裁者で御座るwwwwwwプギャァwwwwwwww」

「何でも良いからお前が代表だ」
「独裁者で御座る……」

クソ、ノンアルコールビールからコーラに変更だ!

「付きましては、私が一夏さんのis操縦を監督して差し上げようと思いまして…」
「要らん」

そこに割り込んできたのは箒である。
しかもセシリアをコレでもかと睨み上げているのだ。
多分、新たなる恋のライバルの出現に危機感を覚えているのだろう。
セシリア・オルコットvs篠ノ之箒…
そして、巻き込まれる俺……

「一夏の監督役は『私が』担っている」

私がの所をこれでもかと言うぐらいに強調した。
箒が先生なら、多分テストに出したな。

「でも貴女、適正ランクはcなのでしょう?
私はaでしてよ!」

オーッホホホと言う効果音が似合いそうなポーズでオルコットは言う。
ちなみに、俺はbらしい。
あのテストで計測したらしいが、正直、立ち上がって歩いて、山田先生がこけたのを見ていただけ何が分かるというか。

「下らん言い争いはやめろ」

千冬姉が二人の頭部を出席簿で殴る。
バシンといい音がすると同時に、二人は頭部を抑えて悄々と席に戻っていった。
うむ、痛そうだ。

「お前にもしてやろうか」
「結構で御座るwwwwwww
某wwww何もしてないで御座るよwwwwwwwデュフwwデュフフフwwwwwww」
「態度が気に入らん」

そして、真剣白刃取り。

「当たらんで御座ろうよwwwwwww
いと当たらなき候wwwwwwww」

「う~~トイレトイレ」

今トイレを求めて全力疾走している僕はis学園に通うごく一般的な男の子
強いて違うところをあげるとすればオタク趣味があるってことかナー
名前は織斑一夏

「何時まで経ってもこの学園は男子に優しくないで御座るwwwwwww」

廊下をダッシュし、俺の第二の部屋、トイレに向かう。
トイレで着替えれば、ぶっちゃけとても近いのだ。
便利かな、トイレット。
すぐに着替えを済ませ、集合場所であるグラウンドへ向かう。

「遅いぞ」
「だったら某にも近い更衣室を寄越すがヨロシwwwwwwww
女子の更衣室より更に遠い某にはこれでも最速で御座るwwwwwww」
「なら、もっと早く来い」

千冬姉はそう言うと、俺から全員へ視線を戻す。
コーラからファンタに変えてやる。

「今日はisでの飛行操作の訓練だ。
オルコット、織斑、やってみろ」

千冬姉が言うと俺とセシリアは前に出る。
あの一件以来オルコットは自分を『セシリアとお呼び下さいまし』と言われたのでセシリアと呼ぶことにした。

「ライダー……
変身っ!!!
トォォォ!!!!!」

手をおお振りに回し、ポーズを決める。
すると、体がピカーンと光に包まれ、isが展開した。

「織斑、なんだその余分かつ不必要な動きは」
「仮面ライダーで御座るよwwwww
ちなみにwwwww
1号の変身で御座るよwwwwwww
本郷猛で御座るwwwww
得意技はキックで御座るwwwwwデュフwwwデュフフwwwww」

「そんな下らんことは必要ない。
熟練のis操縦乗りは1秒とかからんぞ」
「知らんで御座るwwwwww
某、乗るならisよりもイーグルライダーの方がイイで御座るwwwwwww
f15かっこよすwwwww
残念ながら空自だとf35ライトニングⅡが採用され、だんだんf15とf2の立場が無くなって来ているでござるwwwwww」
「安心しろ。
isが出てきてからはf35も立場がないからな」
「寝言は寝てから言うで御座る。
isをf35やf15、f2と一緒にするなで御座る。
f35やf15の方がもっと偉大で御座る。
そして、兵器としてとても有能で御座る」

千冬姉はロッキードとボーイング、三菱に謝罪するべきだ。

「あ、isが出てからは既存の兵器では手も足も出ないですわよ、一夏さん」

セシリアが慌てて俺と千冬姉の間に割ってはいる。

「セシリア女史。
isが世界に何機あるか知っているで御座るな?」
「え、ええ、もちろんですわ」

「isvs戦闘機。
確かに、1on1では負けるで御座ろうな。
is1機に対して戦闘機1個中隊だろうが1個郡いようが瞬時に負ける筈で御座る。
では、訪ねるが、セシリア女史達は18名の兵士を殺して、平気で居られるで御座るか?
某は到底無理で御座る。
多分、戦争になれば、isと戦う事になるパイロットは文字通り死を覚悟して戦うで御座ろうて。
下手をすると、特攻してくるで御座るよ。
f15なら最低でも12トンの戦闘機がマッハを超えた速度で体当たりを敢行してくるで御座る。
幾らisとは言え無事では済まないで御座る」
「ま、待ってくださいまし!
is=兵器で話が進んでいますがisの軍事転用は禁止されていますわ!!」

セシリアが前に出る。

「本気でそう思っているなら、本当におめでたいで御座るな。
平気じゃないなら、何故、各国『軍』が研究しているで御座る?
ドイツ軍だってis専門の特殊部隊を作っているで御座る。
千冬姉、織斑教諭がそこで教官をしていたで御座る。
つまり、ドイツ軍、軍事転用が何時でも出来る体制で御座る」

「そ、それは…」
「それに、条約なんてお互いに示し合わせた約束で御座る。
複数の国がお互いに不干渉条約を結んだらどうなるで御座る?
第3次世界大戦で御座る。
これはナチス・ドイツの農業用トラクターと一緒でござるよ、isは。
トラクターという名の戦車。
空飛ぶパワードスーツと言う名の兵器。
まぁ、戦争が始まっても某、いや、日本は憲法9条があるで御座る。
自衛隊が頑張ってくれるでござるが、セシリア女史の国はそうじゃないでござる。
国に帰ったら、国際平和に尽力するがイイで御座る。
さぁ、授業を再開するで御座る」

千冬姉を見る。

「あ、ああ。
よし、飛べ」

千冬姉が頷く。

言われて、セシリアはビュンと空を飛ぶ。
おお、速い速い。
俺もそのあとに続いてピューと飛ぶ。
安全運転だ。

「織斑。
貴様、ふざけているのか?
何故、スペックが上のお前はセシリアより遅いのだ」
「安全運転で御座るwwwwww
某、車で言えばまだ若葉マークを付けてるレベルで御座るwwwwwwポコォwwwwwww
故にwwww故にwwwwww
ゆっくり運転で御座るwwwwwwポコォwwwww」
「昨日教えただろうが」

千冬姉は呆れた顔で言う。

「織斑教諭の指導は分かり難いで御座るよwwwwww
前方に角錐をイメージwwwwwww
まだ、ヴァンガードやってた方がイメージしやすいで御座るwwwwww」

「なんでもいいからとっとと降りて来い。
急降下で完全停止。
目標は地上から10センチだ」
「了解で御座るwwwwwww」
「それでは一夏さん。
私が先に降りますわ」
「了解で御座るwwwwww
地面にキスだけはするなwwwwwwww」
「は、はぁ…
よくわかりませんけど、分かりましたわ」

セシリアは言うとヒューンと降りて行って着地、いや、停止した。
当たり前だが、上手いものだ。

「しかしwwwww
某はwwwwww
そう簡単に出来るとは思えぬwwwww
思えぬべりwwwwwww
故にwwwwww
故にwwwwww
吶喊!!!!」

地上に向けて急降下。
僅か200mを3秒で駆け抜け、落着。

「馬鹿者!!!
貴様は何をしている!!!」

濛濛と立ち込める砂煙。

千冬姉の声が凛と響く。
うん。
かなり怒ってるぞ。

「急降下爆撃で御座るwwwwww
某wwwwルーデル閣下を尊敬しているで御座るwwwwwwwポコォwwww
故にwwwww故にwwwwww
某wwwww着陸と攻撃を併せ持つこの技を考えたで御座るwwwwww
名付けてwwwwww
シュトゥルモヴィークwwwww
単純明快wwwww」
「私は、地上から10cmに停止しろと言ったんだ」
「よく見るがヨロシwwwwww
ちゃんと、10cm浮かんでるで御座るwwwww
穴は停止する衝撃で出来た穴で御座るwwwww」

「嘘を吐くな」
「バwwwwwレwwwwwwてwwwwwwらwwwwwwwwうぇwwwwwwうぇwwwwwww」
「一夏さん、お怪我はありませんか?」

そこにセシリアがやってきた。

「ナッシングwwwwww
さすが白式だwwwwwwなんともないぜwwwwwwww」
「織斑、馬鹿な事をやっていないで、武装を展開しろ」

千冬姉が服に付いたホコリを払いながらやってくる。
ジャージぐらい来てくれば良いのに。

「武装はピンチに成らないと出ないで御座るwwwww
故にwwwww故にwwwww今の某には取り出せないでござるwwwwwwwポコォwwwwww」
「馬鹿なこと言ってると、留年させるぞ」

is学園で留年とかあるのかよ。
別に、留年とかどうでもイイけどさ。

「ま、まぁまぁ、織斑先生。
まずは私から…」
「まぁ、いい。
セシリアの後でやれよ」

言うとセシリアが前に出る。
そして、腕を真横に突き出すと一瞬だけ光って、スターライトmk.Ⅲが出る。
しかも、既に撃発も下がっており、トリガーを引けば撃てる状態だ。

「そのp「超格好良いで御座るwwwwww
さすがイギリス代表候補生で御座るwwwww」

千冬姉がセシリアに説教を垂れようとしたので、それを遮る。

「そ、そうでしょうか?」
「そうで御座るwwww
正義のヒーローみたいで御座るwwwww」

千冬姉が俺を睨んでいる。
まぁ、千冬姉が言わんとしていることは分かる。
どうせ、真横に構えて出したら、咄嗟の時に撃てないだろうがという話だろう。

「しかしwwwww
横で出現させるとwwwwww
咄嗟に撃てないで御座るwwwwwww
故にwwww某wwwwwセシリア女史はバーンスタイル風に出現させる事を提案するで御座るwwwwww」
「ば、バーンスタイル?」
「ピースメーカー見ろしwwwwwww
まぁwwwww咄嗟に撃つ事なんて絶対無いで御座るけどなwwwww
何故ならwwww何故ならwwwwww
isは『兵器』ではな無いそうで御座るからなwwwwwww
だwwwwかwwwwらwwwww
そっちの方が格好良いで御座るwwwwwwwww」

ちらりと千冬姉を見ると俺をコレでもかと睨んでいるのでニヤリと笑ってやる。
isは兵器じゃないんだろ?
銃は咄嗟に構えて撃てる様に、安全装置を素早く動かす訓練をする。
しかし、is自体スポーツでしか使うことはないから、逆に、安全装置は開始直前まで触っちゃダメなんろ?
クレー射撃だって、競技が始まる直前までは銃のチャンバー閉じないし。
クレーが射出される直前までトリガーに指をかけない。

スポーツに使う銃は銃であって武器じゃねぇ。
その方式で言えば、千冬姉の言わんとしている事は大いに間違いだ。
『咄嗟の』ってスポーツであるのか?
ボクシングだろうが剣道だろうが、街中歩いていて、突然試合を吹っ掛けられる競技か?
いいや、違うね。
千冬姉、アンタは言ってる事は間違いだぜ。
さらに指摘するなら、『周りに人がいると危ないから、銃口は上か下に向けろ』と言う所だぜ?

「それかwwwww
周囲に人がいると危ないからwwwwww
銃口は上か下に向けるで御座るwwwwww
isはwwwww
人を殺せるで御座るwwwwww
取り扱いには注意するで御座るwwww
安全装置もwwwww
ハンマーもwwwwww
競技が始まる直前まで銃には弾は入れない方が良い、いや、入れちゃダメだな。
本当に、isが兵器じゃないと思うなら、そう言う所から気を付けた方が良いぞ」

「そ、そうですわね!
さすが一夏さんですわ!!」

セシリアはうんうん頷く。

「セシリア女史が格好良く武器を出したで御座るからwwwwww
某も取って置きの演出で武器を出すで御座るwwwwwwプゲラwwwwwww」

パンと手を合わせ、ハァァァと気合を込めていく。
すると、まずは柄が登場。

「我が盟約に従い現れよ!!!!
神刀《天之尾羽張》!!!!!!」

そして、左手の人差し指、中指を揃え、刀身をなぞる様にして指を動かす。
すると、柄の先から徐々に銀の刀身が可視化される。

「それは雪片弐型だ」

千冬姉が呆れ顔で言う。

「雪片弐型とは世を忍ぶ仮の名前wwwwww
この神刀《天之尾羽張》は火之迦具土神の首をはねる際に用いられた伊耶那岐命の十拳剣wwwwww
つまりwwwwwww神が神を殺す際にwwwww
使用した剣wwwwwwww
神殺しの剣wwwwwwwwうぇwwwwwうぇwwwwww」
「それは雪片二型だ。
オルコット、格闘用の武器を出せ」

千冬姉が俺への追求を諦めたのか、セシリアを見る。

「え、ええ、分かりましたわ」

セシリアは頷くと銃をしまう。
そして、代わりに、格闘用ブレードのインターセプトを取り出すのだが、なかなか出ない。
千冬姉に急かされて、インターセプトの名前を叫び、漸く取り出す。

「セシリア女史wwwwww
叫ぶならwwwwww
叫ぶならwwwwww
もっと格好良くポーズを決めるで御座るwwwwww」

「か、格好良く、ですか?」
「そうで御座るwwwwww
isは所詮スポーツ用wwwwwww
レーシングカーも機能性は重視しつつも恰好良さを前面に押し出しているでござるwwwwwwww
プロレスwwwww
ボクシングwwwww
サッカーwwwwww
野球wwwwww
選手は皆wwwwwww
一様に己の独自のアピールを持ってるで御座るwwwwww
サッカーならカズダンスwwwww
野球ならイチローのホームラン予告wwwwwww
セシリア女史も考えておくがイイで御座るwwwwwww
某、登場する曲からポーズまで考えているで御座るwwwwwポコォwwwwwww」
「お前は何を考えているんだ?」

脇の千冬姉が呆れた顔で俺を見た。

「ちなみにwwwww
千冬姉はダースベーダーの、帝国軍のテーマかターミネーターの曲がセットされてるで御座るwwwww」

isの便利機能を活用し、曲を再生する。
ダースベーダの登場するシーンに流れる曲、帝国軍のテーマが流れ出す。

「どうで御座るwwwww
あっているで御座ろうwwwww」

「織斑、あとで覚えていおけよ」

千冬姉はそう言うと今日の授業は終わりだと言う。

「織斑。
貴様は、その大穴を埋めておけよ」
「承知wwwwwwww」

グラウンドの土ってどうするんだろうか?
適当に他の場所を削って、入れれば良いのか?
いや、大抵は、倉庫みたいな所に土が持ってあるんだよ。
雨降った時に、土被せて、水溜りを無くす様にさ。
それを持って来て、入れれば良いんだな。

「一夏。
私も手伝おう」

そこに箒がやって来る。

「大丈夫で御座るwwwwww
某に掛かれば穴埋め何ぞwwwwww」
「私もお手伝いしましょう!」

セシリアもやって来た。

「話聞いてたで御座るかwwwwwwww
大丈夫で御座るwwwwww」

結局、二人が喧嘩をし始めたので、その間にisで土を運び、穴埋めを完了した。
さすが、宇宙空間での作業用をモデルに考えられただけあって、土木作業も完璧だ。
まぁ、is用の工具がなかったから、脇に置いてあった鉄板をそれ代わりにしてやったんだけどな。

「某の為に喧嘩は止めれwwwwwww
某モテモテで困っちゃうwwwwww」

そして、結局三人で昼食をとることになったのだが、食堂でも喧嘩をしているのでメンドくさい。
これだから、女という奴は……

「「だ、誰がお前(一夏さん)のためか!(ですの!!)」」
「仲良しこ良しで御座るなwwwwwwwデュフwwデュフフwwwwwww」

二人は顔を真っ赤にしてそっぽを向き、食べ始めた。
全く、騒がしい。
特にこの二人は。
箒は一人でいれば、静かだが、セシリアが混ざると非常にうるさい。
化学反応を起こしやがる。
シノノーホーキリンとセシリーアオルコットーサンが混ざると爆発する。
化学式で書くとsnhk+sshirol=co2+h2oだな。
二酸化炭素と水が生まれます。

「何か失礼な事を考えてはいないか?」
「そうですわ、何か失礼なことを考えていますわね」
「知らんで御座るwwwwwww
冤罪で御座るwwwwwwwwポコォwwwwwww」

女ってのは勘が鋭いことも特筆すべき点だな。

「それではwwwww
某wwwwww
先に行ってるで御座るwwwwwwww」
「あら、なら私も!」
「わ、私も行くぞ!!」
「女子と一緒に連れションwwwwww
うはwwwww某wwwwwモテモテwwwwww
でもwwwwww個室wwwwwうぇwwwwうぇwwwwwww」
「なっ!?!」
「と、トイレならそう言ってくださいまし!!!!」

二人が顔を真っ赤にして慌てて座る。

「某は大歓迎で御座るwwwwww
一人でトイレは寂しいで御座る故wwwwwwデュフwwwデュフフwwwwww」
「食堂で下品な話をするな」

背後から殺気を感じ、咄嗟に真剣白刃取り。

「まwwwwwだwwwwwまwwwwwだwwwwwだwwwwwwwねwwwwww」

某テニヌの王子様の真似をする。

「さっさと行って来い!」

今度は拳を振り上げたので、緊急離脱。
トレーをおいてきてしまったが、まぁ、仕方ないだろう。

その後、無事午後の授業も完遂し、箒やセシリアの押しかけisコーチを済ませ、部屋に戻る。

「今日も今日とて疲れた」

ベッドに倒れ込もうかと思い、シャワーを浴びてからにすると決めた。
ちなみに、箒は部活中である。
俺のis特訓に付き合うと言うのだが、『こう、ギューギューンと』とか『違う、バーン!!とだ!!』と幼稚園児並みの擬音語多用説明しかしない。
それ故に、言葉巧みに部活に行って貰うのだ。
ちなみに、セシリアは理屈っぽい。
そして、やたらとスキンシップを測ってくる。
うむ、どうやら、知らない内にフラグを立ててしまったようだ。
俺の『植物のように平穏な暮らし』と言うのはどんどん遠ざかっていく。
可笑しい……
手っ取り早くこれ以上被害を拡大しない方法は、適当な女子と彼女になっちまう事だ。
まぁ、非常にリスキーな選択とも言えるがね。
候補としては、

篠ノ之箒

セシリア・オルコット

最近よく絡んでくる、布仏本音

あたりだろうか?

だが、しかし、is学園の中で彼女を作るとなると、大変めんどくさいことになるな。
しかも、前述した2名に関しては、家庭が非常かつ、大いに複雑だ。
調べた話、セシリアはなんでも名門貴族のお嬢様とかで、両親は列車事故で死んだとか。
ぶっちゃけ、重すぎだろう。
セシリアと結婚できれば、一気に大金持ちになるだろうが、貴族って色々とめんどくさいと聞く。
中世の貴族とかよりはましだろうけど、それでも、絶対、『メンドくさい』ことはある。
しかも、俺は日本人だ。
イギリス人は、特にそういう貴族系は少なからず、差別主義があるとと言う偏見がある。
しかも、イギリスには住みたくねぇ。
治安悪すぎだ。
日本人は、日本以外の国には住めない。
料理も不味い。
ただ、セシリア自身に関しては非常に良い。
おっぱいは一般的な外人にくれべれば小さいが、それでも日本人より大きいし、何より体型にマッチしている。
しかも、天然の金髪。
つまり、染めてない。
と、いうことは、アンダーも金髪だ。
剃っているかどうかは知らんが。
下手をすると、金持ちだから永久脱毛をしているかもしれん。
金髪パイパンとか、もうね。

だが、しかし、is学園の中で彼女を作るとなると、大変めんどくさいことになるな。
しかも、前述した2名に関しては、家庭が非常かつ、大いに複雑だ。
調べた話、セシリアはなんでも名門貴族のお嬢様とかで、両親は列車事故で死んだとか。
ぶっちゃけ、重すぎだろう。
セシリアと結婚できれば、一気に大金持ちになるだろうが、貴族って色々とめんどくさいと聞く。
中世の貴族とかよりはましだろうけど、それでも、絶対、『メンドくさい』ことはある。
しかも、俺は日本人だ。
イギリス人は、特にそういう貴族系は少なからず、差別主義があるとと言う偏見がある。
しかも、イギリスには住みたくねぇ。
治安悪すぎだ。
日本人は、日本以外の国には住めない。
料理も不味い。
ただ、セシリア自身に関しては非常に良い。
おっぱいは一般的な外人にくれべれば小さいが、それでも日本人より大きいし、何より体型にマッチしている。
しかも、天然の金髪。
つまり、染めてない。
と、いうことは、アンダーも金髪だ。
剃っているかどうかは知らんが。
下手をすると、金持ちだから永久脱毛をしているかもしれん。
金髪パイパンとか、もうね。

次に、箒だ。
箒は素晴らしい。
キング・オブ・大和撫子だろう。
剣道をやっているだけあって、非常に礼儀も正しいしな。
評価すべき点はクールビューティーなところと、ツンデレな点だろう。
キング・オブ・幼馴染だろう。
多分、デレ期に入ったら凄まじいぞ。
あのけしからんスタイルで迫ってくるだろう。
胸も非常に素晴らしい。
同室だけあって、私服姿も見ることができるが、実にいいね。
しかも、あまり化粧品をつけないの為に、シャンプーと女子特有の匂いだけで素晴らしい。
正直、箒には何時もお世話になっています。
ただ、問題は、箒が『篠ノ之束』の妹であると言う事だろう。
しかも、父親である柳韻おじさんは行方不明とかね。
まぁ、束さんも行方不明だが、千冬姉あたりが行方を知ってそうだ。
と、言うか、千冬姉か箒が呼べば飛んできそうだ。
頭がパーだし。
バカと天才を両立すると言う素晴らしい人間だからな、あの人は。

その後はどうすれば巨乳になるかという話になり、巨乳を志す愚かなる貧乳淑女共に如何に貧乳が大切なのかを昼休み命一杯、使い教えた。
午後の授業も特筆すべき点はないので割愛し、放課後、俺はセシリアと共に競技場に居た。

「おぉwwwwww
箒殿箒殿wwwwww
打鉄の使用許可が降りたで御座るかwwwwwww」
「ああ、そうだ。
今日は格闘戦の訓練だ。
セシリアでは格闘戦ができないからな」

箒がセシリアのブルーティアーズを鼻で笑う。

「なっ!?!
だいたい、本日、一夏さんのお相手をするのはこの私、セシリア・オルコットでしてよ!!」
「打鉄が使えるのは今日なのだ。
お前は引っ込んでろ」
「な、なんですって!?!
貴女こそ引っ込んでいなさいよ!!!」
「邪魔だてする気か!!!
ならば斬る!!!」

箒が格闘用ブレードを抜き放つ。
おぉ、かっけぇ!
俺もその『邪魔だてする気か!!!ならば斬る!!』ってのを使おう。

セシリアはセシリアで左手にインターセプトを展開し、逆手で持っている。
逆手は基本的に、防御の為の握りである。
セシリアの攻撃方法は基本的に近づかれぬ様、弾幕を張り、近付かれたら、安全圏に至るまで逃げの一手だろう。
最初はその作戦は卑怯だの、堂々としていないなどと言っていたが、狙撃兵の鉄則を押し込み、戦いでの鉄則を教えた。
しかし、今は俺の教えた作戦に忠実に守り、近づいてくる箒の攻撃を避け続け、合間を取ろうと下がり続ける。

「逃げるな臆病者め!!!」
「そんな安っぽい挑発には乗りませんわ!
私のブルーティアーズは遠距離戦用のisですわ。
それが何故泥臭い、格闘戦を行わなくてはいけませんこと?」

オーッホッホッホと高笑いしながら徐々に合間を広げていくセシリア。
基本的に、ブルーティアーズの方が性能が良いので、当たり前と言えば当たり前なのだが。

「ック!!
猪口才な!!」

セシリアの放ったビームを箒が、格闘用ブレードで切り落とした。
何あの子、半端ねー…
新選組の源さんかよ…
源さんが死ぬシーンマジで泣いた。
俺、一番好きなのが源さんだったもん。
ちなみに、フルネームは井上源三郎。
6番隊隊長だった。

なんてことを考えていたら、二人の動きがぴたりと止まり俺を見る。

「何wwwぞwwww」
「一夏!」
「先程から何を黙って見ているのですか!!!」
「おkwwwwww
我が天然理心流奥義とくと味わうがヨロシwwwwwwwww」

雪片二型を抜き、上段で構える。

「どこからでも掛かってくるがよいwwwwwww
某は一撃で倒して進ぜようwwwwwwwwww」
「上等だ一夏!」
「吐いた唾は飲み込めませんことよ!!!!」

二人は束になって掛かって来た。
所詮、烏合の衆よ!
お互いの連携が取れていなければ、一人の方が身軽に動けるのだよ!!!

それから1時間ほど、二人に手解きし、終わった。

「着替え終わったらお説教で御座るwwwwww
食堂に来るで御座るよwwwwwww」
「わ、わかった…」
「きょ、今日も勝てませんでしたわ…」

二人がヨロヨロとピットに向かったので、俺も逆のピットに向かう。
ピットに入ると、誰かいた。

「お、鈴か」
「お疲れ様、一夏!
スポーツドリンクとタオルよ!」
「おお、サンキュー」

鈴からタオルを受け取り、顔を拭く。

「それで、アンタ、あの頭悪そうな喋り方はなんなの?」
「ああ、それな。
俺が中学の時に書いた作文覚えてるか?」

「えっと、『俺が平穏な生活を送るために必要な事』だったっけ?」
「そうそう」
「え、で、あんたが平穏な生活を送るためにあんな馬鹿そうな喋り方してるの?」
「おう。
この学園は色々と俺の平穏な生活をぶっ壊しやがるからな。
現に、俺に惚れた女が2人もまとわりついている」
「あ~…
あの篠ノ之箒って子とセシリア・オルコットって子ね」

鈴が苦笑する。

「ああ、そうだ。
だから、俺は、これ以上、めんどくさい事を抱えない様に注意を払っているんだ」
「め、めんどくさい事ってねアンタね…
と、いうか、か、彼女作っちゃえばいいのよ!」

鈴が少し顔を赤らめて言う。
ああ、コイツも危ないな~

「バカ言え。
この学園内で彼女なんか作ってみろ、それこそ大戦争が起こるぞ。
主に千冬姉との」
「た、確かに、なりそうね…
千冬さん、ああ見えてブラコンだし」

鈴が苦笑する。

俺が中学時代、授業参観とか運動会は学校やis関係の事すべてぶっちして来てたもんな~
最前列を束さんと確保して。
少しでも邪魔する者がいるなら、持ち前の鬼殺しの睨みで黙らせるし。
相手グループが少しでも有利になりそうだと、しれっと妨害していたし。
束さんを脅しにかかって、訳分からん装置ufoみたいな装置で俺の事いろんな角度で撮ってたし。
それから、鈴と中学時代の思い出話に花が咲いた。

「まぁ、だいたいの事情は分かったわ」
「ああ、分かってくれて有難い。
それじゃあ某wwwwwwww
シャワーを浴びてから食堂で反省会をするで御座る故wwwwwwww」
「むかつくから二人の時はそれやめて」
「わかった。
じゃ、また後で」
「ええ」

鈴と別れ、部屋に向かう。
ああ、コイツもダメだな。
クソ、中学の時は全然気が付かなかったが、ありゃ、完全にダメだ。
久しぶりに会った幼馴染が想像以上に格好良くなってて惚れ直した的な顔だ。
地雷っつーか対戦車地雷踏んだ気持ちだ。
なんで、歩兵に反応しやがるんだ。
100kgオーバーで発動するはずだろうが、バカ野郎。
信管仕掛け間違えてるぞ、工兵め……

取り敢えず、部屋に戻ると箒が腕を組んで立っている。

「どうした?」
「遅かったから私が先に浴びたぞ」
「ああ悪い。
鈴の奴と昔話で盛り上がってな」

取り敢えず、鈴を嫁にしてご飯を毎日作ってやると言う約束を持ち出されないよう実に頑張ったと思うよ、俺。

「それで?」
「それでってな、それ以外何もねーよ。
俺はめんどくさい事にならんよう頑張ってるんだ。
お前が心配する様な事は何一つ持ち込ませねーよ」

そう、お前も例外じゃないぜ、箒。
俺の気持ちを知ってか知らずか、箒はどことなく安心した顔をだった。

「じゃ、俺はシャワー浴びてから行くから、箒は先に行って席確保してくれ」
「ああ、わかった!
早く来いよ!」

箒は実に嬉しそうに出て行った。
やれやれだぜ。

そこから、数週間。
3人を交えたisの特訓は続いた。

「いよいよ、来週だな」

脇にいる箒が感慨深そうに言う。

「そうで御座るなwwwwwwww
一回戦目は鈴殿wwwwwww
勝ったら願いをひとつ叶えてくれで御座るwwwwwwww」
「いいわよ、ただし、『勝てたら』の話だけど」

鈴がフフンと鼻で笑う。

「大丈夫ですわ。
私が教えたのですから、鈴さんは足元にすら及びませんわ」

相変わらずのセシリア。

「願い事、とはなんだ?」

箒が俺を見る。

「ギャルのパンティーおーくれwwwwwwww」

言った瞬間三方向からの攻撃。
しかも、全員がisを着用している。

「当たらんで御座るwwwwwww」

そして、対抗戦が始まった。

「それじゃあ、本気で行くぜ、鈴」
「当たり前よ。
手、抜いたら逆に殺すわよ」

俺の5m前で悠然と立っている二組の代表、凰鈴音が不敵に笑う。
鈴の甲龍は俺と一緒でパワータイプだ。
しかし、俺のとは違い、肩に衝撃砲というのが搭載されているらしい。
ネットの世界は便利だぜ、鈴。
いくら、お前が黙っていても、お前の国はペラペラ喋ってくれてるんだから。
そして、衝撃砲の仕組みも載ってる。
周囲の空間に異常な圧力を加えて砲身を形成。
そして、その余剰圧力で弾を発射するんだ。
敵を知り、己を知れば百戦危うからず。
そして、兵とは詭道なりってね。
最初は騙されておくべきだな。
hpの5分の3までは減らしても良い。
“接戦”をしましたと言う結果さえ残せば、あっちの名誉も守られ、俺も突出して目立つわけじゃない。

「ウラァァァ!!!!」

試合開始の合図と同時に鈴が共産党特有の叫び声を上げながら突進してくる。
手に持っている双天牙月と言う、ぶっちゃけ、青龍刀を二つつなげた大きなトンファーみたいな武器だ。
ちなみに、青龍刀と青龍偃月刀は違う武器だぜ。
時々、ごっちゃまぜの奴がいるが、青龍偃月刀は関羽の持ってる奴だ。
青龍刀とは、いわゆる柳葉刀と呼ばれる、幅広の刀の事を言うんだぜ。
つまり、マシエットみたいな奴だな。
重さと遠心力でぶった切る用法を取る刀で、要は肉包丁だ。
そして、そんな肉包丁を持った鈴が俺に斬り付けてくる。

「おぉっと!?」

雪片二型を構え、それを受け流す。
刀は攻撃を受けたらダメだ。
攻撃はすべて受け流す。
で、ないと刃が欠けたり、下手をすると折れてしまう。
今回は問答無用で折られそうなので、鈴の格闘技はすべていなして行くことにした。

「私の初撃を避けるとは!
さすがね、一夏!!」
「当たり前だ。
今の攻撃が避けれなくちゃ、箒どころか千冬姉に殺される」
「でもね!!」

鈴が言った瞬間、俺の視界が歪む。
正確に言えば、鈴の両肩が、ぐにゃりと歪むのだ。
異常な圧力を捉え、それを視覚に映すよう設定したおかげである。
そして、『danger』と視界に出る。
知ってる。
肩のスラスターがバカリと開くと、ピカリとフラッシュの様に光った。

「何っ!?!」

そして、衝撃。
もちろん、演技だ。
急所を狙った場所は全て、雪片二型で軌道を逸らし、どうでも良い部分に着弾させる。

「アンタ、運が言いわね」

鈴が少し驚いた顔をするが、未だ不敵な笑みは消えていない。

「ああ、太宰府天満宮でお守り買ったからな!」
「勉学のお守り関係ないでしょうが!!」

鈴がすかさずツッコミを入れる。
いや、関係あるんだぜ、勉学。
喧嘩は頭を使ったもん勝ちだ。
スポーツもそうだぜ、鈴。
勝負事は全て計算されるんだぜ。
運も実力の内ってね。

「でも、私の龍咆はそんなに甘くないわよ!!」

次は、4つだ。
両腕と両肩。
あれは避けねば、限界ダメージを超えてしまう。
一撃が想像以上に強かった。

「やれやれ…」

一撃必殺を無効は撃つ気だ。
ならば、俺もそれに答えようじゃないか、えぇ?
俺の雪片二型には諸刃の剣、大技があるんだよ。
相手のバリアーをぶった切って、攻撃できる、零落白夜がな。

「なんか来る!!」

カリカリにまで上げたセンサーが別の熱源を捉える。
上だ。

「龍h――」

鈴が叫ぶと同時に、アリーナの天井が崩壊した。
そして、崩壊した破片が鈴目掛けて降ってくるが、鈴は突然の出来事に反応できない。
バカ野郎!!

「避けろ馬鹿!!!」

鈴をお姫様だっこして、ひとまず上空に退避。
さっきまで鈴がいた場所に10mほどの骨組み落っこちて、砂を巻き上げた。

「大丈夫か?」
「え、あ、うん…
ありがと……」

鈴がようやく我に返ったように俺を見る。

「な、何が起きたの?」
「知らん。
だが、『何かが』起きてる」

アリーナの天井はisと同じだけのバリアーが張られていると聞く。
そして、それをブチ破ると言う事は、その攻撃は『isを破壊できる』と言う事だ。

「鈴、よく聞け」
「え、ええ」
「相手の攻撃は多分、ビームだ。
そして、そのビームは、非常に強力だ。
多分、俺やお前のisを一撃で破壊する。
つまり、当たれば一発koどころか、ゲーム・オーバーだ」

「そ、ば、嘘!?!」

きっと、そんな、馬鹿な、嘘と言いたかったのだろうが、言えていない。

「俺がお前に嘘ついてどうする」

答えた直後、煙を切るようにビーム。
高感度センサーが事前に知らせてくれたので、鈴を抱えていても難なくよけれる。

「降りるぞ」

そして、濛濛と立ち込める土埃の外に着陸する。
さっきから、センサーが俺にロックされているから回避運動を取れと煩い。
うっせぇ、エスコンやbfやってるからわかるけど、ミサイル発射されるまではチャフはまかねーぞ。
それに、回避運動して、ビームが、観客席に当たったらどうする、馬鹿。

「取り敢えず、ピットに戻る事を優先したいが、無効はさせてくれねーみたいだな…」

濛濛と立ち込める土埃の中からなにか黒いのがゆっくりと出てきた。

「なっ!?!」
「ワォ」

それは真っ黒い、いや、黒に近い灰色のisだった。
しかも、フルスキンだ。
腕は非常に長く、足元まで伸びていやがる。

「不気味なヤツめ…」
「アンタ誰よ!!」

鈴が怒鳴るが、もちろん答えない。

「あいつはisじゃねーな」
「わかってるわよ!!」

isならわざわざ“完全装甲”にする必要はない。
何故なら、isの操縦者はis自身に守られているからだ。
しかし、あれがフルスキンと言う事は、あれがisじゃないか、それとも、『絶対に顔が見られたくないから』のどちらかだろう。
もちろん、コアが限定され、全ての居所が分かっている以上、isである確率が限りなく低い。
つまり、あれはisではないと言う事になる。

『織斑くん!
凰さん!!
今から、教員でその侵入者を制圧します!!』

山田先生の焦ったような声が耳に届く。
プライベートチャンネルだ。

「なら、先生たちが来るまで俺たちが抑えてますから。
さっさと来て下さい。
千冬姉、急いでくれよ。
じゃないと、他人に知られたくない秘密ばらすからな」

そばにいるだろう、千冬姉にも言う。

『喋ったら殺す』
「なら仕事しろ教師」

そう言って、無線を切る。

「で、具体的にはどうするのよ」

鈴が黒いのと退治しながら俺に聞く。

「どうするもこうするも、先手必勝だろ。
取り敢えず、あいつに制圧射撃。
俺が接近してぶった斬る。
単純明快だろ?」
「そうね」

鈴が頷くと腕を前につきだし、肩のスラスターを開く。

「間隔2秒。
4連射。
当たらんでもいい」
「分かったわ。
3,2,1!」

鈴がカウント0で衝撃砲を撃ち始める。
俺もそれと同時に前に飛ぶ。
黒いのは突然ヒュンヒュンと回り始めた。
回転して攻撃するようだ。
アホか、あいつ?

「攻撃が弾かれるわ!!」
「知ってる」

「なら何とかしなさいよ!!!」
「足元狙え、そう叫ぶなよ、相棒」

鈴がハッと我に返り、軸足を狙い始めた。
もちろん、無効はそれに気が付き、飛び上がる。
逃げるのだ。

「逃げるわよ!!」

黒いのは濛濛と立ち込める煙の中に姿を消す。
もちろん、そんな所に入っても、isのセンサーの前には無意味だ。

「逃げるんじゃないわよ!!!」

鈴は衝撃砲を乱射しまくる。
向こうもビームを撃ってくるが、俺がそれを弾いたり、切り落としたりして、鈴への攻撃は防がれた。
当たらなければ、どうという事はないってね。

「どうやら、アイツは俺と鈴を各個撃破したいようだな」

さっきから、俺と鈴を離すかのように動く。
鈴は挑発に乗りやすいが、俺がそれを止めているので、今のところ、大丈夫だ。

「そうなの?」
「そうなの。
取り敢えず、なんで、増援がこないのか、判明した。
観客席を見ろ」

鈴が俺の指を辿って、観客席を見た。
観客席には人はいないが、奥の出入り口には生徒たちが大量に留まり、扉を必死に叩いている。

「何やってるのよ!?!」
「開かないんだよ。
あの黒いのがシステムにハッキングしてロックしやがったんだ」
「ますますフザけた野郎ね!!!!」

鈴が飛んでくるビームを双天牙月で叩き落としながら言う。

さて、それはそうと、どうするか……
こうなると、敵と消耗戦になる。
数的にはこっちが上だが、スタミナ的にはあっちが上だ。
力量差も、あっちが上だろう。
だが、特徴は掴んだ。
アイツは教科書大好きなようだ。
そして、俺達から何か情報を収集しようとしている。
会話の最中、ほとんど攻撃してこない。

「鈴」
「なに!?」
「ちょっとおしゃべりだ」
「はあぁぁ!?!?!
何暢気な事言ってるのよ!!!」
「余裕を持って対処するためだよ。
良いか鈴」
「なによ!!」
「アイツは、機械だ」

言った瞬間、鈴がぽかーんと俺を見た。
アホみたいな顔だな。

「アンタ、今更何言ってんのよ!?
そんなもの当たり前でしょう!!
isは機械よ!!」

鈴が馬鹿なこと言うと殴るわよという感じで双天牙月を構える。

「ちげー、そう言う意味じゃない。
あれは、『中身も機械』って事だよ。
良いか、鈴。
あいつの動きを見てみろ。
学習装置をつけてねーのか知らねーが、全て単純だ」

鈴が牽制射をすると、煙の中に隠れる。
先程からずっとこれの繰り返しだ。

「!?!
確かに、そうね!!」

「で、だな。
作戦はこうだ。
俺がアイツに斬りかかる」
「ええ」
「お前が、俺の背後から衝撃砲を撃つ」
「アンタの!?!」
「exactly!
俺はサイド、イグニッション・ブーストでアイツに急接近してぶった斬ってやる」
「!?!
なるほど、でも、一回しか通用しないわよ?」
「だから、だよ。
そろそろ頃合だ。
hp“も”無いしな」
「分かったわ。
じゃあ、合図してよね」
「おう。
火力全開で頼むぜ」

鈴に拳を突き出す。

「任せなさい!」

鈴が拳を合わせた。
よし、行くか。

結果から言えば、あの黒いのは倒されたらしい。
なんで、『らしい』なのかって言うと、俺の目論見は半分成功し、半分失敗したからだ。
背中に最大限の衝撃砲を受け、それをブーストのエネルギーにしたのは良いが、衝撃砲の威力が高すぎて、残った衝撃が俺のhpを奪ったそうだ。
まぁ、目的である、零落白夜をあの黒いのに叩き込んでやったから問題ないけど。
しかし、全身が痛い。

「全くお前と言う馬鹿者は」

そして、その事を教えてくれた千冬姉が夕日を背景に仁王立ち。
気のせいか、顔はほんのりと笑っていた。
多分、無事でいてくれて良かったという気持ちと、強くなったなという顔だろう。

「でも、あいつ倒すにゃセシリアが必要だったんだけど、セシリアがいなかったし、ああするかなかったんだよ」

そう、アイツはセシリアがいれば更に簡単に倒せた。

「それでは、私は仕事があるから行くぞ」
「ああ、ありがと。
それと、心配をかけて悪かったよ、千冬姉」
「ふん」

千冬姉は馬鹿者と言い、出て行った。
ちなみに、場所は保健室。

そして、入れ違いになるように箒が入ってくる。

「大丈夫なのか!!」
「ああ、大丈夫だぜ。
しっかし、俺はトコトン馬鹿な男だな」
「当たり前だ!!
あんな無謀な事を!!!」
「ちげーよ。
そっちじゃねーよ。
俺の当初の目標を言ってみろ」
「植物のように平穏な生活」
「だろ!?
どう考えても、今回は先生に任せるべきだったんだよ!!
クソ、あの黒いのめ……
作った奴と会ったらゼッテーぶっ飛ばしてやる!」
「……心配した私が馬鹿みたいだ」

箒はそう言うと大きなため息を吐いた。
それからクスリと笑う。

「まぁ、その、か、かかかか、カッコよかった…ぞ……」

最後の方が全く聞こえんぞ、コラ

箒はそれだけ言うと、バタバタと逃げるようにして出て行った。
やれやれ。
少し寝るか。
――――
―――
――


「……」
「!?!?!?!?」

目を開けると、目の前3cm程に鈴が居た。
こいつ、ぜってー俺が寝ている間にキスしようとしたな。

「なにやってんだお前?」
「ちゃ、ちゃんと生きしてたのか確認したのよ!!!」

なんだよその、言い訳…
まぁ、イイけどさ。

「ちゃんと息してたろ?」
「そ、そうみたいね!!」

鈴は顔を赤くしたまま、脇の椅子に座る。
てか、今何時だ?
1日ぐらいたったのか?

「その、さ…」

鈴が、もじもじと足元を見つめながら切り出す。

「ん?」
「その、ごめん…私のせいで……」
「はぁ?
お前バカか?」
「なっ!?!
なによ人がせっかく謝ってるのに!!!」

鈴が顔を真っ赤にして俺をポカポカ殴りつけてくる。

「わ、悪い悪い。
でも、俺は、お前のせいだなんて思っちゃいねーよ。
逆に、お前のおかげで勝てたんだ。
ありがと、鈴」

鈴の頭をポンポンと撫でてやる。

「ば、馬鹿!!
恥ずかしいわよ!!!」

しかし、鈴は逃げようとしない。
やれやれ。
まぁ、今回は、こいつのおかげってのはその通りだし。
今日までは平穏な生活から遠ざかるか。
こうして、また、無駄なフラグを建設していく俺だった。

第1巻分 完

取り敢えず、この>>1は剣道やってました
鈴が不憫すぎて泣いた
次はみんな大好きシャルラウラが出てくる
以上

6月某日、俺は五反田弾の家に居た。

「それで、is学園はどうよ?」
「最高だな。
ハーレム学園だ。
副担がまいっちんぐマチコ先生並みのボインだ」
「画像くれ」
「千冬姉に殺されるぞ」
「それはそれで本望だ」

俺と弾は中学時代の親友だ。

「あ、あと、鈴が居た」
「鈴!?
マジかよ!!
胸は!!」
「相変わらずだ」
「そいつは、残念だ。
彼女は作ったか?」
「俺ののぞみを言ってみろ」
「『植物のように平穏な生活』だもんな~
マジ裏山だわ、死ね。
氏ねじゃなくて、死ね」

現在、二人してゾンビモードをプレイ中。
襲い来るゾンビ共をちぎっては投げちぎっては投げの大活躍。
場所はドイツの研究所だ。
fgとstgマジ最強だわ。

「何が裏山だ。
お前が死ね。
あの空間に立ってみろ。
お前が女に望んでいる事裏切られまくるぞ」
「それでも裏山だ。
死ね」
「テメーが死ね」
「あ、死んだ」

弾が拳銃を片手に這いつくばっている。

「無理。
トレイン中に死んだてめーが悪い。
しかも、お前がクラウス持ってんだらな」
「助けろォォォ!!!!
俺のポーターがぁぁあ!!!!
俺のサンダーガンがぁぁあぁ!!!!!!」

それからすぐに俺も死に、呼びに来た弾の妹、蘭と久しぶりの再会を果たした。

「お前の妹とくっつくの有りだよな」
「それだけは絶対に許さん。
お前にお兄さんと呼ばれることがあってたまるか」
「いいじゃねーかよ、お兄さん」
「呼ぶんじゃねぇぇぇ!!!!!!
だいたい、お前は漫画の主人公見てーな人生送ってながらなんで鈍感じゃねーんだよ!!!」

弾がムガァァと俺に殴りかかる。

「知るか!
そして、寄るなホモ野郎!!」

どったんばったんと取っ組み合いの格闘をしていると、蘭も乱入し、弾が圧倒的不利のもと終了した。
貴様に味方は居ないのだよ、弾。
哀れな奴め……

その後、一階に降りる。
一階はご存知、五反田食堂。
そして、先に出て行った蘭が待っていた。
服装は外出をするかの如く、一張羅だ。
いや、あれが一張羅かは知らんが。
取り敢えず、ここはボケておいた方が良いのかと考え、やめた。
その代わり、予備フラグを立てておくことに。

「おお、可愛いぞ、蘭」
「そ、そっそそそそうですか!?!?!」

脇で敗者が俺を睨んでいたが気にしない。
そして、俺達は実に有意義な昼食を過ごすこととなった。
ちなみに、蘭がis学園を受験すると言いだし、しかもランクが俺より上のaだった時は、先ほど立てたフラグを思いっきりへし折ってやりた気分になった。

その後、午後は弾とともにゲーセンで遊んだ。
夕飯時ちょっと前に帰ってくる。

「うむ、あいも変わらず女子ばかり。
取り敢えず、夕飯時まで部屋にいるか」

部屋に入ると、誰もいなかった。

「そう言えば、もう、箒は居なかったんだな…」

別に死んだわけじゃねーぞ?
引っ越したんだ。
なんでも、部屋の都合がついたらしい。
で、ちょっと前に、山田先生が渋る箒を連れて行ってしまった。
やる時はやる山田麻耶だった。

「一夏~居る~」

扉がノックされる。
この声は鈴だな。

「いるぞ~
開いてるから入れよ」
「お邪魔しまーす」

鈴がそう言うと入ってくる。

「どうした?」
「いや、もうそろそろ夕飯だから一緒に食べようと思ってさ、誘いに来た」
「もうそんな時間か?」

確かに、気がついたら、もうそろそろ食堂が夕飯を並べ出す時間だった。
時間は経つのが速いな。

「じゃ、行くか」

廊下に出ると、各部屋の扉がチラホラと開く。
皆、食堂に向かうのか。
まぁ、それは結構なのだが、全員の格好が非常にラフなのだ。
まるで俺に見せびらかすかのように。
なので、俺はあえて、こう言う。

「目の保養で御座るwwwwwwwwwポコォwwwwwww」

「あ、ちょっと!?
何見てるのよアンタ!!!
目、閉じなさいよ!!」

隣を歩く鈴が慌てて俺の目を隠そうとする。

「嫌で御座るwwwwwww
今後のオカズゲットで御座るwwwwwデュフwwwwデュフフwwwwww」
「こら!!
本当にやめなさい!!」

鈴がポカポカと俺を殴る。

「あ~おりむーだ~」

そこに拍子抜けする様な声がかかる。
見ると、ダボダボのパジャマ姿ののほほんさん。
正式名称、布仏本音。
俺と同じクラスの女子だ。

「こwwwwれwwwwwはwwwwwwこwwwwwwれwwwwwwwwはwwwwwwww
のほほん女史wwwwwwww
相変わらずで御座るなwwwwwwwwポコォwwwwwww」
「ん~そーだよ~
でも、おりむー相変わらずだよ~
そっちはリンリンだね~
おひさ~」

のほほんさんが鈴を見つけ、ダブダブで、余った袖を旗のように振る。

「り、リンリンって呼ぶな!!」

鈴がガビーンとショックを受けたように言う。
そう、昔、鈴が『リンリンってパンダみたいな名前だな』っていじめられ、俺が弾と共に大立ち回りをしたのが。
あと、『~~アル』って言うのも禁句だ。
中国人はそんなこと言わないわ、アホ!との事。

「おりむーも私とかなりんと一緒に夕飯食べよーよ~」

そして、のほほんさんは俺に寄ってくると抱きつき言う。

この抱きつくまでの流れが某千葉県のネズミーランドに住む住民達もびっくりな自然な流れで抱きついてくる。
なんと言うか、抱き着かれるのが当たり前、みたいな感じだ。

「某は構わんで御座るwwwwwうぇwwwうぇwwwwww」

そして、身長差20センチ近いのほほんさんを持ち上げてくるくると回る。

「しwwwwwwwかwwwwwwwしwwwww
かなりんが不在で御座るwwwwwww
どこに行ったで御座るかwwwwwww」
「あれ~
本当だ~」

のほほんさんがキョロキョロと周囲を見回す。

「あんたの連れなら、先に走っていったわよ」
「あ~ん。
まって~」

そして、鈴が指さした先をのほほんさんがトテトテと走っていった。
3歳児が走る感じだ。

「和むわ~」
「アンタね……
ところでアンタさ」
「何で御座るwwww」
「モテるの?」
「モテモテで御座るwwwwww
それはもうwwwww
取っ替え引っ変えwwwwwwww」
「げ、下品よ!!!」

鈴は顔を真っ赤にすると、俺に一発良いのを入れて先に行ってしまった。
取っ替え引っ変え、hddに居ますよ、二次元の嫁が、うん。
そして、やろうと思えば全員陥落するでしょう、うん。
現に、三人、いや4人か?
確定してるからな、うん。

翌日。
教室では、女子たちがカタログを広げて何かを見ていた。
その何かとはぶっちゃけ、isスーツなんだけどさ。

「一般的に小口径の拳銃弾ぐらいなら受け止めれますよ」

よく見れば、山田先生が紛れ込んでいた。
すげー、気付かなかった…

「小口径の拳銃弾ってwwwww
22口径ぐらいですかwwwwww」
「え?
えぇっと、詳しくは、スーツごとに違いますけど…
まぁ、大体は、その程度ですね」

山田先生がびくんと震えて俺を見た。

「22口径wwwww
そんな物wwwww
そんな物食らっても逆に重傷にならないで御座るwwwwwww」

「正直、is乗りを殺そうと思うなら、遠距離から狙撃するか、爆弾で殺す方が手っ取り早いで御座るwwwwww
わざわざ近づいて銃で撃つ人なんか居ないで御座るwwwwww
故にwwwww
故にwwwww
スーツはそんな物よりもwwwww
こっちをおすすめするで御座るwwwwww」

指差したのは、かなり露出しているスーツ。
ビキニスーツの一歩手前だ。

「織斑くん!?」
「山田教諭wwwwww
山田教諭も如何で御座ろうwwwwww
きっとけしからん事になるで御座るwwwwwwデュフwwwデュフフwwwwww」

きっと、たゆんたゆんになるだろうね。
胸とかおっぱいとか乳房とか。
激しい運動をするとポロリもあるよ!!

「お前は何をしているか」

背後から殺気を感じ、真剣白刃取り。
見事…

「甘い」

しかし、よく見れば、左手にも何かあった。

「当たらなければどう言う事はないwwwwwwwww」

バックステップでそれを避ける。

「腕を上げたなwwwwww
ガンダム!!!」
「誰がガンダムか!
さっさと座れ馬鹿者!!!!」

千冬姉は一喝すると全員が席に戻る。
山田先生も前に飛んで行く。
おぉ、怖い怖い。

そして、山田先生が教壇に立ち、本日の予定や連絡事項を告げるのだが、そこで驚くべき発言をした。

「今日はなんと、転校生が来ます!
2人も!!」

全員が驚いた顔をし、えぇぇえぇえぇと言う。
まぁ、そうだろうな。
ちょっと前に2組に転校生。
今度は1組に転校生。
しかも、この時期だ。
ぜってー問題事を抱え込んでいる決まってる。
東京を爆撃しようとしたドゥーリットル爆撃隊の様に爆弾を腹にたんまりと抱え込んでるに決まってる。
俺は、ぜってー驚かねーぞ。
そして、ノータッチだ。
たとえ、転校生ですと言って、100歳超えるおばあちゃんが来ようが、t-800やt-1000みたいな奴が来ようが。
ぜってー、俺は関わらねー
そいつ等に関わったが最後、俺の『植物のように平穏な生活』はウサイン・ボルトもびっくりな速さで俺から遠ざかって行く。

結果から言おう。
転校生の二人は外人だ。
一人はフランス人。
一人はドイツ人。
フランス人は男だった。
そして、ドイツ人だが…
コイツは非常に厄介だ。
なにせ、俺にビンタしてこようとしたんだからな。
名前をラウラ・ボーデヴィッヒと言う。

「手を離せ」
「ふざけるな。
お前等ドイツ人は理由もなく他人をぶん殴るのか?
えぇ?
ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐」

たしか、シュヴァルツェ・ハーゼの隊長だったはずだ。
そして、シュヴァルツェ・ハーゼは千冬姉が教官をしていた部隊である。

シュヴァルツェ・ハーゼって言いにくいから黒兎でいいや。

「離せと言っているんだ!!」

少佐殿が手を引っ張るが、男の俺の握力に敵う訳が無い。
そして、向こうもそれが分かったのか左手を問答無用で放ってくる。
もちろん、こっちもそんな事は承知済みだ。
握っている左手をそのまま俺の右頬を庇う様にして避ける。
思わぬ行動に、少佐殿は目を丸くした。

「お前は俺の信条を邪魔する敵だな?
お前が何を考え、どうしようと勝手だ。
だが、そこに俺を巻き込むな。
俺は警告したぞ。
次は、無い。
良いな、ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐」

左手を離す。

「ッチ!」

少佐殿は舌打ちを一つすると、手首を確かめながら空いている席に勝手に行ってしまった。

「超wwwww怖wwwwwwいwwwwwwww
少佐!wwwwww
少佐殿!!!wwwwwww
代行!wwwww
少佐!wwww
大隊指揮官殿wwwwwww
少佐!!wwwwwwww
代行!!!!wwwww
第二次ゼーレヴェ作戦は何時決行で御座るかwwwwwwwポコォwwwwww」

少佐殿にこれでもかと嫌味のつもりでナチス式敬礼をしてやった。
こういう事するから、問題を抱え込むんだよ、俺。
学習しろ、アホ。
でも、やらずには居られないんだよなぁ~
オタクのサガと、あのクソムカつくちび眼帯のせいだ。
断じて俺のせいじゃない。
そう、悪いのは全て周りなんだ。
うん、なんかの漫画で小物がそう言っていた。

そして、千冬姉が視線でそれこそロンドンを落とせるんじゃないかというぐらいに睨まれつつhrは終了した。
1時間目は2組とisの模擬戦をするとか。
故に、俺はフランス人のシャルル・デュノアを更衣室に連れて行くことになった。

「デュノア氏wwwwww
これから大変で御座るよwwwww
お触りの覚悟はよろしいかwwwww」
「は?え?」
「吶喊wwwwwww」

デュノアの腕を引き、廊下に出る。
すると、噂を聞きつけたほかのクラスの女子が出迎えた。

「スーwwwwwwパーwwwwwwwwお触りwwwwwwwwwタイムwwwwwwww
説明しようwwwwww
この時間はwwwwwww
合法的にwwwwwww
女子の胸を触ったりwwwwwww
尻をもんだりwwwwww
抱きついたりwwwwwwww
しても問題ないwwwwwwwwwww
つwwwwwまwwwwwwwりwwwwwwwww
周囲が女だらけの満員電車と同じで御座るwwwwwwwwwwww」

その後、午後の授業が始まるでみっちりと二人の為に、対山田先生用戦術を練った。
そして、午後の授業も終わり、俺の部屋。
部屋にはデュノアと俺。
それに箒、セシリア、鈴の三人も居た。

「うはwwwwktkrwwwwwww」

俺は部屋に届いた箱の梱包を丁寧かつ慎重に開いていく。

「なんですの?」
「どうせ、ゲームだろう」
「え、えっちなのはダメだからね!!」

3人がデュノアを見張りつつも、興味津々という顔で、俺の箱を覗く。

「違うで御座るwwwwww
今wwwwww回wwwwwww届いたのはwwwwwwwww」

ドルルルルルと口でドラムロールをして箱の中に入っている箱を取り出す。

「デデーンwwwwww
東京マルイ製wwwwwww
ナイトウォーリアたんで御座るwwwwwwwデュフwwデュフフwwwwww」
「なんですのそれ?」

セシリアが怪訝そうな顔をして俺を見る。

「東京マルイが作ったwwwwwww
meuピストルの派生型で御座候wwwwwww
その中でも、夜間戦闘をモデルとし、ネイビー寄りのmeuwwwww
グリップはガナーグリップで滑り止め抜群wwwwwww
サイトもノバック社製のサイトを装備wwwwww
トリガーは3ホールのアルミ製wwwwww
実にwwwww
可愛いで御座るwwwww
美しいで御座るwwwww
綺麗で御座るwwwww」

4人にほれほれと見せるが、反応はイマイチだ。

「ただの玩具じゃないのよ。
バカバカしい」
「よくできた玩具ですわね」
「くだらん」

3人がバッサリと切り捨てやがった。

「某、怒ったで御座る~
チョー怒ったで御座る~
今日は返さないで御座る~
4人には一晩中ガバメント系の素晴らしさをお説教するで御座る~
故に、覚悟するで御座る~
取り敢えず、ガバメント系が出来た経緯を話すで御座る~
そこに正座するがよろし。
拒否権はないで御座るよ、デュフ、デュフフ」

4人をベッドの前に正座させる。
デュノア以外の3人はバッと正座し、デュノアは取り敢えず、という感じで正座した。

それから数日間実に平和に過ごした。
実に平和だ。
そして、土曜日。
ゆとり教育が終了し、土曜日の授業が復活した。
まぁ、半ドン、つまりは午前だけなので良いのだが。
余談ながら、ゆとり教育が終了し、詰め込み教育に戻って来たが、この周期は基本的に学習指導要領が改訂される大体10年ごとに方針転換される。
つまり、また10年経てば、振り子の様に、ゆとり教育に向かうと思っている。
まぁ、そんな事はどうでも良いのだ。

「ではwwwwwww
デュノア氏wwwwwwww」
「あ、うん。
僕から一夏に言える事はもう無いよ、本当に」

デュノアが苦笑し、答えた。

「それよりも、凰さんやオルコットさんの方が問題かな~
二人共、自分の機体の長所が全然生かせてないよ?」

「あ、貴男方がそれをさせないように動いているんじゃないですの!!」

セシリアが何を言うと顔で言う。

「そうで御座るなwwwwwww
やはりwwwwww
某の作戦は完璧で御座るwwwwwwwポコォwwwwwww
箒殿とデュノア殿が組んでも勝てるで御座るwwwwwデュフwwwデュフフwwwwwww
それよりwwwww
某wwwwww
デュノア氏の様に銃が欲しいで御座るwwwwww」
「え、じゃあ、撃ってみる?」

デュノアがどうぞと俺にライフルを差し出す。

「うはwwwwww撃てるのかよwwwwwww」
「ああ、えっとね、僕の方で一夏に使用権限を一時的に与えてるからね」
「よし、デュノア。
それ、俺に毎回やれ。
ガチでやれ。
俺も射撃武器欲しい」

そんな裏技があったとは…
俺もまだまだ勉強不足だな…

「おい、素が出てるぞ」

箒が呆れた顔で俺を見る。
おお、あぶねぇあぶねぇ…

「では早速wwwwww」

銃を構え、撃とうとした時、周囲がざわつき始める。

「何ぞwwwww」

見回すと、少佐殿が居た。
見たこともないisを纏って。

「あれはドイツの第三世代isで御座るな…」
「まさか!
まだ、トライアル中だという話ですわよ!!」

セシリアが驚いた顔で言う。
まぁ、どうでも良いけど、面倒事には巻き込まれたくないね。
もっと、端っこに行こう、うん。

「おい」

少佐殿からオープンチャンネル。
おっと、手が滑ってチャンネルを切っちまったぜ…
時々あるよな、電話してて、間違って変なボタン押して通話切れたりすること。
そんな感じ?

「取り敢えずwwwwww
某これを撃つで御座るwwwwww
故にwwwwww
故にwwwwww
もっと端っこに行くで御座るwwwwwwwww
行くで御座るよwwwww
眼帯クソちびに因縁つけられる前にwwwwwwww」

全員の肩を押して、ずいずい行く。
もう、ズイズイずっころばしごま塩ずいレベルだ。

「貴様!!
私を無視するというか!!」

「そう言ってるで御座ろうが、少佐殿。
なんなら、ホルスト・ヴェッセルでも歌うか?
die fahne hoch!
die reihen dicht geschlossen!
s.a. marschiert
mit mutig-festem schritt」
「い、一夏!!」
「一夏さん!!」

セシリアとデュノアが慌てて俺の口を塞ぐ。

「貴様…
今一度、貴様という男と一戦交えねばならぬようだな……」
「kam'raden die rotfront
und reaktion erschossen
marschier'n im geist
in unsern reihen mit 」

すると、ジャキンと少佐殿の肩に担いだ大砲が伸び、弾が発射される。

「んのバカっ!!!」

咄嗟に俺と少佐殿の射線軸上に居たシャルロットを突き飛ばし、代わりに、弾丸を切り落とす。
やってみるもんだな、出来たぞ、コラ。

「オーライ、普段なら売られた喧嘩は買わない主義だが。
人の命に関わる自体なら、話は別だ。
テメーは俺を怒らせた。
デュノア、ライフル借りるぞ」

左手に雪片二型を取り出し、右手にライフルを持つ。

『そこの生徒n「黙れ」

スピーカーに一発弾丸をぶち込み、少佐殿に向かう。

「オラ、ボッシュ。
とっと来いよ。
テメーの脳味噌はフリッツみてーにツルツルじゃねーんだろ?
勝算あっての行動だろう?
ちょび髭伍長みてーに扉蹴破れば家全体が崩れるとか思ってねーよな?」

「その口二度と聞けないようしてやる!!!」

少佐殿が再び、肩の砲の照準を合わせる。

「死ねぇ!!」

瞬間、右に一跳躍。

「なッ!?!」
「ss marschiert in feindesland
und singt ein teufelslied
ein schütze steht am oderstrand
und leise summt er mit
wir pfeifen auf unten und oben
und uns kann die ganze welt
verfluchen oder auch loben,
grad wie es ihr wohl gefällt」

親衛隊は敵地を進むを歌ってやる。
少佐殿は益々顔を真っ赤にし、右肩にも大砲を展開した。

両肩に大砲で、その場に固定砲座。
左右正面に大型のシールドだ。
砲戦タイプだな、ありゃ。

「ヘッ、ガンタンクってか?
なら、俺はグフカスだな」

赤い信号弾を打ち上げられないのが残念だ。
震える山は感動したね。
正直、ノリスとグフカスのコンビがガンダムシリーズで最高に好きだ。
次に、ランバ・ラルと白兵戦だな。
ジ・オリジンのラルが大好きだ。

「怯えろっ!!!
竦めっ!!!!
isの性能差を生かせぬまま死んでゆけっ!!!!!」

地面を走破する。

少佐殿がニヤリと笑っている。
そして、右手が微かに動く。

「今っ!!!」

地面をドンと飛び、砲弾を避ける。

「すばしっこい奴が!!
サルめ!!!」
「そのサルに倒されるお前はジャガイモか!」

地面にライフル弾を叩き込む。

「煙幕のつもりか?
そんなもの高感度センサーで…」
「一つ!!!」

一気に左側面のシールドに近づき、零落白夜で切り落とす。

「なっ!?!」

瞬時加速ってのは便利だなぁ、えぇ?

「クソっ!!!!」

少佐殿は咄嗟に左手を俺に向ける。
コイツは、危ないな……
ライフルを構えバースト。

「えぇいっ!!」

少佐殿は咄嗟に手を引っ込めて顔を隠す。
人間の反射だな。
愚か者め。
俺はそのまま少佐殿の後方に逃げるように走り抜ける。

「後ろに回って勝ったつもりか!!」

今度は肩から何か射出した。
ミサイル?

「否っ!!」

ワイヤーが付いた何かだ。
有線式ミサイルっぽいが、微妙に違うな。
俺を掴みに来る気だ…

テメーはジオングか?
足あるけど。
なら、パーフェクトジオングだな。

「足なんて飾りですよ。
偉い人にはそれが分からんのです」

大きく弧を書くように移動していたが、一気に、足を蹴り、少佐殿の右側面にイグニッション・ブースト。

「チィィッ!!!!」

これで左右の装甲板は消えた。

「ふん、他愛ない」

そこで、動きを止めてライフルをデュノアに投げる。

「弱い者イジメは詰まらん。
千冬姉に1年間指導して貰ってその程度なら、もう、is乗るな。
千冬姉の名前をそれ以上汚すな、フリッツ」

雪片二型を収納し、isを解く。

「帰るで御座るよwwwwwww」

「ま、待て貴様!!!
まだ、話は終わっていないぞ!!!」
「終わったよ。
何もかもが。
お前は、俺には勝てない。
俺は、お前には負けない。
格闘用武器しかない俺が、射撃系武器のあるお前に勝った時点で、お前は俺に勝てない。
何故なら、お前は自分のisの優位点を見い出せていない上に、理解出来ていない。
所詮、お前はその程度なんだよ。
特殊部隊だか何だか知らんが、所詮その程度だ。
分かったか、小娘。
次 俺と俺のダチに手を出したら、殺 す か ら な」

少佐殿に振り返り、睨み付ける。

「い、一夏!
早く行こう!!」
「それと、口調が戻ってるぞ!!」

デュノアと箒が俺を担ぐとそのままピットに逃げるようにして走っていった。
鈴とセシリアはisを纏って飛んでくる教員達を宥めに掛かった。
うむ、後で千冬姉に呼び出されるな、こりゃ。

その夜。
案の定、千冬姉に呼び出された。

「頼むから、問題を起こさないでくれ」
「俺が問題を起こすのではない。
問題が俺の方にやってくるのだ」

殺気を感じ、真剣白刃取り。
黒い悪魔、出席簿が俺の手に収まっている。
千冬姉は何時も持ち歩いているのか、出席簿?

「可愛くないヤツだな、お前は本当に!」
「褒めても何も出ないぞ」
「こんな事なら、自衛隊の知り合いなんぞ紹介するんじゃなかった」
「後悔先に立たずってな」

そう、俺は誘拐されたあと、千冬姉の知り合いだった(どういう知り合いかは不明)の自衛隊の偉い人に頼み、みっちりと訓練をした。
何の訓練かと言うと、簡単に言えば、自分の身を守る方法だ。
俺のせいで、千冬姉が世界大会を2連覇できなかったのだ。
つまり、俺と言う負い目があったから、千冬姉に迷惑をかけてしまった。
だから、俺は千冬姉の負い目にならないように、自己鍛錬を重ねたわけだ。
おかげで、自衛隊の徒手格闘は大体できるんだぜ?
みんなには内緒だけど。
これを知っているのは俺と、千冬姉、そして、弾だけだ。

「まぁ、良い。
なんであんな事したんだ。
お前は『植物人間のように生活したい』が夢じゃなかったのか?」
「いや、なんだよそれ。
なんでベッドの上で意識無いんだよ。
『植物のように平穏な生活をしたい』だよ」
「なんでも良い。
ともかく、それを望むお前らしくないじゃないか、特に最近」

千冬姉がハァと溜息を漏らし、コーヒーカップを二つ、俺と自分の分を置く。

「俺らしくないって言うか、俺はそもそも、この学校にいるべきじゃない。
確かに、千冬姉が何やっているのか分かったのは嬉しいけどさ。
日常生活がずれる。
千冬姉は料理洗濯掃除全てにおいて不可レベルの成績だからさ。
せめて「私の話はいいと言っているだろうが」

千冬姉が飲み掛けていたコーヒーを吹き出す。
汚いな……

「この際言わせて貰うけどな千冬姉。
俺が結婚して家を出ることになったらどうするつもりなんだ?」
「安心しろお前に付いて行く」
「おいこら姉。
貴様姉としての威厳はないのか!!」

なんたる堕落者…

「威厳で飯が食えるか馬鹿者」

え、なんでこんなに偉そうなの?
馬鹿なの?
ねぇ、馬鹿なの?

「取り敢えず、自分で料理ぐらい作れるようになってくれ…」
「作れるぞ」
「熱湯入れて3分待つのは料理じゃないからな」
「なっ!?」

馬鹿言うなという顔で俺を見る。

「まぁ、良い。
これ以上千冬姉に家庭的作業を期待する事は不可能だと判明した」

どれぐらい不可能かって言うと、宇宙服無しで船外活動する並に不可能だ。

「失礼な奴だな」
「そう思うなら野菜炒めぐらい作れるようになってくれ」
「なぜ私がそんな事をしなくては成らない」

ブン殴りてぇぇ……

「まぁ、良い。
お前に構っていると話が進まん。
それで、今日の騒ぎの原因は」
「あの少佐殿のせいだな。
今度会ったら挙手式敬礼してやる」
「やめろバカ」
「そして、ハイル・ヒトラーって言って、ドイツ万歳耳元で歌ってやるつもりだ」
「死ねバカ」

「ダー!!
話が進まん!!
お前は私の質問以外に発言するな、一夏!」
「だが、断る!
この織斑一夏の最も好きな事の一つに『自分より強いと思っている奴にnoと言ってやる事』がある!!」
「お前、その性格さえ直せば、お前の望む生活が出来るだろうよ」

干冬姉が溜息を吐くと背凭れに凭れかかった。

「兎も角、ラウラは弱い。
お前の様に誰もが強いわけじゃないんだ。
そう、イジメてやらんでくれ。
アイツは私の初めての教え子でもあるんだから」
「はぁ~……」

今度はこっちがため息を吐く番だった。

「わかったよ、千冬姉。
でも、きっちり報酬は貰うぞ」
「如何わしい物はダメだぞ」
「ちげーしwwwwww」

翌朝。

「清々しい朝だな!
起きろデュノア」

未だ寝ているデュノアをベッドから放り出す。

「い、痛いよ一夏…」

デュノアが寝ぼけた顔で俺を見る。

「さぁ、ジャージに着替えるで御座るwwwwwww」
「今何時……?」

デュノアがゴソゴソと脇の時計を見る。

「ま、まだ5時じゃないか!?」
「そうで御座る。
さっさと起きてジャージに着替えるで御座る」
「な、なんで!?」
「ランニングで御座る」
「えぇぇ……」

その後、朝の8時まで素晴らしい運動。
もちろん、デュノアも共に。

「さぁwwwww朝食だwwwwww」
「ちょ、ちょっと休ませて……」
「ダメなのですwwwwwww
朝食が済んだらwwwwwwww
今度はisの練習で御座るwwwwwww」
「……」

デュノアの口からなんか白い変なのが出てる。
気のせいだな。

「朝食はたっぷり食べるで御座るwwwwwww
ご飯は丼に山盛りwwwwwwwwうぇwwうぇwwwwwww」
「そ、そんなに食べれないよ、僕!?!?!」
「デュノア氏、世の中にはたった一つのパンすら食べれずに死んでいく子供もいるんで御座る。
氏は、腹が減ればいつでも食べ物を食べたい時に食べれる……
そんな幸福を、自ら放棄すると言うので御座るか?」
「何いいこと言ってる風にまとめてるの!?!」

デュノアが俺を見てショックを受けた顔をする。

「いや、実際いいこと言ってるで御座るからwwwwww
さぁ食えwwwwwwww
食って食って喰い尽くせで御座るwwwwwwwwポコォwwwwwww」
「さっさ退け、邪魔だ」

背後で少佐殿が何か言っているが気にしたら負けだと思う。

「デュノア氏wwwwww
魚を食べるで御座るwwwwwww
この時期は鱸が旨いで御座るwwwwwwwww
味噌汁も飲むで御座るよwwwwwwww」
「退けと言っているだろうが!」
「うっせーよ、無能。
ザワークラウトと蒸し芋でも食ってろボッシュが」

少佐殿の皿にマッシュドポテトとキャベツの千切りを山盛りに乗せてやる。

「貴様ぁっ!!」

少佐殿がトレーを放り投げ用としたので、それを掴む。
そして、左手で、少佐殿の首を締め上げる。

「おばあちゃんが言っていた…

『食べ物を粗末にする奴は死ね』

と」
「は、離せ……」

かろうじて呼吸ができる程度に締めているがそれでも声を出せるのが軍人といったところか。

「おばあちゃんが言っていた…

『yes.lolita no.touch』」

思いっきり触ってんじゃん、デュノアが呟いたが、気が付かなかった事にしよう。
俺はtwitterはやっていないんだ。

「千冬姉はお前に優しくしろと言っていた。
だから、この程度にしてやる。
だが、俺はお前を許さんぞ。
結局、お前は自分の力じゃ何も出来ないんだ。
人は強くないと誰かが言った。
だが、強くなろうと思うことは出来る。
お前はその方向が違うんだ。
お前はどこに行きたい?
お前は何になりたい?
お前の目標はなんだ?
お前の目的は何だ?
お前にとって自分とは何だ?
俺の質問に答えれるように成った時。
初めてお前は強くなれるんだ。
今のお前はただ吠えているだけの野良犬だ」

手を離し、トレーを差し出す。

「お前が本当に強くなりたいなら、やるべき事はもう見えているはずだ」

「貴様にっ!!!」

少佐殿がトレーを叩き落とし、俺を睨む。

「貴様に私の何が分かると言うっ!!!!
偉そうに説教を垂れて聖人気取りか!
お前の様な「黙れよ」
「っ!」
「もう良い。
お前に期待した俺がバカだった。
今度の個人トーナメント。
俺はお前を徹底的に叩きのめす。
死んだほうがマシと思うレベルに叩き潰す。
お前のその腐ったプライドと思い上がりを叩き潰す。
千冬姉の教えをなんにも引き継いじゃいねぇ。
お前は千冬姉の経歴に傷を付けるクズだ。
デュノア、部屋で食べるぞ」
「う、うん……」

脇で様子見をしていたデュノアを連れて食堂を出た。

>>343 個人トーナメント× 学年別トーナメント○

「い、一夏」
「何で御座るwwwwww」
「あれは、やりすぎじゃないの?」

俺とともにちょっと遅めの昼食をとっているデュノアがおずおずと言う。

「どこが?
本来なら、トレーを叩き落した時点で、ボッコボコにぶん殴って二度と人の前に出れない顔にしてやっていたぞ、何時もの俺なら。
干冬姉がアイツに優しくしてやれって言ったから、俺はあの程度で済ませてやったんだ。
取り敢えず、トーナメントは俺とお前で出るぞ」
「ふぇ!?」
「お前は汎用性が利くから柔軟な戦略が練れる。
取り敢えず、お前の武器を全て教えてくれ。
あと、今日からお前をシャルと呼ぶ。
咄嗟の時にはそっちのほうが呼びやすい」
「う、うん!
わかったよ!!」

それから学年別トーナメントまで俺とシャルは特訓を続けた。
シャルの殆どの武器を俺に使用許可権限を発行して貰い、俺も射撃武器が使える様に成ったので、更に戦略の幅が広がった。
また、途中、セシリアと鈴が少佐に喧嘩を売られ、isが大ダメージを受けたらしい。

「何やって居るんで御座るwwwwwwww」
「う、うるさいわね!!
あのドイツ人が喧嘩を売ってきたのよ!!」

慌てて駆けつけた時には、二人は保健室で寝ていた。

「そ、それに途中で教師達が割って入らなければ、私共が勝っていました!」

そう、俺と少佐が大立ち回りをして以来、アリーナでは生徒同士が許可なく模擬戦を始めるとisを装備した教員がそれを監視、危なそうな場合には止めに入るらしい。
そして、その日の当番は、山田先生と千冬姉。
凄まじかったらしい。
と、言うか、千冬姉の場合、is用の格闘用ブレードを生身でもって割って入ったとか。
isってなんだっけ?

「負け惜しみをwwwwwww」

二人の肩をつつくと二人がピキーンと凍りつく。
3時間ぐらい正座した後、その足を指でちょんとした感じだ。

「あ、あんだねぇぇぇ……」
「覚えていらっしゃいよぉぉぉ……」
「ジッとしてろしwwwwwwwww
二人共ついカッとなってやったんで御座ろうwwwwwwww
その癖直したほうがいいで御座るよwwwwwww
それとwwwwww二人はこれを読んでパートナーの大切さを勉強するがよろしwwwwwww」

二人にエーリヒ・ハルトマンの本を渡す。

「なにこれ?」
「誰ですのこの方?」
「イイから読めしwwwwww
そして、勉強しろしwwwwwww」

二人に見舞いの品を渡し、保健室から出る。
今更ながら、保健室っていうか病院だよなここ。
まぁ、確かに、ここis学園はどこの国の領土でもないから、できる限り、学園内で処置出来る事はやっちまおうって考えなんだろうけどさ。

途中、廊下に対戦者が発表されて居り、俺とシャルは運が良く、第一回戦目に少佐と戦う事になった。
運が悪いのは少佐とコンビを組む事と成った箒だろう。

「箒と少佐か……
シャル氏wwwwww」
「う、うん」
「シャル氏は箒殿を片付けてくれで御座るwwwwww
某は大隊指揮官殿をやるで御座るwwwwww」
「や、やるって…」

『殺る』って文字じゃないだけ感謝して欲しいね。

「箒殿には申し訳ないがwwwwwww
箒殿の搭乗isは打鉄で御座ろうwwwwwww
シャル氏のラファールのカス2に比べりゃ雑魚で御座るwwwwwww」
「か、カスツーって、何か嫌な略称だな…」
「カスターみたいで格好良いで御座るwwwwwwww
第7騎兵隊で御座るwwwwwww」
「そ、それぐらいは知ってるよ。
でも、彼、途中で戦死したよね?」

シャルがオズオズと言う。

「ネタバレ乙wwwwwww
伊達男wwwwwwうはwwwwww
シャル氏wwww伊達男で御座るwwwwwwww
女子をとっかえひっかえwwwwwwwwうぇwwうぇwwwwwwwww」
「そ、そんな事していないじゃないか!?」

シャルが慌てて、俺をポカポカ殴る。
周囲の女子がマァマァマァと近所のおばちゃんというか、家政婦は見た状態になっている。
お前等、他人のスキャンダル話すと打撲とかの報い受けるぞ。
家政婦は見たじゃ、市原悦子は包帯巻いてるからな。

「部屋に戻るで御座るwwwwww
作戦を立てるで御座るよwwwwwwww」
「あ、うん、もう!
ちゃんと誤解だって言っておいてよ!?」
「何wwwをwwww言wwwwwwwwwうwwwwwwwかwwwwwwww
昨晩だってグェ」

脇腹を殴打された。

「暴力反対で御座るwwwwwwwwプギャァwwwwwwww」

そして、大会本番。

「さて、シャル」

隣でisスーツの最終チェックを行っているシャルを見る。

「うん!」
「徹底的に叩きのめすぞ」
「う、うん!」
「よーし!
出陣!!」

そして、ゲートが開き、ピットに選手入場。
その場にいた担当教員からルールの最終チェックを受ける。
isを展開して、フィールド中央に向かう。
周囲からは歓声が上がり、フラッシュが舞う。
直ぐに『写真撮影の際、フラッシュを炊くのはお止め下さい』とアナウンスが入った。

「よぉ、箒。
今日は厄日だな」
「煩い、黙れ」

釣れないなぁ~

まぁ、良い。
問題は、箒じゃない。
その隣の、少佐だ。

「そっちの眼帯の調子はどうよ?
年中生理みたいな顔してるけどよ」
「一夏、下品だよ」

シャルが俺を軽く睨む。

「下品?
シャル。
下品ってのは、相手と自分に“品”って感覚が通用する場合に使うんだぜ?
あの屑にゃ、到底『品』が有るとは思えん。
向こうに品がないのに、なんで俺が品を気にしにゃならんのだ?
えぇ?」

雪片二型を肩に担ぎ、シャルを見る。

「それじゃあ、箒を頼んだぜシャル。
おい、ナチ野郎。
お前の相手は俺だ。
お前を倒すのも俺だ。
are you ok?」
「その言葉、そっくりそのまま貴様に返してやる」

少佐が俺を親の敵のように睨み付けた。

そして、カウントが始まり0になる。
同時に、シャルが俺に、デザート・フォックスなる機関銃を寄越す。
砂漠の狐…
これでドイツ人を撃つ事に成るとはなんたる皮肉。
しかし、これもまた、シュタインズ・ゲートの導きか…

「機関銃を手に入れた程度で貴様の行動は既に把握済みだ!!」

少佐は肩のカノン砲を撃ちながら交代していく。
箒は格闘しかないので、そのまま一番近い俺に突っ込んでくるが、少佐の砲撃に慌てて離脱していく。

「エーリヒ・ハルトマンとはえらい違いだ。
貴様のような屑は生きている価値もない。
軍人の恥だ」

俺に飛んでくる砲弾は全て雪片弐型で叩き落としてやる。
正直、実弾で有難い。
鈴のような目に見えない弾はモニター越しで見ないといけないから反応が少し遅れるのだ。
まぁ、コンマ程度だが。

「箒の相手はシャルだ」

なおも俺に斬りかかってこようとする箒と切り結び、蹴飛ばす。
その場に、砲弾が唸りを上げて着弾する。

「何をする!!」

さすがの箒も少佐を見るが、少佐自身はまるで箒は初めから居ないかのように無視している。
最悪だ、最悪。

「箒、マジで退いてろ。
邪魔だ」
「っつ!?」

箒が慌てて俺から離れ、シャルの方に下がる。

「ゴメンね、篠ノ之さん」
「い、いや、構わない…
今のあいつは、下手をすれば千冬さんを超えるぞ…」

二人が何かを話しているが、今は、目の前の屑を殺すことに専念する。
コイツはもう、ダメだ。

軍人云々、俺に対する固執云々、千冬姉に対する云々。

「もう、お前はダメだ。
人間として終わってる。
千冬姉にゃ悪いが俺はもう、お前を許す事は出来ない」
「フン、誰がお前に許しを請うか」

肩のカノン砲がウザイ。
右手が動いた瞬間を狙って、左手の機関銃を撃つ。
しかも、重機関銃だ。
isの銃器はよくわからん。
61口径とか55口径とか。
パーカッション時代の拳銃やライフルみたいな口径をしていやがる。
実際の銃器は20mm以上を機関砲と言うが。
ちなみに、50口径は12.7mmだ。
で、シャルが撃ってるライフルは55口径、つまり13.97mm。
四捨五入で14mmだ。
規定の20mmや12.7mmじゃダメだったのか?
個人的には20mmや25mm、40mmでもいいと思う。
ちなみに13mmは旧日本軍が規定した2000m以下を飛ぶ航空機及び戦車に損害を与えることができる口径として採用していた。

そして、俺の持っているロンメルは59口径。
14.986mm、つまりは15mmである。
クズの肩についてるのは口径の大きさ不明だが、少なくとも20mm以上はある。
つまり、ロンメルの弾丸はあの中に入るわけだ。

「直線に突っ込んでくるとは…
貴様の戦術は素人だな!」

クズは案の定、砲口を俺に向ける。
実弾系、ビーム系問わず、砲身がある兵器は照準云々の前に、まず、砲口を敵に向けねばならない。
しかも、カノン砲は基本的に間接砲撃用だ。
つまり、直接照準用には出来ていない。
直接照準が“出来る”のと直接照準“専用”とは全く違う。
そして、前者がカノン砲。
後者が俺のロンメルだ。

「照準が甘いぞ!!
クソボッシュが!!!!」

そして、砲が光ると同時に、俺もトリガーを引く。

「なにぃっ!?!」

クズの乗るis、シュバルツア・レーゲンの右肩を含めた外部装甲が吹き飛ぶ。

「砲口に弾丸を叩き込んでやった。
これで、お前は砲撃出来まい、えぇ?」
「このぉおぉおぉぉぉ!!!!!」

ボッシュはドンと前に飛び、一気に加速してくる。
肩から例のワイヤーを射出してきた。

「シャル!」
「お待たせ!」

飛んできたボッシュの背後にシャルが現れる。

「後ろだと!?
あいつは!?」
「負けたに決まってんだろうが、ボケ!」

その場に踏みとどまり、零落白夜を起動。
シュヴァルツェア・レーゲンにはaicと呼ばれる、動きを止める事ができる能力があるらしい。

日本語訳だと慣性停止能力だ。
そして、ボッシュはそれを発動させようとしたのか、俺にそれを向ける。
発動はしない。
何故なら、俺は『動いていない』からだ。
慣性が無い状態で、どうして止めれようか?
咄嗟に回避しようとして減速したのが運の尽き。

「グレースケール!!!」

シャルが、背中に追いつき、パイルバンカーを叩き込む。

「グアァァァァァア!!!!!」

hpは0になり、機能を停止した。

「サンキュ、シャル」
「ううん。
僕の方こそ遅くなってごめん」

シャルが俺の隣にやってくる。

「なに。
箒は俺の一番弟子だ。
逆にあっさり負けてたら、ワンツーマンでの反省会を開いていた所だ」

背後で膝まづいていた箒がビクンと震える。

「さて、箒は後で反省会をするとして、問題はあのクズだな」

同じ様に跪いているボッシュを見る。

「?」

どうにも様子が変だ。
シュヴァルツェア・レーゲンが溶け始めている。

「シャル、箒連れて避難しろ。
恒例の嫌な予感しかしないシリーズ」
「よ、よくわからないけど、わかった!」

シャルが頷き、跪いている箒に肩を貸してピットの方に向かう。
ボッシュはシュヴァルツェア・レーゲンだった物に飲み込まれ、人型の“何か”になっていく。

「ああ、なるほど。
オーライ、クソ野郎。
お前がこの世に生まれてきた事を地獄でも後悔したいらしいな。
良いだろう。
テメーは俺を、 怒 ら せ た 」

雪片弐型を構える。
ボッシュ野郎は、あろうことか、『千冬姉』に成ったのだ。

『千冬姉、俺、千冬姉より強くなる!』

在りし日の俺は千冬姉にそう言った。

『強くなる?
私よりも?』

在りし日の千冬姉は笑った。

『大丈夫だ。
お前は私より強い』
『嘘だ。
俺、千冬姉に一度も剣道でも勝てた事ないぞ!』
『良いか、一夏。
強さとは、剣道で相手に勝つことじゃない』
『?』
『強さとは、自分がどれだけ諦めないで、自分自身で居れるか、だ。
お前は私にボコボコにされても、絶対に諦めないだろう?』
『当たり前だ!』
『じゃあ、お前は私より強い』

在りし日の千冬姉は俺に笑いかけた。

『遅れて悪かったな、一夏』

突如壁破って現れたのは、isを纏った千冬姉だった。

『千冬姉!?!』

俺は思わず泣きそうになった。
俺は、謎の組織に誘拐されたのだ。
暗く、時間もわからない場所に閉じ込められた。
でも、不思議と怖くなかった。
干冬姉が助けに来てくれると信じていたから。
だが、逆にそれが情けなかった。
千冬姉を守ると誓ったのに、また、千冬姉に守られてしまった。
だから、俺は思わず言ってしまった。

『遅すぎて、そろそろ自分で逃げようと思ってた頃だ』

膝は震え、涙をこらえるの精一杯だったから、声は震えていた。
だが、そんな俺を見た千冬姉は一言。

『やっぱり、お前は私より強いよ』

と笑って、泣いていた。

『強さとは何か?』

千冬姉の紹介で最初に出会った自衛隊の教官が俺に聞いた言葉だ。

『千冬姉に勝つ事』

当時、5歳だった俺が真顔で答え、教官が目を丸くしてから、大笑いしたのは今でも覚えている。

『強い事とは、力強い事でも、ましてや、誰かに勝つことじゃない』

教官は俺の頭をぐわしぐわしと撫でながら続けた。

『強さとは、誰かを守ろうという気持ち、諦めない気持ちなんだよ。
お前は、強いか?』
『千冬姉は強いって言っていた。
だけど、俺は強くない。
だから、おじさんに会いに来た』
『ok。
俺はおじさんじゃない。
まだ30代だ。
つまり、まだお兄さんだ』

「俺は強いか?」

目の前の偽物に走る。
手には雪片を握っている。
気に入らねぇなぁ……えぇ?

「いいや、強くない」

偽物は雪片を振り上げて、俺に斬りかかる。
それを寸ででかわし、左手のロンメルを撃つ。
しかし、それは軽々とかわされた。

「だが…」

偽物が上段の構えを取った。
オーライ、所詮はデータ上でのコピーだ。
左手のロンメルを捨て、雪片弐型を構える。
全力全開だ。
零落白夜を展開する。

「昔よりは、強い」

偽物が雪片を振り下ろすのとほぼ同時。
俺の零落白夜が偽物の胴体を真っ二つに切り裂いた。

「なんて、目をして居やがるんだ、全く」

そして、その裂け目から現れたボッシュと目が合った。

「ダンボール箱に入って雨に打たれている子犬かってーの、ジャガイモが」

地面にっ倒れているボーデヴィッヒを担ぎ上げる。

「起きたらぶっ飛ばしてやる」

ようやく駆けつけた教師共にボーデヴィッヒを放り投げ、俺もピットに向かう。
やれやれ、大会は中止かね?
全く。
イベント中止させすぎだろ、最近。

「いっ……」

ラウラ・ボーデヴィッヒが次に目を覚ました時には、見慣れぬ白い天井だった。

「気がついたか、馬鹿者」

不意に脇から声をかけられた。
脇を見るとラウラ自身が敬愛し、自分もなろうとし、なれなかった織斑千冬がいた。

「きょ、教官!?」

不意に起き上がろうとして全身に凄まじい激痛が走った。

「ぐっ…」
「無理をするな。
お前の体は全身打撲の上筋肉疲労。
酷い所だと、筋繊維が切れてるから、当分は凄まじい激痛と一緒に暮らすことになる」

千冬は何をやっているんだという顔でラウラを見る。

「教官、私は一体どうして?」

ラウラの質問に千冬は言い淀む。
だが、はぐらかした所で、結局この嘗ての教え子は納得しないだろう。

「vtシステムを知っているな?」

ここに一夏がいたら『vt信管なら知っているで御座るよwwwwwポコォwwwwww』とか言い出すのだろうと思いつつも、嘗ての教え子は違う。
神妙な顔つきになり、頷いた。
千冬は出来るだけ簡潔にこの事態を説明した。
シュヴァルツェア・レーゲンが千冬の形になったこと、一夏に瞬殺されたこと、今後のラウラ及びシュヴァルツェア・レーゲンを開発したドイツへの対処等を。

「ラウラ・ボーデヴィッヒ」
「は、はい!」

不意に名前を呼ばれ、ラウラは居住まいを正す。

「お前は私に成れないし、お前は強くない」
「……っ、はい」

「一夏がお前に聞いたそうだな。
お前はどこに行きたい?
お前は何になりたい?
お前の目標はなんだ?
お前の目的は何だ?
お前にとって自分とは何だ?
と」

千冬の質問にラウラはそう言えばと思い出した。

「私からも問うぞ。
お前はどこに行きたい?
お前は何になりたい?
お前の目標はなんだ?
お前の目的は何だ?
お前にとって自分とは何だ?
それに全部答えろとは言わん。
だが、どれか一つでも見つけ、それを一つ一つ、ゆっくりでいいから、答えてゆけ」

千冬はそれだけ言うと、忙しい身だと一言言い、去っていった。

「私はどこに行きたいのか…
教官の隣…
いや、あの男の隣だ」

自分を悠々と負かしたあの男、織斑一夏の隣に。
いや、せめて、後ろでも良い。

「私は何になりたいのか…
あの男のように…強くなりたい……」

一夏は言った『軍人の恥』と。
確かに、そうだ。
チームワークがあってこその軍隊。
独り善がりも甚だしい。
なぜ、そこに気付けなかったのか…
周りを見下していたからだ。
自分より、無能と。
だが、無能では無かった。
故に、私は負けたのだ。

「私の目標、目的…
目的は強くなりたい。
目標はあの男と一緒に過ごす。
そうすれば、強くなる。
強くなれる!
私にとって、私とは?
私にとって、ラウラ・ボーデヴィッヒとは……
分からない」

だが、何故か、あの男、織斑一夏なら、それを教えてくれる気がした。
織斑一夏。
教官の弟。
織斑一夏。
私を負かした男。
織斑一夏。
ラウラ・ボーデヴィッヒはその日、生まれて初めての恋をした。

翌日。
今日はシャルが珍しく、遅刻していた。
もう既に、ホームルームが始まっているのに姿を見せない。
そして、教室には千冬姉と山田先生がいる。
ああ、哀れなりシャル。
聖剣シュッセキボーで成敗されるだろう。
あれで切られたものは当分、頭痛で悩まされる事間違いない。

「え~っと……
今日は、その、転校生の紹介というか、その~
もう、既にみんな知っているんですけど、まぁ、その~」
「山田くん。
さっさと紹介しろ」

干冬姉が歯切れの悪い山田先生を急かす。

「は、はい!
では、紹介しますね!」

ガラリと扉が開かれた先にいたのはシャルだった。
だが、足元は、スカートだ。
正直、もう、ね。
何考えてるのレベルのアレだったね。
教室中も同じことを思ったらしく、全員が息を飲んだ。

「シャル氏wwwwwww」
「な、何?」
「スカートとかwwwwwwww
何考えてるで御座るwwwwwwww
ボクっ娘はwwwwwww
ボクっ娘はwwwwwww
ズボン一択で御座るwwwwwwwwwwうぇwwうぇwwwwwwwww」

しかも、サラシを巻いていないらしく、胸は実に豊満だ。
dぐらいはあるだろう。
やったね一夏ちゃん!
キョヌーが増えたよ!!!
ちなみに、貧乳候補は二組の鈴です。

「おい」

不意に、背後から呼ばれ振り返る。

「とう!」

少佐が顔を近づけていたので、一発ぶん殴ってやった。

周囲が騒然とし山田先生が駆け寄ってくるが、干冬姉がそれを止めた。

「織斑一夏」
「何だ」
「お前のかつての質問の答えが出た」
「ほぉ…言ってみろ」
「私はお前を嫁にする」

よし、誰かこいつぶっ殺せ。

「い、一夏さん!!」
「一夏!!」

ほら見ろ、イギリス製縦ロールと日本製サムライガールが立ち上がった。
ついでに、フランス製ボクっ娘も俺に笑顔を貼り付けた顔でこっちを見ている。

「某wwwww
赤痢とwwwwチフスとwwwwwペストが発病したで御座るwwwwwww
故にwwwww故にwwwwwwww
早退しマース」

迷わず、教室から退場。

「何処へ行く!」

背後からボーデヴィッヒがしがみつく。

「離せしwwwww」
「断る。
私はお前と行動を共にすると決めたのだ」
「一夏ァァァ!!!!」

今度は二組が現れた!
おーらい、俺は逃げ切るぜ!
逃げ切って『平穏な生活』を手に入れる!!!

第2巻分 完

取り敢えず、ラウラへの扱いが酷すぎるってあったけど、初対面で殴りかけられた上に、ラウラの行動からすればこのぐらい普通だと思った
後悔はしてない
次は、いよいよ夏休み編だね
以上

夜中の3時。
俺は凄まじい音と共に目を覚ました。
ベッドの脇に置いてある改造ガスガン(中国製)を片手に、素早く部屋を見回す。
下部に付いたフラッシュライトが眩しいぜ。

「何をしている」
「夜這いだ」

そして、部屋の隅で俺と同じように拳銃(多分ドイツ製)とナイフ(s&w製)を持ったラウラが居た。

「取り敢えず、ラウラ」
「何だ」
「お前の格好はなんだ」

素っ裸である。

「正式な夜這いの格好と聞いたが?」

誰だ、ラウラにそんな間違った事教えた馬鹿野郎は。

「今の騒ぎはなんだ!!」

そして、扉が開き、部屋に干冬姉が飛び込んできた。
さすが寮長。

「こんばんわ教官」
「千冬姉も夜這いか?」
「また貴様等か……」

千冬姉がハーっと溜息を吐いた。
おい、“等”ってなんだ、“等”って。
俺は何にも悪くないぞ。
どれだけ悪くないかって言うと、フェルディナント大公夫妻並みに悪くない。

「それで、何故ボーデヴィッヒは素っ裸なんだ」
「夜這いの正式な服装と聞いたので」
「一夏は何故、このアホを部屋に入れた」
「俺は入れてない。
勝手に入って来たんだ。
だから、警報が鳴った」

ちなみに、ブービートラップ張りの簡単警報器だがな。

「分かったからその煩いのを止めろ。
他の生徒が起きてくるだろう、メンドくさい」

おい、こら、寮長。
めんどくさいとか言うな。

「ああ、わかった」

未だビービーなっている警報器(防犯ブザーにスピーカーを足した物)に線を戻す。
これで、このブービーは使えないな。
新しいブービートラップを仕掛けねば。

「取り敢えず、ボーデヴィッヒは部屋に戻れ。
織斑、後で反省文書け」
「だが、断る」
「グラウンド10週するのとどっちが良い?」
「グラウンド10週」

当たり前だろう、そんな事。
ま、50kmあるけど、気にしない。

お前等が干冬干冬って何ってんのかさっぱりわからんかったけど、よくみりゃホントに『干』冬姉になっててワロタ

結局のところ50kmと言うのはフルマラソンよりちょっち長い程度だ。
そして、女子世界最速が2時間18分20秒である。
現時刻が3時なので、2時間30分で走れば、5時30分に終わり、再び、睡眠が出来るわけだ。
よって、目標は2時間半。
遅くとも、4時間で走れば、朝には間に合う。

「しっかり柔軟しておかなきゃな…」

柔軟体操をする。
念入りにしておかねば、アキレス腱を切ったり、肉離れなんてこともある。

「嫁よ、私も手伝うぞ」
「手伝うもなにも、走るだけだ。
お前に50km走れるとは思えん」
「舐めるなよ、軍人を」

ラウラはフンと鼻を鳴らし、洗濯板と変わらん厚さの胸を張った。

「なら、1分で支度しろ。
俺は先に行っているぞ」
「ああ」

グラウンドに辿り着き、何時もの様にイヤホンから音楽を垂れ流す。
取り敢えず、テンションの上がるクラシックの2時間30耐久だ。
これが終わったあと、さらに1時間30分のロック。
視界が悪いな……
isを一部起動し、視界を確保する為に、高感度センサーを展開。
夜でも真昼のように明るく見え、何十キロという先も拡大して見れます。

「待たせたな」

ラウラが来たので、走り始める。
既に3時を15分も過ぎてしまった。
まっくら森のーって、森じゃねーよ。

「む、ハイペースだな…」

ラウラが驚いた顔をしたが、このペースで走らなければ、2時間半を切らない。
大体、80km近い荷物背負って走るわけじゃないんだ、このペースも維持できるだろう。
こう見えても、レンジャー訓練の半分はクリアー出来るんだぞ、俺。
スゲーだろ。

それから大体1時間ほど過ぎた。
ラウラが時々何かを話しかけてくるが、正直相手にするほど、俺も余裕はない。
自分のペースを保って、走るのに精一杯だ。
だが、isというのは便利で、自分の走るスピードを決め、速すぎると、警告を出す。
遅すぎても警告を出す。
素晴らしい。
isは暮らしの便利機能だな。
スマフォ並みに、便利だ。
正直、スマフォイラネ。
あ、ちょっとテンション上がってスピード上がりすぎって怒られた。
束さんも態々兵器としてこれ作らんでも、こう言う暮らしの便利機能だけに特化したのを作れば良いのに。
そう言う所が、『馬鹿』なんだよね。
まぁ、馬鹿と天才は紙一重って言うけどさ。
ぶっちゃけ、バカと天才は同じなんだよ。
バカだけど、一箇所だけ飛び抜けてる。
そして、その飛びぬけてる場所が、天才の領域に入るわけだ。
アインシュタインは2歳だか3歳まで言葉を話せなかっただか、二足歩行できなかったらしい。
昔の人の感覚で言えば、『馬鹿』という事だな。
で、束さんも、今の俺からすれば、やっぱり、『馬鹿』だ。
やってる事は、世界に喧嘩売ってるんだからさ。
おかげで、俺が巻き込まれた。
今度会ったら、ぶん殴ってやろう。
腹立ってきた。

正直な話、妹の箒や、親友の千冬姉までなら巻き込んでも構わない。
何故かって?
深い関わりがあるからだ。
正直な話、俺は、束さんとはあんまり接点はない。
箒や千冬姉と一緒に居た時に少し話した程度だ。
第一印象は『バカっぽい人』だったからな。
案の定、『馬鹿』だったけどさ。
大体、何が世界平和だ、アホらしい。
昔の偉い人は言ったぞ『平和とは次の戦争への準備期間である』って。
しかも、世界で最も普及している拳銃弾にもちゃんと採用されているし。
9mmパラベラム弾だ。
わけのわからん、歌手じゃねーぞ?
で、そこの『パラベラム』ってのがその意味だ。
確か、ラテン語だな。
まぁ、あれだな。
基本的知識だな。
まぁ、『日本の平和』って意味なら、1945年以来、一度も直接的に戦争に参加してないから、平和だな。
実現する意味がない。

もし、仮に、世界平和だとしたら。
実現できないよ、isじゃ。
平和って定義があやふやだけど、中東や第三諸国では未だ、非対称戦争が継続的に行われているし、紛争も続いている。
今じゃ、あそこらへんが世界のホットスポットだ。
日本じゃあんまり放送してないが、アメリカとかじゃバンバン放送してるぞ。
アメリカ軍が金出している放送局は絶対放送するし、cmもアメリカ軍は君を欲しているってやってるし。
isが出来る事は、ちょっとの間、世界を騒がせるだけだ。
そして、半世紀もすれば、isは飽きられて、結局、また、人間同士が戦争し始めるぞ。
使えなきゃ、使わないで戦争すればいいんだもの。
今まである兵器武器で戦争が出来ていたんだ、態々それを使って戦争をしなくてもいい。
現に、中東や第三諸国に流れている兵器武器は現ロシア製、アメリカ製の兵器だ。
そもそも、中東のゴタゴタは、先進国が引き起こした問題でもあるから、isを出しても、結局片付くことはないんだよ。
現在の戦争は、大国同士じゃないんだから。
大国vs小国。
又は大国に後押しされた小国vs小国。
それか、大国に後押しされた小国vs大国に後押しされた小国だ。
で、特に厄介なのは3番目。
これは、お互い、バックの大国が儲かるから絶対にやめない。
だから、泥沼化していくんだよ。

なんてことを考えていたら、あっという間に50kmだ。
そして、時間は3時間。
うむ、微妙だ。
午前6時。
ラウラを探すとグラウンドで倒れていた。
あんなところで寝て風邪をひかないのだろうか?
軍人だから引かないのか?
取り敢えず、運んでおいてやろう。
寮に戻ると、千冬姉が入口で立っていた。

「お前、本当に50km走り終わったのか…」

千冬姉が俺を訝しんだ顔で見る。
仕方ないのでisの走行距離を見せてやる。

「……信用しよう。
それで、背中のラウラはどうしたんだ?」
「さぁ?
グラウンドで寝ていたので運んであげました」
「それは倒れたんだ、馬鹿!!」

千冬姉が慌ててラウラを担いで走っていった。
なんだ、倒れたのか。
軍人のくせに鍛え方が足りんな。

そして、部屋に戻り、シャワーを浴びて汗を流しつつ、手足を揉む。
シャワーから上がり、再び柔軟。
運動後もきっちりと体を解しておかないと、えらい目になるぞ。
筋肉痛とか筋肉痛とかな。
一通り、体をほぐし、時間を見ると6時30分だ。
うーむ……
取り敢えず、食堂に行こう。

「織斑一夏の朝早いwwwwww
おはようで御座るwwwwww」

廊下に出ると、朝練の生徒がいた。

「あ、織斑くんおはよう。
今日は一段と早いね?
どうかしたの?」
「ちょっと50kmばかし走っていたで御座るよwwwwwポコォwwwwww
織斑教諭は鬼畜で御座るwwwwwwデュフwwデュフフwwwww」
「そ、そうなんだ…
じゃあ、私、行くね」
「お気を付けてwwwwwwwwwコポォwwwwww」

福音「よし、出番があった!」
ビーチパラソル「よかったですわ…」
サンオイル「俺も俺も!」

「ひとつ聞いていいか?」
「うん、何?」
「いつから俺を好きに?」

尋ねると、のほほんさんはしばらく考え、クスリと笑う。

「分からないな~
気が付いたら好きになってたよ」
「そうか…
なら、もう一つ、良いか?」
「うん」
「俺のどこが好きなんだ?」
「ふふ、おりむーの好きな所はね~
相手のさらに一歩前に行ってて、自分にも、相手にも厳しいところ。
あと」
「あと?」
「顔」

思わず、椅子からずり落ちそうになった。

「結局、男は顔だよ、おりむー」

デブは呼吸する時脂肪に押されるのか…… だから、無呼吸症候群とか起こるのか

「なるほど…
まぁ、取り敢えず、君はどうしたい、布仏本音?」
「私?
ん~…
正直な話をすれば、おりむー、織斑一夏と付き合いたい。
一杯おしゃべりしたり、手をつないでデートしたり、観覧車でキスしたりしたい。
でも、きっと、おりむーはそんな事をしたくないんだと思う。
おりむー、メンドくさい事とか厄介事から積極的に逃れようとして、結果的に厄介事に先回りされてるよね」

鋭いなぁ、こののほほんさん…
誰だよ、『のほほん』なんて言ったの。
オレだよ。

「まったくもってその通りだな。
参ったなぁ…
多分、君は、俺にとっての泥除けになりうる存在だ。
俺は、君の事が好きじゃない。
正直、クラスメイトの一人としか見ていないんだよ」

「うん、知ってる…」

のほほんさんは寂しそうに笑う。

「他の、特に、あの5人にはそうだよね。
『友達』って区切りをしっかり守ろうとしてる。
篠ノ之さんや、凰さんは幼馴染だって事で、多少は深い関わりをしてるけどさ。
でも、言ってみれば『親友』って距離だよね。
オルコットさん、ボーデヴィッヒさん、デュノアさん。
全員、『友達』って感じだもん」

よく見てるなぁ、本当に。
何時もフラフラしてるだけだと思ったけど、認識を改めないとな。
やっぱり、スゲーよのほほんさん。

「取り敢えずさ、自分でも最低な事を言うと言う自覚もあるし、それに付いては謝罪のしようがない。
だけどさ、もし、君がさ、それでも良かったらさ、俺と、付き合ってくれないか?」

「返事をする前に、私のお願いひとつだけ聞いてくれる?」
「ああ、勿論だ」

のほほんさんは、布仏本音は袖を捲くって、拳を固める。

「最低っ!」

そして、思いっきり、左頬を殴られた。
所詮は素人、そして、女の子のパンチ。
大したダメージはない。
ボーデヴィッヒ少佐に殴られた方が痛い程だ。

「ありがとう」
「いや、こっちこそ」
「私も、おりむーの事が好き。
何時か絶対におりむーから告白させてやるよ~」

のほほんさんが大粒の涙を流しながらにっこり笑って窓を開ける。

「ゴメンね、もう、帰るよ」
「ああ、俺こそごめん。
お休み」

「はぁ~……
今になって痛くなってきた…」

だが、これはしょうがない。
俺が悪いんだから。

「俺、マジでサイテーだな、本当に。
niceboutは避けたいけどさ…
下手すると、niceboutだよなぁ……
でも、いっそ刺された方が良いのかもな」

誠死ねとか言ってる場合じゃねーよな。
誰が誠かっつーの。
オレだよ。

「寝よ」

痛む頬を抱えて、俺は寝る事にした。
時刻は12時を回っていた。

翌日、俺は珍しく寝坊した。
起きたら既に7時45分だった。

「寝坊したか……」

取り敢えず、洗面台に向かい、昨日殴られた場所を確かめる。
当たり前だが、あとにすらなっていない買った。
顔を洗い、身なりを整える。
携帯を見ると、着信が5通。
それぞれ、篠ノ之さん、凰さん、ボーデヴィッヒさん、デュノアさん、オルコットさんだ。

「外出たくねぇ~…」

だが、出ないわけには行かな。
取り敢えず、朝食は朝8時だ。

「うっし!」

気合を入れて扉を開ける。

「おはよ~おりむー」

それと同時に、スタンバイしていたらしいのほほんさんに飛びつかれた。

「おはようで御座る」

それを抱き留め、高い高い。

「おりむー」

のほほんさんが目をつむって顔を近づけてくる。

「ちゅー」

俺も顔を近づけ、キスをする。
すると、廊下にいた全員が、目を見開いて固まった。

「今日は寝坊したで御座る。
某、ついさっき起きたで御座るよ」
「おりむーお寝坊さんだね~
私の夢でも見てたの~?」
「見てたで御座る」

そして、立ったまま失神している女子共を置いて、食堂代わりの大部屋に。

大部屋に着くと、既に席の大方は埋まっていた。

「どこ座る~?」
「あそこが空いてるぞ」

ちょうど、並んで二つ空いている場所があったので、そこに座る。

「い、一夏さん、おはようございます」

隣にはオルコットさんが居た。

「ああ、おはようございます、オルコットさん」
「セッシーおはよ~」

挨拶をして、目の前に置かれている配膳を見る。

「ご、豪華で御座る……」
「凄いね~
朝からお刺身~」

朝は塩ジャケが良いのだが、まぁ、良いか。

「織斑」

背後から殺気を感じ、咄嗟にのほほんさんを庇いつつ、置いてあった割り箸を取る。
振り返った瞬間、何かが振り下ろされたので、それを箸で受け流す。

「ああ、おはようございます、織斑先生」
「おい、貴様。
先程生徒から報告があったが、布仏と何をした」

俺を襲ったのは織斑先生。
得物は出席簿だ。

「何と、言われましても…」
「朝の挨拶~?」

ふたり揃って首を傾げる。

「キスをしたと聞いたが」

織斑先生の一言でその場のざわめきが一瞬で止み、全員が半ば立ちかけた格好で固まった。

「だから、朝の挨拶です。
欧米は恋人同士のキスはいわば、挨拶と同義語です。
日本も、特に、is学園は国際化の最たる存在。
別段、僕と本音がキスをした所で、おかしい事は無いはずですが?」
「お前達は学生だ。
さらに言えば、ここはis学園でもなんでもない。
ふしだらな行為はやめろ」
「異議あり。
キスはコミュニケーションの重要なアクションの一つです。
そして、相手が恋人同士なら尚更です。
織斑先生の今の発言は、自由な思想、考えへの弾圧です。
撤回を求めます」
「…お前はまたそう言う子供みたいな屁理屈を言う」

織斑先生がくだらんと一蹴し、去っていこうとした。

「だから、ダメなのだ」

まったくもってダメだ。
議論をしようとしない。

「ああ言う風になっては、閉鎖的考えしか、浮かばないし、脳内も凝り固まるで御座る。
のほほんさんも気を付けるで御座る」
「分かった~」

パソコンの変換ミスだな 脳内変換しておいてくれ

正直、話したくないので何か言いたげの織斑先生やオルコットさんを無視する。

「お、遅れましたぁ~」

そして、相変わらずけしからん乳をブルンブルン揺らす山田先生がやって来る。

「遅いで御座るwwwwww
早く挨拶するがヨロシwwwwwwww
朝食食べたいで御座るwwwwデュフwwデュフフwwwwwww」
「え、ええ、じゃあ、皆さん。
いただきます」

山田先生は周囲の微妙な感じの空気を気にしながらそう宣言する。

「飯で御座るよ。
あーんするで御座るよ、のほほんさん」
「うん、そーだね、おりむー
あ~ん」

それから、朝食はあーんだのなんだのとバカップル丸出しで朝食を終えた。
そして、今日は一日自由だが、ハメを外さぬようにと織斑先生と山田先生から忠告を受け、解散となる。

「ね~おりむー」
「何で御座る?」
「海行こ~よ~」
「良いでござるよ。
それでは、水着に着替え、必要なものを持ってまた部屋に来るで御座る」
「分かった~
また後でね~」

のほほんさんがそう言うと去っていった。
やれやれ、朝食食うだけでなんでこんなに疲れるんだ…
部屋に入り、どうせ、ぶっ込んであるのだろう水着を引っ張り出す。
水着はトランクス型の七分丈だ。
色は黒で、そこらへんに売ってる奴を慌てて入れました的な感じに入っているのを考えると、織斑先生が入れたのだろう。
せめて、畳めよと思ったが、家事が壊滅的打撃を受けているので無理なのだろう。

着替えて、カバンにタオルや日焼け止めといった物を入れていると扉をノックする音。
のほほんさんか、彼女にしては早いな。

「今行くで御座るよ」

扉を開けると、そこに居たのは例の5人だった。

「ああ、どうしたんで?」
「あ、あのさ、一夏。
さっき、言ってたことって本当?」

さっき、とは詰まる所、朝食の時だろう。
そして、この5人はのほほんさんとの関係を問い質す為に来たと見た。

「そうですよ、凰さん」
「っ……」

そう呼ぶと、凰さんは下唇を思いっきり噛み締めた。

「あ、あのさ、一夏!」

今度はデュノアさんが話しかけて来る。

「なんですか?」

にっこり笑うと、デュノアさんが一瞬怯む。

「こ、これから海に行こうと思ったんだけど、一緒にどうかな?」
「結構です。
僕、これから、本音と一緒に海に行くので」
「そ、そう……」
「じゃあ、仕度があるので」

5人にそう告げて、扉を閉めようとしたら、それをガンと止められた。

「何ですか、ボーデヴィッヒさん。
まだ、僕に用が?」
「何故なのだ?」

ボーデヴィッヒさんだ。

「何が、ですか?」
「何故、そんなに余所余所しいのだ?
私が何かしたのか?」

ボーデヴィッヒさんが俺を見上げる。
その顔はダンボールに入って雨に打たれている捨て犬みたいな感じだ。

「それが分からない内は、俺に話しかけるな。
俺はお前等を憎んでいる。
去れ、これ以上、お前等と話していると、ぶん殴りたくなるから」

ボーデヴィッヒさんの手を扉から離し、扉を閉める。
そして、部屋に戻って支度の続きをする事にした。
そう言えば、パラソルやブルーシートとかはどこかで借りれるのだろうか?
あとで、フロントに聞いてみるか。

結局、ビーチパラソルとシートの貸出は無料でやっていた。
流石is学園。

「おりむーぜんし~ん」

のほほんさんがご~と緩い号令をかけ俺はパラソルとシート、そして、もろもろの荷物を抱えて歩く。

「一気に背が高くなったよ~」
「まぁ、某が肩車をしているで御座るからな」

俺の上で袖を振っているのほほんさんは楽しそうだ。
ちなみに、のほほんさんの水着は寝巻きと同じ感じの着ぐるみの様な水着だ。
どこに売ってるんだ、この水着……

「ん~?
おりむーなんか埋まってるよ~」

そして、砂浜でのほほんさんがうさ耳を見つけて指でつついている。
足元には『抜いてください』と言うプレート。

「抜いていいのかなぁ~?」

のほほんさんは俺が答えるよりも早く、その耳を引っこ抜いた。
耳の下には何もなく、なんと言うか、『耳だけ』だ。

「何も起こらないで御座る」
「ね~」

数分待ったが、何も起こらない。
取り敢えず、パラソルを刺して、シートを広げて置いた。

「泳ぐ~?」
「そうで御座るなぁ~
取り敢えず、海を漂うで御座る」

大型の浮き輪を膨らませる。
周囲の女子が遠巻きに俺とのほほんさんを眺めてはがっくりと項垂れていた。

「ねぇ」
「ん?」
「私、ちゃんと泥除け果たしてる?」

のほほんさんが俺の隣にやって来て小声で聞いた。

「……ああ、ありがとう」

そう答えると、のほほんさんは寂しそうに笑う。

「良かった。
取り敢えず、海を漂っておけば、多分、誰も近づいてこないよ」
「ああ、そうだな。
その後、ほかの女子たちとビーチバレーでもするか」
「うん…」

膨らんだ浮き輪を持って砂浜を歩く。

「準備運動をしてから入るで御座る」
「うん、分かった~」

二人並んでラジオ体操を第2まできっちりやる。
そして、その後、のほほんさんを抱えて海中へ進む。

「海は良い……」
「なんで?」
「誰も干渉しないし、誰にも干渉しない」

俺の胸に凭れているのほほんさんが俺を見上げる。

「海って、すごく干渉してるし、干渉されてるよ?」
「まぁ、人間から見たらね。
でも、海からすれば、結局、自分の体の一部にホンの少し何かしているだけだろ?
言ってみれば、蚊に刺された感じ?
海は偉大だよ、のほほんさん。
いや、本音」

言うと、のほほんさんは顔を真っ赤にした。

「きゅ、急に名前で呼ぶなんて卑怯だよ…」
「じゃあ、のほほんさん?」
「ん~…
でも、ふたりだけの時は、名前で読んで欲しい、かな?」
「分かった。
ちょっと、待ってて」
「?」

一旦、海中に沈み、すぐ、2mほど下に潜水しているうさみみ女の口についているレギュレーターを奪い取り、そのまま、鳩尾を殴りつける。
すると、ボガガガとうさみみ、エプロンドレスは肺の酸素を盛大に吐き出し、モガモガと水面を目指してバタ足。
誰が行かせるか、アホ。
足を掴み、それを阻止。
しばらく、もがき、そのまま抵抗がなくなったのを見て、海面に引き上げる。

「お、おりむー…
それ、誰?」

「アドルフ・ヒトラーやヨシフ・スターリン、ポル・ポトも裸足で逃げ出す犯罪者。
ちょっと、コイツを運ぶから待ててくれ」
「う、うん。
浮き輪使う?」
「いや、この程度なら簡単に運べるから」

左腕でアホをつかみ、ビーチまで泳ぐ。
そして、ビーチまでつくと、人口呼吸。
ガハガハと水を吐き出し、ぐったりとしているアホの顔面を数発殴る。

「起きろ、コラ」
「う、うぅ~…」

アホは数度呻くとパッと目を開ける。

「ここは何処!
私は誰!?」
「これでも噛んでろ」

スカートの一部を割いて、丸め、口の中に放り込み、ハンカチで口を覆う。
モゴモゴと煩いので腹に良いのを入れる。
そして、手足を縛り、放置。

「これ、警察に届けて。
国家指名犯だから」

そして、再び、のほほんさんの元に戻る。

「ゴメンゴメン。
あれ、国家指名手配犯。
まぁ、保護っつー目的だから、『犯』はおかしいけど、俺にとっては『犯』だし」
「そ、そうなんだ」

取り敢えず、浮き輪の中に戻る。

「ねぇ、おりむー」
「ん?」
「好き」
「ああ」
「私のこと好きになった?」
「まだだな」
「そっか…」

言うと、のほほんさんは海中にドボンと潜る。
何ぞ?

ここじゃないssでもミリオタワンサマーが束ボコってたな

ps3がソニータイマー発動しかけてる… クソッタレ >>590kwsk

そして、次の瞬間、ザポンとのほほんさんが戻ってきた。

「どうしたんだってぅおっ!?」
「ふっふっふ~
おりむーはキョニュー大好きっ子かな~?」

なんと、そこに現れたのは胸元を手で隠したのほほんさんだった。

「いや、水着は!?」
「腰で巻いてるよ~」

そう言うと、のほほんさんが俺に抱きついてくる。
見た目とは裏腹のその豊満な胸が俺の胸板に当たり、押しつぶされた。

「おりむー、顔赤いよ?」
「そ、そう言う本音だって…」

途中までしか読んでないけどヤベーよ、ヤベーよ、展開的に少し、被っちまってる…
まぁ、良いか

「ねぇ、おりむー…
いや、一夏、って読んだほうがいいかな?」
「どっちでも構わない」
「キスして?」

のほほんさん、いや、本音が俺をジッと見詰めて来る。
今更ながら、is学園と言う存在がこれ程までにムカつく存在だとは思わなかったな。
is学園、つまりは、自国のisと操縦者を見せびらかしてお互いを牽制しあう場所だ。
そして、その搭乗者は知能はもちろん、容姿も求められる。
is学園に最低でも読者モデルか?ってレベルの女子しかいないと言う事はそういうことに起因している。
それは、目の前の布仏本音にも言える事であって、そんな女子が裸で抱き着いて来て、キスをしてくれなんて言っているんだ。

「それは、出来ない」

不屈の闘志と根性を持って、のほほんさん、の要求を拒否する。

「どうして、なんて聞かなくても分かってるけどさ…
でも、どうして?」
「……俺は、まだ、君のことを『のほほんさん』としか見ていないんだよ。
だからさ、そう言う意味で『本音』って呼ぶ事はないんだ」
「うん、やっぱり、おりむーの攻略は難しいなぁ~
おりむーおっぱい嫌いなの?」

ウリウリとのほほんさんが俺に胸を押し付けくる。

「m1858並に好きです」
「何それ~?」
「死ぬ程好きってこと。
と、言うか、おっぱいの大きさなんかどうでも良い。
形良ければ全て良しって感じ?」

ちっぱいだろうが、きょぬーだろうが。
俺はすべてのおっぱいが好きだ。
そう言う意味ではのほほんさんの胸は素晴らしいと思う。

「あ、勃起してるよ、おりむー」
「逆に、これで勃起するなという方が無理だ。
悪いが、マジでやめてくれ。
これ以上くっついてられると、大変な事になる」

その後、散々からかわれた後、やっとこさのほほんさんは離れてくれた。

「取り敢えず、浜に戻るか」
「そだね~
だいぶ流されちゃったしね~」
「マーメイドのせいだな」
「まーめーど?」

浮き輪の上にのほほんさんが乗り、俺がそれを牽引する。

「ああ、のほほんさんは可愛いからなぁ~
だが、人魚共にのほほんさんは渡さない。
のほほんさんは、俺の物だ」
「セリフだけ聞けば惚れちゃうけどね~」
「セリフだけはね。
泥除けがなくなると俺は困る」

言うと、頭をゲシリと蹴られた。

「ああ、そうだぜ」

>>602 最後の「ああ、そうだぜ」って無し

浜に戻ると、織斑先生がいた。
新しく新調したらしい水着を着ていた。
まだ、昔使ってた奴があるだろうが、馬鹿か?

「一夏」
「何ですか、織斑先生」
「今は、先生じゃない」
「そうですか。
で、何ですか、織斑先生?」
「……先程、束を捕まえたそうだな」
「ああ、あのキチガイですね。
警察に届けるよう頼んだんですが?」
「そんな事が出来るか馬鹿者。
取り敢えず、今、部屋にいるが、何故あんな事をした」
「殺さなかっただけマシと思ってください、織斑先生」

脇でのほほんさんが少し怯えた顔をしている。

「僕は篠ノ之束を恨んでいる。
今の先生やあの5人よりも。
深く深く、恨んでいる。
それじゃあ、僕はビーチバレーをするので」

のほほんさんを抱き寄せて脇でビーチバレーをしていた女子郡に混ざることにした。
そして、昼食の時間になるまでめいいっぱい遊んだ。

「いや~
織斑くん、途中から写真撮りばっかしたね~」
「あとで焼き回し頂戴」
「もちろんで御座るwwwww」

取り敢えず、カメラが微妙に役立ってよかった、のか?
まぁ、良いさ。

「ん、この羽音は…」

此処等辺は一般機、軍用機もろもろの飛行禁止区域だ。
しかし、ヘリの羽音が聞こえる。
大型機だ。

「ブラックホークだな…」

そして、音のする方を見ると、2機のブラックホークが低空でこちらに向かっている。

クソ、海兵隊ブラックホークじゃねぇ、ch-53eだ

カメラの超望遠レンズを使って、確認する。

「あれは、アメリカの海兵隊、それに自衛隊だな…」
「あれヘリコプターだよね?」
「そうで御座る。
あれはアメリカ第一海兵航空団所属のch-53スーパースタリオンで御座る。
その隣は木更津の第一ヘリコプター団で御座る。
中央即応集団隷下の部隊で御座るな。
カッコイイなぁ~
スーパースタリオン、マジでかっこいいなぁ~
やっぱり、アメリカ良いよなぁ~
isなんてクソみてーなおもちゃなんかよりよっぽどかっこいいしよォ~
ペイブロウ落とすぞこの野郎!」

陽気なグリーンジャイアント出すには、緊急物資で取れることが多いんだぜ。
ペイブロウじゃねーけどな、スーパースタリオン。

「ねぇ、まっすぐこっちに来てない?」
「しかも、高度下がってるし…」
「いかん!!
全員浜辺から離れろ!!
降りてくるぞ!!!」

その場にいた全員を浜辺からな離し、パラソル折りたたんで、ここに降りろという即席ヘリポートを二箇所につくる。
教師どもは何をやっているんだ?
そして、二機のヘリからは士官が足早に走っていく。

「お、おりむー
あの人たちは?」
「おいおい、まさかあの中将ってケネス.j.グラック海兵中将じゃないのか!?!」

見るからにアメリカ人ですと言うアメリカ人の指揮官がずんずん歩いて行く。
もちろん、そうは問屋が卸さない。

>>607 現在の司令官はテリー・ロブリング中将だった…

「待て待て待て!!」

取り敢えず、中央即応集団の一等陸佐、多分、特殊作戦群の指揮官だろう。
と、防衛大臣と思われるおっさんの方に走る。

「来るな!
そこにじっとしていろ!!」

脇にいた自衛官が俺に静止するように叫び、脇の海兵隊は俺に銃口を向ける。
ならば、こっちはisだ。
白式を展開し、雪片弐型を向ける。

「俺の名前は織斑一夏。
何の用だ?
許可はあるのか?」
「国の一大事だ」

防衛大臣が目を見張りつつ俺を見る。

「あんたの答えは1+1=1941年に真珠湾攻撃ですって答えてるようなもんだぜ、防衛大臣」
「今は、国の一大事としか答えようがない。
詳しい理由はあとで話す。
君のお姉さんは?」

「織斑先生なら、先程、旅館に戻った。
案内するかい?」

大臣は周りの自衛官と話し、ついでに、未だに銃口を向けている中将にも話しかけた。
通訳をつけていないところを見ると、中々優秀なようだ。

「では頼む」
「ああ。
それと、何時まで狙ってやがる。
銃口下げろ、ジャーヘッド。
俺は敵じゃねぇ」

言うと、防衛大臣がそれを訳し、海兵に言う。
海兵は渋々という顔で銃口を下ろした。

「アンタ等がis嫌う理由はわかるぜ。
俺もisなんておもちゃは大嫌いだ。
篠ノ之束は死ねばいいと思っている。
俺はアンタ等の事かなり好きだ。
じいさんや曾祖父さんが守る南方戦線じゃアンタ等海兵隊が尖兵として戦った。
あとで握手してくれ」

大臣がそれをそのまま訳したらしく、海兵たちがにっこり笑い、軽く敬礼してくれた。

「おっさん、いい奴だな」
「私も、isが嫌いでね」

大臣が言うと、全員が笑う。
そして、そのまま海兵隊と自衛隊を連れて旅館に戻る。
旅館に入ると、仲居がギョッとした顔で俺たちを見るが、まぁ、当たり前だろう。
そのまま、織斑先生と山田先生の部屋に向かう。

「織斑先生」

扉をノックするとなんだと声が返って来た。

「織斑くん!?」

名前を呼ばれ脇を見ると、山田先生が水着姿で立っている。
しかし、顔面蒼白で手元には端末。

「彼女は?」
「えっと、副担任の山田麻耶先生です」
「あ、あの、どちら様で?」

山田先生が大臣たちを指差す。

「防衛大臣と陸上自衛隊中央即応集団特殊作戦群指揮官平田隆則一等陸佐に在日米軍第3海兵遠征軍司令官のテリー・ロブリング中将ですよ。
常識でしょう?」

政治家はコロコロ変わるから書かんかった 

「え、えっと、大臣の事は知ってますけど、その、中将さんと一佐さんは知りませんでした、すいません」

山田先生が二人に頭を下げる。
プルンとけしからん胸がこぼれ落ちそうになり、全員が凝視。

「そんなことより、山田先生。
国家の一大事らしいじゃないですか。
アメリカ軍と自衛隊が出て来るってことは、それなりにヤバイってことですよね?」
「あ、そ、そうでした!!
ここでは話せないので中にどうぞ…」

山田先生がそうだと思い出したように、俺たちを部屋に案内した。
部屋の中では先程の水着姿のままの織斑先生がビール片手に茹だっていた。
おい、こら教師。
何やってんだテメーコラ。

「山田くん、誰だのその男共は?」

「はじめまして。
防衛大臣の森本敏です」

大臣がどこに視線を送っていいのか困った顔で頭を下げる。

「お久しぶりです、織斑さん。
平田です」

一佐が織斑先生に頭を下げる。
知り合いかよ、畜生。

『はじめまして、と言っておいた方がいいかな?
テリー・ロブリング中将だ。
君の事は色々と聞いているよ』

中将殿が自己紹介をした。
この程度ならわかるぞ、俺も。

「何があったので?」

簡潔に言えば、エリア51でアメリカ軍と自衛隊が共同開発していた第3世代isが暴走したらしい。
コンセプトは単騎による広域殲滅が可能かつ、長距離航行が出来、更には通常巡航速度がマッハ2と言うisらしい。
名前は銀の福音と書いて、シルバリオ・ゴスペルというらしい。
アメリカ人らしい仰々しい名前だ。
まぁ、それこそ『約束されし勝利の剣』とか付けるよりはましかもしれんがな。

「で、そのisを俺達が破壊するんで?」
「そういう事だ」

織斑先生が頷く。

「しかし、第3世代is、しかも、かなりのハイスペックで、シャルロットさんはもちろん、私や鈴さん、ラウラさんのisでも対処できるかどうか…」

あの後、呼ばれた専用機持ち3人も緊張した面持ちでセシリアの答えに頷く。

「原因は?」
「不明。
外部からの不正アクセスにより暴走したらしい、と」

中将の言葉を訳した防衛大臣が答える。

「それで、その暴走したisは操作できないので?
中に人が乗ってるんでしょう?」
「ええ、一人、パイロットが。
しかし、現在、彼女とは通信出来ず、どうなっているかは不明です」
「エネルギーが切れるまで放置しておけば?」
「地球を何周すると思っている。
途中で暴れられたら、それこそ第三次世界大戦が勃発するぞ」

織斑先生が言う。

「良いじゃん、別に」

答えると、全員が目を見開いた。

「な、何を言っているんだ君は!」
「大臣も、薄々気がついてるんじゃないんですか?」
「な、何をかね?」
「isって兵器は所詮核兵器にも劣る玩具だって」

「isの兵器運用は禁止されているぞ、一夏くん」
「アンタ、自己矛盾にも程がある発言してるのわかってるよな?」
「……はぁ、オフレコで頼むよ?」

言うと、全員が頷いた。

「私個人の意見として言わせてもらうよ。
私も、一夏くんと同じ意見だ。
isなんぞ、世界を変える力は糞程もない。
確かに、世間じゃisがあれば世界は平和になる、isこそ次世代の新兵器だって思っている。
だが、世界はそんな甘いものじゃない。
結局、軍事バランスは変わっていないし、世界経済も動いていない。
いや、それどころか、右肩下がりだ。
大手軍需企業は軒並み縮小され、軍関連の失業者が多く出た。
isが出来る前のほうがまだ、世界平和だ。
ヨーロッパの経済はギリシャ問題での解決出来ぬまま、isの騒ぎだ」

後はわかるね?と大臣が笑った。

「正直、日本はまだイイ方だ。
君達is学園の御蔭で、軍関係就職者天下り先も確保できた。
土地問題も、何ら問題なく提供された。
正直、我が国とアメリカはisを第3世代までで切り捨てるつもりでいた。
isは火縄銃よりも劣る」

防衛大臣の大暴露に織斑先生、山田先生、そして、専用機持ち4人が目を丸くした。

『森本大臣の言うとおりだ。
諸君等is乗りには悪いが、isなんて言う物は所詮、人が殺せるおもちゃ、でしかない。
森本大臣は火縄銃を引き合いに出したが、私に言わせれば、それは火縄銃に失礼だ。
あんあもの、兵器として使えない。
だが、我々はその“おもちゃ”に振り回されている。
悔しいかな、あれは最早我々の手には負えない。
済まないが、君達に力を貸して欲しいのだ』

中将が深々と頭を下げた。
ちなみに、全部、森本大臣が訳してくれた。
うん、大臣良い奴だ。
流石、大学教授。

「それで、中将。
協力するのは良いけど、何か算段はあるのか?」
「一応、福音が日本に到達するのは1週間後だ。
今、アメリカ海軍の太平洋艦隊と海自が共同で、戦線を張って、太平洋のど真ん中で福音を迎えようとしているよ」
「太平洋艦隊総力を挙げて、落とせるのか?」
「まぁ、持って1日、いや、3日は持たせられるかな?」
「取り敢えず、太平洋艦隊なくなったら、リムパック潰れるからな~
そんな事は絶対にさせねぇ。
オーケー作戦建てよう。
相手は一機。
ufo野郎だ。
んでもって、所詮試作機。
太平洋艦隊は誰にも壊させん」

計画は、こうだ。
マッハで飛んでくる福音をアメリカ軍と自衛隊が出迎え、地上に引き下ろす。
後は、俺等専用機持ちが戦う。

「本当に、こんな単純な作戦で勝てるのかい?」
「大臣、相手が自分より強ければ猪口才な戦術なんて効かない。
だったら、ガチンコで殴り合おうぜ?」
「ははは、確かに」
『我がアメリカ軍も軍人の意地を賭けて戦う積もりだ』
「そいつは、心強い」

しかし、

「海がキレーだな~」

現在、太平洋洋上旗艦ひゅうが甲板だ。

「自衛隊の空母に乗れるとかマジ、感激だ。
死んでもいい」
「空母じゃなくて、ヘリ搭載型護衛艦ね、一応」

大臣が苦笑する。
と、言うか、俺たちにくっついてきちゃっていいの?

「私は、そろそろ日本に戻らねばならい。
だが、私は君達を応援しているよ」
「ありがとう御座います、大臣」

大臣はニコリと笑うと、飛び立とうとしているuh60jに乗って去っていった。

「んじゃ、頑張りますか」

取り敢えず、臨海学校が気がついたら、擬似リムパックになっていた。
何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何を言っているのかわからねーって感じだ。

その後、1日掛けて、アメリカ海軍の太平洋艦隊所属第七艦隊と合流。
アメリカ海軍と空軍、そして、海兵隊のis部隊も合流した。

「一夏」

作戦は明日に迫ったところで意外な人物がいた。
篠ノ之箒だった。

「何故、君がここにいるんだい、篠ノ之さん?」
「私にも専用機があるからだ」
「……は?」
「それと、その、ソウカエン?の事は済まなかった。
千冬さんのやり方は余りにも強引過ぎたと思う。
だが、私は、お前と一緒に臨海学校に行きたかった。
多分、他の奴等もそうだと思う…
本来なら、止めるべきだった……」

箒がその場に正座し、それから、土下座した。

「私が悪かった!
だから…だから、もう、『篠ノ之さん』と呼ばないでくれっ!!
また、元の関係に戻りたい!
私は…私は、お前の事がっ「頭上げろよ」

これ以上、言わせたらダメだ。
告白される。
そう、絶対にだ。

「だ、だが…」
「頭上げろって言ってるだろ、箒。
取り敢えず、お前のisに付いて話せ。
それと、他の4人も呼んで来い。
陣形が変わるかもしれん」
「!?!
ああ!!
今すぐに呼んでくる!!」

箒が満面の笑みで頷くと走っていった。
やれやれ、取り敢えず、千冬姉にゃ、今後、家事を覚えて貰う事で手を打つかな。
じゃねーと、あの“干”冬姉は一生、俺に寄生するぞ、まったく。
それと、篠ノ之束。
あれは、もう、ダメだ。
存在自体が、人類にとって悪だ。
自分さえよければ、自分さえ楽しければ問題ない、そういう人間だ。

多分、今回の騒動は、篠ノ之束が起こしたんだろう。
箒の専用機の性能を見せ付ける為に。
そう、考えれば、性能は第3世代以上だな。
箒を、実の妹を巻き込み、世界を巻き込み、何を考えて居る?
何をしたい?
自分の自己満足を満たしたいだけ、なんて答えたら、俺は、多分、篠ノ之束を殺すだろう。
自信があるぜ。
まだ、ドイツの繁栄を、社会主義の確率を願ったヒトラーやスターリンの方が許せるぜ。
アイツ等は、最後がどうあれ、最初は『まとも』だった。
だが、篠ノ之束は違う。
“最初から”『気が振れている』状態だ。
千冬姉、あんたもつくづく災難な人生だな。
軍需関係に勤めていた多くの市民は職を失い、自殺したり、ホームレスになり凍死した。
いわば、篠ノ之束は歴代の独裁者にも匹敵するほどの大量殺人を犯した大罪人だ。

「マジ、関わりたくね~……」

俺、なんでこんな事してるんだっけ?

その後、箒が全員を連れてくる。

「一夏、その、ごめんなさい!」

鈴が深々と頭を下げ、そして、何かを差し出した。
見ると、酢豚だった。
ご飯がついており、しかも、あったかい。

「さっき、食堂借りて作ったの!」
「この非常時に酢豚作んなしwwwwww
もう、怒ってねーよ」

答えると、鈴がパァっと顔をほころばせる。
まぁ、あの千冬姉の杜撰な計画の要を担っていたので誰よりも責任があったのだろう。

「あ、あの、一夏さん……
私も、その、これを……」

差し出されたのはお世辞にも綺麗とは言えないサンドイッチ。

そして、それを持っているのはセシリアだ。

「毒見はしたのか?」
「ど、毒見って…
僕がしたよ」

脇にいたシャルが苦笑する。

「よし。
シャルが生きているなら、ありがたく貰う」

それを受け取る。

「一夏さん、大変申し訳ございませんでした…
お、お詫びと言ってはなんですが、我が、イギリスで今度女王陛下の即位65周年パーティーがあり、我オルコット家も臨席しますわ」
「俺が行ってもいいんですか、セシリアさん!!」
「え、ええ、ま、まぁ、で、ですが、親族でなければ……」
「よし、セシリア、俺、今日からお前の弟になる。
養子にしてくれ」

言うと、セシリアが一人でズッコケた。
誰が結婚なんぞするか、アホ。

「ま、まぁ、それはともかくさ。
僕からも、本当に、ゴメン。
一応、お詫びの品ってほどじゃないけど、これ、フランス軍のレーション」
「ファマスが欲しいです、シャルル君!!」
「いや、日本じゃ銃もてないから…」
「俺、アメリカに住む。
アメリカに住めば、そう、銃が持てるだろ?」
「いや、アメリカの国籍とか取るの大変だよ?」

シャルが何言ってんだお前という顔で俺を見る。

「シャル、俺は今、どの軍に協力しているか知っているか?」
「お前は何を言っているんだ?
日本政府がそう簡単にお前を手放すわけ無いだろうが」

千冬姉が呆れた顔で俺を見る。

「千冬姉こそ、おまえは何を言っているんだ?
大臣の話聞いてたのか?
アメリカ政府と日本政府はこの件でisに関わるすべての事業から撤退すると言ってただろうが」

「ま、まぁまぁ、先生も一夏も、ここは仲直りする為の場所でしょ?
次は、ラウラだよ」

シャルが間に割って入り、ラウラを前に出した。

「嫁よ」
「誰が嫁か」
「私は責任を取って、お前を娶ることにした。
ここにお前の名前とハンコを押せば「オーライ、その提案をしたやつは誰だ?
俺が直接ぶっ殺してやる」

ラウラが差し出した婚姻届をビリビリに破り捨てる。

「何をする!
私とお前の新居も既にドイツ本国に「用意せんでいい。
と、言うか、俺はドイツ語なんぞ出来ん」
「なら、覚えろ。
お前はドイツが好きなのだろう?
だったら、ドイツ語も覚えろ」
「ふざけんな。
大体、ドイツに行ったらナチス関連の事が一切出来ねーじゃねーか!!
公衆の面前で挙手式敬礼したら捕まるとかふざけんなコラ!
あれは、ローマ時代からある由緒正しき敬礼の仕方なんだぞ!!」

「しなければいいじゃないか」
「ダメって言われたら、やりたくなるだろ?」
「お前は本当にダメな奴だな」

脇で箒が大変失礼なことをぬかしやがる。

「俺のどこがダメなのか、4000文字以上、8000時未満。
そして、表紙を入れずa4サイズのレポートにまとめて3日以内に提出しなさい」
「お前のダメなところを8000字以内に纏められると思っている、お前がまずダメだ」

この野郎。
今度、剣道で牙突しちゃる。

「取り敢えず、ラウラは腰に下げる拳銃とナイフくれれば許す」
「そんな物でいいならほら」

念願のusp、いや、p12を手に入れたぞ!

「ラウラ、お前はいい奴だ…
毎朝、朝のトレーニングに付き合う許可をやろう」
「いや、良い。
私に気にせず存分に走ってくれ」
「じゃあ、毎朝迎えに行くからな!」

「いや、本当に大丈夫だ」
「なに、遠慮するな。
ついでに同室のよしみでシャルと幼馴染のよしみで箒、鈴も。
代表争いをしたよしみでセシリアも一緒にやろう。
な!!」

全員の肩を掴む。
全員は人生最大の絶望をいうかおでハイと頷いた。
うむうむ。

「あ、それで、千冬姉はこれにサインして。
拇印も押して」
「?
ただの紙にか?」
「ああ、早く」

千冬姉は首を傾げつつ、サインをして拇印をする。

「契約書、これより織斑千冬は織斑一夏の家事手伝いをします。
また、ずぼらな生活も正し、毎朝、織斑一夏とともに運動します。
よし、よろしく頼むぜ、千冬姉」

「なっ!?!
貴様、騙したな!!
ふざけるな!!
そんなもの無効だ!!!
返せ!!」

千冬姉が俺の手から契約書を奪い取ろうとするので、それを避ける。

「だれが返すか。
取り敢えず、どこに出しても恥ずかしくない30代にしてやるから安心しろ」
「嫌だぁぁ!!!
私はやりたくない!!
絶対に家事手伝いをやりたくない!!
絶対にやりたくない!!!!」

メンドくさいので部屋の外に放り出す。

「さて、次は箒のisについてだ。
これについては、cicに移って、作戦を練り直す必要が出てくるかもしれん。
ついてきてくれ」

箒が俺に肩を預ける。
何ぞ?
てか、この展開はやばいじゃね?

「好きだ」
「知ってる。
お前が俺のことを好きなのも。
鈴が俺のことをすくなのも。
セシリアが俺のことを好きなのも。
シャルが俺のことを好きなのも。
ラウラが俺のことを好きなのも。
全部知ってる。
だが、お前等は問題を抱えすぎだ」
「それでも、私は、お前の事が、好きなんだ!!」

箒が俺に抱きついてくる。

「例えばさ」
「あ、ああ」
「今、俺がお前のことを好きだというとするだろう?」

「残った奴等はどうなるんだ?」
「それは……」
「アイツ等は良い奴だから、俺とお前が付き合っていても快く迎えるだろう。
だが、一度切れた糸は結び直しても瘤が出来る。
その瘤は、きっと、お互いの関係が崩れるだろう」

そこまで説明すると背後に誰か立っている。
見ると、千冬姉と提督達だ。

「来たのか?」
「違う。
このスケベ共がお前に一つ言いたいことがあるそうだ」

千冬姉が二人を顎でしゃくる。

「な、なんですか?」

神妙な面持ちの顔で二人が前に出る。

「男ならっ!!!」
「ハーレムぐらいっ!!!!」
「「築いて見せろっ!!!!」」

何を言っているんだこのオヤジどもは…

「それに、箒。
俺にゃ、もう、彼女がいるだろうが」
「布仏か?」
「ああ、そうだ」
「布仏とは偽装だろうが」
「偽装でも、彼女なんだよ。
お前らの中で一番、安全な。
安全牌なんだよ、のほほんさんは」
「一夏」

名前を呼ばれ、殺気を感じる。
例によって、千冬姉だ。

「当たらなグヘァ!?!」

まさかの蹴りが、俺の顔面に入った。

「一夏。
私はお前のそういう所が嫌いだ。
死ね。
男の癖に自分の保身ばかり考えやがって。
そんなもんは老後の年寄りが考えれば良いんだ。
何が『植物のように平穏な生活』だ、クソボケが。
お前がなんでそんなモンを望むようになったのかわかってるし、何故私より強くなろうと思っているのかも知っている。
だがな、一夏。
私は、お前の、『姉』なんだぞ?
もう少し、お姉ちゃんを信用してくれ…な?」

あーあー、メンドくせー……

「取り敢えず、この話は、これが終わった後で決着つけて良いか?」
「勿論だ。
今は、目の前の事を片付けるのが先だ。
死亡フラグ立てんなしwwwwwww」

立ち上がり、千冬姉を見る。

「千冬姉」
「ああ」
「偉そうなこと言うなら、家事出来る様になれボケぇぇ」

それから、ひゅうが甲板上で俺と千冬姉は死闘を繰り広げた。
それはもう、凄まじい戦いだった。
甲板上にはぺんぺん草一本映える事はないと思われるほどの厳しい戦いだったのだ。
ちなみに、決着は、f/a-18の後部座席に乗って戦闘機動をするのと、scarと89式にミニミの実弾を撃たせてくれるので手を打ったりした。

「さて…」

腫れている頬に貼った湿布を剥がし、半分ほど沈んでいる太陽を睨む。

「諸君、世界の興亡、この一戦に有りあり!
気張っていこう!
相手はたかが一機!
されど一機だ!
isが何故最強と言われるか!
isは何故糞なのか!
この戦いが証明してくれる!
だが、最後に勝つのは、この俺だ!
何故なら!!
俺はモテモテだからだ!!
もし、この世界がアニメや漫画の世界なら、俺は主人公だ!
題名は、そうだな……
インフィニット・ストラトス!
副題は、isに振り回された男の人生!!」

>>659 なんか可笑しくなってる

「勿論だ。
今は、目の前の事を片付けるのが先だ。
死亡フラグ立てんなしwwwwwww」

から

「勿論だ。
今は、目の前の事を片付けるのが先だ」
「それと、箒。
死亡フラグ立てんなしwwwwwww」

に脳内変換?変更?頼む

「それで、どっちが良い?」

全員を見る。
各々が隣のライバルを見た後、頷いた。

「ひと思いにやれ。
結果から先に言え」

ラウラが言うと全員が頷いた。

「分かった。
結果から言えば。
俺は、お前達を恋人とは見てない。
誰とも付き合いたいと思わないし、今後も無いだろう。
だが、のほほんさん、いや、本音には俺がこの学校を卒業するまでは泥除けになってもらう。
泥除けだ。
恋人じゃない」

のほほんさんを見るとのほほんさんはこくりと頷いた。

「分かってるよ」

「だから、お前達にもチャンスがあるかもしれない。
俺の信条を変えてみせろ。
本音も泥除けから本当の恋人に成って見せろ。
俺からは以上だ。
何か言いたいことがあれば聞こう」

言うとシャルが手を上げる。

「どうぞ」
「つまりは、現状維持って事だよね?
僕等の気持ちを知っている状況で」
「いや、違う。
正確に言えば、お前達が『俺の事が好きという事を俺が知っている』って状況になっている。
事件前はお前達が『俺の事を好きだと言う事は俺に知られていない』と思っていた。
残念ながら、お前等の気持ちは薄々感づいていたよ」

言うと全員が驚愕の目を向ける。

「い、何時からだ!?!」

箒が立ち上がる。

「箒と鈴は最初から。
セシリアは代表選出戦の後。
シャルは俺が正体見破って数日後ぐらいからか?
ラウラは俺がぶっ飛ばした時から」

言うと全員が俯いて顔を真っ赤にする。

「じゃあ、そういう訳だ。
他に何かないか?」
「は、はい!」
「はい、セシリアさん」
「どうすれば一夏さんを落とせますか!!」

セシリアの質問に全員が俺を凝視した。

「そうだなぁ~
akかフランカーみたいな美しさを保って、ケーニヒスティーガーのポルシェ砲塔型やチハ、ハ号みたいな可愛さがあって、l85や特二式内火艇みたいな意外性があると良い。
後、ファマスみたいな官能的な部分と三八式や九九式みたいなスマートさと三十年式銃剣みたいなクール的な感じ。
ん~それから、パイソンやマニューリンmr73、パンターf型みたいな高級感が欲しいな。
それから、m1858みたいな大人びた感じが欲しい。
あ、後、ケル・テックのplr-16やksgみたいな意外性も欲しいな。
オリンピックアームズのoa-93とかでも良いな。
そう言う感じの女性になってください」
「「「「「「取り敢えず、どういう女性かわからない」」」」」」

え、何それ怖い…

「えっと、要約する?」
「要約も何も、そのまんまだよ。
取り敢えず、もう一回言うぞ?」
「「「「「「結構です」」」」」」

全員が首を振って答えた。

「そうか?
まぁ、イイや。
取り敢えず、もう夜も遅いし寝るべ。
鬼畜の所業か、明日は月曜日だ。
あ、キュアピースとサザエさんにジャンケンするの忘れた!!!」

ショックだわ……
取り敢えず、寝よう。
そして、明日、改めて2ちゃんで確認するのだ。
アイツ等アホだからな。
サザエさんとピースで勝負させてるしな~

「ん?」

部屋に帰ろうと廊下を歩いていると、見知らぬ女子が歩いている。
猫の様に不敵な笑みをたたえ、手には扇子。

「お、おおぉおぉぉ!!!!!!
見つけたぞ!
ガンダム!!!」
「ちょ、ちょっと君!?!」

俺はその女子生徒の手を掴んで未だ食堂で作戦会議をしているしている六人の前に引っ張りっていく。

「この人みたいな感じだ!!
容姿だけで半分はクリアしている!!!」
「「「「「「はぁ!?」」」」」」」

その後、テンヤワンヤの大騒ぎになったのは間違いない。
俺が見つけたのは、この学校の生徒会長だったらしく、名前を楯無、更識楯無と言うらしい。
厄介な人間を引っ張ってしまった俺をハッ倒したい。
だが、どう見ても、容姿は俺の理想に最適なんだよ。

「う~む……
取り敢えず、のほほんさんの情報だと、君主危うきには近づかずレベルでやばいな。
スイカ畑で靴紐結ぶレベルだな。
俺、アホ過ぎワロタ」
「で、どうするんだい、君は?」

そして、何故か俺の隣に座る生徒会長殿が言う。

「えっと、取り敢えず、こんな感じに成って下さい」

言うと、6人から一斉に拳が飛んでくる。
これは、甘んじて受けよう。
おう、その方が楽だ。

織斑一夏は静かに暮らしたい。
ただし、前途多難である事は間違いない。
現状維持がいつまで続くかわからんが、俺はやってやるぞ!
そう、植物の様な平穏な生活を求めて!!

第3巻分 完

正直な話をすれば、5巻6巻7巻の内容を殆ど覚えていない

4巻は正直、短編集的な感じだから書かなかった

ovaでも見てくれ

あと、のほほん党多すぎワロタ

isぼろっ糞に叩いてプギャーしたろうと思ったのに、なんでこうなった……

以上

「さて、織斑一夏くん」
「何で御座るwwwwwww」

場所は生徒会長室。
is学園にも一応あるんだな、生徒会長室なんて。

「君、部活入ってないよね?」
「入ってイイで御座るwwwww
某wwwww
某wwwww
運動部を全部掛け持ちするで御座るwwwwwwww
あとwwww
チアリーディング部wwwwwwwww
下で持ち上げる役で御座るwwwwwwww
合法的に女の子持てるで御座るwwwwwwうはwwwwww」
「ざ、残念ながらチアリーディング部は無いよ」

そりゃそうだ。
どこのアメリカだアホ。

「ショックwwwwww
テラwwwwショックwwwwwwwwwデュフwwwデュフフwwwwwww」

「で、運動部掛け持ちって正気かい?」
「失敬なwwwwww
陸上部ではクラウチングwwwwwww
剣道部では防具を取った瞬間wwwwwww
バスケ部ではシュートを決めた瞬間wwwwwwww
水泳部ではプールから上がる瞬間wwwwwwww
バレー部ではお尻の食い込みを直す瞬間wwwwwwww
テwwwwwラwwwwwwwwエwwwwwwwwロwwwwwwwwwスwwwwwwwwwwww
この前買ったカメラが火を吹くで御座るwwwwwデュフwwwデュフフwwwwwwwwww」
「犯罪はやめたたまえ」
「なら、サバゲ部を作ってください。
部員なら既に6人確保しました。
顧問は織斑千冬先生です。
分類は文化部でお願いします。
部活動申請書も既に用意してます。
後は更識先輩の、生徒会長のハンコだけです、はい」

すかさずa4の書類を差し出す。

「君、想像以上に強かだね…」

「取り敢えず、あれですわ、会長。
アンタの悪巧みはぜってーさせねぇからな。
どうせ、俺を餌にして学園祭盛り上げるとか考えてるんだろう?
各部対抗俺争奪戦とかそんなかんじの」

のほほんさんに事前に正確とか聞いておいてよかったわ、マジで。

「す、鋭いね…
流石、織斑先生の弟君」
「弟舐めんな」
「じゃあ、こうしよう。
君の部活申請を認める代わりに、君争奪戦をしたい。
どうかな?」
「サバゲ部が勝ったら、金一封…
いや、部費を1ヶ月10万で」
「ふ、フフフ…
良いだろう。
その勝負乗った」

よーし!
サバゲ部の勝ちだ!!
こっちにゃ、ドイツ連邦軍特殊部隊が居るんやぞ!!
しかも、千冬姉に特別コーチとして冬戦教や中央即応集団、第一空挺出身の元自を呼びます。

「有難う御座いまするwwwwwwwww
会長wwwwwww
さwwwwらwwwwwばwwwwwwwww」

さて、部員と千冬姉を呼び出すか!

「私は忙しいんだぞ」
「知るか。
今日から、千冬姉は我がサバゲ部の顧問だ」
「は?」

千冬姉が目を丸くして俺を見る。

「さ、サバゲ部ってなんですの?」

セシリアが俺を見た。

「サバイバルゲーム部の略称。
サバゲ部。
で、文化祭で、あのイワン被れが俺を賞金として部対抗争奪戦するとか」

言うと全員がガタガタと立ち上がる。

「負けるわけにはいかん。
と、いう訳で。
我がサバゲ部は1組2組合同であるゲームをします」
「「「「「「「ゲーム?」」」」」」」

「名付けて、『一夏に会いたきゃ、俺を倒して行け! 侵入ゲーム』」

パチパチパチと手を叩くが誰もが首を捻った。

「つまりは?」
「サバゲ部主導のもと、1組2組の女子で要塞化した学校を守ります。
そして、参加者は1組2組の女子達に見付からない様に潜入し、俺の所まで来ます」
「たどり着いたらどうするのよ?」
「俺と5分間お喋り。
または一緒にジュースを飲む。
あと、ポッキーゲーム。
ちなみに、明日から、元自の人達や、この前知り合った海兵隊の人達にガチで軍隊の訓練受けさせるから、絶対に負けません。
あ、これ、強制です。
1組2組に所属する女子は全て強制です。
千冬姉、イイよね?」

良い訳無いだろうと言おうとしたので、だらけ切った姿を収めた写真を見せる。

「もちろんだ。
さいきんきさまらはたるんどるからな、いいきかいだろう。
はっはっは」
「きょ、教官が脅されている…」

ラウラが目を見張り、その他全員が俺の持っている写真を凝視した。

「見せねーよ?」

今更ながら、文化祭じゃねぇ… 学園祭だった…

「じゃあ、必要な資材やら道具やらは後でまとめておくから、千冬姉はアリーナの貸付頼む」
「ああ、それと、学校では先生と呼べ」
「なら、家でも『先生』らしく行動してくれ」

言うと千冬姉は俺を睨みつけ出て行った。

「さ、教室に帰るぞ。
後で2組にも話に行くから。
鈴は俺が行くことだけを伝えておいてくれ」
「え、ええ。
ちなみに、その訓練ってどんぐらいきついの?」

鈴が顔を少し青くして俺を見た。

「シールズの入隊テストよりは簡単だ、多分」

サムズアップ。
うん、多分、簡単。
うん、多分、もしかしたら簡単だから、うん!

「さてwwwwwwww
皆の衆wwwwwww」

放課後の特別hr。
俺は教壇に立っていた。
千冬姉は俺の為に馬車馬のように電話を掛けまくっている為、脇には山田先生がいる。

「我が一年一組はwwwwwwww
サバゲ部主導のもとwwwwwwwww
二組と合同で行いますwwwwwウェwwwウェwwwwwww」

言うと全員がざわざわとし始める。
そりゃそうだろうな。
てか、サバゲ部ってなんだよって感じだな。

「サバゲ部部長wwwwwww
織斑一夏くんに変わってwwwwwwwww
もwwwwwらwwwwwwいwwwwwwまwwwwwwwすwwwwwwwwwww」

一旦、教壇の前から降りて、また昇る。

「どうも、サバゲ部部長の織斑一夏です キリッ」

やると全員が大笑いした。
オーケーオーケー
掴みはオーケー

「さてwwww
お巫山戯はコノぐらいにして本題行くで御座るwwwwwww」

黒板に先程作った計画図を貼る。

「簡単に言えばwwwww
某ステルスアクションゲームで御座るwwwwwwww
客には伝説の傭兵になって貰ってスネークして貰うで御座るwwwwww
皆の衆はwwwwwwウェwwww
ゲwwwwノwwwwwwムwwwwwww兵wwwwwwデュフwwwデュフフwwwwwww
まwwwwたwwwはwwwwww
gwwwwwrwwwwwwuwwwwwのwwwwwwwスwwwwwペwwwwwwツwwwwwwナwwwwwwwズwwwwwwwwポコォwwwwwwww」

そして、ゲーム内容を告げると全員がオォォォ!!!!と右の拳を振り上げ立ち上がる。
何この枢斬暗屯子達?
まぁ、そのぐらいないとsealsにゃ入れないからな!
デスウィークとかやってみたいけど、学校あるし…
あ、そうか、夏休みがあるじゃないか!!!

「ではwwwww
明日からwwwwwwww
知り合いのトレーニングコーチが来るで御座るwwwwwww
気張っていくで御座るwwwwwww
ちwwwwなwwwwwみwwwwwwwにwwwwwwww
最優秀者にはwwwwwww
我が家でのwwwwwwww
夕飯を食べる権利が与えられるで御座るwwwwwwwwww
あ~んもするで御座るwwwwwww」

千冬姉と二人っきりで、千冬姉が、と言うのは俺の心の中で言ったから大丈夫。
そう、しかも、俺は『我が家』と言っただけで、『俺と』とは言ってないし。
詐欺集団紛いのセリフにその場にいた全員が修羅と化した。

同じ説明を2組でもして、部屋に戻る。
そして、昨日知り合った海兵隊に電話をかける。

「あ、もしもし提督?」
『ん~?
ああ、一夏くんか』
「日本のis学園に来ない?
招待するから」
『行く!』
「それから…」

提督に学園祭の話をしたら快く知り合いのフォース・リコンの訓練教官を三人程派遣してくれると言った。
ありがたいね!

「ありがとう提督」
『構わんよ。
それより、私はアキバに行きたい』
「案内するする」
『ああ、楽しみに待ってるよ。
教官達は明日にでも日本につくようにするよ。
千冬さんにもよろしく言っておいてくれ』
「もちろんですよ!」

よし、あとは自衛隊と~

>>753 自衛隊と~× 自衛隊だな~○

そして、部屋で自衛隊などと連絡を取ったあと、廊下に出る。
すると扉をノックしようとしていたらしい千冬姉がいた。

「お、どうだった?」
「すぐにでも来てくれるそうだ。
お前も参加するのか?」
「当たり前だろ?
こんな素晴らしい体験ができるんだぞ?
あ、それと、学園祭後、家で最優秀者と一緒にご飯食べてあげて。
ついでにあーんもしてあげて。
夕飯は作っておくから」
「なぜ私が「写真」誠心誠意真心込めて夕飯を食べてあーんをしよう」

よし、確約は取れた。

「じゃ、俺は箒のisを扱き上げないといけないから」
「あ、ああ」

千冬姉と別れ、アリーナに向かう。
アリーナではアップを終えたらしい箒が専用機持ち4人と共に待っていた。

いや、違う。
隅に誰かいた。

「何やってんですか会長?」
「いや~
君達のコーチでもしようかなって思ってさ」
「結構です。
それより、夏休みの期間中、第三、第四アリーナを貸し出してください。
学園祭の準備に必要です。
あと、ここにキリングハウスと恐怖の館を作ろうと思ってるんですけどいいですよね?
申請書類です」
「じゃあ、私に勝ったらいいよ」

言った瞬間、おもっクソ顔面を殴りつけてやった。
会長は綺麗に吹っ飛び、ズザーっと。

「俺の勝ちでいいですよね?
では、これお願いします」

「き、君は私に何か恨みでもあるのかい!?!」

鼻血をだらだらと垂らした会長がよろよろと立ち上がる。
5人がそりゃ、会長が悪いという顔で立っていた。

「ないですよ?
でも、勝負を仕掛けるって言う事は、何時でも受けて立つ準備があるって言うことでしょ?
と、言うか、会長って学園内で最強ってだけで、俺より強いわけないじゃないですか。
じゃあ、これの申請お願いします」

書類とティッシュを渡し、五人の前に戻る。

「さて諸君!
先回のあの戦闘で実に、間抜けた結果に終わった。
そして、自分のisを上手く使えない新人の箒を中心にトレーニングしていく」
「箒のisって第4世代なのよね?」

鈴が手を上げる。

「そうだ。
あのクソッタレが世界の常識をすっ飛ばして登場させやがった。
これではもうisは何の役にも立たない。
だが、このis学園がある以上。
諸君等が専用機を持っている以上、isの訓練は必要不可欠だ。
故に、諸君等は世代を考えず、お互いの欠点をカバーし、お互いを援護して行かねばならない。
isは兵器だが、世界はもう、isへの興味を失いつつある。
それよりも、今は歩兵とともに行動できる小型のロボットが注目され、日本政府も米国政府と共同でそのロボットを実用化使用している。
つまり、近い将来、isは完全に駆逐され、スポーツ競技用の道具になるだろう」

「勿論、世界に400弱しかないisは世界規模でできるスポーツでもない。
そして、大規模でできない割には随分と金を取る。
没落は激しいぞ。
女尊男卑の世界だが、そんなもん直ぐに変わる。
isの御蔭でロボット技術は更に進んだ。
大体、前にも言ったと思うが、現在は非対称戦争だぞ?
isみたいな大国間での総力戦なら使えるかもしれんが、今の世界にゃ必要ない。
アメリカ軍はアフガニスタンで苦戦したが、アメリカ本土は何の痛手も食らってない。
逆に、経済が一時的に活発になった。
アメリカも今じゃ、落ちるぶれる寸前だ。
isが登場した御蔭で、軍縮が進み、地方や田舎の若者の雇用が少なくなったんだよ。
知ってるか?
海兵隊がバカの集まりって言われる理由?
田舎者やヤンキー、移民が学つけたり、選挙権を入手する為に入るからだ。
海兵隊なら金貰いながら、社会保障を受けれる。
素晴らしいじゃないか、えぇ?
しかも、名誉除隊すりゃぁ福利厚生ハンパネーぞ?
まぁ、イイや。
今はisの訓練だ。
アメリカ海兵隊の話ししてる場合じゃねぇ。
fmjは最高だぞ。
リー・アーメイ大好きだ」

取り敢えず、箒の猛特訓は夕飯になるまで続いた。

「夕飯で御座るよwwwwwww」
「ああ…先に食べててくれ…」

夕食なのに箒を含め専用機持ち5人は死んでいた。

「どうしたんの~?」
「知らんで御座る。
夕飯食べないと明日からもっと悲惨で御座るよ?
なんせ、特殊部隊の教官とかが来るで御座るから。
手加減無用で厳しくするようにお願いしたで御座るし」

言うとその場にいた1組2組の女子生徒がばっと振り返り、ダッシュで寄ってきた。

「そ、それって、どのぐらい厳しいの!?」
「夏休み中全部使ってやるって冗談よね!?!」

全員がワイのワイのと騒ぎ出す。

「静かに食べないか!!
グランド10週したいなら、別だが」

千冬姉が飛んできて怒鳴る。
すると一瞬で黙った。

「う~ん?
多分、一日で10周は軽く走るよ?」

翌日、終業式だった。
いよいよ夏休みだ。
午前中は式で終わり、午後は1組2組は第3アリーナに集合して、訓練をする事になった。

「アメリカ海兵隊の訓練教官のガーハイム砲兵軍曹です」

脇に立つ、“如何にも”な軍人を紹介する。

『諸君等クソッタレを一人前の海兵隊にも劣らん兵士にする為にやって来た』
「元フォースリコンのスワガー一等軍曹です」

その隣に立つバラクラバの軍人を紹介する。
ちなみに、偽名です。
なので、極大射程とか期待しないこと。

『訳あって顔は出せないがよろしく頼む』
「自衛隊から冬戦教の訓練教官も務める坂井さん」

自衛隊から態々来てくれたobを紹介。

「どうも、酒井です。
訓練は厳しいですが、全員で合格しましょう」

「あとで遅れて中央即応集団も来ます。
取り敢えず、後は教官達に従いましょう。
はい、お願いします!」

俺の挨拶に合わせて全員がお願いしますと言う。
教官達は集まって何やらゴニョゴニョと話し始めた。
そして、ガーハイム砲兵軍曹が前に出る。
ちなみに、彼が一番の年上だ。
年齢は50を超えているが、体格はガッシリしており非常に厳つい。

『先ずは貴様等の体力を知りたい!
このグラウンドを1周して来い!
全速力だぞ!!』

言うと全員がエーと声を上げた。
その瞬間、ガーハイム砲兵軍曹が怒鳴る。

『貴様等俺の愛するサバゲ部をどうするつもりだ!!
お前らの様な爬虫類の糞をかき集めた物よりも価値のない屑共に拒否権があると思うのか!!!
分かったらとっととそのサイみたいなケツ上げて走ってこい!!!!』

その場に居た全員がヒィィと言う顔をし、俺を見る。

「走れ!!」

俺が叫ぶと同時にダッシュ。
脇では一緒にスワガー軍曹や坂井さん、ガーハイム砲兵軍曹も走っている。

「な、なんですのあの方!
下品極まりないですわ!!」

隣を走るセシリアが俺に文句を言う。

「いや、訓練教官ってあんなもんだよ。
まだ、自分の国や家族の事言われないだけイイ方だ。
スゲーキツイ上に、文句言うと連帯責任で『貴様等何をしゃべっている!!
そんなに元気が余っているなら貴様等はもうあと1周しろ!!』

俺とセシリアは10km走ることになりました。
ちなみに、俺が10km走り終わるまでに女子の中では運動部に属している女子と俺と毎朝走っている4人が走り終わっていた。
後は、半数が息絶え絶えの上にガーハイム砲兵軍曹に罵詈雑言を吐かれて泣きながらゴールした。
正直、怖すぎワロタ。

午後の教練は1時から始まり、6時に終わった。
その際、体力別というか能力別で組み分けされ、ガーハイム砲兵軍曹が呼んだ女性訓練教官と分かれて訓練するらしい。

「俺だけ何でワンツーマン?」
『貴様は男だからな。
それに、貴様なら立派な海兵隊野郎に入れる筈だ』

ガーハイム砲兵軍曹がウムと頷く。
ちなみに、全部、isの自動音声翻訳を活用してます。
is便利過ぎワロタ。

「それで次は何をするんですか、教官」
『取り敢えず、アスレチック運動だ』

わーい。
幸いにもゴーマー・パイルが居ないから楽だな。

『それじゃあ、今日の訓練はここまでだ』
「有難うございます教官!」
『うむ。
明日は6時起きだ。
起床ラッパを鳴らす』
「はい!」
『以上解散!!』

夕飯じゃー!

食堂に入ると1組2組の女子が死屍累々としていた。
ちなみにほかのクラスや学年の生徒達は帰国だの帰郷だので殆ど居ない。

「大丈夫で御座るかwwwwww」
「これが大丈夫なように見えるわけ?」

脇で死んでいた鈴が俺を睨む。

「元気そうで御座るなwwwww
食事はしっかり摂るで御座るwwwwww
でないと明日倒れるで御座るよwwwwwww」
「いっそ倒れた方が良い…」

箒が何を血迷ったが変なことを言っていた。

『貴様等何をしている!!
飯は一人5分だぞ!!!
さっさと食え!!!
急げ急げ急げ急げ!!!!!』

鍋とお玉を持った女性教官が飛び込んでくる。
それと同時に、全員がビクーンと飛び起き、カウンターに走った。
おぉう…

「こりゃ凄い。
千冬姉も明日から巻き込もう」

さすればあのグータラも治るだろう。

と、言うか、なんか俺も睨まれてるから俺も並んどこ。

『5分経ったぞ!!
さっさと変われ変われ変われ変われ!!!!
次は風呂だ!!!
早くしろ!!!
チンタラやってるんじゃぁない!!!』

いや、もう、ポテトサラダ口に押し込んで猛ダッシュしてますやん…
fmjではよく見る光景だけどさ。

「俺は部屋でシャワー浴びるしかないけどな」
「織斑くんだけ狡い!」
「織斑くんも食事は5分よ!!」

プレートに夕飯を盛って貰っていたら、女子群がワイノワイノと文句を言いだした。

『黙りなさい!
アンタ達は女なのよ!
軟弱な男と一緒が良いと言うの!!!
そんなヤツはサバゲ部には要らん!!
今すぐ私のサバゲ部から出て行け!!!』

私のサバゲ部って言うか、俺のサバゲ部だけどね。

取り敢えず、訓練教官は怖い。
千冬姉とか比じゃない。
ぶっちゃけ、千冬姉の方が優しいぐらいだ。
あのラウラですら泣きそうな顔してるもん。
セシリアとかもう、ブチギレ寸前で顔が真顔って言うね。

「やってるね~」

そこに生徒会長がやってきた。

「ああ、更識先輩」
「やぁ、一夏くん」
「先輩、こんなところにいると危ないですよ?」
「なぜだい?」
『貴様は何をしている!!!!
さっさと風呂に行かんか!!!!!!』

ほら、拉致られた。

「いや、私は『黙れ!
貴様の様な反抗的な奴は便所の蛆虫にも劣る糞だ!!
グラウンドを3周して来い!!!!!』
「い、いや、ですk『貴様が私に言えるのはser.yes.serだけだ!!
分かったか!!!』
「さ、サーイエスサー!!!!!」

さらば更識生徒会長。
こんな地獄にひょっこり顔を出すから…
全員合掌。

>>768 サーじゃねぇマームだ 

翌朝、朝の6時に起床ラッパが鳴った。
それと同時に、俺の部屋にはガーハイム砲兵軍曹がガンガンガンとフライパンとお玉を持って飛び込んできた。

『起きろ馬鹿者!!
何時まで寝ている!!!
さっさと起きて支度しろ!!!!!』
「sir yes sir!!!」

ベッドから飛び起きて、シーツをキレイに畳む。
昨晩のマームの怒鳴り声が外から聞こえてくる所を見るとどうやら女子も男子も関係ないらしい。

『ランニングをする!
さっさと用意しろ!!』
「sir yes sir!!!」

服を素早く着替え、廊下に出るとやっぱり、女子も同じ様に廊下にノロノロと出ていた。
全身筋肉痛らしい。
どんまい!

「おはよう諸君!
二日目も頑張ろう!!」

言うと睨まれた。
怖っ!
女怖っ!!!

グラウンドに出ると例によって3人の教官達。

「おはようございます」
「おはよう。
今日も頑張りたまえ」
「有難うございます!」
『お前はなかなかガッツがある奴だ。
立派な海兵隊になれるぞ』
「有難うございます!」
『さっさと走るぞ!
1,2,3,4!』

軍曹が駆け足を始めるのでそれに続く。

『mama and papa were laying in bed. 』
「ママとパパはベッドでゴロゴロ」
『mama rolled over and this is what she said; 』
「ママが転がり、こう言った」
『oh,give me some... 』
「お願い、欲しいの・・・」
『...p.t.! 』
「しごいて!」

朝からヒデェ歌だな、全く。

結果から言えば、我が防衛隊は突破された。
あの千冬姉とも互角に戦い勝ったのだ。
正直、登場シーンは何処かのウィザーのように格好付けてたが、実力あっての厨二登場。
無駄にカッコよかった。

「さて、俺を倒して初めてのゴールだってーのはわかってるよな?」
「ああ、お前のその格好を見てりゃ、わかるよ。
ほら、抜けよ」
「ヘッ、余裕ぶっこいてると、テメーの眉間にもう一箇所ケツ穴こさえることになるぜ?」
「そりゃぁ、どっちの話だ、ボケ」

弾が両肩程に足を開く。
俺も、腰のホルスターにセットしたガバメントにそっと手を伸ばす。

「ビビって降参するなら今のうちだぜ?」
「へっ、お前が小便臭いガキみてーにピーピー泣きながら命乞いするってなら考えてやらねーこともねーぞ?」
「抜かせよ。
来いよ、弾。
“男の子”だろ?」
「一夏ァァァァ!!!!!!」

銃声。

「腕を上げたな…
弾……」
「オメーこそ…
一夏……」

結果から言えば、相打ちだ。

「こういう場合ってどうするんだ?」
「お前の勝ちで良いよ。
千冬姉に部員達の防衛陣を切り抜けてきたんだ。
対したもんだ」
「へっ、俺を誰だと思ってんだ?
それよりも、お前、約束忘れんなよ?」

弾が俺に詰め寄る。

「わーってるよ。
待ってろ、今、のほほんさん呼ぶ」
「のほほんさん?」
「ああ、のほほんさん」

携帯を取り出し、のほほんさんを呼ぶ。
5分ほどしたらギーっと扉が開いた。

「やっほーおりむー」
「おー来た来た。
悪いけど虚さんに電話して暇作って貰えないか聞いてくれ。
こいつがどうしてもデートして欲しいってうるせーんだ」
「いーよ~」

のほほんさんは例によってのっそりとした動作で携帯を取り出すと、携帯をポチポチやり始める。
この動作が何とも言えないレベルに遅い。
なんと言うか、初めて携帯を使うおばあちゃんレベルだ。

「あれ~?
お姉ちゃんの電話番号ってどこかな~」

しらんがな。

「あ、あった~」

のほほんさんがまたポチポチやり始める。
俺と弾でその様子を見守ること5分。

「あ、お姉ちゃん?
やっほ~
元気~?」
『元気よ。
どうしたの?』
「うん~
あのね~
おりむーのお友達の子がね~
お姉ちゃんとデートしたいんだって~」
『はぁ!?!』

「なぁ、のほほんさんは俺に対して何か恨みでもあるのか?」

弾が俺の方を掴むとグラグラ揺する。

「ねーよ。
ああ言う人間なんだよ、のほほんさんは。
良くも悪くもマイペースだ」
「おりむーイイってさ~」

電話を終えたらしいのほほんさんがのソーっと俺に抱きついてくる。

「そうか。
悪いな。
やったな弾」
「おう。
てか、お前はなにナチュラルに抱っこしてんだよ」
「いや、これがのほほんさんとの礼儀だからさ」
「場所は食堂だよ~」
「お、おう、ありがとうな」

弾が意味わからんと言う顔で俺を見ると、キリングハウスを出て行った。

「さてはて。
取り敢えず、どうするかなぁ~」
「おりむーも休憩入ったら~?
きのーも全然回ってなかったよね~?」

のほほんさんが俺のm870を手に取る。

「そうだなぁ~
でも、ここ空けちゃダメだろ」
「じゃ~
おりむーの代わりに私がいるよ~」

大丈夫なのだろうか?

「と、取り敢えず、他のみんなに聞いてみるよ」

無線で尋ねると全員が賛成したのでちょっと他を回ることにした。

「しかし、改めて外に出ると…」

女子しかいねぇ…

「お、ちょうどいいところに」

そして、俺の目の前には生徒会長が。

「どうしたで御座るかwwwwww」
「ねぇねぇ、劇に出てくれる?」
「劇で御座るかwwww」
「そうそう。
シンデレラだよ」
「構わんで御座るwwwww
衣装はwwww
某がwwwwwwww
某が決めるで御座るwwwwwwwwww」
「え、いや、王子様役なんでその衣装が…」
「黙るがヨロシwwwwwww
王子様はと言ったらロングコートにアキンボwwwwww
そして背後には白い鳩が舞うで御座るwwwwwww
その中を歩く某wwwwwww
カッコよ過ぎるで御座るwwwwwwww」

「君、シンデレラと男たちの挽歌の何処に共通点があるのかな?」
「知wwwwwらwwwwwwwんwwwwwwwwwでwwwwwww御座るwwwww
だが、ユンファの格好良さは譲れねぇ…
ベレッタは任せろー」

背負っているリュックサックから二丁のベレッタf92を取り出す。
ありゃ、ベレッタかと思ったらpt92だった…

「参ったで御座るwwwwww
ベレッタじゃなくてwwwwwww
タウルスで御座るwwwwwww
しょうがないで御座るwwwwwwwww」
「ま、まぁ、君がいないと始まらないから行こうか」
「行くで御座るwwwwww
メイキシカン・スタンドオフを再現するで御座るwwwwwwウハwwwwバロスwwwwww」

連れて行かれた先は体育館。

「ささ、さっさと着替えて」
「いや、ここはm76で行くぞ。
某が特別改造した張さん仕様の『天帝双龍』!!
スーツとロングコートにグラサンとポマード!!!」
「いや、シンデレ「いいから持って来い、彪!」

言うと会長は首を振って脇の演劇部員に言う。
そして、俺のサイズぴったりのスーツとロングコートにグラサン。
あと、ポマード。
髪をべったり七三にし、グラサンをかける。

「マークじゃないが、それはしゃーない。
電子タバコもまぁ、いい。
じゃあ、行こうぜ王子様」
「へ?」

そして、察しの良い演劇部員たちは会長に王子様の格好と王冠、マスケラをかぶせる。

「さぁ、『ショー・タイムだ』」

舞台袖から王子様の腕を引いて舞台へ躍り出る。

>>913 体育館× 第5アリーナ

「死に晒せぇ!!!!」

そこに誰かが斬りかかってくる。

「!?」

斬りかかってきたのは鈴だ。
両手に飛刀を持っている。
しかも、何故かドレスにガラスの靴まで履いて。

「当たるかよぉ、『ですだよ』!!」

天帝から6mmbbをぶち込んでやる。

「イギャッ!?」

鈴は顔面にモロに食らって揉んどりうってずっこける。

「ほら、王子様。
足元に注意して」
「わ、私が狙われているんじゃないか!?」
「ああ、どうせ、その王冠を取ったらどうのこうのだろう?
誰がそんな手に乗るか」

「そこに直れぇぇ!!!」
「王冠をよこせぇぇ!!!」

今度は箒とラウラだ。
箒はポン刀でラウラはタクティカルナイフを2振り。
ラウラのナイフs&wのクリップポイントじゃねーかよ!
一本欲しい!!

「させねーよ?」

箒とラウラにそれぞれ弾丸を叩き込む。
箒は咄嗟に自分の中心線を刀で庇い、ラウラは横に飛ぶ。
箒に向けた狙いは、狙いが良すぎて、放たれたbb弾は刀に当たった。
ラウラの場合は近くのテーブルをひっくり返して盾に。
実弾なら貫通……22lrじゃ無理だな。
なんの材質か、鉄だ。
しかも1cmは固いようだし…
30口径、この距離なら22口径のライフルがなきゃ無理だな。

「くらえ!!」

ラウラが何かを放り投げてきた。

「手榴弾!?!」

会長が逃げようとするので足を引っ掛ける。

「落ち着けよ、王子様。
こういうのはな…」

転がってくるdm51。
弾殻が外してあるな。
それをつま先でラウラの隠れるテーブルへ蹴り返す。

「う、うわぁぁ!?!」
「ビビったら負けなんだ」

ラウラが飛び出してくるのでそこに弾丸を叩き込む。

「な?」
「手榴弾を使うなんて聞いてない!!!!」

王子様が半泣きで叫ぶ。
自分は高みの見物を決め込むからそうなるんだ。
これに懲りたら、俺を変な企画に巻き込まんことだな。

さて、残るは箒だ。

「ヌロォォォ!!!!」
「当たらんなぁ!」

振り下ろされる刀を寸でで避けて、刀を踏みつける。
モノホンだぞ、これ…

「チィィ!!
邪魔だ七三!!
王冠は私のもだ!!」
「ちゲーよ俺のもんだよ!」

箒の刀を踏み折り、腹に蹴りを入れる。

「グァ!?」
「悪いな。
王子様、さっさと歩け!
非常口に向かえば手榴弾は飛んでこないぞ!!」
「わ、分かった!!」

さて、ここで出てきていないのはセシリアとシャルだ。

「そこだな!」

少し離れた暗がりに弾を撃ち込む。

「きゃぁ!?」
「アホめ」

セシリアはどうやら狙撃のようだな。
狙撃銃は何を使ってるのか知らんが、レーザーポインター使ってるような素人はダメだ。
今度はstaの訓練教官を呼ぼう。
生憎、俺には狙撃の才能はない。
白式があればハスコックやヘイヘもビックリな狙撃ができるけどな!

「う、うぉぉぉ!!!」
「!?」

今度はシャルだ。
ボディーブンカーを構えて俺に突進してくる。

「先ずは護衛から潰す!」
「一時休戦だ!」
「セシリアは援護しなさいよ!!」

そして、その後ろにはラウラ、箒、鈴が続いていた。
俺って気がついてないのかよ…

「それでこそ、我が部員だ」

だが、甘い。

「今だぞ王子様!!」

明後日の方向を見ながら叫ぶ。

「何っ!?」

全員が一斉に俺の視線を辿るが、その先には誰もいない。

「フェイクだ!!」

ラウラが叫ぶ。

「遅い!」

シャルのボディーブンカーを蹴飛ばし、踏み台にする。
その後ろにいたラウラの顔面に弾を叩き込み、箒の肩を踏み台に。
そして、その背後にいた鈴が咄嗟に右ストレート。
生憎、俺には足は2つあるんだよ。

「おりゃ!」

右手を左足で蹴飛ばし、そのまま踏み倒す。

「動くな」

よろめいている箒を掴み、セシリアのいる方角に向けて盾にする。

「まだ詰めが甘いんだよ。
そんな事じゃ冠は取れねーぞ?」
「き、貴様は、一夏じゃないか!?!」

盾にしていた箒が驚いたように首を巡らす。

ミステリアス・レイディだと思うが

>>926 ありがと うる覚えはいかんな

「さぁ、名を名乗れ」

isが強制解除されたらしく、スーツ姿に戻った謎の女に銃口を向ける。

「誰がいうk「お前の意見は聞いていない。
俺が『言え』と言ったんだから言え」

左膝に一発弾丸をブチ込む。
女はギャァアァァと喚きだしたのでさらにもう一発。
これで、完全に左膝は壊れたな。

「お前、ぜってー、世に言う秘密結社的なアホな連中の集まりだろう。
んで、あのisみたいなロボットと考えるにクソッタレの篠ノ之束と関わりあるだろう。
取り敢えず、お前が知っている情報を洗いざらい吐いてもらう」

両手を撃ち抜き、毒などを飲ませないようにする。
ちなみに、舌を噛み切って死ぬという方法はぶっちゃけ非効率だ。

舌を噛み切って死ねる確率は余程の覚悟がなけりゃ大抵は重傷を負うだけで死ねない。
考えてもみろよ、舌噛み切って死んでもそこまで大きな血管が入ってないんだぞ?
死ぬのに時間かかる上に無駄に痛さでのたうちまわるだけだ。
だったら、やらないほうがいい。

「セシリア、千冬姉を読んできてくれ。
箒達はこのドアホを縛れ。
ラウラ、ナイフを貸してくれ」

ラウラからナイフを受け取る。

「さて、今からゲシュタポやkgbも裸足で逃げ出す拷問をするぜ、クソッタレ。
吐くならな今の内だ」
「誰が言うかb「オーライ」

膝にナイフを突き立てる。

「や、やめろ一夏!!」

ラウラが慌てて俺からナイフを取り上げようとする。

「ダメだ、ラウラ。
こいつは会長を殺そうとした。
俺と勘違いしてな。
つまり、こいつの狙いは俺だ。
俺を殺そうとするんだから、そいつは悪だ。
俺は静かに暮らしたいんだ。
今まで、俺から何か恨まれるようなことをした覚えはない」

一夏の言葉に全員が『嘘だ!』と叫びたかったが、誰も言わない。

「こいつは俺の邪魔をするわけだ。
つまりは、死んでも文句はいねぇ。
あと、俺がこの敷地内でこいつを殺しても、誰にも罰せられることはない。
まぁ、この学校を退学になるかもしれんが、それはそれで、俺にとっては万々歳だ」

つーか、こいつを殺したほうが、俺的には安全かつ安心な生活ができるんじゃないか?

「さぁ、吐け。
お前の上司と、isを与えた黒幕を」

突き刺したナイフをグリグリと回し、膝をほじくる。

「やめろ一夏!
それは私の仕事だ!!」

そこに千冬姉とセシリアが帰ってくる。

「お早いお着きで。
お前、千冬姉はこんな優しい尋問はしねぇからな、覚悟しろよ?」
「一夏、もう、気絶してるよ……」

その後、謎の女は千冬姉に連行され、どうなったのかは知らない。
だが、どうやら、亡国企業とかそんな感じの秘密結社が関わっているらしい事を千冬姉が伝えて来たが、俺はできる限りかかわらないようにした。
ちなみに、文化祭は何事もなかったかのように再開させ、我等がサバゲ部と1組2組共同の企画が堂々優勝。
サバゲ部は見事、部活として認められた。
ちなみに、部員は1組2組の生徒全員入る事になり、隔週で海兵隊からガーハイム砲兵軍曹が来てくれる。
あと、王冠争奪大戦争は事件のせいで有耶無耶になりかけたが、何故かのほほんさんがそれを持っており、のほほんさんの優勝で終わった。

「なんで持ってたの?」
「え~?
おりむーのあと付けてたら~
がっちゃーんて大きな落としたら会長が戦って~
脇にこれが落ちてたの~」

との事だ。

「いや、なんというか、俺の部屋ベッド1つしかないし」
「二つあるはずだろうが」
「いや、一個はばらしてスペース作ったんだ」
「馬鹿かお前は!
学校の備品を壊すやつがあるか!!!」

ここにいるけどな。

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