【ラブライブ】年越ししりとり (117)
ラブライブSSは初にゃ
短めのつもりが長くなったにゃ
カプ要素あるけどあんま意識してないにゃ
読みにくかったらごめんにゃ
好きなのはかよちん
投下しまうす
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神田にあるとある神社
穂乃果「今年ももう終わりかぁ」
海未「早いものですね」
穂乃果「あ、海未ちゃん! 私知ってるよ! 」
海未「はい?」
穂乃果「こういうの、えっと、何て言うんだっけ? コインが……コイン……あれ?」
海未「知っているんじゃないのですか…」
ことり「光陰矢の如し、だよ。穂乃果ちゃん」
穂乃果「そうそれ! 惜しかったなぁー」
海未「いえ、全然違いましたよ」
穂乃果「いやいや、喉のこの辺まで出てきてたんだよ! ほんとに!」ベー
ことり「穂乃果ちゃん、そこはもう喉じゃないよ…」
ニャー!
海未「おや?」
穂乃果「どしたの? 海未ちゃん」
海未「いえ、どこからか凛のような声が聞こえた気がして」
穂乃果「えっ、そうかなぁ?」
マタハズレタニャー!
穂乃果「あ、たしかにそうかも!」
ことり「私にも聞こえたよ〜」
海未「どこから聞こえるのでしょうか?」キョロキョロ
穂乃果「んーー………あっ! あそこ!」
凛「にゃー! 掠った! 今掠った! 悔しいぃぃ!!」
的屋「はっはっは。 惜しいな嬢ちゃん、次は当たるかも知れんぜ?」
凛「つ、次こそ……!!」
ことり「よく見えないかど、射的……かな?」
海未「そのようですね」
穂乃果「あは、なんかちょっとギャラリーができちゃってるね」
海未「まぁ、あれだけ騒いでたら立ち止まる人もいるでしょう」
ことり「あ! 花陽ちゃんもいるよ」
穂乃果「ほんとだ! 私声かけてくるねっ」ダッ
海未「あっ、ちょ、穂乃果! こんな人混みで走っては…!」
花陽「凛ちゃん、ラスト一回だよ! 頑張って!」
凛「負っけないにゃ〜〜!」
タタタタ…
穂乃果「おーーい!」
花陽「えっ? 穂乃果ちゃん?」
凛「えっ?」クルッ
穂乃果「凛ちゃーん花陽ちゃー…」
ガッ
穂乃果「うわっとぉ!?」
凛「にゃっ!?」
パンッ
穂乃果「うっ」
花陽「!?」
海未「穂乃果っ!!」
凛「……」
凛「……えっ?」
穂乃果「……え?」
穂乃果「…………あ、あれ…? 痛…」フラッ
海未「…ッ!!」
ドサッ
ことり「ほ、穂乃果ちゃん!?」
花陽「あ、あわわ…っ」
凛「………えっ?」
海未「穂乃果! 大丈夫ですか!? しっかりして下さい!! 穂乃果っ!!」
穂乃果「……」シーン
ことり「そん…なぁ……穂乃果ちゃ…」
花陽「息……してない…?」
海未「穂乃果っ! 穂乃果ぁぁ!!!」
ことり「いやぁぁぁあああああ!!」
凛「………えっ?」
海未「……なんてことになりかねないッ!?」クワッ
ことり「なりかねるよぉ〜」
凛「いっくぞー! そぉ…」
穂乃果「りーんちゃんっ!」ダキッ
凛「れっ!?」
花陽「あぁっ!」
穂乃果「ん? あれ、ひょっとして今…」
凛「な、な……」
凛「何するにゃぁぁ!!」
穂乃果「うわぁぁ! り、凛ちゃん待って待って! 投げる最中だとは思わなかったんだよー!」
凛「ウソにゃ! 見ればすぐ分かるにゃーー!!」
穂乃果「ほんとだってばぁ〜!」
凛「ううっ、凛の渾身の一発が…最後の一発が……」
穂乃果「ごめん、ごめんね、凛ちゃん」
海未「はぁ、やっと追いつきました。射的ではなく投てきだったのですね」
海未「って、どうしたんです?」
凛「うぅぅ…」
穂乃果「え、えーっとですね」
海未「あぁ……なんとなく察しました」
ことり「穂乃果ちゃん…」
穂乃果「あは、あははー」
花陽「り、凛ちゃん」
凛「……」
花陽「凛ちゃん、あのね?」
凛「かよちん……今は、ほっといてほしいにゃ」
花陽「え、ええっと…」
スッ
凛「……えっ?」
的屋「ほらよ、嬢ちゃん」
凛「これ、凛が狙ってたストラップ…?」
的屋「持って行きな」
凛「ほ、ほんとに? 貰っていいの?」
的屋「ああ」
凛「…!!」パアッ
凛「や、やったぁ! おじさんありがとう!!」
的屋(おじさん……いやまあ、そうだな)
穂乃果「やったね凛ちゃん!」
凛「うん!」
凛「でも、どうして…?」
的屋「どうしてってもな」
花陽「り、凛ちゃんあのね」
凛「かよちん?」
花陽「その…当たりだったんだ」
凛「当たり? って、なんの話にゃ?」
花陽「だから、凛ちゃんの投げたボールがね、的に当たって倒してたの」
凛「……」
凛「ええええ!??」
的屋「そういうこった。だから、これはおまけとかじゃあなく、単純に嬢ちゃんの獲得した景品なのさ」
凛「お、驚いたにゃー」
花陽「うん。すごいよ、凛ちゃん!」
穂乃果「結果オーライだね!」
凛「えへへ…ありがとう」
凛(……む?)
凛「でもこれ、景品取れたのはいいけど、ボールが当たったのは穂乃果ちゃんのおかげだから、凛自身はまだ勝ててないってことになるよね?」
花陽「えっ? ま、まぁ…そう…なのかな?」
穂乃果「確かに、手柄は全て私にあると言えるねっ!」
海未「穂乃果」
穂乃果「ごめんなさい」
凛「ぐぬぬ……これはいけないにゃ! おじさん! もう一回!」
的屋「ごめんよ嬢ちゃん。看板にも書いてるけど、景品取れちゃった人はその日はもうできないってことにしてるんだ」
凛「が、がーん…そんなぁ」
穂乃果「凛ちゃん…」
穂乃果「あっ! じゃあさ、私がやるから、それを凛ちゃんが投げればいいんだよ!」
凛「おおっ!」
海未「いけません」
穂乃果「ええっ? なんで?」
ことり「穂乃果ちゃん、ずるはよくないよ」
穂乃果「えー? ずるいかなぁ? だってそもそもさっきのは凛ちゃんの実力じゃないわけだし、実質景品取ったのは私みたいなもんだし」
凛「…それはそれで不服にゃ」
海未「屁理屈です。決まりなんですから、いけません」
穂乃果「いいじゃん! 海未ちゃんのケチー」
海未「私がケチかどうかの問題じゃないでしょう!」
花陽「ま、まあまあ2人とも…」
的屋「よかったらまた明日きてねー」
凛「勝てなかったのは悔しいけど、ラーメンのストラップもらえてよかったにゃ〜」スリスリ
花陽「よかったね、凛ちゃん」
海未「さて、これからどうしましょうか」
ことり「せっかく会えたんだし、一緒に回ろうよ〜」
凛「そうするにゃ! いいよね? かよちん」
花陽「うん、もちろん!」
穂乃果「よおっし! それじゃあ次はあそこに…」
花陽「あっ、待って待って!」
穂乃果「花陽ちゃん?」
花陽「真姫ちゃんも一緒なんだ。お花を摘みに行くって言って、それで凛ちゃんと射的屋さんで待ってたの」
穂乃果「そっか、真姫ちゃんも来てるんだっ」
凛「そういえばそうだったかも! 」
花陽「ワスレテタノォ!?」
凛「すっかり忘れてたにゃ…いたっ!」コツン
真姫「忘れないでよ。失礼ね」
凛「あ…真姫ちゃん」
穂乃果「おお! やっほー真姫ちゃん!」
真姫「二年生組も来てたのね」
海未「ええ。先ほど偶然見つけて合流しました」
真姫「ふぅん」
真姫「で、それで一緒に行動するってこと?」
海未「そのつもりでしたが…」
ことり「真姫ちゃん、もしかしてイヤだった?」
真姫「えっ?」
凛「えー!? なんでさ! 皆のほうが楽しいよ!」
真姫「べ、別にイヤなんて言ってないじゃない!」
真姫「ただ結構混雑してるから、あまり人数多いと移動も大変そうって思っただけよ」
ことり「なぁんだ。よかった〜」
海未「でも確かに、真姫の言うことは一理ありますね」
花陽「移動も大変だし、それに、はぐれちゃうかも…」
穂乃果「だけど、多いほうが一緒にいる人数が増えるんだから、はぐれにくいんじゃないの?」
真姫「そうとも限らないわ。監視の目は増えるかもしれないけど、それと同時に監視される側も増えてるのよ」
穂乃果「うーん、じゃあ変わらないのかな?」
真姫「それだけじゃない。人数が増えることによって、逆にはぐれやすくなり得るの。監視の質が下がるせいでね」
穂乃果「監視の…質? どゆこと?」
凛「凛も分からないにゃ」
真姫「具体的に考えてみて」
真姫「例えば穂乃果と海未が2人で出かけたとして、人混みの中でふらっとはぐれた場合、気づくのはいつ?」
穂乃果「そんなのすぐ気づくよ! 海未ちゃんがいなくなっちゃったら私どうやって帰ればいいか分かんないもん!」
海未「私をナビみたいに言わないで下さい」
真姫「でしょ。じゃあ次、μ’s メンバー全員で出かけたとして、人混みの中でふらっとにこちゃんが消えた場合、気づくのはいつ?」
穂乃果「そんなの…… あれ? いつだろう?」
真姫「ね?」
穂乃果「でもでも、それはにこちゃんと一緒に話してた人が気づくから大丈夫だよ!」
真姫「そうかしら? グループにいるからと言って、必ずしも誰かとの会話に入っている保証はないわ。例えば、メールを打っている最中とかね」
穂乃果「それは…そうかも」
真姫「同時に、もし側にさっきまでいたにこちゃんがいなくなっても、今穂乃果が言っていたように『他の誰かと一緒にいるだろう』っていう心理が少なからず働くはず。油断と言ってもいいわね」
真姫「そういった場面や油断は、人数が多ければ多いほど生じやすい。よって、大人数であるほど、集団行動の中ではぐれやすくなるのよ」
穂乃果「ほ、ほぇー…」
凛「すごいにゃ! さすが真姫ちゃん、天才は伊達じゃないにゃ」
真姫「やめてよ。所詮は持論だから、なんの根拠もないんだし」
ことり「というか、どうして例えがにこちゃんなの?」
真姫「い、意味なんてないわよ別に!」
海未「なんにしても、かなりの説得力でした。少なくとも私ではすぐに反論できません」
花陽「私も…」
ことり「それじゃあ、ここでお別れするしかないのかな?」
穂乃果「そんなぁ〜! せっかく会えたのに」
真姫「そのほうがリスクが少ないってだけで、絶対じゃないから」
花陽「でももし1人きりではぐれちゃったりしたら……私、私…!」
凛「だーいじょうぶ! かよちんは凛が絶対に離さないから!」
穂乃果(離さない…?)
穂乃果「…!」
穂乃果「そうだ! いいこと考えたっ!」
ことり「穂乃果ちゃん?」
海未「いいこと、とは一体…?」
穂乃果「皆でまわれて、1人ではぐれない方法〜」
海未「もう思いついたのですか」
真姫「どうするの?」
穂乃果「簡単だよ! こうするのっ!」
ギュッ
海未「ひえっ!? ほ、穂乃果!?」
穂乃果「ね?」
真姫「何が、ね? なのよ…」
ことり「う、海未ちゃんに抱きついて歩くってこと?」
海未「な、何を言っているんですかっ!」
穂乃果「ちーがーうーよー…それじゃ海未ちゃんが歩きにくいじゃん」
凛「あ! 凛わかったにゃ!」ピコーン
穂乃果「おっ、凛ちゃん選手、回答をどーぞ!」
凛「えっとねー、じゃあ、かよちん」
花陽「えっ?」
凛「かよちん! 真姫ちゃんに後ろから抱きつくにゃ!」
真姫「ヴェエエ!?」
花陽「ま、真姫ちゃんに?」
凛「そうにゃ! ドーンと行けー!」ドーン
花陽「ほわぁっ! っと、と…!!」ダキッ
真姫「ちょっとぉ…!?」
凛「そしてー……こうにゃ!」ダキッ
花陽「えぇえ!?」
真姫「な、ど、どうなったの!?」
凛「さぁ、海未ちゃん! 凛の後ろにつくがいいっ!」
海未「そこにですか!?」
凛「それからことりちゃんが穂乃果ちゃんの後ろに抱きつく! 電車ごっこみたいにするんだにゃー!」
ことり「あ、あはは…」
穂乃果「なるほど! 違うよ!」
真姫「違うんじゃないっ!」
凛「え?……間違ってるの?」
花陽「凛ちゃ〜ん…」
穂乃果「ま、発想はいいセンいってるよ!」
海未「で、本当はどうするんですか?」
穂乃果「ぶっちゃけ、抱きついちゃったのは勢いだから、そこまでしなくていいんだけど」
海未「……」
穂乃果「うーんと、これが一番いいかな」
ニギッ
海未「…!」
ことり「…手?」
穂乃果「ことりちゃんも、はいっ」
ことり「あ、う、うん!」ニギッ
凛「おおー」
穂乃果「こうやって、みんなで手繋いで歩いたら、はぐれたりしないよね?」
花陽「た、確かに」
真姫「そりゃそうだけど…」
海未「あ、歩きにくくないですか? 」
穂乃果「そんなことないよー! 歩いてみる?」
海未「えっ? あ、こら勝手に…!」
テクテク
海未「……」
穂乃果「全然大丈夫。ね?」
海未「ですが…」
ことり「歩けても、これだと穂乃果ちゃん両手使えないけど、いいの?」
穂乃果「ぜーんぜ…」
穂乃果「いや…それは少し不便…かも」
ことり「だよね〜」
凛「欠点があったにゃ」
花陽「ううん、難しいねぇ」
真姫「っていうか、凛と花陽! いい加減離れなさいよー!」
穂乃果「ダメかぁ〜、いい案だと思ったんだけどなぁ」
海未「2人ならどうでしょう?」
穂乃果「2人? ペアってこと?」
真姫「なるほど。それなら片手は自由に使えるわね」
凛「…? ペア行動じゃ意味なくないかにゃ?」
花陽「あくまで行動はみんなでするってことじゃないかな」
凛「なぁんだ! それならいいにゃ!」
真姫「団体からはぐれる可能性がなくなるわけじゃないけど、他のペアを見失わないようにするって意識が生まれるし、仮にはぐれても1人きりで取り残されることはないものね」
穂乃果「いいよいいよー! それでいこう!」
海未「となると、今度はどの組み合わせにするか、ですね。6人だからきちんと割れますが…」
凛「凛はやっぱりかよちんとかにゃ? あ、でも真姫ちゃんも捨てがたいにゃー」
真姫「捨てがたいって何よ」
穂乃果「真姫ちゃんは、誰か組みたい人いる?」
真姫「私は穂乃果以外なら誰とでもいいわ」
穂乃果「ままま真姫ちゃん!? ひどいよ!?」
真姫「だ、だって! ペアなんか作ったら絶対抱きついてきそうじゃない!」
海未「否めませんね」
穂乃果「しょんなぁ〜…海未ちゃんまで…」
ことり「ううん、ここはくじ引きかなぁ?」
真姫「紙とペンはあるの?」
ことり「そういうのは持ってきてないけど…」
凛「くじ引きならあるよ!」
花陽「凛ちゃん? なんか持ってきてたっけ?」
凛「なーんにも?」
花陽「えぇぇ…」
凛「そうじゃなくて、初詣に来たら大体あるにゃ!」
花陽「…?」
海未「あっ、えっと、おみくじ…ですか?」
凛「いぇす、うぃー、きゃんにゃ!」
穂乃果「おみくじかぁ! なるほどー」
海未「まぁ、紛れもなく、くじですが」
真姫「こういうことに使っていいものなの?」
穂乃果「希ちゃんがいたら、呪いかけられたりしそうだね」
ことり「でも、結局は自分の運勢占いだし、大丈夫なんじゃないかなぁ?」
真姫「それもそうね」
海未「おみくじで決めるにしても、分け方が煩雑になりませんか?」
凛「結果が同じだった人とじゃダメなの?」
海未「ですから、そううまくペアが作れる結果にならない場合です」
海未「例えば、全員『凶』などであれば組み合わせようがありませんし」
穂乃果「例えがネガティブすぎるよ海未ちゃん…」
凛「か、考えてなかったにゃ」
海未「しかし、別の案となると…」
ことり「おみくじじゃなくて、あみだくじはどう?」
花陽「あっ、花陽もあみだくじを考えていました!」
凛「おお! それいいにゃー!」
穂乃果「私も! さんせーい!」
海未「お手軽ですし、それが良いですね」
真姫「だから、紙もペンもないんでしょ?」
ことり「なくてもできると思うよ。うーんと、ここから抜けていいかな」
真姫「….? どこにいくのよ」
ことり「ここでいっか」
真姫「どういうこと? ただのお店の裏側じゃない」
海未「真姫はあまり経験がないかも知れませんね」
花陽「かもねぇ」
真姫「なんなの? 説明してよ」
ことり「場所にこだわりはないけど、書きやすい地面を探してたの」
真姫「地面?」
凛「ことりちゃん! 木の枝使うかにゃ?」
ことり「うん! ありがとう凛ちゃん」
カキカキ
真姫「ああ……そういうことね」
ことり「でーきたっ♪」
ことり「下に1、2、3の数字を2つずつランダムで書いてハンカチで隠したから、名前を書いて、好きなところに1本ずつ線を足していく感じでいいよね?」
海未「そうですね」
真姫「いいわ」
穂乃果「はいはーい! じゃあ私からっ!」
凛「その次は凛にゃー!」
花陽「わ、私は余ったところでいいかな」
ことり「では、ペアを確認しまぁす」
穂乃果・凛「「おーっ!」」
ことり「1番のペアは〜〜………」
穂乃果・凛「「どきどきどきどき」」ドキドキドキドキ
真姫「いや…みんなで結果見てたじゃない。これやる必要あるわけ?」
海未「必要はないですが、雰囲気でしょう」
花陽「つられて緊張してきちゃったよぉ…」
ことり「じゃじゃんっ! 穂乃果ちゃん・真姫ちゃんペアでーす」
オオー!! パチパチパチ…
穂乃果「わーい! いっちばーん!!」
真姫「はぁ…ほんとに穂乃果と組むなんて。ていうか今の歓声と拍手誰よ…」
ことり「どんどん行きまぁす! 続いて2番のペアは〜〜……」
穂乃果・凛「「どきどきどきどき」」ドキドキドキドキ
ことり「はいっ! 海未ちゃん・花陽ちゃんペアー!」
オオー! パチパチパチ…
真姫「だから誰なの…」
海未「花陽、よろしくお願いしますね」
花陽「は、はいっ!」
ことり「さてさて、残るは3番ペア、いったいどんなペアなのか〜〜!?」
穂乃果・凛「「どきどきどきどき」」ドキドキドキドキ
真姫(もう何も突っ込まない)
ことり「じゃじゃじゃんっ! な、なんと、ことり・凛ちゃんペアでぇーす!」
オオー! パチパチパチ…
真姫(突っ込まないわ…)
穂乃果「ぬぁんだっとぅええーー!?」
凛「よ、予想外だにゃあーー!!」
真姫(突っ込まない…絶対突っ込まないんだから!)
ことり「よろしくね、凛ちゃん♪」
凛「ヘイ、ユー! ミーに任せるにゃ!」
真姫「突っ込まない突っ込まない突っ込まない…」カタカタカタ
花陽「ヒィッ!?」
睡魔でコピペすら危ういのでいったん止めます
1レスが長くてすみません
海未「それでは、ペアごとに手を繋いで歩きますが、周囲に気を配ること。順番などは特に決めませんので、他のペアを見失わないよう、お互いに時折確認し合うことが望ましいでしょう」
一同「ハーイ」
穂乃果「海未ちゃん、ガイドさんみたいだね!」
ことり「ガイドさぁん、最初はどこへ行きますかー?」
凛「ガイドさんガイドさーん!」
海未「あの…ガイドさんはやめてください」
穂乃果「えー? かっこいいのに」
海未「なんか恥ずかしいからです!」
海未「まったく……まあいいです。私が決めていいのなら、小腹が空いているので、まず何か食べたいですね」
真姫「私も。お腹すいたわ」
凛「凛はラーメンがいいなー」
花陽「ううん、ここの露店にラーメンはないんじゃないかな?」
凛「がーーん」
真姫「それにラーメンなんて食べたら、それだけでお腹いっぱいになっちゃうじゃない」
凛「そっかー…じゃあ…別のにするにゃ…」
海未「なかなか決まりませんね」
穂乃果「まわりながら決めればいいんじゃない?」
ことり「私も、穂乃果ちゃんと同意見かなぁ」
海未「むう… 確かに、ここで考えていてもキリがなさそうですね。そうしましょうか」
穂乃果「そうしよう! まーきちゃんっ!」
真姫「っ!」サッ
穂乃果「ええぇー…」
真姫「あ、ちが… び、びっくりしたのよ! 反射的に避けちゃっただけなんだから」
穂乃果「そんな警戒されてるって思うだけで私は傷ついたよ…」
真姫「もう、別に嫌いってわけじゃないのに」
真姫「…ほら、手、繋ぐんでしょ?」スッ
穂乃果「あ……う、うん!」ギュッ
真姫「……ふん」
穂乃果「えっへへー…」
凛「なんか真姫ちゃんがイケメンにゃ」
海未「穂乃果のあんな緩んだ顔、珍しい気がしますね」
ことり「…ちょっと、羨ましいなぁ」
花陽「えっ?」
ことり「えっ? 」
ことり「あ、あれ……ことり、今なんか言ってた?」
花陽「へっ? い、いいや? よ、よく聞こえなかったよ!?」
ことり「そぉ? そっか、あ、あはは〜」
ことり(思わず声に出ちゃった…? どうして…)
ことり「り、凛ちゃん。私たちも行こ?」スッ
凛「うん! レッツゴーにゃ!」ギュッ
花陽(ことりちゃん…)
海未「花陽?」
花陽「は、はいっ?」
海未「大丈夫ですか? ボーっとしていたようですが」
花陽「だ、大丈夫、大丈夫だよ! ごめんね」
海未「なら良いのですが」
海未「私たちも行きましょうか」スッ
花陽「う、うん!」ギュッ
真姫「穂乃果は、何か食べたいものあるの?」
穂乃果「うーん、屋台のものだと、なにかなぁ? 真姫ちゃん知ってる?」
真姫「イミワカンナイ… 知らないから聞いたんでしょ」
穂乃果「違うよー。ほら、この子はこれが好きそう! とかさ、あるじゃん?」
真姫「あるけど、なら最初からそう聞いてよね。そうね……」
穂乃果「うんうん」
真姫「んー」
真姫「あ、お饅頭じゃない?」
穂乃果「ぐへぇ…それは実家がお饅頭屋さんなだけで、もう飽きちゃったよ。好きだけど」
真姫「それくらいしか思いつかないわ」
穂乃果「うそぉ!? 他にもあるでしょ! なんか、こう…なんか!!」
真姫「ないってば! パッと出てくるのはホントにそれだけ。そもそも私、露店とかで買い物してこなかったから、あまり知らないのよ」
穂乃果「うーん、それじゃあ無理もないかも」
真姫「そ。だから、穂乃果のお勧めとか教えてよ」
穂乃果「おすすめ、かぁ」
真姫「穂乃果の選ぶものって、なんか美味しそうな気がするし? 」
真姫「それに、穂乃果が選んでくれたら、私もほら…それを食べたい…気がしなくも…ないし」
穂乃果「……うわぁ…」
真姫「な、なによ?」
穂乃果「真姫ちゃん…私が男だったら、たぶん今のでオチてたね」
真姫「はぁ!? い、意味わかんない!」
穂乃果「だって今の真姫ちゃんの言葉と表情っていうか? ふ、雰囲気?っていうか」
穂乃果「不覚にもちょっと、キュンとしちゃったかな…あはは…」
真姫「……イミワカンナイ」
19
海未「甘ァァァァァァイ!!!」
花陽「ピィッ!!?」
海未「っ!? すみません、花陽。なんか今外部からの干渉を受けたような…?」
花陽「が、外部?」
海未「こう、圧力といいますか……コホン、いえ何でもありません」
花陽「う、うん」
ことり(穂乃果ちゃんと真姫ちゃん…すごい仲良さそうだなぁ)
ことり(さっきのやりとりも…)
ーーーーーーーーーー
真姫「…ほら、手、繋ぐんでしょ?」スッ
穂乃果「あ……う、うん!」ギュッ
真姫「……ふん」
穂乃果「えっへへー…」
ーーーーーーーーーー
ことり(あんな緩んだ顔した穂乃果ちゃん、初めて見たかも)
ことり(……)ウルッ
ことり「はぁ…」
凛「ことりちゃん?」
ことり「……」
凛「ね、ねぇ、ことりちゃん?」
ことり「えっ? あ、な、なぁに?」
凛「ことりちゃん、大丈夫?」
ことり「だ、大丈夫だよ? どうしたの、急に」
凛「でもことりちゃん、落ち込んで…というか、泣いてない?」
ことり「な、泣いて? ……え…うそ…」
凛「…もしかして凛と組むの、そんなにイヤだった?」
ことり「ええっ!? ち、違うよ!」ゴシゴシ
ことり「これはその……なんでも…なくて」
凛「ことりちゃん…」
ことり「ううん、なんでもなくて泣くわけ、ないよね」
ことり「で、でも凛ちゃんとペアなのは嬉しいの! 私が落ち込んで見えたなら、それは…」
凛「……」
ことり「……」
ことり「ご、ごめんね」
凛「……」
凛「なーんてね! もういいよ!」
ことり「えっ?」
凛「凛にはね、分かってるよ。ことりちゃんが落ち込んでる理由」
ことり「……えぇえ!?」
ことり「分かってるって… ど、どうして!?」
凛「ペア決めたりする前から見てたんだ。ことりちゃん、わかりやすいもん」
ことり「うそ…? 」
凛「ほんとだよ」
ことり「こ、ことり、わかりやすいなんて言われたことないよ〜」
凛「えっと、ね」
凛「凛もね、ことりちゃんと同じだったから」
ことり「…えっ?」
凛「同じ気持ち。だから、すぐ分かったんだと思う」
ことり「同じ…気持ち」
ことり「も、もしかして凛ちゃん…」
ことり(花陽ちゃんのこと…)
凛「うん」
凛「凛、あの時、なんでもない風にしてたけど、本当はすごーく悲しかったんだよ」
ことり「……」
ことり(そっか、やっぱり、そうなんだ)
凛「だからね、わかっちゃうんだ。痛いくらい、ことりちゃんの気持ち」
ことり「そう…なんだね」
凛「ねぇ、ことりちゃん」
ことり「…うん?」
凛「……」
凛「ひとりじゃ、ないんだよ」
ことり「…えっ」
凛「こんな辛い気持ち、とてもじゃないけど、ひとりじゃ抱えきれないよ。でもね」
凛「もう、ひとりじゃない。凛は、ことりちゃんと一緒だから。ことりちゃんは、凛と、一緒だから」
ことり「…っ!」
凛「凛とことりちゃんは、仲間だから。同じ、痛くて、辛い気持ちを分かち合える、仲間だから」ギュッ
ことり「り、凛ぢゃ…! うっ…あぅ…っ」ギュウッ
凛「よしよし。えへへ、ことりちゃん、あったかくていい匂いするにゃ」
ことり「うぅ……えへ…凛ちゃん、も、暖かいよぉ…」
凛「凛は、いっぱいエネルギー持ってるからね。ことりちゃんには好きなだけあげちゃうにゃ」
ことり「うん。嬉しいなぁ」
ことり「…あ、り、凛ちゃん!」
凛「はいにゃ?」
ことり「他のみんなには、ぜ〜ったい内緒だからねっ?」
凛「うん、もちろん! ばれたら恥ずかしいもんね」
ことり「約束、だよ?」
凛「約束する! かよちんにだって言わないよ!」
ことり「よかったぁ。凛ちゃん、ありが」
凛「ことりちゃんが屋台にチーズケーキなくて泣くほど落ち込んでたなんてこと、凛の心の奥に封印にゃ」
ことり「えっ」
凛「凛はラーメン大好きだけど、ことりちゃんのチーズケーキ好きも相当だしね。お鍋に入れちゃうくらい」
凛「でもそんなことで落ち込んで泣いちゃったってばれたら、甘く見られちゃうし、きっと笑われちゃうもんね!」
凛「大丈夫! これでも凛の口はしばらく使ってなかったアロンアルファのフタよりも固いって評判にゃ! だから、安心してよ、ことりちゃん!」
ことり「……」
ことり「えっ」
また夕方きまうす
やきそば
海未「まあ、定番ですしね」
真姫「悪くないわね」
穂乃果「ま、真姫ちゃん、2学期の成績と視力オール5なんだよね? ピーマン入ってるか見える…?」
真姫「見えないから! 視力が5って、化け物じゃない!」
花陽「あれ? 焼きそばにピーマンって入ってるもの?」
海未「露店のものではあまり見かけませんね。ただ、穂乃果の家では入っていた気がします」
穂乃果「小さい頃から、お母さんがピーマン嫌いを克服させようと入れてきたんだよねぇー。もうそんな子供じゃないってのに、失礼しちゃうよ全くもうっ」
海未「未だに克服できていないくせに、何を偉そうに言っているんですか…」
真姫「穂乃果ってピーマン食べられないの? あはっ、まるで小学生みたい」
穂乃果「なぁっ!?」カッチーン
穂乃果「別に、苦手なだけで、食べるか死ぬかって言われたら食べれますぅー!」
真姫「当然でしょ」
凛「そんなの誰だって食べるにゃ」
ことり「あはは…」
穂乃果「だったら真姫ちゃんは? 嫌いな食べ物、一個もないって言えるの?」
真姫「極端ね…… あまりないけど、嫌いな食べ物の1つや2つ、そりゃあるわよ」
穂乃果「ほら見たことかっ! なんじゃ? 言うてみ、言うてみぃ!」
真姫「何その口調。言いたくなくなるんだけど」
穂乃果「逃げるんか? 逃げるんかいなぁ? お主ぃ?」
真姫「ウザ…」
花陽「なんか穂乃果ちゃんのキャラ、変じゃないかな?」
ことり「うーん、あれはあれで、ちゃんと穂乃果ちゃんだよ」
海未「そうですね」
やきそば食べ終わり
穂乃果「おいしかったぁ〜」
ことり「ピーマン入ってなくてよかったね」
穂乃果「うん!」
真姫「ちょっと味濃くなかった? 私、喉乾いちゃった」
凛「凛も喉乾いたにゃー。ラーメンと違ってスープないし」
海未「スープはスープで塩分高いですし、喉は潤わないと思いますが」
凛「そんなことないよ? あんまりこってりじゃなければだけど」
海未「そうでしょうか…」
ことり「さっきから見てたんだけど、飲み物売ってるところ、あんまりなさそうだよ?」
真姫「あっちの方で、あま酒なら見たわ」
凛「凛、あま酒好きじゃないなぁ〜」
花陽「そんな、凛ちゃん……」
凛「にゃ?」
花陽「う、ううん! なんでもないよ」
穂乃果「うーん、神社の外だけど、坂の下にローンソはあったよ」
真姫「ちょっと手間ね」
花陽「水筒でお茶なら持ってきたけど…飲む?」
真姫「え? いいの?」
花陽「うん。私のでよければ」
真姫「いただくわ」
凛「あー! 凛も欲しいにゃ!」
花陽「ふふっ、順番だよ凛ちゃん」
30分後
穂乃果「ぷはー、いろいろ食べたね!」
真姫「やきそばに始まって、じゃがバターお好み焼きバナナチョコドネルケバブぶた串たこ焼スモークターキーとうもろこし……食べ過ぎよね。太っちゃわないか心配になるわ」
穂乃果「そ、そんなにだっけ…? よく覚えてたね」
ことり「でも真姫ちゃん、すっごい細いし、食べても太らなそうだよね〜」
真姫「そんなことないわよ。食が細いだけ」
凛「でも、この前JIROで小豚食べきってたにゃ」
穂乃果「ええっ!? 穂乃果は麺半分でも辛かったのに…真姫ちゃん恐るべし」
真姫「うっ…イヤなこと思い出させないでよ。本当にしんどかったんだから、あれ」
海未「次はどうしましょう。そろそろ中へ進みますか?」
穂乃果「あ、待って待って! あれやろうよ、あれ!」
真姫「あれって?」
穂乃果「ほら、あそこだよ!」
ことり「えっと… 金魚すくい?」
穂乃果「そう、金魚すくい! ペア対抗戦で勝負したら面白いと思うんだけど」
海未「ペア対抗戦ですか。具体的にどうするのです?」
穂乃果「んーと、チャンスは1ポイで、多く救えたペアの勝ち、かな?」
海未「1ポイって…… えっと、つまり2人の合計数で競うわけですね」
穂乃果「そう! あ、いや…」
穂乃果「やっぱり、ポイはペアでひとつだけにしよう!」
海未「どちらかが代表してすくう、ということでしょうか」
穂乃果「それでもいいよ。ただし、ひとつ条件をつけちゃおうかな」
海未「条件?」
穂乃果「条件は、ペアで繋いだ手を離さないこと!」
海未「ええっ!?」
ことり「わー……」
花陽「片手しか使えないのかぁ。 でも、ポイを持ったらお碗を持てないんじゃない?」
池上穂乃果「ふっ、イイシツモンデスネ!!」
真姫「ウザ…」
穂乃果「ペアっていうのはね、2人だからペアなんだよ、花陽ちゃん」
花陽「え?う、うん」
穂乃果「お碗は、もう一人が持てばよいのでぇっす! 互いの呼吸が勝負を左右する、金魚すくいはペアの力を試すのにうってつけの競技と化すのでぇっす!」
真姫「ウザ…」
穂乃果「さ、さっきからウザウザうるさいよ、真姫ちゅわん!」
真姫「ウザ…」
海未「ペアでひとつのポイ、ですか。新鮮でよさそうですね」
凛「楽しそうにゃー!」
真姫「私はイヤよ」
穂乃果「えーっ!?」
真姫「めんどくさいじゃない」
穂乃果「そこはやろうよ! ノリ悪いよ、真姫ちゃん」
真姫「悪くない! 大体、なんで唐突に勝負なのよ。イミワカンナイ」
穂乃果「……」
穂乃果「わかった、あれでしょ? 真姫ちゃん」
真姫「なに?」
穂乃果「真姫ちゃん、金魚すくいやったことないから、負けるの怖いんでしょ?」
真姫「…はぁ? そんなわけないじゃない。ていうか、やったとして負けないから」
穂乃果「ふぅん? そうは言っても、内心不安なんでしょ。だから逃げようとするんだよね?」
真姫「に、逃げてなんかない!」
穂乃果「逃げてるよ。哀れにも、敗北を恐れた真姫ちゃんが、穂乃果からね」
真姫「…っ!」
真姫「ふ、ふふっ。いいわ、勝負してあげる。私に挑んだことを後悔することね」
穂乃果「ふふふふ。その意気だよ、真姫ちゃん」
ことり(真姫ちゃん、ちょろいよ……言わないけど)
凛「真姫ちゃんクソちょろいにゃ」
ことり「……」
穂乃果「さぁ、行くよ! 勝負だよ真姫ちゃん!」
真姫「望むところね」
海未「いや、穂乃果、ペア勝負じゃなかったんですか?」
穂乃果「えっ? あっ、そういえば」
海未「あなた達はペアなんですから、勝負しては駄目でしょう」
穂乃果「そ、そうだね…… どうしよう」
海未「まあ、真姫もやる気になったみたいですし、穂乃果と真姫の勝負は御預けにして、言っていた通りペア対抗戦で良いのでは?」
真姫「私は別にやる気になんて…」
穂乃果「しかたない、それでいこう!」
真姫「な、ちょっと、勝手に決めないでよ!」
穂乃果「いーいーの! やるの! やるったらやる! 」
穂乃果「ねー? お願い、お願い! 真姫ちゃ〜ん!!」ユサユサ
真姫「ヴェエエ! わ、分かっ、分かった、やるわよ! やるから離して!」
海未「強引過ぎますが…… 一応、決まりですね」
凛「ことりちゃん、がんばろうね!」
ことり「うん! あんまり得意じゃないけど、足引っ張らないようにがんばるねっ」
花陽「海未ちゃん! 頑張ってね!」
海未「ええ。…って、花陽もやるんですよ」
花陽「うっ… 戦力になるかなぁ……」
真姫「で、順番はどうするの? 私さっさとやっちゃいたいから、最初がいいんだけど」
海未「私は構いませんが、公平のために同時にやるものかと」
穂乃果「海未ちゃん、きっちりしてるね〜。そうしようかな?」
凛「一緒のほうがやる気湧いてくるにゃ!」
花陽(数が分からなくて緊張しないぶん、いいかも…)
穂乃果「よしっ、じゃあ並ぼう!」
的屋「1回200円な」
真姫「あ… 私、細かいお金持ってない」
穂乃果「ま、真姫ちゃんがお嬢様すぎて怖いよぉ〜」
真姫「違うわよ! たまたま、今はお札しかないってだけ。私が払うわね」
的屋「和紙とモナカ、どっちがええ?」
真姫「どっちが強いの?」
的屋「どっちもどっちやなぁ。和紙はうまくやりゃあ沢山取れるけど下手すりゃ0、モナカは1匹以上はすくい易いけど1回水につけたらほぼおしまいや」
穂乃果「真姫ちゃん、ここは」
真姫「和紙ね、当然」
的屋「おおきに。はいよお釣り、800円」
海未「花陽、私たちはどちらにしましょう?」
花陽「う〜ん…」
花陽(和紙は折り紙でたまに使うけど、あのポイの和紙はどんなやつなんだろう? 何号か、いや和紙が何匁か分かればいいんだけど…)
花陽(モナカも捨てがたいなぁ。すくいやすそうだけど、ああ、でももともとはお餅だし、食べたくなって集中できなくなるかも…?)
海未「花陽?」
花陽「はっ! ご、ごめん!」
海未「いえ、だいぶ考え込んでいたようですが」
花陽「あ、うん。でも決まらなくて…… 海未ちゃんはどっちがいい?」
海未「そうですね… 特にこだわりはないので、穂乃果たちと同じで和紙のポイにしようかと。いいですか?」
花陽「うん! あとできれば、すくうのは海未ちゃんがやってくれると嬉しいかなぁ。花陽はいつも凛ちゃんの見てるだけだったから…」
海未「ふふ。いいですよ」
花陽「本当? じゃあ、よろしくお願いします、海未ちゃん!」
海未「はい。私なりに精一杯やらせてもらいます。花陽も、キャッチのほうをお願いします!」
花陽「うんっ!」
ことり「みんな和紙かぁ。私たちはどっ」
凛「モナカだよっ!」
ことり「は、早いね凛ちゃん。なんか、今の、穂乃果ちゃんっぽかったかも」
凛「にゃ?」
ことり「あれだよー、ファイトだよっ! っていうの」
凛「あ、たしかに穂乃果ちゃんよく言ってる!」
ことり「もはや口癖なのかもね〜」
凛「それなら取っちゃ悪いにゃ。今のセリフは後で穂乃果ちゃんに返してあげよっと」
ことり「う、うん。穂乃果ちゃんが使う機会はないと思うけど…」
ーーーーーーーーーー
穂乃果「みんな、今日の練習お疲れさまっ」
穂乃果「大会も近いし、明日からもいっぱい頑張ろうね!」
穂乃果「モナカだよっ!」
ーーーーーーーーーー
ことり(くすっ…穂乃果ちゃん、それはシュールすぎるよ〜)
凛(ことりちゃんが1人でニヤニヤしててなんか怖いにゃ)
凛「凛がすくっていい? もしことりちゃんがすくうなら、ことりちゃんが好きなほうにするけど」
ことり「ううん、いいよ。凛ちゃんにお任せしちゃいます!」
凛「ガッテンにゃー!」
穂乃果「準備はいい? 」←すくう
真姫「ええ」←キャッチ
海未「はい」←すくう
花陽「はい!」←キャッチ
凛「ほっへーひゃ!」 ムシャムシャ ←すくう
ことり「いい…」←キャッチ
ことり「…え? ムシャムシャ?」
穂乃果「よぉーーい」
ことり「ちょっ、ちょっと待ってぇ〜!」
穂乃果「ドっぇええ?」ガクッ
海未「どうしたのです、ことり…ってああ! 凛!?」
凛「ひゃ?」ボリボリ
花陽「り、凛ちゃん! モナカ食べちゃだめだよ〜!」
凛「んくっ」
凛「あ、ほんとだ、これじゃすくえないにゃ」
ことり「もー、どうして食べちゃったの?」
凛「手に持ったらペロキャンみたいな感じで…… か、完全に無意識だったにゃ! ごめんなさい〜」
穂乃果「さ、さすがの穂乃果もそれはびっくりだよ」
真姫「あきれた…」
的屋「どわっはっはっはー! おもろい子やなぁキミ! ポイのモナカ食ってまう客なんか初めて見たで!」
凛「うぅ… おじさん、もういっこください。今お財布出すにゃ」
的屋「あーええよええよ、芸のお代みたいなもんや。ほら」
凛「いいの?」
的屋「構わへん。けど、もう食べたらあかんで?」
凛「…うん!」
凛「おじさん、ありがとうにゃ!」
穂乃果「では、気を取り直して、よぉーい…」
海未・花陽「……」ゴクリンコ
凛・ことり「……」ことりんコ
穂乃果「どっせーい!」バシャッ
海未・凛「!? 」
真姫「きゃっ!? っと、とと…!」
穂乃果「ナイスキャッチ、真姫ちゃん! 早速1匹ゲットだよっ」
真姫「ばか、急すぎ! 危うく取り損なうとこだったじゃない!」
海未「穂乃果、どっせーいとはなんですか! そこは、ドン! でしょう、普通!」
穂乃果「甘いよ海未ちゃん、常識にとらわれないのが穂乃果のウリだからね」
海未「くっ…油断しました。私たちもいきますよ、花陽!」
花陽「は、はいっ!」
凛「凛たちも負けてられないにゃー!」
ことり「うん! モナカだよっ、凛ちゃん!」
穂乃果「それっ、3匹目!」
真姫「あれだけ啖呵を切るだけあって、やるわね、穂乃果」
穂乃果「ふふん。けっこう得意なんだよ。でも…」
海未「はっ!」シュバッ
花陽「ほわっ!」
海未「ナイスキャッチです、花陽」
花陽「あ、ありがとう。海未ちゃんが狙って入れてくれてるだけだけど」
海未「そんなことありません。花陽がしっかりお椀を持ってくれているからですよ」
花陽「そうかなぁ。えへへ…」
凛「……」ジーッ
凛「…! ここにゃ!!」シャッ
ことり「はいっ!」
凛「わーい! 3匹同時ゲットにゃー!」
ことり「わぁっ、すごーい!」
凛「破れかけだけど、まだまだやれるよっ」
ことり「凛ちゃん、いけいけ〜」
穂乃果「楽に勝てそうじゃなさそうだね」
真姫「そうね」
穂乃果「でも、負けないよ!」
ビリッ
海未「あっ」
花陽「破れちゃった…」
穂乃果「終わりだね。結局、海未ちゃん達が最後まで残っちゃったか〜」
凛「すごいにゃ。凛は3回くらいで使えなくなっちゃったのに」
海未「ですが、勝負は数ですから、まだ分かりませんよ」
穂乃果「みんな、せーので見せっこだよ。真姫ちゃん、いい?」
真姫「いいわよ」
花陽「こちらも、準備オーケーです!」
ことり「私もいいよ〜」
穂乃果「よし、じゃあ」
穂乃果「せーのっ!」
海未「これは…」
穂乃果「え、えぇっと?」
花陽「ひぃ、ふぅ、みぃ… えっと、ひぃ、ふぅ…」
凛「みんな一緒くらいに見えるにゃー」
真姫「っていうか、同じじゃない?」
ことり「私たちは7匹だよ〜」
花陽「お、同じく7匹です!」
真姫「やっぱりね。私たちも7匹だったわ」
凛「なぁんだ、同点かー」
海未「そのようですね」
穂乃果「悔しいけど最後まで続いてた海未ちゃん達かなぁ、って思ってたよ、正直」
海未「3匹目あたりで和紙が破れそうになってから、精神統一をして少し時間がかかりましたからね」
真姫「そんなことしてたのね」
花陽「凛ちゃんはかなり早く破れてたみたいだけど、それで7匹もすくえてたんだね。すごいなぁ」
ことり「ひとすくいで2匹も3匹も取ってたもんね〜」
凛「えっへんにゃ」
ことり「私が1匹取りこぼしてなかったら、勝ててたんだよね…ごめんね」
凛「こ、ことりちゃんのせいじゃないよ! むしろ、乱暴な凛のパスをことりちゃんがほとんど落とさないでくれたから、同点になれたんだよ!」
ことり「凛ちゃん…!」
穂乃果「はぁー、食べたかったなぁ、肉巻きもちもち棒」
海未「まだ食べる気だったんですか!? …穂乃果、あなたという人は、もう少しスクールアイドルとして体重をですね」
穂乃果「わぁぁ! う、海未ちゃん、年明け早々怒っちゃだめだよ!」
海未「っ……」
海未「はぁ。というか何ですか、勝たないと食べれないものなんですか? その、肉巻き…?」
穂乃果「肉巻きもちもち棒? うん、実はお金使いすぎて、もう205円しか残ってなくて…てへへー」
ことりちゃん「ほのかちゃん… ことりのお金、貸そうか?」
穂乃果「いやいや、もし勝ってタダになったら食べようと思ってただけだから、大丈夫!」
海未「…? なぜ勝ったらタダで食べれるんですか?」
穂乃果「なぜ、って、そういう勝負だったでしょ?」
海未「はい?」
40
穂乃果「えっ?」
海未「これは、その肉巻きもちもち棒というのを賭けた勝負だったのですか?」
穂乃果「え、うん… え? みんな、そういう話だったよね?」
真姫「どういう話よ」
花陽「は、初耳です」
穂乃果「嘘だっ、穂乃果が報酬のない勝負をするなんてこと…… り、凛ちゃん! 凛ちゃんは?」
遠くの凛「ことりちゃん、一緒にこのわたあめ食べようにゃ!」
遠くのことり「お、お腹いっぱいだよ〜」
穂乃果「おおう…」
海未「よく分かりませんが、何やら穂乃果は勘違いというか、いつの間にやらそのような取り決めをしたと錯覚していたのでは?」
穂乃果「うっ、そうなのかな…」
真姫「ふふ。穂乃果って、意外と妄想癖があったりしてね」
穂乃果「も、妄想なんてっ」
穂乃果「…! そうだ! 分かったよ!」
穂乃果「なんてことだ、これは、アレだよ! 金魚すくいに集中するあまり、穂乃果の自我が独立し次元を超えて異なる世界線の、そう、金魚すくいで肉巻きもちもち棒を賭けていなかった世界へとリ」
真姫「はいはいイミワカンナイ」
ことり「わ、中もすごい人〜」
凛「お賽銭箱が見えないにゃ」
花陽「あ、凛ちゃん、あっちにおみくじがあるよ」
凛「ほんとにゃ! ことりちゃん、買いに行こうよー!」
ことり「わ、待って、凛ちゃん引っぱっらないでぇ〜」
花陽「あっ」
花陽「凛…ちゃん…」
穂乃果「……」
真姫「あれ? おみくじとか、穂乃果なら真っ先に飛びつくと思ってたんだけど」
穂乃果「え? あ、うん… お金足りないし」
真姫「おみくじは200円って書いてあるけど? 消費税もないし、足りるじゃない」
穂乃果「なっ!? なんで穂乃果が200円くらいしか今持ってないことを…真姫ちゃん、実はエスパー…!?」
真姫「そんなわけないでしょ。さっき自分で言ってたわよ」
穂乃果「エスパーじゃないとすれば……」キイテナイ
穂乃果「はっ!!」
穂乃果「も、もしや真姫ちゃん、穂乃果のことが、ストーカーするほど…す、好きだったり…」
真姫「ヴェエエ!? な、な、何言ってるの!?」
穂乃果「どうしよ、どうしよ…」キイテナイ
真姫「ない!ないからぁ! そっちの方がアリエナイ…って、何で顔赤くしてるの!?」
穂乃果「ま、真姫ちゃんだって…!」カァァ
真姫「ッ〜〜!!」カァァ
穂乃果「ま、まぁ冗談はおいといて」
真姫「…やめてよね、ホント」
真姫(冗談、ね。ちょっと残念… って何考えてるのよ!)
穂乃果「確かにおみくじは200円だけど、ほら、さっきの金魚すくいのぶん、真姫ちゃんに半分返さなきゃだから」
真姫「え? あ、そ、そう。そうね」
穂乃果「うん。遅くなってごめんね。はい、100円、お返しします」
真姫「どうも」
真姫「…なんか、これのせいで穂乃果がおみくじ引けないって、罪悪感あるわね」
穂乃果「ええっ!? いやいや、それはなんというか、タイミングというか、そもそも考えなしにお金使っちゃった穂乃果が悪いっていうか」
真姫「そうかもしれないけど…」
穂乃果「ま、真姫ちゃん? 本当に、全然気にすることないんだよ? おみくじならまた今度引けるから」
真姫「……」
真姫「やっぱり、これ返すわね」
穂乃果「いやいや、そういうわけにはいかないよ」
真姫「ああもう。なら言い方を変えるわ。これで、私と穂乃果、2人分のおみくじを引いて」
穂乃果「えっ?」
真姫「私はあまりこういうのやらないし、占いとか、嫌いじゃないけど信じるタイプでもない」
真姫「でも、どうせやるなら良い結果であることに越したことはないでしょ」
穂乃果「う、うん?」
真姫「…あれよ。穂乃果って、運がいいっていうか、いかにも大吉を引き当てちゃうような何かを持ってるから」
穂乃果「運はいいほうだけど、そうかなぁ」
真姫「そうよ。それで、ずるいかもしれないけど、穂乃果と一緒に、ってすれば、私も大吉になれるじゃない?」
真姫「それに…」
真姫「たとえダメな結果でも、穂乃果と同じなら…べ、別にいいかな…とか」
穂乃果「あぅ…」
真姫「……」カミノケクルクル
穂乃果「真姫ちゃん、ずるいよ」
真姫「し、知ってるわよ! ダメなの?」
穂乃果「ううん。そうじゃなくて…」
真姫「…?」
穂乃果(本当に、ずるいよ、真姫ちゃん…)
カランカラン
凛「んー、二十番…? ことりちゃん、二十番って何吉なの?」
ことり「あ、えっとね、そのおみくじ棒をお店の人に渡して、おみくじ箋に引き換えてもらうの」
凛「そういえばそうだったかも」
お店の人「どうぞー」
凛「いでよ、諭吉!」ペラッ
ことり「おみくじに諭吉はないんじゃないかなぁ…」
凛「普通の吉かぁ」
ことり「ことりは… あ、中吉だよ」
凛(チュン吉…)
凛「ことりちゃんらしいにゃ」
ことり「えっ、そうかなぁ?」
凛「失物、出ず…って、全然吉じゃないよ」
ことり「うーん、なくさなければ大丈夫だよ」
凛「なるほど! 気をつけるにゃー」
凛「…ねぇ、ことりちゃん。この待人って、誰のこと?」
ことり「えっ? えっと、たしか誰を思い浮かべてもいいんだけど、普通はやっぱり……運命の人、かなぁ」
ことり(ことりだったら…)
凛「それって、結婚する人?」
ことり「ふぇっ!? 結婚…? う、うーん、まあ、そうなるのかな」
凛「そっかー。それなら凛はまだまだ先の話だから、来ず でも仕方ないね」
凛「ていうかこれ、吉なのに、全体的に悪くないかにゃー!?」
ことり「あはは…」
ことり(私は…)
待人 - 待っても来ない 奪い取るが吉
ことり(……)
ことり(なにこれ…)
ペラッ
花陽「ぴゃあああ!」
花陽「きょ、凶、引いちゃった…」
海未「それは…なんとも」
花陽「うぅ、出だしからついてないなぁ」
海未「まあでも、凶というのは、イメージほど悪くはないものなんですよ」
花陽「えっ?」
海未「単に運勢が悪いというより、『逆境を乗り越えられるよう頑張りましょう』といった意味合いが込められている、と聞いたことがあります」
海未「それに、みくじ掛けに利き手と反対の手で結ぶことで、吉寄りへと変えられるとも言われていますしね」
花陽「へ、へぇ〜」
花陽「えへへ… それを聞いて元気が出てきたかも。ありがとう、海未ちゃん」
海未「いえ、私は何も」ペラッ
海未「あ……」
花陽「海未ちゃん? もしかして」
海未「…はい、私も、凶を引いてしまいました」
花陽「……」
海未「……」
花陽「ぷっ、あはっ」
海未「ふふっ、くすくす」
花陽「海未ちゃん」
海未「…ええ。一緒に、結びに行きましょう」
花陽「うんっ!」
もうそろ半分
今気づいたけど、
書き始めたとき大晦日だったから冒頭が年末なのに
途中から初詣つもりで書くという致命的なミス…
三が日のどっかのお昼前後をイメージしてくださいです
また深夜に
穂乃果「そっかー、海未ちゃんと花陽ちゃん、どっちも凶引いちゃったんだ」
海未「ええ。ですが、今までで最も良い『凶』であったように思います」
穂乃果「え? 凶なのに?」
海未「ふふ。何でもないですよ。ね? 花陽」
花陽「はいっ♪」
ことり「なんか、海未ちゃんと花陽ちゃん、すごい仲良くなってる?」
凛「う、うん…」
穂乃果「あっ! ちっちゃな獅子舞! 可愛いなぁ〜」
ことり「かわいいね〜」
海未「今年も、ちゃんと働いてくれているようですね」
真姫「働くって、何かするの? この獅子舞」
海未「真姫は初めて見るのですね。実はこれも、おみくじなんですよ」
真姫「えっ? どういうこと?」
海未「この小さな獅子舞が、みくじ箋を取ってくれるんです」
ことり「ちゃんと踊ってくれるんだよ。それがまた、かわいいの」
真姫「へぇ、面白そうね」
凛「知らなかったにゃー。見てみたいな」
花陽「もうおみくじは引いちゃったし、また今度だね」
穂乃果「でもね花陽ちゃん、この獅子舞のおみくじは、大凶ばっかり出る! ってウワサなんだよ〜?」
花陽「ひっ… だ、大凶ばっかりなのォ!?」
海未「そんなの、ただの噂にすぎません」
ことり「でも、去年クラスの子が言ってたよ。 6人くらいで引いて、実際に半分は大凶が出ちゃって、大吉は1人もいなかったって」
海未「そ、そうなんですか?」
真姫「穂乃果。もしかして、穂乃果が去年引いたおみくじって、これじゃないわよね?」
穂乃果「いや、そういえば去年はこっちのおみくじだったなぁ」
真姫「…やっぱり、只者じゃないのよね、穂乃果って。さっきもなんだかんだで大吉だったし」
穂乃果「えっへへー。2年連続だよ」
真姫「大吉だけあって運勢は大体よかったけど、学業が心配よね。試験危うし、だっけ?」
穂乃果「ぐっ… まぁ、穂乃果は今年受験生じゃないから、来年にこれ引かなくてよかったって考えれば、ラッキーだったんだよ!」
真姫「そのポジティブさは見上げたものね… 期末試験は大丈夫なの?」
穂乃果「い、今はそういう話はいいの! そういう真姫ちゃんこそ、穂乃果と同じ運勢なんだから、次は危ないかもしれないよ?」
真姫「あはっ、冗談やめてよ。私に限って、試験が危ういだなんて微塵も可能性ないから。誰かさんと違って、ね?」
穂乃果「く、くぅ〜…」
穂乃果「ふん。さすがは音ノ木坂学院ナンバーワンガリ勉アイドルさん、貫禄があるね〜」
真姫「なっ、だ、誰がガリ勉なのよ!」
穂乃果「真姫ちゃんだよ! ガリ勉じゃないのにそんなにテストで点取れるわけないもん!」
真姫「要領がいいの! 私はガリ勉なんかじゃない!」
穂乃果「ウソだねっ、実際こんなに……ガリガリなくせにっ」ワシッ(腰)
真姫「きゃあっ!!」
穂乃果「うりうり〜〜! なんじゃ、このくびれは! 砂時計か! 砂時計なのかっ!」ワシワシワシ(腰)
真姫「はぁ!? い、イミワカンナイ!あっ、や、やめてよ! この、やめなさいっ」
穂乃果「よいではないか、よいではないか〜〜」ワシワシワシワシ(腰)
真姫「ひゃああ! やあっ、んっ、あっ」
海未「こ、こらっ、穂乃果! あまり調子に…」
ヒュンッ
海未「…えっ?」
穂乃果「ワシワシワ…シワぁああっ!?」
希「ワシワシワシワシ〜〜!」ワシワシワシワシ(本物)
穂乃果「ほぇえ!? の、希ちゃ…!」
希「境内で暴れる悪い子には、ワシワシの刑やでー!」ワシワシワシワシワシワシ
穂乃果「そ、そんっ…なぁんっ! あっ…やあああっ」
希「にししし〜〜!」ワシワシワシワシワシワシワシ
ことり「ほ、穂乃果ちゃんが…大変なことにっ!」ゴクリンコ
凛「ことりちゃん、ガッツポーズしてないで早く助けてあげたらどうにゃ?」
穂乃果「」チーン
花陽「穂乃果ちゃん、大丈夫…?」
穂乃果「も、もう…お嫁に行けない…かも」
海未「希も来ていたのですね」
希「この時期やから、神社のお手伝いしとったんよ。えりちと、にこっちも一緒にな」
海未「なるほど。受験の年なのに大変ですね… 私にも何か手伝えることがあれば、言って下さい」
花陽「私も、何かお手伝いします!」
凛「じゃあ凛も…」
希「あーあー、いいんよ。ウチらが引き受けたことやし、午前中だけにしてもらってるから」
ことり「あ、それで今日はもう終わりだから私服なんだね」
真姫「巫女服姿の希も見たかったわね」
希「あはっ、何度も見てるやん。たぶん、えりちとにこっちもそろそろ……あ、ほら」
絵里「ちょっと希、置いてかないで… って、あら? 勢揃いね」
真姫「ハロー、エリー」
絵里「こんにちは。皆で初詣かしら?」
真姫「そんなところね」
海未「最初は別だったのですが、偶然会ったので合流しました」
絵里「なるほど。そうだったのね」
ことり「絵里ちゃん、にこちゃんは一緒じゃないの?」
絵里「ああ、にこは住職のおじさんと戯れてたから、放置してきたわ」
真姫「…絡まれてたんじゃないの? それ」
にこ「あ〜、まったくあのジジイ達、ちょーっとにこが可愛すぎるからって、気安くベタベタ触りすぎなのよ」ブツブツ
にこ「あ、いた。希、絵里! お待たせー…」
真姫「新年早々そんな仏頂面じゃ、不幸を招くんじゃない?」
にこ「どわっ、ま、真姫!? いたの?」
真姫「なにそれ、地味に酷い言い方してくれるわね」
にこ「普通いると思わないからびっくりしたのよ。ってか、ほとんど皆いるんじゃない」
真姫「っていうか、にこちゃんで全員集合よ」
にこ「え? 全員? いち、に、さん………はち…」
穂乃果「」
にこ「……なにあれ?」
真姫「風紀を乱したことでこの神社の関係者から罰が下された、その祭の残滓よ」
にこ「…よく分かんないけど、バカが寝転んでるのね」
凛「ここにきて、ついに」
凛「8時だよっ!」
花陽「へっ?」
凛「……」
凛「だから、8時だよっ!」
花陽「凛ちゃん? もう、正午過ぎだよ?」
海未「凛の時計が止まっているのでは?」
凛「……」
凛「かよちんのばか」
花陽「ええっ!? ご、ごめんねっ!?」
凛「ふーん。しーらない」
ことり「希ちゃん…」
希「そうやね」
グイッ
凛「おっ?」
ことり・希「全員集合〜〜!」
希「やろ? 凛ちゃん」
凛「そうそう! これにゃー!」
花陽「そ、そういうことかぁ」
海未「…なんですか? それ」
凛「海未ちゃん、知らないの!?」
海未「初めて見ましたが」
凛「なら、仕方ないにゃー」
海未「はあ…」
真姫「私は知ってたけどね」
凛「えーっ? じゃあやってよ!」
真姫「嫌よ。恥ずかしい」
絵里「ごめんなさい、凛。私もちょっと…」
凛「ちぇー、ノリ悪シスターズにゃ」
真姫「っ! 悪くない!」
凛「悪い!」
真姫「悪くないってば!」
絵里「こーら、やめなさい」
にこ「にっこにっこにー! ダメよ2人とも、アイドルたるもの、にこにーみたいに常に笑顔でいなくちゃ! 」
にこ「ほら、一緒に、にっこにっ…」
真姫「ウザ…」
にこ「はぁぁ!? ウザいですってぇ!?」
絵里「だからやめなさいって」
希「皆は今までどうしてたん?」
海未「そうですね、まず露店のところでいろいろ食べて、金魚すくいをして…」
花陽「それから、おみくじを引いたよ」
希「おっ! それでそれで?」
花陽「あはは、私と海未ちゃんは、凶だったんだ」
凛「凛は吉、ことりちゃんは中吉だよ!」
ことり「でも、内容はあんまり…だったね」
希「…いいこと教えてあげる」
希「おみくじは、その年やその時の運勢を占うものでもあるけど、同時に、今後の自分の指針となる、神様からのメッセージが込められてるんや」
花陽「神様からの、メッセージ…?」
希「うん。だから、吉凶の結果で一喜一憂するんやなくて、その神様からの言葉を大事にせなあかん」
凛「ええっ? 凛、もうあの紙、どこかに結んできちゃったよ」
希「それならそれでいいんよ。肌身離さず持ち歩かなくても、メッセージを知って、それを自分なりに解釈して、これから何を頑張ろうかを考えられる」
希「つまりな。おみくじは、自分がどうしたらいいか迷ったとき、それを決めるお手伝いをしてくれる。そういうものでもあるんや」
ことり「自分が、迷ったとき…かぁ」
花陽「そっかぁ。今まで、結果だけで喜んだり悲しんだりしてたけど… おみくじは、引いた皆を手助けしてくれるんだね」
凛「すごいにゃー!」
希「でもまぁ、悪かった人は、そのぶん頑張らなあかんことが多いんやで?」
花陽「が、がんばりますっ!」
海未「それからは希達に会うまで境内を見て回っていましたね」
希「そうなんや。この後はどうするか、決めてる?」
海未「特に決めていませんでしたが、やはり参拝でしょうか」
希「ちょうどええな。ウチらも、仕事で来てはいたけど、まだ参拝しとらんし」
ことり「でも、希ちゃんたち、時間は大丈夫なの?」
にこ「…!」
希「ん? あー、それって」
にこ「全然!! ぜんっぜん大丈夫にこ! 参拝したくてウズウズしてたの! あーでも体が鈍らないようにダンスも練習しないとだから? 参拝が終わったらすぐに帰って個人練習を…」
絵里「に こ ちゃん?」
にこ「ひっ!」
絵里「午後は一緒に、お・べ・ん・きょ・う、の約束でしょ?」ニコッ
にこ「に、にっこにっこ……にー」ガクッ
希「ウチはええよ〜。むしろ、神様にお願いせな、試験も危うくなるからなぁ、ウチの場合」
真姫「実力をつけなさいよ…」
希「えりちも、ちゃーんとお願いしといたほうがいいんとちゃう? いくら勉強しても、当日試験受けれない状態になってしまったら、笑えんで?」
絵里「まぁ、それは…」
絵里「…そうね、希がそう言うなら、参拝するわ。せっかくだもの、御利益も味方につけておくわ」
にこ「にこっ! そうこなくちゃ! ぐふふ、これでにこの成績もぐぐーんと鰻登りねっ」
絵里「調子に乗らない! 帰ったらきっちり勉強するわよ」
にこ「は、はい…」
海未「では、並びましょうか」
凛「行列に飛び込むにゃー!」
花陽「凛ちゃん! 飛び込みは禁止だよぉ!」
真姫「まるで、プールの会話ね」
希「にこっち、神様にお願いしたら、えりちから逃げ出せるかもしれんよ?」
にこ「そ、その手があったわ!」
絵里「ちょっと希!? にこも! 絶対そんなお願いしちゃダメよ!?」
にこ「にっこにっこにー♪ しないしなーい、しないにこー♪」
絵里「くっ…怪しい…」
ことり「……あれ?」
ことり(なにか、忘れてるような…)
ことり「……あっ」
穂乃果「」
ことり「……」
ことり「ホ、ホノカチャァァァン!!」
ことり「ホノカチャン!? ホノカチャン、しっかりして〜!」チュンチュン!
穂乃果「ぐあっ……はぇ?」
ことり「お願い! 目を覚まして、HONOKA - CHANNE!!」チュンチュンチュン!!
穂乃果「いっ、いたぁっ! ちょ、ことりちゃ…!」
ことり「ホ ノ カ チャァァァァンンン!!!」チュンチュンチュンチュン!!!
穂乃果「やめっ、もう起きて…痛いっ! こ、こと…うっ! ホント痛…! っがぁあ!? あっ…」
ことり「えっ、穂乃果ちゃん!」
穂乃果「」ピクピク
ことり「あれっ」
穂乃果「」
ことり「……」スッ
穂乃果「」
ことり「……うそ」
ことり「息、してない…?」
穂乃果「」チーン
穂乃果「」
ことり「どうしよう、どうしよう〜〜!?」
ことり(この嘴の跡…もしかして、ことりが…!?)
海未「おや?」
海未「ことりー! 穂乃果ー! どうしたのですー? 並ばないとはぐれてしまいますよー!」
ことり「ピヨッ!」ドキーン
ことり「あ、うん! すぐ行くよ〜〜!」
ことり(やばいよぉ、ど、どうしよう…)
海未「…?」
海未「急いでくださいねー!」
海未「……」
花陽「ことりちゃん達、どうしたんだろう?」
海未「さぁ…」
ことり「えーっと、えーっとぉ…!」
穂乃果「」
ことり「息してない、ってことはぁ、えっとえっと、酸素が、足りてなくてぇ」
ことり「酸素が、えーっと? 足りないとぉ、つまり、虚血でぇ、それから…」
穂乃果「」
ことり「そういうときは、酸素を、えっとぉ、外から、だからぁ」
ことり「……!!」ピヨーン!
ことり「つまり、じ、人工……人工呼吸なんだねっ!」
穂乃果「」
ことり「や、やらなくちゃ…」
ことり「でも、待って、人工…呼吸? ことりが、ほ、穂乃果ちゃんに…? そんなこと…」
ことり「だって、穂乃果ちゃんは……穂乃果ちゃんが、好きなのは……」
ーーーーーーーーーー
待人 - 待っても来ない 奪い取るが吉
ーーーーーーーーーー
ことり「……っ!!」
穂乃果「」ピクッ
ーーーーーーーーーー
希「つまりな。おみくじは、自分がどうしたらいいか迷ったとき、それを決めるお手伝いをしてくれる。そういうものでもあるんや」
ーーーーーーーーーー
ことり(……そっか、そうだよね)
ことり(私が、今しなくちゃいけないこと)
ことり(ううん。私が、今、したいこと…!)
穂乃果「うぅ……」
ことり(それは、穂乃果ちゃんを助けること)
ことり(それは、それは……穂乃果ちゃんに…)
穂乃果「あ、れ…?」
ことり「その行動は、すなわち、ひとつ…だよね!」
穂乃果「え…ことりちゃん?」
ことり「南ことり、覚悟を決めました。私、やるよ。やるったら、やる!」パンッ
ことり「穂乃果ちゃんに……人工呼吸っ!」
穂乃果「……」
穂乃果「えっ」
穂乃果「じ、人工……えっ?」
ことり「ごめんね、ホノカチャン! 起きたら、絶対ちゃんと話すよ! ことのこと嫌いになっても…イヤだけど…嫌われても、しかたないけどっ」
穂乃果「おーいっ、 こ、ことりちゃーん?」
ことり「許してね、ホノカチャンを助けるためなのっ! ごめん、ごめんねっ、今だけ……許してっ」
穂乃果「聞いてる!? 大丈夫だよ! 起きてる、穂乃果は起きてるよ!? 」
ことり「うぅ…ホノカチャン、ごめんなさい!!」
ことり「え〜いっ!」
穂乃果「こと」
以下脳内補完
昨日寝てしまった
また来まうす
海未「本当に、ことりと穂乃果はどうしたのでしょう?」
花陽「心配だよぉ… わ、私、様子を見てきます!」タッ
海未「あっ! 駄目です、花陽っ、一人で行っては……ああっ!」ヒトゴミ
海未「み、みなさん! 花陽が…!」
列の最後尾
海未「す、すみません、すみませーん!」カキワケ
にこ「ちょ、ちょっとー! 一体っ、何なのよー!」カキワケ
希「花陽ちゃんがいなくなったんやて」カキワケ
絵里「詳しくは、分からないけどっ、穂乃果とことりも、ついて来てない、とか…!」カキワケ
真姫「とんだ…お騒がせものねっ……っ!」カキワケ
凛「かよちん! かよちーーん!」カキワケ
海未「い、いました! 花陽っ!」
花陽「……」ポケー
凛「かよちん! 大丈夫なの!? ケガしてないっ!?」
真姫「花陽、一体どうしたの?」
花陽「ひゃっ! …え? あ、凛ちゃん…真姫ちゃん…」
海未「穂乃果、ことり!」
にこ「なんだ、穂乃果もことりも普通にいるじゃない」
穂乃果「や、やぁ、海未ちゃん」
ことり「みんなも…」
海未「やぁ、じゃありません! 何してたんですか…おかげで花陽が心配して、飛び出していってしまって、大変だったんですからね」
穂乃果「えっ? そ、そうなの? ごめん…」
海未「ことりも、すぐ行く、と言ったではないですか!」
ことり「ひっ、ご、ごめんなさ〜いっ!」
海未「まったく…あなた達は。あまり心配させないでください」
花陽「う、海未ちゃん、あんまり怒らないであげて… 勝手に飛び出した私も悪いの!」
海未「花陽… ですが…」
凛「かよちんは心配性だにゃー」
絵里「まぁ、花陽の早とちりというか、3人とも無事でよかったわ」
穂乃果「あ、あはは…」
ことり「えへへ…」
花陽「本当に、ごめんなさいっ」
希「いいんよ? 友達を心配するのは悪いことやないで、花陽ちゃん」
花陽「希ちゃん….」
にこ「…で? 結局なに?」
ことり・穂乃果・花陽「「「えっ」」」
にこ「だから、何があったのよ? 何かなきゃ、遅れたりしないでしょ?」
花陽「あのっ、に、にっにににこにこちゃんん? ど、どどどどうして……ぶ、無事だったんだし? そそそれで…」
にこ「呂律回ってないわよ。無事だったにしても、わざわざ皆あの行列から引き返してきてあげたのよ? 説明は必要じゃないの?」
希「たしかに、気になるなぁ」
絵里「そうね。穂乃果、ことり、何があったの?」
ことり「…!!」ビクッ
穂乃果「えっ……」
花陽「え、絵里ち!? な、なんでもっ、ほんと、なんにもないんよ!? う、ウチはなんにも…なんにも見てないんよ!」
にこ「どうして花陽が答えるのよ。今は2人に聞いてんの。ってゆーか、希みたいな口調になってるわよ?」
希「花陽ちゃーん、怪しいで〜? 何を見たのかな〜?」ニヤニヤ
花陽「あ、あわわ……」
希「あれれー? 言えないようなことでもあったのかなぁ〜? 大丈夫や、お姉さんに話してごら〜ん?」
ことり(ど、どうしよう〜。ホントのことなんて…あんなこと……言えるわけ…)
にこ「さぁ! どうしたの? 早く言いなさい!」
海未「穂乃果? ことり?」
穂乃果「うっ…」
ことり「あぅ…」
凛「かよちん…?」
真姫「……」
花陽「え、えーっと…そ…その…」
絵里「……」
穂乃果「……っ」
穂乃果「あ、あのねっ!」
絵里「やめましょう」
穂乃果「えっ…?」
にこ「ちょ、ちょっと絵里?」
ことり「絵里ちゃん…!」
絵里「やめましょう、って言ったの」
にこ「な、なんでよ」
希「……」
絵里「たしかに、事情は気になるけれど、それってどうしても確かめなくちゃいけないものかしら?」
にこ「そんなの、聞いてみなくちゃ判断できないわよ。だからこうして…」
絵里「あのね、聞かれたくない事情っていうのは聞かれてからじゃ遅いのよ?」
にこ「…大体、本番も近いっていうのに、部内で隠し事なんてあったら、ギクシャクするじゃない」
絵里「そうかもしれないわね」
にこ「だったら、追求するしかないでしょうが」
絵里「でもね、にこ。それ、あの子たちの顔を見て、同じことが言える?」
にこ「はぁ? どういう…」ギロッま
穂乃果「……」
ことり「ひっ……」ガタガタ
にこ「っ!」
絵里「あんなに怯えて、辛そうな顔をして…… それでも貴女は2人の聞かれたくない事情を、2人の口から吐かせようと問い詰めるつもり?」
にこ「くっ……」
絵里「それに、昔のことを掘り返すようで悪いけど、にこ」
絵里「貴女が妹たちに、私たちのことをなんて話していたか、そしてそれを私たちにずっと黙っていたこと、覚えてるわよね?」
にこ「そ、それは……あの時は、やむを得ない事情があって…」
絵里「…そう。それよ」
絵里「人には時に、やむを得ない事情というものがあるの。内容が良かれ悪かれ、他の人には知られたくないようなことがね」
絵里「もちろん、さっきにこが言ったように、チーム内で隠し事があるのは良いこととは思えないわ。でも、それは2人にとって、とても大切なことかもしれないの」
にこ「そうかも…しれないけど」
絵里「いい? だから、今私たちがすべきことは、2人を問い詰めることじゃないわ」
絵里「大事なのは、今は言えなくても、2人がいつか私たちにも話してくれることを信じて、その時を待つことだと思うの。そうじゃない? 」
にこ「う……」
希「にこっち。ウチも、えりちの言う通りやと思うで」
にこ「…わ、分かったわよ! ここで無理矢理聞いたら、にこが悪者みたいじゃない!」
希「うんうん。偉いで、にこっち」
絵里「にこ…」
にこ「ふ、ふんっ!」
にこ「穂乃果、ことり!」
ことり・穂乃果「「は、はいっ」」
にこ「今は何もなかったことにするけど、話せるようになったら、絶対話すこと! じゃなきゃ、気になって夜も眠れないわ」
ことり「…!」
穂乃果「にこちゃん…」
にこ「いいわね?」
ことり「……」
穂乃果「……」クスッ
ことり・穂乃果「「うんっ!」」
再び参拝の行列
海未「ようやく、半分くらい進んだでしょうか」
にこ「なっがいわね〜。冬なのに暑くなってきたわ」
凛「おしくらまんじゅうにゃー!」
穂乃果「そういえば、穂乃果の家はお饅頭屋さんだけど、おしくらまんじゅうは売ってないなぁ」
にこ「そんなまんじゅう売ってるお饅頭屋さんなんてないでしょうに」
穂乃果「何を包んだらいいんだろう。うーん、真姫ちゃん、なんか良い案ない?」
真姫「なんで私に振るの…… じゃあ、炭酸ガスでも詰めたら? お腹の中がおしくらまんじゅう、みたいな」
穂乃果「おおっ! すごい、それは即採用だよ、真姫ちゃん!」
にこ「誰が買うのよ、そんな商品っ!」
海未(いくら穂むらのお饅頭といえど…炭酸はちょっと食べられませんね)
凛「かよちーん、まだかにゃー」
花陽「もうちょっとだから、我慢しよう? 凛ちゃん」
凛「さっきからそればっかり。あーあ、凛、わたあめ食べたいなー」
花陽「あはは… 参拝が終わったら、一緒に食べようね」
海未「そろそろ並んで20分ですか… せめて、暇つぶしになるものがあればよかったのですが」
穂乃果「あ、じゃあさ、なんかゲームしようよ!」
凛「おおっ! ゲーム! やりたいやりたい!」
海未「ゲーム…と、いいますと?」
穂乃果「うーん、この中じゃあんまり手足も動かせないから…」
希「ワシワシ耐久レースとか、どうやろ?」
絵里「ちょっ、こんな公衆の面前で、やっていいわけないじゃない」
希「お? じゃあえりち、帰ってからやる? ふたりっきりで」
絵里「そ、そういう意味じゃないからぁ!」
ことり「伝言ゲームとか、口を使ったものならできそうかな?」
穂乃果「あ、じゃあみんなでしりとりでもする?」
絵里「しりとり… たまにはいいかもしれないわね」
海未「頭の体操にもなりそうです。やってみましょう」
凛「やるにゃー!」
にこ「…なんか今の流れ、既視感があるような」
真姫「奇遇ね。私もあるわ」
ことり「たしか、夏の花火大会のときにも、みんなでしりとりしたよね〜」
希「あ、そうやったね。ウチも今、それ思い出した」
穂乃果「やっぱり最初は『μ's』からだね。はい真姫ちゃん!」
真姫「また『ず』? これ、難しいんだからね。 ず……『ズッキーニ』」
海未「次は私ですか。そうですね、『にぼし』で」
にこ「そこは『にこにー』でしょ、普通!」
海未「…それは普通ではありません」
にこ「分かってないにこねー。まぁいいわ。『したたかに笑うにこにー』。はい真姫」
真姫「ちょっと! なんでもう私なのよ!」
にこ「何言ってんの? にこの次は真姫に決まってるじゃない。ほら早く、『に』よ」
真姫「イミワカンナイ…」
ことり「にこちゃん、ダメだよ。真姫ちゃんが可哀想だよ」
にこ「うっ…」
真姫「こ、ことり!」
希「せやでー。順番は守らんとな? にこっち?」
にこ「わ、分かってるわよ! 冗談よ、冗談!」
希「次はウチやね。『虹占い』」
凛「凛の番? 『い』? い、いー……『イクラ』! はい真姫ちゃん!」
真姫「ハァ!?」
花陽「り、凛ちゃん〜」
凛「えっへへ、うそうそ。ちょっと凛も、真姫ちゃんに振ってみたくなっちゃったにゃ」
花陽「もう…」
ことり「凛ちゃーん? 真姫ちゃんにごめんなさいしようね?」
凛「ごめんね、真姫ちゃん」
真姫「いいけど、ほんとにもうやめてよね」
凛「次はことりちゃんだにゃー」
ことり「えっと、『ら』だよね。う〜んと…」
ことり「ら、らかぁ……う〜ん…ら〜…」
穂乃果「ことりちゃん、ファイトだよっ!」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん!」カァァ
凛(ことりちゃんのほっぺ、真っ赤だにゃ)
ことり「う〜〜ん…」
ことり「……あ! 『ランデヴー』! はい、真姫ちゃん!」
真姫「ヴェエエ!? ?」
絵里「『エ』? なら、エスカルゴ、かしら。花陽、『ご』よ」
花陽「ごはん! …あっ」
穂乃果「あちゃー、花陽ちゃんの負けだね」
真姫「ことり… 信じてたのに」
ことり「ご、ごめんね真姫ちゃん! なかなか出てこなくて… ことり、焦っちゃって…つい」
真姫「…別に、わざとじゃないならいいわ」
花陽「うう、負けちゃったよ〜」
にこ(前も、花陽の『ごはん』で終わらなかったかしら…)
凛「負けたかよちんは、罰ゲームとして、凛をおんぶするの刑にゃー!」
花陽「わっ、とっ、凛ちゃん! あ、危ないよ? 私、力ないから、落としちゃうよ」
凛「大丈夫! 次かよちんが勝てば、凛は移動するから」
真姫「ちょっと、それって凛だけ罰ゲーム受けないじゃない!」
にこ「それどころか、凛しか得してないわよ!」
凛「なんのこと? 凛、おバカさんだからよく分からないにゃ」
にこ「きぃ〜! この猫っかぶりめっ…!」
凛「にこちゃんにだけは言われたくないにゃ」
穂乃果「はい、もう一回ねっ」
穂乃果「んー… じゃあ、『初詣』からで!」
真姫「『で』ね。『電話』」
海未「それなら……『輪投げ』で、どうでしょう」
にこ「『ゲームでも最愛最強無敵のにこにー』!」
絵里「…ねぇ、さっきは聞かなかったけど、それってアリなの?」
にこ「にこっ?」
希「まぁ、普通は助詞つけたら反則やけど、別にええんとちゃう? 暇つぶしなんやし」
絵里「一応、凛持ちが賭かってるみたいなんだけどね…」
にこ「にこにこっ♪」
希「まあまあ。にこっちの次のウチが言うんやし、堪忍したってな」
絵里「希がいいなら… 仕方ない、認めるわ」
希「ふふーん。寛大なえりちも、ウチ、好きやで」
絵里「や、やめてよ! 照れるじゃない」
希「本心や。えっと、じゃあ『人相占い』」
絵里「もうっ…」
にこ(希と絵里って、やっぱりアレなのかしら…)
凛「また『い』にゃー。い、い…『西表山猫』!」
ことり「『こ』かぁ。こ……」
ことり「えへっ、じゃあ、『ことり』にしちゃおうかな♪」
花陽「どうしよう、絵里ちゃんの次、私の番だよぉ〜)
絵里「ふふっ。もし凛が私の番だったら、そこで終わってたかもしれないわね」
凛「えーっ、なんで?」
花陽(また一周で終わらせちゃったら、せっかくのしりとりが続かないし……早くしないと、凛ちゃんも落としちゃいそう…)
花陽(また『ご』で終わる言葉だったら? でも、そう何度も連続しない…かな? あぁ、でも…)
絵里「凛。ことりが『ことり』って言って、しりとりの次が凛の番なら、何て言いたくなる?」
凛「えっと、ことりちゃんが『ことり』で、『り』? …あっ! それじゃ凛も、『凛』にするよ!」
花陽(いやいや、大丈夫。むしろ、『ご』で来るって予想をしておけたら、絶対に『ごはん』って言わないようにできる、よね!)
絵里「ふふっ。そういうことよ」
凛「え? …あっ…… や、やられたにゃー…」
花陽(うん、行ける! あれ? でも、『ごはん』以外で『ご』から始まる言葉って…? ご、ご…)
絵里「じゃあ、『り』だから、『りんご』で。次は花陽ね」
花陽「へっ?」
絵里「『りんご』の『ご』よ」
花陽「『ご』? 『ごはん』っ!」
絵里「えっ」
花陽「えっ、あっ! ち、違くて、その…… あっ! ご、『五目ごはん』っ!」
絵里「えっ」
花陽「えっ」
花陽「あ、あれぇ〜?」
その後も
ことり「『ホセ・メンドーサ』」
絵里「『サンディアゴ』」
花陽「『ごはん』っ!」
ことり「『あいつの部屋の匂いスルメ』」
絵里「『メンゴメンゴ』」
花陽「あ、『ごはん』っ!」
ことり「『彼女のパンツの柄はミルフィーユ』」
絵里「『赦してチョモランマ』」
花陽「や、やった! えっと、『マンナンごはん』っ!」
花陽「どうせ……どうせ私なんて……」ズズーン
凛「か、かよちん…」
穂乃果「あはは、さすがの穂乃果も何て声をかけたらいいのか、見当がつかないよ…」
花陽「ぐすん…… みんな、ごめんなさい〜」
海未「き、気にすることないですよ! 誰にだって苦手なことはあります」
にこ「それにぃー、花陽ちゃんのごはんキチっぷりは、アイドルとして新しいチャームポイントになること請け合いにこ!」
絵里「ごはんキチって…もっと別の言い方があるでしょう」
凛「かよちん、みんな気にしてないよ? 元気出してよ〜」
花陽「でも、でも…私のせいで、しりとりを一周も繋げられないなんて……μ’sが馬鹿にされちゃうよぉ…」
真姫「はぁ。何言ってるの、誰も馬鹿になんてしないし、そもそもそんなこと誰も公表しないわよ」
花陽「ほ、ほんとに…?」
真姫「ええ。この真姫様が保証するわ」
希「そうや。花陽ちゃんが気にすることないんよ」
花陽「真姫ちゃん、希ちゃん…」
穂乃果「ありがとう、花陽ちゃん」
花陽「…えっ?」
穂乃果「花陽ちゃんは、本当にμ’sを、みんなを、大切に思ってくれてるんだよね」
花陽「……う、うん」
穂乃果「誰ひとり一緒に生まれていないみんながここにいるのは、それは『繋がり』があるから。繋がりが、人と人とを結んでいるから」
穂乃果「しりとりってね、どこかでは『言結び』とも言われるらしいんだ。誰かが話した言葉を、別の誰かの言葉で結ぶ 。その言葉を、また別の誰かが結ぶ。そうやってみんなで、何周も何周も、結んで繋いでいく」
花陽「穂乃果、ちゃん?」
穂乃果「『結ぶ』って、それだけだと『終わり』を意味する言葉でもあるんだよね。結果、結論…… もっと単純ところで言えば、起承転結、かな」
穂乃果「…でもね、なにかとなにかが結ばれたとき、それは『終わり』じゃなくて、『繋がり』を意味するようになる。人と人との縁が結ばれるように。人と人とが手をとりあって、手を結ぶように」
穂乃果「花陽ちゃんはね、きっと、しりとりの、『言結び』の持つ本質的な意味を、無意識のうちに捉えていたんじゃないかなぁって、穂乃果は思うんだ」
花陽「そう…かな」
穂乃果「そうだよ。だから、しりとりをみんなで繋げなかったことに対して、誰よりも悔やんだ」
穂乃果「花陽ちゃんは、みんなの間にある『繋がり』を断ち切ってしまったように感じて、誰よりも心を痛めた」
花陽「……」
穂乃果「でもね、大丈夫だよ、花陽ちゃん」
花陽「大丈…夫…?」
穂乃果「うん、大丈夫!」
穂乃果「例え、しりとりで繋がることができなかったとしても」
穂乃果「本当に大事なときには、みんなの心が、願いが、ひとつになるんだ」
花陽「……!」
穂乃果「そうなったときにね、私たちは、絶対絶対、結ばれて、絶対、絶対、繋がれる!」
穂乃果「私は、そう信じてるよっ」
花陽「……ほ、穂乃果…ちゃん…っ!!」
花陽「うわぁぁん! 穂乃果ちゃん…穂乃果ちゃああん!」ダキッ
穂乃果「花陽ちゃん… あ、あはは、よしよし」
海未「穂乃果…」ジーン
ことり「ぐすっ…感動したよ、ホノカチャン…」
絵里「ハラショーよ、穂乃果…」
にこ「な、なによぉ! みんなっ、泣き虫、なんだがらぁ!」グスン
真姫「にこちゃんだって…!」
希「エエハナシヤナー」
凛「凛はスティックワッフル食べたいにゃ」
参拝行列の先頭付近
穂乃果「5円玉も用意したところで… みんな、そろそろだよ!」
真姫(500円玉でもいいのかしら)
海未「できるだけ同時に参拝できるよう、うまく横一列になりましょうか」
凛「まっかせるにゃー!」
にこ「そんな必要ある?」
希「いいやん。みんなで一緒にお願いしたほうが、神様も叶えやすいかもしれんよ」
にこ「願いは人それぞれなんだから、一緒にお願いしても聞き取りにくいだけだと思うけど」
絵里「まあまあ。割り込みはダメだけど、希を中心に上手に広がりましょう。花陽、ことり、こっちよ」
花陽「あ、うんっ」
ことり「は〜い」
85
スッ
カランカラーン
チャリーン
ペコリンコ
ペコリンコ
穂乃果「……」パン パンッ
真姫「……」パン パンッ
海未「……」パン パンッ
にこ「……」パン パンッ
希「……」パン パンッ
凛「……」パン パンッ
ことり「……」パン パンッ
絵里「……」パン パンッ
花陽「……」パン パンッ
穂乃果(ずっと、今年は何をお願いしようか、考えてきたけど…)
真姫(どれにすればいいのかしら。 欲しいものも、したいことも、いっぱいある… でも、いざお願いするってなると、やっぱりすぐには決められないものね)
海未(年始のお願い事といえば、いつもは無病息災であったり、穂乃果やことりに関することばかりでしたが…)
にこ(頑張って、頑張って… その先で、にこにーが将来トップアイドルになれますよう…… い、いや、でもここはμ’sの部長として、ライブの成功を願うべきかしら?)
希(ライブはもちろん優勝したいけど、それは果たして、今願うべきことなんやろか。3月が過ぎたら、3年生は卒業や。そうしたらμ’sは…みんなは…どうなるんやろな)
凛(何がいいかなぁ。いつもみたいに、かよちんと一緒にいたい、ってお願いでいいかな? …でも、この1年で凛は変わったよ。高校に入って、μ’sに入って、みんなと一緒に過ごして…)
ことり(手を繋いで、仲良くしてるのを見て、穂乃果ちゃんはきっと真姫ちゃんと結ばれるんだと思ったの。でも、穂乃果ちゃんは、ことりのほうを向いてくれた。きっと、みんなで今日ここに来なければ……たぶん、ことりは、ずっと…)
絵里(友達を作るのも下手で、1人で抱え込んでいた私を……希は、そしてμ’sのみんなは、変えてくれた。いつも支えてくれた。こんな我が儘、神様だって聞いてくれるか、分からないけれど)
花陽(どんなときにも一緒に居てくれた凛ちゃん。それに、高校に入ってからは、真姫ちゃんや、μ’sのみんなとも仲良くなれて… 花陽はこの1年、すっごく幸せでした。だから、そんな幸せを、これからも…ずっとずっと…続けていきたい)
言葉は結ぶ。
思いは繋ぐ。
横一列に立ち並ぶ、少女たちの
願いを。
(((((((((
いつまでも、
いつまでも、
みんなと一緒に、
つながっていられますように…
)))))))))
凛「参拝のあとはのんたん絵馬の裏に今年もライブがんばれって書かれてるの見て喜んだけどその近くにμ’sのメンバーと結婚したいとかいろいろキモい願望が腐るほど書いてあるの見つけちゃってそこはかとなく全員ドン引きしてマッハで帰宅してクソして寝たにゃ」
【ラブライブ】年越ししりとり
fin.
以上です。
5th行けるから高ぶって書いちゃった感
本当は偶然のしりとり的な小ネタを書きたかったけど、前フリ何倍にも伸びちゃってつらい
その場で考えながら書く癖が直りますように、と願ってみようかな
読んでくれた方、どうもありがとうございました
少し遅いけど、今年もよろしくお願いしまうす。
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