男「ヒロイン欲しい」友「は?」(37)
友「何、急に」
男「いや、言った通りだよ。ヒロインが欲しいんだよ」
友「それは聞いた」
男「もう潤いが無い生活にうんざりなんだよ!」
友「ならヒロインじゃなくて彼女じゃないか?」
男「馬鹿やろう!」ペシッ!
友「痛い!」
男「ただいちゃいちゃしたいんじゃねえんだよアホが!くっつく離れるを繰り返す甘酸っぱいラブコメがしたいだ!」
友「……そうか」
男「ということでヒロイン出ろ。唐突に。何の脈絡もなくていいから」
友「とりあえず聞くけどお前はどんなヒロインがいいんだ?」
男「よくぞ聞いてくれたな」
友「聞いて欲しそうな顔してたからな」
男「やっぱりメジャーなのは幼なじみだな!」
友「いいね」
男「幼なじみは2パターンある!」
友「好きなだけ語れよ」
男「それは今までずっと一緒に育ってきた幼なじみだ!家が隣だとポイント高い!」
友「鉄板だな」
男「朝起こしに来てもらいてー!」
友「わかるわかる。で、もう一つは?」
男「それはつい最近まで離れていたパターンだ!親の都合で引っ越しとか」
友「あるある」
男「そこである日転校してくる女の子。しかし幼い頃から綺麗になってて最初は気づかない」
友「あー」
男「そうして、「もう!忘れちゃったの?」」
友「おお」
男「たまらんだろ!?」
友「うんうん」
男「幼なじみのパターンはこんな感じかな」
友「幼い頃の記憶を共有しているというのがいいよな」
男「ああ、そして付き合う時には昔していた約束が鍵になる」
友「お嫁さんになるとか、ずっと一緒だよ、とか」
男「それを忘れていたことがショックでヒロインはとても悲しむ……」
友「だが、ここぞという時に蘇る記憶!」
男「やっぱり覚えていてくれたんだね……!」
友「そして大団円と」
男「ベタだけどたまらないよなー」
友「なー」
男「幼なじみって自然と距離が近くなりやすいし」
友「小さい頃、一緒にお風呂に入ってたよね!は様式美」
男「あー、あるある。そしてその後成長したヒロインを見て……」
友「いいねー。幼なじみいいねー」
男「だろ?ヒロインに幼なじみは欠かせないよな」
友「ところでお前女の子の幼なじみいるのか?」
男「いや、いないけど」
友「だと思った」
男「つか幼なじみお前しかいねえんだけど」
友「俺もだ」
男「なんでお前女の子じゃないわけ?」
友「その言葉そっくりそのままお前に返してやるよ」
男「…………」
友「……幼なじみのヒロインは諦めろ」
男「……くうっ!」ポロポロ
友「マジ泣きすんなよ」
男「これが泣かずにいられるかっ……!俺の前に幼なじみのヒロインは絶対に現れないんだぞ!?」
友「そうですね」
男「くそっ!冷たい奴だ!」
友「てかさ、思ったんだけど」
男「ん?」
友「お前の前に幼なじみヒロインが現れたらホラーじゃね?」
男「いや、現れないのはわかってるから」
友「違うって、もしお前の前に「幼なじみ」を名乗るヒロインが現れたらだよ」
男「…………いないはずの幼なじみを名乗るヒロイン?」
友「自分は何も知らないのに相手の女の子は自分の過去を知り親しそうに話しかけてくる……ホラーだろ?」
男「……っ!馬っ鹿お前!想像させんな!」ゾクッ
友「ははははは」
男「ええい止めだ止め!幼なじみは一旦諦める!」
友「一旦もなにも最初っから無理だけどな」
男「つか俺ばかり語ってんじゃん。お前もなんかヒロインについて語れ」
友「んー?……んじゃツンデレとか?」
男「素直になれない子って可愛いよな!」
友「そうかもしれないけどさ……」
男「なんだよ。自分から切り出しといて」
友「ツンデレって難しくね?」
男「どこらへんが?」
友「こう……、素直に好意を表せれないわけだろ?」
男「そうだな」
友「で、好きな人相手につれない態度を取るわけだ」
男「そうだな」
友「そこでさ。相手の好意を知らない主人公からしたら戸惑うだけだよな」
男「……まあ、確かに」
友「ニヤニヤできるのは好意が伝わってるからなんだよ。それが周りだったり好き相手だったりするけど。だけどその好意が伝わらなかったら?」
男「……不思議な行動をする子、嫌な子だな」
友「だろ?だけど……」
男「もったいぶるなよ」
友「ある一定の交友関係ならばツンデレはツンデレなりうる」
男「んーと、ある程度見知った仲なら何か理由があるからと思うからか?」
友「そう!そして考えてその行為の真意に気づいた時……!萌えるのさ!」
男「……それは萌える!」
友「なんでその行動を取ったのかと考え、その行為の裏にある好意に!萌えるのだと俺は思う!」
男「ほう、そういう考えもあるのか」
友「ああ、あくまでも俺の一意見だ」
男「ま、そういうのもいいよな。だけどツンデレって定義が曖昧だしな」
友「ああ、人によってツンデレの定義は異なる。だが……」
男「今度はなんだよ」
友「暴力系ヒロインだ……!」
男「ああ……」
友「照れ隠しについ手が出てしまう……。微笑ましいがそれにも限りがある!」
男「あー……」
友「明らかにそれはやりすぎだろう!?と、いうラインに足を進めるのは……」
男「まあ、それもギャグなんだろ。面白いのもあるし、個性出そうと頑張ってるんじゃね?」
友「……少し熱くなりすぎたな。確かにそういうヒロインにも需要があるのだろう。しかし、それを不快に思う者もいるのだ」
男「そこらへんも個人の感性だしな。とりあえず俺はギャグ時空でも勘弁だけど」
友「……とりあえずツンデレとは定義が難しい物だな」
男「別にそんなことしなくてもいいだろ。お前が信じる物がツンデレだ。ただし、他人の同意を得られるかは知らんが」
友「その通りだな」
男「そういやツンデレと言えばさ、周りにはツンだけど好きな人にはデレってのもあるよな」
友「ああ、自分だけに甘えてくるというのはなかなか来るものがあるな」
男「俺はそっちのツンデレのほうが好きかな」
友「他にはわかりやすいツンデレ語もあるな」
男「「べ、別にあんたのためじゃ無いんだからね!」か?」
友「ああ、それだ」
男「お前そういうの嫌いなのか?」
友「いや、大好きだ。わかりやすいのは正義、なにより可愛いから」
男「可愛いのは正義だよな。ある程度は可愛いければ許される」
友「許されないことも勿論あるが」
男「それとツンデレもいいけどクーデレもいいよなぁ」
友「クール系好きなのか?」
男「ああ、物静かで冷静な感じ、大好きだ」
友「お前は可愛いければなんでもいいんだろ」
男「まあな!」
友「クール系はヒロインとしても根強い人気を誇るよな」
男「だよな。やっぱり人気があるんだよ」
友「どこらへんに惹かれるんだ?」
男「やっぱりなあ。感情を余り表に出さないわけだろ?」
友「そうだな」
男「だからこそたまに出る感情が印象に残るんだよ。それがどんな些細なことでもさ」
友「普段、感情を表に出し慣れてないからこそだな」
男「そうなんだよ。ああー、クール系の子を笑顔にさせてあげてえ」
友「で、お前の周りにクール系は?」
男「……あのさ」
友「なんだ?」
男「わかりきってること聞くんじゃねえよ!お前は俺とほとんど一緒なんだからわかるだろ!」
友「いやあわるいわるい」
男「棒読みしてんじゃねえぞ」
友「はい、この話は止めよう。で、他に好きなタイプのヒロインはいないのか?」
男「んー?…………ありすぎて困る」
友「お前はなんでも好きと答えるからな」
男「そうでもないわ!」
友「んじゃ、嫌いなタイプのヒロインとかいるのか?」
男「……男の娘」
友「……あーあー」
男「いくら可愛くても男はちょっと……」
友「まあ、わからんでもない」
男「えっ」
友「俺いけるし」
男「マジか……」
友「まあ、少しいいかな?とか思ったらあっという間だ」
男「ホモじゃん」
友「女の子みたいだからせ、セーフ」
男「いや、アウトだろ。いくら可愛くても男相手とかありえん」
友「見た目女の子じゃないとダメだから大丈夫だ。多分」
男「そういう考えがホモへの第一歩なんじゃないか?」
友「……それはさておき男の娘ヒロインはあれだな。男なのに男を好きになってしまったという葛藤に萌える」
男「やっぱりホ……」
友「黙れ。この気持ちはおかしいのにどんどん高まる胸のときめきに焦る姿が可愛いよな」
男「なら女体化でいいじゃん!そういうの女体化でもあるぞ!男である必要ないじゃんか!」
友「男と男と言う禁忌の関係だから燃え上がるんだろ」
男「やっぱりホモじゃねえか!」
友「……確かにこれは人を選ぶからな。住み分けが大事だ。好きな人もいれば嫌いな人もいる。同性愛を扱うからデリケートだ」
男「いや、百合は大好きだからカモンカモン」
友「住み分けが大事だと言ったばかりだろう!」バシッ
男「いてえ!……百合が嫌いな男なんていねえだろ?」
友「俺は男の娘はいけるがレズは嫌いだ」
男「や、やっぱりホモだ!」
友「」バシッ!
男「いてえよ!?」
友「決めつけはよくない。わかったか?」
男「ど、どっちの意味で?」
友「両方に決まってるだろ。俺はホモじゃない」
男「……へーい」
友「……なあ」
男「ん?」
友「こんなこと話しててもヒロインは出てこないんじゃないか?」
男「……」
友「彼女欲しいな……」
男「ああ……」
友「……帰るわ」
男「ん、じゃあな」
おわり
~翌日~
男「……よお」
友「……」
男「黙ってんじゃねえよ。どうだ?」
友「……本当に女になったんだな」
男「前々から言ってあっただろうがよ」
友「そうだったけどな。なんか信じられなくてさ」
男「ts病はまだまだ新しい病気だからな。俺だって現実感ねえよ」
友「……昨日いつもみたいに馬鹿話やったばかりなのにな」
男「……そうだな」
友「これからどうするんだ?」
男「変わんねえよ。性別が変わっただけで。いつも通りさ」
友「そっか……」
男「しんみりしてんじゃねえよ。別に死んだわけじゃ無いんだし」
友「……多分、まだ受け止めれてないんだ。腐れ縁の幼なじみがいきなり女になるなんてさ」
男「あっそ。お前は変わった本人が平然としてんのに気にし過ぎなんだよ」
友「そんなこと言ってもさすがに受け入れるの早すぎないか?」
男「そりゃ、結構前から診断結果出てたしな。変わる前にいろいろ資料に眼を通したから覚悟もできるさ」
友「……強いな」
男「うじうじしてんじゃねーよアホ」ペシッ
友「…………」
男「暗い。うざい。うじうじすんな」
友「……わかった」
男「本当か?」
友「ああ」
男「でさ、お前はどうなの?俺はこれからもいつも通りにするけど」
友「……これからも今まで通りに馬鹿をやれるのか?」
男「俺はそのつもりだけど」
友「とりあえずはその方向でいこう」
男「よし。ならもうそろそろ学校行こうぜ」
友「わかった」
~教室~
男「うっす、おはよー」
友「おはよう」
クラスメート「おはよー、そこの女の子ってもしかして……」
男「おお!とうとう女になったぜ!」
クラスメート「そっかー、本当にts病だったんだー」
男「信じてなかったのかよ?」
クラスメート「まー、半々かな。それにしても可愛くなっちゃったねー」
男「だろ?ts病ってそうなることが多いらしいな」
クラスメート「不思議だよねー」
男「本当にな」
友 (……周りはもう受け入れ始めているのか。なかなか受け入れられない俺がおかしいのか?)
男「なにボーっとしてんだよ?」
友「……悪い」
クラスメート「ところで二人とも出来てんの?」
男「はあ!?何言ってんだおま……」
友「そんなものは、ない!」
クラスメート「う、うん。でもtsした後は身近な人とくっつくこともあるんだって」
男「ねーよ。俺女の子が好きだし」
友「ああ。有り得ない」
クラスメート「そっかー」
男「当たり前だろ。ごく最近まで男だったんだぜ?」
友「そういうことだ」
クラスメート「了解!そういうのはないんだね」
友「ああ、そうだ」
キーンコーン……
クラスメート「あ、じゃあまたね」
男「おう」
ガラララ……
先生「ほらー、席に戻れー。shr始めるぞー」
男「怒られないうちに俺達も戻ろうぜ」
友「おう」
先生「えー、ではshrを始める。それにしても男ー」
男「なんですか先生ー」
先生「とうとうtsしたんだな。おめでとうでいいのか?」
男「先生ー、たとえ可愛い女の子でも自分だと嬉しくないです」
先生「ははは、そりゃそうだな」
<ダヨナー <ソリャソウダロー
先生「はい、静かに!」
友「…………」
先生「どうしたんだ友、難しい顔して」
友「あ、いや……」
先生「ま、親友がいきなり女になったら戸惑うよな。いずれ慣れていくだろう」
友「……そうですね」
~昼休み~
男「おーい。購買行こうぜー」
友「……腹減ってないからいい」
男「見え透いた嘘つくなよ。高校生が腹減ってないとか有り得ないから。ほら、行くぞ!」
友「……わかったよ」
男「ちんたらしてんじゃねえよ!焼きそばパン売り切れてたらお前のせいだからな!」
友「はいはい……」
男「ふぬけてんじゃねえよ」パーン
友「痛いって」
男「なら急げ!」
友「おう!」
休憩。tsは需要なかったかな
~昼食~
友「売り切れてなくて良かったな」
男「なあ、お前……」モグモグ
友「ん?」
男「うっとおしい」
友「は?」
男「何うじうじしてんだよ」
友「……うじうじしてるか?」
男「してる。ショック受けたのはわかるけど一番ショックでかいのは俺なんだからな。いつまでも落ち込んでじゃねえよ」
友「……頭の中ではわかってる」
男「わかってねえよ。昨日ヒロインについて語り合ったろ?」
友「ああ」
男「だけどもう俺の前にはヒロインなんて現れないんだぞ!?女になったから!」
友「……そうだな」
男「それで落ち込みたいのにお前がうじうじしてるから俺は碌に落ち込めないんだよ。つうか逆だろ。なんでお前のほうが落ち込んでるんですか!?ふざけんな!」
友「……悪い」
男「悪いと思ってんなら落ち込むの禁止!いいな!?」
友「わかったよ」
男「ったく!男が女に励ませれてんじゃねえよ!」
友「わかったって」
男「ならばよし!」
友「……お前、変わらないな」
男「そんな簡単に変わるかよ」
友「安心した」
男「やっぱりお前には俺がいないとダメか」
友「……そういうのはお断りなんだが」
男「俺だってだよバーカ」
友「ははは、……すっきりした、ありがとう」
男「あっそ、よかったな」
友「……ああ、よかったよ」
おわり(友情エンド)
tsって恋愛ばかりだから友情エンド書いてみた。それじゃノシ
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