安部菜々「あべななじゅうななさい」 (30)
はじめに
アイドルの年齢設定は、公式設定とは一切関係ありません。
モバP(以下、P)「天下のN○Kから仕事のオファーが来たのは嬉しいが」
『○HKスペシャル 今こそ語ろう戦後七十年』
P「こんなテーマじゃ、ウチのアイドル達は何も話せないだろ……常識的に考えて。
なあ?」
安部菜々(永遠の17歳)「デ、デスヨネー」(滝汗)
http://imgur.com/xXw5hVF.jpg
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420877868
P「俺が生まれる前には、バブル景気ってのがとっくに終わってた。
戦争どころか、好景気すら知らないのが、俺らなんだよなあ」
菜々「でも、どんな時代もそれなりの苦労はあったはずですよ?
月日が経つにつれて、思い出は綺麗になっていくものですって」
P「そんなもんかねえ」
菜々「たとえばですね。
炊飯器も、掃除機もない。そんな時代の家事は、本当に一苦労でした」
P「……安部さん?」
菜々「お、おばあちゃんが言ってました! キャハッ☆」
P「よし。この仕事、君に決めた!
『お母さんやおばあちゃんから聞いた』話でいいから、存分にしてきてくれ!」
菜々「」
収録当日
司会「次に、若者世代の代表として、アイドルの安部菜々さん17歳におこしいただきました」
菜々「ナナはまだJKですから、昔の話とか全っ然できませんけど!
よろしくお願いします」ペコリ
1945年8月15日
司会「この日、日本は無条件降伏し、戦後が始まったのです」
菜々「とても暑い夏の日。
小学校の校庭で玉音放送を聞きながら『戦争は終わったんだ』と、ぼんやり考えてました」シミジミ
司会「あ、安部さん?」
菜々「お、おばあちゃんから聞きました!」
司会「そうなんですねー。その頃に流行していた曲が、こちら」
赤いリンゴに唇寄せてー♪
菜々「黙って見ている青い空ー♪ ハッ!?」
司会「よく『リンゴの唄』を知ってますね。おばあちゃんが歌っていましたか?」
菜々「そ、そうでーす☆ あの頃は、新宿のヤミ市に行かないと食べ物もなくて。
今はいいですよ、落花生食べ放題、ビール飲」
http://imgur.com/xQcMAXU.jpg
司会「ファッ!?」
しばらくお待ちください
1964年10月10日
菜々「ナナはJK、ナナはJK……」ブツブツ
司会「混乱期から日本は少しずつ、経済的に立ち直っていきます。
安部さんは『三種の神器』という言葉をご存知ですか?」
菜々「えーと、この時代の話だから……
『白黒テレビ』
『洗濯機』
『冷蔵庫』
ですね!」
司会「そ、そのとおり! 安部さん、大正解!
これら家電製品が、1950年代の庶民の憧れだったんですよ」
菜々(まずい、ピンポイントで当てちゃった)
菜々「テレビといえばチャンネルは回すものだった……と、お、お母さんが言ってました」
司会「そしてテレビは白黒からカラーへ。
昭和33年の東京オリンピックを契機に、普及が進んでいきます」
菜々「2020年の東京オリンピック、楽しみですっ☆
生きてる間に、もう一度東京でオリンピックが開催されるなんて……
おおお、おばあちゃんには長生きしてほしいです!」
1972年2月19日
司会「その後も日本の経済成長は続きますが、いろいろな事件もありました。
中でもお茶の間に衝撃を与えたのは、連合赤軍が山小屋に立てこもり、警察と死闘を繰り広げた
『あさま山荘事件』です」
菜々「鉄球がビューンと飛んで行く、あの攻防戦!
ナナもテレビの前に釘付けになりました……さ、再現ドラマの話ですよ?」
司会「映画にもなりましたしね。
確かに暮らしは便利になっていきましたが、世界的にはアメリカとソ連を中心として、冷戦のまっただ中。
国内も公害など少なくない問題を抱え、漠然とした不安が覆っていたのです」
菜々「あの頃は、ソ連がなくなるなんて思ってもみなかった……って、お父さんが言ってました」
アイドルブーム
司会「さて、今度はもう少し明るい話をしましょう。
このイントロ、何の曲かわかりますか?」
デンデンデン、デデデデンデンデン、デデデデンデンデン、デデデデン
菜々「ユッフォー!……あ」
司会「うまいですね! そう、ピンクレディーの『UFO』ですねー。
他にも1970年代にはキャンディーズ」
菜々「『普通の女の子に戻りたい』って言葉、ジーンと来ました」
司会「1980年代に入ると松田聖子や中森明菜などなど、数限りないアイドルが人気を競う戦国時代に突入」
菜々「ナナ……のお母さんも『夕やけニャンニャン』の『アイドルを探せ』に応募したんですが。
テレビに出ることすらできなかったですね。デビューまで本当に長かったです……」シミジミ
AD「安部さん、他局の話ですよ!」ヒソヒソ
菜々「す、すみません!」ヒソヒソ
司会「そして最近では、シンデレラガールズプロジェクト。
小学生からサンタまで、アイドルの可能性がさらに広がっています」
菜々「2015年1月9日からアニメも放送開始です! キャハッ☆」
AD「だから他局の話はやめて差し上げろ!」
1989年1月7日
司会「この日、昭和天皇が崩御され、時代は昭和から平成へ」
菜々「いろんなイベントが自粛されたんですよね」
司会「日本は空前のバブル景気に突入。
このような派手なファッションをする女性が、見られるようになりました」
ジュリ扇にボディコン
http://imgur.com/qH8zaPx.jpg
ハイレグ
http://imgur.com/jAJf9yP.jpg
菜々「早苗さん……」ドンビキ
司会「しかしバブル崩壊とともに、日本経済は長い低迷の時代へ。
冷戦終結後、世界情勢もむしろ混迷を深めています。
今年こそ、希望の持てる一年になるのでしょうか?
安部さんは、どう思いますか」
菜々「ナナはまだ17歳だから、今日はとても勉強になりました」キリッ
司会(昔のことを知りすぎているんだよなぁ)
菜々「確かに、昔は今よりいい時代だったのかもしれません」
司会「ふむふむ」
菜々「でも、過去に戻ることはできない。
だったら私達が、今日と明日をもっといい時代にしていくしかない、って思いました!
キャハッ☆」
司会「今日はありがとうございました。
それでは最後に一曲、歌っていただきましょう。
『川の流れのように』」
菜々「知らず知らず歩いてきた 細く長いこの道ー♪」
菜々「でこぼこ道や曲がりくねった道 地図さえない それもまた人生ー♪」
司会「いくつも時代は過ぎて……か。
なんだか安部さんの歌声には、説得力があるなぁ。
17歳なのに」
数日後
P「この前の仕事、なかなか好評だったぞ。
『近頃の若者とは思えないくらい、よく勉強している』って」
菜々「そ、そうですか……ハハ、複雑な気分……」
P「俺も頑張って、懐メロカバーの仕事でも取ってくるかな!」
菜々「あの、17歳相応の仕事で結構ですので……」
終
制作・著作 NH○
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