【ラブライブ】12月の誕生日会 (31)

少しだけれど地文有り
時期の矛盾があるかもしれないけど大目に見てください

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穂乃果「あぁー最近暇だねぇ」

海未 「11月はあまり大きなイベントがありませんでしたからね」

ことり「紅葉とか衣替えとかあったよー」

真姫 「衣替えって普通は10月じゃない?」

花陽 「でも、10月だと冬物の服はまだ暑いから本格的に出すのは11月入ってからかも」

凛  「にこちゃんは防虫剤の臭いとか好きそうだよね」

にこ 「ちょっと、それどういう意味よ!」

穂乃果「そういうのじゃなくてもっと派手なイベントが良いんだけどなぁ」

絵里 「もう次は12月のラブライブ最終予選とクリスマスまでとくに何も無いんじゃないかしら」

希  「10月から11月にかけてハロウィンと凛ちゃんの誕生日ってイベント続いたから休憩期間やね」

穂乃果「誕生日!そうだ、次のメンバーの誕生日はいつだっけ?」

海未 「えっ……穂乃果、覚えて無いんですか?」

穂乃果「お、覚えてるけどさ。念のため聞いてるんだよ」

凛  「確か11月は1日の凛だけで12月は誰もいないから、次は1月17日のかよちんの誕生日だにゃー」

花陽 「1月17日はおむすびの日でもあるんです。同日に発生した阪神・淡路大震災の影響で食料不足だった被災地に炊き出しのおむすびが振舞われた事が発祥で…」

にこ 「はいはい、2月も誰もいなかったはずだから後は3月15日の海未の誕生日で終わりなのね」

絵里 「6月から毎月誰かの誕生日が続いていたから一ヶ月空くだけでも長く感じるわね」


穂乃果「あぁ~結局しばらくの間は何のイベントも無しかぁ~」

真姫 「さてと、そろそろ私は音楽室に行って曲作りでもしてくるわ」

絵里 「私達も練習に行きましょうか、穂乃果も体力が有り余っているみたいだしビシバシやるわよ」

穂乃果「うえぇーそれとこれとは話が別だよー」

希  「………」




にこ 「希、一緒にストレッチやるわよ」

希  「う、うん…」

希  「ねぇ、にこっち。誕生日の事なんやけど…」

にこ 「んーわかってるわよ、私も夏休みだったから家族以外に祝って貰う事なんてほとんど無かったから」

にこ 「でも今年はみんなにお祝いして貰って嬉しかったわ、同じ夏休み中でも穂乃果はそんな想いしたこと無さそうだけど」

希  「そうやね、うちも小さい頃は友達と誕生日会とかした事無かった…だから」

にこ 「でもしょうがないじゃない、その頃には私達はもう…」

希  「それでもうちは何かしてあげたいと思うんよ」

にこ 「はぁ…だったら私だけに言ってもしょうがないでしょ」

にこ 「みんなー!希から話があるんだって」

希  「ちょ、にこっちちょっと強引なんじゃ」

にこ 「別にあの子のために何かしてあげたいと思うのはあんただけじゃないと思うわよ」

ポローン ポローン

真姫 「はぁ…浮かばないわね」

真姫 「……海未で最後かぁ」

あの時期はまだみんな仲が良かったわけじゃないから仕方ないし

誕生日には毎年家でパーティーしてみんなお祝いしてくれるし

そもそも今までだって一緒に誕生日を過ごすような友達なんていなかったし

来年の誕生日にはきっとみんなお祝いしてくれるし

でもその時には今の3年生は……

真姫 「ほんと、何考えてるんだろ……バカみたい」

真姫 「うっ…くっ…うぅっ……ぐすっ…」




私は今年の誕生日を思い出していた

音ノ木坂に通い始めてまだ数日、私が丘の上にある西木野総合病院の跡取りだと知り興味本位で近寄って来る子達も鳴りを潜めた頃だった

私だって出来る事なら他の子達と仲良くしたい

でも病院の娘としてのフィルターを通して見てくる人達とはどうしても上手くやっていける気はしなかった

音楽室に入りピアノの前に座る



私はこの学校があまり好きではなかった

単純に古い学校だからというのもあるし、勉強のレベルだって高いわけではない

何よりも入学した矢先に私達の卒業と同時に廃校が決まる学校なんて聞いた事が無い

ママがどうしてもっていうからこの学校に入学したが完全に失敗だったと思う

そんな学校の中で唯一好きになれるのがここだった

今夜は誕生日のパーティーもあるし早めに帰らなければならないので少しだけ

そう思いながら私はいつものようにピアノを奏でる



私は音楽が好きだった

今まで色々な習い事をやってきたが唯一自分からやりたいと願ったのがピアノだった

音楽の道に進みたい、そんな子供染みた考えを持った事さえあった

私は病院の娘、そんな夢は叶うはずが無いのに


「あいしてるばんざーい、ここでよかった~♪」

ここって何処の事よ、家?学校?この音楽室?

ここでよかったなんて思える場所私には……


パチパチパチパチパチ

音楽室の扉の前で彼女が拍手をしていた

―――――


そこからは毎日がジェットコースターのように過ぎて行く

穂乃果に頼まれて初めて曲を作ったし

花陽のアイドルに対する思いを聞き

凛と一緒に背中を押して

海未とことりが差し出した手を取りμ'sの仲間になった

にこちゃんのアイドル研究部に入って始めてのライブ

絵里とは対立もしちゃったけれど

希と一緒にメンバーに加わって9人が揃う

それはまさに私にとって、私達の奇跡



でも奇跡が一つ叶うともう一つ、もう一つってきりがなくなってしまう

私って思っていた以上に欲深い人間だったみたいね


―――――

真姫 「ねぇ、最近穂乃果と海未が練習来ないのは何でなの?」

凛  「せ、生徒会が忙しいんじゃないかにゃ~」

花陽 「ほら、新入生説明会の準備とかあるみたいだよ」

真姫 「その割にはことりは練習来てるんだけど」

凛  「こここ、ことりちゃんはきっとサボりなんだよ。ことりちゃんは悪いにゃ~」

花陽 「凛ちゃん落ち着いて。きっと穂乃果ちゃんがやらなきゃいけない仕事があって海未ちゃんが監視してるんだよ」

真姫 (何か隠し事してるのがバレバレよ。でもいったい何を隠してるのかしら)


花陽 「そうだ、真姫ちゃん9日の放課後は何か予定ある?」

真姫 「9日って確か練習休みの日よね」

凛  「何も予定無いよね?ねっ?」

真姫 「う゛えぇ?と、とくに予定は無いけど……何かあるの?」

凛  「な、何も無いよ!」

花陽 「うん、何にも無いよ」

真姫 「何それ?イミワカンナイ」

――――

12月9日

真姫 「とくに無く今日も終わりそうね。いったい何だったのかしら


真姫 「……帰って新しい曲でも考えましょ」

凛  「まーきちゃーーーん!!」ガシッ

真姫 「う゛えぇ?突然何よ」

凛  「真姫ちゃんの右側確保だよ!」

真姫 「凛ってば何言って……」

花陽 「真姫ちゃんの左側確保です」ガシッ

真姫 「なっ、花陽まで?」

凛  「よーし、このままれっつごーだよー」

真姫 「ちょ、ちょっとどこ連れてくのよー」

真姫 「ここって……音楽室?」

花陽 「早く、扉を開けてみて」

真姫 「もう、何考えて……」

~♪

……この音楽は



――あいしてるばんざーい ここでよかった

部屋の中にはつたない様子でピアノを弾く穂乃果と

――わたしたちのいまは ここにある

私を優しく見つめて歌う5人

――あいしてるばんざーい はじまったばかり

そして呆然と立ち尽くす私の背中を優しく押す2人

――あしたもよろしくね まだ ゴールじゃない


真姫 「い、いったい何なのよ?」

穂乃果「何って真姫ちゃんの誕生日パーティーだよ!!」

真姫 「え?は?誕生日って何言って」

海未 「真姫だけ誕生日会をしないのは不公平だという意見が出まして」

絵里 「だから今日はサプライズで真姫の誕生日会をすることしたのよ」

にこ 「ちゃんとご馳走だって準備したんだから感謝しなさいよね」

ことり「ことりもケーキも作って来たんだよ」

穂乃果「私だってあの時弾いてた曲だったから頑張って練習したんだよー」

真姫 「え?あの時って……」

穂乃果「あの時はあの時だよ、穂乃果が始めて真姫ちゃんに会った日。真姫ちゃんの誕生日だったよね」

真姫 「穂乃果、覚えてたの!?」

穂乃果「当たり前だよー、穂乃果を何だと思ってるのさ」

海未 「穂乃果ときたらあの日聞いたピアノを今度は真姫に聞かせるんだと毎日遅くまで練習していたのですよ」

にこ 「その割にはところどころミスしてたじゃない」

穂乃果「両手でピアノ弾くのって難しいんだよ!にこちゃんもやってみればわかるよ!」

真姫 「穂乃果、みんな。ありがとう」


にこ 「さあて、そろそろ料理も食べなさい。せっかく作ったのに冷めちゃうわ」

凛  「わートマト料理ばっかりだ」

絵里 「じゃあ、みんなトマトジュースで乾杯ね」

「「「「「カンパーイ」」」」」


真姫 「ねぇ、希」

希  「どうしたん?」

真姫 「これを考えたの希なんでしょ?」

希  「んー、どうしてそう思うん?」

真姫 「さっきからずっと黙ってみんなを見守ってたから、まるでμ’sに入る前のあの頃みたいに」

希  「考えたのはみんなで、うちだけで考えたわけじゃないよ」

真姫 「そう……ありがとう」

希  「そう言えば穂乃果ちゃんから聞いたんやけど、穂乃果ちゃんと真姫ちゃんが始めて会ったあの日」

希  「その日、穂乃果ちゃんはグループ名を募集していた箱の中で1枚の紙を見つけたらしいんよ」

希  「そして、その1枚だけ入っていた紙に書いてあった名前をグループ名に決めることにした」

希  「その日が『μ’s』にとっての誕生日なのかもしれないね」



真姫 「そう……自分の誕生日がこんなに幸せな日だと感じたのは始めてかもしれないわ」

わいわいと騒ぐみんなの様子を見て改めて思う

あぁ、ここでよかった。今、ここにいることができてよかった

ここは音楽室

ここは部室

ここは屋上

ここは学校

ここは『μ’s』





ここは……

パーティーが終わり凛と花陽と一緒に家路に着く

凛  「ねぇねぇ、真姫ちゃん。そういえば今日は何の日かわかる?」

真姫 「え?何かの特別な日だったの?」

花陽 「うん、凛ちゃんと花陽、そして真姫ちゃんの特別な日」

真姫 「私にも?……ごめんなさい、わからないわ」

凛  「えー、わからないなんてショックだにゃ~」

花陽 「ふふふ、流石に仕方ないよ」

真姫 「いったい何の日なの?教えてよ」


凛  「今日はね、凛とかよちんの誕生日の丁度間の日なんだよ」

真姫 「何それ、そんなのわかるわけないじゃない」

凛  「でも、これでもう忘れないよね」

花陽 「これからもずっとね」

あぁ、だからさっきも今も……私を挟んでるのね

寒い冬の夜道の中で感じる左右からの温もり

真姫 「イミワカンナイ」

でもここに挟まれるのも悪くない



凛と花陽と別れて家の前へとたどり着く

いつもよりも帰りが遅かったからだろうか、いつもは止まっていない親の車が止まっている

少し冷たくなった手で家の扉を開く

私の産まれて今まで育って来た家



「ただいま」

少し前までの私はこんな事思わなかっただろう

きっとみんなのおかげで何かが変わったんだと思う



―――ここは私の家

以上です
もっとほのぼのしたものが書きたかったのにブレブレでした

歌詞の使用については色々と批判もあると思います
今後は使用しないようにします

教えて貰ったアドレスとその他著作権に関するサイトを簡単にですが見てまわりました
念のため引用元を記載

【作詞:畑亜貴、作曲:山田高弘 愛してるばんざーい!から一部引用】

そこまで気にする事では無いのでしょうがこう言うのもあるんだよという事で
SS事体を楽しんでもらえれば幸いです

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