百合
エロ
たぶん短い
女「こんばんわ」
女友(以下、友)「……なに、眠いんだけど」
女「失恋した」
友「こんな時間に?」
女「うん」
友「あー、うん、そっかそっか……おやすみなさい」
ギイイ
女「ちょっとちょっと、どうしてドアを閉めるのさ」
友「両親寝てるし……」
女「夜中に押しかけて悪かったと思ってるけどさ……あんた、この私の泣き顔が目に入らないの?」
友「……」
トタタタ
友「はい、ティッシュケースあげる」
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女「ひどい! ホントに、ひどい!」
友「なんでさ、家のティッシュ一箱あげるって言ってんのに」
女「あんたホントに人の子か!鬼だよ!血も涙もないよ!」
友「……だって、あれだけあの男はやめとけって言ったけど」
女「ぐ……」
友「それを、忠告無視して、突っ走って……間違いなく、自業自得」
女「そうですね……はい、もうその通りだよ」
友「はあ、まあしょうがないから部屋に上がんなよ。寒いでしょ」
女「友……ありがとおおおお!!」
友「静かにしろ」
女友の部屋
女「失礼しマース……」
友「明るいところで見ると顔ひどいね」
女「……ああ、うん。でしょ?」ズズ
友「ちょっと、ココア入れてくるから待ってなさい」
女「はい……」
トタタタ――
数分後――
友「お待たせ」
コト
女「ありがとう……」
友「それ飲んだら、帰れ」
女「えええ?!」
友「冗談だよ」
女「ええー……」
友「でも、私眠いからそれ飲んだら寝ろ」
女「話聞いてくれないの?」
友「うん」
女「なんて、友達がいのないやつ! 明日、日曜日だからいいじゃん!」
友「あんたにとっての日曜日が私にとっての日曜日と同じだと思うなよ」
女「?……それっぽいこと言って、私を混乱させる気だな!」
友「女、いいから黙って飲みなさい? ね?」
女「は……はい」
友「よろしい」
ズズッ
女「じゃあ、眠る前の一時だけ、私の話聞いてくれるかな?」
友「いいよ……」
女「あのね、昨日彼の誕生日だったから、ケーキを作って彼の家に行く約束をしたのね」
友「うん」
女「でもね、家に持って行く前に、その日用事があるからって……ドタキャンされちゃって」
友「うん」
女「別の友達に、その日彼が外で別の女の子と歩いてるの見たって」
友「……」
女「ひどいよね! もう、何も信じられない!」
友「そうだね、その男を選んだ女が一番信じられないけど」
女「あんたは、どうして私の傷をそうえぐるかなあ!?」
友「本当のことじゃん」
女「恋愛したことないくせに……」
友「ないけど、女がバカなのは分かる」
女「バカって言うな!」
友「男なんてろくなもんじゃない」
女「それは、友が付き合ったことないから言えるんだよ……」
友「付き合ったら何か良い事あるの?」
女「うんん……そういう損得勘定抜きで、考えよう」
友「恋愛なんて余計なことじゃない」
女「友は……まだ本当の恋をしたことないからそんなこと言うんだよ」
友「そっかな? 何にしたって、どうせ余計なことなんだと思うけど」
女「冷めてるなあ」
友「……」
女「どうしたの?」
友「いや、言いすぎたねごめん」
女「……そこで、引くのは反則……怒れないじゃん!」
友「怒んないでよ」
女「でも、ちょっとさっきまでのスーパー鬱タイムからはちょっと立ち直ったかも」
友「早いなあ」
女「友が話聞いてくれたおかげだよ」
友「何もしてないけど、良かったですね」
女「それじゃあ、寝よう!」
友「ベッド一つしかないんだけど」
女「私、床?」
友「暖房ガンガンにつけとくから、はいこれ」
スッ
女「なに、このアルミホイルみたいなの」
友「寝袋みたいなやつ」
女「こんなので寝たら凍え死んじゃうってッ」
友「だから、暖房つけるって。30度くらいにしとくから」
女「ベッドで一緒に寝ようよ!」
友「しょうがないなあ。じゃあ、ここからここまでは私の領土ね」
女「私、その線引きだと寝返り打ったら確実に落ちてしまうのですが……」
友「ええやん」
女「よくない!」
友「じゃあ、真ん中からこっちね」
女「最初からそうして欲しかったかな」
友「だって、女と一緒にベッド寝るのイヤだもん」
女「ひどい!」
友「ベッドは神聖な領域だし」
女「その割には、人形がたくさん置いてあるのだけれど」
友「あれは供物だから」
女「このうさぎのやつ可愛い!」
ポムポム
友「ちょ、ウサミさんに触らないで」
女「ウサミ? じゃ、この狐は?」
友「コンちゃん」
女「……おー、そっかそっか」
ごめんむっちゃ眠いので、明日また
友「なに、その自分よりレベル低い奴を見る目は」
女「違うよ、案外可愛いもの好きだよね、友って」
友「……好きだけど、いいじゃん。可愛いし……」
女「照れてるの? えー、可愛いねー」
ヨシヨシ
友「よしよしすな」
女「服とかはカジュアル系なのに、心はロマンチストなんだよね?」
友「何の同意を得たいの?」
女「乙女な友ちゃんがもし恋愛したらどうなっちゃうんだろうって思って」
友「さあ、分かんない。したことないし」
女「周りのこと見えなくなっちゃって、むっちゃ一途になりそうかも……」
友「ならんならん」
女「私は、見てみたいなー」
友「見せる気はない」
女「でも、好きな人できたら私に一番に言ってね……?」
友「えー」
女「その反応、友らしいなあ……この秘密主義め!」
友「だって、そういうの口にするの……恥ずかしいし」
女「恥ずかしい?」
友「うん……」
女「へー、そっか、恥ずかしいんだあ……」ニヤニヤ
友「慣れてないしさ……」
女「じゃあ、ちょっと訓練しようよ!」
友「イヤです」
女「即答しないでよお」
友「え、だって眠いし」
女「ちょっとだけ、ね?」
友「それ、女が私の反応見たいだけじゃん」
女「ぎくッ」
友「ぎく、じゃない」
女「一回、だけ? ね?」
友「……それしたら、寝るの?」
女「寝ます!」
友「はー……というか、なんて言えばいいのさ」
女「じゃあね、まずはクラスの男君を好きになったとして」
友「え、ないない」
女「なったとして!」
友「はいはい」
女「ついつい目で追ってしまうし、肩叩かれたら緊張するし、声かけられたら死にそうなの! っていう恋をしました」
友「……ま、待って」
女「なに」
友「想像できない」
女「想像するの!」
友「は……はあ」
女「……がんばれ!」
友「うむ……」グヌヌ
女「想像できたね?」
友「たぶん……」
女「はい、じゃあ恋愛相談」
友「……えーっと」
女「ゆっくりでいいよ、焦らずに、じっくり」
友「……あ、あの女」
女「なあに?」ワクワク
友「……あ、その期待に満ちた目がもう無理」
女「ご、ごめんごめんよ! 目、閉じるよ!」パチ
友「そういう問題なのか……」
女「さあ! テイク2!」
友「……なに、これやたら緊張するんだけど」
女「うんうん、その壁を乗り越える訓練だよ!」
友「乗り越えなくても食っていけるし……」
女「人間の最低限の生活レベルで考えないの」
友「壁ねえ……」
女「ささ」
友「……女、あのさ」
女「うん」
友「私、女が好き。だから、他の男が好きとか死んでも言えない」
女「……」パチ
友「なんて、びっくりした?」ニコ
女「……え、ええ、ああうん」ドキ
友「あ、照れてる」
女「あ、たり前じゃんか、て、照れるよ! バカ!」
ポカポカ
友「あ、痛いッ叩かないで」
女「な、なんでアドリブ挟んだし!」
友「だって女の言うこと聞くの癪に障るし」
女「この天邪鬼め……」
友「男君じゃさ、想像できなかったんだからしょうがない」
女「なんでさ、かっこいいじゃん……男君」
友「そうかな……」
女「ルックスよし! 成績よし! 性格よし!」
友「確かにね」
女「でしょ?」
友「たぶん、相手のこと良く知らないから……興味もわかないのかも」
女「じゃあ、明日は男君と話すところから始めようか」
友「こらこら、どうして私が男君と話さなければならない」
女「異性に慣れるためだよ。世の中、女の子だけじゃないんだから。社会に出て、男の人にろくに話しかけれないなんてだめでしょ?」
友「女性だけの職場に行く」
女「えー」
友「それか、女の所に永久就職」
女「なに言ってるの、もう……」ドキ
友「……まあ、でも女の言うことも一理ある、か」
女「お……」
友「女は、たまに良いこと言うね」
女「でしょー?」
友「うんうん」
女「よし、次は男君にどうアプローチを……って、なんでベッドインしてるさ!」
友「や、もう寝るから。そう言う約束」
女「そうだけどー」
友「早く、入りなさい」
ポンポン
女「はーい……」
ゴソゴソ
友「電気消すよ」
女「はーい……」
友「名残惜しそうにしないで、消しにくい」
女「友ともっと話したいのに……」
友「うんうん、消すよ」
女「ああッ」
カチ―
友「……すー」
女「……」
ゴロゴロ
友「静まれ、小僧」
女「……」
ピタッ
友「……すー」
女「……あ、あの友」
友「……すー」
女「暗いの苦手……」
友「あ……そうだったね。ごめん、怖かったね。豆電球つけとくから」
カチ
女「……ほッ」
女(豆電球って、見てると心がほっとするなあ)
友「すー……」
女(……あ、どうしよ……あの人の事、急に、思い出しちゃって……涙が……)ポロ
女「……ッ」
女(ダメダメ、友は寝たいんだから……)
女「ッ……」
女(ごめんね、友。背中ちょっと貸して……)
グリグリ
友「……なに?」
女「ん……ズズッ……ッヒク」
友「泣いてるの?」
女「……ッ」
友「……」
ゴロ―
友「ほら、胸貸してあげるから。背中よりマシだよ」
女「うん……ッ」
ギュウ―
友「よしよし……」
女「友……」
友「ん?」
女「背中と変わらなうぐッ?!」
ギュウウ―
友「絞め殺されたいの?」
女「ギブギブッ」
友「大人しくあやされろ」
女「あははッ……苦しい」
友「あんたこそ、よっぽど頑固ものの天邪鬼じゃん」
女「そう……?」
友「泣きたい時に泣けないんだから……」
女「そ、それは違うよ。友といると楽しくて泣けないの……」
友「そうなの?」
女「うん……今は寂しくて、でも友がいてくれて安心して出ちゃった……」
友「女はさ、無理し過ぎだよ」
女「え?」
友「無理に笑うなって。こうやって泣きに来ればいいの……女が泣いたのなんて初めて見たよ」
女「そうだったかな……」
友「うん、でもそういう強がりな所好きだよ」
ギュウ―
女「……ッ」ドキ
次の日――
教室――
男君「おはよー」
女・友「おはよー」
友「よく考えたら、男君って私の隣の席だった」
女「しー聞こえる聞こえる。いやいや、覚えておいてあげてよ。可愛そうだよ!」
友「今、覚えた」
女「前途多難かも……」
男君「自分ら、仲良いよね」
友「え? あ、ああ。二年もつるんでたらね」
男君「そっか、去年も同じクラスなんだ」
女「そうだよー」ニコ
ギュウ
友「抱きつくな」
男君「じゃあ、隣の俺が目に入らなくてもしょうがないね」ニコ
女「あ、ごめんね! 聞こえてた?」
男君「あ、イヤミとかじゃないから!」
友「ごめん……」
男君「いいのいいの!」
友「……ん?」
女「どうしたの?」
男君「うん?」
友「……男君っていつも帰りにコンビニで本立ち読みしてる?」
男君「げッ……見てた?」
友「見てたっていうか、今思い返すと、あれは男君だったようなって」
男君「そっか、でも、恥ずかしいなあ。実は、俺バイク買いたくてさ……雑誌とか我慢してて。あそこのコンビニ、友達がバイトしてるんだけど……それ知ってるから見逃してくれてるって感じかな」
女「バイクあったら、行動範囲広がるよね」
男君「そうそう」
友「どこか行きたい所とかあるの?」
男君「うん、行きたい所というか……爺ちゃんがさ、もう70過ぎてんだけど、めっちゃ山奥に住んでて、俺の両親って共働きで滅多に様子見に行けないんだよね」
友「……うん」
男君「だからさ、バイクあれば……何かあったら早いかなって思って」
女・友「……ッ」ポロ
男君「ええ?! な、なんで泣いてんの?」
友「いや、予想外にいい話だったから」
女「うん……」ズズ
男君「……ありがと」ニコ
友「……こちらこそ、込み入ったこと言わせちゃった」
男君「いいよいいよ。なんだか、すごく話しやすかったから、俺もつい」
キンコーン
男君「あ、席戻ろっか」
女・友「うん」
お昼休み――
学食―
友「そのうどん、昨日も食べてなかった?」
女「いいじゃん、揚が好きなんだもん」
ズルズル―
友「……ねえ」
女「んう?」モグモグ
友「人間て、話してみないと分からないもんだね」
女「また、おばちゃん臭いなあ」
友「男君てさ、体育会系好青年って容姿だけど、実際はチャライ系かと思ってた」
女「それは、私も」
友「実際、中身は清純派好青年だった」
女「お、惚れたか?」
友「惚れはしないけど」
女「けど?」
友「いい人だって、思った……うん」
女「……へえ」ズキ
友「仮にさ結婚しても、お互いの両親を大切にしてくれそうだし」
女「そこまでは考えてなかったけど、確かに」
友「好きになるならああいう人がいいかな」
女「友もついに目覚めの時が……」
友「まあ、まだ分かんないけどね。手繋いだり、キスしたり、その先のこととか……想像にしか過ぎないから」
女「そうだよね……」
友「女は、もうエッチ済み?」
女「……ごほッ」
友「大丈夫?」
女「う、うん……」
友「はい、お水」
女「ありがと……」ゴクゴク
友「なに動揺してんの?」
女「普通はするからね?」
友「そっか。経験があっても動揺はするのか……」
女「だ、誰も経験あるなんて……言ってないじゃんか」ボソボソ
友「え?」
女「まだ、ですから……」
友「そうなの?」
女「……そういう雰囲気には何度かなったことはあるけど、でも、その……」
友「ああ、言いにくいならいいよ」
女「今度、今度話す!」
友「期待しないで待っておく」
女「私も、友にレクチャーできるような経験はないんだよ」
友「いいよいいよ。なんか、男君から話しかけてもらってさ、案外話しやすいなって思ったから。まず、男君で練習してみる」
女「そうだね、それがいいかも!」ズキ
友「ちょっと、世界広がってきた」ワクワク
女「お、珍しいね。友がそんな顔するの」
友「え、どんな顔?」
女「教えなーい」
友「教えてよ」
女「いやー……」
女(あれ……なんだろ………すごく、いや)
帰り道――
友「じゃ、ばいばい」
女「じゃあねー」
タタタッ
友「……あ、そう言えばコンビニに」チラ
友「あ、いた……男君」
コンビニ――
ピロピロピロー
友「やほ」
男君「お、やほ」
友「変な本読んでた?」
男君「よ、読んでないって!」
友「ぷッ、焦りすぎ」クスクス
男君「どしたの?」
友「ああ、男君いるかなって覗いたらいたから」
男君「そっか、せっかく声かけてもらったし一緒に帰る?」
友「あ、いいよ。邪魔しちゃってごめん」
男君「いいって。俺ん家すぐそこだから」
友「じゃ、ちょっと待って」
男君「?」
友「アイスを……」
男君「アイス!?」
友「しッ! 女には内緒だから」
男君「……この寒いのに」
友「寒い日に冷たいもの食べるの好きなの」
男君「すげ……」
友「ガリガリ君でいっか……」
ゴソゴソ
友「ちょっと待ってね」
テテテ―
帰り道――
男君「うわ、見てるだけで鳥肌立ってきた」
友「美味しい」ペロペロ
男君「……体壊さないようにね」
友「それ、女にも同じこと言われた」
男君「心配してくれてるんだね」
友「お腹を壊したことはないんだけど……」
男君「強いなあ」
友「美味しいよ? いる?」
男君「俺は寒いのダメだから、ありがたく拒否します」
友「こたつでアイスはいいのに、寒いところでアイスはダメっておかしい」
男君「ははッ……友ちゃんだけだよそれ」
友「そう?」
男君「うん、てか友ちゃん話してみるとスゴく面白い……けっこう衝撃」
友「どゆこと?」
男君「俺、友ちゃんはスケバン的なオーラを感じてたから」
友「失礼な、誰がスケバンだ。というか、いつの時代の人間だ」
男君「うん、だよね。そのギャップにやられた」
友「そんな怖い感じだった?」
男君「怖いって言うか、一匹狼みたいな」
友「ガルルッ!」
男君「ぷッ……」
友「あ、家こっちだ」
男君「ああ」
友「じゃあね」
男君「じゃ」
翌日―
女「おはよー」
友・男君「おはよー」
女(おやおやおや……?)
友「どうした? 牛みたいな面して」
女「そんな顔してないよ!」
友「怒るな怒るな」
男君「女ちゃん、今日髪巻いてるの?」
女「あ、うんちょっと時間にゆとりがあって」
男君「可愛いね」
女「ありがとう、えへへ」
友「あれ、ホント。緩めにかけてるのめっちゃ可愛いじゃん」
サワサワ
女「……でしょお?」ドキ
男君「女ちゃんて、たまに髪巻いてるよね」
女「うん、ホントたまにだけどね」
友「朝早く起きれた時だけね」
女「しー」
男君「ははッ」
女「男君、けっこう女子が喜ぶポイント抑えてるね」
男君「あ、いやいやそうでもないよ。この間なんか、友達の彼女の服装可愛いねって言ったら、コーデ失敗したって言われたし」
友「ああ、それちょっと病むよね」
男君「そうなんだよ……」
友「どんまい」
女(……ちょっと、ちょっと二人とも距離近くない?)
男君「どうしたの、女ちゃん?」
女「あ、ううん」
友「……」
理科の授業――
女「こ、これ……次どの試薬入れれば良かったけ」
男君「次は、ちょっと待ってまずはその左手の薬さじ置いて、両手で持とう」
女「うん……」
友「女、試薬がついたって死にゃしないよ」
女「わかってる、わかってるけど……」
男君「実験てやたら緊張するよね」
友「ちょっと、フラスコまとめてくるよ?」
男君「あ、俺行くよ?」
友「大丈夫大丈夫。女見てて」
女「い、行かないで友ちゃん……」
男君「大丈夫だよ、もうあと入れるだけだから。手についても、水ですぐ洗い流せばいいよ」
女「うんッ……」
男君「そっとね」
女「こ、こう?」チラ
男君「上手い上手い」
女「あ、アスコルビン酸……0.0045g入れ終わりました」フー
男君「あとは混ぜるだけ」
女「はい!」
男君「さすがに50㎖のフラスコは入れにくいね」
女「ろうとが無くなっちゃうって、どんないい加減な管理してるの、もう!」
男君「だね、俺も駄に緊張した」
女「うん……」
男君「……あのさ、女ちゃん」
女「なあに?」
男君「俺の白衣むっちゃ握り締めてる」
女「ええ?! ご、ごめん」
ぱッ
男君「いいよいいよ。そんなに怖かったんだ」
女「怖いよ、私めっちゃ怖がりだもん。夜も暗いと寝られないし……心配性だし」
友「ただいまー」
女「友おおお、怖かったよおお!」
友「試薬一つで大げさな」
男君「でも、きれいに入れてたよ、大丈夫」
友「……だってさ。よしよし」
女「うう……」
男君「使い終わったやつ、洗って乾燥機かけてくるから、俺がさっき取った実験データ写してて」
女「ありがとう……」
友「ありがと」
ガチャガチャ
男君「っしょ」
女「重そうだね、一緒に行こうか?」
男君「いいよいいよ」
テクテク―
女「……男君てさ、めっちゃいい人だよね」
友「うん」
カリカリ
女「……惚れた?」
友「さあ」
女「さあってことは興味がないわけではいんだね」
友「……知った風なことを」
女「分かるもん……」
友「はいはい……」
女「友、そこ数字違うよ」
友「……あ」
女「……あはは」
教師「えーでは、これで授業を終わります。代表の人、レポートを持って準備室まで来てください。片付けの人はそのままで」
友「え、はや」
女「私、レポート持って行ってくるから、友はここで待ってて」
友「女の分も書き写しておくよ」
女「ありがと、お願い」
タタタタ――
友「よし……」
カリカリ
数分後――
男君「あれ、だいぶ人数減ったね」
友「レポート出しに行った」
男君「あ、そうなんだ。申し訳ない」
友「いいのいいの。洗ってきてくれたんだから。冷たくなかった?」
男君「ちょっとね」
友「うわ、手赤くなってるじゃん」
ギュ――
男君「うわ、むっちゃ温かい」
友「ご苦労様」
ギュギュッ
男君「……友ちゃん」
友「?」
男君「あのさ……」
友「うん」
男君「今日、放課後暇?」
友「えっと、うん」
男君「良かったら、ちょっと話したいことがあるんだ」
友「いいけど」
男君「良かった」
女「たっだいまー!」
男君・友「……あ」
ぱッ
女「……な、なにやだラブラブしちゃって」ズキ
男君「そういうわけじゃ」
友「なんにもないって。冷たい手だったからチンしてやってたの」
女「へー」
女(やましくないなら、別に隠すように離さなくてもいいじゃん……)
男君「女ちゃん、レポートありがとう」
女「いいえの……」
放課後――
女「かーえーろー」
ガシッ
友「後ろから襲いかかるな」
女「えへ」
友「実は、今日ちょっと用事あるから一緒に帰れない」
女「ええ? 帰宅部なのに?」
友「帰宅部だって人付き合いくらいします」
女「ちぇ、どのくらいかかるの?」
友「わかんないから、帰って大丈夫」
女「友は、またそんなこと言って、ホントは寂しいくせに。大丈夫、待ってる!」
友「……しょうがない、図書室温かいからそこにいなさい」
女「はーい」
友「終わったらメール入れるね」
女「りょ!」
とある空き教室――
男君「ごめんね、呼び出しちゃって」
友「いいよ」
男君「実は、その……気づいてたかもしれないんだけど」
友「……」
男君「俺、女ちゃんが好きなんだ」
友「……へ?」
男君「ここ入学した時に、一目惚れしたというか……恥ずかしいな改めて人に言うと」
友「そうだったんだ……全然気付かなかった」
男君「え、そっか。上手く隠せてたか……良かった」
友「確かに、女は可愛いし守ってあげたくなるし……惚れてしまうのはわからなくもない。どういう所が好きなの?」
男君「うん、そういう女の子っぽい所もスゴく好きなんだけど……人をきちんと立てる所が凄いなあっていつも思ってた」
友「へえ……よく見てるね」
男君「はは……それと、俺可愛いものけっこう好きで……小動物とか小さい体で一生懸命な所とか」
友「……その気持ちは分かる」
男君「あのさ、それで……女ちゃんは今、付き合ってる人とかいるのかなって」
友「いたけど……今はいない。傷心中かな」
男君「そっか、じゃあもう少し時間を置いたほうがいいね……」
友「優しいね」
男君「……きっと、今は気持ちの整理とか必要だと思うし」
友「いや、あいつさみしがり屋だから、大丈夫……男君の優しさは絶対伝わるから」
男君「……ありがと」
友「入学してからずっと見てたんだ……」
男君「ちょっと、ストーカーっぽいね……はは」
友「ううん……男君なら太鼓判押せる」
男君「ありがとう。やっぱり友ちゃんに相談して良かった」
友「ホント、最初私が告白されるのかと思って焦ったから」
男君「ええ? そ、それは……なんかごめん」
友「いいよ。男君のこといい人だなって思ってはいたんだけど……でも、私にはやっぱり分からなかったから、恋愛とか」
男君「俺も、こういうの得意な方じゃないよ。でも、直感。今、行かなきゃって体が動いてる」
友「そういうものなんだ」
男君「……それとさ、友ちゃん」
友「うん?」
男君「もし、俺の告白が成功しても失敗しても、友ちゃんと女ちゃんの好きなようにして欲しい……って言うのはわがままかな」
友「……」
男君「俺は二人の関係を悪くさせるのだけは嫌なんだ……」
友「……」
男君「俺、たぶん友ちゃんと楽しくしてる女ちゃんを見るのが好きなんだ……だから、もし二人が気まずくなるなら、俺もう話しかけないようにするから……それでも、俺は告白するんだけど」
友「優しいのか……わがままなのか」
男君「ごめんな」
友「いいよ。大丈夫、男君は自分の気持ちに従っていいんだ。頑張れ!」
バンッ
男君「いった?!」
友「うじうじすんな、やりたいようにやってくればいいよ」
男君「……ありがと。俺、友ちゃんみたいな男友達欲しい」
友「もっかい叩いていいかな?」
男君「ご、ごめん!」
友「ぷッ……」
男君「ははッ……」
男君「よし、前向きに行ってきます!」
友「よし、じゃあ善は急げだ」
男君「ええ?」
友「あの子、図書館で待ってるから」
男君「ちょっと待って心の準備が……」
友「それもそうだ……」
男君「いや、うん、たぶんきっかけが大事だ。これが、チャンスだと思って掴んでくる」
友「おお、その意気その意気」
図書館前――
友「じゃあ、外にいるけど。二人がなかなか出て来なかったら帰るから」ニヤ
男君「図書室にそんな長居しないよ……」アセ
友「どうかな」
男君「じゃあ、行ってくる」
友「うん」
図書室――
女「……くー」スヤスヤ
とんとん
男君「……」
女「ふあッ」ビクン
男君「おおッ……」ドキ
女「友ひゃん……?」
男君「あ、ごめん、俺」
女「男君? 勉強しに来たの? えらいね」
男君「あ、違うんだ」
女「うん?」
男君「少しだけ、聞いて欲しいことがあるんだ」コソ
女「……あ、うん」
女(……もし、もしかして、友ちゃんと付き合うことになったとか……そいういう……)ゾッ
男君「俺さ、女ちゃんのこと好きなんだ」
女(その場合、私、どうすればいいの……)
男君「女ちゃん?」
女「……へ?!」
男君「ぷッ……俺ね、女ちゃんが好きなんだ」
女「……」
男君「お、おーい」
女「あ、はいッ」
男君「……俺と付き合って」
女「……私?」
男君「そうだよ」
女(私……私だったんだ……ああ、なんだ良かった……いや、いや)
女「わ、私なんかより、友ちゃんの方がよっぽど女らしいよ、かっこいいし!」
男君「うん、友ちゃんは人として尊敬する。でも、俺が好きになっちゃったのは、キミなんだ」
女「わ、私なんか……ドジだし、人に頼ってばかりだし……」
男君「俺は、好きな子に頼られたいんだ」じッ
女(……ははッ、心配して損しちゃった……ごめんね、ごめんね、友ちゃん。ごめんね、男君)
女「男君……あのね」じッ
男君「あ……うん」ビク
女「……」
女(……あ、男君気がついた……んだ)
男君「……」
女「……ごめん」
男君「……ありがとう」ニコ
女「……私てっきり、友ちゃんが好きなんだと」
男君「友ちゃんも、そんなこと言ってたな……俺、そんなに友ちゃんと仲良さそうに見えた?」
女「うん」
男君「そっか。もっとしっかりアピールしないといけなかったな」
女「男君、私ね……告白されて嬉しかったよ」
男君「いいよ、大丈夫」
女「うん、違うんだよ。男君が思ってるような人間じゃない、私」
男君「……?」
女「私……私ね……友ちゃんが、友ちゃんが……好きなの」
男君「え……」
女「ごめんね、こんなのいきなりカミングアウトされても困るよね……ッ」
男君「あ、その」
女「ちょっと前まで、私普通に男の人と付き合ってたのに……」
男君「……」
女「どこで間違えちゃったんだろう……」
男君「……女ちゃん」
女「気持ちわるいよね……私も変だなって思う。こんなこと聞いても迷惑だよね」
女「ダメだ……ホント」
男君「……ダメなんかじゃないよ」
女「……」
男君「もし、俺が女でもキミのこと好きになってたよ」
女「……それ、すごい」
男君「でしょ? それが好きってことなんだよ」
女「……男君、イケメン過ぎ」
男君「ありがと……」
女「どうして、私の周りにはこんなにイケメンぞろいなのに……上手くいかないんだろ……」
男君「女ちゃん、キミだって本当は前世は男の子で、友ちゃんを元々好きで、生まれ変わっても友ちゃんを好きなだけかもしれないよ?」
女「男君、名言過ぎる……」
男君「あはは」
女「そう、なのかもしれないって、思っちゃうじゃん……」
男君「なら、俺は振られるのは当然だって」
女「……男君」
男君「女ちゃん、外で相棒が待ってるから行ってきなよ」
女「……うん」
ガタタ―ピタ
男君「振り向かないで」
女「……」
男君「そのまま行って」
女「うん……」
タタタタ――
図書館入口
友「寒……」
ウイイン―
女「友……」
友「やほ」
女「やほ……」
友「帰るの?」
女「うん……」
友「寒くてしにそうだったから、早く帰ろ」
女「なんか、飲み物いる?」
友「いいって。それより、雪けっこう積もってる」
女「え……あ」
正面玄関――
友「ほら、5cmくらいは積もってるかも」
女「全然気付かなかった」
友「外が静かだなーって思ってたけど。雪が音を吸収してたんだね」
女「……足跡がくっきりついてるね」
友「スーパー寒波到来って言ってたしね」
女「なに、そのネーミング?」
友「私がつけたんじゃないって」
女「とりあえず、スゴく寒いのは伝わってきたよ!」
友「プールとか凍ってるんじゃない?」
女「見に行こうよ!」
友「寒い……」
女「ちょっとだけ?」
友「はいはい」
プール――
女「全然、凍ってないね」
友「所々氷は張ってるくらいか」
女「つまんなーい……」
友「見た? 満足した? 帰ろ?」
女「ごめんごめん……帰るよ」
友「……よっと」
テクテク――
女「あ、まって……ひゃ」
コツッ―
ドサッ―
友「……」
クルッ
友「なにやってんの」
女「つめたー!?」
友「もー、早く立たないと濡れるよ?」
グイッ
女「……」
友「顔も雪だらけじゃん……」
パシパシッ
女「あ、ちょ、叩かないで」
友「しかし、見事な魚拓ならぬ女拓が……」
女「ひえ、恥ずかしい!」
ゲシゲシッ
友「もったいないなあ。せっかくきれいにできてたのに、あ、そこの新雪に……もう一回」
女「やめてよ!」
友「冗談だよ。さ、もう行こ」
女「友ちゃん、待って!」
友「……うん?」
女「あの、あのね……」キョロ
友「?」
女(……い、いざとなると言えない……でも、せっかくもらった勇気だから)
スッ
友「枝なんて拾ってどうしたの?」
女「……」
女は雪の上に文字を書いていく。
友「……」
『私、友が、スキ』
女「……ということなんです」
友「……なにが、ということなです、だ」
女「なにがと言われても」
友「あえて聞かなかったけど、男君はどうしたの……」
女「振っちゃった」
友「もったいない……」
女「だって、好きじゃないんだもん。それに、当初の目的は友を男慣れさせようと思ってのことだったし」
友「私は十分慣れたよ。だから、今度は女が幸せになりなって」
女「だから、私、友が好きなんだよ」
友「あんたはそうやってまた……自分のこと後回しにする」
女「違うの!」
友「……」ビクッ
女「そうじゃないんだよ。私、友が好き、気づかなきゃ良かったけど……気づいちゃったから、ごめんね、友」
友「……」
女(そうだよ、私、友が好きだったんだ。だから、前の彼氏とも上手くいかなかったんだ……そうなんだ)
友「ねえ、女」
女「なあに」
友「……今までずっと男の子と付き合ってきて、急に女の子を受け入れられる?」
女「大丈夫だよ……だって」
友「女はさ、今、別れたショックでさ……とにかくなんとか立ち直れるように、すがるものを求めてるんじゃないの」
女「そんなことないよ、私、本当に」
友「……」
ザクザクッ
女「え」
友「ンッ……」
友は女を抱きしめて、軽く唇を押し当てた。
そのまま、唇だけを離す。
女「……あ」
ドンッ―
友「……あいた。何も、突き飛ばさなくても……」
女「えと、ごめん。ごめんね!」
タタタタ――
友「……ちょ」
女の家――
女「逃げて来ちゃった……友、怒ってるかな」
女「……なんで、押しのけちゃったんだろう」
女「……友のことも、男君のことも傷つけてるだけじゃないかな……」
ピンポーン
女「……」
タタタッ
ガチャ―
女「はい……」
友「やほ」
女「……ご、ごめん、あの」
友「こら、閉めるな」
女「あの、私、私、お腹が痛くなって!」
友「下手くそな嘘つくな」
女「なんでなんで、キスなんかしたのさッ」
友「だって、嘘か本当か確かめるのに、手っ取り早いから」
女「びっくりした……から」
友「ダメだったじゃん」
女「……」ぎくッ
友「私じゃダメだった。そういうことじゃないの?」
女「私……逃げてるだけなのかな……」ポロ
友「さあ……でも、泣いてる」
女「泣いてなんかない……」ポロポロ
ゴシッ
友「女、部屋入れて」
女「……うん」
友「私はさ、恋愛なんてしたことない……だから、女がどういう経緯で私を好きになったのかなんて確信をもって言えることはないよ。でも、女のこと大切だから、言うの。それは分かって欲しい」
女「分かってる。友は本当に、私のことを考えてくれる。あんたはホントに良いやつだよ……」
友「でも、嫌じゃない……」
女「え……」
友「好きとか言われて……嫌ではないから」
女「そっか……」
友「というか、面と向かってどいつこいつもよくそんな恥ずかしいことを言える……」
女「友こそ、自分のことに鈍感だよね」
友「……」
女「男の子より先に女の子試してみる?」
友「女がしてみたいなら、いいよ」ジッ
女(……友、ちょっと震えてる。無理しちゃってるんだ。私がそうさせてるんだね。どうして、そこまで優しいのかな。ほんとに、ねえ)
女は、友のおでこに触れた。
友「ん……」
女「私、前世は男の子で、友のこと愛してたのかもしれないね」
友「なにホラー?」
女「ううん、例え話」
友「女みたいな小動物系が男?」
女「そうだよ……ほら、だって、今私の方がリードしてるでしょ?」
友「それは……私がやり方を知らないから」
女「私だって、知らないよ……」
友の耳に触れる。
びくりと身体が跳ねた。
指の腹でこすってやる。
友「……ひあッ」
友の手が女の手に伸びてきて、
払いのけようとする。
女「くすぐったい?」
友「……ッ」
誘うように、目配せする。
友「……変態の素質は十分あるね」
女「友の耳、小さくて可愛いなあとは思ってたよ」
こする。
いじる。
友「……ぁ」ビクン
女(友って、攻められるのに弱いのかな……可愛いなあ)
友「い……つまでいじってんの」
女「他の所も触ってほしい?」
友「……別にそういうわけじゃ」
女「キス、今度は私からするね……」
友「……うん」
友の唇の端を舐めあげて、横にずらしていく。
ちろちろと舐めあげてやると、苦悶の表情を浮かべていた。
友「どこがキスだ……バカ」
女「これから……あむッ」
友「んむッ……」
下唇に吸い付くと、わずかに口が開いた。
ねっとりとした口内を舐めまわす。
友は、何もできないのか、身体を強ばらせていた。
女「友、もっと肩の力抜いて」
友は女の手を握り締めていた。
友「ご……めん」
女「謝らないで……」
口を離すと、制服に唾液が滴り落ちていった。
女「制服汚れちゃうから、脱ごっか」
友「……あ、うん」
女「急に、弱気になったね……」
友「や、大丈夫……」
友は大丈夫とは言うものの、やはりぎこちなく女の手に指をからめる。
向き合うような形で、互いにブレザーとカーディガンを脱がせあった。
友「シャツも……」
女「寒いでしょ?」
友「まあ……」
女「いいよ、まだ」
女は友をベッドに張り付けるように押し倒した。
女は自分の中に眠っていたであろう淫欲が目覚めるのを感じていた。
本当に、前世なんてものがあったのだろうかとさえ思えた。
友の胸に軽く触れる。
小ぶりで、柔らかい。
女「……女の子の体って、自分じゃわからないけど……こんなに興奮するものなんだね」
女は昂ぶりを隠すことなく、口に出した。
そうして、興奮した後、自分はいったい友に何をすればいいのかと思考を止めた。
女「……やっぱり、無理だ」ポタ
友「どうした……」
ポタタ―
女「分からない……女の子同士なんて分からない……初めてだもん」
友「……私もだよ」
女「この先には……いけない」
女(私、やっぱり、友に甘えてただけなんだ……自分の満たされなかったものを押し付けるだけ……)
女「友に嫌われたくないよ……こんなことしたいわけじゃないの……ごめんね、ごめんね……友」
友「女……」
友は女の涙を拭うように舐め上げた。
そして、唇を重ねる。
女「……友」
熱のこもる脳。
女をくらくらとさせる。
友はぎこちなく笑う。
友「抱きしめてくれる?」
少し涙で湿った頬を寄せる。
友の頬も、湿っていた。
暖かい。
女「うん……」
友「……本当は、私が友を格好良くリードする予定だったんだけどね」
女「友は、案外乙女だもんね」
友「……そうだね。女が覆いかぶさって来たとき何もできなかった……悔しいけど」
女「……可愛いなあ」
友「女に言われたくない……」
女「どうして、私男の子じゃなかったんだろ」
友「なに言ってんの」
女「それだったら、絶対、友のこと今滅茶苦茶にしてる……」
女の手に力がこもる。
背中に伸ばされた友の手がシャツを握り締めていた。
友「こ、怖いこと言うな」
女「……そんなに怯えないでよ」
友「いやいや」
女「ムラムラするじゃん……」
女は友の首筋に鼻を当てる。
友「嗅ぐなって……ッ」
友は抵抗できないのか、シャツを握り締めるだけだ。
女「もうちょっと勉強してみるね……いい、友?」
友「しなくていいから……ぁッ」
女「うなじ舐めるの気持い?」
友「……わかん、ない」
女「胸揉むのは?」
女は友に抱きしめられなながら、彼女の乳房を下から押し上げるように掴んだ。
くにゅくにゅと変形した。
友「…………んッ……は」
甘ったるい吐息に鼓動が早まる。
汗の臭いなのか、エッチな匂い鼻腔をくすぐり、下腹部を刺激する。
女「いつも強気な友が、私のなすがままになってるのもいいかも……」
友「ば……かッ……」
女「……乳首の所がいいって聞いたけど」
くりッ。
友「ふあ!?」
女「いい?」
くりくりくりッ。
友「やめ、やめてッ」
女「なんだかちょっぴり切ない感じ?」
友「……わか……らないッ……はぁッ」
友はいつもの冷静な表情を歪ませている。
女「誘い方、うまいなあ……」
友「誘って……ないって……ん」
くりくりッ。
女「服の上からでも、固いのわかるよ」
友「女だって……」
友は女の胸をまさぐった。
女「あ……ッ」
友「ちょと、声出さないで……」
女「興奮する……?」
友「……ッ」
しんしんと雪の降り積もる中。
私たちは、ただ身体に触り、舐めて、絡み合った。
男の代わり、なのかもしれない。
女「友、私……もう少しだけこうやっていたい……」
耳元で囁くと、友は身体をよじらせる。
友「ぁッ……ん」
ごめんね、男君。
これからもいい友達で。
友の声を聞いて、
だんだんと、
楽しくなり、
愉悦に、
浸り始めている。
友「女ぁ……もうッ……やめ」
一つの恋が終わった。
でも、それは、
新しい性への芽生えを意味していた。
もっと鳴かせたい。
友の精神を掻き狂わせ、
身悶えさせ、
我を忘れて、
自分を求める。
そんな彼女を、
見てみたい。
友「……ハッ……もう、乳首触らないで……」
女「あ……ごめ」
気が付くと、友はぐったりとしていた。
その姿に、女は欲情した。
私に跨り、
求める姿を、
思い描いた。
友「女……どうしたの?」
女「……私」
友「……?」
もしかしたら、
本当に男の子だったのかもしれない。
女「やっぱり……失恋して良かったのかも」
友の胸にかじりついた。
友「……んあッ?!」
女「……ふふ、可愛い」
友「女……やめッ」
女「ごめんね、エッチの仕方分からないから、やりたいようにやるね……大丈夫、気持ちよくしてあげる」
お願い、止めて。
そそる言葉だ。
私の中の女の子が、
潰れて、
トマトソースみたいに、
溶けて、
流れていった。
女なのか、
男なのか、
どちらでもないのか。
女「友、好きだよ」
終わり
読んでくれてありがと!
あんまエロくならんかったすまん。
よかった
他の作品もみたい
友サイド書いてみてほしいなー
ノンケのままでも目覚めさせられるのでも、どっちでもいいから
読んでくれてありがと
>>75
一応下にまとめてあるから良ければどうぞ
ttp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4628876
>>76
友サイドは、気力があれば……
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